JP2007265523A - 光情報記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】中間層の層厚とその硬さとの関係を規定することにより、基板の変形を防止し、電気特性が良好な光情報記録媒体を提供する。
【解決手段】基板上に、少なくとも、中間層と、色素を含有する記録層とを有する光情報記録媒体であって、前記中間層が、以下の条件Aを満足することを特徴とする光情報記録媒体である。(条件A) 前記中間層と同質の素材を用いて、厚みが380±25μmのSi基板上に150nmの薄膜を成膜し、対面角136°のダイヤモンド四角錐の圧子を用いて、前記薄膜表面に20秒かけて一定速度で0.5mNまで力を加えた時の最大押し込み深さをD[nm]と定義し、前記中間層の層厚をT[nm]と定義したとき、次式で表されるNが2.0未満である。 N=D/T
【選択図】図1

Description

本発明は、光情報記録媒体、中でもレーザー光を用いて情報の記録及び再生を行うことができる追記型のディスク状光情報記録媒体に関する。
従来から、文字情報、画像情報、音声情報等を大量に記録・再生するための、レーザー光により一回限りの情報の記録が可能な追記型デジタル・ヴァサタイル・ディスク(所謂DVD±R)と称される光ディスクが提案されている。このDVD±Rは、照射されるレーザー光のトラッキングのための案内溝(プリグルーブ)のトラックピッチがCD−Rに比べて半分以下(0.74〜0.8μm)と狭く形成された透明な円盤状基板上に、色素からなる記録層、そして通常は該記録層の上に光反射層、そして更に必要により保護層を設けてなるディスクを二枚、或いは該ディスクと同じ形状の円盤状保護基板とを該記録層を内側にして接着剤で貼り合わせた構造を有している。DVD±Rへの情報の記録再生は、可視レーザー光(通常は、630〜680nmの範囲の波長のレーザー光)を照射することにより行われ、CD−Rより高密度の記録が可能である。
また、最近は、デジタルハイビジョン放送の開始により、画像データ量の一層の増加が見こまれており、それに伴い、光情報記録媒体にも、高容量、高データ転送速度が求められるようになってきた。デジタルハイビジョン放送を家庭で録画しようとした場合、前述のDVD±Rでは既に容量が不足すると言われており、次世代DVDの開発も行われている。その一例として、このDVD−Rとほぼ同じ構成を有する追記型HD DVDが提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。
このHD DVDと呼ばれる光情報記録媒体は、基本的な構成としては、基板上に、記録層と、反射層と、接着層と、ダミー基板とからなる構成が挙げられる。そして、記録層の保存性向上などを目的として、基板と記録層との間に中間層が設けられる。
中間層を有する光情報記録媒体として、例えば、下記の特許文献1には、基板/中間層/光吸収層/反射層という構成の光情報記録媒体で、光吸収層がレーザー光を吸収し、ガス発生または膨張することで局部的に圧力が増大し中間層又は及び基板を変形させることで記録ピットが形成され、良好な電気特性が得られるという技術が開示されている。
また、下記の特許文献2には、基板/誘電体層/光吸収体を含む記録層/反射層という構成の光情報記録媒体が記載されている。そして、中間層に相当する誘電体層は、記録時における記録層の発熱に起因する基板の変形を防ぐのが主な役割である。
特開平9−138972号公報 特開平8−138245号公報 「日経エレクトロニクス10月13日号」日経BP社,2003年10月13日発行,p126−134
以上のような中間層は、主として、それ自身が変形してピット形成に寄与すること、あるいは基板の変形を抑えることにおいてその役割を果たしているが、本発明者らの検討によると、中間層の層厚及びその硬さによっては良好な電気特性(PRSNR)が得られないという問題があり、改善の余地が残されていた。
本発明は、以上の従来の問題点に鑑みなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、
本発明の目的は、中間層の層厚とその硬さとの関係を規定することにより、基板の変形を防止し、電気特性が良好な光情報記録媒体を提供することにある。
前記課題を解決する手段は以下の通りである。即ち、
本発明の光情報記録媒体は、基板上に、少なくとも、中間層と、色素を含有する記録層とを有する光情報記録媒体であって、前記中間層が、以下の条件Aを満足することを特徴とする光情報記録媒体である。
(条件A)
前記中間層と同質の素材を用いて、厚みが380±25μmのSi基板上に150nmの薄膜を成膜し、対面角136°のダイヤモンド四角錐の圧子を用いて、前記薄膜表面に20秒かけて一定速度で0.5mNまで力を加えた時の最大押し込み深さをD[nm]と定義し、前記中間層の層厚をT[nm]と定義したとき、次式で表されるNが2.0未満である。
N=D/T
本発明の光情報記録媒体によると、中間層の層厚とその硬さが最適な状態となり、基板の変形を抑えることができ、電気特性の向上を図ることができる。
前記基板には同心円状又は螺旋状の案内溝が形成されていて、前記中間層の厚みが基板の案内溝深さの45%未満であることが好ましい。
当該構成により、中間層を薄く形成することができ、成膜時間を短縮することができる。
前記中間層が、前記条件Aを容易に満足させる観点から、酸化亜鉛と酸化ガリウムとの複合酸化物及びケイ素酸化物のいずれかを含むことが好ましい。
前記記録層の色素としては、シアニン色素、オキソノール色素、金属錯体系色素、アゾ色素、及びフタロシアニン色素のうちの少なくとも1種であることが好ましい。
本発明によれば、中間層の層厚とその硬さとの関係を規定することにより、基板の変形を防止し、電気特性が良好な光情報記録媒体を提供することができる。
本発明の光情報記録媒体は、基板上に、少なくとも、中間層と、色素を含有する記録層とを有する光情報記録媒体であって、前記中間層が、以下の条件Aを満足することを特徴としている。
(条件A)
前記中間層と同質の素材を用いて、厚みが380±25μmのSi基板上に150nmの薄膜を成膜し、対面角136°のダイヤモンド四角錐の圧子を用いて、前記薄膜表面に20秒かけて一定速度で0.5mNまで力を加えた時の最大押し込み深さをD[nm]と定義し、前記中間層の層厚をT[nm]と定義したとき、次式で表されるNが2.0未満である。
N=D/T
以下、まず、本発明の光情報記録媒体の各構成要素について説明する。
本発明の光情報記録媒体の層構成としては、基板(第1の基板)上に、中間層と、色素を含有する記録層と、反射層とを順次有し、接着層と第2の基板とを貼り合わせる構成、いわゆる「HD DVD」の構成に好適に適用することができる。
以下に、まず、中間層についての詳細を説明する。
[中間層]
中間層は、記録層のレーザー光照射側に設けられる層であり、基板と記録層との間に設けられる。本発明において、中間層は前記条件Aを満足するが、該条件Aは、中間層を構成する素材の硬さと厚みとの関係を規定する条件である。以下に、まず条件Aについて説明する。
(条件A)
本発明において、前記条件Aにおいて数式で規定されるNが2.0未満である。該Nの値が2.0未満であることで、中間層の層厚とその硬さが最適な状態となり、基板の変形を抑えることができ、電気特性の向上を図ることができる。反対に、Nが2.0以上であ
ると、中間層が軟らかくなり、基板の変形を抑えることができず、良好な電気特性を得ることができない。前記Nは好ましくは1.96未満であり、より好ましくは1.92未満である。
ここで、条件Aにおける最大押し込み深さDの測定方法について図面を参照して説明する。図1は、条件Aにおける最大押し込み深さDを測定する様子を模式的に示す図である。最大押し込み深さDの測定に際し、まず、図1に示すように、Si基板10上に、中間層と同質の素材を用いて薄膜12を形成する。薄膜12形成後に、薄膜12表面に、対面角136°のダイヤモンド四角錐の圧子14を20秒かけて一定速度で0.5mNまで力を加える。すると、図1に示すように、薄膜12の表面は圧子14の押圧力によって凹むが、この状態で凹んだ領域の頂点の深さ(最大押し込み深さ)Dを測定する。
なお、実際的には、以上の最大押し込み深さDは、Fischer Instruments社製 Picodenterで測定することができる。この際、圧子は一般にビッカース型と呼ばれる対面角136°のダイヤモンド四角錐を用いる。測定方法は、20秒かけて一定速度で0.5mNまで力を加え、この時の最大押し込み深さ(D)を測定する。
中間層の素材としては、前記条件Aを満足することを条件として適宜選択することができるが、ガスや水分の透過性の低い材料であり、誘電体であることが好ましい。
具体的には、Zn、Si、Al、Ti、Te、Sn、Mo、Ge、Nb、Ga、In等の窒化物、酸化物、炭化物からなる材料が好ましく、中でも、Zn、Si、及びAlからなる群より選択される金属の窒化物、酸化物を少なくとも1種含む層であることが好ましい。具体的には、MoO2、GeO2、TeO、SiO2、TiO2、ZnO、SnO2、ZnO−Ga23、ZnO−Al23、Nb25、Ga23、ITO、Si34が好ましく、SiO2、SnO2、ZnO−Ga23がより好ましい。本発明においては、特に、酸化亜鉛と酸化ガリウムとの複合酸化物(ZnO−Ga23)及びケイ素酸化物(SiO2)のいずれかを含むことが好ましい。
本発明において、中間層の層厚としては、該中間層を構成する素材により前記条件AのNの数値が変動することから、素材に応じて異なるが、一般には、中間層の厚さは1〜80nmとすることが好ましく、1〜50nmとすることがより好ましくは、1.5〜40nmとすることがさらに好ましい。薄すぎると記録時に基板が変形してしまい記録特性が悪化し、厚すぎると溝幅が狭くなり記録特性が悪化することがある。
また、本発明において、後述する基板に同心円状又は螺旋状の案内溝(プリグルーブ)が設けられる場合、中間層の層厚は、基板の案内溝深さの45%未満であることが好ましく、44%未満であることがより好ましく、43%未満であることがさらに好ましい。中間層の層厚が、基板の案内溝深さの45%以上となると、中間層の表面が荒れてしまい信号にノイズが入ってしまうので良好な電気特性が得られないことがある。
また、中間層は硫黄を含まないことが望ましい。硫黄を含むと反射層に銀を用いた場合、銀を腐食させる場合があるからである。
また、中間層は水に腐食しない素材であることが望ましい。水に腐食する素材は湿熱保存性が悪くなる傾向にある。
以上の中間層は、真空蒸着、DCスパッタリング、RFスパッタリング、イオンプレーティングなどの真空成膜法により形成することができる。中でも、スパッタリングを用いることがより好ましい。
スパッタによる成膜時の圧力は13.3×10-1〜1.33×10-3Pa(1E−02〜1E−05torr)が好ましく、レートは0.1〜10nm/secが好ましく、ガス流量は1〜50sccmが好ましく、ガス種類はArが好ましく、スパッタ電力は0.2〜4kW(好ましくは0.4〜3kW、さらに好ましくは0.5〜2.5kW)である。
RFスパッタ法により成膜する場合、そのチューニング(マッチング)を調整して、FWDに対するREFは10%以下、好ましくは5%以下、更に好ましくは2.5%以下である。また、酸化物や窒化物の場合、それらのガスをスパッタガス中に混合して反応性スパッタにより成膜することがある。
DCスパッタ法による成膜の場合、パルススパッタ法やチョッパー等により瞬間的にターゲットの帯電を除去する手法を組み合わせることが好ましい。また、酸化物や窒化物の場合、それらのガスをスパッタガス中に混合して反応性スパッタにより成膜することがある。
中間層の光透過率は50〜99%であることが好ましく、55〜98%であることがより好ましく、60〜95%であることがさらに好ましい。光透過率が低いと記録感度が悪化することがあり、媒体反射率が低くなるなどの弊害が生じることがある。光透過率が高いと、耐光性試験時の保存性が悪くなる傾向にある。中間層に用いられる無機物層は、記録再生波長である405mより短い領域では光吸収性が405nmでの吸収より大きく、耐光性試験時に照射される〜350nmの光から色素を保護する働きも有していると推定される。
以下に、本発明の光情報記録媒体の層構成における中間層以外の各層について説明する。本発明の光情報記録媒体の層構成は、既述のように、基板(第1の基板)/中間層/記録層/反射層/接着層/基板(第2の基板)の構成であり、一部(基板、中間層、及び記録層を除く)を省略しても、別の異なる層を追加してもかまわない。
[第1の基板]
本発明の光情報記録媒体の第1の基板は、従来の光ディスクの基板として用いられている各種の材料から任意に選択することができる。
基板材料としては、例えば、ガラス、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、アモルファスポリオレフィン及びポリエステルなどを挙げることができ、所望によりそれらを併用してもよい。上記材料の中では、耐湿性、寸法安定性及び価格などの点からポリカーボネートが好ましい。
第1の基板の厚さは、0.5〜1.2mmとすることが好ましく、0.55〜0.9mmとすることがより好ましい。
本発明においては、第1の基板に形成されるプリグルーブは、高密度の記録を達成するために、トラックピッチが0.1〜0.6μmであることが好ましく、0.33〜0.50μmの範囲であることがより好ましい。また、溝深さは、30〜130nmの範囲とすることが好ましく、40〜125nmとすることがより好ましく、50〜120nmとすることがさらに好ましい。130nmを超えると反射率が低い、成型が困難となることがあり、30nm未満ではトラッキングが不安定になることがある。
基板溝幅は140〜240nmとすることが好ましく、145〜230nmとすることがより好ましく、150〜220nmとすることがさらに好ましい。140nm未満では溝部、240nmを超えるとランド部(溝間部)の成型が困難となる。
加えて、プリグルーブの溝傾斜角度は、20〜80°の範囲であることが好ましく、30〜70°の範囲であることがより好ましい。
記録層が設けられる側の基板表面(プリグルーブが形成された面側)には、平面性の改善、接着力の向上及び記録層の変質防止の目的で、下塗層が設けられてもよい。
下塗層の材料としては例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、N−メチロールアクリルアミド、スチレン・ビニルトルエン共重合体、クロルスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の高分子物質;及びシランカップリング剤などの表面改質剤などを挙げることができる。下塗層は、上記物質を適当な溶剤に溶解又は分散して塗布液を調製した後、この塗布液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコートなどの塗布法により基板表面に塗布することにより形成することができる。
下塗層の層厚は一般に0.005〜20μmの範囲にあり、好ましくは0.01〜10μmの範囲である。
[記録層]
記録層は、記録及び再生に使用されるレーザー光を吸収し得る色素を含有する層であって、デジタル情報などの符号情報(コード化情報)が記録される。
記録層に含有される色素の具体例としては、シアニン色素、オキソノール色素、金属錯体系色素、アゾ色素、フタロシアニン色素等が挙げられる。
また、特開平4−74690号公報、特開平8−127174号公報、同11−53758号公報、同11−334204号公報、同11−334205号公報、同11−334206号公報、同11−334207号公報、特開2000−43423号公報、同2000−108513号公報、及び同2000−158818号公報等に記載されている色素が好適に用いられる。
更に、トリアゾール化合物、トリアジン化合物、シアニン化合物、メロシアニン化合物、アミノブタジエン化合物、フタロシアニン化合物、桂皮酸化合物、ビオロゲン化合物、アゾ化合物、ベンゾオキサゾール化合物、ベンゾトリアゾール化合物等の有機化合物も好適に用いられる。これらの化合物の中では、シアニン化合物、オキソノール色素、金属錯塩系色素、アゾ色素、フタロシアニン化合物が特に好ましい。
記録層の形成は、蒸着、スパッタリング、CVD、又は溶剤塗布等の方法によって行うことができるが、溶剤塗布が好ましい。
記録層を溶剤塗布により形成する方法としては、まず、色素等の記録物質を、結合剤等と共に適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いで、この塗布液を基板上に塗布して塗膜を形成した後、乾燥する方法がある。
塗布液中の記録物質(上記の色素、化合物)の濃度は、一般に0.01〜15質量%の範囲であり、好ましくは0.1〜10質量%の範囲、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲、最も好ましくは0.5〜3質量%の範囲である。
塗布液の溶剤としては、酢酸ブチル、乳酸エチル、セロソルブアセテートなどのエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルムなどの塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミドなどのアミド;メチルシクロヘキサンなどの炭化水素;ジブチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロバノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール;2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールなどのフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類などを挙げることができる。
上記溶剤は使用する色素の溶解性を考慮して単独で、或いは二種以上を組み合わせて使用することができる。塗布液中には更に酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤など各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
結合剤を使用する場合、該結合剤の例としては、ゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴムなどの天然有機高分子物質;及びポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂;ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂;ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブナラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物などの合成有機高分子を挙げることができる。
記録層の材料として結合剤を併用する場合、結合剤の使用量は、一般に色素の質量の0.01倍量〜50倍量の範囲にあり、好ましくは0.1倍量〜5倍量の範囲にある。
前記溶剤塗布の塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、スクリーン印刷法などを挙げることができる。
記録層の層厚は一般に10〜500nmの範囲にあり、好ましくは15〜300nmの範囲にあり、より好ましくは20〜150nmの範囲にある。
なお、記録層は単層でも重層でもよい。
記録層には、該記録層の耐光性を向上させるために、種々の褪色防止剤を含有させることができる。褪色防止剤としては、一般的に、一重項酸素クエンチャーが用いられる。一重項酸素クエンチャーとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用することができる。その具体例としては、特開昭58−175693号、同59−31194号、同60−18387号、同60−19586号、同60−19587号、同60−35054号、同60−36190号、同60−36191号、同60−44554号、同60−44555号、同60−44389号、同60−44390号、同60−54892号、同60−47069号、同68−209995号、特開平4−25492号、特公平1−38680号、及び同6−26028号等の各公報、ドイツ特許350399号明細書、そして日本化学会誌1992年10月号第1141頁などに記載のものを挙げることができる。
前記一重項酸素クエンチャーなどの褪色防止剤の使用量は、通常、色素の質量の0.1〜50質量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜45質量%の範囲、更に好ましくは、3〜40質量%の範囲、特に好ましくは5〜25質量%の範囲である。
[反射層]
情報の再生時における反射率の向上の目的で、記録層に隣接して反射層が設けられる。反射層の材料である光反射性物質はレーザー光に対する反射率が高い物質であり、その例としては、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Biなどの金属及び半金属或いはステンレス鋼を挙げることができる。これらの物質は単独で用いてもよいし、或いは二種以上の組合せで、又は合金として用いてもよい。これらのうちで好ましいものは、Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Al及びステンレス鋼である。特に好ましくは、Au金属、Ag金属、Al金属或いはこれらの合金であり、最も好ましくは、Ag金属、Al金属或いはそれらの合金である。
反射層は、例えば、上記光反射性物質を蒸着、スパッタリング又はイオンプレーティングすることにより基板若しくは記録層の上に形成することができる。
反射層の層厚は、一般的には10〜300nmの範囲にあり、50〜200nmの範囲にあることが好ましい。
[接着層]
接着層は、上記反射層と、第2の基板とを貼り合わせるために形成される。
接着層を構成する材料としては、光硬化性樹脂が好ましく、中でも、ディスクの反りを防止するため、硬化収縮率の小さいものが好ましい。このような光硬化性樹脂としては、例えば、大日本インキ化学工業(株)製の「SD−640」、「SD−661」等のUV硬化性樹脂(UV硬化性接着剤)を挙げることができる。
また、接着層の厚さは、弾力性を持たせるため、1〜1000μmの範囲が好ましく、5〜500μmの範囲がより好ましく、10〜100μmの範囲が特に好ましい。
[第2の基板]
第2の基板には、プリグルーブが形成されていない点以外は、第1の基板と同じ材質で、同じ形状のものを使用することができる。
また、第2の基板にも第1の基板と同様のプリグルーブが形成され、また、貼り合わせ面に、記録層が形成されていてもよい。更に、第2の基板と記録層との間に中間層が設けられてもよいし、記録層の基板とは反対の面に反射層が設けられてもよい。なお、第2の基板側に設けられる、中間層、記録層、及び反射層も、上述の各層と同様である。このように、第2の基板側に記録層が形成されている積層体と、上述のように、第1の基板上に、中間層、記録層、及び反射層がこの順に形成されている積層体と、を両基板を外側にして接着層により貼り合せることにより、両面で情報の記録及び再生が可能な光情報記録媒体を得ることができる。
[記録方法]
本発明の光情報記録媒体への情報(デジタル情報)の記録方法について説明する。
本発明の光情報記録媒体への情報の記録には、少なくとも、レーザー光を射出するレーザーピックアップと、光情報記録媒体を回転させる回転機構と、を有する記録装置を用いる。まず、回転機構を用いて、未記録の光情報記録媒体を所定の記録線速度にて回転させながら、レーザーピックアップからレーザー光を照射する。この照射光により、記録層中の色素がその光を吸収して局所的に温度上昇し、例えば、ピットが生成してその光学特性が変わることにより情報が記録される。
なお、記録された情報の再生は、回転させた状態の光情報記録媒体の記録層に向けてレーザーピックアップからレーザー光を照射して行う。
レーザー光の記録波形は、1つのピットの形成する際には、パルス列でも1パルスでもかまわない。実際に記録しようとする長さ(ピットの長さ)に対する割合が重要である。
レーザー光のパルス幅としては、実際に記録しようとする長さに対して20〜95%の範囲が好ましく、30〜90%の範囲がより好ましく、35〜85%の範囲が更に好ましい。ここで、記録波形がパルス列の場合には、その和が上記の範囲にあることを指す。
レーザー光のパワーとしては、記録線速度によって異なるが、記録線速度が6.61m/sの場合、1〜15mWの範囲が好ましく、2〜12mWの範囲がより好ましく、3〜10mWの範囲が更に好ましい。また、記録線速度が2倍になった場合には、レーザー光のパワーの好ましい範囲は、それぞれ21/2倍となる。
また、記録密度を高めるために、ピックアップに使用される対物レンズのNAは0.55以上が好ましく、0.60以上がより好ましい。
本発明においては、記録及び再生の光源として、350〜850nmの範囲の発振波長を有する半導体レーザーを用いることができる。
次に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
−最大押し込み深さDの測定−
まず、以下の実施例及び比較例に供する中間層に用いる素材を用い、前記条件Aに従う膜を形成し、最大押し込み深さDを測定した。
Si単結晶基板(厚み:380±25μm)上にSiO2からなるターゲットを用いて、RFスパッタ法によりSiO2膜を150nmの厚みで成膜した。投入電力は1kW、Ar流量は10sccmで行った。
この試料をFischer Instruments社製 Picodenterで測定した。圧子は一般にビッカース型と呼ばれる対面角136°のダイヤモンド四角錐を用いた。測定方法は、20秒かけて一定速度で0.5mNまで力を加え、この時の最大押し込み深さ(D)を測定した。
同様に、ZnO−Ga23からなるターゲットを用いて、RFスパッタ法によりZnO−Ga23膜を150nmの厚みで成膜した。投入電力は2kW、Ar流量は10sccmで行った。最大押し込み深さ(D)の測定方法は上記と同じである。
[実施例1]
帝人化成(株)社製ポリカーボネート樹脂(MD1500)を用いて射出成形により厚さ0.6mmの基板(第1の基板)を成形した。基板の溝トラックピッチは400nm、溝深さは90nm、溝幅は180nmであった。
この基板上に中間層としてSiO2からなるターゲットを用いて、RFスパッタ法によりSiO2層を19nmの厚みで成膜した。投入電力は1kW、Ar流量は10sccmで行った。成膜にかかった時間は44秒であった。
TFP(テトラフルオロプロパノール)66.6gに対し、下記構造式で表される化合物を0.6g溶解させた。該液に超音波を2時間照射して色素を溶解させた後、23℃50%の環境に0.5時間以上静置し、0.2μmのフィルターで濾過し、記録層塗布液を得た。この記録層塗布液を用いて、スピンコート法で中間層付きの基板上に厚さ40nmの記録層を形成した。
Figure 2007265523
記録層形成後、80℃のクリーンオーブン中で1時間加熱処理した。
加熱処理後の試料に、Ag:98.4at%、Nd:0.7at%、Cu:0.9at%からなるターゲットを用いて、DCスパッタ法により反射層を100nmの厚みで成膜した。投入電力は2kW、Ar流量は5sccmで行った。
反射層を成膜した後、厚み0.6mmのポリカーボネート基板(第2の基板)を大日本インキ化学工業(株)製のUV硬化性樹脂(SD−640)を用いて貼り合せて光情報記録媒体を作製した。
作製した光情報記録媒体を、波長:405nm、NA=0.65のレーザー光学系を搭載したディスクドライブ装置(DDU−1000、パルステック工業(株)製)にセットして、線速6.61m/sにてランダム信号を記録しPRSNR値を測定した。PRSNR値は13であった。記録時には発光波形、記録パワーを最適化して行った。
[実施例2]
中間層の層厚を26nmとしたこと以外は実施例1と同様にして光情報記録媒体を作製した。中間層の成膜にかかった時間は59秒であった。また、PRSNR値は18であった。
[実施例3]
中間層として、ZnO−Ga23(30at%:70at%)からなるターゲットを用いて、RFスパッタ法によりZnO−Ga23膜を16nmの厚みで成膜し、その時の投入電力は2kW、Ar流量は10sccmで行ったこと以外は実施例1と同様にして光情報記録媒体を作製した。中間層の成膜にかかった時間は8.5秒であった。また、PRSNR値は14であった。
[実施例4]
中間層の層厚を22nmとしたこと以外は実施例3と同様にして光情報記録媒体を作製した。中間層の成膜にかかった時間は12秒であった。また、PRSNR値は21であった。
[実施例5]
中間層の層厚を40.5nmとした以外は実施例1と同様にして光情報記録媒体を作製した。中間層の成膜にかかった時間は94秒であった。また、PRSNR値は13であった。
[実施例6]
中間層の層厚を40.5nmとしたこと以外は実施例3と同様にして光情報記録媒体を作製した。中間層の成膜にかかった時間は20秒であった。また、PRSNR値は15であった。
[比較例1]
中間層の層厚を10nmとしたこと以外は実施例1と同様にして光情報記録媒体を作製した。中間層の成膜にかかった時間は23秒であった。また、PRSNR値は3であった。
[比較例2]
中間層の層厚を18nmとしたこと以外は実施例1と同様に作製した。中間層の成膜にかかった時間は41秒であった。また、PRSNR値は9であった。
[比較例3]
中間層の層厚を10nmとしたこと以外は実施例3と同様にして光情報記録媒体を作製した。中間層の成膜にかかった時間は5.5秒であった。また、PRSNR値は4であった。
[比較例4]
中間層の層厚を15nmとしたこと以外は実施例3と同様にして光情報記録媒体を作製した。中間層の成膜にかかった時間は8秒であった。また、PRSNR値は8であった。
以上の実施例および比較例で作製されたそれぞれの光情報記録媒体について、PRSNR値の結果を中間層の成膜にかかる成膜時間の結果と併せ判定結果とともに下記表1に示す。
なお、表1のPRSNR値の欄の「◎」はPRSNR>15、「○」は15≧PRSNR>10、「×」はPRSNR≦10であることを意味する。
また、表1の成膜時間の欄の「○」は各中間層素材毎でN=1.4の成膜時間に対して、その時の成膜時間が1.5倍未満であり、「×」はN=1.4の成膜時間に対して、その時の成膜時間が1.5倍以上かかることを意味している。
表1の総合評価の欄の「◎」はPRSNR値及び成膜時間の判断で◎が入っている時であり、「○」はPRSNR値および成膜時間の判断が○のみであり、「△」はPRSNR値のみの判断が○であり、「×」はPRSNR値および成膜時間の判断で×が入るという判断基準の下に判定を行った。
Figure 2007265523
表1の結果から、実施例1〜6の光情報記録媒体は、比較例1〜4の光情報記録媒体に比べ、PRSNRの評価において優れた結果が得られた。また、中間層の厚みが基板の案内溝深さの45%である実施例5及び6は、成膜時間が長時間となったが、Nの数値が2.0未満であるため、PRSNRについては良好な結果が得られた。
条件Aにおける最大押し込み深さDについて説明する模式図である。
符号の説明
10 Si基板
12 薄膜
14 圧子

Claims (4)

  1. 基板上に、少なくとも、中間層と、色素を含有する記録層とを有する光情報記録媒体であって、
    前記中間層が、以下の条件Aを満足することを特徴とする光情報記録媒体。
    (条件A)
    前記中間層と同質の素材を用いて、厚みが380±25μmのSi基板上に150nmの薄膜を成膜し、対面角136°のダイヤモンド四角錐の圧子を用いて、前記薄膜表面に20秒かけて一定速度で0.5mNまで力を加えた時の最大押し込み深さをD[nm]と定義し、前記中間層の層厚をT[nm]と定義したとき、次式で表されるNが2.0未満である。
    N=D/T
  2. 前記基板には同心円状又は螺旋状の案内溝が形成されていて、前記中間層の厚みが基板の案内溝深さの45%未満であることを特徴とする請求項1に記載の光情報記録媒体。
  3. 前記中間層が酸化亜鉛と酸化ガリウムとの複合酸化物及びケイ素酸化物のいずれかを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の光情報記録媒体。
  4. 前記記録層の色素が、シアニン色素、オキソノール色素、金属錯体系色素、アゾ色素、及びフタロシアニン色素のうちの少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の光情報記録媒体。
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