JP2007265591A - 光情報記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】生産性が高く、第1及び第2の記録層に対し、片面側から良好な特性での記録再生が可能な光情報記録媒体の提供。
【解決手段】記録再生光入射面側から、少なくとも、案内溝を有する第1の基板、有機色素を主成分とする第1の記録層、第1の反射層、中間層、無機材料からなる第2の記録層、第2の反射層、案内溝を有する第2の基板がこの順に積層され、中間層を介して、第1の基板と第2の基板の案内溝を有する側が対向するように貼り合わされており、更に、第2の記録層と中間層の間及び/又は第2の記録層と第2の反射層の間に無機保護層が形成されていることを特徴とする光情報記録媒体。
【選択図】図1

Description

本発明は、レーザー光を照射して情報の記録再生を行なう光情報記録媒体に関し、特に記録層を2層以上積層した大容量の光情報記録媒体に関する。
近年、光情報記録媒体は、その情報記憶容量の大きさや可搬性、耐久性、保存性などの点から需要が高まっている。光情報記録媒体は、物理的に分類すると、CD(Compact Disc)−ROM、DVD(Digital Versatile Disc)−ROM等の再生専用の光情報記録媒体と、一回記録のみ可能なCD−R、DVD±R等の追記型光情報記録媒体と、何度か書き換えることができるCD−RW、DVD±RW、DVD−RAM等の書き換え型光情報記録媒体等とに大別される。また、MO(Magneto Optical)ディスク、MD(Mini Disc)等の光磁気ディスクも書き換え型の光情報記録媒体である。
これらの光情報記録媒体は、情報量の大きい映像などを、より多く記録できるように、更なる大容量化が望まれている。大容量化のための手法としては、最小単位の大きさを小さくし記録密度を上げて大容量化を図る方法、情報の記録が可能な面積を増やすことによって大容量化を図る方法などが考えられる。
前者の手法としては、記録再生用のレーザー光波長を短くしたり、記録再生用の光学系のNAを大きくしたりして記録再生のスポット径を小さくし、信号の最小単位を物理的に小さくする方法、或いは再生レーザー光による読み出し側から見て情報記録層よりも手前側にマスク層を挿入し、信号を拡大して読み取るような、いわゆる超解像技術を利用して信号の最小単位の物理的な大きさを小さくする方法などが用いられている。
後者の手法としては、情報記録層を有する光情報記録媒体を表裏で貼り合せて情報記録が可能な面積を2倍とする方法、読み出し可能な情報記録層を2層以上積層することで、情報記録が可能な面積を増やす方法が用いられている。
特に最近、光情報記録媒体の中でも著しく需要の増加しているDVDでは、大容量化の手法として、情報記録可能な領域を増やすことが行なわれており、2つの光情報記録媒体を貼り合せて両面からの情報の読み出しを可能としたものや、情報の読み出し側が同一の情報記録層を2層積層することで記録容量を増やしたものが、商品として市場に投入されている。
このうち、情報の読み出し側が同一の情報記録層を2層積層した光情報記録媒体(以下、単に2層型光情報記録媒体と称す)の方が、情報の再生時に再生機器から取り出して媒体を裏返す必要がないため、より利便性が高く、より多く採用されている。このような2層型のDVDとしては、再生専用のDVD−ROMだけでなく、色素を含む記録材料を用いる追記型光情報記録媒体のDVD±Rについても、商品化されている。
この2層型DVD±Rは、一般的には、信号の読み出し面側から、第1の基板、第1の記録層、第1の反射層、透明中間層、第2の記録層、第2の反射層、第2の基板という構成が採用されている。
2層型DVD±Rの製造方法としては、大きく分けて2種類の方法が挙げられる。
第一に、トラッキングサーボ用の案内溝が形成された透明の第1の基板上に、色素を含む第1の記録層、第1の反射層、トラッキングサーボ用の案内溝が形成された透明中間層、色素を含む第2の記録層、第2の反射層をこの順に形成し、最後に第2の基板を接着する等により製造する方法が挙げられる(例えば特許文献1参照)。
この製造方法の場合、透明中間層は、第1の反射層上に中間層用の光硬化性樹脂原料等を塗布し、この上に凹凸を有する樹脂製スタンパ等を載置して、光硬化性樹脂原料等を硬化させたのちスタンパを剥離し、光硬化性樹脂の表面に凹凸を転写させることにより形成される。この製造方法は、通常、PhotoPolymerization(2P)法と呼ばれているので、以下、「2P法」と称する。
第2の製造方法としては、トラッキングサーボ用の案内溝が形成された透明な第1の基板上に、色素を含む第1の記録層、第1の反射層を形成して第1の情報基板とし、別途、トラッキングサーボ用の案内溝が形成された透明な第2の基板上に、第2の反射層、色素を含む第2の記録層を形成して第2の情報基板とし、得られた2枚の情報基板を、案内溝を有する側が対向するように、透明中間層となる部材(紫外線硬化型樹脂や粘着シート等)で貼り合わせることによって形成する方法が挙げられる(例えば特許文献2〜4参照)。この製造方法は、逆向きに積層した単板を貼り合わせて作製するので、以下、「逆積層法」と称する。また、この製造方法の場合には、色素を含む第2の記録層が直接に紫外線硬化型樹脂や粘着シートに接触しないようにするために、第2の記録層上に保護膜を形成することがある。
ところで、上述した第1の方法である2P法では、順次積層していくため、各層毎に同様の方法で作製することができることから、第1の基板の有する案内溝の形状と、第2の基板の有する案内溝の形状を近いものとすることができる。そのため、2つの層で、色素を含む記録層の形成を同様に行なうことが比較的容易であり、また、記録時における記録層の加熱のされ方も似たような形にすることができるため、2つの層の両方を良好に記録するための設定が行ない易い。
しかしながら、中間層の形成の際に、凹凸の転写が必要となるため、製造タクトの短縮、歩留りの向上が難かしく、また、樹脂製スタンパが多量に必要となるため大量の廃棄物が発生することもあり、環境負荷の低減化や生産コストの低減化が実現し難いなど、生産性の面で劣り、実際の生産での採用は困難である。
一方、第2の方法の逆積層法は、従来のDVD±Rの情報基板を、対向して貼り合わせるのと殆ど変わらない製造方法となるため、生産性の面では優れている。
しかし、特許文献2にあるように、逆向きで貼り合わせることとなる第2の情報基板においては、基板の案内溝の形状から、凹凸の凸部の手前にある記録層に加熱変化により情報を記録することになるため、案内溝の凹部への記録となり、溝により変化部位(記録マーク)の大きさを制御しやすい通常の有機色素記録材料を用いる追記型光情報記録媒体の場合と異なり、変化部位(記録マーク)の大きさの制御が非常に難かしくなる。従って、良好に記録を行なうための記録条件の設定は、難しくなっている。
また、特許文献5などには、2層の記録層の一方を相変化材料層(無機材料記録層)とし、他方を有機色素・金属反射層とした2層型光記録媒体が開示されている。
しかしながら、この媒体では、低反射率側(読み出し面から見て手前側)の第一記録層に相変化材料層、高反射率側(読み出し面から見て奥側)の第二記録層に有機色素・金属反射層を使用しており、本発明の構成とは逆であって、本発明で挙げた課題及び解決手段については記載も示唆もされておらず、本発明とは別異のものである。
特開2004−288264号公報 特開2004−348880号公報 特開2005−25836号公報 特開2005−50497号公報 特開2000−99991号公報
本発明は、上述した従来技術の実状を考慮してなされたものであって、生産性が高く、第1及び第2の記録層に対し、片面側から良好な特性での記録再生が可能な光情報記録媒体の提供を目的とする。
上記課題は、次の1)〜9)の発明によって解決される。
1) 記録再生光入射面側から、少なくとも、案内溝を有する第1の基板、有機色素を主成分とする第1の記録層、第1の反射層、中間層、無機材料からなる第2の記録層、第2の反射層、案内溝を有する第2の基板がこの順に積層され、中間層を介して、第1の基板と第2の基板の案内溝を有する側が対向するように貼り合わされており、更に、第2の記録層と中間層の間及び/又は第2の記録層と第2の反射層の間に無機保護層が形成されていることを特徴とする光情報記録媒体。
2) 無機保護層が、SiO、ZnO、SnO、Al、TiO、ZrO、Ta、Nb、Si、ZnS、SiCから選ばれた少なくとも一つを含有することを特徴とする1)に記載の光情報記録媒体。
3) 第1の基板に形成された案内溝の深さが100〜200nmの範囲にあり、第2の基板に形成された案内溝の深さが20〜40nmの範囲にあることを特徴とする1)又は2)に記載の光情報記録媒体。
4) 第1の反射層と第2の反射層の少なくとも一方の材料が、Ag又はAgを主成分とする合金であることを特徴とする1)〜3)の何れか1項に記載の光情報記録媒体。
5) 第2の記録層が、酸化物、硫化物、窒化物、炭化物材料から選ばれた少なくとも一つを含有することを特徴とする1)〜4)の何れか1項に記載の光情報記録媒体。
6) 第2の記録層が、更に、S、Se、Te、Sb、Ge、Sn、Bi、Ga、Inから選ばれた少なくとも一つの金属又は半金属を含有することを特徴とする5)に記載の光情報記録媒体。
7) 第2の記録層が、Fe、Bi、CuO、CeO、ZnO、CdO、SnO、TiO、V、WO、NiO、CoO、MnOから選ばれた少なくとも一つの材料と、Sb、Sn、Bi、Inから選ばれた少なくとも一つの金属とを含有することを特徴とする6)に記載の光情報記録媒体。
8) 第1の記録層が、有機色素として、少なくともスクアリリウム系化合物を含有することを特徴とする1)〜7)の何れか1項に記載の光情報記録媒体。
9) 波長が630〜670nmの範囲のレーザー光を用いて、記録再生が可能であることを特徴とする1)〜8)の何れか1項に記載の光情報記録媒体。
以下、上記本発明について詳しく説明する。
本発明に係る光情報記録媒体の層構成の一例を図1に示す。
基本的な構成は、案内溝(図示せず)を有する第1の基板、有機色素を含む第1の記録層、第1の反射層、中間層、無機材料からなる第2の記録層、第2の反射層、他の案内溝(図示せず)を有する第2の基板からなり、中間層を介して、第1の基板と第2の基板の案内溝を有する側が対向するように貼り合わされており、更に、第2の記録層と中間層の間及び/又は第2の記録層と第2の反射層の間に無機保護層が形成されている。記録再生のためのレーザー光は第1の基板の鏡面側から入射される。
更に必要に応じて、Ag系反射層を使用する場合の硫化防止層、酸化防止層、第1の基板の鏡面側へのハードコート層、第2の基板の鏡面側への印刷層等を設けても良い。
第1及び第2の基板に用いる材料は、通常ガラス、セラミックス或いは樹脂であり、樹脂基板が成形性やコストの点で好適である。樹脂の例としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられるが、成形性、光学特性、コストの点で優れるポリカーボネート樹脂やアクリル系樹脂が好ましい。なお、記録再生光入射面側の第1の基板には透明な材料を用いる必要がある。
第1の基板の案内溝は、溝深さ100〜200nm程度、溝幅(底幅)0.2〜0.3μmの範囲が好ましい。特に、DVDで用いられる赤色レーザー波長領域(凡そ630〜670nm)のレーザー光を使用する光情報記録媒体に用いる場合は、溝深さ140〜180nmの範囲が、より好ましく用いられる。
第1の基板上に形成される有機色素を主成分とする第1の記録層(色素記録層)の形成方法としてスピンコート成膜を用いる場合、溝内に色素が充填される傾向があるために、色素記録層と反射層との界面形状は、この充填量と基板溝形状により決定され、界面反射を利用するには、上記の範囲が適している。
第2の基板の案内溝は、溝深さ20〜40nm程度、溝幅(底幅)0.15〜0.35μm程度の範囲が好ましい。第2の基板上に形成される無機材料からなる第2の記録層の形成方法としてスパッタリング成膜法を用いる場合、反射率やトラッキングサーボ特性が良好となる範囲として、上記の範囲が適しているからである。
第2の記録層の材料として有機色素を主成分とする材料を用いると、上記の案内溝形状領域では、溝の凸凹に比して色素膜厚が大きくなり、溝の凸部と凹部の色素膜厚の差が少なくなる。この状態で記録を行なうと記録時の熱が横方向へ伝わり易くなるためクロストークが発生し易くなり、記録特性が悪化するため望ましくない。また、色素記録層の成膜に適した溝深さにすると、基板の案内溝の凸部の手前にある記録層を加熱変化させることになるため、記録時の熱伝導の制御が難しく、変化部位(記録マーク)の大きさの制御は非常に困難となる。
第1の記録層の主成分として用いることができる有機色素材料としては、例えば、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、ピリリウム系・チオピリリウム系色素、アズレニウム系色素、スクアリリウム系色素、アゾ系色素、ホルマザンキレート系色素、Ni、Crなどの金属錯塩系色素、ナフトキノン系・アントラキノン系色素、インドフェノール系色素、インドアニリン系色素、トリフェニルメタン系色素、トリアリルメタン系色素、アミニウム系・ジインモニウム系色素、ニトロソ化合物を挙げることができる。中でも、膜の光吸収スペクトルの最大吸収波長が580〜620nmにありDVD用レーザー光波長(約650nm)で所望の光学特性が得易い色素化合物としては、溶剤塗布による製膜性、光学特性の調整のし易さから、フタロシアニン色素、シアニン色素、アゾ色素、スクアリリウム色素から選ばれる少なくとも1種の色素が好ましい。
なお、主成分とは、記録再生機能を担うのに十分な量を含むことを意味するが、通常は、必要に応じて含有させるバインダー、安定剤等を除き、有機色素のみで構成する。
色素膜の形成方法としては、スピンコート法、キャスト法、ロール塗布法、引き上げ法、真空蒸着法、スパッタリング法等が用いられるが、生産性を考慮すると、スピンコート法を用いることが望ましい。その際、色素を溶解させた溶液の濃度、スピンコーターの回転数、回転時間等を調節して膜厚を制御することにより所望の吸光度を実現することができる。
好ましい色素膜厚は、溝部で40〜100nmである。色素膜厚がこの範囲よりも薄いと信号変調度(コントラスト)を得難く、反対にこの範囲よりも厚いとマークの形状が揃い難くなり、ジッタが増加し易い。
第1の反射層及び第2の反射層の材料としては、レーザー光波長に対する反射率の高い物質が好ましく、例えばAu、Ag、Cu、Al、Ti、V、Cr、Ni、Nd、Mg、Pd、Zr、Pt、Ta、W、Si、Zn、Inの少なくとも1種の金属及び半金属を挙げることができる。中でもAu、Ag、Cuの何れかを主成分とし、Au、Ag、Cu、Al、Ti、V、Cr、Ni、Nd、Mg、Pd、Zr、Pt、Ta、W、Si、Zn、Inから選ばれた少なくとも1種を0.1〜10重量%程度添加した合金が好ましく、特にInが好ましい(合金であるから、当然ながらAuとAu、AgとAg、CuとCuの組合せは除く)。Au、Ag、Cuの何れかに、上記金属又は半金属を0.1重量%以上添加することにより、結晶粒が微細化し耐蝕性に優れた薄膜が得られる。
しかし、上記金属若しくは半金属を、10重量%を超えて添加すると反射率が低下するため好ましくない。母材としては成膜速度を速くすることができるAgが最も好ましく、添加物としては屈折率nが小さく吸収係数kが大きいAu、Cu、Mg、Inが特に好ましい。
第1の反射層の膜厚は5〜100nm、第2の反射層の膜厚は100〜500nmの範囲が好ましい。第1の反射層と第2の反射層の材料が同一か又は主材料が同一の場合、第1の反射層は半透過性が求められるため、第2の反射層の膜厚よりも薄くなる。
また、第1及び第2の反射層の化学的・物理的保護のために保護層を設けても良い。
保護層材料としては、スピンコート法で作製した紫外線硬化型樹脂が好適であり、厚さは2〜15μmが適当である。樹脂保護層が2μmより薄いと、保護層としての機能を果たすことができず、第1及び第2の反射層の化学的・物理的保護を行なうことが難しいことがある。一方、樹脂保護層を15μmより厚くすると、内部応力が大きくなってしまい、ディスクの機械特性に大きく影響してしまう。
第2の記録層には、追記型光情報記録媒体に使用する無機材料からなる記録材料を用いる。特開2003−145934号公報に記載されているように、無機材料を記録材料とした追記型光情報記録媒体としては、レーザー光照射により媒体にピット(穴)をあけて情報を記録する方法、或いは相変化や合金化等による構造変化を生じさせ反射率を変化させて情報を記録する方法が提案されている。しかしながら、ピット方式の場合は、記録密度の向上に伴って均一なピットを得る事が困難となり、これにより信号特性と記録感度が劣化するため、あまり望ましくない。また、相変化方式の場合、結晶と非晶の間の相転移を利用するものにおいて、場合により記録マークが消去される危険性があり、合金化方式の場合、レーザー照射による反射率の変動、即ち、記録マークの再生信号のコントラストが小さいという問題があるが、記録マークの大きさを制御するためには、構造変化を利用する後者の方法が望ましい。
第2の記録層の記録材料としては、照射されたレーザー光を吸収し、昇温するための金属又は半金属材料と、変形を抑制するための酸化物、硫化物、窒化物、炭化物等のセラミック又はそれに類する材料の混合物が望ましい。
DVDで用いられる赤色レーザー波長領域(凡そ630〜670nm)のレーザー光を使用する光情報記録媒体に用いる場合は、金属又は半金属としてS、Se、Te、Sb、Ge、Sn、Bi、Ga、Inの少なくとも一つの元素が用いられ、セラミック材料としては、CaO、SiO、Al、Fe、Bi、CuO、PbO、BaO、TiO、Sb、CeO、ZnO、CdO、In、SnO、Ta、Nb、V、MgO、BeO、ZrO、MoO、WO、NiO、CoO、TeO、MnOなどの酸化物;ZnS、CdS、MoSなどの硫化物;Si、AlN、BN、TiNなどの窒化物;SiC、BC、TiC、WCなどの炭化物;アモルファス炭素、黒鉛、ダイヤモンドなどを用いることができる。特に、エネルギーバンドギャップの小さいセラミックを用いる方が、光吸収を補助できるため、より望ましい。
第2の記録層の好ましい膜厚は、10〜40nm、更に好ましくは15〜20nm程度である。
第2の記録層の上及び/又は下には、記録層を保護するための無機保護層を形成する。材料としては例えば、SiO、SiO、ZnO、SnO、Al、TiO、In、MgO、ZrO、Ta、Nbなどの酸化物;Si、AlN、TiN、BN、ZrNなどの窒化物;ZnS、TaSなどの硫化物;SiC、TaC、BC、WC、TiC、ZrCなどの炭化物;ダイヤモンド状カーボン、或いはそれらの混合物が用いられる。
無機保護層の膜厚は、記録感度、反射率等の記録再生信号が良好となる範囲を設定すれば良いが、記録層を保護するためには、少なくとも、20Å以上の膜厚が必要である。
第1及び第2の反射層、第2の記録層、及び第2の記録層の無機保護層の作製方法としては、スパッタリング、プラズマCVD、プラズマ処理、イオンプレーティング、光CVDなどが利用できるが、光情報記録媒体の製造で汎用されているスパッタリング法が有効である。その代表的作製条件は、圧力10−2〜10−4hPa、スパッタリング電力0.1〜5.0kW/200mmφ、成膜速度0.1〜50nm/sである。
中間層は接着層を兼ねることが好ましく、既存のアクリレート系、エポキシ系、ウレタン系の紫外線硬化型樹脂、ホットメルト接着剤、シリコーン樹脂などの接着剤の中で透明なものを用いることができる。これらの材料は、第1の基板と第2の基板の上に、材料に応じてスピンコート、ロールコート、スクリーン印刷法などの方法により塗布し、紫外線照射、加熱、加圧等の処理を行なって二つの基板を貼り合わせる。その他に、透明の粘着シートにより貼り合わせる方法でも良い。
ハードコート層を設ける場合には、一般的に、紫外線硬化型樹脂を用いてスピンコート法で作製する。ハードコート層の厚さは2〜6μmが適当である。2μmより薄くすると充分な耐擦傷性が得られないし、6μmより厚くすると内部応力が大きくなってしまい、ディスクの機械特性に大きく影響してしまう。ハードコート層の硬度は、布で擦っても大きな傷が付かない鉛筆硬度H以上とする必要がある。ハードコート層には、必要に応じて導電性の材料を混入させ、帯電防止を図って埃等の付着を防止することも効果的である。
印刷層は、耐擦傷性の確保、ブランド名などのレーベル印刷、インクジェットプリンタに対するインク受容層の形成などを目的としており、紫外線硬化型樹脂をスクリーン印刷法で形成するのが好適である。印刷層の厚さは、3〜50μmが適当である。3μmより薄いと層形成時にムラが生じてしまうし、50μmより厚くすると内部応力が大きくなってしまい、ディスクの機械特性に大きく影響してしまう。
本発明によれば、生産性が高く、第1及び第2の記録層に対し、片面側から良好な特性での記録再生が可能な光情報記録媒体を提供できる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定して解釈されるものではない。
実施例1
溝深さ約150nm、溝幅約0.25μm、トラックピッチ0.74μmの案内溝からなる凸凹パターンを有する直径120mm、厚さ0.58mmのポリカーボネート基板(第1の基板)上に、下記〔化1〕で表される構造式のスクアリリウム色素化合物を2,2,3,3−テトラフルオルプロパノールに溶解した塗布液をスピンコートして、膜厚約60nmの第1の記録層を設けた。
次に、第1の記録層の上に、Arをスパッタガスとしてスパッタ法によりAgを約20nmの厚さに設けて第1の反射層を形成し、第1の基板を得た。
一方、溝深さ約30nm、溝幅約0.25μm、トラックピッチ0.74μmの案内溝からなる凸凹パターンを有する直径120mm、厚さ0.60mmのポリカーボネート基板(第2の基板)上に、スパッタリング法により、第2の反射層として厚さ約120nmのAg、無機保護層として厚さ約15nmのZnS−SiO(80:20モル%)、第2の記録層として厚さ20nmのSb−Bi(40:60モル%)、無機保護層として厚さ約50nmのZnS−SiO(80:20モル%)を順次積層し、第2の基板を得た。
次いで、第1の基板と第2の基板を、紫外線硬化型接着剤(日本化薬製KARAYAD DVD−003)で貼り合わせ、図1に示す層構成(但し、ハードコート層と印刷層は除く)の光情報記録媒体を得た。
Figure 2007265591
上記光情報記録媒体に対し、DVD用評価装置(パルステック工業株式会社製DDU−1000、波長:657nm、NA:0.65)を用いて、線速度8.5m/sの条件でDVD(8−16)信号を記録し、3.49m/sの線速度で再生評価を行ったところ、DVD−ROM規格を満足する結果が得られた(表1参照)。
実施例2
溝深さ約30nm、溝幅約0.25μm、トラックピッチ0.74μmの案内溝からなる凸凹パターンを有する直径120mm、厚さ0.60mmのポリカーボネート基板(第2の基板)上に、スパッタリング法により、第2の反射層として厚さ約120nmのAg、無機保護層として厚さ約80nmのZnS−SiO(80:20モル%)、第2の記録層として厚さ20nmのBi−Fe(10:90モル%)、無機保護層として厚さ約50nmのZnS−SiO(80:20モル%)を順次積層し、第2の基板を得た。
次いで、この第2の基板と、実施例1で作製した第1の基板とを、紫外線硬化型接着剤(日本化薬製KARAYAD DVD−003)で貼り合わせ、図1に示す層構成(但し、ハードコート層と印刷層は除く)の光情報記録媒体を得た。
上記光情報記録媒体に対し、実施例1と同様にして評価を行ったところ、DVD−ROM規格を満足する結果が得られた(表1参照)。
実施例3
溝深さ約30nm、溝幅約0.25μm、トラックピッチ0.74μmの案内溝からなる凸凹パターンを有する直径120mm、厚さ0.60mmのポリカーボネート基板(第2の基板)上に、スパッタリング法により、第2の反射層として厚さ約120nmのAg99Cu、無機保護層として厚さ約30nmのSnO−Ta(60:40モル%)、第2の記録層として厚さ20nmのBi−Fe(10:90モル%)、無機保護層として厚さ約15nmのTaを順次積層し、第2の基板を得た。
次いで、この第2の基板と、実施例1で作製した第1の基板とを、紫外線硬化型接着剤(日本化薬製KARAYAD DVD−003)で貼り合わせ、図1に示す層構成(但し、ハードコート層と印刷層は除く)の光情報記録媒体を得た。
上記光情報記録媒体に対し、実施例1と同様にして評価を行ったところ、DVD−ROM規格を満足する結果が得られた(表1参照)。
Figure 2007265591
実施例4
溝深さ約165nm、溝幅約0.25μm、トラックピッチ0.74μmの案内溝からなる凸凹パターンを有する直径120mm、厚さ0.58mmのポリカーボネート基板(第1の基板)上に、前記〔化1〕で表される構造式のスクアリリウム色素化合物と、下記〔化2〕で表される構造式のホルマザンキレート系色素の重量比3:2で混合物を2,2,3,3−テトラフルオルプロパノールに溶解した塗布液をスピンコートして、膜厚約65nmの第1の記録層を設けた。
次に、第1の記録層の上に、Arをスパッタガスとしてスパッタ法によりAgを約20nmの厚さに設けて第1の反射層を形成し、第1の基板を得た。
一方、溝深さ約25nm、溝幅約0.25μm、トラックピッチ0.74μmの案内溝からなる凸凹パターンを有する直径120mm、厚さ0.60mmのポリカーボネート基板(第2の基板)上に、スパッタリング法により、第2の反射層として厚さ約120nmのAg、無機保護層として厚さ約100nmのZnS−SiO(80:20モル%)、第2の記録層として厚さ15nmのSb−CuO(30:70モル%)、無機保護層として厚さ約20nmのSiを順次積層し、第2の基板を得た。
次いで、第1の基板と第2の基板を、紫外線硬化型接着剤(日本化薬製KARAYAD DVD−700)で貼り合わせ、図1に示す層構成の光情報記録媒体(但し、ハードコート層と印刷層は除く)を得た。
上記光情報記録媒体に対し、実施例1と同様にして評価を行ったところ、DVD−ROM規格を満足する結果が得られた(表2参照)。
Figure 2007265591
実施例5
溝深さ約25nm、溝幅約0.25μm、トラックピッチ0.74μmの案内溝からなる凸凹パターンを有する直径120mm、厚さ0.60mmのポリカーボネート基板(第2の基板)上に、スパッタリング法により、第2の反射層として厚さ約120nmのAl99Ti、無機保護層として厚さ約20nmのZnS−SiO(80:20モル%)と約5nmのZrO−TiO(80:20重量%)、第2の記録層として厚さ18nmのBi−ZnO(20:80モル%)、無機保護層として厚さ約20nmのNbを順次積層し、第2の基板を得た。
次いで、この第2の基板と、実施例4で作製した第1の基板とを、紫外線硬化型接着剤(日本化薬製KARAYAD DVD−700)で貼り合わせ、図1に示す層構成(但し、ハードコート層と印刷層は除く)の光情報記録媒体を得た。
上記光情報記録媒体に対し、実施例1と同様にして評価を行ったところ、DVD−ROM規格を満足する結果が得られた(表2参照)。
実施例6
溝深さ約25nm、溝幅約0.25μm、トラックピッチ0.74μmの案内溝からなる凸凹パターンを有する直径120mm、厚さ0.60mmのポリカーボネート基板(第2の基板)上に、スパッタリング法により、第2の反射層として厚さ約120nmのAg99.5In0.5、無機保護層として厚さ約25nmのZnS−SiO(80:20モル%)、第2の記録層として厚さ20nmのBi−Fe(10:90モル%)を順次積層し、第2の基板を得た。
次いで、この第2の基板と、実施例4で作製した第1の基板とを、紫外線硬化型接着剤(日本化薬製KARAYAD DVD−700)で貼り合わせ、図1に示す層構成(但し、ハードコート層と印刷層は除く)の光情報記録媒体を得た。
上記光情報記録媒体に対し、実施例1と同様にして評価を行ったところ、DVD−ROM規格を満足する結果が得られた(表2参照)。
Figure 2007265591
本発明に係る光情報記録媒体の層構成の一例を示す図。

Claims (9)

  1. 記録再生光入射面側から、少なくとも、案内溝を有する第1の基板、有機色素を主成分とする第1の記録層、第1の反射層、中間層、無機材料からなる第2の記録層、第2の反射層、案内溝を有する第2の基板がこの順に積層され、中間層を介して、第1の基板と第2の基板の案内溝を有する側が対向するように貼り合わされており、更に、第2の記録層と中間層の間及び/又は第2の記録層と第2の反射層の間に無機保護層が形成されていることを特徴とする光情報記録媒体。
  2. 無機保護層が、SiO、ZnO、SnO、Al、TiO、ZrO、Ta、Nb、Si、ZnS、SiCから選ばれた少なくとも一つを含有することを特徴とする請求項1に記載の光情報記録媒体。
  3. 第1の基板に形成された案内溝の深さが100〜200nmの範囲にあり、第2の基板に形成された案内溝の深さが20〜40nmの範囲にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の光情報記録媒体。
  4. 第1の反射層と第2の反射層の少なくとも一方の材料が、Ag又はAgを主成分とする合金であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の光情報記録媒体。
  5. 第2の記録層が、酸化物、硫化物、窒化物、炭化物材料から選ばれた少なくとも一つを含有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の光情報記録媒体。
  6. 第2の記録層が、更に、S、Se、Te、Sb、Ge、Sn、Bi、Ga、Inから選ばれた少なくとも一つの金属又は半金属を含有することを特徴とする請求項5に記載の光情報記録媒体。
  7. 第2の記録層が、Fe、Bi、CuO、CeO、ZnO、CdO、SnO、TiO、V、WO、NiO、CoO、MnOから選ばれた少なくとも一つの材料と、Sb、Sn、Bi、Inから選ばれた少なくとも一つの金属とを含有することを特徴とする請求項6に記載の光情報記録媒体。
  8. 第1の記録層が、有機色素として、少なくともスクアリリウム系化合物を含有することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の光情報記録媒体。
  9. 波長が630〜670nmの範囲のレーザー光を用いて、記録再生が可能であることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の光情報記録媒体。
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