JP2007264556A - 鍵駆動装置及び鍵盤楽器 - Google Patents
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【解決手段】フレームに対して揺動可能に支持された鍵7を駆動する鍵駆動装置1であって、鍵7をその揺動方向の一方に付勢する付勢手段13を備え、付勢手段13が、鍵7の揺動に連動してフレームに対して揺動し、自重で鍵7を一方の揺動方向に付勢する棒状の磁性体9からなり、略U字状に形成された鉄心17と鉄心17に巻回されたコイル19とから構成された電磁石11を、コイル19に電流が流れている状態で鍵7を他方の揺動方向に揺動させるように磁性体9を磁力で吸引する位置に配し、磁性体9が鍵7の他方の揺動方向にあわせて揺動可能な状態で、鉄心17の一端部23が磁性体9に接触し、鉄心17の他端部25が磁性体9との間に隙間を介して対向配置されることを特徴とする鍵駆動装置1を提供する。
【選択図】図2
Description
従来の鍵駆動装置では、特許文献1のようにソレノイドを用いたものや、特許文献2のようにステッピングモータとギア機構とを組み合わせたものをアクチュエータとして使用している。したがって、上記演奏情報に応じてソレノイドやステッピングモータ等に駆動電圧や駆動信号を供給することで、各鍵が駆動されることになる。
また、従来の鍵駆動装置では上述したアクチュエータを用いているため、鍵を駆動しはじめる鍵駆動の初期段階において十分な駆動力を得るためには大きな消費電力が必要になるという不具合も生じる。この不具合は、特に電池仕様の電子キーボードに適用することが困難になるという問題がある。
請求項1に係る発明は、フレームに対して揺動可能に支持された鍵を駆動する鍵駆動装置であって、前記鍵をその揺動方向の一方に付勢する付勢手段と、前記鍵の揺動に連動して前記フレームに対して揺動する磁性体と、略U字状に形成された鉄心と該鉄心に巻回されたコイルとから構成されて、前記コイルに電流が流れている状態で前記鍵を他方の揺動方向に揺動させるように前記磁性体を磁力で吸引する電磁石とを備え、前記磁性体が前記鍵の前記他方の揺動方向にあわせて揺動可能な状態で、前記鉄心の一端部が前記磁性体に接触し、前記鉄心の他端部が前記磁性体との間に隙間を介して対向配置されることを特徴とする鍵駆動装置を提案している。
ここで、上述のようにコイルに電流を流した際には、磁性体が鉄心の一端部に接触しているため、磁性体が電磁石によって磁化され、鉄心の他端部に対向する磁性体が鉄心の他端部の磁極とは反対の磁極となる。すなわち、この状態においては、鉄心の他端部と磁性体との間の磁束密度が、鉄心と磁性体とを離間して配置する場合と比較して大きくなる。したがって、電磁石のコイルに流す電流を小さくしても、鍵を他方の揺動方向に揺動させるように磁性体を吸引するための磁力を大きくすることができ、鍵の初期位置において鍵を駆動する初期駆動力を十分に得ることができる。
この発明に係る鍵駆動装置によれば、コイルに電流を流した状態において磁性体が磁力によって鉄心の他端部に吸引される際に、電磁石が磁性体と共に揺動することで、磁性体が鉄心の一端部に接触した状態を確実に保持しながら、磁性体を鉄心の他端部に近づける方向に揺動させることができる。
この発明に係る鍵駆動装置によれば、コイルに電流を流した状態において、鉄心の他端部と磁性体とが磁力によって吸引される際に、鉄心の一端部と接触する磁性体の接触部分が接触面上を移動することで、磁性体が鉄心の一端部に接触した状態を確実に保持しながら、磁性体を鉄心の他端部に近づける方向に揺動させることができる。
また、1つの電磁石及び磁性体のみによって鍵駆動装置が構成されるため、従来のように、ソレノイドや、ステッピングモータとギア機構とを組み合わせたもので鍵駆動装置を構成する場合と比較して、鍵駆動装置の小型化、軽量化を容易に図ることができる。
なお、揺動レバー9の後端9bには、フレームに固定されてA方向への揺動を規制する規制部材15が配置されており、揺動レバー9はその自重によって規制部材15に当接することになる。この状態においては、鍵7が静止した初期位置に配されることになる。
鉄心17は、揺動レバー9の長手方向に延びる鉄心本体21と、鉄心本体21の両端から揺動レバー9に向けて突出する2つの突出部23,25とを備えている。
鉄心17を構成する第1の突出部(一端部)23は、揺動レバー9の後端9bに対向して配置されており、第2の突出部(他端部)25は、揺動レバー9の支点F1と後端9bとの間に位置する揺動レバー9の中途部に対向して配置されている。また、揺動レバー9に対向する各突出部23,25の先端面23a,25aは、揺動レバー9の長手方向に沿って平行に形成されている。
なお、電磁石11の支点F2は電磁石11の重心位置と一致しており、揺動レバー9が規制部材15に当接すると共に電磁石11が外力を受けていない状態においては、揺動レバー9と2つの突出部23,25の各先端面23a,25aとの間にそれぞれ隙間が形成されている。また、この状態における揺動レバー9と第1の突出部23との隙間は、揺動レバー9と第2の突出部25との隙間よりも狭くなっている。
図2に示すように、コイル19に電流が流れていない状態においては、揺動レバー9の自重によって揺動レバー9の後端9bが規制部材15に当接して鍵7が初期位置に配される。この状態から、図3に示すように、スイッチ29を切り換えてコイル19に電流を流した際には、第1の突出部23から揺動レバー9の後端9bに向かう磁束が生じ、電磁石11の磁力によって揺動レバー9の後端9bが第1の突出部23に吸引される。これにより、揺動レバー9の後端9bが第1の突出部23に接触するまで、鍵7及び揺動レバー9が付勢手段13の付勢力に抗してB方向に揺動することになる。
なお、揺動レバー9と第2の突出部25との隙間は上記7mmよりも大きいため、第2の突出部25から揺動レバー9に到達する磁束密度や、揺動レバー9と第2の突出部25との間に発生する吸引力が、上述した値よりも小さくなり、第2の突出部25により揺動レバー9がB方向に揺動することはない。
ただし、この状態においては、揺動レバー9が磁化されて、第2の突出部25に対向する揺動レバー9の中途部が第2の突出部25の磁極とは反対の磁極を持つことになる。すなわち、この状態においては、コイル19に流す電流の大きさを変えなくても、第2の突出部25と揺動レバー9との間の磁束密度が、揺動レバー9の後端9bが第1の突出部23から離間して位置している状態と比較して大きくなる。したがって、電磁石11の磁力によって揺動レバー9の中途部が、第2の突出部25に接触する位置まで鍵7及び揺動レバー9が付勢手段13の付勢力に抗してさらにB方向に揺動する。
以上によって、図4に示すように、揺動レバー9が電磁石11の2つの突出部23,25に接触した状態となる。なお、この状態においては、揺動レバー9が2つの突出部23,25の両方に接触して閉じた磁路が構成されるため、この状態を保持するためにコイル19に流す電流の大きさは、揺動レバー9を揺動させるために流した電流の大きさの1/3程度とすることができる。
また、上述のように揺動レバー9が2つの突出部23,25に接触した状態において、コイル19への電流の供給を止めた際には、揺動レバー9の自重によって鍵7や揺動レバー9がA方向に付勢されて揺動することになる。これによって、図2に示すように、鍵7が初期位置に戻ることになる。
したがって、楽曲データの各楽音が演奏情報発生装置3から鍵駆動制御装置5及び発音制御装置39の両方に出力された際には、上記各楽音に対応する所定の波形データが上記楽曲データの発音タイミング情報、ノート情報やその他の情報に基づいて発音装置37から出力されることになる。
以上のように、この鍵盤楽器においては、楽曲データに基づく自動演奏、及び、演奏者による手動演奏の両方が可能となっている。
図5に示すように、はじめに、演奏情報発生装置3が、発音タイミング情報やノート情報等を含む楽曲データを読み込み(ステップS1)、楽曲データの各楽音を鍵駆動制御装置5に出力する(ステップS2)。具体的には、楽曲データの発音タイミング情報に基づいて楽曲データの各楽音を鍵駆動制御装置5に出力する。次いで、鍵駆動制御装置5が、楽曲データのノート情報に基づいて上記各楽音の音高に対応する鍵7に取り付けられた鍵駆動装置1のスイッチ29を制御して、電磁石11のコイル19に電流を流す(ステップS3)。この際には、揺動レバー9が磁力によって電磁石11に吸引されて、電磁石11の2つの突出部23,25に接触する。これにより、上記楽音に対応する鍵7がその初期位置から付勢手段13の付勢力に抗してB方向に揺動することになる。
なお、この際には、発音タイミング情報がONとなっている間、すなわち楽曲データの楽音の長さに応じてコイル19に継続的に電流を流しておく。すなわち、上記楽曲データの楽音の終了にあわせて、鍵駆動制御装置5がスイッチ29を制御して、電源27によるコイル19への通電を遮断する。そして、コイル19への通電が遮断された際には、鍵7が付勢手段13の付勢力によってA方向に揺動して初期位置に戻ることになる。
なお、上述した各鍵7が駆動される際には、鍵7の駆動に同期するように発音装置37から楽曲データの楽音に対応する波形データが発音装置37に出力される。すなわち、発音制御装置39が、演奏情報発生装置3から出力された楽曲データの楽音に対応する波形データを音源35から読み出し、これを演奏情報発生装置3からの発音タイミング情報、ノート情報やその他の情報に基づいて制御して発音装置37から出力させている。
なお、この実施形態においては、揺動レバー9の後端9bが第1の突出部23から離間した状態で鍵7が初期位置に配されているが、揺動レバー9の後端9bと第1の突出部23との隙間を小さくしておくことにより、コイル19に流す電流を大きくしなくても、電磁石11の磁力によって揺動レバー9の後端9bを第1の突出部23に吸引する力を十分に得ることができる。
以上により、省電力でも鍵7の初期位置において鍵7を駆動する初期駆動力を十分に得ることができる。
さらに、揺動レバー9は、鍵7をA方向に付勢する付勢手段13としての役割も有しているため、鍵駆動装置1の構成部品点数を削減して、その製造コスト削減も図ることができる。
さらに、第2の突出部25は、揺動レバー9の後端9bよりも支点F1に近い位置に配置されるため、第2の突出部25と揺動レバー9との隙間を小さくしても揺動レバー9及びこれに係合された鍵7の揺動範囲を大きくすることが可能となる。
また、楽曲データに対応づけて鍵盤楽器の各鍵7を揺動させることができるため、例えば、各鍵7の動きにより手指で押さえるべき鍵7を鍵盤楽器の演奏者に報知することができる。したがって、楽曲データに応じた各鍵7の動きを視覚だけではなく手指で直接感じ取って、楽曲の練習を効率よく行うこともできる。
また、上記実施形態の鍵駆動装置1において、付勢手段13は、揺動レバー9により構成されるとしたが、これに限ることはなく、少なくとも鍵7をA方向に付勢するように構成されていればよい。すなわち、付勢手段は、例えば、コイルばねや板バネ等の弾性部材により構成されるとしても構わない。
これにより、図8に示すように、揺動レバー9の中途部が、第2の突出部59に接触する位置まで鍵7及び揺動レバー9が付勢手段13の付勢力に抗してB方向に揺動することになる。また、この揺動の際には、揺動レバー9の後端9bが接触面57a上を移動することになる。
また、揺動レバー9の中途部が第2の突出部59に吸引されて揺動レバー9がB方向に移動する際には、揺動レバー9の後端9bを接触面57a上で移動させることができるため、揺動レバー9の後端9bと第1の突出部57との接触を確実に保持しながら、揺動レバー9をB方向に揺動させることができる。したがって、この揺動の際に、第2の突出部59と揺動レバー9との間の磁束密度が減少することを確実に防止できる。
この構成の場合でも上記実施形態と同様の効果を奏する。また、鍵7をA方向に付勢する付勢手段をコイルばねや板バネにより構成することで、鍵7を揺動させるための別個の揺動レバー9が不要となるため、鍵駆動装置の構成を簡略化して鍵盤楽器の小型化や軽量化、及び製造コストの削減をさらに図ることもできる。
Claims (7)
- フレームに対して揺動可能に支持された鍵を駆動する鍵駆動装置であって、
前記鍵をその揺動方向の一方に付勢する付勢手段と、
前記鍵の揺動に連動して前記フレームに対して揺動する磁性体と、
略U字状に形成された鉄心と該鉄心に巻回されたコイルとから構成されて、前記コイルに電流が流れている状態で前記鍵を他方の揺動方向に揺動させるように前記磁性体を磁力で吸引する電磁石とを備え、
前記磁性体が前記鍵の前記他方の揺動方向にあわせて揺動可能な状態で、前記鉄心の一端部が前記磁性体に接触し、
前記鉄心の他端部が、前記磁性体との間に隙間を介して対向配置されることを特徴とする鍵駆動装置。 - フレームに対して揺動可能に支持された鍵を駆動する鍵駆動装置であって、
前記鍵をその揺動方向の一方に付勢する付勢手段を備え、
該付勢手段が、前記鍵の揺動に連動して前記フレームに対して揺動し、自重で前記鍵を前記一方の揺動方向に付勢する棒状の磁性体からなり、
略U字状に形成された鉄心と該鉄心に巻回されたコイルとから構成された電磁石を、前記コイルに電流が流れている状態で前記鍵を他方の揺動方向に揺動させるように前記磁性体を磁力で吸引する位置に配し、
前記磁性体が前記鍵の前記他方の揺動方向にあわせて揺動可能な状態で、前記鉄心の一端部が前記磁性体に接触し、
前記鉄心の他端部が、前記磁性体との間に隙間を介して対向配置されることを特徴とする鍵駆動装置。 - 前記鉄心の一端部が、前記磁性体の揺動中心となる支点から離れて位置する前記磁性体の端部に配置され、
前記鉄心の他端部が、前記支点と前記端部との間に位置する前記磁性体の中途部に対向配置されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鍵駆動装置。 - 前記鉄心の中途部を支点として前記電磁石が前記フレームに対して揺動可能であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の鍵駆動装置。
- 前記電磁石が、前記フレームに固定され、
前記鉄心の一端部に、前記磁性体と接触する接触面が形成され、
該接触面が、前記鍵の他方の揺動方向に連動する前記磁性体の揺動方向に延びていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の鍵駆動装置。 - フレームに対して揺動可能に支持された鍵を複数並べて配置した鍵盤楽器であって、
各鍵を駆動する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の鍵駆動装置と、
自動演奏用の楽曲データを発生する演奏情報発生装置と、
前記楽曲データに基づいて選択された前記鍵に対応する前記電磁石のコイルに電流を流す鍵駆動制御装置とを備えることを特徴とする鍵盤楽器。 - 前記楽曲データに基づいて前記鍵の駆動に同期するように楽音を発生する発音手段を備えることを特徴とする請求項6に記載の鍵盤楽器。
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JPH09244656A (ja) * | 1996-03-12 | 1997-09-19 | Yamaha Corp | 楽器用鍵盤装置 |
JPH1055171A (ja) * | 1996-08-08 | 1998-02-24 | Casio Comput Co Ltd | 鍵駆動装置 |
JPH10171447A (ja) * | 1996-12-06 | 1998-06-26 | Casio Comput Co Ltd | 鍵駆動装置 |
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