JP2007268897A - タッチパネル用フィルムとその製造方法 - Google Patents

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君奉 連山
Keisuke Matsubara
圭佑 松原
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泰規 井伊
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Abstract


【課題】ユーザの皮脂が付着した場合であっても、ノングレア効果を良好に発揮し、また皮脂の付着が目立たなくすることで、優れた性能を発揮することが可能なタッチパネル用フィルム材料とその製造方法を提供する。
【解決手段】フィルム製造工程において、第一フィルム基材10a表面にペースト120を塗布し、これに第二フィルム基材10bをラミネートする。この際の第一及び第二のフィルム基材の少なくとも一つの基材は平均粒径が1.8μm以上3.5μm以下の無機粒子102aを、0.5〜10重量部の離型剤を含むバインダ成分101aで結着させてなる粗表面が形成されている。その後は紫外線照射により前記ペースト層10xを硬化させ、第一及び第二フィルム基材を剥離することにより、前記無機粒子によってノングレア処理されたアクリルシリコーン樹脂フィルムからなるタッチパネル用フィルム10cを得る。
【選択図】図3

Description

本発明は、耐熱性および機械強度に優れたタッチパネル用フィルムとその製造方法に関し、特に耐熱性フィルムの製造技術に関する。
パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ノートパソコン、OA機器、医療機器、或いはカーナビゲーションシステム等の電子機器においては、これらのディスプレイに入力手段を兼ね備えるためのタッチパネルが広く用いられている。
一般的な抵抗膜式タッチパネルは特許文献1に示すように、透明面状部材の片面にITO等の透明電極(抵抗膜)が形成されてなる一対の透明電極付きフィルムを、一定間隔をおいて対向配置させた構成を有し、使用時にはLCD(液晶ディスプレイ)などのディスプレイ表面に配設される。
前記透明面状部材には、ユーザからの入力耐性(打鍵耐久性)を持たせるために、一般にポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、或いはノルボルネン等の環状オレフィン系樹脂の材料からなる透明フィルムが用いられる。当該透明面状部材の表面には、ディスプレイに対して外部光線による写り込みを防止するための所謂ノングレア(「アンチグレア」とも称される)処理が施される。
特開2000-89914号公報 特開平10-48625号公報 特開平10-186136号公報 特開平11-333872号公報
しかしながら、ノングレア処理された透明面状部材を備えるタッチパネルにおいては、ユーザが素手で入力した場合、指から皮脂が前記透明面状部材の表面に付着し、皮脂層となって、ノングレア処理された透明面状部材の凹部が見かけ上埋没するという課題がある。
すなわち、透明面状部材の表面の凹部が皮脂層中に埋もれ、結果としてその表面が滑らかになってしまうため、外部光線を乱反射させることができずに皮脂の付着が目立ち易くなり、また写り込みの問題が再発してしまう。
このような問題は、例えば車載用のカーナビゲーションシステムに使用する場合など、タッチパネルに対して指で入力する頻度が高い用途において、特に早急に解決する必要がある。
本発明は以上の課題に鑑みてなされたものであって、その目的はユーザの指から皮脂が付着した場合であっても、皮脂の付着が目立ちにくく、またノングレア効果を良好に発揮することで、優れた性能を発揮することが可能なタッチパネル用フィルム材料とその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、第一のフィルム基材の片面に形成したペースト層の上に第二のフィルム基材をラミネートし、前記ペースト層を硬化させて樹脂フィルムを形成するタッチパネル用フィルムの製造方法であって、前記第一及び第二のフィルム基材のうち、少なくとも一方のフィルム基材として、前記ペースト層に臨む表面に凸部が形成された粗表面基材を用い、前記凸部は、フィルム表面に沿った平均直径が30μm以下で、且つ、高さが0.3μm以下の個数として、1mmの走査線内に20個以内で存在し、当該フィルム基材の表面が、算術平均高さRaが0.04μm以上0.50μm以下、最大高さRzが0.50μm以上6.00μm以下の範囲となるように設定されているものとした。
ここで、前記ペースト層としてはアクリルシリコーン樹脂前駆体を用い、第一及び第二のフィルム基材にラミネートされた状態で、外部より紫外線硬化させることでアクリルシリコーン樹脂フィルムを形成することもできる。
また前記粗表面基材としては、ベース層に粒子層を積層してなり、前記粒子層は、平均粒径が1.8μm以上3.5μm以下の無機粒子を、0.5重量部以上10重量部以下の離型剤を含むバインダ成分で結着させてなるものを用いることもできる。
一方、前記無機粒子はシリカ粒子であり、前記離型剤はシリコーン樹脂成分を含んだものを用いることもできる。
さらに本発明は、前記いずれかの本発明の製造方法で製造されたことを特徴とするタッチパネル用フィルムとした。
また本発明は、少なくとも片面において、皮脂被着前後のヘーズ値変化率が60%未満であるタッチパネル用フィルムとした。
ここで、前記本発明のタッチパネル用フィルムでは、その両面を前記粗表面基材でラミネートして賦形することもできる。
また本発明は、少なくとも片面の表面に凹部が形成されたタッチパネル用フィルムであって、前記凹部が、フィルム表面に沿った平均直径が30μm以下で、且つ、深さが0.3μm以下の個数として、1mmの走査線内に20個以内で存在し、当該フィルムの表面が、算術平均高さRaが0.04μm以上0.50μm以下、最大高さRzが0.50μm以上6.00μm以下の範囲となるように設定されているものとした。
さらに本発明は、片面に透明電極が配設された第一および第二の面状部材が、各々の透明電極を一定間隔をおいて対向させた状態で配置されたインナータイプのタッチパネルであって、前記第一および第二の面状部材のうち、少なくともユーザの入力面となる一方が、前記本発明のタッチパネル用フィルムで構成されているものとした。
ここで本発明は、ディスプレイに積層されるタッチパネル本体に対し、最外面に前記本発明のいずれかのタッチパネル用フィルムが配設されてなるタッチパネルとすることもできる。
以上の特徴を有する本発明のタッチパネル用フィルム材料の製造方法によれば、ウエットラミネート処理ステップで二枚のフィルム基材の間にペースト層を形成する際に、前記第一及び第二のフィルム基材の少なくとも一方に、凸部の平均直径が30μm以下且つ深さが0.3μm以下の個数が1mmの走査線内に20個以内であり、表面の算術平均高さRaが0.04μm以上0.50μm以下、最大高さRzが0.50μm以上6.00μm以下である粗表面基材を用いるため、当該粗表面基材より転写されてなるタッチパネル用フィルムには前記凸部によって凹部が賦形され、ノングレア処理が施される。当該粗表面基材の条件は、本願発明者らが鋭意検討した結果、ユーザの指に起因する皮脂層がフィルム上に形成される場合であっても、ヘーズ値が変化しにくい値として見出したものである。従って本発明によれば、ユーザが指で操作する場合であっても、良好なノングレア効果を発揮できるタッチパネル用フィルムと、これを用いたタッチパネルが実現される。
なお、前記凸部及び凹部の平均直径については、各フィルム表面を顕微鏡で拡大して測定することが可能である。
前記粗表面基材としては、樹脂フィルムベースに所定の粒径を有するシリカ粒子等の無機粒子を、離型剤を含むバインダで結着させてなる粒子層を形成したものを利用できるが、このようにすれば、シリカ粒子の粒径を予め調整しておくだけで、フィルム上に形成されるノングレア処理形状を比較的簡単に調整できる。
また、前記樹脂フィルムベースに透明PETフィルムを用い、前記シリカ粒子と組み合わせれば、粗表面基材を透明にすることができる。このため、当該粗表面基材側からも紫外線を照射して、当該粗表面基材によりラミネートされた前記ペースト層を外部から紫外線硬化させることができるため、迅速にタッチパネル用フィルムを製造でき、非常に効率が良い。
また、紫外線硬化処理を用いたペースト層の硬化処理によれば、フィルム材料を搬送させながら各製造ステップを連続的に処理することができるので、ペースト層を短時間で硬化でき、間欠的なバッチ処理等に比べて作業効率等の面で優れている。
以下に、本発明の実施の形態及び実施例を説明するが、当然ながら本発明はこれらの形式に限定されるものでなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲で適宜変更して実施することができる。
(実施の形態1)
<タッチパネル用フィルムの製造方法について>
本実施の形態1では、タッチパネル用フィルム(最外面に配置される前面カバーフィルムあるいは透明電極付きフィルムのベースフィルム等)として用いられる、アクリルシリコーン樹脂フィルムの製造方法を説明する。図1は、このフィルムの製造ステップを示すものである。
当図1に示される製造ステップの流れは、一例として、前駆体ペースト作成工程、前駆体ペースト塗布工程、ウエットラミネート処理工程、アクリルシリコーン樹脂形成工程、基材剥離処理工程、巻き取り工程の各工程(ここではS1〜S6の合計6つのステップ)により構成している。
なお、この工程順は一例として示すものであって、本発明はこの工程順に限定されるものではない。また、各工程は、このうちいずれかを同時に行うか、工程数を増やすか、またはこれらを個別に行うように、適宜順序を調整してもよい。
例えば後述する製造装置2では、S2において前駆体ペースト塗布工程とペースト層厚み調整工程、S3においてウエットラミネート処理工程とペースト層厚み調整工程をそれぞれ並行して行っている。また製造装置2では、前駆体ペースト塗布工程、ウエットラミネート処理工程及びペースト層厚み調整工程をほぼ同時に行うものとしている。
以下、上記各工程について、製造装置2の構成および駆動とともに順次説明する。

<フィルム製造装置について>
図2は、上記製造ステップを実際に行うためのフィルム製造装置2の構成を示す模式図である。
当図に示すように、フィルム製造装置2は、前駆体ペースト120を入れるためのトレイ102、互いの軸方向を並行に(紙面に垂直な方向に沿って)所定間隔で対向配置されたバックアップローラ103及びロールナイフ104、ローラ105a、105b、剥離ローラ108a、108b、およびUV照射装置107とで構成される。
バックアップローラ103とロールナイフ104、ローラ105a、105b、剥離ローラ108a、108bの間には、基材ローラ101に巻回された第一フィルム基材10aが挿通される。
さらにローラ105a、105b、剥離ローラ108a、108bの間には、基材ローラ106に巻回された第二フィルム基材10bが挿通される。これにより第一及び第二のフィルム基材10a、10bの間には、トレイ102からペースト120が充填されるようになっている。第一及び第二のフィルム基材10a、10bは、ペースト層10xをフィルム状に形成するための土台となるほか、当該ペースト層10xを空気中の酸素から隔離する役目をなす。
ここで、第一フィルム基材10a及び第二フィルム基材10bが本発明の特徴部分である。
このうち第一フィルム基材10aは、図3(c)の部分断面図に示すように、樹脂フィルムベース層100aの片面上に凸部として、例えば平均粒径3.0μm 及び3.4μmのシリカ(SiO2)粒子102aが、厚み2.0μm以上2.5μm以下のバインダ層101aにより結着されてなる粗表面基材としての構成を有する。バインダ成分、平均粒径3.4μmの無機(シリカ)粒子102a、平均粒径3.0μmのシリカ粒子102aの重量比は、一例として同順に100:2:4である。
この構成は、前駆体ペースト120より、表面に所定のヘーズ値(15%以上20%以下のヘーズ値)を有するタッチパネル用フィルム10cを形成するためのものである。当該粒径を持つシリカ粒子102aに掛かる凸部によって凹部を賦形されることで、図3(b)の部分断面図に示すように、15%以上20%以下のヘーズ値を持つタッチパネル用フィルム10cが構成される。
なお本発明で使用する前記粗表面基材に求められる条件としては、前記凸部の平均直径が、フィルム表面に沿って30μm以下で、且つ、高さが0.3μm以下の個数として、1mmの走査線内に20個以内で存在し、当該粗表面基材の表面が、算術平均高さRaが0.04μm以上0.50μm以下、最大高さRzが0.50μm以上6.00μm以下の範囲となるように設定されていることが必要である。
また、バインダ層101aの厚みをシリカ粒子102aよりも十分小さい上記範囲(2.0μm以上2.5μm以下)に設定することで、当該シリカ粒子102aがバインダ層101aに必要以上に埋没することがないので、結果として小さな孔の形成を防止することができる。
なお、用いるシリカ102a粒子のサイズによって、バインダ層101aの厚みを上記と異なる範囲に設定することも可能である。本発明では、シリカ粒子102aを用いる構成としているが、これは一例であって、タッチパネル用フィルム10cに所定のヘーズ値を持つ凹部に掛かる孔101Cを形成できる粒子であれば、当該シリカ材料に限定せず、例えばこれ以外の無機材料を用いることも可能である。
また、本実施の形態1では、第二フィルム基材10bも第一フィルム基材10aと同様の構成としている。このようにすれば、タッチパネル用フィルム10cの両面に凹部に掛かる孔101Cが形成されるので、タッチパネル使用時のみならず、当該フィルムの製造時においてオペレータが素手でフィルムに触れた場合においても、当該フィルムの両面が皮脂層200によりノングレア効果を失う危険が回避されるので好適である。
なお、このような製造時の皮脂層200の被着を考慮する必要がない場合には、タッチパネル使用時に、タッチパネル用フィルム10cにユーザが触れる面を賦形するだけでよい。このため、第一フィルム基材10aまたは第二フィルム基材10bのいずれかのみ、前記タッチパネル用フィルム10cに対応する表面に前記凸部を設けるようにしてもよい。
トレイ102はL字型部材の溝部分に前駆体ペーストを貯留する構成になっており、且つ適度な角度で傾斜され、当該ペースト120がバックアップローラ103の周面側に良好に接触するように配置される。
ここで、トレイ102は必須ではなく、例えばロールナイフ104より下流側まで搬送された第一フィルム基材10aの表面から別途塗工するようにしてもよい。
すなわち、ロールナイフ104による塗工方式の代わりにナイフコートやブレードコート、ダイコート、ロールコート、カーテンコート等の公知のいかなる塗工方式を用いても良い。
バックアップローラ103は回転自在に軸支されており、装置駆動時には繰り出された第一フィルム基材10aをローラ105a、105b側へ搬送する。
ロールナイフ104は円筒体の周面おいて鋭利な断面形状を持つブレード部104aを形成した構成となっており、前記ブレード部104aがバックアップローラ103と対向するように配置される。
ローラ105a、105bはともに同様の構成を持つローラであって、バックアップローラ103とロールナイフ104よりも狭い一定間隔をおいて近接配置されており、これによって前駆体ペースト層の厚みが調節される。なお前記ロールナイフ104で十分前記厚み調節を行える場合等は、ローラ105a、105bで再度厚み調整を行わなくても良い。
バックアップローラ103とロールナイフ104、ローラ105a、105bとの各隙間は、形成するフィルムの厚みに合わせ、例えば数μm以上数百μm以下の範囲で調整できる。
UV照射装置107は、前駆体ペーストを紫外線照射により化学反応(シロキサン架橋反応)させ、アクリルシリコーン樹脂を形成させるために用いるものである。UV遮蔽ケース107aの内部に配設されるUVランプ107bは市販されているもの(例えばアイグラフィックス(株)製空冷水銀ランプ)を利用することができる。このランプの選定は、形成するアクリルシリコーン樹脂の種類によって適宜調節することが必要である。
当該フィルム製造装置2の設定例としては次の組み合わせを挙げることができる。

前駆体ペーストの粘度;650mPa・s
成膜スピード(塗布スピード);2m/min
UV照射における照度;540mW/cm2
UV照射における積算照射量;1200mJ/cm2

UV照射に掛かる強度に関しては、積算照射量が多くても相対的に照度が低いと、アクリルシリコーン樹脂の表面に形成する抵抗膜(実施の形態2のタッチパネル1における13、14に相当)などのスパッタ膜が剥がれ易い等の問題が生じるので留意すべきである。例えば、本願発明者らの検討における実験データによれば、アクリルシリコーン樹脂フィルムの厚みが200μmのとき、照度72.4mW/cm2、成膜スピード0.5m/min、積算照射量1043mJ/cm2の設定であると、上記スパッタ膜の剥がれが生じる。
なお、このような現象は上記アクリルシリコーン樹脂フィルムに限らず、実際に製造するタッチパネル用フィルムの厚みや材料等によっても変化すると思われるので、予め当該設定条件を鑑みて適宜装置の条件等の調整を行うことが望ましい。

<タッチパネル用フィルムの製造方法の手順>
以上の構成の製造装置2を用いたタッチパネル用フィルムの製造方法においては、オペレータは予めアクリルシリコーン樹脂の前駆体ペースト120を調整して用意する(S1)。
当該前駆体ペースト120の材料としては、目的のタッチパネル用フィルムの材料を用意することになるが、ここではアクリルシリコーン樹脂フィルムを作製する例を示す。
アクリル樹脂、シリコン材料(シリコン原子、或いはシリコンを含むシランなど各種分子)、粘度調整剤、重合開始剤(光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤など)等を用い、その混合例として、最終的なアクリルシリコーン樹脂分子中のアクリル樹脂分子とシリコン原子の重量%(wt%)比が88.5:11.5となるように混合して作成する。本願発明者らの検討によれば、上記前駆体ペーストの粘度範囲としては、300mPa・s以上50000mPa・s以下の範囲が最適であることが分かっている。
次に、製造装置2の駆動前に予めオペレータが基材ローラ101を操作し、第一フィルム基材10aをバックアップローラ103とロールナイフ104、ローラ105a、105b、剥離ローラ108a、108bの間に挿通させる。また第一フィルム基材10aの先端を巻き取りローラ109に巻回させる。
次にオペレータは、トレイ102に十分量の前駆体ペースト120を投入する。
この状態でオペレータが装置2を稼動させると、バックアップローラ103の周面に巻き付いた第一フィルム基材10a表面に前駆体ペースト120が連続的に塗布され、ペースト層10xが形成される。このとき、図3(c)に示す第一フィルム基材10a表面に前駆体ペースト120が密着して配されるため、前記第一フィルム基材10aの表面形状を転写賦形されたペースト層10xが形成され、ノングレア処理がなされる。
続いて、ペースト層10xがバックアップローラ103とロールナイフ104の隙間に達すると、当該隙間付近にバンク(ペースト溜まり)が形成され、ブレード部104aにより前もって所定のペースト層10xの厚み調整が行われる(S2)。
その後、搬送方向下流側に配置されたローラ105a、105bにおいて第二フィルム基材10bがペースト層10x上にラミネートされ、当該ローラ105a、105bによって押圧されることで、第二フィルム基材10bが配設される。またローラ105a、105bにおいても、引き続きペースト層10xの厚み調整がなされる(S3)。
なお、前記バックアップローラ103とロールナイフ104の隙間だけでペースト層10xの厚み調整を行う場合は当該ローラ105a、105bの間隔を広くできるが、この場合でも実際的に問題なく上記ウエットラミネート処理S3を行うことができる。
これにより製造装置2では、ペースト層厚み調整工程を2段階で行うことにより、第一フィルム基材10a、ペースト層10x、第二フィルム基材10bの三層構造からなるラミネートフィルム10が形成される。

当該ラミネートフィルム10がUV照射装置107まで搬送されると、当該装置107の内部において配されたUVランプ107bによりUV照射される。これによりペースト層10xでは、第一フィルム基材10a、第二フィルム基材10bにより空気中の酸素から隔離された環境下において化学反応を生じ、アクリル分子とシリコン原子とがシロキサン架橋を起こす(紫外線架橋反応)。この反応によって、硬化したアクリルシリコーン樹脂フィルム(タッチパネル用フィルム10c)が形成される(S4)。
なお、図2に示す工程では、第二フィルム基材10bより紫外線照射する場合を例示しているが、本発明では、第一フィルム基材10a及び第二フィルム基材10bの両基材をPETフィルムとシリカ粒子、バインダ層で構成すれば紫外線を透過する透明フィルム基材とすることができ、タッチパネル用フィルム10cの表裏面をノングレア処理することができる。
なお、従来の第一フィルム基材は、一般的にはPET材料に硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の白色無機粒子を分散させて、表面に凹凸のあるフィルム基材をなすように構成されるため、当該フィルムは全体的に白濁したものとなっている。このような白濁フィルムは紫外線を透過しないため、当該白濁フィルム側から紫外線照射して、内部にラミネートされたペースト層を紫外線硬化することができない。従ってこのような場合は図2に示すように、透明な第二フィルム基材側から紫外線照射するように設定する必要がある。
その後は一対の剥離ローラ108a、108bにおいて、前記ラミネートフィルム10が分離される。すなわち前記第一フィルム基材10a、第二フィルム基材10bが剥離され、それぞれ巻き取りローラ109、110に回収される(S5)。このとき、前記第一フィルム基材10aのバインダ層にシリコーン樹脂成分が含まれているため、当該成分が離型剤として作用し、第一フィルム基材とタッチパネル用フィルム10cとが良好に分離される。
なお、ここではタッチパネル用フィルム10cとしてアクリルシリコーン樹脂フィルムを製造するため、バインダ成分にシリコーン樹脂成分を離型剤成分として添加している。離型剤成分の添加量としては、0.5重量部〜10重量部、好ましくは1重量部以上5重量部以下が良い。離型剤成分が多いと剥離ロール108a、108b以前の工程途中で剥がれ、逆に離型剤成分が少ないとタッチパネル用フィルム10cと第一フィルム基材10a、第二フィルム基材10bが剥がれなくなってしまう問題がある。
残ったタッチパネル用フィルム10cは搬送方向最下流に配置された巻き取りローラ111に巻き取られる(S6)。
これでタッチパネル用フィルム10cの製造は完了する。
上記巻き取られたアクリルシリコーン樹脂フィルム10cは、その後目的の大きさに裁断され、表面に所定の電極(抵抗膜)等が形成される。この具体的な構成については実施の形態2で説明する。

<フィルム製造装置のバリエーションについて>
なお、図2に示す製造装置2においては、ローラ103、ロールナイフ104の間にペースト層10xを導入した後、第二フィルム基材10bをラミネートする構成を示したが、本発明はこれに限定されず、ローラ103、104の間に第一及び第二フィルム基材10a、10b、並びにペースト層10xをともに積層して挿通させることもできる。
このようにすれば、前駆体ペースト塗布工程、ウエットラミネート処理工程、ペースト層厚み調節工程をほぼ同時に行うことができるメリットがある。さらに早い段階から前駆体ペーストを外気より遮断することができるので、その分搬送距離中において、紫外線照射(S4)を行う領域を広く確保することができ、フィルムの形態や種類に合わせて大幅な照射時間の調節が可能なメリットもある。
なお、この場合は第二フィルム基材10bの表面が不用意に削れるのを防ぐため、ブレード部104aは設けない方が望ましい。

<アクリルシリコーン樹脂フィルム10cについて>
図3(a)(b)は、従来のタッチパネル用フィルム10yと、上記製造方法で作製されたタッチパネル用フィルム10cのそれぞれの上に皮脂層200が形成された構成を示す模式的な部分断面図である。また図3(c)は、第一フィルム基材10aの構成を示す模式的な部分断面図である。ここでは便宜上、フィルム10c、10yの一方の表面付近のみの構成を示している。
図4は、上記製造方法で作製されたタッチパネル用フィルム10c表面の構成を示す模式的な拡大図である。
図5は、従来のタッチパネル用フィルム表面の構成を示す模式的な拡大図である。
従来のタッチパネル用フィルム10yの表面には、図3(a)のように第一フィルム基材に起因する大小様々な深さの孔101Y、102Yが存在している。この孔101Y、102Yは、タッチパネル用フィルム10yの使用時において、外部光線の写り込みを防止する所謂ノングレア効果を発揮するようになされたものであり、ヘーズ値が例えば5%以上20%以下程度の範囲に調整されている。このヘーズ値は当該タッチパネル用フィルム10yで一定のノングレア効果を得るためには十分な数値とされているが、ユーザが指で当該タッチパネル用フィルム10yの表面を触った場合、その指から分泌される皮脂がフィルム表面に付着し皮脂層200となり、前記ヘーズ値が望ましくない値まで低下しうる。すなわち通常の使用をしていても、前記孔102Yは実質上、皮脂層200により埋もれてしまい、当該タッチパネル用フィルム10yで当初予定していたノングレア効果が発揮されない問題が生じうる。
これに対し本発明では、図3(c)に示すように樹脂フィルムベース層100aの上に前述した平均粒径3.0μm及び3.4μmのシリカ粒子102aを分散させ、バインダ層101aで結着させてなる層を有する第一フィルム基材10aの表面形状を転写することで、図3(b)、図4に示すようにタッチパネル用フィルム10cの表面には、前記孔101Y、102Yに比べて比較的大きな孔101Cが形成される。この孔101Cは、タッチパネル用フィルム10cの表面に形成された凹部としての平均直径が30μm以下で、且つ、深さが0.3μm以下の個数において、1mmの走査線内に20個以内で存在するように調整されており、さらに当該フィルム表面の算術平均高さRaが0.04μm以上0.50μm以下、最大高さRzが0.50μm以上6.00μm以下の範囲となるように設定されたものである。この定義を言い換えると、タッチパネル用フィルム10cは、ユーザによる皮脂層200の付着前後におけるヘーズ値の変化率が60%未満のフィルムであると定義される。
このような孔101Cを設けることで、例えタッチパネル用フィルム10cにユーザが指で触れて皮脂層200が形成されても(図3(b))、指が触れる前後でのヘーズ値の変化率が60%未満に抑えられ、皮脂層200が形成された後の見かけ上の孔201によるヘーズ値の低下が、ノングレア効果の喪失にそれほど影響のない値に抑えられる。その結果、長期にわたって外部光線の写り込みを抑制し、良好な画像視認性が発揮されることとなる。
また本発明は、タッチパネル用フィルム10cの表面に前述した所定の表面形状を確保する構成であり、従来から用いているフィルム材料(本実施の形態ではペースト材料120)をそのまま使用でき、別途部材を積層する構成を取っていない。従って、別途部材を積層することで、当該フィルムの物理的強度(打鍵耐久性)を考慮する必要もない点で優れている。
なお、人間の皮脂には、人体の皮脂腺から分泌されるオレイン酸等の分子量に近似した不飽和脂肪酸の他、表皮脂質、剥離角質に起因するタンパク質や汗成分等も含まれており、一概に成分を定義することは困難であるが、一般的には前記不飽和脂肪酸が主成分(95%以上)であると解されている(「美容と皮膚の新常識」、第16章、中央書院)。従って、本願で言及するタッチパネル用フィルムにおける皮脂層200は、このような不飽和脂肪酸が主として層になったものと擬制することができるものである。

<実施例を用いた性能測定実験>
上記製造方法により得られたタッチパネル用フィルム10cについて、従来技術の比較例とともにその性能測定実験を行った。

(表面粗さの測定)
当該調査にかかる測定について、測定装置に株式会社東京精密製の表面粗さ形状測定機「サーフコム 570A」を用い、当該装置の設定条件として、輪郭曲線フィルタのCUT OFF値を0.08mm、評価長さを1.0mm、測定速度を毎秒0.03mmとした。
そして幅方向20mm×長手方向50mmの実施例又は比較例のフィルムを準備し、幅方向に4mm間隔で5点、長手方向に10mm間隔で5点、先端が5μmRの測定子(針)を基材表面に接触させてデータ検出を行った。

(ヘーズ値の測定)
測定装置として、株式会社日本電色工業製の濁度計「NDH-2000」を用い、評価方法としてJIS K7136を採用したヘーズ値測定を行った。

具体的な測定方法としては、まず10cm×10cmのアクリルシリコーン樹脂フィルム10cを用意し、当該フィルム表面に人工皮脂液として、オレイン酸0.1ccを20mm×10mmのウエスに浸透させたものを用いてフィルム全面に塗り広げた。
その後、オレイン酸を浸透させていない同ウエスにより、加重250g下で50回ふき取りを行った。このときのオレイン酸付着前後でのヘーズ値を測定して評価した。
また同時に、当該フィルム表面を実際に指で3〜5回触れた場合における皮脂付着部分の目立ちにくさの目視評価を行った。
このときの試験結果を図6に示す。図6(a)、(b)はそれぞれ比較例のタッチパネル用フィルム、本発明のタッチパネル用フィルム10cの各表面粗さを測定した結果を示すグラフである。
各グラフに示すように、比較例のフィルム表面には、大きい凹部と小さい凹部が混在しており、且つ、凹部の平均直径が30μm以下且つ深さが0.3μm以下の小さな凹部も多数存在している。このような小さな凹部は、皮脂層によってほぼ完全に埋没してしまい、結果的にノングレア効果が失われ、また皮脂の付着が目立ち易いものである。
一方、実施例のタッチパネル用フィルム10cでは、凹部の平均直径が30μm以下且つ深さが0.3μm以下の小さな凹部の数が、比較例に比べて低減されている。実施例ではこのような表面粗さが確保されているため、たとえ使用時に皮脂層が形成されたとしても、孔が完全に埋没することは考えにくいので、結果的にノングレア効果を得ることができる孔は確保される。
なお、皮脂層の厚みはユーザの使用方法、使用環境、使用時間等により変化するため一概に言えないが、一度に形成される皮脂層の厚みとしてはおおよそ0.3〜1.0μmの範囲であると考えられる。このため、通常の使用において、本発明のタッチパネル用フィルム10cがノングレア効果を失うことはない。

(ヘーズ変化率の測定実験)
以下、タッチパネル用フィルムのヘーズ変化率について、実施例及び比較例を用いて測定実験を行った。

比較例1として、第一フィルム基材に硫酸バリウムが分散されたPETフィルムを使用してなるタッチパネル用フィルムを得た。
比較例2として、第一フィルム基材に、重量比でバインダ:3.4μmのシリカ粒子:3.0μmのシリカ粒子:離型剤=100:2:4:0.3をベース層の透明PETフィルム上に形成したものを使用してなるタッチパネル用フィルムを得た。
比較例3として、第一フィルム基材に、重量比でバインダ:2.0μmのシリカ粒子:1.8μmのシリカ粒子:離型剤=100:8:12:12をベース層の透明PET上に形成したものを使用してなるタッチパネル用フィルムを得た。
実施例1として、第一フィルム基材における離型剤の重量比を1にした以外は比較例2と同一条件にした。
実施例2として、第一フィルム基材における離型剤の重量比を10にした以外は比較例3と同一条件にした。

上記実験との共通の条件として、ペースト120にはシロキサン架橋型アクリルシリコーン樹脂を用い、紫外線(UV)照射条件として照度を540mW/cm2、積算照射量を1200mJ/cm2にそれぞれ設定した。
また、上記バインダには、紫外線硬化タイプの多官能アクリレート、離型剤のシリコーン樹脂としてエポキシ変性シリコーン樹脂にエポキシ変性シリコーン樹脂硬化触媒を添加した樹脂をそれぞれ使用した。
当該各フィルムについての評価結果を以下の表1に示す。
Figure 2007268897

<試験結果の考察>
表1に示すように、比較例1のフィルムは製造工程における第一フィルム基材との剥離性は良好であるが、オレイン酸の付着前後におけるヘーズ変化率が約82%と非常に大きい。このため、これを用いたタッチパネルでは、ユーザの使用前に一定のノングレア効果が得られていても、ユーザが使用した後には大幅に視認性が変化し、当初のノングレア効果が保てない可能性が伺える。
また、比較例2のフィルムでは第一フィルム基材と剥離しないことが確認されたため、それ以外の特性調査が行えなかった。比較例2の構成では、製造工程がコントロールできず、実用性に乏しいと言える。
さらに比較例3のフィルムでは、離型剤の量が多すぎて第一フィルム基材との間で不要な剥離が生じた。このため、他の特性を調査するまでもなく、タッチパネル用フィルムとしての実用性に欠けることが分かった。
このような各比較例1〜3に対し、実施例2のフィルムでは、表面の凹部の個数が6個と少ないため、ヘーズ変化率が28.8%と最も小さく、且つ、実用面においても皮脂の目立ちにくさが確認されている。このため、タッチパネルに使用すれば、長期にわたり安定したノングレア効果が発揮されると考えられる。
一方、実施例1のフィルムでは、実施例2に比べるとヘーズ変化率が大きくなっているが、それでも比較例1の半分以下であり、これをタッチパネル用フィルムに用いることで、従来品よりも良好なノングレア効果が期待できるものである。
以上の各実験より、本発明の有効性が確認された。

(実施の形態2)
<インナータイプ抵抗膜式タッチパネルについて>
図7は、本発明の実施の形態2にかかるインナータイプ抵抗膜式タッチパネル1(以下、「タッチパネル1」と言う。)の構成と、これに組み合わされるLCDとの構成例を示す組図である。
図7に示されるように、タッチパネル1は、上から順に、前面カバーフィルム10d、偏光板11、上部面状部材12、抵抗膜13、スペーサ16、抵抗膜14、配線基板30、下部面状部材15を積層してなる。下部面状部材15の下にはパネルの構成となるLCD本体20と偏光板21とが同順に積層されており、全体としてLCD一体型タッチパネルの構成をなしている。本実施の形態2の特徴は、以下に示すように前面カバーフィルム10dの構成にある。
なお、タッチパネル1に装着されるディスプレイはLCDに限らず、CRT、PDP等の他の種類のディスプレイを使用してもよい。
当該タッチパネル1は、いわゆる「4wire方式」と呼ばれる入力検出方法が採用されており、且つ各面状部材12、15の両方にフィルム材料を用いた「F-Fインナータイプ」と呼ばれる構成であって、ここでは車載用カーナビゲーションシステムへの用途を想定したものである。
偏光板11、21は、例えばそれぞれ厚み200μmの染料系直線偏光板からなる。このうち一方の偏光板11は、インナータイプタッチパネルの特徴として、上部面状部材12表面に積層されるようになっている。これによりタッチパネル内部へ入射される可視光に起因する反射光量を、当該偏光板を設けない場合に比べて約半分以下にまで抑制する作用がなされる。
下部面状部材15に直接積層される20は、LCD本体部である。これは公知のTFT型LCD基板であって、上から下に同順に、不図示の透明層、カラーフィルタ、液晶分子層、TFT基板、透明層が積層されたユニットを構成している。なお、LCD本体20はTFT型以外でもよく、また上記積層構造に限られない。前記偏光板21は、当該LCD本体部20の下に積層されている。
抵抗膜13、14は、それぞれ上部面状部材12、下部面状部材15の対向表面において、既知の抵抗値(面抵抗)を持つITO(Indium Tin Oxide)、アンチモン添加酸化錫、フッ素添加酸化錫、アルミニウム添加酸化亜鉛、カリウム添加酸化亜鉛、シリコン添加酸化亜鉛、カリウム添加酸化亜鉛、酸化亜鉛-酸化錫系、酸化インジウム-酸化錫系、或いはこれ以外の各種金属材料等の抵抗膜(透明導電膜)から構成されている。これらの材料を用いてCVD、真空蒸着、スパッタリング、イオンビーム等の方法により成膜することで、上記面状部材12、15の表面に一様に所定面積の抵抗膜13、14が形成される。そして粘着材、粘着シート、プラスチックフィルム両面に粘着材層を有する両面テープ等からなる高さ約50μmのリブスペーサ18を設けることで、通常は当該抵抗膜13、14同士が一定間隔を置くように対向配置されている。
抵抗膜13、14の成膜パターン例としては、各面状部材12、15の対向表面において矩形状に形成させる。そして、形成した当該抵抗膜13、14のy軸或いはx軸に並行な一対の辺に沿って、それぞれ引き出し線131、132、141、142を配設することで、全体としてxy直交座標をなすよう形成する。引き出し線131、132、141、142には、電極端子131a、132a、141a、142aが設けられている。なお、133は、電極端子132aと引き出し線132を接続するための接続線である。
一方、抵抗膜13、14の間には、フレキシブルコネクター30が所定の位置に介設される。当該フレキシブルコネクター30は、PET或いはポリイミド等の樹脂材料で作製されたフレキシブル基板301と、当該基板表面においてAu、Ag、Cu等の良好な導電性を持つ材料からなる配線302〜305が形成されてなる。配線302〜305には電極端子302a〜305aが形成されている。
以上の構成で電気配線が為されたタッチパネル1での入力検出原理(4wire方式)は、駆動時において、まずy軸に沿った引き出し線131、132間に0〜5V程度の直流電圧を印加しておき、ユーザによる入力がなされるとx軸に沿った引き出し線141、142を電圧検出電極としてy軸方向の位置データを獲得する。
次に、x軸に沿った引き出し線141、142間に電圧印加を行い、y軸に沿った引き出し線131、132を電圧検出電極とすることでx軸方向の位置データを獲得する。これによりxy両方の座標情報が得られる。タッチパネル1ではこのような検出ステップを交互に繰り返すことにより、逐次的にユーザからの入力情報を獲得し、GUI(Graphical User Interface)としての機能が発揮される。
上部および下部面状部材12、15は、それぞれ厚み約200μmの樹脂フィルムで構成されている。その少なくとも対向表面はフィルム製造時に所望の表面粗さを持つ担持体を熱圧着する等の方法を用いて微細な凹凸処理が施されており、これによって近接して対向配置される面状部材12、15同士におけるニュートンリングの発生を効果的に抑制し、視認性を向上させるようになっている。
さらに、上部面状部材12に対向する下部面状部材15の表面には、xy方向に沿ってマトリクス状に半球状の突起スペーサー16が一定間隔毎に配設され、抵抗膜13、14同士の不要な接触を抑制する構成となっている。当該突起スペーサー16は光硬化型のアクリル樹脂により作製可能であって、上部および下部面状部材12、15の対向距離に合わせて、例えば高さ10μm、直径10μm以上50μm以下のサイズに設定されている。なお、当図では図示を容易にするために実際より突起スペーサー16のサイズを大きく表している。当該突起スペーサー16は、半球状以外の形状、例えば円錐状、もしくは円柱状等としてもよい。
ここにおいて、本実施の形態2のタッチパネル1の特徴は、前面カバーフィルム10dに実施の形態1で説明したノングレア処理されたアクリルシリコーン樹脂からなるタッチパネル用フィルム10cを用いた点にある。
前面カバーフィルム10dは、アクリルシリコーン樹脂からなる厚さ約250μmのフィルム部材で構成され、第一に高い耐熱性、高い透明性(全光線透過率が90%以上)、高い機械的強度(表面硬度)等の優れた特性を持っており、これによって夏期の車内等の比較的高温環境下でも長期間にわたり、良好な耐久性を持つタッチパネル性能を発揮できるようになっている。
そして第二に、前面カバーフィルム10dはその外界に面する表面にある凹部の平均直径が30μm以下且つ深さが0.3μm以下の個数が1mmの走査線内に20個以内であり、算術平均高さRaが0.04μm以上0.50μm以下、最大高さRzが0.50μm以上6.00μm以下であることから、ユーザが使用時に素手で入力した場合に皮脂層が形成されても、当該凹部が埋没する個数は少なく、長期にわたり優れたノングレア効果が発揮され、また皮脂の付着が目立ちにくく良好な画像表示性能を維持することができる。

(実施の形態3)
実施の形態2では、前面カバーフィルム10dをノングレア処理する構成について例示したが、本発明ではこれ以外のタッチパネル用フィルムにも利用できる。
例えば、図7の構成で、前面カバーフィルム10d及び偏光板11の構成は任意構成である。従って、上部面状部材12が直接最外面に配置される構成も可能であり、上部面状部材12に実施の形態1で説明したノングレア処理されたアクリルシリコーン樹脂からなるタッチパネル用フィルム10cを用いても良い。この場合、当該上部面状部材12が、ユーザが指で触れる構成となるので、当該上部面状部材12の表面、もしくは表裏両面に前記ノングレア処理を施すようにする。
一方、タッチパネルの構成はもちろん図7の構成に限らず、下部面状部材15をガラス基板で個性するいわゆるF-Gタイプとしてもよい。
また、上記F-Gタイプの構成においては、ガラス基板の代わりに、ガラス板または樹脂板に上記面状部材のフィルム材料を適宜粘着材で貼着してなる積層体(F-F-Gタイプ、あるいはF-F-Pタイプとも称される)を配設するようにしてもよい。また、フィルムとガラス基板との積層枚数、積層順等についても適宜変更調整が可能である。
例えば、両面に偏光板を配されたLCDにおいても、上記構成のタッチパネルは適応可能である。
さらに本発明は、ユーザが指で触れるタッチパネル用フィルムに適用可能であるため、タッチパネル自体の入力方式はいずれの方式であってもよい。従って、タッチパネルは抵抗膜式に限らず、これ以外の入力方式(静電容量式)の構成であってもよい。

<その他の事項>
実施の形態1では、製造装置2において、アクリルシリコーン樹脂形成工程(S4)の後に連続して基材剥離処理(S5)、巻き取り工程(S6)を行うものとしたが、本発明はこれに限定するものではなく、S5の後に三層構造のフィルムをそのまま巻き取ったり、裁断等の加工処理を行うようにしてもよい。特にアクリルシリコーン樹脂フィルム10cに基材10a、10bの少なくともいずれかを貼着したままにおくことで、前記フィルム10c表面を良好に保護させることもできる。
本発明のタッチパネル用フィルムは、例えば高温条件下で使用が想定されるカーナビゲーションシステムのディスプレイ(液晶ディスプレイ一体型タッチパネル装置)などに利用することが可能である。
本発明のタッチパネル用フィルムの製造工程にかかるステップ図である。 実施の形態1のフィルム製造装置の模式図である。 タッチパネル用フィルム及び第一フィルム基材等の模式的な部分断面図である。 本発明で作製される本発明のタッチパネル用フィルム表面の模式的な拡大図である。 従来のタッチパネル用フィルム表面の模式的な拡大図である。 実施例及び比較例のタッチパネル用フィルムの表面粗さを示すデータである。 タッチパネルとLCDとの別の構成例を示す断面図である。
符号の説明
1 タッチパネル
2 フィルム製造装置
10a 第一フィルム基材
10b 第二フィルム基材
10c アクリルシリコーン樹脂フィルム(本発明のタッチパネル用フィルム)
10x ペースト層
10y 従来のタッチパネル用フィルム
10d 前面カバーフィルム
11、21 偏光板
12 上部面状部材
13、14 抵抗膜(透明電極膜或いは電極層)
15 下部面状部材
16 突起スペーサ
18 リブスペーサ
20 LCD本体
30 フレキシブルコネクター
100a 樹脂フィルムベース層
101a バインダ
101、106 基材ローラ
101Y、102Y、101C フィルムの孔
102a 無機粒子
102 トレイ
103 バックアップローラ
104a ロールナイフのブレード部
104 ロールナイフ
105a、105b ローラ
107 UV照射装置
107a UV遮蔽ケース
107b UVランプ
108a、108b 剥離ローラ
109〜111 巻き取りローラ
120 前駆体ペースト
131、132、141、142 引き出し線
133 接続線
131a、132a、141a、142a 電極端子
200 皮脂層
201、202 皮脂層の孔
302、303、304、305 引き出し線
302a〜305a 電極端子
301 フレキシブル基板

Claims (10)

  1. 第一のフィルム基材の片面に形成したペースト層の上に第二のフィルム基材をラミネートし、前記ペースト層を硬化させて樹脂フィルムを形成するタッチパネル用フィルムの製造方法であって、
    前記第一及び第二のフィルム基材のうち、少なくとも一方のフィルム基材として、前記ペースト層に臨む表面に凸部が形成された粗表面基材を用い、
    前記凸部は、フィルム表面に沿った平均直径が30μm以下で、且つ、高さが0.3μm以下の個数として、1mmの走査線内に20個以内で存在し、
    当該フィルム基材の表面が、算術平均高さRaが0.04μm以上0.50μm以下、最大高さRzが0.50μm以上6.00μm以下の範囲となるように設定されている
    ことを特徴とするタッチパネル用フィルムの製造方法。
  2. 前記ペースト層としてアクリルシリコーン樹脂前駆体を用い、
    第一及び第二のフィルム基材にラミネートされた状態で、外部より紫外線硬化させることでアクリルシリコーン樹脂フィルムを形成する
    ことを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル用フィルムの製造方法。
  3. 前記粗表面基材は、ベース層に粒子層を積層してなり、
    前記粒子層は、平均粒径が1.8μm以上3.5μm以下の無機粒子を、0.5重量部以上10重量部以下の離型剤を含むバインダ成分で結着させてなる
    ことを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル用フィルムの製造方法。
  4. 前記無機粒子はシリカ粒子であり、前記離型剤はシリコーン樹脂成分を含む
    ことを特徴とする請求項3に記載のタッチパネル用フィルムの製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかの製造方法で製造されたことを特徴とするタッチパネル用フィルム。
  6. 少なくとも片面において、皮脂被着前後のヘーズ値変化率が60%未満である
    ことを特徴とするタッチパネル用フィルム。
  7. 両面が前記粗表面基材でラミネートされることで賦形されている
    ことを特徴とする請求項5〜6のいずれかに記載のタッチパネル用フィルム。
  8. 少なくとも片面の表面に凹部が形成されたタッチパネル用フィルムであって、
    前記凹部は、フィルム表面に沿った平均直径が30μm以下で、且つ、深さが0.3μm以下の個数として、1mmの走査線内に20個以内で存在し、
    当該フィルムの表面が、算術平均高さRaが0.04μm以上0.50μm以下、最大高さRzが0.50μm以上6.00μm以下の範囲となるように設定されている
    ことを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載のタッチパネル用フィルム。
  9. 片面に透明電極が配設された第一および第二の面状部材が、各々の透明電極を一定間隔をおいて対向させた状態で配置されたインナータイプのタッチパネルであって、
    前記第一および第二の面状部材のうち、少なくともユーザの入力面となる一方は、請求項5〜8のいずれかに記載のタッチパネル用フィルムで構成されている
    ことを特徴とするタッチパネル。
  10. ディスプレイに積層されるタッチパネル本体に対し、最外面に請求項5〜8のいずれかに記載のタッチパネル用フィルムが配設されてなる
    ことを特徴とするタッチパネル。
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