JP2007267656A - 仔稚魚の飼育方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】カサゴやオニオコゼ等の種苗生産初期に発生し甚大な被害を招く大量へい死を,抗菌剤を使用することなく,かつ容易に軽減し,生産の安定化,効率化を図り生産性を高める新規の仔稚魚飼育方法を提供する。
【解決手段】安定型ビタミンC誘導体(アスコルビン酸リン酸マグネシウム,アスコルビン酸リン酸ナトリウム等)を飼育水の水量に対し20g/トン,またはポリフェノール(カテキン,アントシアニン,プロアントシアニジン等)を飼育水の水量に対し180〜300mg/トンの添加量で,連続または断続的に添加することを特徴とする新規の仔稚魚飼育方法。
【選択図】なし

Description

本発明は,大量へい死を軽減し安定的かつ効率的な種苗生産を行うことを目的とした新規の仔稚魚の飼育方法に関する。
食料産業として重要な水産業の持続的発展を図るため、栽培漁業や養殖業などつくり育てる漁業が推進されている。これらの実現に不可欠な稚魚を提供すべく種苗生産は現在、マダイ、ヒラメ、トラフグをはじめ多くの有用魚種を対象に全国で行われている。
一般に魚類、特に海産魚のふ化仔魚は、口も開いていないなど体各部が生理的にも機能的にも非常に未発達な状態で生まれてくるため、飼育初期には餌料の種類、栄養、飼育環境の不適やウイルス、病原性細菌、寄生虫等による感染症などにより大量へい死が発生しやすく、生残率低下による生産中止など深刻な被害に及ぶ場合も少なくない。
このような大量へい死に関する対抗手段として、薬剤(ニフルスチレン酸ナトリウム,オキソリン酸など)を飼育水中に添加し高い生残率を維持する飼育法(特許文献1)が開示されている。
また薬剤を使用せず「ほっとけ飼育」(非特許文献1)や養殖環境改善剤を用いた細菌制御を目的とした飼育法により大量へい死を軽減できることが報告されている(非特許文献2)。
また飼育水にアスコルビン酸を添加することでカサゴの大量へい死を抑制出来ることが報告されている(非特許文献3)。
特開平8−9821 栽培漁業シリーズNo.4 ヒラメの種苗生産マニュアル「ほっとけ飼育」による飼育方法,1998 栽培漁業技術開発研究、32(1)、5−13、2005 平成11年日本水産学会秋季大会講演要旨集,P79
しかし、常用的な抗菌剤使用には耐性菌出現の問題があるほか,流水式で飼育を行う場合には飼育水中の薬剤を一定濃度で維持するためには極めて大量の薬剤が必要となり、コストが非常に高いという問題点がある。
また生産された種苗が将来,食用魚として利用されることを考慮すると,無投薬を求める消費者の嗜好と逆行するという問題点もある。
また、ほっとけ飼育は一般的な流水式の飼育法ではなく止水環境により細菌叢を安定させることを特徴とする飼育法であるが,管理がうまくいかない場合には止水であるが故に水質が悪化しやすく,オニオコゼなど水温25℃以上に達する夏季の生産魚種においては特に水質管理が難しい。
また、養殖環境改善剤はバチルス等の魚介類に毒性のない細菌をゼオライト等の基質に吸着させたもの(再公表:特願平10−542578)で,これら細菌を優先させることを目的として使用するが,培養水由来の細菌を大量に含む生物餌料や微細藻類を毎日給与する飼育法では,十分な注意を払っていても特定細菌を安定的に優先させることはそれほど容易ではない。
また、アスコルビン酸は飼育水中では非常に不安定な性質を持ち,さらに分解されたアスコルビン酸によって水中の細菌が増殖することから水質悪化を招きやすく,オニオコゼなど水温25℃以上に達する夏季の生産魚種の場合は特に水質管理が難しい。
本発明の目的は,抗菌剤を使用することなく、容易に大量へい死を軽減する飼育法を提供することにある。
上記目的を達成するために,発明者らは鋭意研究した結果,本発明の安定型ビタミンC誘導体またはポリフェノールの有効量を飼育水に添加する仔稚魚の飼育方法が大量へい死の軽減に有効であることを見出した。
すなわち本発明は、安定型ビタミンC誘導体またはポリフェノールの有効量を飼育水に連続または断続的に添加することを特徴とする生産性の高い新規の仔稚魚飼育方法を提供するものである。
本発明の飼育方法によれば,基本的な飼育方法を大きく変更する必要がなく、添加物の水溶液を飼育水に添加するというごく簡単な作業のみで、容易に大量へい死を軽減することができ、種苗生産の安定化、効率化が図られ、生産性を高める効果が得られる。
本発明で使用される安定型ビタミンC誘導体,ポリフェノールはいずれも従来から化粧品原料,食品添加物として広く使用されているもので,食品としての安全性には全く問題がない点で優れている。
さらにいずれも水溶性が高く,飼育水への添加が容易に行える点で優れている。
また、抗菌剤を使用しないため、耐性菌の出現を危惧する必要はなく、消費者の嗜好にも適合するという点でも優れている。
また、大量へい死により減少した仔魚にかかった生産コストは、生残種苗に上乗せされる。本発明により大量へい死による全滅を回避し、生残率が向上した場合、そのコスト負担は薬剤添加の場合と比較して実用上,充分許容出来る範囲であり,経済的効果は大きい。
本発明では,基本的な飼育は一般的な種苗生産方法と同様に飼育を行うことができる。
すなわち水槽の材質はポリエチレン、ポリカーボネイト、コンクリート等、いずれも好適に使用出来る。水槽の規模は30リットルの小型水槽から100トン程度の大型水槽まで使用できるが、特に500リットルから30トン程度の水槽が好ましい。添加物が飼育水槽内に速やかに拡散するよう注水、エアレーションを配置する。
飼育水は流水とし、換水率は100〜200%/日が好ましい。
飼育開始時の受精卵、仔魚の収容密度は飼育水1トン当たり1000〜30000尾が可能であるが、特に5000〜20000尾が好ましい。餌料はワムシ、アルテミアなどの生物餌料を1日1〜2回給餌し、後に配合飼料を併用する。給餌量は仔魚の成長に応じて順次増加させる。生物餌料の飢餓防止、水中照度の調整、水質安定等の目的で微細藻類、例えばナンノクロロプシスや淡水産クロレラなどを飼育水に添加することができるが、特に濃縮ナンノクロロプシスを1日1回、50〜100万cells/mlの濃度になるよう添加するのが好ましい。
安定型ビタミンC誘導体はアスコルビン酸リン酸マグネシウム,アスコルビン酸リン酸ナトリウムなどいずれも好適に使用できるが、特にアスコルビン酸リン酸マグネシウムを使用することが好ましい。
アスコルビン酸リン酸マグネシウムの添加量は水槽の水量に対し15〜25g/トン、特に20g/トンが好ましい。
ポリフェノールはカテキン,アントシアニン,プロアントシアニジン等,いずれを用いても良いが、特にカテキンが好ましい。カテキンとして例えばエピガロカテキンガレート(EGCG)などの試薬を利用することが出来るが,入手しやすく、より安価な市販の緑茶抽出物を使用することも出来る。カテキンの添加量は水槽の水量に対し180〜300mg/トン程度が好ましい。緑茶抽出物を添加する場合は、製品のカテキン濃度から逆算して添加量を決定する。例えば、茶カテキン濃度を約30%とした市販の緑茶抽出物Aを用いる場合は1g/トン(カテキン濃度として300mg/トン),茶カテキン濃度を約90%とした市販の緑茶抽出物Bを用いる場合は0.2g/トン(カテキン濃度として180mg/トン)が好ましい。
添加は2または3日令頃から大量へい死の発生しやすい時期を過ぎる10〜15日令までの期間,隔日もしくは毎日行うと良いが,好ましくは卵または仔魚収容日から毎日,1日1回添加するのが好ましい。本発明に用いられる添加物は必要量をあらかじめ蒸留水に溶解させた水溶液として添加するのが好ましい。添加方法は点滴瓶を用いて0.5〜6時間掛けて滴下する方法、ビーカー等を用いて一度に流し込む方法のいずれを用いても良いが、特に時間を掛けて滴下する場合は、光による変性を防ぐため点滴瓶、チューブ等をアルミホイルで覆って遮光しておくことが好ましい。また添加物ができるだけ速やかに均等に拡散するように、エアレーションの位置に添加することが好ましい。
以下,本発明を実施例により更に詳細に説明するが,本発明は,下記実施例に限定されるものではない。
実施例1 仔魚の生残率に及ぼす飼育水へのポリフェノール添加効果−1
(供試魚)オニオコゼ
(ポリフェノール)茶ポリフェノールを主成分とする市販の緑茶抽出物AおよびBを使用した。試験区としてA添加区およびB添加区を各1区と対照区を設けた。試験区には蒸留水1000mlにAは0.5g(カテキンとして300mg/トン),Bは0.1g(カテキンとして180mg/トン)を溶解し卵収容直後から実験終了まで1日1回,点滴瓶を用いて約2時間かけて滴下した。対照区には蒸留水1000mlを同様の方法で滴下した。
(飼育方法)500リットル透明ポリカーボネイト水槽4基にふ化直前の受精卵を1万粒ずつ収容した。卵収容時から紫外線照射海水を200%/日の割合で注水し,排水は40目のメッシュスクリーンで作成したアンドンを用いて水槽中央からサイフォン方式で行った。水槽中央に直径50mmの球形エアストーン1個を設置し,飼育水が緩やかに撹拌されるよう弱通気を施した。
飼育水には毎日,自家製濃縮ナンノクロロプシスを飼育水中の細胞数が50万cells/mlになるよう添加した。餌料系列はワムシ,アルテミア幼生,配合飼料とした。ワムシは市販の栄養強化剤で栄養強化したL型ワムシを2日齢から飼育水中の密度で5〜30個体/mlになるよう給餌した。アルテミアは北米産の卵を脱殻処理して使用し,ふ化後,市販の栄養強化剤で栄養強化した幼生を10日齢から0.2〜2個体/mlになるよう給餌した。生残尾数の推定は夜間の柱状サンプリング法,すなわち仔魚が比較的均等に分散する21:00頃に直径40mmの塩ビパイプにより飼育水とともに仔魚を採取し採取水量と採取尾数から推定する方法により行い,1日齢の生残尾数を100%として生残率を求めた。結果を表1に示す。
(結果)表1に示したとおり7日齢で生残尾数に明確な差が現れ,15日齢における生残率は対照区が15.5%と17.0%であったのに対し,BおよびA添加区ではそれぞれ42.6%,34.5%と対照区に比べ明らかに高かった。成長については実験区間に顕著な差は見られなかった。
Figure 2007267656
実施例2 仔魚の生残率に及ぼす飼育水へのポリフェノール添加効果−2
(供試魚)オニオコゼ
(ポリフェノール)茶ポリフェノールを主成分とする市販の緑茶抽出物AおよびBを使用した。試験区としてA添加区およびB添加区を各1区と対照区を設けた。試験区には蒸留水1000mlにAは0.5g(カテキンとして300mg/トン),Bは0.1g(カテキンとして180mg/トン)を溶解し卵収容直後から実験終了まで1日1回,点滴瓶を用いて約2時間かけて滴下した。対照区には蒸留水1000mlを同様の方法で滴下した。
(飼育方法)500リットル透明ポリカーボネイト水槽4基にふ化直前の受精卵を1万粒ずつ収容した。卵収容時から紫外線照射海水を200%/日の割合で注水し,排水は40目のメッシュスクリーンで作成したアンドンを用いて水槽中央からサイフォン方式で行った。水槽中央に直径50mmの球形エアストーン1個を設置し,飼育水が緩やかに撹拌されるよう弱通気を施した。
飼育水には毎日,自家製濃縮ナンノクロロプシスを飼育水中の細胞数が50万cells/mlになるよう添加した。ワムシは市販の栄養強化剤で栄養強化したL型ワムシを2日齢から飼育水中の密度で5〜30個体/mlになるよう給餌した。生残尾数の推定は夜間の柱状サンプリング法,すなわち仔魚が比較的均等に分散する21:00頃に直径40mmの塩ビパイプにより飼育水とともに仔魚を採取し採取水量と採取尾数から推定する方法により行い,1日齢の生残尾数を100%として生残率を求めた。
(結果)表2に示すとおり、対照区の2面で5日齢と7日齢に大量へい死が発生し,それぞれ全滅したため,この時点で実験を打ち切ったが,7日齢における試験区の生残率はB添加区で54.3%,A添加区で82.8%と,対照区に比べ顕著に高い生残率を示した。一方,成長および摂餌については実験区間に顕著な差は見られなかった。
Figure 2007267656
実施例3 仔魚の生残率に及ぼす飼育水へのポリフェノール添加効果−3
(供試魚)オニオコゼ
(ポリフェノール)茶ポリフェノールを主成分とする市販の緑茶抽出物Aを使用した。試験区としてA添加区と対照区を各1区設定し,A添加区には蒸留水2000mlにAを20g(カテキンとして300mg/トン)溶解し,卵収容直後から18日齢まで1日1回,飼育水槽に直接添加した。対照区には何も添加しなかった。
(飼育方法)20トンコンクリート円形水槽2基にふ化直前の受精卵を42.6万粒ずつ収容した。卵収容時からろ過海水を200%/日の割合で注水し,排水は40目のメッシュスクリーンを用いて水槽中央から行った。通気は水槽中央の円柱を取り巻くように設置したユニホースから緩やかに行った。飼育水には毎日,自家製濃縮ナンノクロロプシスを飼育水中の細胞数が50万cells/mlになるよう添加した。餌料系列はワムシ,アルテミア幼生,配合飼料とした。ワムシは市販の栄養強化剤で栄養強化したL型ワムシを2日齢から飼育水中の密度で5〜30個体/mlになるよう給餌した。アルテミアは北米産の卵を脱殻処理して使用し,ふ化後,市販の栄養強化剤で栄養強化した幼生を10日齢から0.2〜2個体/mlになるよう給餌した。
(結果)対照区およびA添加区ともに2日齢から水面に浮上へい死個体が観察され生残尾数が減少し,さらに対照区では7日齢に大量へい死が発生し,ほぼ全滅したため9日齢で飼育を中止した。一方,A添加区では対照区のような大量へい死は観察されず18日齢から19日齢にかけて着底前仔魚の移槽を行う際にフィッシュカウンターによる計数を行った。A添加区の19日齢における生残率は18.7%であった。なお,これらの仔魚は飼育を継続し22日齢から33日齢にかけて平均全長15.0mm(12.1〜17.1mm)の稚魚3.6万尾を取り上げた。また9日齢までの両者の成長にはほとんど差がなかった。
Figure 2007267656
実施例4 仔魚の生残率に及ぼす飼育水へのポリフェノール添加効果−4
(供試魚)オニオコゼ
(ポリフェノール)茶ポリフェノールを主成分とする市販の緑茶抽出物Aを使用した。試験区としてA添加区1面と対照区2面を設定し,試験区には蒸留水1000mlにAを5g(カテキンとして300mg/トン)溶解し,仔魚収容直後から15日齢まで1日1回,飼育水槽に直接添加した。対照区には蒸留水のみ1000mlを同様に添加した。
(飼育方法)6トンコンクリート角形水槽(有効水量5トン)3面にふ化仔魚を約4万尾ずつ(3.7〜4.9万尾)収容した。仔魚収容時から紫外線殺菌海水を100%/日の割合で注水し,排水は40目のメッシュスクリーンで作成したアンドンを排水口に設置し底面より行った。通気は水槽壁面に沿って底面に対角に設置した長さ1mのユニホースから4本から緩やかに行い,水槽内に時計回りの緩やかな回転流を作った。飼育水には毎日,自家製濃縮ナンノクロロプシスを飼育水中の細胞数が100万cells/mlになるよう添加した。餌料系列はL型ワムシ,アルテミア幼生,配合飼料とした。ワムシ,アルテミアは市販の栄養強化剤で栄養強化した。L型ワムシを1日齢から飼育水中の密度で5〜15個体/mlになるよう給餌した。アルテミアは北米産の卵を脱殻処理して使用し,5日齢から0.05〜2個体/mlになるよう給餌した。
(結果)対照区2面はいずれも9〜10日齢にかけて大量へい死が発生し,ほぼ全滅したが,A添加区では対照区のような大量へい死は観察されず10日齢における生残率は55.3%であった。なお,A添加区の仔魚は飼育を継続し13日齢から20日齢にかけて全長10.0〜15.0mmの稚魚1.5万尾(最終生残率:41.7%)を取り上げたのに対し,対照区の1面は506尾(最終生残率:1.0%)を取り上げるに止まり,試験区で顕著な生残率の向上が見られた。
Figure 2007267656
実施例5 仔魚の生残率に及ぼす飼育水へのポリフェノール添加効果−5
(供試魚)オニオコゼ
(ポリフェノール)茶ポリフェノールを主成分とする市販の緑茶抽出物Aを使用した。試験区としてA添加区1面と対照区2面を設定し,試験区には蒸留水1000mlにAを7g(カテキンとして300mg/トン)溶解し,仔魚収容直後から15日齢まで1日1回,飼育水槽に直接添加した。対照区には蒸留水のみ1000mlを同様に添加した。
(飼育方法)8トンコンクリート角形水槽(有効水量7トン)3面にふ化仔魚を約5万尾ずつ(4.4〜6.2万尾)収容した。仔魚収容時から紫外線殺菌海水を100%/日の割合で注水し,排水は40目のメッシュスクリーンで作成したアンドンを排水口に設置し底面より行った。通気は水槽壁面に沿って底面に対角に設置した長さ1mのユニホースから4本から緩やかに行い,水槽内に時計回りの緩やかな回転流を作った。飼育水には毎日,自家製濃縮ナンノクロロプシスを飼育水中の細胞数が100万cells/mlになるよう添加した。餌料系列はL型ワムシ,アルテミア幼生,配合飼料とした。ワムシ,アルテミアは市販の栄養強化剤で栄養強化した。L型ワムシを1日齢から飼育水中の密度で5〜15個体/mlになるよう給餌した。アルテミアは北米産の卵を脱殻処理して使用し,6日齢から0.05〜2個体/mlになるよう給餌した。
(結果)対照区2面はいずれも12日齢に大量へい死が発生し,ほぼ全滅したが、A添加区では対照区のような大量へい死は観察されず15日齢における生残率は40.0%と対照区に比べ顕著に高い生残率を示した。
Figure 2007267656
実施例6 仔魚の生残率に及ぼす飼育水への安定型ビタミンC誘導体およびポリフェノールの添加効果−6
(供試魚)カサゴ
(安定型ビタミンC誘導体)市販のL−アスコルビン酸リン酸マグネシウム塩(以下,APMと省略)を使用した。
(ポリフェノール)茶ポリフェノールを主成分とする市販の緑茶抽出物AおよびBを使用した。
(試験区)試験区としてAPM添加区およびA添加区,B添加区を各1区と対照区を設けた。試験区には蒸留水1000mlにAPMは10g(20g/トン),Aは0.5g(カテキンとして300mg/トン),Bは0.1g(カテキンとして180mg/トン)を溶解し仔魚収容直後から実験終了まで1日1回,アルミホイルで遮光した点滴瓶を用いて約2時間かけて滴下した。対照区には蒸留水1000mlを同様の方法で滴下した。
(飼育方法)500リットル黒色ポリカーボネイト水槽4基に切開法により得た仔魚を2.5万尾ずつ収容した。仔魚収容時から紫外線照射海水を100%/日の割合で注水し,排水は40目のメッシュスクリーンで作成したアンドンを用いて水槽中央からサイフォン方式で行った。水槽中央に直径50mmの球形エアストーン1個を設置し,飼育水が緩やかに撹拌されるよう弱通気を施した。
飼育水には毎日,自家製濃縮ナンノクロロプシスを飼育水中の細胞数が30万cells/mlになるよう添加した。ワムシは市販の栄養強化剤で栄養強化したL型ワムシを2日齢から飼育水中の密度で5〜10個体/mlになるよう給餌した。生残尾数の推定は夜間の柱状サンプリング法,すなわち仔魚が比較的均等に分散する21:00頃に直径40mmの塩ビパイプにより飼育水とともに仔魚を採取し採取水量と採取尾数から推定する方法により行い,0日齢の生残尾数を100%として生残率を求めた。
(結果)対照区で9日齢に大量へい死が発生し全滅した。表6に示すとおり10日齢における試験区の生残率はAPM添加区で74.2%,B添加区で67.0%,A添加区で83.2%と,対照区に比べ顕著に高い生残率を示した。一方,成長については実験区間に顕著な差は見られなかった。
Figure 2007267656
実施例7 仔魚の生残率に及ぼす飼育水へのポリフェノールの添加効果−7
(供試魚)カサゴ
(ポリフェノール)茶ポリフェノールを主成分とする市販の緑茶抽出物Aを使用した。試験区としてA添加区および対照区を設けた。添加量は2段階を設定し,蒸留水1000mlにAを0.5g(カテキンとして300mg/トン)および0.1g(カテキンとして180mg/トン)を溶解し仔魚収容直後から実験終了まで1日1回,アルミホイルで遮光した点滴瓶を用いて約2〜6時間かけて滴下した。対照区には蒸留水1000mlを同様の方法で滴下した。各試験区はそれぞれ2面ずつ設けた。
(飼育方法)500リットル透明ポリカーボネイト水槽4基に自然産仔により得た仔魚を1.1〜1.3万尾ずつ収容した。仔魚収容時から0.2μmカートリッジフィルターを通した紫外線照射海水200%/日の割合で注水し,排水は40目のメッシュスクリーンで作成したアンドンを用いて水槽中央からサイフォン方式で行った。水槽中央に直径50mmの球形エアストーン1個を設置し,飼育水が緩やかに撹拌されるよう弱通気を施した。飼育水には毎日,淡水産濃縮クロレラを飼育水中の細胞数が50万cells/mlになるよう添加した。ワムシは市販の栄養強化剤で栄養強化したS型ワムシを0日齢から飼育水中の密度で5個体/mlになるよう給餌した。生残尾数の推定は柱状サンプリング法,すなわち仔魚が比較的均等に分散する21:00頃に直径40mmの塩ビパイプにより飼育水とともに仔魚を採取し採取水量と採取尾数から推定する方法により行い,0日齢の生残尾数を100%として生残率を求めた。
(結果)対照区で7日齢に大量へい死が発生し,生残尾数が大きく減少したが,添加区では大量へい死は発生しなかった。表7に示すとおり7日齢における試験区の生残率は0.5g添加区で77.9%と64.0%、0.1g添加区で35.1%と72.9%と対照区と比較していずれも顕著に高い生残率を示した。
Figure 2007267656
実施例8 仔魚の生残率に及ぼす飼育水へのポリフェノールの添加効果−8
(供試魚)オニオコゼ
(安定型ビタミンC誘導体)市販のL−アスコルビン酸リン酸マグネシウム塩(以下,APMと省略)を使用した。
(ポリフェノール)茶ポリフェノールを主成分とする市販の緑茶抽出物Bを使用した。
(試験区)試験区としてAPM添加区,B添加区および対照区を設けた。B添加区は毎日添加と隔日添加の2区を設定した。各試験区はそれぞれ2面ずつ用意した。蒸留水1000mlにAPMは10g,(20g/トン)Bは0.1g(カテキンとして180mg/トン)を溶解し0日齢から実験終了までアルミホイルで遮光した点滴瓶を用いて毎日(隔日添加区は1日おきに)約2〜6時間かけて滴下した。対照区には蒸留水1000mlを同様の方法で滴下した。
(飼育方法)500リットル透明ポリカーボネイト水槽8基にふ化直前の受精卵を1万粒ずつ収容した。卵収容時から紫外線照射海水を100%/日の割合で注水し,排水は40目のメッシュスクリーンで作成したアンドンを用いて水槽中央からサイフォン方式で行った。水槽中央に直径50mmの球形エアストーン1個を設置し,飼育水が緩やかに撹拌されるよう弱通気を施した。飼育水には毎日,自家製濃縮ナンノクロロプシスを飼育水中の細胞数が100万cells/mlになるよう添加した。ワムシは市販の栄養強化剤で栄養強化したL型ワムシを2日齢から飼育水中の密度で10〜15個体/mlになるよう給餌した。生残尾数の推定は柱状サンプリング法により行い,0日齢の生残尾数を100%として生残率を求めた。
(結果)対照区で7日齢に大量へい死が発生し生残率が大きく低下した。表8に示すとおり 7日齢における試験区の生残率はAPM添加区で40.1%と44.4%,B毎日添加区で33.9%と46.4%、B隔日添加区で20.7%、36.3%と,いずれも対照区に比べ顕著に高い生残率を示した。隔日添加より毎日添加の方が若干、生残率が高かった。
Figure 2007267656
本発明は,人工種苗の安定的、効率的生産を可能とし,水産業における増養殖分野において,貢献度が極めて高い。

Claims (5)

  1. 種苗生産において安定型ビタミンC誘導体またはポリフェノールの有効量を飼育水に連続または断続的に添加することを特徴とする仔稚魚の飼育方法。
  2. 仔稚魚の飼育を流水中で行う請求項1記載の飼育方法。
  3. 前記、安定型ビタミンC誘導体がアスコルビン酸リン酸マグネシウムまたはアスコルビン酸リン酸ナトリウムで,かつこれらの添加量が水槽の水量に対し15〜25g/トンである請求項1記載の飼育方法
  4. 前記、ポリフェノールがカテキンまたはアントシアニン,プロアントシアニジンで,かつこれらの添加量が水槽の水量に対し180〜300mg/トンである請求項1記載の飼育方法。
  5. 魚類がカサゴまたはオニオコゼである請求項1記載の飼育方法。
JP2006096331A 2006-03-31 2006-03-31 仔稚魚の飼育方法 Pending JP2007267656A (ja)

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