JPH089821A - 魚類の稚仔の飼育方法 - Google Patents

魚類の稚仔の飼育方法

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JPH089821A
JPH089821A JP6167499A JP16749994A JPH089821A JP H089821 A JPH089821 A JP H089821A JP 6167499 A JP6167499 A JP 6167499A JP 16749994 A JP16749994 A JP 16749994A JP H089821 A JPH089821 A JP H089821A
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fish
water
larvae
drug
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JP6167499A
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Yukihiro Okubo
幸弘 大久保
Ichiro Kobayashi
一郎 小林
Yasushi Oike
泰 大池
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 人工種苗法により魚類の稚仔を飼育するに当
たって、孵化した魚類の稚仔を飼育する水中に、薬剤
を、半日〜4日の間隔をあけて、添加時の飼育水中での
薬剤濃度が1〜10ppmとなる量で、孵化後40日令
になるまで断続的に添加して魚類の稚仔の飼育を行う方
法。 【効果】 本発明の方法による場合は生物餌料に含まれ
る細菌等の病原微生物に魚類の稚仔が感染して発病する
ことを確実に且つ完全に防ぐことができ、しかも半日〜
4日の間隔で上記した所定量の薬剤を魚類の稚仔の飼育
水中に添加するという極めて簡単な作業で魚類の稚仔に
おける病気の予防や治療を行うことができ、薬剤による
魚類の稚魚へのストレスやその他の悪影響がなく魚類の
稚仔を順調に生育させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は人工種苗法によって魚類
の稚仔を飼育する際の改良方法に関する。詳細には、本
発明は人工種苗法によって魚類の稚仔を飼育するに当た
って、魚類の稚仔が生物餌料中などに含まれる細菌など
の病原体に感染して発病するのを確実に且つ効果的に防
止して魚類の稚仔を健全に生育させて、生育状態な良好
な種苗を生産性よく得ることのできる飼育方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】200海里問題、漁業資源の減少、魚類
が生息する水域環境の汚染などの種々の理由により、魚
類を人工的に飼育する養殖業が近年盛んに行われるよう
になり、その規模もますます大きなものとなっている。
魚類の養殖には、採卵−受精−発生・孵化−孵化仔魚の
飼育−種苗という一連の工程を人工的に行う人工種苗法
と、人工育成できない魚類の天然発生の稚仔を採取して
それを育てる天然種苗法(いわゆる採苗法)とがある。
一般に、ヒラメ、マダイ、シマアジ、ニジマス、コイ、
フナ、キンギョ、クルマエビなどは人工種苗によって種
苗を生産することが広く行われており、ウナギ、ボラ、
ハマチ、イシガキダイ、チダイ、ヘダイ、ウマヅラハ
ギ、カワハギ、スズキなどは天然種苗により種苗が採取
され、それを飼育することが行われている。そしていず
れの種苗法の場合も、発育状態の良い市場価値の高い魚
類を生産性良く得るためには、稚仔の段階での病気の予
防や治療、斃死率の低下、健全な育成が重要な課題にな
っている。
【0003】人工種苗法によってヒラメやマダイなどの
魚類の稚仔を飼育して種苗を得るに当たっては、稚仔の
摂餌性などの点から孵化後約4日令〜40日令頃までは
ワムシ、アルテミア、甲殻類プランクトンなどの生物餌
料が給与され、その後配合飼料などに切り換える方法が
一般的に採用されている。その場合に、孵化後40日令
頃までの稚仔は、病原菌などに対する抵抗力が小さく、
しかも生物餌料が給与されるために、種々の病気が発生
し易く、斃死率も高く、大きな被害を招くことが多い。
特に、ヒラメやマダイなどの魚類の稚仔では、生物餌料
の給与期間中の孵化後10日令前後から稚仔の腹部が異
常に膨れあがる、いわゆる“腹部膨満症”に罹患する場
合が多く、腹部膨満症に罹患した魚類の稚仔の大半が斃
死して甚大な被害を被る。
【0004】
【発明の内容】本発明者らは人工種苗法によって魚類の
稚仔を養殖するに当たって、稚仔に腹部膨満症などの病
気を発生させることなく健全に且つ確実に生育させて、
健康な種苗を生産性良く得ることができる方法を求めて
研究を続けてきた。特に、生物餌料の給与期間中の魚類
の稚仔が病原菌などに感染したり発病するのを予防する
ことは、人工種苗法による養殖業を円滑に営むために、
極めて重要な課題であり、そのためこの点に重点をおい
て研究を行ってきた。
【0005】そして、そのような研究の一環として、腹
部膨満症を起こして斃死したヒラメなどの魚類の稚仔を
擂り潰してその内容物を検査したところ、ビブリオ属、
シュードモナス属などのグラム陰性菌が多量に検出され
た。それと併せて本発明者らはヒラメなどの魚類の稚仔
に給与されていた生物餌料および稚仔を飼育していた水
についても同様の検査を行ったところ、生物餌料および
飼育水中からも斃死した稚仔の体内から検出されたのと
同様の菌類が検出された。そして、上記のような検査結
果から、魚類の稚仔に発生する腹部膨満症などの病気
は、生物餌料中に存在する前記のような細菌類が魚類の
稚仔の腸管内で増殖することによって発生するものであ
ることが明らかになった。
【0006】ところで、養殖魚の病気を予防したり治療
する方法としては、抗菌剤などの薬剤を配合飼料に添
加する方法、魚類の飼育水中に薬剤を常時存在させて
おく方法、水槽などの飼育環境を消毒などによって清
潔にする方法、魚類の体表に外傷が生じないように飼
育環境を整えたり取り扱いに注意する方法、魚類自体
の病気に対する抵抗性を高める方法などが従来から知ら
れており、本発明者らはこれらの従来法が魚類の稚仔の
病原菌などへの感染や発病の予防に有効であるか否かに
ついて検討を行った。
【0007】その結果、薬剤を配合飼料に添加する上記
の方法は、配合飼料に対する摂餌性が低く、生物餌料
を用いないと育成が困難な段階での魚類の稚仔に対して
は有効ではないことが明らかになった。また、魚類の稚
仔の養殖は残留した飼料の腐敗などに伴う飼育環境の悪
化や病気の発生などを防ぐために通常流水中で行われて
おり、したがって新しい水を常に飼育水域に補給しなが
ら使用した飼育水の一部を順次飼育水域から排出させる
という方式が採られている。そのため、そのような流水
下での飼育に上記の方法を採用した場合には、飼育水
域中に常時薬剤を存在させておくためには、薬剤を継続
して常時飼育水中に添加することが必要であり、極めて
多量の薬剤を必要とし、コストが極めて高いという問題
がある。その上、このの方法は、薬剤を含有する飼育
水中に抵抗力が未だ充分でない魚類の稚仔を常時生息さ
せておくことになるため、魚類の稚仔にストレスなどを
及ぼし、摂餌率の低下などを招き、稚仔の生育の妨げに
なり、健全な種苗を得ることが困難であることが判明し
た。
【0008】また、上記およびの方法は、稚仔の養
殖に限らず魚類の養殖全般において常に心掛けられてい
るところであるが、魚類の稚仔を飼育する環境の衛生面
や魚類の稚仔の取り扱い法などに充分な注意を払ってい
ても、給与される生物餌料自体に病原菌などが含まれて
いる場合は魚類の稚仔が病原菌に感染するのを防止する
ことができず、生物餌料に含まれる病原菌に基づく腹部
膨満症などの病気の予防や治療に有効ではない。更に、
魚類の稚仔自体の病気に対する抵抗性を向上させるため
の有効な方策も現時点では見いだされていない。また、
生物餌料の給与が必要な孵化後間もない魚類の稚仔は、
その体形が極めて小さく、しかもそのような小さな(微
細な)稚仔の多数匹(通常数千匹〜数万匹)を一度に飼
育するため、稚仔の一匹ごとに抗菌剤などの薬剤を体に
塗布したり注射などして投与することは実際上不可能で
ある。
【0009】上記のような状況下に、本発明者らは、生
物餌料に含まれる病原菌などによって引き起こされる腹
部膨満症などの魚類の稚仔の病気を複雑な手間をかける
ことなく確実に且つ簡単に防ぐことができる方法を開発
することを目的として研究を重ねてきた。更に、本発明
者らは、魚類の稚仔における病原菌への感染や発病を、
稚仔にストレスやその他の悪影響を及ぼさず、且つ環境
汚染などを生ずることなく予防することのできる方法を
求めて研究を行ってきた。その結果、孵化後40日令頃
まで生物餌料の給与が行われることの多いヒラメやマダ
イなどの人工種苗法による魚類の稚仔の飼育の際に、稚
仔を飼育する水中に、所定の時間的な間隔をおいて所定
の量で薬剤を断続的に添加しながら飼育を行うと、魚類
の稚仔が腹部膨満症などの病原菌などに感染して発病す
るのを防止することができて高い生存率を維持できるこ
と、更に薬剤を飼育水中に添加しても魚類の稚仔にスト
レスなどを悪影響を及ぼさず、摂餌性が良好で、健全に
発育することを見出して、本発明を完成した。
【0010】すなわち、本発明は、人工種苗法によって
魚類の稚仔を飼育するに当たって、孵化した魚類の稚仔
を飼育する水中に薬剤を断続的に添加しながら稚仔の飼
育を行い、前記した薬剤の断続的な添加を、半日〜4日
の間隔をあけて、添加時の飼育水中での薬剤濃度が1〜
10ppmとなる量で、孵化後40日令になるまで行う
ことを特徴とする魚類の稚仔の飼育方法である。
【0011】本発明では、通常行われている人工種苗法
と同様に、孵化後約40日令頃まではワムシ、アルテミ
ア、甲殻類プランクトンなどの生物餌料のみを給与する
か、またはそのような生物餌料を主としそれに少量の配
合飼料を組み合わせたものを給与し、孵化後40日令を
過ぎた時点で生物餌料の全部を配合飼料に切り換える
か、または飼料の大半を配合飼料に切り換えて魚類の稚
仔を飼育して、種苗を得る方法が好ましく採用される
が、そのような飼育を行うに当たって、生物餌料の給与
と共に、薬剤を、上記半日〜4日の間隔をあけて、添加
時の飼育水中での薬剤濃度が1〜10ppmとなる量
で、孵化後40日令まで飼育水中に断続的に添加して魚
類の稚仔の飼育を行うものである。
【0012】そして本発明では、上記した魚類の稚仔の
飼育を流水中で行うのがよく、それによって残留した飼
料が腐敗して飼育環境を悪化させたり、病気などが発生
するのを防止することができる。その場合の流水条件と
しては、魚類の稚仔を飼育する水槽、養殖池などの飼育
水域の水の全量が1/4日〜1日で入れ換わるようにし
て新しい水を飼育水域に常時供給すると同時にそれと同
量の水を飼育水域から常時排出させるようにして行うの
が好ましく、飼育水域の水の全量が約半日〜1日で入れ
換わるようにした流水中で飼育を行うのがより好まし
い。
【0013】また、飼育水中に添加する薬剤としては、
人工種苗法によって魚類の種苗を得るに当たって、魚類
の稚仔、特に孵化後40日令までの稚仔において細菌、
ウイルス、その他の病原微生物によって引き起こされる
病気に対して有効な薬剤であればいずれも使用でき、抗
菌剤、抗ウイルス剤、抗カビ剤などを使用することがで
き、薬剤は化学合成により得られた医薬であっても抗生
物質であってもよい。そのうちでも、薬剤としてニフル
スチレン酸ナトリウム、オキソリン酸、スルファモノト
キシンおよびスルファモノトキシンナトリウムから選ば
れる1種または2種以上を使用するのが好ましく、特に
ニフルスチレン酸ナトリウムを用いるのが好ましく、こ
れらの薬剤を用いた場合には孵化後40日令までの稚仔
に多発している上記した腹部膨満症などの病気を確実に
予防することができる。
【0014】薬剤は受精卵からの孵化後直ちに飼育水中
に添加してもよい。しかしながら、ヒラメ、マダイなど
の人工種苗法による稚仔は、通常孵化後3〜4日令頃ま
では稚仔の口は閉じたままになっていて餌や水を摂取し
ないことが多く、そのため生物餌料の最初の給与もそれ
に合わせて通常孵化後3〜4日令頃に行われるので、飼
育水中への薬剤の最初の添加を、生物餌料の最初の給与
が行われる時点に合わせて、孵化後3〜4日令頃、また
はそれよりも多少(約5〜12時間位)前の時点または
後の時点に行うのが薬剤を無駄にせずに有効に利用する
ことができ好ましい。
【0015】薬剤の飼育水中への添加間隔は、飼育する
魚類の種類、給与する生物餌料の種類、稚仔の日令など
に応じて、上記した半日〜4日のうちから適宜選択する
ことができるが、薬剤の添加間隔を2日〜3日とするの
が好ましい。薬剤の添加間隔が4日よりも長いと、すな
わちある時点で薬剤を添加した後4日よりも長く経って
から次の薬剤添加を行った場合には、腹部膨満症などの
病気の発生を効果的に防ぐことができなくなる。一方、
薬剤の添加間隔が半日よりも短くしても腹部膨満症など
の病気の発生の予防にはそれ以上効果が上がらず、むし
ろ薬剤を度々添加しなければならず手間がかかり、しか
も薬剤の過剰添加になり、稚仔にストレスがかかる。
【0016】薬剤の飼育水中への添加間隔は、上記した
半日〜4日以内の添加間隔である限りは、最初の添加か
ら孵化後40日令に至る最後の添加まで同じ間隔であっ
ても、または異なっていてもよい。薬剤の添加を忘れた
り間違えたりせずに確実に行うことができ、しかも腹部
膨満症などの病気を確実に防ぐためには、最初の添加か
ら最後の添加まで同じ間隔をあけて添加するのが好まし
い。
【0017】また、飼育水中への薬剤の添加量は、上記
したように、薬剤の添加時点における飼育水中での薬剤
濃度が1〜10ppmになる量とすることが必要であ
り、1〜5ppmであるのが好ましく、1〜3ppmで
あるのが更に好ましい。薬剤の添加量が1ppm未満で
あると、生物餌料中に含まれる細菌やウイルスなどによ
って引き起こされる病気の予防や治療に効果がない。一
方、10ppmを超えると、飼育水中における薬剤濃度
が高くなり過ぎて充分な抵抗力を未だ有していない魚類
の稚仔に逆にストレスやその他の悪影響を及ぼすことに
なり、摂餌性が低下して健全な発育を妨げることにな
る。飼育する魚類の種類、給与する生物餌料の種類、稚
仔の日令などに応じて、1〜10ppmのうちから適当
な添加量を選択するとよい。
【0018】薬剤の飼育水中への添加量は、上記した1
〜10ppm範囲内である限りは、最初の添加から孵化
後40日令に至る最後の添加まで同じ添加量であって
も、または異なっていてもよい。一般に、薬剤の添加間
隔が短い場合には薬剤の添加量を少なくし、薬剤の添加
間隔が長い場合には薬剤の添加量を多くすると、薬剤の
過剰添加を防止することができる。
【0019】また、薬剤の飼育水中への添加は、上記し
たように孵化後40日令まで行われるが、これはヒラメ
やマダイなどの人工種苗法により種苗が行われる魚類の
ほとんどにおいて、孵化後40日令頃まで生物餌料また
は生物餌料から主としてなる飼料が給与されることによ
る。しかしながら、魚や貝の種類によっては、生物餌料
が給与される期間が、孵化後40日令よりもかなり短い
もの、逆に孵化後40日令よりもかなり長いものもある
ので、その場合には、それぞれの魚類における生物餌料
の給与期間に合わせて、半日〜4日の間隔をあけて、添
加時の飼育水中での薬剤濃度が1〜10ppmとなる量
で、薬剤を断続的に飼育水中に添加するとよい。
【0020】飼育水中への薬剤の添加方法は特に制限さ
れず、薬剤を飼育水中に短時間に均一に混合して分散ま
たは溶解させ得る方法であればいずれも採用できる。特
に、薬剤を予め少量の水に溶解または分散させておい
て、それを飼育水中に添加すると、薬剤を極めて短時間
に飼育水域全体に均一に溶解または分散させることがで
き望ましい。その場合の薬剤の使用量は、稚仔を飼育し
ている水槽や養殖池などの飼育水域における水の全容量
から簡単に算出することができる。
【0021】本発明の方法は、人工種苗が可能な魚類、
例えばヒラメ、マダイ、シマアジ、コイ、フナ、キンギ
ョ、クルマエビなどのいずれに対しても有効であり、特
にヒラメおよびマダイに対して有効である。
【0022】本発明の飼育方法を行うに当たっては、魚
類の稚仔が孵化後40日令になるまで、上記した方法で
薬剤を飼育水中に添加すること以外は、特に制限され
ず、魚類の種類などに応じて従来既知の人工種苗法にお
ける稚仔の飼育方法が採用できる。また、孵化後40日
令を経過した後の魚類の飼育は常法にしたがって行うこ
とができ、何ら制限されない。
【0023】
【実施例】以下に実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はそれにより限定されない。
【0024】《実施例 1》 (1) 容量が1000リットルの水槽を準備し、この
水槽に海水(温度19℃)を、水槽中における海水量が
常に900リットルに保たれるようにして導入した。な
お、水槽へは水槽中の海水の全量が1日当たり1回の割
合で新しい海水で置換されるような流速で新しい海水を
常時供給すると共にそれと同量の海水を水槽外に常時排
出させて、流水状態の飼育環境を形成して、この飼育試
験が終了するまで同じ流水飼育環境を保った。 (2) 上記(1)で準備した水槽中にヒラメの受精卵
を2万粒導入した後、海水温度を19℃に保ちながら流
水下に給餌することなく3日間保って孵化させた。
【0025】(3) 水槽中のヒラメ稚仔に、孵化後5
日令から、ビブリオ属、シュードモナス属などのグラム
陰性菌を保有していることが予め確認された生きたワム
シを450万個体/回の給与量で1日に2回の割合で孵
化後20日令まで給与すると共に、孵化後13日令から
40日令までは、ビブリオ属、シュードモナス属などの
グラム陰性菌を保有していることが予め確認された生き
たアルテミアを100万個体/回の給与量で1日に2回
の割合で給与した。 (4) 上記(3)の生物餌料の給与と併せて、孵化後
5日令から38日令まで3日置きに12回に分けて(す
なわち孵化後5、8、11、14、17、20、23、
26、29、32、35、38日令の時点に)、少量の
水に溶解したニフルスチレン酸ナトリウムを、添加時の
ニフルスチレン酸ナトリウムの飼育水中での濃度が最初
の9回の添加時点(5日令〜29日令までの添加時点)
ではそれぞれ1.5ppmで、最後の3回の添加時点
(孵化後32日令、35日令、38日令の時点)では2
ppmになるようにして添加した。
【0026】(5) 次いで、孵化後40日令以降は日
令に応じて配合飼料(日清製粉株式会社製;おとひめB
2,1号,2号)のみを、5〜20g/回の給与量で1
日に5回の割合で給与して70日令まで飼育を行ってヒ
ラメの種苗を得た。 (6) その結果、孵化直後から生物餌料の給与期間中
(孵化後40日令まで)に病気の発生および斃死などの
トラブルがなく、孵化後60日令でのヒラメの生存率は
90%であって極めて高い生存率を示した。孵化後60
日令のヒラメの稚仔の平均体長は約3cmであり、発育
状態も良好であった。
【0027】《比較例 1》実施例1で用いたのと同様
の水槽を別に1個準備して実施例1と同じ流水状態での
飼育環境を整え、実施例1で用いたのと同様のヒラメの
受精卵2万粒を水槽に入れて、実施例1の飼育試験と同
じ時期に、実施例1で用いたのと同じ生物餌料および配
合飼料を用いて、ニフルスチレン酸ナトリウムの飼育水
中への添加を全く行わなかった以外は実施例1と全く同
様にして、ヒラメの稚仔の孵化および飼育を行った。そ
の結果、孵化後13日令以降に腹部膨満症が多発して、
ヒラメの稚仔が大量に斃死し、孵化後60日令での生存
率はわずかに12%であった。また、孵化後60日令に
生存していたヒラメの稚仔の平均体長は約2.5cmで
あり、実施例1のヒラメ稚仔に比べて体長が短かった。
この比較例1において孵化後15日令の時点で斃死した
ヒラメの稚仔を擂り潰し、下記の広島大学 室賀らの方
法(「昭和61年度日本魚病学会シンポジウム第14
頁」)に準じて検査したところ、ビブリオ属、シュード
モナス属などのグラム陰性菌が多数検出された。
【0028】斃死したヒラメ稚仔体内の細菌検査:斃死
したヒラメ稚仔20尾をとり、0.1%塩化ベンザルコ
ニウム液に1分間浸漬した後水道水で30秒間水洗して
ヒラメ稚仔の体表および鰓表面に付着している細菌を除
去した後、ホモジナイザーにより擂り潰した。これを希
釈して試料を調製した後、試料の一部をZoBell 221
6eおよびBTBティポール寒天培地に接種して25℃
で2日間培養した。培養後に全集落数を数えるととも
に、各試料毎に5、6株の優占種を培地上から選び出し
て、性状検査に供して、それぞれの種の判別を行った。
【0029】上記した実施例1の結果およびこの比較例
1の結果から、ヒラメの稚仔の飼育水中に孵化後40日
令までの時点に3日毎に薬剤(ニフルスチレン酸ナトリ
ウム)を15ppmまたは20ppmの添加時水中濃度
になるようにして間隔をあけて添加した実施例1の場合
には、給与した生物餌料に含まれる病原菌への感染がな
く、稚仔を高い生存率で健全に育成できること、それに
対して薬剤の添加を行わなかった比較例1の場合は生物
餌料中に含まれる病原菌へのヒラメ稚仔の感染が大き
く、腹部膨満症などの病気が多発し斃死率が極めて高
く、ヒラメ稚仔の生育も劣っていることがわかる。
【0030】
【発明の効果】本発明の飼育方法による場合は、人工種
苗法によって魚類の稚仔を飼育するに当たって、生物餌
料に含まれる細菌などの病原微生物に魚類の稚仔が感染
して発病することを確実に且つ完全またはほぼ完全に防
ぐことができ、高い生存率を保つことができる。そし
て、本発明の方法による場合は、半日〜4日の間隔で、
上記した所定量の薬剤を魚類の稚仔の飼育水中に添加す
るという極めて簡単な作業で、魚類の稚仔における病気
の予防や治療を行うことができる。更に、本発明の方法
による場合は、薬剤を使用しているにも拘わらず、薬剤
による魚類の稚魚へのストレスやその他の悪影響がな
く、魚類の稚仔を順調に生育させることができ、健全な
種苗を得ることができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 人工種苗法によって魚類の稚仔を飼育す
    るに当たって、孵化した魚類の稚仔を飼育する水中に薬
    剤を断続的に添加しながら稚仔の飼育を行い、前記した
    薬剤の断続的な添加を、半日〜4日の間隔をあけて、添
    加時の飼育水中での薬剤濃度が1〜10ppmとなる量
    で、孵化後40日令になるまで行うことを特徴とする魚
    類の稚仔の飼育方法。
  2. 【請求項2】 魚類の稚仔の飼育を流水中で行う請求項
    1の飼育方法。
  3. 【請求項3】 魚類の稚仔を飼育する水域の水の全量が
    1/4日〜1日で入れ換わるようにして新しい水を水域
    に常時供給すると同時にそれと同量の水を水域から常時
    排出させるようにした流水中で魚類の稚仔を飼育する請
    求項2の飼育方法。
  4. 【請求項4】 薬剤がニフルスチレン酸ナトリウム、オ
    キソリン酸、スルファモノメトキシンおよびスルファモ
    ノメトキシンナトリウムから選ばれる1種または2種以
    上である請求項1〜3のいずれか1項の飼育方法。
  5. 【請求項5】 魚類がヒラメまたはマダイである請求項
    1〜4のいずれか1項の飼育方法。
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Cited By (11)

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