JP2007268492A - マイクロデバイス及びその運転方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】反応によって生成する凝集物や析出物等による微細な流路の目詰まりを抑制し、連続運転安定性を向上できる。
【解決手段】
複数の流体を隔壁部36により隔てられたそれぞれの液体供給路28、28を流通させて1本の混合・反応流路26で合流させることにより、複数の流体の混合又は反応を行うマイクロデバイス10の運転方法であって、隔壁部36先端の吐出口40から複数の流体同士が合流する合流部38に向けて、複数の流体に対して不溶性且つ不活性な流体Lnを押し出すことにより、隔壁部36の先端に流体壁46を形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明はマイクロデバイス及びその運転方法に係り、特に、マイクロスケールの空間が有する特徴を利用して反応を効率的に行うマイクロフルイディスク分野において、流体混合により化学製品や医薬品等を製造するマイクロデバイス及びその運転方法に関する。
近年、マイクロスケールの微小空間内で反応を効率的に行うマイクロフルイディスクの有用性が認識されはじめている。マイクロフルイディスクは、反応場の均一性が高く、熱制御性が容易であり、省エネルギー化できる等の優れた特徴をもっている。このように、マイクロ空間の反応場の均一性を利用して複数の流体を混合又は反応させるデバイスをマイクロリアクターと称している。
上記マイクロリアクターを用いて行う反応には、例えば、無機物質や有機物質等を対象としたイオン反応、酸化還元反応、熱反応、触媒反応、ラジカル反応、重合反応等の様々な反応形態が挙げられる。また、上記マイクロリアクターは、例えば、ナノメートルオーダの微粒子を均一に製造することに利用されている。代表的な微粒子製造反応には、ゾルーゲル法、分散重合法、懸濁重合法、ノンソープ乳化重合法、膜乳化重合法、再沈法等が挙げられる。
例えば、再沈法については、2種類の異なる流体を混合及び反応させ、それによって生成される物質の溶媒に対する溶解度を制御することで微粒子を析出させるものである。
例えば、図9に従来の2流体混合型のマイクロリアクター1の構造を説明する模式図である。図9に示されるように、従来のマイクロリアクター1は、主に、2流体を合流させて反応させる反応流路2と、反応流路2にそれぞれの流体を別々に供給するための流体供給路4、4が連通したY字型流路6を備えている。ここで、2流体はそれぞれ流体供給路4、4に導入された後、反応流路2内で合流して相互に接触することにより、微粒子析出反応する。このように、微細な反応流路2内では、2流体が層流を形成して分子拡散により徐々に混合されるので、反応場の均一性が高くなる。
このように、マイクロフルイディスクには数多くのメリットがある一方で、微小な空間内で反応を行うため、外部からの不純物の混入又は副生成物の発生等により流路の目詰まりが発生し易く、反応を連続的に行うことが困難であった。また、流路の固体壁面近傍では流体の流速が流路の中で最も遅く、特に微粒子析出反応を行う場合は、固体壁面に析出した微粒子が堆積し、ひいては目詰まりを発生させるという問題があった。
図10は、図9の従来のマイクロリアクター1の合流部近傍における作用を説明する説明図であり、このうち図10(A)はマイクロリアクター1の合流部近傍における拡大上面図であり、図10(B)は合流部近傍の流路断面図である。例えば、上記図10に示されるように、2流体L1、L2の反応により析出した微粒子Pが、2流体L1、L2が合流する合流部の上下の固体壁面8、9に時間の経過と共に付着する場合がある。このような微粒子Pの付着が進行すると、流路サイズに対して無視できない大きさの堆積物となり、流路を詰まらせる原因になっていた。
これらを解決するための手段として、例えば、特許文献1には、2つの流体供給路の間に補助流路を設け、ここに2流体と反応しない第3の流体を通流させる方法が提案されている。これにより、合流部において上記2流体が直接接触しないようにすることが記載されている。
その他、マイクロ空間をより大きくする方法や、固体壁面に微粒子が付着しにくくするコーティング等の表面処理を施す方法等が提案されている。
特開2003−164745号公報
しかしながら、上記特許文献1の方法では、反応に関与しない第3の流体を通流させるので、反応流路内において生成する微粒子の濃度が薄まることがあった。また、第3の流体によって、反応に関与する2流体間の分子拡散や混合性の制御が複雑になるという問題があった。
また、マイクロ空間をより大きくする方法では、マイクロリアクター自体の特徴が損なわれるという問題もあった。
さらに、微粒子が付着しにくくするように固体壁面を表面処理する方法では、均一に表面処理することが困難であるだけでなく、コーティングの性能が使用時間と共に劣化する等の問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、反応によって生成する凝集物や析出物等による微細な流路の目詰まりを抑制し、連続運転安定性を向上できるマイクロデバイス及びその運転方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1は前記目的を達成するために、複数の流体を隔壁部により隔てられたそれぞれの供給流路を流通させて1本の混合・反応流路で合流させることにより、前記複数の流体の混合又は反応を行うマイクロデバイスの運転方法であって、前記隔壁部先端の吐出口から前記複数の流体同士が合流する合流部に向けて、前記流体に対して不溶性且つ不活性な流体を押し出すことにより、前記隔壁部の先端に流体壁を形成することを特徴とするマイクロデバイスの運転方法を提供する。
本発明者は、マイクロ空間における安定な微粒子製造を妨げる一因として、反応により生成した微粒子が微細な流路の合流部の固体壁面に付着、堆積し易いことに着目し、この合流部近傍の固体壁面上で、反応流体同士が直接接触しないようにした。
請求項1によれば、複数の流体を隔壁部により隔てられたそれぞれの供給流路を流通させて1本の混合・反応流路で合流させることにより、複数の流体の混合又は反応を行うマイクロデバイスの運転方法であって、隔壁部先端の吐出口から複数の流体同士が合流する合流部に向けて、複数の流体に対して不溶性且つ不活性な流体を押し出すことにより、隔壁部の先端に流体壁を形成する。
これにより、複数の流体同士が合流する合流部に露出する固体壁面量を低減できるので、反応等により析出した微粒子の固体壁面への付着を抑制することができる。従って、反応によって生成する凝集物や析出物等による微細な流路の目詰まりを抑制し、連続運転安定性を向上できる。
ここで、不溶性且つ不活性な流体としては、気泡を含む流体も含まれる。また、混合・反応流路の円相当直径が1mm以下であることが好ましい。また、吐出口は、隔壁部、又はその他の部材(合流部に対応する蓋部材、本体部材等)に設けられることが好ましい。
請求項2は請求項1において、前記流体壁は、前記吐出口から気体を押し出すことにより形成される気泡であることを特徴とする。
請求項2によれば、流体壁は、吐出口から気体を押し出すことにより形成される気泡であるので、複数の流体に対して不溶性且つ不活性な流体を混合・反応流路の合流部に局所的に形成できる。これにより、微細な混合・反応流路等の目詰まりを抑制できると共に、不溶性且つ不活性な流体の使用量を少量にとどめることができる。
請求項3は請求項1において、前記複数の流体が油に不溶な流体であると共に、前記流体壁は前記吐出口から押し出された油であることを特徴とする。
請求項3によれば、複数の流体が油に不溶な流体であると共に、流体壁は吐出口から押し出された油であるので、流体壁が複数の流体に溶解したり流されたりすることを抑制できる。ここで、油とは、水、水溶液又は水溶性流体等に不溶な流体をいい、例えば、n−ヘキサン、トルエン、キシレン、グリセリン等が挙げられる。また、油に不溶な流体とは、水、水溶液、及び水溶性流体等をいう。ここで、水溶性流体とは、メタノール、エタノール等の水との相溶性があり且つ油に不溶な流体をいう。
請求項4は請求項1〜3の何れか1において、前記流体壁が形成されるように、前記吐出口から押し出す流体の押出圧力を調整することを特徴とする。
押出圧力は、例えば、吐出口に連通するように接続されたシリンジポンプ等の押出手段を調節することにより、調整できる。
ここで、流体壁を吐出口において安定に保持するためには、合流部において、流体壁を押し出す圧力が、反応流体を流す圧力に打ち勝つ必要があり、同時に流体壁を押し出す圧力が、流体壁を吐出口から下流側に脱離させる圧力よりも低くなくてはならない。したがって、流体壁を吐出口に安定に保持するためには、合流部において流体壁を押し出す圧力と反応流体を流す圧力の圧力差ΔPが所定の範囲内にある必要がある。ここで、圧力差ΔPは、0<ΔP<10kPaとすることが好ましい。例えば、ガラス製のマイクロリアクターにおいて、流路幅および深さが200μmであり、流体壁が水である場合、合流部における流体壁を押し出す圧力と反応流体を流す圧力の圧力差ΔPは、0<ΔP<0.7kPaとすることが好ましい。
請求項5は請求項1〜4の何れか1において、前記吐出口から前記流体を間欠的に押し出すことを特徴とする。
請求項5によれば、例えば、流体壁が流体に対する溶解量が無視できない場合や流体壁が流され易い場合等に、再び流体壁を形成することができる。
ここで、合流部において流体を間欠的に押し出す時の圧力と、反応流体を流す圧力の圧力差ΔPは、ΔP>0.01kPaとすることが好ましい。例えば、ガラス製のマイクロリアクターにおいて、流路幅及び深さが200μmであり、流体壁が水である場合、圧力差ΔPは、ΔP>0.7kPaとすることが好ましい。
本発明の請求項6は前記目的を達成するために、複数の流体を隔壁部により隔てられたそれぞれの供給流路を流通させて1本の混合・反応流路で合流させることにより、前記複数の流体の混合又は反応を行うマイクロデバイスの運転方法であって、前記合流した複数の流体同士が前記混合・反応流路の流れ方向に形成する界面と、前記混合・反応流路の内壁面とが接する接液線に沿って、前記複数の流体に対して不活性且つ不溶性の流体を流すことにより、前記接液線に沿って連続的な流体壁を形成することを特徴とするマイクロデバイスの運転方法を提供する。
請求項6によれば、複数の流体同士が合流する合流部だけでなく、それを含む混合・反応流路全体において、連続的な流体壁を形成できる。これにより、反応によって生成する凝集物や析出物等による微細な流路の目詰まりをより確実に抑制し、連続運転安定性を向上できる。ここで、不溶性且つ不活性な流体としては、気泡を含む流体も含まれる。
請求項7は請求項6において、前記複数の流体が油に不溶な流体であると共に、前記流体壁を形成する流体が油であることを特徴とする。
請求項7によれば、流体壁が複数の流体に溶解したり流されたりすることを抑制できる。尚、請求項3で既述したのと同様の流体を使用できる。
請求項8は請求項6又は7において、前記複数の流体及び前記不活性且つ不溶性の流体は、前記混合・反応流路を上から下に重力方向に流れることを特徴とする。
請求項8によれば、複数の流体と、不活性且つ不溶性の流体との比重差に関係なく、不活性且つ不溶性の流体からなる連続的な流体壁を安定に形成できる。
本発明の請求項9は前記目的を達成するために、複数の流体を隔壁部により隔てられたそれぞれの供給流路を流通させて1本の混合・反応流路で合流させることにより、前記複数の流体の混合又は反応を行うマイクロデバイスであって、前記隔壁部の先端に前記複数の流体同士が合流する合流部に向けて形成された吐出口と、前記吐出口から前記流体に対して不溶性且つ不活性な流体を押し出す押出手段と、前記押出手段と前記吐出口とを連通する吐出流路と、を備えたことを特徴とする。
請求項9は請求項1を装置として構成したものである。ここで、吐出口は、隔壁部、又はその他の部材(合流部に対応する蓋部材、本体部材等)に設けられることが好ましい。押出手段としては、例えば、不溶性且つ不活性な流体の適切な押出圧力で吐出口に流体壁を保持するためのシリンジポンプ等の各種ポンプを使用できる。また、不溶性且つ不活性な流体としては、気泡を含む流体も含まれる。
請求項10は請求項9において、前記吐出口が、前記複数の流体に対して不溶性且つ不活性な流体からなる流体壁を保持する形状に構成されることを特徴とする。
請求項10によれば、流れの中に曝されても流体壁は破壊されにくく、安定に保持され易い。従って、反応によって生成する凝集物や析出物等による微細な流路の目詰まりを抑制し、連続運転安定性を向上できる。ここで、流体壁を保持し易い形状としては、凹状に湾曲した形状や、合流部に露出する部分に気泡や液体等を保持し易い平面を備えた形状等が含まれる。
請求項11は請求項9又は10において、前記吐出口が、凹状に形成されたことを特徴とする。
このような形状とすることで、合流部に形成された気泡や液泡は安定に保持され易くなる。
請求項12は請求項9〜11の何れか1において、前記流体壁は、前記吐出口から気体を押し出すことにより形成される気泡であることを特徴とする。
請求項12によれば、流体壁は吐出口から気体を押し出すことにより形成される気泡であるので、不溶性且つ不活性な流体を混合・反応流路の合流部に局所的に形成できる。
請求項13は請求項9〜12の何れか1において、複数の流体が油に不溶な流体であると共に、前記流体壁は前記吐出口から押し出された油であることを特徴とする。
これにより、流体壁が複数の流体に溶解したり流されたりすること抑制できる。
本発明の請求項14は前記目的を達成するために、複数の流体を隔壁部により隔てられたそれぞれの供給流路を流通させて1本の混合・反応流路で合流させることにより、前記複数の流体の混合又は反応を行うマイクロデバイスであって、前記合流した複数の流体同士が前記混合・反応流路の流れ方向に形成する界面と、前記混合・反応流路の内壁面とが接する接液線に沿って設けられ、前記複数の流体に対して不活性且つ不溶性の流体を流す長溝と、前記不活性且つ不溶性の流体を前記長溝に供給する流体供給手段と、を備えたことを特徴とするマイクロデバイスマイクロデバイスを提供する。
請求項14は、請求項6を装置として構成したものである。ここで、不溶性且つ不活性な流体としては、気泡を含む流体も含まれる。
請求項15は請求項14において、前記混合・反応流路は前記合流部を上にして重力方向に形成されていることを特徴とする。
請求項15によれば、複数の流体と、不活性且つ不溶性の流体との比重差に関係なく、不活性且つ不溶性の流体からなる連続的な流体壁を安定に形成できる。
請求項16は請求項9〜15の何れか1において、前記混合・反応流路の円相当直径が1mm以下であることを特徴とする。
このような目詰まりが起こり易い微細な流路において、特に本発明を適用することが有効である。
本発明によれば、反応によって生成する凝集物や析出物等による微細な流路の目詰まりを抑制し、連続運転安定性を向上できる。
以下、添付図面に従って本発明に係るマイクロデバイスの好ましい実施の形態について詳説する。
[第1実施形態]
本実施形態は、薄片状流型のマイクロデバイスにおいて、流路の合流部にのみ流体壁を形成する例について説明する。以下、反応流体として液体L1、L2を用いて液液反応させる場合について説明する。
図1は本発明に係るマイクロデバイスの一例を概念的に示した斜視図であり、薄片状流型のマイクロデバイス10の場合である。図2(A)はマイクロデバイス本体(以下、装置本体12という)の上面図であり、図2(B)は図2(A)のA−A’線断面図である。
図1に示されるように、薄片状流型のマイクロデバイス10は、主として、装置本体12と、液液反応を行う液体L1、L2を液体供給管14、14を介して装置本体12に供給する液体供給手段としてのシリンジポンプ16、16と、液液反応を行う液体L1、L2に不溶性且つ不活性な流体Ln(以下、「不活性流体Ln」という)を流体供給管18を介して装置本体12に押し出す流体押出手段としてのシリンジポンプ20と、を備えて構成されている。尚、本実施形態では2種類の液体L1、L2で液液反応を行う例で説明する。
図2に示されるように、装置本体12は、本体部材22と蓋部材24とを備えて構成されている。本体部材22には、2種類の液体L1、L2の液液反応を行う混合・反応流路26と該混合・反応流路26に液体L1、L2を合流させる2本の液体供給路28、28とから成るY字型液体流路30が形成されている。また、混合・反応流路26の終端位置には、液液反応による反応生成液LMを排出させる液体排出口32が形成されている。一方、蓋部材24には2本の液体供給路28、28に液体L1、L2を導入する2個の液体導入口34、34が形成されており、2個の液体導入口34、34に上記した2本の液体供給管14、14がそれぞれ連結されている。Y字型液体流路30を構成する2本の液体供給路28、28の合流角度は小さいほうが好ましく、45°以下とすることがより好ましい。これは、Y字型液体流路30の形状がよりT字型に近いほど、送液する液体L1、L2の衝突力が固体壁から突き出た流体壁46に伝わり、流体壁46が不安定となり易く、液体L1と液体L2とを隔てる機能をもたなくなるためである。
また、2本の液体供給路28、28を隔てる隔壁部36には、不活性流体Lnからなる流体壁を、Y字型液体流路30を流れる2種類の液体L1、L2の合流部38位置に形成するための吐出口40が設けられている。この吐出口40は、2種類の液体L1、L2の合流部38に連通している。この吐出口40は、不活性流体Lnを押し出す吐出流路41と連通している。一方、蓋部材24には、吐出流路41に不活性流体Lnを導入するための流体導入口42が形成され、流体導入口42に上記した流体供給管18が連結されている。そして、流体供給管18は、不活性流体Lnを供給する流体供給手段20と連結されている。
図3は、隔壁部36近傍の構成の一例を説明する拡大上面図である。図3に示されるように、吐出口40の先端は、流体壁46を保持し易い形状に形成されていることが好ましい(同図では、吐出口の先端が平面になっている)。尚、吐出口40の内径と、吐出流路41の内径は、同じでも異なってもよい。
図4は、隔壁部36先端の吐出口40の別態様である。図4に示されるように、吐出口40の先端が、凹状の湾曲形状に形成されている。これにより、流体壁46をトラップし易くなり、液体L1、L2が合流する流れの中でも流体壁46を安定に形成及び保持できる。尚、凹状の形状は上記実施形態に限られることはなく、種々の形状が取り得る。
また、流体壁46は、液体L1、L2が合流部付近の固体壁面と接触しないように形成され、特に、混合・反応流路26内に突き出すように形成されることが好ましい。
これにより、Y字型液体流路30を流れる2種類の液体L1、L2の合流部38位置に、流体導入口42から導入された不活性流体Lnは、吐出口40からY字型液体流路30における2種類の液体L1、L2の合流部38に押し出されて流体壁46が形成される。
本実施形態に使用される不活性流体Lnとしては、反応流体(ここでは、液体L1、L2)に対して不活性且つ不溶性である液体、気体、及び気泡を含む流体をいう。また、不活性流体Lnとしては、汎用的に使用するためには、エアや窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスが好ましい。
流体壁46としては、気泡や液泡(例えば、水、油等の液泡)を用いることができる。
本実施形態の液液反応において、上記流体壁としては、気泡や液泡(例えば、水、油等の液泡)を用いることができる。例えば、液体L1、L2が水溶性液体であれば、上記液泡としては油等が使用できる。要は、流体壁として使用される流体は、反応流体の反応に関与せず、且つ反応流体と相溶性のないものが好ましい。
また、流体壁46を反応場である混合・反応流路26内に突き出すように安定に形成するためには、他の物性や操作条件にも依存するが、流体壁46を形成する不活性流体Lnの界面張力が液体L1、L2の流れの中でも安定に保持できるように選択されることが好ましい。また、液体L1、L2に不溶性且つ不活性な流体壁46として液泡を用いる場合、液泡を構成する液体の粘度、密度、界面張力等の物性を、液体L1、L2(又は気体同士)の流れの中でも安定に保持できるように設定することが好ましい。
混合・反応流路26は、円相当直径が1mm(1000μm)以下、好ましくは500μm以下のマイクロチャンネル状の微細な流路であることが好ましい。混合・反応流路26は、径方向断面の形状が四角形状のものが一般的であるが、四角形状に限定するものではない。また、液体供給路28、28を2本で構成する場合には、1本の液体供給路28の円相当直径は混合・反応流路26の半分になるように設計することが好ましい。例えば、径方向断面が四角形状の混合・反応流路26の幅を500μm、深さを200μmとした場合には、1本の液体供給路28の幅を250μm、深さを200μmとする。また、混合・反応流路26の長さL(図2参照)は、液液反応が終了するに足る長さに設定され、液液反応の種類によって異なる。
かかるマイクロスケールの微細なY字型液体流路30を有する装置本体12を製作するには微細加工技術が使用され、本体部材22にY字型液体流路30や液体L1、L2の導入口34、排出口32、及び流体導入口42を微細加工技術で形成し、本体部材22の上面に蓋部材24を被せて本体部材22と蓋部材を接合することにより製作される。微細加工技術としては、例えば次のようなものがある。
(1)X線リソグラフィと電気メッキを組み合わせたLIGA技術
(2)EPON SU8を用いた高アスペクト比フォトリソグラフィ法
(3)機械的マイクロ 切削加工(ドリル径がマイクロ オーダのドリルを高速回転するマイクロドリル加工等)
(4)Deep RIEによるシリコンの高アスペクト比加工法
(5)Hot Emboss加工法
(6)光造形法
(7)レーザー加工法
(8)イオンビーム法
また、装置本体12を製作するための材料としては、耐熱、耐圧及び耐溶剤性、加工容易性等の要求に応じて、金属、ガラス、セラミックス、プラスチック、シリコン、及びテフロン(登録商標)等を好適に使用できる。装置本体12の製作においては、Y字型液体流路30の製作は勿論重要であるが、該Y字型液体流路30に被せる蓋部材24を本体部材22に接合する接合技術も重要である。蓋部材24の接合方法は、高温加熱による材料の変質や変形によるY字型液体流路30の破壊を伴わず寸法精度を保った精密な方法が望ましく、製作材料との関係から固相接合(例えば、圧接接合や拡散接合等)や液相接合(例えば、溶接、共晶接合、はんだ付け、接着等)を選択することが好ましい。例えば、材料としてシリコンを使用する場合にシリコン同士を接合するシリコン直接接合や、ガラス同士を接合する融接、シリコンとガラスを接合する陽極接合、金属同士を接合する拡散接合等がある。セラミックスの接合については、金属のようにメカニカルなシール技術以外の接合技術が必要であり、アルミナに対してglass solderなる接合剤をスクリーン印刷で80μmに印刷し、圧力をかけずに440〜500°Cで処理する方法がある。また、研究段階ではあるが、新しい接合技術として、表面活性化接合、水素結合を用いた直接結合、HF(フッ化水素)水溶液を用いた接合等がある。
本実施形態のマイクロデバイス10で使用される液体供給手段及び流体押出手段としては、液体L1、L2や不活性流体Lnの供給圧力制御を兼ね備えた連続流動方式型のシリンジポンプを好適に使用することができる。
マイクロデバイスの場合、液体L1、L2や不活性流体Lnを混合・反応流路26に導入する流体制御技術が必要であり、特にマイクロスケールの混合・反応流路26における液体や気体の挙動は、マクロスケールとは異なる性質をもつため、マイクロスケールに適した流体制御方式を適用する必要がある。連続流動方式は、装置本体12の内部や装置本体12に至る流路内は全て流体で満たされ、外部に用意したシリンジポンプ16、シリンジポンプ20によって、流体全体を駆動する方式であり、混合・反応流路26に供給する液体L1、L2の供給圧力、供給流量及び不活性流体Lnの供給圧力及び供給流量を任意に制御することができる。また、図1R>1のように、液体供給管14の液体導入口34に近い位置及び流体供給管18の流体導入口42に近い位置には、それぞれ圧力計44、44、44が設けられ、液体L1、L2の供給圧力及び不活性流体Lnの供給圧力がモニタリングされる。
本実施形態では特に示さないが、マイクロデバイス10での液液反応の温度を制御する温度制御手段を設けることが好ましい。マイクロデバイス10において反応を行う際の温度制御方法には、古典的な方法として、温水、冷水をマイクロデバイス内に供給する方法がある。この他にも、従来から行われている温度制御方法には、金属抵抗線やPolysiliconなどのヒータ構造をマイクロデバイスに作り込む方法等がある。このような金属抵抗線やPolysiliconなどのヒータ構造の場合には、加熱についてはこれを使用し、冷却については自然冷却でサーマルサイクルを行うことで温度を制御する。この場合の温度のセンシングについては、金属抵抗線の場合には同じ抵抗線をもう一つ作り込んでおき、その抵抗値の変化に基づいて温度検出を行い、特にPolysiliconの場合には、熱電対を用いて温度検出を行う方法が一般的に採用されている。また、近年においては、ペルチェ素子を用いた温度制御機能を装置本体12内に組み込むことで、反応の際の温度制御を精度良く行うことも試みられている。いずれにしても、温度制御そのものは、従来からの温度制御技術でもペルチェ素子に代表される新規な温度制御技術でも可能であり、用途や装置本体12の材料等に応じた加熱・冷却機構と温度センシング機構の選択、及び外部制御系の構成を組み合わせて最適な方法を選択することが重要である。
本実施形態に使用される反応流体としては、液体、気体、液体中に金属微粒子等が分散された固液混相流体、気体中に金属微粒子等が分散された気液混相流体、液体中に気体が溶解せずに分散した気液混相流体等が含まれる。また、流体が2種類以上ある場合、流体の種類、化学組成、表面張力、比重、粘度等が異なる場合のみならず、例えば、温度、気液比や、固液比などの状態が異なる場合も、反応流体に含まれる。
上記の反応流体が水溶性流体である場合、例えば、不活性流体Lnとしては油が好ましい。油とは、水、水溶液又は水溶性流体等に不溶な流体をいい、例えば、n−ヘキサン、トルエン、キシレン、グリセリン等が挙げられる。尚、水溶性流体とは、メタノール、エタノール等の水との相溶性があり且つ油に不溶な流体をいう。
次に、上記の如く構成された薄片状流型のマイクロデバイス10を用いて液液反応を行う本発明の作用について説明する。図5は、マイクロデバイス10の隔壁部36近傍における作用を説明する説明図である。このうち、図5(A)は、隔壁部36近傍の構成を説明する拡大上面図であり、図5(B)は、図5(A)のA−A’線断面図である。
図1に示されるように、先ず、液体供給手段としてのシリンジポンプ16、16から液体供給路28、28に供給された液体L1、L2は、合流部38で1本の混合・反応流路26に合流し、薄片状の層流として流通しつつ、液体L1、L2同士がその接触界面の法線方向へ拡散して液液反応を行う。
一方、流体押出手段としてのシリンジポンプ20から、液体L1、L2に不溶性且つ不活性な流体である不活性流体Lnが、吐出流路41を通して吐出口40に押し出される。そして、図5(A)に示されるように、流体壁46が混合・反応流路26における液体L1、L2の合流部38に露出するように形成される。この流体壁46は、吐出口40の先端に形成された平面部で安定に保持される。
また、図5(B)に示されるように、混合・反応流路26における液体L1、L2の合流部38では、液体L1、L2からなる液体層LL1、LL2(Liquid Layer)の間に流体壁46が形成された状態で保持される。これにより、液体層LL1、LL2が、合流部38付近の固体壁面上(図5(B)では上下に対向する流路壁面上)で直接接触したり、生成した直後の微粒子が固体壁面に付着したりすることが抑制される。これにより、液体L1、L2の反応で析出した微粒子が、混合・反応流路26における合流部38の固体壁面上に堆積することを抑制することができる。
そして、液液反応が終了した後、流体壁46はシリンジポンプ20を制御することにより反応生成物LMと一緒に混合・反応流路26外に排出される。
ここで、流体壁46を混合・反応流路26における合流部38に安定に形成及び保持する上で重要なことは、混合・反応流路26の液体L1、L2が流体壁46を破壊したり、流体壁46と液体L1、L2とが混ざり合って気液混相流状態になったりしないように、流体壁46の突出構造を吐出口40に安定に保持することである。このためには、不活性流体Lnのシリンジポンプ20を制御して、混合・反応流路26の合流部38に形成する流体壁46の押出圧力を最適化する方法がある。また、液体L1、L2の供給圧力や供給流量を、流体壁46を破壊しないようにシリンジポンプ16等で制御することもできる。また、流体壁46の界面張力が高いことが好ましい。例えば、界面張力が72mN/mである水のような流体を用いることが好ましい。このほか、流体壁46の突出構造を安定に維持するため、流体壁46の粘度や、送液する反応流体の粘度、界面張力等を調整することも可能である。
これにより、液体L1、L2が合流する流れの中においても、流体壁46を混合・反応流路26の合流部38に安定して形成し易くなる。
上記したように液体L1、L2を混合・反応流路26に供給する圧力や流量と、不活性流体Lnを混合・反応流路26に供給する圧力や流量のうちの少なくとも何れかを制御する場合、例えば、液体供給管14を流れる液体L1、L2の圧力及び流体供給管18を流れる不活性流体Lnの圧力をそれぞれの圧力計44(図1参照)でモニタリングしながら、液体L1、L2のシリンジポンプ16、及び不活性流体Lnのシリンジポンプ20からの供給流量を制御するとよい。
本実施形態では、使用時に流体壁46を形成する例で説明したが、流体壁46が反応流体により溶解されたり破壊されたりした場合は、流体押出手段20を制御して再度流体壁46を形成することもできる。また、使用後は、上記したように流体押出手段のシリンジポンプ20を制御して反応生成物LMと共に排出口32より回収するだけでなく、吐出流路41内を負圧にして流体壁46を合流部38から没入させたりすることができる。後者の場合、流体壁46と反応生成物LMとを分離回収する必要がない点で有効な方法である。
また、本実施形態では、液体供給路28、28を隔てる隔壁部36の先端に形成された吐出口40から合流部38に向けて流体壁46を形成する例で説明したが、これに限定されることはなく、合流部38に対応する蓋部材24に吐出口を設け、この吐出口に連結させた各種注射器やシリンジポンプ等により、流体壁を直接合流部38に形成することも可能である。
以上に説明した本発明に係るマイクロデバイス及びその運転方法によれば、微細な流路の目詰まりを抑制し、効率良く安定に混合又は反応を行うことができる。また、反応に関与しない流体からなる流体壁を部分的且つ一時的に形成するので、反応に関与しない流体の使用量を大幅に低減できると共に、固体壁面の表面処理のように使用時間に伴う劣化を懸念する必要がない。
[第2実施形態]
本実施形態は、薄片状流型のマイクロデバイスにおいて、混合・反応流路26’の幅方向中央に連続的な流体壁を形成する例について説明する。
図6は、本発明に係る薄片状流型のマイクロデバイスにおいて、マイクロデバイス本体の内部構造を説明する説明図である。このうち、図6(A)はマイクロデバイス本体(以下、装置本体12’という)の上面図であり、図6(B)は図6(A)のA−A’線断面図である。また、図7は、図6のB−B’線断面図である。尚、図2と同一の部材及び同一の機能を有するものは、同一の符号を付し、その詳細な説明については省略する。
図6に示されるように、装置本体12’は、本体部材22と蓋部材24に、液体L1、L2に不溶性且つ不活性な流体Ln(以下、「不活性流体Ln」という)を流通させる長溝43a、43bをそれぞれ設けたこと以外は、ほぼ図2と同様に構成される。尚、液体L1、L2及び不活性流体Lnを供給する液体導入口や流体導入口、及び液体排出口、流体排出口等については、特に図示しないが、図2と同様に蓋部材24(又は本体部材22)に形成してもよいし、装置本体12’の始端及び終端の側面(図6では、左右の両端側面)に各種導入口及び各種排出口を形成してもよい。尚、本実施形態に使用される不活性流体Ln、及び反応流体の種類は、第1実施形態と同様のものが使用できるものとする。
図7に示されるように、長溝43aは、蓋部材24の下面において、混合・反応流路26’の幅方向の中央位置に設けられている。同様に、長溝43bは、混合・反応流路26’の底面において、蓋部材24に形成された長溝43aと対向する位置に設けられている。これにより、液体L1、L2の界面は、本体部材22と蓋部材24からなる固体壁と直接接触することなく、長溝43a、43b内を流れる不活性流体Lnによる連続的な流体壁46’と接触するようになる。
長溝43a、43bの流路幅は、液体L1、L2の液液界面と固体壁が直接接触しないようにできる範囲内で、小さく設定することが好ましい。
ここで、装置本体12’を水平に設置する場合、不活性流体Lnと液体L1、L2との比重の影響から、安定に不活性流体Lnを流すことが困難なことがある。この場合、混合・反応流路の上流側を上に、下流側を下に向けるように設置することで、比重の影響を無視できる程度に抑えることができる。
尚、図7では、長溝43a、43bの断面形状が円形である例を示したが、これに限定されることはなく、矩形でもV字型でもよい。また、Y字型液体流路30において、液体供給路28、28の合流角度や流路サイズ等については、第1実施形態と同様とする。
次に、本実施形態における作用について、図8を参照して説明する。図8は、本実施形態における装置本体12’の作用を説明する説明図であり、このうち、図8(A)は、装置本体12’の上面図であり、図8(B)は、図8(A)のB−B’線断面図である。同図では、混合・反応流路26’の上流側を上に、下流側を下に向けるように装置本体12’を設置した例について示している。
図8に示されるように、図示しない供給口から液体供給路28、28に供給された液体L1、L2は、合流部38で1本の混合・反応流路26’に合流し、薄片状の層流として流通しつつ、液体L1、L2同士がその接触界面の法線方向へ拡散して液液反応を行う。
一方、図示しない流体供給手段から不活性流体Lnが、長溝43a、43bに供給される。そして、図8(A)、(B)に示されるように、不活性流体Lnからなる連続的な流体壁46’が、液体L1、L2の液液界面が形成される混合・反応流路26’の幅方向中央、即ち、複数の流体同士が混合・反応流路26’の流れ方向に形成する界面と、混合・反応流路26’の内壁面とが接する接液線Rに沿って形成される。この流体壁46’は、混合・反応流路26’が鉛直方向に向くように設置することでより安定に保持できる。
これにより、液体L1、L2の液液界面は、固体壁ではなく、流体壁46’上(図8(B)では上下に対向する流体壁46’上)で接触するので、生成した直後の微粒子が固体壁面に付着することが抑制される。これにより、液体L1、L2の反応で析出した微粒子が、混合・反応流路26’の内壁面の幅方向中央に堆積することを抑制できる。
ここで、流体壁46’を混合・反応流路26’における幅方向中央に連続的に安定に形成するためには、長溝43a、43bに供給する不活性流体Lnの供給圧力や界面張力を最適化する方法がある。また、液体L1、L2の物性や供給圧力や供給流量を、流体壁を破壊しないように制御することもできる。不活性流体Lnや反応流体の物性については、第1実施形態と同様にすることが好ましい。
これにより、液体L1、L2が合流する流れの中においても、連続的な流体壁46’を混合・反応流路26’の幅方向中央に安定して形成できる。
以上に説明した本発明に係るマイクロデバイス及びその運転方法によれば、微細な流路の目詰まりを抑制し、効率良く安定に混合又は反応を行うことができる。また、反応に関与しない流体からなる流体壁を連続的に混合・反応流路内の反応流体同士の界面に形成するので、混合・反応流路26’内で微粒子等の析出や堆積による目詰まりをより確実に抑制できる。
本実施形態では、長溝43a、43bを隔壁部36の上下に設けた例を説明したが、これに限定されることはなく、例えば、合流部38に対応する蓋部材24の下面及び本体部材22の下面に、合流部38に連通する注入口を設けて、そこから不活性流体Lnを流すように構成してもよい。
以上、本発明に係るマイクロデバイス及びその運転方法の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各種の態様が採り得る。
例えば、本実施形態では、液液反応の例で説明したが、これに限られず、気体同士の反応や液液反応であってもよい。
本発明は、無機物質や有機物質等を対象としたイオン反応、酸化還元反応、熱反応、触媒反応、ラジカル反応、重合反応等の様々な反応形態に適用することができる。また、各種化学製品や医薬品等を製造するマイクロデバイスに適用することができる。
次に、本発明のマイクロデバイス及びその運転方法の各実施例及び比較例について説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
本例では、図1のマイクロデバイス10を使用して、塩化銀(AgCl)の微粒子を生成する反応を行った。液体供給路28、28からそれぞれ反応流体としての硝酸銀溶液(AgNO3)と塩化ナトリウム溶液(NaCl)を供給した。液体供給路28の流路幅は250μmとし、吐出流路41の流路幅は200μmとし、混合・反応流路26の流路幅は500μmとした。全流路の深さは全て同じであり、250μmとした。
0.05mol/Lの硝酸銀溶液と、0.05mol/Lの塩化ナトリウム溶液を調製し、微粒子生成時の保護コロイドとして、分子量が約2万の低分子量ゼラチンを0.06mol質量%含有させた。両溶液の温度は、絶対温度で295〜297K(摂氏温度で22〜24℃)とした。そして、硝酸銀溶液と塩化ナトリウム溶液を同流量で供給し、それぞれの流量が、0.15mL/分である場合(実施例1)、0.3mL/分である場合(実施例2)、及び0.45mL/分である場合(実施例3)の3条件について、析出の様子を調べた。
一方、比較例1〜3として、吐出流路41を有さないY字型液体流路を備えたマイクロデバイスを用いて、硝酸銀溶液と塩化ナトリウム溶液を同流量で供給し、それぞれの流量が、0.15mL/分である場合(比較例1)、0.3mL/分である場合(比較例2)、及び0.45mL/分である場合(比較例3)の3条件について、上記と同様に析出の様子を調べた。
この結果、本発明を適用した実施例1〜3では、いずれの流量においても、運転開始後2時間以内では合流部38の界面付近での析出は確認されなかった。
一方、本発明を適用しなかった比較例において、流量が0.45mL/分である場合(比較例3)は、運転開始10分後に合流部38における界面付近に析出が確認された。同様に、流量が0.3mL/分である場合(比較例2)は、運転開始20分後に合流部38における界面付近に析出が確認され、流量が0.15mL/分である場合(比較例1)は、析出は減ったものの、運転開始40分後には、合流部38における界面付近に析出が確認された。このように、塩化銀の微粒子を生成する反応では、微粒子が混合・反応流路26の壁面に付着及び堆積し易く、短時間で混合・反応流路26が目詰まりを起こし易いことがわかった。
以上から、本発明を適用することにより、反応によって生成する微粒子が、混合・反応流路26が目詰まりして閉塞することを抑制できる。
本発明におけるマイクロデバイスの一例を概念的に示した斜視図である。 第1実施形態のマイクロデバイスにおける装置本体の内部構造を説明する説明図である。 図2の隔壁部近傍の構成を説明する拡大上面図である。 隔壁部近傍の構成の別態様を説明する拡大上面図である。 図2の隔壁部近傍の作用を説明する拡大上面図である。 第2実施形態のマイクロデバイスにおける装置本体の内部構成を説明する説明図である。 図6のB−B’線断面図である。 図6の合流部近傍における作用を説明する説明図である。 従来の2流体混合型のマイクロリアクターの構成を説明する上面図である。 図9の合流部近傍における作用を説明する説明図である。
符号の説明
10…薄片状流型のマイクロデバイス、12、12’…装置本体、22…本体部材、24…蓋部材、26、26’…混合・反応流路、28…液体供給路、30…Y字型液体流路、38…合流部、40…吐出口、41…吐出流路、18…流体供給管、20…シリンジポンプ、36…隔壁部、46、46’…流体壁、43a、43b…長溝

Claims (16)

  1. 複数の流体を隔壁部により隔てられたそれぞれの供給流路を流通させて1本の混合・反応流路で合流させることにより、前記複数の流体の混合又は反応を行うマイクロデバイスの運転方法であって、
    前記隔壁部先端の吐出口から前記複数の流体同士が合流する合流部に向けて、前記流体に対して不溶性且つ不活性な流体を押し出すことにより、前記隔壁部の先端に流体壁を形成することを特徴とするマイクロデバイスの運転方法。
  2. 前記流体壁は、前記吐出口から気体を押し出すことにより形成される気泡であることを特徴とする請求項1のマイクロデバイスの運転方法。
  3. 前記複数の流体が油に不溶な流体であると共に、前記流体壁は前記吐出口から押し出された油であることを特徴とする請求項1のマイクロデバイスの運転方法。
  4. 前記流体壁が形成されるように、前記吐出口から押し出す流体の押出圧力を調整することを特徴とする請求項1〜3の何れか1のマイクロデバイスの運転方法。
  5. 前記吐出口から前記流体を間欠的に押し出すことを特徴とする請求項1〜4の何れか1のマイクロデバイスの運転方法。
  6. 複数の流体を隔壁部により隔てられたそれぞれの供給流路を流通させて1本の混合・反応流路で合流させることにより、前記複数の流体の混合又は反応を行うマイクロデバイスの運転方法であって、
    前記合流した複数の流体同士が前記混合・反応流路の流れ方向に形成する界面と、前記混合・反応流路の内壁面とが接する接液線に沿って、前記複数の流体に対して不活性且つ不溶性の流体を流すことにより、前記接液線に沿って連続的な流体壁を形成することを特徴とするマイクロデバイスの運転方法。
  7. 前記複数の流体が油に不溶な流体であると共に、前記流体壁を形成する流体が油であることを特徴とする請求項6のマイクロデバイスの運転方法。
  8. 前記複数の流体及び前記不活性且つ不溶性の流体は、前記混合・反応流路を上から下に重力方向に流れることを特徴とする請求項6又は7のマイクロデバイスの運転方法。
  9. 複数の流体を隔壁部により隔てられたそれぞれの供給流路を流通させて1本の混合・反応流路で合流させることにより、前記複数の流体の混合又は反応を行うマイクロデバイスであって、
    前記隔壁部の先端に前記複数の流体同士が合流する合流部に向けて形成された吐出口と、
    前記吐出口から前記流体に対して不溶性且つ不活性な流体を押し出す押出手段と、
    前記押出手段と前記吐出口とを連通する吐出流路と、を備えたことを特徴とするマイクロデバイス。
  10. 前記吐出口が、前記複数の流体に対して不溶性且つ不活性な流体からなる流体壁を保持する形状に構成されることを特徴とする請求項9のマイクロデバイス。
  11. 前記吐出口が、凹状に形成されたことを特徴とする請求項9又は10のマイクロデバイス。
  12. 前記流体壁は、前記吐出口から気体を押し出すことにより形成される気泡であることを特徴とする請求項9〜11の何れか1のマイクロデバイス。
  13. 前記複数の流体が油に不溶な流体であると共に、前記流体壁は前記吐出口から押し出された油であることを特徴とする請求項9〜12の何れか1のマイクロデバイス。
  14. 複数の流体を隔壁部により隔てられたそれぞれの供給流路を流通させて1本の混合・反応流路で合流させることにより、前記複数の流体の混合又は反応を行うマイクロデバイスであって、
    前記合流した複数の流体同士が前記混合・反応流路の流れ方向に形成する界面と、前記混合・反応流路の内壁面とが接する接液線に沿って設けられ、前記複数の流体に対して不活性且つ不溶性の流体を流す長溝と、
    前記不活性且つ不溶性の流体を前記長溝に供給する流体供給手段と、を備えたことを特徴とするマイクロデバイス。
  15. 前記混合・反応流路は、前記合流部を上にして重力方向に形成されていることを特徴とする請求項14のマイクロデバイス。
  16. 前記混合・反応流路の円相当直径が1mm以下であることを特徴とする請求項9〜15の何れか1のマイクロデバイス。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009219947A (ja) * 2008-03-13 2009-10-01 Wako Pure Chem Ind Ltd フロー反応装置及び方法
JP2010214347A (ja) * 2009-03-19 2010-09-30 Tosoh Corp 微小流路構造体を用いたマイクロ化学装置、その洗浄方法及び微粒子製造方法
JP2017226916A (ja) * 2016-06-20 2017-12-28 株式会社新光化学工業所 微粒子の製造方法及び製造装置ならびに微粒子

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