JP2017000085A - 海産養魚の外部寄生虫防除方法 - Google Patents

海産養魚の外部寄生虫防除方法 Download PDF

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Abstract

【課題】海産養魚、特に我が国において水産用医薬品の使用が制限される養殖対象種に対して、食の安全性確保や持続的養殖生産の観点から、安全かつ効果的に使用可能な外部寄生虫症の防除方法を提供すること。
【解決手段】海産養魚を、カテキン類を真水に溶解した溶液に浸漬することを特徴とする海産養魚の外部寄生虫防除方法および海産養魚稚魚を、前記溶液に浸漬し、次いで当該稚魚を飼育することを特徴とする海産養魚の飼育方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、海産養魚の外部寄生虫症を防除する方法およびこの方法を利用する海産養魚の飼育方法に関する。
近年水産業における水産養殖の重要性が増しつつある。この水産養殖とは、一定の範囲で専有した水域において、自己所有の水産生物の生活と環境を積極的に管理することによって飼育対象種の成長をはかり、目的とする大きさにまで育成する生産方式である。
この水産養殖により、水産生物の安定した収穫が図れるようになるが、一方ではこれに伴う問題も生じていた。すなわち、上記のような人為的制限環境下において水産生物を飼育すると、自然の水圏では普通みられない様々な障害が発生し、ときに産業規模で大きな被害を生じることもあった。
これらの障害のうち、病因によって生体の形態や機能が正常な状態から逸脱した状態を病気といい、水産養殖においては内因性と外因性の原因体が知られ、うち外因性のものは環境因子と食餌因子および寄生因子に大別される。
寄生因子による病気のうち、海産養魚の鰓、表皮、鰭などに寄生する外部寄生虫を原因とする病気は、有機スズ化合物系漁網防汚剤の使用が禁止された1980年代以降、多くの養魚で被害を与える原因となっており、その健全な育成に多くの病害を及ぼしている。この外部寄生虫の代表的なものとしては、扁形動物門に分類される単生虫(例えば、Diplectanum sp.など)を挙げることができる。
単生虫は、ハダムシ、エラムシ等とも呼ばれ、宿主である魚類の表皮や鰭または鰓に寄生し、上皮組織の摂取や鰓組織からの吸血を行うため、寄生刺激による患部の組織増生や粘液分泌過多、貧血、食害による組織の損傷と呼吸障害および摂餌不良などの害作用を生じる原因となる。また、損傷した組織周辺は宿主の生体防御能力が著しく低下し、病原性細菌やウイルスなどの侵入門戸となるため、様々な二次感染症が生じやすくなる。
この単生虫は、虫卵から成虫に至る成長段階のいずれにおいても中間宿主を必要としないことから、一度水域に侵入すると、速やかに定着し、その後、完全に駆虫することが極めて困難な外部寄生虫である。また、閉鎖性が高く、虫卵が滞留しやすい環境では、ときに大量発生する場合がある。特に、網生簀を用いて占有した天然水域で行われる海面養殖環境下では、飼育対象種に寄生した虫体から産出された虫卵が網地に付着し、生簀内に滞留しやすいだけでなく、生簀周辺に生息する天然の水産生物由来の虫卵も絶えず供給されるため、大量寄生の発生による病害が継続的に生じやすい。中でも、病原因子に対する生体防御能力が未熟な稚魚期に深刻な被害を与えることから、海面養殖開始初期に生じる減耗の大きな要因となっている。
ところで、海産養魚のうち、高級食材として知られるハタ科魚類は、天然資源量が極めて少なく、養殖用種苗の大部分を人工種苗に依存している。近年の人工種苗生産技術の飛躍的発展によって、安定した種苗供給体制が整いつつあり、特に東アジアや東南アジア諸国を中心として養殖生産量が著しく増大している。水産生物の人工種苗生産技術において、世界的にも卓越した技術と対象生物種数を誇る我が国においても、ハタ科魚類を代表とする市場価値の高い魚種は、これからの重要な養殖対象種として位置づけられており、持続可能な生産体制の構築を目指し、多くの魚種で様々な増養殖事業が展開されている。
前記のような我が国の海産養魚で生じる外部寄生虫症単生虫病の治療方法として、駆虫効果のある化学薬品を使った経口投与(特許文献1・非特許文献1)や薬浴(特許文献2、3)および真水に浸漬することによって虫体を除去する淡水浴が一部の魚種、一部の単生虫で利用可能である(非特許文献2)。また、主に外部寄生虫症の防除および予防方法として、オゾンガス発生装置(特許文献4)や特殊構造の生簀網(特許文献5)を用いた物理的手法によるもの、天然成分由来の組成物を用いた経口または薬浴法(特許文献6、7、8、9、10)が考案されている。
しかしながら、薬事法によって、国内における製造販売および使用が制限される水産用医薬品を使用する場合、各薬品の適応症に該当する外部寄生虫症は極めて限定的であり、多種多様な海産養魚と、それらに寄生する全ての種に対して使用可能な抗寄生虫薬剤は存在しない。
また、駆虫効果のある化学薬品や生薬の中には、飼養魚に対する毒性や人体に及ぼす影響および養殖場周辺環境への排出による影響について必ずしも解明されているとはいえない物質が含まれていることがあり、食用に供することを目的とし、天然水域の一部を専有して生産される養殖魚に使用するには好ましくない性質を有する場合がある。
さらに、物理的手法を使用する場合、一般的な養殖設備とは異なる特殊構造の設備を新設する必要があり、その使用にともなう施設管理費用の増大が生じるため、我が国の水産養殖業経営体の大部分を担う小規模経営体での導入は実質困難と言わざるを得ない。
さらにまた、天然成分由来の組成物を用いた経口または薬浴法の使用は、適用可能な飼育対象魚種や寄生体の制限または用いる課題解決手段の相違によって、必ずしも海産養魚の外部寄生虫症に対する防除方法として適切でない場合もある。
特開2013−79268号公報 特開平6−46708号公報 特開2008−295311号公報 特開平9−94036号公報 特開2012−29581号公報 特開2000−281568号公報 特開2004−307346号公報 特開2006−28072号公報 特開2012−5498号公報 特開2006−219478号公報
岡部景子、「経口投与タイプの魚類の寄生虫駆除剤ハダク リーン」、動薬研究、2000年8月、60号、1−12 江草周三監、若林久嗣、室賀清邦編、「魚介類の感染症・ 寄生虫病」、初版、恒星社厚生閣、2004年10月、第7章
本発明の課題は、海産養魚、特に我が国において水産用医薬品の使用が制限される養殖対象種に対して、食の安全性確保や持続的養殖生産の観点から、安全かつ効果的に使用可能な外部寄生虫症の防除方法を提供することである。
本発明者は、飼養魚の健全性を維持発展させ、かつ食品としての安全性を確保し、化学薬品使用による環境汚染防止をはかる観点から、天然成分を用いた海産養魚の寄生虫防除方法に関し検討を行っていたところ、茶抽出物等に含まれるカテキン類が海産養魚の外部寄生虫症の防除に有効であることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、海産養魚を、カテキン類を真水に溶解した溶液に浸漬することを特徴とする海産養魚の外部寄生虫防除方法である。
また本発明は、海産養魚稚魚を、カテキン類を真水に溶解した溶液に浸漬し、次いで当該稚魚を飼育することを特徴とする海産養魚の飼育方法である。
更に本発明は、海産養魚の外部寄生虫の脱落ないし駆除のためのカテキン類の使用である。
本発明により、海産養魚に寄生する単生虫等の外部寄生虫を防除することができ、この外部寄生虫による病害低減による減耗抑制を通じて海産養魚の効率よい飼育を行うことができる。
また、本発明で使用するカテキン類は、海産養魚の健全性と食品としての安全性に悪影響を与えず、養殖環境周辺への薬物汚染も起こさないため、外部寄生虫防除方法として極めて安全性の高いものである。
本発明の海産養魚の外部寄生虫防除方法は、海産養魚を、カテキン類を真水に溶解した溶液(処理水)に浸漬することで鰓、表皮または鰭に寄生する外部寄生虫を防除するものである。なお、本明細書において、「防除」とは、海産養魚の外部寄生虫を寄生患部から脱落ないし駆除し、その病害の発生を未然に防ぐことによって、飼養魚全体の健全性を維持増進させることを意味する。また、本明細書において、「処理水」とは、外部寄生虫症罹患魚を浸漬するため、一定容量の容器に海産養魚の飼育環境水とは異なる真水を一時的に貯留し、所定の濃度となるようにカテキン類を溶解させた水溶液、すなわち、カテキン類を真水に溶解した溶液を意味する。
本発明の防除方法の適用対象魚種は、海産養魚全般であるが、特に我が国において水産用医薬品の使用が制限される養殖対象種に適用することが好ましい。
具体的には、例えば、ハタ科魚類(ヤイトハタ、スジアラ、タマカイ、チャイロマルハタ、クエ、マハタ、キジハタ、オオモンハタ、サラサハタなど)、ハマフエフキ、スギ、メバル、タケノコメバル、ウスメバル、キツネメバル、カサゴ、オニオコゼ、マガレイ、マコガレイ、マツカワ、ホシガレイ、ウマヅラハギ、カワハギなどが挙げられる。また、現在広く行われている養殖の対象種のうち、外部寄生虫症による被害が頻発するブリ属魚類(ブリ、カンパチ、ヒラマサなど)、ヒラメ、トラフグ、マダイなども含まれる。なお各対象魚種の適用時期は、稚魚から成魚のいずれの時期であってもよい。
本発明の防除方法は、真水にカテキン類を溶解した溶液(処理水)を利用する。この処理水の調製に使用するカテキン類としては、カテキンのみならず、その誘導体等これに関連する化合物を意味する。
このカテキン類には、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピガロカテキンガレート等一般にカテキン類と呼ばれるものが含まれ、これらはそれぞれ単離されたものを利用しても良いが、入手の容易性等から、カテキン類の混合物を利用することが好ましい。
このカテキン類の混合物としては、具体的にカテキン類を多く含む、茶等の植物の抽出物、特に、緑茶の抽出物を利用することが好ましい。この緑茶の抽出物は、いわゆる緑茶の葉に、水等の水性溶媒、特に熱湯を作用させた場合に、その成分として溶出するものである。この緑茶抽出物は、既に、太陽化学社などからサンフェノン(カメリアエキス)等の名称で市販されているので、これらを利用しても良い。また、茶抽出物の形態は、粉末状、顆粒状、固形状および液状のいずれの形態でもよいが、処理水への分散性と作業場への運搬利便性および保存性の点で粉末状がより好ましい。
これらカテキン類は、真水中に加え、十分に撹拌、溶解されて処理水とされる。この真水としては、水道水、井戸水、イオン交換水等を利用できる。なお、真水に代えて海水を利用する場合は、処理水中で懸濁物や沈殿物が生じてしまい、効果が低下する場合があるのと同時に、処理中に魚の様子が確認しにくくなるので、作業性や処理魚に対する安全性の点からも好ましくない。
上記処理水中でのカテキン類の濃度は、本発明の効果が奏され、かつ飼養魚の健全性に悪影響を及ぼさない限り、特に限定されるものではない。しかし、いたずらに高濃度で使用した場合には、不都合な副作用が生じることもありえる。なお、使用する処理水のカテキン類濃度を低くした場合は、後記する浸漬時間の範囲内で、より長い浸漬時間に設定することが好ましく、濃度を高くした場合は、より短い浸漬時間に設定することが好ましい。
具体的な処理水中のカテキン類の濃度は、0.01から1質量%(以下、「%」という)程度、好ましくは、0.01から0.2%程度である。これは、カテキン類を20%含む、一般の緑茶抽出物(乾燥重量)として、0.05から5%程度、好ましくは、0.05から1%程度に対応する。
また、浸漬に用いる処理水の温度は、飼育対象種の環境水温と同等であることが好ましい。この処理水の温度が環境水温より高い場合は、浸漬時間を後記の所定時間の範囲内でより短い時間に設定することが好ましく、処理水温度が低い場合はより長い時間に設定することが好ましい。
この処理水を利用し、対象海産養魚から外部寄生虫を防除するには、カテキン類を上記濃度で含んだ処理水中に対象の海産養魚を所定時間、例えば、1ないし30分間程度、好ましくは、1ないし15分間程度、更に好ましくは1ないし5分間程度浸漬すればよい。
この浸漬は、一度であっても良いが、より優れた効果を上げるには、最初の浸漬から所定期間経過後に複数回繰り返し行うことが好ましい。これにより、効率的に寄生部位から外部寄生虫を脱落せしめ、駆除することができる。
上記の浸漬処理工程を繰り返し行うまでの所定期間(間隔)は、3〜14日間以内、好ましくは3〜7日間以内、さらに好ましくは5〜7日間以内である。また、上記の繰り返し処理回数は、2〜7回以内、好ましくは2〜5回以内であり、さらに好ましくは2〜4回以内である。これにより飼養魚の健全性に悪影響を与えずに外部寄生虫を除去し、これに基づく症状を改善できる。
上記した本発明の防除方法の主な対象寄生虫は、海産養魚の鰓、表皮、鰭などに寄生する外部寄生虫、特に扁形動物門に分類される単生虫(例えば、Diplectanum sp.など)である。なお、カテキン類を含む茶抽出物は、抗菌性や抗ウイルス性および淡水魚の外部寄生虫症に対する防除効果を有することが報告されているが、この報告での淡水魚の外部寄生虫は、単細胞生物である原虫であり、また対象は、体重1g以下の稚魚である。これに対し、本発明方法が対象とする外部寄生虫は、扁形動物門に分類され、多細胞生物である単生虫であり、かつ50gを超えるような大型稚魚にあっても有効である。このように、上記報告と本発明は、防除の対象等が明らかに異なるものである。
次に、本発明の防除方法を用いた海産養魚の飼育方法について説明する。
前記したように海産養魚、例えば、ハタ類ではその稚魚の段階で単生虫等の外部寄生虫に寄生され、外部寄生虫症罹患魚となることが多い。そこで本発明の飼育方法では、稚魚の段階の海産養魚に、本発明の防除方法を施し、その後は、通常の方法により飼育し、仔魚から成魚にまで成長させる。
より具体的には、外部寄生虫症罹患魚を含む海産養魚稚魚を、処理水に、好ましくは所定の間隔で複数回繰り返し浸漬し、罹患魚の寄生部位から虫体を安全かつ効果的に脱落させることで、生簀に収容された飼養魚全体の寄生虫数を著しく低減させる。
そして、このように外部寄生虫数が減った海産養殖稚魚は、その後、通常の方法で飼育することにより、病原因子に対する生体防御能力が成長とともに向上するため、外部寄生虫による病害は低減し、海産養魚の減耗を大きく抑制することが可能となる。
以下、ハタ科魚類のうちヤイトハタと、それに寄生する単生虫(Diplectanum sp.)を対象とした実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの魚種および単生虫の種類に限定されるものではないことはいうまでもない。
実 施 例 1
処理水の調製
茶抽出物として、市販の太陽化学社製サンフェノン30S−OP(形態:粉末状/カテキン類含量約20%)を用いた。このものを、0.1、0.2、0.4%濃度(カテキン類の濃度として0.02、0.04、0.08%濃度)となるように0.1g単位で計量し、それぞれ水道水10リットルに撹拌しながら溶解させ、処理水とした。
実 施 例 2
外部寄生虫罹患魚の作出
(1)脱落効果の判定試験に用いるための外部寄生虫症罹患魚を、次の様にして人為的に作出した。まず、石垣島の魚類養殖場に設置した、外部寄生虫が定着する網生簀にヤイトハタ稚魚を沖出し、次いで単生虫ディプレクタナム・エスピー.(Diplectanum sp.)の寄生を受けたヤイトハタ稚魚7尾(平均体重:60g)を生きたまま研究室に持ち帰った。このヤイトハタの稚魚を、砂ろ過海水を掛け流し、22〜24℃に調温した容量50リットルの小型水槽に収容して人為感染水槽を設置した。
(2)大きさを選別後、サイズを揃えた日齢265日のヤイトハタ計44尾(平均体重:52g)を、人為感染水槽に適宜収容し、寄生攻撃環境下へ暴露することによって、実施例3と4に示す脱落効果の判定試験に用いる外部寄生虫症罹患魚を得た。
実 施 例 3
茶抽出物を用いた浸漬処理による単生虫の虫体脱落効果
実施例2(2)で得た罹患魚12尾(寄生攻撃期間:18日間)について、実施例1と同じ茶抽出物を用い、種々の濃度に調製した処理水への浸漬が、虫体の寄生数に及ぼす影響について検討した。
( 試験方法 )
実施例1の各処理水に、罹患魚をそれぞれ3尾ずつ収容し、5分間の浸漬処理を行った(茶抽出物処理区)。対照として、飼育環境水(海水)を処理水として使用し、同様の浸漬処理を行った区を設置した。処理後は、砂ろ過海水を毎分4リットル以上でかけ流した容量15リットルの小型水槽4面にそれぞれ収容し、24時間経過後における罹患魚1尾あたりの相対寄生虫数(平均寄生数より算出)を比較した。その結果を表1に示す。
Figure 2017000085
表1の結果より、本発明の浸漬処理方法により、ヤイトハタ稚魚に寄生した単生虫を脱落ないし駆除できることがわかる。また、茶抽出物の添加量が増加することにより、濃度依存的に脱落効果が高まることがわかる。
実 施 例 4
繰り返し浸漬法が与える虫体脱落効果への影響
実施例2で得た罹患魚32尾(寄生攻撃期間:24日間)を用いて、処理水への繰り返し浸漬法が与える虫体脱落効果への影響を検討した。
( 試験方法 )
実施例1の処理水のうち、比較的低濃度の茶抽出物処理区(0.2質量%濃度)と、対照として、茶抽出物を含まない水道水を使用した区に、罹患魚を各16尾ずつ分け、7日毎に5分間の浸漬処理を計4回実施した。浸漬処理後は、容量15リットルの小型水槽2面にそれぞれ収容し、毎分4リットル以上の流水環境で飼育した。飼育期間中は、マダイ用EP飼料を7日毎に飽食給餌した。
各処理実施24時間後に、両区より4尾を取り上げ、対照区の2回目の寄生虫数に対する罹患魚1尾あたりの相対寄生虫数を比較した。2回処理実施以降の結果を表2に示す。
Figure 2017000085
表2の結果より、本発明の浸漬処理方法を一定期間後に繰り返すことで、ヤイトハタ稚魚に寄生した単生虫を1回処理の場合と比較して、より効果的に脱落ないし駆除できることがわかる。また、対照区として淡水浴のみでの防除を行った場合と比較しても、極めて高い脱落効果が得られることが確認できた。
実 施 例 5
茶抽出物処理による虫体寄生数の低減および減耗抑制効果
ヤイトハタに寄生する外部寄生虫が定着する石垣島の魚類養殖場において、本発明による防除方法を用いた養殖試験を実施し、外部寄生虫症による病害の低減および飼養魚の減耗抑制効果を確認した。
( 試験方法 )
小割式海面生簀を用いて、ヤイトハタ稚魚計7,100尾(平均体重:39g)を茶抽出物処理と淡水浴を併用した試験処理区と淡水浴のみを実施した対照区に分け、飼育期間中の最大虫体寄生数と試験終了後の累積死亡率を比較した。試験処理区で使用した茶抽出物溶液の濃度は、0.2%(カテキン類の濃度として0.04%)に統一し、容量200リットルのポリエチレン製角型容器に貯留した150リットルの水道水に300gの茶抽出物(サンフェノン30S−OP)を添加して調整した。浸漬時間は、いずれの処理方法においても3分間とし、必要な場合は、酸素通気や処理水の入れ替えを行った。給餌は、全てマダイ用EP飼料を用いて行い、稚魚の発育段階に応じて適宜与える粒径と量を増大させた。試験は、各区の累積死亡率が80%以上に達するか、または飼育期間が180日以上に達するまで行った。得られた結果を表3に示す。
Figure 2017000085
表3に示したとおり、本発明の防除方法によってヤイトハタ稚魚に寄生した外部寄生虫を防除することで、淡水浴のみを実施した場合に比べ、明らかな虫体寄生数の低減が確認された。また、淡水浴のみを実施した対照区の累積死亡率が、比較的短期間で80%以上に達したのに対し、試験処理区では184日間の長期飼育においても40%以下の良好な成績であった。このことから、本発明による防除方法が稚魚期の減耗抑制に有効であるとともに飼養魚に対する病害を未然に防ぎ、その健全性を維持増進させることは明らかである。
本発明の防除方法は、海産養魚の外部寄生虫症を効果的に防除または治療するだけでなく、食の安全性に対する消費者意識の高まりや周辺海域の環境汚染にも配慮した新たな防除技術として注目されるものであり、多くの海産養魚の飼育事業、特に水産用医薬品の使用が制限される養殖対象種の飼育事業に大きく貢献することができるものである。

Claims (18)

  1. 海産養魚を、カテキン類を真水に溶解した溶液に浸漬することを特徴とする海産養魚の外部寄生虫防除方法。
  2. 海産養魚が、稚魚である請求項1記載の海産養魚の外部寄生虫防除方法。
  3. 海産養魚が、ハタ科魚類、ブリ属魚類、ハマフエフキ、スギ、メバル、タケノコメバル、ウスメバル、キツネメバル、カサゴ、オニオコゼ、マガレイ、マコガレイ、マツカワ、ホシガレイ、ウマヅラハギ、カワハギ、ヒラメ、トラフグおよびマダイよりなる群から選ばれた魚類である請求項1または2記載の海産養魚の外部寄生虫防除方法。
  4. カテキン類が、緑茶の抽出物に含まれるものである請求項1ないし3の何れかの項記載の海産養魚の外部寄生虫防除方法。
  5. 浸漬する溶液中のカテキン類の濃度が、0.01から0.2質量%である請求項1ないし4の何れかの項記載の海産養魚の外部寄生虫防除方法。
  6. 海産養魚の浸漬を、1ないし30分間行う請求項1ないし5の何れかの項記載の海産養魚の外部寄生虫防除方法。
  7. 海産養魚の浸漬を、2〜7回繰り返す請求項1ないし6の何れかの項記載の海産養魚の外部寄生虫防除方法。
  8. 海産養魚の浸漬を、3〜14日の間隔で繰り返す請求項1ないし7の何れかの項記載の海産養魚の外部寄生虫防除方法。
  9. 外部寄生虫が、単生虫である請求項1ないし8の何れかの項記載の海産養魚の外部寄生虫防除方法。
  10. 海産養魚稚魚を、カテキン類を真水に溶解した溶液に浸漬し、次いで当該稚魚を飼育することを特徴とする海産養魚の飼育方法。
  11. 海産養魚が、ハタ科魚類、ブリ属魚類、ハマフエフキ、スギ、メバル、タケノコメバル、ウスメバル、キツネメバル、カサゴ、オニオコゼ、マガレイ、マコガレイ、マツカワ、ホシガレイ、ウマヅラハギ、カワハギ、ヒラメ、トラフグおよびマダイよりなる群から選ばれた魚類である請求項10記載の海産養魚の飼育方法。
  12. カテキン類が、緑茶の抽出物に含まれるものである請求項10または11記載の海産養魚の飼育方法。
  13. 浸漬する溶液中のカテキン類の濃度が、0.01から0.2質量%である請求項10ないし12の何れかの項記載の海産養魚の飼育方法。
  14. 海産養魚稚魚の浸漬を、1ないし30分間行う請求項10ないし13の何れかの項記載の海産養魚の飼育方法。
  15. 海産養魚稚魚の浸漬を、2〜7回繰り返す請求項10ないし14の何れかの項記載の海産養魚の飼育方法。
  16. 海産養魚稚魚の浸漬を、3〜14日の間隔で繰り返す請求項10ないし15の何れかの項記載の海産養魚の飼育方法。
  17. 海産養魚の外部寄生虫の脱落ないし駆除のためのカテキン類の使用。
  18. カテキン類が、緑茶の抽出物に含まれるカテキンである請求項17記載のカテキン類の使用。

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