以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一つの要素には同一つの符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、実施形態に係る双方向通信光トランシーバの分解斜視図である。この光トランシーバ10は、光送信デバイスおよび光受信デバイスの双方を内蔵する双方向光サブアセンブリ(Bi-Directional Optical Sub-Assembly:BOSA)11と、このBOSA11に対して電気的な処理を施す集積回路(IntegratedCircuit:IC)73を搭載する回路基板12と、これらBOSA11と回路基板12とを、その位置を規定しつつ収納するハウジング13と、ハウジング13を覆い、BOSA11および回路基板12を外部から電磁的にシールドする金属製カバー14とを有する。回路基板12のうちIC73が搭載される主面と反対側の主面には、EMIシート82および絶縁フィルム83が順次に被せられている。
この光トランシーバ10は、いわゆるプラガブル(挿抜可能)光トランシーバであり、ホストシステムに搭載されたケージに差し込まれ、そのケージ内に設けられた電気コネクタに、回路基板12の後端に形成された電気プラグ40を挿入し電気的導通を確保することで、ホストシステムと通信可能となる。このケージと光トランシーバ10との間の係合/解除機構を構成するベール(取っ手)15およびラッチ機構16がハウジング13に付属し、さらに、回路基板12の後端、すなわち、電気プラグ40、の位置をハウジング13に対して規定すべく、回路基板12はサブホルダ17を介してハウジング13に固定される。
図2は、BOSA11の外観を示す斜視図である。BOSA11は、光ファイバを収容する円筒状のスリーブ18と、その光ファイバにそれぞれ光学的に結合された同軸型の発光サブアセンブリ(Transmitting Optical Sub-Assembly:TOSA)19および同軸型の受光サブアセンブリ(Receiving OpticalSub-Assembly:ROSA)20とを一体に組み立てた組立体である。BOSA11は、一つのスリーブ18に対し二つの同軸型光モジュール19、20がそれらの軸方向を略90°違えて設置されたT字状の外観形状を有する。TOSA19はスリーブ18と対向する位置に設置され、ROSA20はスリーブ18とTOSA19とを結ぶ光軸に対して直交する方向に設置されている。つまり、スリーブ18中の光ファイバとTOSA19は共通の光軸91を有しており、この光軸91と略直角をなすのがROSA20の光軸92である。
図3は、BOSA11のハウジング13への固定の様子を示す、光トランシーバ10の長軸に沿った部分縦断面図である。この図では、カバー14や、後述する放熱シート50、EMIシート51などが省略されている。図3に示すように、スリーブ18の内部には、光ファイバ84を内蔵する円柱状のファイバスタブ85が収納されている。ファイバスタブ85の基端部を除く部分は、円筒状の内側スリーブ86によって覆われており、ファイバスタブ85および内側スリーブ86の双方の基端部には、ブッシュ87が取り付けられている。スリーブ18は、ブッシュ87の基端部を除く部分と内側スリーブ86を覆うように固定される。ブッシュ87の基端部は、後述する本体部21の先端面に固定されている。
TOSA19およびROSA20は、いわゆる同軸型のパッケージを有している。つまり、TOSA19およびROSA20の各々では、円板状の金属製ステム23の一方の主面(以下、「上面」)上に半導体光素子が搭載されている。この半導体光素子は、TOSA19では発光素子であり、ROSA20では受光素子である。半導体光素子と外部との電気的接続は、ステム23に付属するリードピン24を介して行われる。リードピン24はステム23の他方の主面(以下、「底面」)に対してほぼ直角に外部に引き出される。したがって、TOSA19の光軸91とROSA20のリードピン24の長手方向とは略直角をなしている。
図3に示すように、TOSA19のステム23の上面には、発光素子88を覆うように有天円筒状のキャップ89が取り付けられており、このキャップ89とステム23とによって同軸型パッケージが構成されている。キャップ89の上壁に設けられた開口には、レンズ90が設置されており、このレンズ90を介してTOSA19が光ファイバ84に光学的に結合されている。このようなパッケージ構造は、ROSA20でも同様である。
スリーブ18、TOSA19およびROSA20の各々は、円筒状の本体部21に固定されている。本体部21には、光ファイバ84の光軸91をROSA20に向けて90°曲げるWDMフィルタ41(図3を参照)が内蔵されている。TOSA19は、波長1.3μm帯の光を発光し、光ファイバ84に入射させる。一方、ROSA20は、光ファイバ84から波長1.55μm帯の光を受光する。WDMフィルタ41は、これら波長1.3μm帯の光と波長1.55μm帯の光とを分離する。すなわち、WDMフィルタ41は、TOSA19から波長1.3μm帯の光を受けて光ファイバ84に送ると共に、光ファイバ84から波長1.55μm帯の光を受けてROSA20に送る。
本実施形態では、TOSA19、ROSA20、および、本体部21、さらには、スリーブ18の外壁は全て金属製である。ただし、これらの部品は、金属製の基体に樹脂製の外壁を設けたものであってもよい。
BOSA11のうちTOSA19、ROSA20および本体部21は、ハウジング13に設けられた空間13aに収容されている。また、ハウジング13の先端部には、外部の光ファイバの先端に装着された光コネクタを挿入可能な開口26aを有するレセプタクル部26が形成されており、スリーブ18の先端部はこの開口26a内に収容されている。開口26aと空間13aとの間には、両者を区画する隔壁27が設けられており、この隔壁27には、開口26aおよび空間13aに連通する貫通穴が設けられている。この貫通穴には、スリーブ18のうち先端部を除く部分が収容されている。
隔壁27は、相対向する前部58および後部59と、前部58および後部59に挟まれた中間部60から構成されている。前部58には、レセプタクル部26の開口26aに連通する開口58aが形成され、後部59には、空間13aに連通する開口59aが形成されている。中間部60には、開口58aおよび59aに連通する比較的広い開口60aが形成されており、その結果、前部58の背面58bおよび後部59の前面59bが開口60aを通じて露出している。隔壁27の貫通穴は、これらの連続した開口58a〜60aによって形成されている。前部58の背面58bおよび後部59の前面59bは、光ファイバ84の光軸91と直交する平面に沿って中間部60の前端および後端からそれぞれ延び出している。
前壁58の開口58aは円形の横断面を有しており、その径はスリーブ18の外径と略同一である。スリーブ18のうち先端部に続く部分は、この開口58aに収容されている。これにより、光軸91と直交する方向におけるBOSA11の移動が規制され、位置ずれが抑えられる。スリーブ18の先端部は、開口58aを通過してレセプタクル部26の開口26aに侵入し、そこで外部の光コネクタと係合できるようになっている。
開口26aへのスリーブ18の突き出し量は、光コネクタの規格に準拠する。スリーブ18の根元部、すなわち本体部21付近の部分には、BOSA11の位置をハウジング13に対して決めるための円環状フランジ22が設けられている。このフランジ22は隔壁27の前部58の背面に当接しており、これにより、スリーブ18のレセプタクル部26内への突き出し量、および光トランシーバ10の長軸方向に沿ったBOSA11の位置が決定される。
フランジ22を隔壁27の前部58に当接させるだけでは、BOSA11のトランシーバ後方への動きが自由なので、外部の光コネクタをスリーブ18との係合のためにレセプタクル部26の開口26aに挿入すると、BOSA11が後方に移動してしまい、適切な光結合を実現することができない。そのため、本トランシーバ10では、中間部60の開口60aに固定ホルダ25を嵌め込むことで、このBOSA11の後方への動きを規制している。
以下では、図4〜図6を参照しながら、固定ホルダ25について詳細に説明する。ここで、図4は、図3のIV−IV線に沿った部分断面図であり、図5は、BOSA11を仮想的に取り除いて固定ホルダ25を示す部分断面図である。さらに、図6(a)は、固定ホルダ25をその前方から俯瞰した斜視図、図6(b)は、後方から俯瞰した斜視図である。
図6に示すように、固定ホルダ25はU字状の部品であり、互いに略平行に延びる上柱部28および下柱部29と、これら上下柱部を連結する支持体93を有する。支持体93に対して、下柱部29は上柱部28よりも長く延び出ている。支持体93上において上柱部28と下柱部29の中間には、これら上下柱部に対して略平行に突出した中央柱部30が形成されている。中央柱部30が支持体93から延び出す長さは、上下柱部よりも短い。
図4および図5に示すように、上柱部28、下柱部29および中央柱部30は、隔壁27の中間部60に形成された差込口68、69および70にそれぞれ圧入されている。これらの柱部28〜30は、スリーブ18を挟むようにスリーブ18の外側面に接している。図1に示すように、これらの差込口68〜70は、ハウジング13の一側面に形成された開口95に連通しており、固定ホルダ25の支持体93は、この開口95に収容される。つまり、固定部品25は隔壁27の中間部60に埋め込まれている。図5に示すように、差込口68〜70の一部は前部58にまで及んでおり、その結果、前部58の背面58bに段差94が生じている。柱部28〜30の前端部は、それらの段差94に収容されている。
図6(a)に示すように、固定ホルダ25の柱部28〜30のうちスリーブ18のフランジ22に対向する面には、フランジ22を収納するための段差32が形成されている。図3に示すように、各段差32はフランジ22と係合する。これにより、スリーブ18は上柱部28および下柱部29によって上下からしっかりと狭持される。
図6(b)に示すように、柱部28〜30のうち段差32の反対側の面には、三角柱状のリブ(小突起)31が形成されており、柱部28〜30を差込口68〜70に圧入する際のつぶれ代となる。すなわち、各差込口の幅(光トランシーバ10の長軸に沿った長さ)は、フランジ22の厚さ、固定ホルダ25のうちフランジ22と係合する部分(以下、「フランジ係合部分」)の厚さ、およびリブ31の高さの合計値よりも僅かに小さく、かつ、リブ31の高さを除いた合計値、すなわちフランジ22の厚さと固定ホルダ25のフランジ係合部分の厚さとの合計値よりも僅かに大きく設定されている。
このため、柱部28〜30を差込口68〜70に差し込んだときに、これらのリブ31が後壁59の前面に押し付けられて圧縮され、その反作用により、柱部28〜30の段差32がフランジ22に押し付けられる。それに応じて、フランジ22が前部58の背面58bに押し付けられる。この結果、固定ホルダ25およびフランジ22が、前部58および後部59によって固く狭持され、位置決めされる。これにより、固定ホルダ25およびBOSA11が確実に固定され、抜け落ちが防止される。
また、フランジ22の一方の主面が前部58の背面58bに当接し、フランジ22の他方の主面に係合する柱部28〜30がリブ31を介して後部59の前面59bに当接しているので、光軸91に沿ったBOSA11の移動が規制される。したがって、BOSA11の位置が光トランシーバ10の長軸方向において確実に位置決めされる。
このように、柱部28〜30を差込口68〜70にそれぞれ圧入することで、BOSA11が上柱部28および下柱部29によって狭持されると共に、固定ホルダ25がハウジング13に固定される。この結果、BOSA11のハウジング13に対する固定と位置決めを同時に完了することができる。したがって、光トランシーバ10は組み立てが容易である。特に、二つの差込口68および69に上柱部28および下柱部29をそれぞれ挿入すれば固定と位置決めが完了するので、上下柱部を単一の差込口に挿入する構造に比べて、固定ホルダ25を円滑に取り付けることができる。
また、TOSA19やROSA20ではなくスリーブ18が狭持されるので、TOSA19およびROSA20の形状や配置にかかわらずBOSA11を固定することができる。
なお、中央柱部30は必ずしも必須ではなく、上柱部28および下柱部29だけでもBOSA11を適切に固定および位置決めすることが可能である。ただし、中央柱部30を設けると、フランジ22を3箇所で支持することになるので、固定と位置決めをいっそう確実なものとすることができる。中央柱部30の支持体93からの長さは、固定ホルダ25をハウジング13に完全に差し込んだときに中央柱部30がスリーブ18の側面を押圧しないように設定することが好ましい。中央柱部30がスリーブ18を押圧すると、BOSA11に光軸ずれが生じるおそれがあるからである。
本トランシーバ10は、固定ホルダ25がハウジング13の側面から差し込まれる構成となっているが、ハウジング13の側面に限らず、上面や底面から差し込まれる構成であってもよい。しかしながら、ハウジング13の上面や底面から差し込まれる構成の場合には、スリーブ18の光軸に対して略90°の角度に配置されているROSA20が障害となってしまう可能性が残る。具体的には、固定ホルダ25のどちらかの柱部28、29がROSA20の取り付けの障害となって、例えば十分な強度が確保される程度の厚さが保てない、等の不都合が生ずる場合がある。従って、本実施形態では、ハウジング13のうちROSA20の反対側に位置する側面から固定ホルダ25を差し込んでBOSA11を固定する構成を採用している。
再び図1を参照する。BOSA11は、フレキシブル基板(以下、「FPC基板」)33、34によって回路基板12と電気的に接続されている。既に説明したように、TOSA19およびROSA20のBOSA11本体への取り付けは、その光学的な制約により、互いの軸方向を90°違えてなされている。従って、TOSA/ROSAと回路基板12との間のFPC基板33、34による接続についても、この90°異なる角度を前提としたものでなければならない。
図7および図8は、BOSA11と回路基板12との接続の様子を示す斜視図および平面図である。回路基板12は、光トランシーバ10の長軸方向(TOSA19の光軸方向)に沿った略長方形の基板であり、その後端部にはコネクタプラグ40が形成されている。プラグ40上には、回路基板12上の配線パターンが延長されている。光トランシーバ10をホストシステムのケージに挿入すると、プラグ40がホストシステムの電気コネクタと係合し、プラグ40上の配線パターンがその電気コネクタの電極に接触する。
回路基板12の前端部では、TOSA19を収納するために基板12の一方側が大きく切り込まれており、その切り込みにTOSA19のステム23が位置する。切り込みの端面12aからはFPC基板33が延び出し、TOSA19に接続されている。図3に示すように、FPC基板33は、回路基板12に対して一度下方に屈曲した後、TOSA19のステム23と略平行になるように上方に屈曲する。この結果、FPC基板33の断面はU字状に撓んでいる。FPC基板33の先端には、硬質基板37が設けられており、TOSA19のステム23から延び出すリードピン24に接続されている。
一方、回路基板12の前端の他方側には、端面12aに対して突出する延長端部42が設けられている。この延長端部42は、TOSA19の光軸91に沿ってROSA20に向かうように延びている。延長端部42の先端面42aからは、ROSA20のステム23に向かってFPC基板34が延び出している。FPC基板34は、延長端部42から延び出した後、回路基板12に対して起立するように上方に屈曲される。この屈曲により形成された立設部34aの側部34bから延び出す部分34cは、ROSA20に向かうように前方に屈曲される。接続部34cの先端には硬質基板38が設けられており、ROSA20のステム23から延び出すリードピン24に接続されている。以下では、立設部34aの側部34bから延び出す部分34cを「接続部」と呼ぶ。図8に示すように、接続部34cは、その断面がU字状になるように屈曲した後、さらに硬質基板38の付近で屈曲し、ステム23の主面に略平行となって硬質基板38に接続される。
図8に示すように、立設部34aは、直線71を曲げ線としてFPC基板34を曲げることにより形成されている。この曲げ線71は、光軸91および92を含む平面(図8の紙面)内において延長部42の先端面42aに略平行な直線である。このように、延長部42の先端面42aに沿ってFPC基板34を曲げることにより、立設部34aを容易に形成することができる。
トランシーバ10においては、回路基板12が多層配線基板とされており、当該多層基板の中層にFPC基板33、34の樹脂層および配線層が埋め込まれている構成を採用している。つまり、回路基板12の端面から延び出すFPC基板33、34は、この中層に埋め込まれている樹脂層、配線層がそのまま延び出したものである。さらに、TOSA19、ROSA20のリードピン24が接続される硬質基板37、38も多層配線基板であり、FPC基板33、34の樹脂層、配線層はその多層配線基板中の中層に埋め込まれており、リードピン24は硬質基板37、38内でFPC基板33、34に電気的に接続される。
TOSA19およびROSA20のリードピン24の引き出し方向が90°違えて設けられているBOSA11においては、そのリードピン24に電気的に接続するためのFPC基板33、34を比較的大きな曲率で屈曲させなければならないため、FPC基板33、34に及ぼされる応力が比較的大きい。回路基板12や硬質基板37、38がFPC基板から材料的に分離された形態では、この応力に抗し得ない状況が生まれてしまう。そこで、本トランシーバ10では、FPC基板33、34を大きな曲率で屈曲させた場合であっても十分な信頼性を得るために、FPC基板33、34中の樹脂層および配線層が、回路基板12および硬質基板37、38中の樹脂層および配線層に連続し、一体的につながっている構成を採用した。
図9は、BOSA11に接続される前の回路基板12およびFPC基板33、34を示す平面図であり、ここで、FPC基板33、34は屈曲されていない状態で描かれている。TOSA19用のFPC基板33は、回路基板12の端面12aとTOSA19用の硬質基板37との間に延在している。硬質基板37には、TOSA19のリードピン24に電気的に導通する4個のビアホール39が形成されており、それらのビアホール39は、TOSA19との間でSig、Vcc、GND、およびMonの各信号を送受する。ここで、SigはTOSA19に入力されるデータ信号、VccはTOSA19に供給される電源電圧、GNDはTOSA19に供給されるグランド電圧、MonはTOSA19から出力され、TOSA19内の発光素子の光出力を表すモニタ信号である。以下では、グランド電圧用のビアホール39に接続されるリードピン24を、接地用リードピンと呼ぶ。硬質基板37には、Vcc用のビアホール39とGND用のビアホール39との間に接続されて電源電圧を安定化するチップコンデンサが実装されている。
一方、ROSA20用のFPC基板34は、回路基板12の延長端部42の先端面42aからTOSA19に沿って延び出し、回路基板12の主面に対して略垂直に曲げられて立設部34aを形成した後、立設部34aの側部34bから接続部34cを延ばしてROSA20用の硬質基板38に接続されている。図9に描かれる硬質基板38の主面は、FPC基板34がROSA20に接続される際には、ROSA20のステム23とは対向しない面、すなわち外面になる。
これにより、FPC基板34をねじることなく、接続部34cの先端部をROSA20のステム23と略平行に配置してリードピン24に接続することができるようになる。FPC基板34をねじる必要がないので、FPC基板34の断線が起こりにくく、したがって、ROSA20および回路基板12間の電気的接続の信頼性を高めることができる。
特に、本トランシーバ10では、接続部34cがTOSA19およびROSA20の双方の光軸91、92に垂直な曲げ線72に沿って屈曲されている。接続部34cをこのように屈曲させることで、接続部34cの先端部をROSA20のステム23に略平行にすることができる。したがって、FPC基板34をねじらずにROSA20に円滑に接続することができる。
また、本トランシーバ10では、TOSA19用のFPC基板33が延び出す回路基板12の端面12aに対しROSA20に向かって突出する延長端部42を設け、その先端からFPC基板34が延び出している。このため、延長端部の分だけFPC基板34の長さを短縮することができ、それにより、光受信に関する電気的特性を向上させることができる。
図8に示すように、延長部42の先端面42aは、ROSA20の光軸92に対して傾斜しており、FPC基板34はこの先端面42aに垂直な方向に沿って延び出す。このため、FPC基板34は、先端面42aからTOSA19に近づくように延びて、立設部34aを形成する。立設部34aのうちTOSA19から遠い側の側部34bからは、接続部34cがTOSA19から遠ざかるように延び出す。
このように、FPC基板34が一度TOSA19に近づくように延び、次いでTOSA19から遠ざかるように延びているのは、FPC基板34の接続部34cをROSA20との接続のために屈曲させる際に、その曲率が過大になるのを防ぐためである。上記のようにFPC基板34を屈曲させることで、立設部34aをROSA20のステム23の底面に対して傾斜するように形成することができる。図8に示すように、立設部34aは、TOSA19に近い側の側部からTOSA19に遠い側の側部34bに進むにつれて徐々にステム23に近づくように傾斜している。立設部34aがステム23の底面と垂直な場合に比べて、接続部34cは、立設部34aの側部34bから、ステム23の底面により平行に近い角度で延び出すので、接続部34cの曲率を抑えることができる。これにより、FPC基板34の断線がさらに起こりにくくなるので、電気的接続の信頼性をいっそう高めることができる。
硬質基板38には、ROSA20のリードピン24に電気的に導通する5個のビアホール39が形成されており、それらのビアホール39は、ROSA20との間でOut、/Out、Vcc、Vpd、およびGNDの各信号を送受する。Outおよび/Outは、ROSA20から出力される相補的なデータ信号であって、ROSA20で受光した光信号に対応するものである。VccおよびGNDは、ROSA20に供給される電源電圧およびグランド電圧である。Vpdは、ROSA20内に搭載されている半導体受光素子に印加されるバイアス電圧である。
TOSA19内の発光素子を含む電子回路は、FPC基板33によって回路基板12上の電子回路に電気的に接続される。同様に、ROSA20内の受光素子を含む電子回路は、FPC基板34によって回路基板12上の電子回路に電気的に接続される。FPC基板33内の信号(Sig)配線パターンは、TOSA19内の電子回路および回路基板12上の電子回路に対してインピーダンス整合されている。同様に、FPC基板34内の信号(Out、/Out)配線パターンは、ROSA20内の電子回路および回路基板12上の電子回路に対してインピーダンス整合されている。このインピーダンス整合は、FPC基板33、34内の信号配線パターンの幅に加えて、下地樹脂層の誘電率と厚さを適切に設計することにより実現される。このインピーダンス整合により、1GHzを超える信号周波数帯であっても、信号波形に現れる歪みが抑制される。
図10は、ROSA20用のFPC基板34の形状につき他の例を示しており、ここで、FPC基板33、34は屈曲される前の状態で描かれている。図9の例では、TOSA19の光軸91に沿って延びる延長端部42が回路基板12に設けられ、その先端面42aから立設部34aおよび接続部34cを有するFPC基板34が延び出ている。これに対し、図10に示される例では、回路基板12の延長端部42をさらに前方に延ばし、ROSA20の下方に配置する。FPC基板34は、延長端部42の先端側部42bからROSA20の光軸92に沿って延び、硬質基板38に接続されている。硬質基板38は、FPC基板34を延長端部42に対して起立するように屈曲させた状態で、ROSA20のリードピン24に接続される。図9の例に比較してFPC基板34の長さを格段に短くでき、また、FPC基板34の曲げ回数が1回に抑えられるので、FPC基板34での配線構造の機械的信頼性が向上し、電気的特性、特にその高周波伝播特性の乱れが抑えられる。さらに、延長端部42が図9の例より長く延びているので、延長端部42に部品の実装が可能であり、回路基板12の部品実装面積を広くすることができる。
なお、本例において硬質基板39とROSAリードピン24との接続は、前例とは硬質基板39について表裏が逆になる。すなわち、前例では図9で現れている面がROSA20のステム23とは面しない側(外方)に位置していた。本例では、図10に現れている面がROSA20のステム23と対向する位置関係となる。
以下では、TOSA19のステム23に装着されるブラケット43について説明する。図11は、ブラケット43が装着されたBOSA11を示す斜視図であり、図12は、ブラケット43を示す斜視図である。図13は、ブラケット43が装着されたBOSA11の回路基板12への接続を示す平面図である。
光トランシーバ10では、TOSA19およびROSA20のパッケージグランドは、TOSA19での大電流スイッチング動作がROSA20の小信号回路に影響しないように、ROSA20のグランドに統一されている。すなわち、ROSA20のパッケージのみならずTOSA19のパッケージも、ROSA20のグランドに接地されている。TOSA19に搭載された発光素子やモニタ用受光素子等のグランドは、少なくともTOSA19のパッケージから絶縁され、また、TOSA19のステム23に設けられた接地用リードピンも、TOSA19のパッケージから(従って、ステム23からも)絶縁されている。光トランシーバ10がホストシステム上に搭載されることによって、ホストシステム内でTOSA19のグランドとROSA20のグランドが接続され、そのときにTOSA19の接地用リードピンが接地されることになる。
従って、この接地用リードピン、または接地用リードピンを硬質基板37のビアホール39に接続するための半田を、TOSA19のパッケージに接触させることはできない。そのため、余剰半田が毛細管現象によりステム23と硬質基板37の間に展がって接地用リードピンをステム23に電気的に導通させることがないように、TOSA19のステム23と硬質基板37との間隔を十分に確保しなければならない。
さらに、本トランシーバ10はその動作速度がGHz帯に及ぶものである。一芯双方向光通信が規定されているのは、いわゆるファイバーチャネルの規格であるが、その動作速度は1GHzを超える。この様な高速信号を扱う場合において、ROSA20に内蔵されているプリアンプでの発熱よりも、TOSA19に内蔵されているLD(レーザダイオード)での発熱がより大きくなる。さらに、プリアンプよりも、LDの温度特性、性能の温度依存性の方がはるかに大きいために、TOSA19の放熱機能を十分に確保しなければならない。
このため、本実施形態では、TOSA19のステム23に対して図12に示されるブラケット43を装着した。ブラケット43は、複数のタブ46〜48を有する導電性のリング部44と、リング部44の中心から離れるようにリング部44から延び出す導電性のフィンガ部45とを有している。本実施形態では、リング部44およびフィンガ部45の双方とも金属製である。リング部44は、TOSA19のステム23の側面に纏わり、フィンガ部45は回路基板12上の接地用導体パターン(GNDパターン)に接続される。これにより、TOSA19のステム23から回路基板12への放熱パスが確保される。
図12に示すように、リング部44の一方の端面からは、三つの背高タブ46、三つの背低タブ47、ならびに二つのストッパタブ48が延び出している。背高タブ46と背低タブ47はリング部44の端面上で交互に配列されており、各タブの先端はリング部44の内側に向けてほぼ90°の角度で折り曲げられ、テーブル部49が形成されている。一方のストッパタブ48は、リング部44の端面上において、フィンガ部45と対向する位置に形成されており、他方のストッパタブ48は、同じ端面上において、もう一方のストッパタブ48とフィンガ部45との間に形成されている。
TOSA19のステム23をリング部44に挿入すると、背低タブ47の先端のテーブル部49がステム23の底面に当接する(図11を参照)。すなわち、背低タブ47のテーブル部49は、TOSA19のステム23のリング部44への挿入に関して、ストッパの機能を果たす。一方、このようにしてTOSA19のステム23とブラケット43とが組み立てられた場合、この組立体から突出するリードピン24を硬質基板37のビアホール39に挿入すると、背高タブ46の先端のテーブル部49が硬質基板37に当接し、硬質基板37を支持する。すなわち、硬質基板37とステム23との間に二種のタブ46及び47の高さの差に等しい隙間が生ずる。本例ではこの隙間、すなわち二つのタブの高さの差を0.4mmに設定した。このように十分に大きな隙間が存在することにより、リードピン24を半田接続する際の余剰半田が硬質基板37とステム23との隙間に毛細管現象により展がることが避けられ、TOSA19の接地用リードピン(GNDリード)がステム23に電気的に導通することが避けられる。
一方、ROSA20用の硬質基板38とステム23との間隔も、略0.4mmに設定されているが、ROSA20のグランドはBOSA本体部21と同一電位にされており、TOSA19程にはステム23と硬質基板38との間隔を厳密に設定する必要はない。さらに、ROSA20用のFPC34については、回路基板12から硬質基板38迄の長さがTOSA19側に比較して長いため、屈曲の曲率を小さくできる。したがって、ROSA20用の硬質基板38に加わる応力は、TOSA19用の硬質基板37に加わる応力より程には大きくない。したがって、ROSA20のステム23と硬質基板38との間隔は、硬質基板38とリードピン24とを半田接続する際に、ブラケット43とは別の治具を用いて決定することができる。
ストッパタブ48aおよび48bは、背高タブ47のテーブル部49よりも、さらに高く延びている。TOSA19のリードピン24を硬質基板37のビアホール39に挿入して半田付けし、TOSA19のステム23にブラケット43を装着した状態で、ハウジング13にBOSA11を組み込む際、FPC基板33を下方に凸に屈曲させると、FPC基板34に反発力が生じる。この反発力は、硬質基板37を上方に押し上げようとする。このとき、ストッパタブ48は、硬質基板37の側面に当接することでこの反発力を吸収する。ストッパタブ48がない場合には、ビアホール39に挿入されたリードピン24、厳密にはそのリードピン24の根元部が、この反発力の全てを吸収しなければならない。本例では、ストッパタブ48によって反発力が吸収されるので、リードピン24に対する機械的歪みを緩和し、電気的接続の信頼性を高めることができる。
上述したBOSA11、回路基板12および固定ホルダ25をハウジング13に設置した後、放熱シート50およびEMIシート51がハウジング13に取り付けられる。図14は、この取り付けの様子を示す分解斜視図である。図15は、EMIシート51を示す斜視図である。図16は、図3のXVI−XVI線に沿った断面図であり、取り付け後の放熱シート50およびEMIシート51を示している。
図14に示すように、取り付け前の放熱シート50は、方形の平板の一つの角を方形状に切り欠いた形状を有している。この切り欠きによって形成された比較的幅の狭い端部50aは、ハウジング13の上壁13aに設けられた凹部75に収容されている。
EMIシート51は、電磁波を遮断してEMI(Electromagnetic Interference:電磁干渉)を防ぐ電磁シールド材である。図15に示すように、EMIシート51は、平板状のベース部52と、このベース部52に対して一段低く形成された湾曲部53およびフィンガ部54とを有する金属製の部品である。ベース部52は、放熱シート50の端部50aに重ね合わせて、ハウジング13の凹部75に収容されている。ベース部52の一端部は、斜め下方に折り曲げられて段差を形成しながら、湾曲部53およびフィンガ部54につながっている。湾曲部53は、BOSA11の本体部21の外周面に沿うように形成された部分円筒状の曲板であり、その断面が円弧状となっている。一方、フィンガ部54は、方形状の平板であり、湾曲部53と相並んでベース部52から延び出している。
図14に示すように、BOSA11の上に放熱シート50が載せられ、さらにその上にEMIシート51が重ねられる。放熱シート50は柔軟なので、EMIシート51の形状に合わせて変形し、BOSA11の本体部21の外周面及びステム23の側面に密着する。図16に示すように、ベース部52と湾曲部53およびフィンガ部54との間に形成された段差の高さは、凹部75の底面とBOSA11の本体部21との高さの差に相当する。
図14および図16に示されるように、EMIシート51のベース部52を凹部75に収容すると、EMIシート51の湾曲部53がBOSA11の本体部21の外周面を覆い、フィンガ部54がTOSA19のステム23および硬質基板37の側面を覆う。これにより、ステム23およびリードピン24から漏洩するEMI雑音を効果的に遮断し、ROSA20の小信号増幅部への影響を抑制している。
放熱シート50は、EMIシート51とBOSA11の間に挟まれ、BOSA11の本体部21およびTOSA19のステム23に接触している。放熱シート50は、熱伝導率の良好な樹脂、例えばシリコーン樹脂に熱伝導性粒子を添加したものからなる。放熱シート50は、EMIシート51とBOSA11に挟まれた上で、かつBOSA11に密着することで、BOSA11、特にTOSA19内で発生した熱を効果的にEMIシート51あるいはハウジング13に伝えて放熱効果を高める。
また、他方において、放熱シート50は、EMIシート51と重ねてハウジング13の凹部75に収納されており、取り付け前の両シートを合わせた厚さは、この凹部75の深さよりもわずかに大きく設定されている。このため、両シートを取り付けた後、金属カバー14をハウジング13に被せると、放熱シート50は、EMIシート51を金属カバー14に押し付けて密着させ、放熱効果を高める作用を発揮する。
以上の様な構成を有するBOSA11を搭載する光トランシーバ10について、その製造方法を説明する。
図17〜図23は、光トランシーバ10の製造方法を、その工程順に示している。まず、上述したブラケット43を図11に示されるようにTOSA19のステム23に装着し、ステム23の底面に係合した背低タブ47をステム23に半田接続する。その後、回路基板12から延び出すFPC基板33、34の先端に設けられた硬質基板37、38のビアホール39にTOSA19、ROSA20のリードピン24を通し、両者の間を半田接続する。BOSA本体部21とTOSA19、ROSA20のステム23との接続、固定はこれら半田接続の前に実行されている。しかしながら、BOSA本体部21に対する、二つのステム23の回転角度については、スリーブ18内の光ファイバ84と各ステム23上に搭載された光素子との間の光結合を考慮して決定されるため、かならずしもその角度、すなわち、BOSA本体部21に対するTOSA19、ROSA20のリードピン24の位置が固定されているわけではない。
光トランシーバ10においては、このリードピン24の位置のばらつきを、FPC基板33、34を用いることで吸収している。さらに、FPC基板33に及ぼされる位置ばらつきによる応力が直接リードピン24に及ばないように、ストッパタブ48を有するブラケット43をTOSA19に装着している。ROSA側では、このFPC基板34に及ぼされる応力は、FPC基板34の回路基板12からの長さがTOSA側に比較して長いこと、また、FPC基板34をその中間で曲げることにより吸収されている。なお、この段階では、ブラケット43のフィンガ部45と回路基板12との半田接続は行わない。
このようにして組み立てられた、BOSA11と回路基板12とを、図17に示されるようにハウジング13に組み込む。ハウジング13の後方から、BOSA11のスリーブ18をハウジング13の隔壁27に形成された貫通穴に挿入する。ハウジング13の側壁には、その後方端から前方に延びるノッチ76が形成されており、このノッチ76に連続するように側壁内面には溝77が形成されている。また、回路基板12の側面のほぼ中央には突起78が設けられており、回路基板12のうち突起78より前方側の部位は他の部位に比較して幅広に形成されている。BOSA付き回路基板12をハウジング13の後方から、この幅広部79がハウジング13の側壁内面の溝77に納まるように挿入すると、回路基板12の突起78の前方端がノッチ76に奥端に当接し、回路基板12が止まる。こうして、回路基板12の挿入距離が決まる。
その後、図18に示すように、回路基板12の後方側からサブホルダ17を挿入する。サブホルダ17は、基板12の後端を受納する開口55が設けられた樹脂製の部品であり、当該開口55の相対向する二つの側面には、回路基板12の両側部が収納される溝56が形成されている。溝56を有する側壁の外面には、回路基板12の突起78の後方側端面をなぞる形状を有する爪57が設けられ、開口55の上辺(図18では上側に記載されているが、実際の使用においては下方に相当する)の外側にはラッチ構造96が設けられている。
回路基板12の両側端部を開口55内の溝56に収納しつつ爪57を基板12の突起78に当接するまでハウジング13にサブホルダ17を押し込むと、ラッチ構造58が、ハウジング13のノッチ76が形成されている部位の両側壁を押し広げる。当該部位の内面には凹部が形成されており、サブホルダ17のラッチ構造58が当該凹部に収納されて回路基板12がハウジング13に対して固定される。この結果、回路基板12のハウジング13の前方への移動、すなわちレセプタクル部26が形成されている側への移動は、回路基板12の突起78がハウジング13のノッチ76の底面に当接することで規制され、回路基板12の後方側への移動は、突起78の後方側側面がサブホルダ17の爪57に当接し、かつ、このサブホルダ17のラッチ構造がハウジング側壁の凹部内に収納されることで規制されている。さらに、回路基板12の上下方向の移動は、ハウジング側壁の内側面の溝77内に回路基板12の側端部が収容されていることで規制されている。
BOSA11付き回路基板12をハウジング13に収容して固定した後、固定ホルダ25をBOSA11に対して組み付ける(図19)。ハウジング13の側面には、固定ホルダ25の支持体93に対応する形状の開口95が形成されており、この開口95に固定ホルダ25を押し込む。開口95に連通する差込口68〜70に柱部28〜30をその根元まで一杯に押し込むことで、柱部28〜30がスリーブ18のフランジ22と係合し、上下柱部28および29がフランジ22を上下から挟みこむ。さらに、固定ホルダ25に形成されているリブ31の頂部が潰れることで、BOSA11をハウジング13に対して位置決めする。
BOSA11とハウジング13との位置関係を確実に規定した後、ブラケット43のフィンガ部45と回路基板12とを半田接続する(図20)。ハウジング13の底面が大きく開口されているので、フィンガ45の回路基板12との半田接続は容易に実行可能である。本例では、固定ホルダ25による固定の後にブラケット43と回路基板12との半田接続を実施しているが、この順が逆になってもよい。すなわち、ブラケット43を回路基板12に半田接続した後に固定ホルダ25をセットする、という順も採用できる。回路基板12とハウジング13の位置が決定された後、金属カバー14をセットする前であれば、固定ホルダ25のセットの順は問われない。
その後、図21に示すように、放熱ブロック61を回路基板12上のIC73に接触するようにハウジング13の開口63にセットする。放熱ブロック61は金属製、樹脂製を問わない。金属製放熱ブロックを採用する場合には、当該ブロックとIC73の表面の間、あるいは当該ブロック上であって、後に金属カバー14が被さる部分に樹脂製の薄い放熱シート62を介在させることが好ましい。これは、金属製のブロックによる衝撃を吸収するためである。
さらに、図14に示すように、BOSA本体部21およびTOSA19上に放熱シート50およびEMIシート51を順次に被せ、両者の端部をハウジング13の凹部75に設置しておく。
ついで、図22に示すように、金属カバー14をハウジング13の後方から滑らせるように装着し、ハウジング13を金属カバー14で包む。金属カバー14は一枚の金属板(ステンレス等)を切断し、折り曲げ加工のみで成形したものである。金属カバー14の上壁において、EMIシート51が露出する、凹部75に対応する箇所、および放熱ブロック61および放熱シート62用の開口63に対応する箇所には、弾性片64が形成されている。これらの弾性片64は、金属カバー14の上壁にU字状の切り込みを入れ、上壁に一端がつながっている板片を形成し、その板片をカバー内部に向けて撓ませることにより形成される。弾性片64がEMIシート51、放熱ブロック61、または放熱シート62を押圧することで、これら放熱用部材のBOSA11、IC73またはハウジング13への熱的接触が確実なものとなる。
次に、カバー14が装着されたハウジング13の前方端にベール15およびラッチ機構16を取り付ける(図23)。ラッチ機構16は、金属板をU字状に折り曲げることにより形成された形状を有しており、その屈曲部からはリフト爪65が突出している。ハウジング13のレセプタクル26の底面には、ラッチ係合構造66が形成されており、ラッチ機構16のうち屈曲部を挟んで対向する二片の一方をこのラッチ係合構造66に差し込む。本トランシーバ10をホストシステムのケージに挿入すると、レセプタクル部26の底面に形成されている三角形状のラッチ突起67が、ケージの前端下部に設けられている係合片中央部に形成されている穴に嵌り込んで、本トランシーバ10をケージに対して固定し、トランシーバ10がケージから容易に抜けないようにする。両者の係合関係を解除するには、トランシーバ10側のベール15を回転させることにより、ベール15と連動したリフト爪65を下方に押し下げる。リフト爪65はケージの係合片に当接しているので、このベール15の回転運動は、ケージの係合片を同時に下方に押し下げ、係合片とトランシーバ10側の係合突起67の嵌め合いを解除し、トランシーバ10をケージから抜くことが可能となる。
最後に、カバー14の上面、あるいは必要によってはその側面にラベル81(図1を参照)を貼り付けて光トランシーバ10が完成する。
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
10…光トランシーバ、12…回路基板、13…ハウジング、14…カバー、15…ベール、16…ラッチ機構、17…サブホルダ、18…スリーブ、19…TOSA、20…ROSA、21…本体部、22…フランジ、23…ステム、24…リードピン、25…固定ホルダ、26…レセプタクル、27…隔壁、28…上柱部、29…下柱部、30…中央柱部、31…リブ、32…段差、33、34…FPC基板、37、38…硬質基板、39…ビアホール、40…コネクタプラグ、41…フィルタ、42…延長部、43…ブラケット、44…リング、45…フィンガ、46…背高タブ、47…背低タブ、48…ストッパタブ、49…テーブル部、50…放熱シート、51…EMIシート、52…ベース部、53…湾曲部、54…フィンガ部、55…開口、56…溝、57…爪、58…前部、59…後部、60…中間部、61…放熱ブロック、62…放熱シート、63…開口、64…弾性片、65…リフト爪、66…ラッチ係合構造、67…ラッチ突起、68〜70…差込口、73…IC、75…凹部、76…ノッチ、77…溝、78…突起、79…幅広部、93…支持体、95…開口、96…ラッチ構造