JP2007267634A - 根巻きシート - Google Patents
根巻きシート Download PDFInfo
- Publication number
- JP2007267634A JP2007267634A JP2006094950A JP2006094950A JP2007267634A JP 2007267634 A JP2007267634 A JP 2007267634A JP 2006094950 A JP2006094950 A JP 2006094950A JP 2006094950 A JP2006094950 A JP 2006094950A JP 2007267634 A JP2007267634 A JP 2007267634A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- roll
- sheet
- root
- area
- biodegradable resin
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Cultivation Receptacles Or Flower-Pots, Or Pots For Seedlings (AREA)
Abstract
【課題】根巻き作業を容易にするとともに、根巻きした幼木を移植するまで一時的に仮植しておいても幼木の生育を阻害することがなく、且つ、植栽地へ搬送する場合に再度根巻きをする必要がなく、そして、移植後には完全に生分解されて回収を必要としない根巻きシートを提供する。
【解決手段】坪量が40g/m2以上100g/m2以下の紙基材層2に、厚さが25μm以上50μm以下の生分解性樹脂層3を設けた積層シート4で構成し、前記生分解性樹脂層3のみを貫通する小孔5を設け、該小孔5の面積をシート全面積の20%以上60%以下とした。
【選択図】図2
【解決手段】坪量が40g/m2以上100g/m2以下の紙基材層2に、厚さが25μm以上50μm以下の生分解性樹脂層3を設けた積層シート4で構成し、前記生分解性樹脂層3のみを貫通する小孔5を設け、該小孔5の面積をシート全面積の20%以上60%以下とした。
【選択図】図2
Description
本発明は、造園等で樹木を移植する際に行われる根巻きに用いるシートに関するものである。さらに詳しくは、圃場で生育した樹木の力根や枝根の根本部分を残して切断した後、堀り起こした根回り(根鉢)に巻いて搬送時に土が落ちないように養生するシートであり、移植前の幼木を予め根巻きして1〜3ヶ月待機させる、いわゆる仮植しても幼木の生育を妨げることなく根鉢を保護し、移植する際には根巻きをやり直す必要がなく、移植後は土壌中の微生物などによって分解され回収を必要としない生分解性の根巻きシートに関する。
造園業者らは一度に多くの幼木を植栽するために、苗木を移植前に苗床から植木鉢へ移しかえて育成しつつ待機させる場合がある。このように植木鉢へ仮植する方法では、鉢にほとんど通気性がないので根部の呼吸作用が十分に行われず、また、鉢上部からの散水、施肥だけでは養分の吸収が不十分となるため根腐れ病で枯死する苗木も発生した。また、植木鉢へ移しかえた幼木を移植地へ移送する際には、植木鉢とともに搬送すると、鉢を破損するおそれがあるとともに重量や嵩のため多大な労力を要するので、一旦幼木を植木鉢から取り出して根鉢を藁と藁縄で梱包する根巻き作業を行った後、この幼木を搬送する。ここで、根巻き作業は、移植をし易くするとともに、搬送時の根鉢保護、移植後樹木が活着できるようにすることを目的として行われるが、樹木の力根や枝根の根本部分を残して切断して掘り上げ、根本の土をつけたままの根回り(根鉢)を藁などで梱包する作業であり、労力と極めて高い熟練度を必要とする作業である。
そこで、植木鉢への仮植や、根鉢の藁梱包による根巻き作業の煩わしさを軽減するために、ビニル袋に通水孔をあけた包装袋が使われてきたが、このようなものは根部の呼吸作用が不均一に行われ、さらに水分と養分が通水孔部分に集中するために、根の生育が不均等になり樹木の生長が遅いという不利が生じる。また、植栽する際には個々に包装袋より取り出す手間もかかった。また、藁に替えて新聞紙等で梱包することも行われたが、耐水性及び強靭性が十分ではないので、搬送中に破損し到底安全な梱包ができるものではなかった。
そこで、特許文献1では、ポリビニルアルコール繊維をクレープ紙で挟み込んだ柔軟で強靭であり易吸収性及び通気性も備えた根巻きシートが開示されている。また、特許文献2では、藁や紙などを用い、熟練者でなくとも根巻き作業が簡単にできる根巻きシートが開示されている。
しかし、一度に多くの植栽をする場合は、移植用に幼木を事前に準備するために、幼木を根巻きして通常1ヶ月〜3ヶ月待機させる、いわゆる仮植期間があり、前記特許文献1,2に記載の根巻きシートは、分解の早い紙や藁、麻袋などであるために、仮植期間に崩壊してしまい、移植する際に再度根巻き作業を必要とした。
一方で、近年、土壌中の微生物などにより分解されるものの分解速度が比較的遅く、フィルム、シート化が可能な生分解性プラスチックが注目され、この生分解性プラスチックと紙基材との複合材料として、例えば、特許文献3では紙基材に生分解性樹脂ポリマーをコーティングした農業用マルチシートが開示されている。しかし、生分解性樹脂ポリマー単体シートや紙基材へのコーティング、貼り合わせによる複合材料では生分解性樹脂シートに通水性がほとんどないため、根巻きした根鉢への養分、水分の供給が不十分で仮植中の生育が阻害されるという問題があった。
特開昭51−51446号公報
特開平6−253693号公報
特表2002−501740号公報
本発明の課題は、根巻き作業を容易にするとともに、根巻きした幼木を移植するまで一時的に仮植しておいても幼木の生育を阻害することがなく、且つ、植栽地へ搬送する場合に再度根巻きをする必要がなく、そして、移植後には完全に生分解されて回収を必要としない根巻きシートを提供することにある。
前記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、坪量が40g/m2以上100g/m2以下の紙基材層に、厚さが25μm以上50μm以下の生分解性樹脂層を設けた積層シートで構成されており、前記生分解性樹脂層のみを貫通する小孔が設けられ、該小孔の面積がシート全面積の20%以上60%以下であることを特徴とする。
請求項1に記載の発明では、通気性、通水性および生分解性を有する前記紙基材層に設けられた前記生分解性樹脂層のみを貫通する前記小孔の面積を、シート全面積の20%以上とすることにより、十分な通気性および通水性を得ることができ、一方で前記小孔の面積をシート全面積の60%以下とすることにより、前記生分解性樹脂層と前記紙基材層とを熱圧着させる場合における加工性を良好なものとすることができ、前記生分解性樹脂層が剥がれることを防止することができる。また、前記紙基材層の坪量を40g/m2以上とすることにより、強度を確保することができ、一方で坪量を100g/m2以下とすることにより、柔軟性を確保することができる。さらに、前記生分解性樹脂層の厚さを25μm以上とすることにより、強度を確保することができ、一方で厚さを50μm以下とすることにより、前記生分解性樹脂層と前記紙基材層とを熱圧着させる場合における加工性を良好なものとすることができる。さらにまた、前記紙基材層に、前記生分解性樹脂層を設けた積層シートで根巻きシートを構成することにより、コストを抑えつつ強度を確保することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の前記紙基材層が、JIS P 8113に規定の引張り破断伸びが縦方向、横方向のいずれもが10%以上である伸張紙よりなることを特徴とする。
請求項2に記載の発明では、JIS P 8113に規定の引張り破断伸びが縦方向、横方向のいずれもが10%以上である伸張紙を前記紙基材層として用いることにより、さらなる強度と柔軟性とを確保することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2のいずれかに記載の前記生分解性樹脂層のみを貫通する小孔が、ロール周面に設けた凸部の面積が前記ロール周面の面積に対して20%以上60%以下で、前記凸部の高さが0.5mm以上1.0mm以下であって、前記凸部の先端の面積が1mm2以上5mm2以下である彫刻ロールと弾性ロールとから成るエンボスロールを用いてエンボス処理することにより設けられたことを特徴とする。
請求項3に記載の発明では、面積がロール周面の面積に対して20%以上60%以下で、高さが0.5mm以上1.0mm以下であって、先端の面積が1mm2以上5mm2以下である凸部を有する彫刻ロールと弾性ロールとから成るエンボスロールを用いてエンボス処理することによって、前記生分解性樹脂層のみを貫通し、シート全面積の20%以上60%以下の面積の前記小孔を設けることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1,2または3のいずれかに記載された根巻きシートを製造する方法であって、ロール周面に設けた凸部の面積が前記ロール周面の面積に対して20%以上60%以下で、前記凸部の高さが0.5mm以上1.0mm以下であって、前記凸部の先端の面積が1mm2以上5mm2以下である彫刻ロールと弾性ロールとから成るエンボスロールを用いて、紙基材層上に生分解性樹脂層を設けた積層シートの前記生分解性樹脂層側を前記彫刻ロールと接するようにしてエンボス処理することを特徴とする。
請求項4に記載の発明では、前記紙基材層上に設けた前記生分解性樹脂層のみを貫通する小孔を有する請求項1,2または3のいずれかに記載された根巻きシートを得ることができる。
本発明によれば、柔軟性および強度を有する前記根巻きシートによって根巻き作業を容易に行うことができるとともに、十分な通水性を有するので根巻きした幼木を移植するまで一時的に仮植しておいても幼木の生育を阻害することがない。また、前記紙基材層に前記生分解性樹脂層を設けることにより、土壌中の微生物などにより分解されるものの分解速度が比較的遅いので、植栽地へ搬送する場合に再度根巻きをする必要がなく、そして移植後には完全に生分解される。
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明に係る根巻きシートの実施の形態の一例を示す平面図、図2は図1に示す根巻きシートの拡大断面図、図3は本発明に係る根巻きシートの製造方法の概略説明図である。
本発明に係る根巻きシート1は、坪量が40g/m2以上100g/m2以下の紙基材層2に、厚さが25μm以上50μm以下の生分解性樹脂層3を設けた積層シート4で構成されており、この積層シート4には前記生分解性樹脂層3のみを貫通する小孔5が設けられている。この小孔5の面積、すなわちこの小孔5の部分を全て合わせた面積は、シート全面積の20%以上60%以下となっている。
前記紙基材層2は、原料として木材パルプ、非木材パルプ、古紙パルプなど、通常の製紙原料を用いて抄紙された紙であって、クレープ処理やクルパック処理、或いは適度に叩解された天然パルプ、或いはこれに一種以上の合成繊維を混合した原料で抄紙された紙匹を、例えば特表平11−509276号公報に記載されているような収縮付与装置によって収縮処理して製造された、いわゆる伸張紙が、強度と柔軟性がある点で適している。好ましくは、前記紙基材層2は、JIS P 8113に規定の引張り破断伸びが縦方向(MD方向)、横方向(CD方向)のいずれもが10%以上である伸張紙である。
また、伸張紙として、特開2004−3071号公報に記載の方法によって得られる伸張紙が、縦方向および横方向のいずれもが20%以上の高い引張り破断伸びを有することから、これを好適に用いることができる。ここで、この伸張紙について具体的に説明する。この伸張紙は、適度に叩解された天然パルプ、或いはこれに一種以上の合成繊維を混合した原料で抄紙された紙匹の水分を20〜50%に調整した湿紙を、ロール周面の周方向に沿った溝をロールの幅方向に所定の間隔をあけて設けた硬質ロール(図示省略)とロール周面が平担な軟質ロール(図示省略)とからなる一対のプレスロール(図示省略)を備え、加圧下で前記硬質ロールの周速度に対して軟質ロールの周速度が遅くして回転するようにした収縮付与装置(図示省略)に通紙して紙匹を収縮させ、処理後に乾燥させることによって得られる。前記収縮付与装置において、前記硬質ロールの前記周方向に沿った溝は、ロール幅方向に0.5mm〜3.0mmの間隔で、幅0.3mm〜1.5mm、深さ0.5〜2.0mmであることが好ましい。また、前記硬質ロールと軟質ロールとの線圧は、100〜700N/cmの範囲が好ましく、さらに軟質ロールの周速度が硬質ロールの周速度に対して50〜95%の範囲であることが好ましい。
前記紙基材層2に使用するパルプとしては、針葉樹や広葉樹を用いた木材パルプ、ケナフやバガスなどの非木材パルプ、古紙パルプなど通常の製紙原料であれば特に制限するものではないが、汎用性等の点から木材パルプの使用が好適である。木材パルプとしては、クラフトパルプ等の化学パルプ、砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ等の機械パルプが用いられる。これらの木材パルプの叩解度は、強度、抄紙性などを鑑みカナダ標準濾水度(CSF)250〜450ml、より好ましくはCSF300〜450mlである。
また、前記紙基材層2には必要に応じて、定着剤、サイズ剤、乾紙紙力剤、湿潤紙力剤、填料、歩留り向上剤、染料等の内添薬品、表面サイズ剤、表面紙力剤、染料、顔料等の外添薬品の添加付与が可能である。
前記紙基材層2の坪量としては、40g/m2以上100g/m2以下であることが必須である。坪量が40g/m2未満では、根巻き作業時に土壌の水分により前記根巻きシート1の強度が低下し破れ易くなる。一方で、坪量が100g/m2を超えると、前記根巻きシート1が硬くなり柔軟性が劣るため、根巻き作業での根鉢への密着性が劣り、根の活着が悪化してしまう。
本発明に係る根巻きシート1は、前記紙基材層2と前記生分解性樹脂層3とを積層した前記積層シート4で構成されているが、前記紙基材層2を有さず、前記生分解性樹脂層3のみの構成とした場合、この生分解性樹脂層3に前記小孔5を設けると強度が低下して根巻き作業性が低下し、一方で強度を維持するために前記生分解性樹脂層3を厚くすると、腰が強くなり過ぎて根巻き作業性が低下するとともにコスト高となってしまう。したがって、前記紙基材層2と前記生分解性樹脂層3とを積層した前記積層シート4で前記根巻きシート1を構成することにより、コストを抑えつつ強度および根巻き作業性が確保される。
次に、本発明で用いる前記生分解性樹脂層3に用いられるものとしては、土壌中の微生物などによって分解される脂肪族ポリエステル樹脂が好適であるが、これ以外でもシートフィルム化が可能な樹脂であれば特に限定されるものではない。この生分解性の脂肪族ポリエステル樹脂は微生物産生と化学合成に大別され、前者としてはバクテリアにプロピオン酸/グルコースを炭素源とした発酵合成により得られるポリヒドロキシブチレート/バリレート共重合体(PHB/V)が、後者としてはポリカプロラクトン(PCL)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリ乳酸(PLA)などがあり、その分解機構は酵素分解型と非酵素分解型に分けられる。本発明で用いる生分解性樹脂としては、ポリ乳酸が加工適性、生分解性挙動などの面で好適である。
前記生分解性樹脂層3の厚さは紙基材との熱圧着加工性とフィルム強度、価格を鑑み、25μm以上50μm以下であることが必須である。前記生分解性樹脂層3の厚さが25μm未満では、樹脂層の強度が低いためエンボス工程で破れ易く、また、前記生分解性樹脂層3の厚さが50μmを超えると、前記紙基材層2との熱圧着が不十分となるため加工速度を低下させなくてはならず、いずれも生産性が低下し、製造コストが高くなるため実用性に問題がある。
前記紙基材層2に前記生分解性樹脂層3を設ける方法としては、生分解性樹脂の押し出しラミネート加工や生分解性樹脂エマルジョンをエアーナイフコーター、グラビアコーターで塗工する方法、生分解性樹脂フィルムを接着剤を介して貼り合わせる方法等があるが、本発明に係る根巻きシート1の好ましい製造方法は、紙基材と生分解性樹脂フィルム個々の巻き取りを繰り出して重ね、エンボスロールのニップを通過させることによって熱圧着し前記根巻きシート1を得る方法、すなわちエンボス処理することによって前記根巻きシート1を得る方法であり、この方法について、図3に基づいて説明する。
図3において、エンボス装置6は、一般的な一対の彫刻ロール7と弾性ロール8とからなるプレスロール装置であって、前記彫刻ロール7が加温できる構造となっている。そして、前記紙基材層2となる紙基材シート9を巻き取ったロール10と、前記生分解性樹脂層3となる生分解性樹脂フィルム11を巻き取ったロール12から、それぞれ前記紙基材シート9と前記生分解性樹脂フィルム11とを繰り出して重ね、前記彫刻ロール7および前記弾性ロール8のニップを通過させて熱圧着させることにより、前記根巻きシート1が得られ、この根巻きシート1がロール13に巻き取られる。
本発明で用いる前記彫刻ロール7のロール周面に形成された凸部(図示省略)は、その面積が、ロール周面の面積に対して20%以上60%以下で、その高さが0.5mm以上1.0mm以下であって、凸部先端の面積が1mm2以上5mm2以下である。凸部先端は四角錐、三角錐、円錐等の形状であればよい。また、前記凸部は千鳥状あるいは格子状に配列されたものであって、前記彫刻ロール7の表面温度は生分解性樹脂の融点より30〜50℃程度低く設定することが望ましい。
本発明の製造方法によれば、前記紙基材シート9と前記生分解性樹脂フィルム11とを繰り出して重ねたシートの前記生分解性樹脂フィルム11側が、加熱された前記彫刻ロール7と接し、前記弾性ロール8とのニップを通過する際に、前記彫刻ロール7が生分解性樹脂の融点近傍まで加熱されているため前記生分解性樹脂フィルム11は軟化し、前記彫刻ロール7の凸部が前記生分解性樹脂フィルム11を前記紙基材シート9に押し込むと同時に、押し込まれた部分の前記生分解性樹脂フィルム11はせん孔され、前記生分解性樹脂層3のみを貫通する前記小孔5が形成される。ここで、前記彫刻ロール7の凸部の面積は、ロール周面の面積の20%以上60%以下となっているので、前記小孔5の面積は、前記根巻きシート1におけるシート全面積の20%以上60%以下となる。ここで、前記彫刻ロール7の凸部の面積が、ロール周面の面積の20%未満では、前記根巻きシート1における前記小孔5の面積が、シート全面積の20%未満となり、前記小孔5の部分が少なすぎて十分な通気、通水性が得られず、逆に凸部の面積が、ロール周面の面積の60%を超えると(すなわち、前記根巻きシート1における前記小孔5の面積が、シート全面積の60%を超えると)、軟化した前記生分解性樹脂フィルム11が前記彫刻ロール7に融着して取られる現象が発生するため紙基材との複合化は困難である。
また、前記彫刻ロール7の凸部は、その高さが0.5mm以上1.0mm以下であって、凸部先端の面積が1mm2以上5mm2以下となっているので、前記生分解性樹脂層3のみを貫通する前記小孔5を形成することができる。
以下、実施例及び比較例により具体的に説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
カナダ標準濾水度350mlまで叩解した針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)100%から成るパルプスラリーを長網抄紙機で抄紙し、その紙中水分を40%に調整した後、ロール周面の周方向に沿った溝を幅方向に設けた金属ロールとロール周面が平坦なゴムロールとからなる収縮付与装置に通紙して、収縮処理を施した坪量50g/m2の伸張紙を紙基材層として得た。伸張紙の引張り破断伸び(JIS P 8113)は、縦方向23.9%、横方向10.2%であった。この伸張紙に、生分解性樹脂層として厚さ40μmのポリ乳酸フィルム(商品名:テラマック、融点170℃、ユニチカ社製)を重ね、凸部がピッチ1.6mm間隔で千鳥状に配列され、凸部の面積がロール周面の面積の40%である金属彫刻ロールを用い、金属彫刻ロールの表面温度を140〜145℃に加熱し、JIS硬度A90のシリコーンゴム製弾性ロールとのニップ間でポリ乳酸フィルムが金属彫刻ロール側に接するよう熱エンボス処理し、根巻きシートを作製した。得られた根巻きシートの生分解性樹脂層のみを貫通する小孔の面積は、シート全面積の45%であった。この根巻きシートを用いてシラカシの幼木を根巻きして圃場にて仮植し、3ヵ月後の樹木の生育と根鉢の状態を観察した。
カナダ標準濾水度350mlまで叩解した針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)100%から成るパルプスラリーを長網抄紙機で抄紙し、その紙中水分を40%に調整した後、ロール周面の周方向に沿った溝を幅方向に設けた金属ロールとロール周面が平坦なゴムロールとからなる収縮付与装置に通紙して、収縮処理を施した坪量50g/m2の伸張紙を紙基材層として得た。伸張紙の引張り破断伸び(JIS P 8113)は、縦方向23.9%、横方向10.2%であった。この伸張紙に、生分解性樹脂層として厚さ40μmのポリ乳酸フィルム(商品名:テラマック、融点170℃、ユニチカ社製)を重ね、凸部がピッチ1.6mm間隔で千鳥状に配列され、凸部の面積がロール周面の面積の40%である金属彫刻ロールを用い、金属彫刻ロールの表面温度を140〜145℃に加熱し、JIS硬度A90のシリコーンゴム製弾性ロールとのニップ間でポリ乳酸フィルムが金属彫刻ロール側に接するよう熱エンボス処理し、根巻きシートを作製した。得られた根巻きシートの生分解性樹脂層のみを貫通する小孔の面積は、シート全面積の45%であった。この根巻きシートを用いてシラカシの幼木を根巻きして圃場にて仮植し、3ヵ月後の樹木の生育と根鉢の状態を観察した。
[実施例2]
実施例1と同様にして坪量70g/m2、引張り破断伸び(JIS P 8113)が縦方向23.9%、横方向9.0%である伸張紙を製造し、この伸張紙よりなる紙基材層に、生分解性樹脂層として厚さ30μmのポリ乳酸フィルム(商品名:テラマック、ユニチカ社製)を重ね、金属彫刻ロールの凸部がピッチ1.6mm間隔の格子状に配列し、凸部の面積がロール周面の面積の60%であるロールを用いた以外は、実施例1と同様にして根巻きシートを作製した。得られた根巻きシートの小孔の面積は、シート全面積の60%であった。そして、この根巻きシートを実施例1と同様にして根巻きに供した。
実施例1と同様にして坪量70g/m2、引張り破断伸び(JIS P 8113)が縦方向23.9%、横方向9.0%である伸張紙を製造し、この伸張紙よりなる紙基材層に、生分解性樹脂層として厚さ30μmのポリ乳酸フィルム(商品名:テラマック、ユニチカ社製)を重ね、金属彫刻ロールの凸部がピッチ1.6mm間隔の格子状に配列し、凸部の面積がロール周面の面積の60%であるロールを用いた以外は、実施例1と同様にして根巻きシートを作製した。得られた根巻きシートの小孔の面積は、シート全面積の60%であった。そして、この根巻きシートを実施例1と同様にして根巻きに供した。
[比較例1]
紙基材層として、坪量100g/m2、引張り破断伸び(JIS P 8113)が縦方向16.8%、横方向9.3%であるクラフト伸長紙と、生分解性樹脂層として厚さ20μmのポリ乳酸フィルムを実施例1と同様にして熱エンボス処理して根巻きシートを作製した。得られた根巻きシートの小孔の面積は、シート全面積の65%であった。そして、この根巻きシートを実施例1と同様にして根巻きに供した。
紙基材層として、坪量100g/m2、引張り破断伸び(JIS P 8113)が縦方向16.8%、横方向9.3%であるクラフト伸長紙と、生分解性樹脂層として厚さ20μmのポリ乳酸フィルムを実施例1と同様にして熱エンボス処理して根巻きシートを作製した。得られた根巻きシートの小孔の面積は、シート全面積の65%であった。そして、この根巻きシートを実施例1と同様にして根巻きに供した。
[比較例2]
紙基材層として、坪量70g/m2、引張り破断伸び(JIS P 8113)が縦方向8.9%、横方向6.4%であるクラフト紙の片面に、生分解性樹脂層としてポリ乳酸樹脂を厚さ20μmになるように押し出しラミネートして根巻きシートを作製し、実施例1と同様にして根巻きに供した。
紙基材層として、坪量70g/m2、引張り破断伸び(JIS P 8113)が縦方向8.9%、横方向6.4%であるクラフト紙の片面に、生分解性樹脂層としてポリ乳酸樹脂を厚さ20μmになるように押し出しラミネートして根巻きシートを作製し、実施例1と同様にして根巻きに供した。
[比較例3]
坪量30g/m2、引張り破断伸び(JIS P 8113)が縦方向20.0%、横方向4.5%であるクレープ紙をポリビニルアルコール繊維ネットを介して2枚重ねて加熱圧着して根巻きシートを作製し、実施例1と同様にして根巻きに供した。
坪量30g/m2、引張り破断伸び(JIS P 8113)が縦方向20.0%、横方向4.5%であるクレープ紙をポリビニルアルコール繊維ネットを介して2枚重ねて加熱圧着して根巻きシートを作製し、実施例1と同様にして根巻きに供した。
[比較例4]
汎用に使われている麻袋(マタイ)を実施例1と同様にして根巻きに供した。
汎用に使われている麻袋(マタイ)を実施例1と同様にして根巻きに供した。
表1に示したように、本発明の実施例の根巻きシートは、根巻き作業性が良好で幼木の生育にも問題がないうえに、仮植後でも搬送のために再度根巻きを施す必要がなくなり、移植作業が簡素化できるため労力や資材が削減できる効果は大きい。
一方で、比較例1は、前記生分解性樹脂層としてのポリ乳酸フィルムが、前記紙基材層から剥離して、根巻き作業にやや難がある上に、根巻き作業を再度行う必要があった。また、比較例2は、通水性が悪く樹木の生育がやや遅い上に、柔軟性が劣っているために根巻き作業にやや難があった。また、比較例3は、強度が低いために根巻き作業にやや難がある上に、根巻き作業を再度行う必要があった。さらに、比較例4は、根巻き作業を再度行う必要があった。
1 根巻きシート
2 紙基材層
3 生分解性樹脂層
4 積層シート
5 小孔
6 エンボス装置
7 彫刻ロール
8 弾性ロール
9 紙基材シート
10 ロール
11 生分解性樹脂フィルム
12 ロール
13 ロール
2 紙基材層
3 生分解性樹脂層
4 積層シート
5 小孔
6 エンボス装置
7 彫刻ロール
8 弾性ロール
9 紙基材シート
10 ロール
11 生分解性樹脂フィルム
12 ロール
13 ロール
Claims (4)
- 坪量が40g/m2以上100g/m2以下の紙基材層に、厚さが25μm以上50μm以下の生分解性樹脂層を設けた積層シートで構成されており、前記生分解性樹脂層のみを貫通する小孔が設けられ、該小孔の面積がシート全面積の20%以上60%以下であることを特徴とする根巻きシート。
- 前記紙基材層が、JIS P 8113に規定の引張り破断伸びが縦方向、横方向のいずれもが10%以上である伸張紙よりなることを特徴とする請求項1に記載の根巻きシート。
- 前記生分解性樹脂層のみを貫通する小孔が、ロール周面に設けた凸部の面積が前記ロール周面の面積に対して20%以上60%以下で、前記凸部の高さが0.5mm以上1.0mm以下であって、前記凸部の先端の面積が1mm2以上5mm2以下である彫刻ロールと弾性ロールとから成るエンボスロールを用いてエンボス処理することにより設けられたことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の根巻きシート。
- 請求項1,2または3のいずれかに記載された根巻きシートを製造する方法であって、ロール周面に設けた凸部の面積が前記ロール周面の面積に対して20%以上60%以下で、前記凸部の高さが0.5mm以上1.0mm以下であって、前記凸部の先端の面積が1mm2以上5mm2以下である彫刻ロールと弾性ロールとから成るエンボスロールを用いて、紙基材層上に生分解性樹脂層を設けた積層シートの前記生分解性樹脂層側を前記彫刻ロールと接するようにしてエンボス処理することを特徴とする根巻きシートの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006094950A JP2007267634A (ja) | 2006-03-30 | 2006-03-30 | 根巻きシート |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006094950A JP2007267634A (ja) | 2006-03-30 | 2006-03-30 | 根巻きシート |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007267634A true JP2007267634A (ja) | 2007-10-18 |
Family
ID=38671086
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006094950A Withdrawn JP2007267634A (ja) | 2006-03-30 | 2006-03-30 | 根巻きシート |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2007267634A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013031755A1 (ja) * | 2011-08-31 | 2013-03-07 | 東レ株式会社 | ポリ乳酸系フィルム |
CN115038329A (zh) * | 2020-02-03 | 2022-09-09 | 日本甜菜制糖株式会社 | 具有经时稳定性的育苗钵体及其分解促进方法 |
-
2006
- 2006-03-30 JP JP2006094950A patent/JP2007267634A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013031755A1 (ja) * | 2011-08-31 | 2013-03-07 | 東レ株式会社 | ポリ乳酸系フィルム |
JPWO2013031755A1 (ja) * | 2011-08-31 | 2015-03-23 | 東レ株式会社 | ポリ乳酸系フィルム |
CN115038329A (zh) * | 2020-02-03 | 2022-09-09 | 日本甜菜制糖株式会社 | 具有经时稳定性的育苗钵体及其分解促进方法 |
CN115038329B (zh) * | 2020-02-03 | 2024-05-28 | 日本甜菜制糖株式会社 | 具有经时稳定性的育苗钵体及其分解促进方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US7698854B2 (en) | Crop production apparatus | |
US6401390B1 (en) | Multilayer biodegradable mulch and methods for preparing and using the same | |
JP2009153398A (ja) | 農業用シート、そのシートを使用した農作物の栽培・管理方法及び栽培した農作物 | |
CN208836490U (zh) | 秧苗垫 | |
WO2015059305A1 (en) | A protective packaging delivery and growing system for seeds | |
JP5001272B2 (ja) | 植物栽培用容器 | |
KR101196873B1 (ko) | 직파용 생분해성 멀칭 필름 및 그 제조방법 | |
JP2007267634A (ja) | 根巻きシート | |
JP2742345B2 (ja) | 生分解性不織布成型容器及びその成型方法 | |
JP2002153138A (ja) | 育苗ブロック成形用生分解性シート材 | |
JP5310649B2 (ja) | 植生マットの製造方法 | |
WO2001025536A1 (fr) | Procede de degradation acceleree de papier de paillage et papier de paillage | |
JP2006197895A (ja) | 育苗ポット | |
KR102683994B1 (ko) | 고신장률을 갖는 기능성 멀칭용지 및 그 제조방법 | |
US20240237591A1 (en) | Biodegradable layered composite | |
JP4763123B2 (ja) | 育苗ポット | |
JP2004298053A (ja) | 紙製育苗ポット | |
JP2000106714A (ja) | 種子収蔵シート | |
KR102683989B1 (ko) | 복토형 친환경 멀칭용지와 그 제조방법 및 이를 이용한 복토식 멀칭방법 | |
CN116145466B (zh) | 一种秸秆基质盘用复合阻根膜及其制备方法与应用 | |
JP7276777B2 (ja) | 育苗鉢体及びその分解促進方法 | |
JP2002262672A (ja) | 育苗袋及び育苗方法 | |
TW201261B (ja) | ||
JP2002070020A (ja) | 生分解性プラスチック植栽容器、該容器を用いた植栽物の育苗方法、及び緑化工法 | |
JP2000014252A (ja) | 農園芸用シート状素材 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20090602 |