しかしながら、かかるミラーは、高速で搖動するため、搖動端部において望ましくない空気流が発生し、搖動に対する抵抗となる場合がある。前記空気流を防止するために、ミラーを真空環境下におくことも考えられるが、真空封止には、コスト増であること、光束を透過させるための窓が光学的収差の要因となること、窓によって光束の入出射角が制限されることなどの問題がある。
本発明は、コスト及び光学特性に与える影響を抑制しつつミラーの搖動効率を向上した光学装置及びこれを有する画像表示装置を提供することを目的とする。
以上のような目的を達成するため、請求項1記載の発明は、反射面を備え搖動軸を中心に搖動する搖動ミラー部と、前記搖動ミラー部の縁部に近接して対向する壁部とを有する光走査装置にある。
請求項2記載の発明は、前記壁部は、前記搖動ミラー部の搖動先端縁に対向する第1壁部を有することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、前記第1壁部は、前記搖動先端縁の変位範囲の全体に対応する大きさを少なくとも有することを特徴とする。
請求項4記載の発明は、前記第1壁部の、前記搖動ミラー部の搖動先端縁に対向した面は、前記搖動先端縁の搖動軌跡に沿うように形成されていることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、前記壁部は、前記搖動ミラー部の搖動側縁に対向する第2壁部を有することを特徴とする。
請求項6記載の発明は、前記壁部は、前記搖動ミラー部の搖動側縁に対向する第2壁部を有することを特徴とする。
請求項7記載の発明は、前記第1壁部と前記第2壁部とが一体をなし前記搖動ミラー部の縁部全周を囲むように設けられていることを特徴とする。
請求項8記載の発明は、前記第1壁部が、前記搖動先端縁の変位範囲に対向する部分以外の部分に、前記第1壁部及び前記第2壁部によって囲まれた空間とその外側の空間とを連通させる開口を有することを特徴とする。
請求項9記載の発明は、前記第1壁部と前記第2壁部との間に間隙を有することを特徴とする。
請求項10記載の発明は、前記第2壁部は、前記搖動軸を挿通した挿通部を有することを特徴とする。
請求項11記載の発明は、前記第2壁部は、前記搖動側縁の変位範囲の全体に対応する大きさを少なくとも有することを特徴とする。
請求項12記載の発明は、前記壁部の厚さを前記搖動ミラー部の厚さより厚くしたことを特徴とする。
請求項13記載の発明は、前記搖動軸を介して前記搖動ミラー部を支持する支持基板を有し、前記壁部と前記支持基板とを一体化することにより、前記壁部を前記搖動ミラー部の縁部に近接して対向配置したことを特徴とする。
請求項14記載の発明は、前記搖動軸を介して前記搖動ミラー部を支持する支持基板と、前記支持基板を前記反射面の反対側から支持し前記搖動ミラー部の搖動を許容する凹部を有する底部材と、前記反射面に出入射する光束を透過させる透過口を備えた蓋部材とを有し、前記支持基板と前記底部材と前記蓋部材とを一体化して、前記支持基板と前記底部材と前記蓋部材との少なくとも一部により前記壁部を形成したことを特徴とする。
請求項15記載の発明は、請求項1〜14のいずれか1項に記載の光走査装置を備え、前記光走査装置により、画像信号に応じた光束を走査することで画像を形成する画像形成装置にある。
請求項16記載の発明は、請求項1〜14のいずれか1項に記載の光走査装置、又は、請求項15記載の画像形成装置を備え、前記光走査装置により、画像信号に応じた光束を走査することで画像を形成し、前記画像を投影表示する光走査型画像表示装置である画像表示装置にある。
請求項17記載の発明は、前記画像を眼の網膜上に投影表示する網膜走査型画像表示装置であることを特徴とする。
請求項18記載の発明は、観察者の頭部に搭載する頭部搭載型画像表示装置であることを特徴とする。
本発明は、反射面を備え搖動軸を中心に搖動する搖動ミラー部と、前記搖動ミラー部の縁部に近接して対向する壁部とを有する光走査装置であるので、壁部により、搖動ミラー部の縁部で生じる、ミラーの振動に影響を与える空気流の発生を抑制し、搖動ミラーの搖動角を確保することができ、コスト及び光学特性に与える悪影響を抑制しつつミラーの搖動効率を向上した、光学特性の良好な光走査装置を提供することができる。
請求項2記載の発明によれば、前記壁部は、前記搖動ミラー部の搖動先端縁に対向する第1壁部を有するので、第1壁部により、搖動ミラー部の搖動先端縁で特に生じ易い、ミラーの振動に影響を与える空気流の発生を抑制し、搖動ミラーの搖動角を確保することができ、コスト及び光学特性に与える悪影響を抑制しつつミラーの搖動効率を向上した、光学特性の良好な光走査装置を提供することができる。
請求項3記載の発明によれば、前記第1壁部は、前記搖動先端縁の変位範囲の全体に対応する大きさを少なくとも有するので、搖動先端縁の変位範囲の全体に対応するように設けられた第1壁部により、搖動ミラー部の搖動先端縁で生じる、ミラーの振動に影響を与える空気流の発生をより高度に抑制し、搖動ミラーの搖動角を確保することができ、コスト及び光学特性に与える悪影響を抑制しつつミラーの搖動効率を向上した、光学特性の良好な光走査装置を提供することができる。
請求項4記載の発明によれば、前記第1壁部の、前記搖動ミラー部の搖動先端縁に対向した面は、前記搖動先端縁の搖動軌跡に沿うように形成されているので、搖動先端縁の変位範囲の全体に対応し、かつかかる全体において搖動先端縁との距離が変わることなく近接するように設けられた第1壁部により、搖動ミラー部の搖動先端縁で生じる、ミラーの振動に影響を与える空気流の発生をより高度に抑制し、搖動ミラーの搖動角を確保することができ、コスト及び光学特性に与える悪影響を抑制しつつミラーの搖動効率を向上した、光学特性の良好な光走査装置を提供することができる。
請求項5、請求項6記載の発明によれば、前記壁部は、前記搖動ミラー部の搖動側縁に対向する第2壁部を有するので、第2壁部により、搖動ミラー部の搖動側縁でも生じる、ミラーの振動に影響を与える空気流の発生を抑制し、搖動ミラーの搖動角を確保することができ、コスト及び光学特性に与える悪影響を抑制しつつミラーの搖動効率性を向上した、光学特性の良好な光走査装置を提供することができる。
請求項7記載の発明によれば、前記第1壁部と前記第2壁部とが一体をなし前記搖動ミラー部の縁部全周を囲むように設けられているので、一体をなす第1壁部と第2壁部とにより、ミラーの振動に影響を与える空気流が発生し得る搖動ミラー部の縁部全周において搖動ミラー部を囲うことで、かかる空気流の発生を抑制し、搖動ミラーの搖動角を確保することができ、コスト及び光学特性に与える悪影響を抑制しつつミラーの搖動効率を向上した、光学特性の良好な光走査装置を提供することができる。
請求項8記載の発明によれば、前記第1壁部が、前記搖動先端縁の変位範囲に対向する部分以外の部分に、前記第1壁部及び前記第2壁部によって囲まれた空間とその外側の空間とを連通させる開口を有するので、一体をなす第1壁部と第2壁部とにより、ミラーの振動に影響を与える空気流が発生し得る搖動ミラー部の縁部全周において搖動ミラー部を囲うことで、かかる空気流の発生を抑制し、かつ、搖動の際に搖動に応じて開口から空気が出入りすることでかかる空間内の空気が搖動の抵抗になることを抑制することができることにより、搖動ミラーの搖動角を確保することができ、コスト及び光学特性に与える悪影響を抑制しつつミラーの搖動効率を向上した、光学特性の良好な光走査装置を提供することができる。
請求項9記載の発明によれば、前記第1壁部と前記第2壁部との間に間隙を有するので、第1壁部と第2壁部とにより、ミラーの振動に影響を与える空気流が発生し得る搖動ミラー部の縁部のほぼ全周において搖動ミラー部を囲うことで、かかる空気流の発生を抑制し、かつ、搖動の際に搖動に応じて間隙から空気が出入りすることでかかる第1壁部、第2壁部、搖動ミラー部によって囲まれた空間内の空気が搖動の抵抗になることを抑制することができることにより、搖動ミラーの搖動角を確保することができ、コスト及び光学特性に与える悪影響を抑制しつつミラーの搖動効率を向上した、光学特性の良好な光走査装置を提供することができる。
請求項10記載の発明によれば、前記第2壁部は、前記搖動軸を挿通した挿通部を有するので、第2壁部が搖動軸の配設を妨げることがなく、第2壁部により、搖動ミラー部の搖動側縁でも生じる、ミラーの振動に影響を与える空気流の発生を抑制し、搖動ミラーの搖動角を確保することができ、コスト及び光学特性に与える悪影響を抑制しつつミラーの搖動効率を向上した、光学特性の良好な光走査装置を提供することができる。
請求項11記載の発明によれば、前記第2壁部は、前記搖動側縁の変位範囲の全体に対応する大きさを少なくとも有するので、搖動先端縁の変位範囲の全体に対応するように設けられた第2壁部により、搖動ミラー部の搖動側縁で生じる、ミラーの振動に影響を与える空気流の発生をより高度に抑制し、搖動ミラーの搖動角を確保することができ、コスト及び光学特性に与える悪影響を抑制しつつミラーの搖動効率を向上した、光学特性の良好な光走査装置を提供することができる。
請求項12記載の発明によれば、前記壁部の厚さを前記搖動ミラー部の厚さより厚くしたので、壁部により、搖動ミラー部の縁部で生じる、ミラーの振動に影響を与える空気流の発生を抑制し、搖動ミラーの搖動角を確保することができ、また壁部の厚さを加工精度及び剛性を確保した厚さとすることで、コスト及び光学特性に与える悪影響を抑制しつつミラーの搖動効率を向上するとともに、反射面の動作時における変形を生じにくくし、より良好かつ安定に、かかる空気流の発生を抑制した、光学特性の良好な光走査装置を提供することができる。
請求項13記載の発明によれば、前記搖動軸を介して前記搖動ミラー部を支持する支持基板を有し、前記壁部と前記支持基板とを一体化することにより、前記壁部を前記搖動ミラー部の縁部に近接して対向配置したので、壁部により、搖動ミラー部の縁部で生じる、ミラーの振動に影響を与える空気流の発生を抑制し、搖動ミラーの搖動角を確保することができ、コスト及び光学特性に与える悪影響を抑制しつつミラーの搖動効率を向上した、光学特性の良好な、製造上の自由度が高く比較的複雑な構造とすることが可能な光走査装置を提供することができる。
請求項14記載の発明によれば、前記搖動軸を介して前記搖動ミラー部を支持する支持基板と、前記支持基板を前記反射面の反対側から支持し前記搖動ミラー部の搖動を許容する凹部を有する底部材と、前記反射面に出入射する光束を透過させる透過口を備えた蓋部材とを有し、前記支持基板と前記底部材と前記蓋部材とを一体化して、前記支持基板と前記底部材と前記蓋部材との少なくとも一部により前記壁部を形成したので、壁部により、搖動ミラー部の縁部で生じる、ミラーの振動に影響を与える空気流の発生を抑制し、搖動ミラーの搖動角を確保することができるとともに蓋部材により反射面の汚れ等による反射特性劣化を抑制でき、しかも破損からスキャナを守ることができる、コスト及び光学特性に与える悪影響を抑制しつつミラーの搖動効率を向上した、光学特性の良好な光走査装置を提供することができる。
本発明は、請求項1〜14のいずれか1項に記載の光走査装置を備え、前記光走査装置により、画像信号に応じた光束を走査することで画像を形成する画像形成装置であるので、壁部により、搖動ミラー部の縁部で生じる、ミラーの振動に影響を与える空気流の発生を抑制し、搖動ミラーの搖動角を確保することができ、コスト及び光学特性に与える悪影響を抑制しつつミラーの搖動効率を向上した、光学特性の良好な光走査装置を備え、光学特性に優れ良好な画像形成を行うことができる画像形成装置を提供することができる。
本発明は、請求項1〜14のいずれか1項に記載の光走査装置、又は、請求項15記載の画像形成装置を備え、前記光走査装置により、画像信号に応じた光束を走査することで画像を形成し、前記画像を投影表示する光走査型画像表示装置である画像表示装置であるので、壁部により、搖動ミラー部の縁部で生じる、ミラーの振動に影響を与える空気流の発生を抑制し、搖動ミラーの搖動角を確保することができ、コスト及び光学特性に与える悪影響を抑制しつつミラーの搖動効率を向上した、光学特性の良好な光走査装置を備え、光学特性に優れ良好な表示画像を得ることができる画像表示装置を提供することができる。
請求項17記載の発明によれば、前記画像を眼の網膜上に投影表示する網膜走査型画像表示装置であるので、壁部により、搖動ミラー部の縁部で生じる、ミラーの振動に影響を与える空気流の発生を抑制し、搖動ミラーの搖動角を確保することができ、コスト及び光学特性に与える悪影響を抑制しつつミラーの搖動効率を向上した、光学特性の良好な光走査装置を備え、光学特性に優れ良好な表示画像を得ることができる網膜走査型の画像表示装置を提供することができる。
請求項18記載の発明によれば、観察者の頭部に搭載する頭部搭載型画像表示装置であるので、壁部により、搖動ミラー部の縁部で生じる、ミラーの振動に影響を与える空気流の発生を抑制し、搖動ミラーの搖動角を確保することができ、コスト及び光学特性に与える悪影響を抑制しつつミラーの搖動効率を向上した、光学特性の良好な光走査装置を備え、光学特性に優れ良好な表示画像を得ることができる頭部搭載型の画像表示装置を提供することができる。
以下に、本発明に好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
[画像表示装置の構成]
以下、本発明に係る画像表示装置の一実施の形態について図面を用いて説明する。まず、本発明に係る画像表示装置の一例である網膜走査型画像表示装置としての網膜走査型ディスプレイ1の構成について図1を用いて説明する。
図1に示すように、網膜走査型ディスプレイ1には、光源ユニット部2が設けられている。光源ユニット部2には、外部からの映像信号が入力されると、それに基づいて映像を合成するための要素となる各信号を発生する映像信号供給回路3が設けられ、この映像信号供給回路3から映像信号4、水平同期信号5、及び、垂直同期信号6が出力される。
光源ユニット部2には、映像信号供給回路3から映像信号4として伝達される赤(R),緑(G),青(B)の各映像信号をもとにそれぞれ強度変調されたレーザ光を出射するように、光源としてのRレーザ13,Gレーザ12,Bレーザ11を、それぞれ駆動するためのRレーザドライバ10,Gレーザドライバ9,Bレーザドライバ8が設けられている。
また、光源ユニット部2には、各レーザより出射されたレーザ光をコリメートするように設けられたコリメート光学系14と、それぞれコリメートされたレーザ光を合波するダイクロイックミラー15と、合波されたレーザ光を光ファイバ17に導くファイバ結合光学系16とが設けられている。
なお、Rレーザ13,Gレーザ12,Bレーザ11として、レーザダイオード等の半導体レーザや固体レーザを利用してもよい。また、本実施形態における光源ユニット部2は、光源としてのRレーザ13,Gレーザ12,Bレーザ11から出射される光束を画像信号に応じて強度変調する変調手段の一例に相当する。ここで、各光源に半導体レーザを使用した場合は直接強度変調する構成であり、固体レーザを使用する場合は音響光学効果を利用した強度変調器を含んだ構成となる。
また、網膜走査型ディスプレイ1は、光源ユニット部2から伝搬され、出射されたレーザ光を受ける光学系18と、光学系18によって導かれコリメートされたレーザ光を、ガルバノミラー19aを利用して水平方向に走査する第1の走査系としての水平走査系19と、水平走査系19によって走査されたレーザ光を第2の走査系としての垂直走査系21に導く第1リレー光学系20と、水平走査系19に走査され、第1リレー光学系20を介して入射されたレーザ光を、ガルバノミラー21aを利用して垂直方向に走査する垂直走査系21と、垂直走査系21に走査されたレーザ光を観察者の瞳孔24に導く第2リレー光学系22とを有している。
第1リレー光学系20は、凸レンズ41、42を有しており、第2リレー光学系22は、凸レンズ51、52を有している。凸レンズ41と凸レンズ42とは互いに同じ光学的パワーを備えている。凸レンズ51と凸レンズ52とは互いに同じ光学的パワーを備えている。
第1リレー光学系20は、水平走査系19のガルバノミラー19aと、垂直走査系21のガルバノミラー21aとが共役となるように、また、第2リレー光学系22は、ガルバノミラー21aと、観察者の瞳孔24とが共役となるように、各々設けられている。
水平走査系19は、表示すべき画像の1フレームごとに、レーザビームを水平方向に走査する水平走査(1次走査の一例)を行う光学系である。また、水平走査系19は、水平走査するガルバノミラー19aと、そのガルバノミラー19aの駆動制御を行う水平走査制御回路19cとを備えている。ガルバノミラー19aは、レーザビームを反射する反射面としての偏向面19bを備え、偏向面19bを搖動させレーザビームを走査する際の軸となる搖動軸19dにより搖動自在に支持されている。
これに対し、垂直走査系21は、水平走査系19にて水平走査されたレーザビームを垂直方向に垂直走査する垂直走査(2次走査の一例)を行う光学系である。また、垂直走査系21は、レーザビームを垂直方向に走査するガルバノミラー21aと、そのガルバノミラー21aの駆動制御を行う垂直走査制御回路21cとを備えている。ガルバノミラー21aは、レーザビームを反射する反射面としての偏向面21bを備え、偏向面21bを搖動させレーザビームを走査する際の軸となる搖動軸21dにより搖動自在に支持されている。
よって、水平走査系19と垂直走査系21とは互いに交差する方向に走査を行うようになっている。
また、水平走査系19,垂直走査系21は、各々映像信号供給回路3に接続され、映像信号供給回路3より出力される水平同期信号5,垂直同期信号6にそれぞれ同期してレーザ光を走査するように構成されている。
本実施形態における水平走査系19及び垂直走査系21などは、入射した光束を、1次方向及びその1次方向に略垂直な2次方向に走査させる光走査装置の一例である。
次に、本発明の一実施形態の網膜走査型ディスプレイ1が、外部からの映像信号を受けてから、観察者の網膜上に映像を投影するまでの過程について図1を用いて説明する。
図1に示すように、本実施形態の網膜走査型ディスプレイ1では、光源ユニット部2に設けられた映像信号供給回路3が外部からの映像信号の供給を受けると、映像信号供給回路3は、赤,緑,青の各色のレーザ光出力を制御するためのR映像信号,G映像信号,B映像信号からなる映像信号4と、水平同期信号5と、垂直同期信号6とを出力する。Rレーザドライバ10,Gレーザドライバ9,Bレーザドライバ8は各々入力されたR映像信号,G映像信号,B映像信号に基づいてRレーザ13,Gレーザ12,Bレーザ11に対してそれぞれの駆動信号を出力する。この駆動信号に基づいて、Rレーザ13,Gレーザ12,Bレーザ11はそれぞれ強度変調されたレーザ光を発生し、各々をコリメート光学系14に出力する。また、映像信号供給回路3は、後述するガルバノミラー19aの駆動状態を示すBD信号(図示せず)に応じて、レーザ光を発生し、各々をコリメート光学系14に出力するタイミングを制御する。つまり、このような網膜走査型ディスプレイ1(映像信号供給回路3)は、ガルバノミラー19aなどに光束を出射させるタイミングを制御することとなる。発生されるレーザ光は、このコリメート光学系14によってそれぞれが平行光にコリメートされ、さらに、ダイクロイックミラー15に入射して1つの光束となるよう合波された後、ファイバ結合光学系16によって光ファイバ17に入射されるよう導かれる。
光ファイバ17によって伝搬されたレーザ光は、光ファイバ17から光学系18によって導かれて水平走査系19に出射される。この出射されたレーザ光は、水平走査系19のガルバノミラー19aの偏向面19bに入射される。ガルバノミラー19aの偏向面19bに入射したレーザ光は水平同期信号5に同期して水平方向に走査されて第1リレー光学系20を介し、垂直走査系21のガルバノミラー21aの偏向面21bに入射する。第1リレー光学系20ではガルバノミラー19aの偏向面19bとガルバノミラー21aの偏向面21bとが共役の関係となるように調整されている。ガルバノミラー21aは、ガルバノミラー19aが水平同期信号5に同期すると同様に垂直同期信号6に同期して、その偏向面21bが入射光を水平方向出射角が変化するように往復振動をしており、このガルバノミラー21aによってレーザ光は垂直方向に走査される。水平走査系19及び垂直走査系21によって水平方向及び垂直方向に、すなわち2次元に走査されたレーザ光は、ガルバノミラー21aの偏向面21bと、観察者の瞳孔24とが共役の関係となるように設けられた第2リレー光学系22により観察者の瞳孔24へ入射され、網膜上に投影される。観察者はこのように2次元走査されて網膜上に投影されたレーザ光による画像を認識することができる。尚、水平走査系19のガルバノミラー19aと、垂直走査系21のガルバノミラー21aとは、名称を同じように説明したが、光を走査するようにその反射面が角度変化(揺動、回転など)させられるものであれば、共振タイプ、非共振タイプ等、圧電駆動、電磁駆動、静電駆動等いずれの駆動方式によるものであってもよい。
網膜走査型ディスプレイ1は、観察者の頭部に搭載する、ヘッドマウントディスプレイとも言われる頭部搭載型画像表示装置であって、例えば、めがね形状、ゴーグル形状、ヘルメット形状等の図示しない筐体に搭載され、観察者の頭部に装着されるようになっている。
[各種の光学系の構成]
上述したように、光ファイバ17から出射されたビームを、2次元に走査しながら観察者の瞳孔24へ導く各種の光学系の構成について説明する。
ガルバノミラー19aは、垂直方向に延びる軸を中心に回動駆動することによって、光学系18から入射したビームを、偏向面19bで反射させることによって、水平方向に走査して出射し、第1リレー光学系20に導くこととなる。
ガルバノミラー21aは、水平方向に延びる軸を中心に回動駆動することによって、第1リレー光学系から入射したビームを、偏向面21bで反射させることによって、水平方向に走査して出射し、第2リレー光学系22に導くこととなる。
網膜走査型ディスプレイ1は、ガルバノミラー19a、21aをそれぞれ備えた光走査装置を備えている。なお、網膜走査型ディスプレイ1は、この光走査装置により、画像信号に応じたビームを走査することで画像を形成する画像形成装置として機能するものである。
図2に示すように、本実施形態では、水平走査系19、垂直走査系21をそれぞれ、光走査装置60として以下説明する。
光走査装置60について、水平走査系19と垂直走査系21とに共通の部分を説明する。
ガルバノミラー19a、21aはそれぞれ、偏向面19b、21bを備え搖動軸19d、21dを中心に搖動する搖動ミラー部として機能する。
図2ないし図4に示すように、光走査装置60は、かかる搖動ミラー部に相当するミラー部61と、搖動軸19d、21dに相当するトーションバネとしての一対の軸62とを有している。
光走査装置60はまた、軸62を介してミラー部61を支持した支持基板としての支持枠64と、支持枠64を下方から支持した底部材としての底板部65と、底板部65の底部上面に突設されミラー部61の周縁部に近接して対向する壁部66と、ミラー部61を、上述の駆動方式により、軸62を中心として搖動させる図示しない駆動手段とを有している。
ミラー部61は、偏向面19b、21bに相当する偏向面63を有している。ミラー部61、軸62、支持枠64は、後述するように、一枚のシリコン基板をエッチングすることによって一体で形成される。偏向面63はシリコン基板の鏡面加工によって構成される。ミラー部61の厚さは加工精度、剛性等の観点から100μmとされている。
底板部65は、壁部66を突設した凹部65aを有している。壁部66の厚さは、加工精度、剛性等の観点から、ミラー部61の厚さより厚くされている。底板部65、壁部66は、後述するように、一枚のガラス基板をエッチングすることによって一体で形成される。
ここで、図20ないし図22に従来の光走査装置60’を示す。光走査装置60’においては、図21に示すように、レーザビームL’を反射して走査するために、図20又は図21において矢印R’で示すようにミラー部61’が搖動すると、かかる搖動と周辺の空気との相互作用によって、ミラー部61’の周縁部分で、図22において矢印W’で示すようにミラー部61’の搖動を妨げるような空気の流れが発生し、搖動に対する抵抗となる場合があった。
そこで、光走査装置60では、ミラー部61の周縁部に近接して対向する壁部66を設け、かかる空気の流れが発生するだけの隙間がない状態とし、ミラー部61が高速で搖動する場合でも、かかる空気の流れの発生を抑制して、搖動に対する抵抗を低減している。
これにより、ミラー部61の搖動角がかかる空気の流れに起因して減少することが低減される。また、壁部66により、これに対向するミラー部61の周縁部に埃が付着することも低減される。さらに、ミラー部61は比較的薄いため、かかる空気の流れが生じた場合にはこれに起因して変形し得るが、このような変形が抑制され、光学特性が向上し、精度良い光走査が行なわれる。
壁部66は、偏向面63へのレーザビームの入出射を妨げることのないように、偏向面63を開放するように設けられる。ミラー部61の周縁部に近接して対向する、壁部66の内側の壁面は、製造のしやすさから、偏向面63にほぼ垂直な面をなすように構成される。
壁部66をミラー部61にどの程度近接させて設けるかは、ミラー部61の搖動、言い換えると振動の周期等の諸特性に応じて上述した空気の流れを良好に抑制するように決定される。壁部66の高さは、ミラー部61が搖動する際のミラー搖動先端縁61aの変位範囲の全体を含むよう、かかる変位範囲に対応する大きさを少なくとも有する高さとされている。ただし、かかる高さは偏向面63へのレーザビームの入出射を妨げない範囲とされる。
図2ないし図4に示した例では、壁部66が、ミラー部61の周縁のうち、搖動先端縁61aに対向する第1壁部のみからなっている。ミラー部61の変位量は、搖動中心をなす軸62からの距離が大きい搖動先端縁61aにおいて大きくなるため、上述した空気の流れは、この搖動先端縁61a付近で最も発生し易い。そこで、図2ないし図4に示した例では、図5(a)に示すように、上述の空気の流れの抑制効果の最も大きな第1壁部66aによって壁部66を構成している。第1壁部66aは、ミラー部61の搖動のバランスへの影響を考慮し、軸62を中心にして対称に一対設けられている。
ところで、空気の渦は、ミラー部61の周縁全体において生じ得る。つまり、ミラー部61の周縁のうち、搖動側縁61bにおいても上述の空気の流れは生じる。そのため、図5(b)に示すように、壁部66は、ミラー部61の搖動側縁61bに対向する第2壁部66bのみからなるように構成しても良い。この場合も、第2壁部66bは、ミラー部61の搖動のバランスへの影響を考慮し、軸62を中心にして対称に一対設けられている。
なお、この場合には、第2壁部66bが軸62に干渉することのないように、図6に示すように、軸62を挿通する挿通部としての孔67を第2壁部66bに形成するか、図7に示すように、挿通部としてのスリット68を第2壁部66bに形成する。孔67、スリット68は、後述するエッチングと同様のエッチングによって形成される。
図5(c)に示すように、壁部66を、一体をなす第1壁部66a及び第2壁部66bによって構成し、ミラー部61の搖動先端縁61a及び搖動側縁61bに対向し、ミラー部61の縁部の全周を囲むよう設け、壁部66を第1壁部66aのみ又は第2壁部66bのみによって構成した場合に比して上述の空気の流れの抑制効果をさらに向上させても良い。第1壁部66a、第2壁部66bを軸62を対称に設けることが好ましいのは上述したのと同様である。
この場合も、孔67又はスリット68を第2壁部66bに形成するのであるが、壁部66を、単に、ミラー部61の周縁のほぼ全周を囲うように形成すると、ミラー部61の搖動が妨げられ得る。
すなわち、壁部66が、ミラー部61の周縁のほぼ全体に、近接した状態で対向しているとともに、ミラー部61の下方には底板部65の底部上面が対向しているため、ミラー部61の下方の空間が閉鎖され、この空間内に閉じ込められた空気の層がミラー部61の搖動の抵抗となり得る。
そこで、図8に示すように、第1壁部66aの下部、具体的には、ミラー部61の下面より下側に、開口69を形成し、上述の空間とその外側の空間とを連通させ、ミラー部61の搖動の際の空気抜きとなるように構成している。開口69により、上述の空間内に閉じ込められた空気の層がミラー部61の搖動の抵抗となることを低減している。
開口69の大きさ、形状は、かかる抵抗を減じる必要の程度に応じて決定される。ただし、第1壁部66aが上述の空気の流れを低減するという本来の機能を果たすよう、ミラー部61の搖動範囲以外の部分に開口69を設けることが好ましい。第1壁部66aとともに、又は、第1壁部66aに代えて、第2壁部66bに開口69を形成しても良い。底板部65の底に穴を開けて開口69を設けてもよい。開口69も、上述したのと同様に、軸62を対称に設けることが好ましい。開口69は、後述するエッチングと同様のエッチングによって形成される。
図5(d)ないし(f)に示すように、第1壁部66a、第2壁部66bは、非連続状に形成された複数の柱状の部材によって構成しても良い。図5(f)に示すように、第1壁部66aと第2壁部66bとの間に間隙が形成されていても良い。このことは図5(c)に示した構成においても同様である。かかる複数の部材の形状、数、間隔等は、上述の空気の流れを良好に抑制するように決定される。また、第1壁部66aや第2壁部66bをかかる構成とすれば、開口69は必ずしも必要でない。
図9に示すように、第1壁部66aの内側の面すなわちミラー部61の搖動先端縁61aに対向した面は、搖動先端縁61aの搖動軌跡に沿うように円弧状に湾曲していても良い。このようにすれば、ミラー部61がその搖動の過程においてどの位相をとる場合でも、搖動先端縁61aと第1壁部66aとの間隙が近接し、上述の空気の流れが良好に抑制される。
第1壁部66aの外側の面は、図9(a)に示すように内側の面と平行になるように湾曲していても良いし、図9(b)に示すように、平面をなしていても良い。湾曲面を形成可能であることは既に述べた各形態及び以下述べる各形態において同様である。このような湾曲面は、後述するエッチングと同様のエッチングによって形成される。
ミラー部61は、本図面において軸62に直交する辺の長さが軸62に平行な辺の長さよりも長い方形状をなしているが、軸62に直交する辺の長さが軸62に平行な辺の長さよりも短くても良い。搖動の際の変位量は前者の方が大きく、上述の空気の流れが発生しやすいので、上述の空気の流れの抑制効果は前者の方が大きいといえる。
ミラー部61は、方形状に限らず、例えば搖動先端縁が円弧状をなすような、例えば円形を有する形状であっても良い。このような場合には、第1壁部66aもこれに応じた、平面視円弧状の内面を有する形状とし、上述の空気の流れを低減する。このことは既に述べた各形態及び以下述べる各形態において同様である。
図10ないし図13を参照して、図2に示した光走査装置60の製造方法を説明する。かかる光走査装置60は、一枚のシリコンの板をエッチングして形成した、図10に示すミラー部61、軸62及び支持枠64を備えたスキャナ構造体73と、一枚のガラス基板をエッチングして形成した、図11に示す壁部66及び底板部65を備えた壁つき台座74とを、支持枠64と底板部65との部分において陽極接合によって張り合わせ、一体化することで製造される。支持枠64と底板部65とは接着剤を使うなど他の方法で一体化してもよい。
図12を参照してスキャナ構造体73の製造方法を説明する。
図12(a)に示すように、酸化皮膜71を有するシリコンウエハ70にネガレジスト72を塗布する。図示しないマスクを介して、ネガレジスト72を、ミラー部61、軸62に対応した所定のパターンで露光し、現像すると図12(b)に示す状態となる。
酸化皮膜71をネガレジスト72のパターンでエッチングしたうえでネガレジスト72を除去すると図12(c)に示す状態となる。シリコンウエハ70を酸化皮膜71のパターンでエッチングした後、酸化皮膜を除去することで、図12(d)に示すように、スキャナ構造体73を得る。なお、図12においては、スキャナ構造体73を1つのみ図示しているが、実際には、スキャナ構造体73を縦横に多数並べた状態となるようにバッチ処理にて一括形成される。
図13を参照して壁つき台座74の製造方法を説明する。
図13(a)に示すように、ガラス基板75にネガレジスト76を塗布する。図示しないマスクを介して、ネガレジスト76を、壁部66に対応した所定のパターンで露光し、現像すると図13(b)に示す状態となる。
ガラスエッチングによりガラス基板75をネガレジスト76のパターンでエッチングすると図13(c)に示す状態となる。ネガレジスト76を一旦除去したうえでネガレジスト77を塗布し、壁部66及び支持枠64に対応した所定のパターンで露光、現像すると図13(d)に示す状態となる。
ガラスエッチングによりガラス基板75をネガレジスト77のパターンでエッチングすると図13(e)に示す状態となり、ネガレジスト77を除去すると、図13(f)に示すように、壁つき台座74を得る。なお、図13においては、壁つき台座74を1つのみ図示しているが、実際には、壁つき台座74を縦横に多数並べた状態となるようにバッチ処理で一括形成される。
縦横に多数並べた状態となるように一体で成形されたスキャナ構造体73と壁つき台座74とを、陽極接合によって一体化し、ダイシングによって1つずつに切り離すと、図2に示した状態となる。
このように、光走査装置60は、支持枠64と壁部66とを一体化することにより、壁部66をミラー部61の縁部に近接して対向配置することで製造される。
光走査装置60は、図14ないし図16に示すように他の構造とし、他の方法で製造することもできる。
この光走査装置60は、スキャナ構造体73と、スキャナ構造体73を支持する底部材78と、スキャナ構造体73を底部材78との間で挟持する蓋部材79とを有している。
スキャナ構造体73は、上述の構成と同様に、ミラー部61と、軸62と、支持枠64とを有し、支持枠64は、軸62を介してミラー部61を介してミラー部61を支持するようになっているが、支持枠64の内縁を構成する辺のうち、ミラー部61の搖動先端縁61aに対向する辺が、この搖動先端縁61aに近接するように構成されている。
底部材78は、支持枠64を、偏向面63の反対側から支持しており、ミラー部61の搖動を許容する凹部78aを有している。凹部78aの周縁部は、平面視にて支持枠64と同じ形状をなしている。
蓋部材79は、偏向面63に出入射するレーザビームを通過させる通過口79aを備えている。通過口79aの内縁は、支持枠64の内縁及び凹部78aの周縁と同じ形状をなしている。蓋部材79は、平面視にて支持枠64及び凹部78aの周縁部と同じ形状をなしている。
光走査装置60は、スキャナ構造体73を蓋部材79と底部材78とで挟んだ3層構造となっており、支持枠64、蓋部材79及び凹部78aの周縁部によって、壁部66を構成している。
このような光走査装置60は、次のようにして製造される。
図12を参照して説明した方法でシリコンウエハをエッチングし、スキャナ構造体73、蓋部材79及び底部材78をそれぞれ別個に製造する。スキャナ構造体73、蓋部材79及び底部材78を接着剤による接着等の方法によって一体化し、ダイシングによって1つずつに切り離す。なお、底部材78および蓋部材79はガラス基板をエッチングすることで製造しても良い。この場合は、各部材の接合に陽極接合が利用できるため、より良好に各部材間の位置合わせを行うことができる。
3つの部材で光走査装置60を構成する場合には、図17又は図18に示す構造としても良い。この構造の光走査装置60は、図10に示したのと同じ形状のスキャナ構造体73と、スキャナ構造体73を支持する底部材としての台座81と、台座81に一体化される蓋部材82とを有する。
台座81は、図19に示すように、図11に示した壁つき台座74と比べ、壁部66よりも低い凸部80を有することを除けば壁つき台座74と同じ形状である。台座81は、ミラー部61の搖動を許容する凹部81aを有している。凸部80は凹部81aに突設されている。
蓋部材82は、平面視で凸部80と同じ形状の一対の立設部83と、立設部83を連結する連結部84とを有し、連結部84は、偏向面63に出入射するレーザビームを通過させる通過口84aを備えている。
この光走査装置60では、立設部83が凸部80上に一体化され、凸部80と立設部83とにより、壁部66を構成している。蓋部材82を有しているので、偏向面63の汚れが低減される。
このような光走査装置60は、次のようにして製造される。
図12を参照して説明した方法でシリコンウエハをエッチングし、スキャナ構造体73、台座81及び蓋部材82それぞれ別個に製造する。スキャナ構造体73、台座81及び蓋部材82を接着剤による接着等の方法によって一体化し、ダイシングによって1つずつに切り離す。
なお、この方法を実現するために、蓋部材82には、ダイシング前に各蓋部材82を連結させておくための図示しないリブを適所に設けることが可能である。また底部材78および蓋部材82はガラス基板をエッチングすることで製造しても良い。
また、連結部84は、立設部83相互間の間隔や、立設部83とミラー部61との間隔を正確に位置決めでき、また立設部83を精度良く立設できるのであれば、必ずしも必要でない。連結部84を設けなければ、レーザビームの照射角を大きく取ることが可能となる。
凸部80は、立設部83の位置決めのために設けたが、立設部83の位置決めは、異なる構造によって行うことができる。
すなわち、凸部80の位置に凸部80の代わりに凹部を形成し、凹部内に立設部83を嵌め込んで、位置決めしても良い。
両凸部80を設ける代わりに両凸部80の外側面側に相当する位置に同様な突起を設け、両突起の内側で各立設部83の外側面を挟み込む態様で立設部83を嵌め込んで、位置決めしても良い。
各凸部80を設ける代わりに凸部80の何れか一方の外側面側に突起を設け、立設部83の外側面を突起の内側に突き当てて、位置決めするようにしても良い。
位置決めは、台座81でなく、スキャナ構造体73に対して固定することによって行なっても良い。蓋部材82を、バッチ処理等により、スキャナ構造体73の支持枠64と一体で形成しても良い。
これらの何れの場合も、立設部83の立設方向に垂直な平面内における2方向で位置決めされる。立設部83の位置決め状態を維持するため、蓋部材82を、必要に応じて、接着剤による接着等の方法によって底部材78に一体化する。
蓋部材82によるレーザビームの照射角の狭小化を抑制するため、蓋部材82はガラスや樹脂等の透明の素材で形成しても良い。
なお、凸部80は、上述した立設部83の位置決めの他に、壁部66の役割の一部を果たしているが、ここに述べた構成では、壁部66の役割は、立設部83が果たすことになる。
以上述べた光走査装置60は、複数の部材によって構成したが、光走査装置60は、シリコンウエハをエッチングするのみで、一体で製造するようにしても良い。例えば、光走査装置60の形状を、図14に示した形状において底部材78の代わりに蓋部材79を用い、2つの蓋部材79でスキャナ構造体73を挟んだ形状とするとともに、これを3層構造でなく単一の構造とすれば、シリコンウエハをエッチングするのみで光走査装置60が製造されるため、工数が削減されるとともに累積製造誤差を低減する効果を得ることもでき、コスト減にもつながる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
上述した実施形態においては、ビームを先に水平走査系19によって水平方向に走査し、その後に、垂直走査系21によって垂直方向に走査する構成であったが、これに限らず、ビームを先に垂直走査系によって垂直方向に走査し、その後に、水平走査系によって水平方向に走査する構成であってもよい。
上述した実施形態においては、上述したような光走査装置を備え、画像信号に応じて変調された光束を、光走査装置によって1次方向及び2次方向に走査することで、眼の網膜上に画像を投影し、画像を表示する網膜走査型ディスプレイ1(網膜走査型の画像表示装置の一例)について説明したが、これに限らず、例えば、眼の網膜に画像を直接的に投影しなくても、上述したような光走査装置を備え、画像信号に応じて変調された光束を、その光走査装置によって1次方向及び2次方向に走査することで画像をスクリーン上などに投影表示するスクリーン走査型の画像表示装置、ディスプレイ等(画像表示装置の一例)に本発明を採用してもよい。また本発明を適用した光走査装置は、レーザプリンタ内でレーザビームを走査する光走査装置にも応用できる。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。