本発明は、レーザを光源に利用した面状照明装置及び当該面状照明装置をバックライトに用いた画像表示装置に関するものである。
画像表示装置は、CRT(Cathode Ray Tube)又はPDP(Plasma Display Panel)のような自発光型ディスプレイと、液晶パネルを使ったLCD(Liquid Crystal Display)のような光の透過率を変化させて画像を表示させる非自発光型ディスプレイとに大別できる。非自発光型ディスプレイは、一般に、背面にバックライトとなる面状照明装置を備え、面状照明装置から発せられる照明光の透過量を各画素で変化させ画像を表示している。それゆえ、非自発光型ディスプレイにおいて、面状照明装置は、画像表示装置の消費電力、画質及びサイズ等に大きく影響を与える。
近年、LED(発光ダイオード)をバックライトに用いたLCDが開発されている。LEDを用いることで、従来の冷陰極管方式よりも、電気−光変換効率が高く、さらに色純度の高いLCDを実現できる。また、レーザ光源をバックライトに用いることで、LEDよりさらに電気−光変換効率が高く、かつ色純度の高い画像表示装置ができると考えられている。これは、レーザはLEDよりも、電気−光変換効率が高く、かつ、スペクトル幅が小さいため色再現性に優れているからである。
LCDにおいて、液晶パネルは、面状照明装置から発せられる照明光の偏光状態を制御して、各画素の透過光の量を変える。そのため、一般にLCDでは照明光が有する偏光は、偏光フィルター等を通過することで1つの方向に揃えられ、1つの方向に偏光した光、すなわち直線偏光の光が液晶パネルに入射する。
これに対し、レーザ光は、一般に直線偏光の光である。そのため、レーザ光をLCDの照明光に使うことで、LCDの偏光フィルターを取り除くことができ、LCDの光利用効率を高めることができる。さらに、レーザは時間応答が冷陰極管に比べて非常に早いため、高速に変調できる。そのため、液晶パネルの各画素の色分割のために従来使われているカラーフィルタを取り除き、各色の画面を時分割して点灯するカラーフィールドシーケンシャル方式も実現可能である。カラーフィールドシーケンシャル方式を採用した場合、LCDのカラーフィルタの光損失がなくなるため、LCDの光利用効率をさらに高めることができる。
レーザ光源を用いた面状照明装置は、導光板の側面からレーザ光を入射し、面状の照明光を得る導光板方式と、ミラーやレンズを使うことでレーザ光を直接面状の照明光に変換する直接投射方式との二つの種類に大別できる。一般に、導光板方式では、導光板の側面からレーザ光を入射し、導光板内で光が拡散され、導光板から面状に光が出射される。導光板を用いた面状照明装置は、例えば特許文献1に提案されている。
これに対し、直接投射方式では、プロジェクタのように、面状に光が投射される。直接投射方式では、光は基本的に空気中を通るので、導光板の内部を光が通る導光板方式よりも、光の透過損失が小さく、高い光利用効率を実現できる。直接投射方式の光学系を用いた画像表示装置には、例えばリアプロジェクション型画像表示装置がある。
近年、画像表示装置は、薄型化が進んでおり、LCDも例外ではない。LCDを薄型化する場合、バックライトとなる面状照明装置の薄型化は、必須である。また、同時に、LCDの低消費電力化のため、バックライトとなる面状照明装置が、高い光利用効率を有することも望まれている。
直接投射方式の面状照明装置では、光が通る光路の大半が空気のため、光路における光の損失が小さく、高い光利用効率を有する。また、一般に、直接投射方式は、光を拡散させる機能を有する導光板のような、偏光を乱す光学素子を用いる必要がないため、直線偏光の光のまま面状照明光を得ることが容易である。
画像をスクリーンに直接投射するリアプロジェクション型画像表示装置の一般的な光学系を、直接投射方式の画像表示装置の例として挙げる。図26は、一般的なリアプロジェクション型画像表示装置の概略構成を示す断面図である。光学エンジン部100から出射される光は、画像表示素子101で変調され、投射光学系102で拡大され、背面ミラー103で反射した後、スクリーン104に投影される。しかし、従来のリアプロジェクション型画像表示装置では、投射光学系102を通過した光が、長方形に拡大されるため、装置全体のサイズが大きくなってしまうという課題がある。
特開2002−184225号公報
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、薄型化することができるとともに、高い光利用効率を実現することができる面状照明装置及び画像表示装置を提供することを目的とするものである。
本発明の一局面に係る面状照明装置は、レーザ光源と、前記レーザ光源から出射されたビームを第1の略平行光に変換する第1の変換部と、前記第1の変換部によって第1の略平行光に変換されたビームを第1の方向に直線状に広げる1次元光拡散素子と、前記1次元拡散素子によって前記第1の方向に広げられたビームを第2の略平行光に変換する第2の変換部と、自由曲面で形成された反射面を有し、前記第2の変換部によって前記第2の略平行光に変換されたビームを前記第1の方向に直交する第2の方向に面状に広げる自由曲面ミラーとを備える。
この構成によれば、第1の変換部によって、レーザ光源から出射されたビームが第1の略平行光に変換され、1次元光拡散素子によって、第1の略平行光に変換されたビームが第1の方向に直線状に広げられ、第2の変換部によって、第1の方向に広げられたビームが第2の略平行光に変換される。そして、自由曲面で形成された反射面を有する自由曲面ミラーによって、第2の略平行光に変換されたビームが第1の方向に直交する第2の方向に面状に広げられる。
本発明によれば、第1の方向に直線状に広げられたビームの第2の方向の長さは一定であり、直線状のビームを第1の方向に長くしたとしても、第2の方向の長さは変わらないので、装置を薄型化することができる。また、自由曲面ミラーを反射することによって、ビームが面状に広げられ、光学素子内をビームが通過しないため、透過損失が小さく高い光利用効率を実現することができる。
本発明の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
本発明の実施の形態1に係る面状照明装置の概略構成を示す正面図である。
本発明の実施の形態1に係る面状照明装置の概略構成を示す側面図である。
レンチキュラーレンズでビームを広げる様子を説明するための図である。
面状照明装置の自由曲面ミラー及び光出射部の近傍を拡大した側面断面図である。
厚み方向(第2の方向)の強度分布の一例を示す図である。
自由曲面ミラー及び光出射部の設計例を説明するための図である。
複数の微小要素に分割した自由曲面ミラーと、複数の要素に分割した光出射面とを模式的に示す図である。
計算例の条件において、微小要素の計算から求めた自由曲面ミラーの反射面の断面形状の曲線を示す図である。
本発明の実施の形態2に係る面状照明装置の概略構成を示す斜視図である。
本発明の実施の形態2に係る面状照明装置の概略構成を示す正面図である。
本発明の実施の形態2に係る面状照明装置の概略構成を示す側面図である。
本発明の実施の形態2に係る面状照明装置の自由曲面ミラーとプリズムシートとの位置関係を説明するための図である。
屈折型プリズムシートの原理を説明するための図である。
反射型プリズムシートの原理を説明するための図である。
自由曲面ミラーをプリズムシートよりも大きく外側に配置した時の、両者の位置関係を示す図である。
本発明の実施の形態3に係る面状照明装置の概略構成を示す断面図である。
本発明の実施の形態4に係る面状照明装置の構成を示す側面図である。
本発明の実施の形態4の変形例に係る面状照明装置の概略構成を示す側面図である。
コリメートレンズを振動させるアクチュエータの概略構成を示す図である。
レンチキュラーレンズを振動させるアクチュエータの概略構成を示す図である。
自由曲面ミラーを振動させるアクチュエータの概略構成を示す図である。
レーザ光源を面状照明装置の正面下部に配置した状態を示す図である。
本発明の実施の形態5に係る面状照明装置の構成を示す正面図である。
本発明の実施の形態5の変形例に係る面状照明装置の構成を示す正面図である。
本発明の実施の形態6に係る画像表示装置の概略構成を示す図である。
一般的なリアプロジェクション型画像表示装置の概略構成を示す側面図である。
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。尚、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1に係る面状照明装置の概略構成を説明する。
図1及び図2は、本発明の実施の形態1に係る面状照明装置の概略構成を示す図であり、図1は、本発明の実施の形態1に係る面状照明装置の概略構成を示す正面図であり、図2は、本発明の実施の形態1に係る面状照明装置の概略構成を示す側面図である。
本実施の形態1に係る面状照明装置10は、レーザ光を面状に広げて照射する。面状照明装置10は、レーザ光源1、コリメートレンズ2、レンチキュラーレンズ3、フレネルレンズ4、自由曲面ミラー5及び光出射部6を備える。
レーザ光源1は、レーザ光を発生する。コリメートレンズ2は、レーザ光源1から出射されたビームを第1の略平行光に変換する。レンチキュラーレンズ3は、コリメートレンズ2によって第1の略平行光に変換されたビームを第1の方向D1に直線状に広げる。フレネルレンズ4は、レンチキュラーレンズ3によって第1の方向D1に広げられたビーム(ラインビームとする)を第2の略平行光に変換する。自由曲面ミラー5は、自由曲面で形成された反射面を有し、フレネルレンズ4によって第2の略平行光に変換されたビームを第1の方向D1に直交する第2の方向D2に面状に広げて反射する。光出射部6は、面状に広げられたビームを外部に出射する。なお、フレネルレンズ4の代わりに、光の回折を使って光を同一方向の向きに揃える回折素子を用いてもよい。
また、本実施の形態1において、コリメートレンズ2が第1の変換部の一例に相当し、レンチキュラーレンズ3が1次元光拡散素子の一例に相当し、フレネルレンズ4が第2の変換部の一例に相当する。
レーザ光源1から出射したレーザ光は、コリメートレンズ2により第1の略平行光に変換される。コリメートレンズ2はどこに配置してもよいが、面状照明装置10の厚みを薄くするときには、レーザ光源1の出射端付近に配置すればよい。なぜならば、コリメートレンズ2をレーザ光源1に近づける程コリメートレンズ2に入射するビーム径は小さくなるので、コリメートレンズ2から出るコリメート光のビーム径も小さくできるからである。
第1の略平行光は、レンチキュラーレンズ3を透過し、第1の方向D1に広がりを有するラインビームに変換される。第1の方向D1は、レーザ光源を出射するビーム光軸に垂直であり、かつ面状照明光の出射面に平行な方向である。なお、ラインビームの第2の方向D2の広がりは、略平行のままである。
ラインビームは、フレネルレンズ4にて、第2の略平行光に変換され、自由曲面ミラー5に入射する。第2の略平行光は、自由曲面ミラー5の反射面のいずれの位置においても、同じ角度で入射される。自由曲面ミラー5の反射面のいずれの位置においても第2の略平行光が同じ角度で入射することで、自由曲面ミラー5の反射面の設計が容易となる。自由曲面ミラー5は、所望する面状照明光の強度分布によって形状が異なる。例えば、均一な面状照明光を必要とする場合、自由曲面ミラー5の反射面は、第2の略平行光の強度分布を均一化する曲率を第1の方向D1に有し、ラインビームの第2の方向D2の強度分布を均一化して拡大する曲率を第2の方向D2に有する自由曲面となる。
なお、自由曲面ミラー5の加工コストを抑え、かつ、均一な面状照明光を得る場合、第2の略平行光の第1の方向D1の強度分布が略一様で、自由曲面ミラー5の第1の方向D1に対する断面形状が一様になっていることが好ましい。第2の略平行光の第1の方向D1の強度分布が一様であれば、均一な面状照明光を得る場合、自由曲面ミラー5は第1の方向D1に一様な断面形状でよく、自由曲面ミラー5の加工コストを抑えることができる。
このように、自由曲面ミラー5の第1の方向に対する断面形状が一様であるので、自由曲面ミラー5の加工の容易性が向上し、面状照明装置10の加工コストを抑えることができる。
また、第2の略平行光は、第1の方向D1の広がりが略平行であるため、自由曲面ミラー5へ入射するラインビームの長さが、自由曲面ミラー5の位置に関わらず一定となり、自由曲面ミラー5を配置する位置の自由度を大きくすることができる。
また、フレネルレンズ4を小型化する場合、フレネルレンズ4は、レンチキュラーレンズ3と自由曲面ミラー5との間に配置されることが好ましい。フレネルレンズ4に入射するラインビームは、第2の方向に略平行であるため、レンチキュラーレンズ3と自由曲面ミラー5との間にフレネルレンズ4を配置すると、フレネルレンズ4の入射面の厚みを小さくすることができる。フレネルレンズ4を小さくすることで、面状照明装置10の厚みを小さくすることができる。
さらに、フレネルレンズ4は、面状に広げられたビームを外部に出射する長方形状の光出射部6の端部、より具体的には光出射部6の上端部の近傍に配置されている。この場合、面状に広げられたビームを外部に出射する長方形状の光出射部6の端部にフレネルレンズ4が配置されているので、フレネルレンズ4が、自由曲面ミラー5で反射されたビームの陰になることを防ぐことができ、装置を薄型化することができる。
また、実施の形態1に係る面状照明装置10において、面状照明光の第1の方向D1の強度むらを低減したい場合、レンチキュラーレンズ3を1次元光拡散素子として用いることが好ましい。
図3は、レンチキュラーレンズでビームを広げる様子を説明するための図である。レーザ光源1から出射されたレーザ光11は、コリメートレンズ2にて第1の略平行光12に変換される。第1の略平行光12は、レンチキュラーレンズ3に入射して、複数のビームに分割され、各ビームが重畳されたラインビーム13に変換される。
レンチキュラーレンズ3は、シリンドリカルレンズアレイで構成される光学素子である。図3においては、レンチキュラーレンズ3は、6つのシリンドリカルレンズで構成されるレンズアレイで示され、内側の4つのシリンドリカルレンズが、第1の略平行光12をラインビーム13に広げている。レンチキュラーレンズ3を構成する各シリンドリカルレンズは、各々に入射した第1の略平行光12を広げて出射する。そのため、第1の略平行光12は、入射するシリンドリカルレンズの数だけ重畳されたラインビーム13になる。
重畳されたラインビーム13の第1の方向D1の強度分布は、第1の略平行光12の第1の方向D1の強度分布に関わらず、略一定となる。なぜならば、ラインビーム13は、第1の略平行光12を重畳してつくられているため、ラインビーム13の第1の方向D1の強度分布は、レンチキュラーレンズ3の各シリンドリカルレンズに入射する各ビームの強度分布を平均化したものだからである。
このように、レンチキュラーレンズ3は、第1の略平行光を複数に分割し、分割した複数の第1の略平行光のそれぞれを直線状に広げ、広げた複数の第1の略平行光のそれぞれを重畳する。
これにより、第1の略平行光12の強度分布が、温度変化や経年劣化で変化しても、自由曲面ミラー5に入射するラインビーム13の第1の方向D1の強度分布を一定にすることができる。自由曲面ミラー5に入射するラインビーム13の第1の方向D1の強度分布は、面状照明装置10の第1の方向D1の強度分布に影響する。そのため、レンチキュラーレンズ3を1次元拡散素子として用いることで、面状照明光の第1の方向D1の強度分布が変化しにくい、信頼性の高い面状照明装置10を実現することができる。
また、レンチキュラーレンズ3を用いることで、レンチキュラーレンズ3に入射するビームの偏光方向と、レンチキュラーレンズ3によって広げられた直線状のビームの偏光方向とを一致させることができる。
なお、レンチキュラーレンズ3のレンズピッチは、ビーム径よりも十分小さいことが好ましい。レンズピッチがビーム径の5分の1以下となれば、ラインビーム13の強度分布は、第1の略平行光12の強度分布変化の影響をほとんど受けなくなり、第1の方向D1の強度むらを20%以下に抑えた面状照明光を実現することができる。
また、第1の略平行光12がレンチキュラーレンズ3によりラインビーム13に変換される際、第1の略平行光12の透過するシリンドリカルレンズの数で、分割して重畳されるビームの数が決まる。第1の略平行光12が透過するシリンドリカルレンズの数を5つ以上にすることで、第1の略平行光12の強度分布にほとんど依存しないラインビーム13をつくることができる。
なお、第1の略平行光12がレンチキュラーレンズ3を透過する際に、第1の略平行光12の偏光方向とラインビーム13の偏光方向とを一致させる場合、レンチキュラーレンズ3は、ガラスあるいは複屈折量が少ない樹脂で生成されていることが好ましい。複屈折量が少なければ、レンチキュラーレンズ3の透過前後でビームの偏光成分の乱れは少なくなる。例えば、ラインビーム13の偏光比を100:1にするには、複屈折量は0.01以下であることが好ましい。
次に、実施の形態1に係る面状照明装置10における自由曲面ミラー5の光反射面の断面形状の具体的な設計方法について述べる。図4は、面状照明装置の自由曲面ミラー及び光出射部の近傍を拡大した側面断面図である。図4では、ラインビーム13の断面、自由曲面ミラー5の断面、光出射部6の断面を図示している。
ラインビーム13が入射する自由曲面ミラー5の光反射面14は、自由曲面ミラー5の左下の部分である。光反射面14は、微小要素15に分割される。図4では、模式的に光反射面14を3つの微小要素15に分割し、光出射部6を3つの要素16に分割している。微小要素15は、微小要素15に入射する光を要素16の長さに投影する。そのとき、例えば、ラインビーム13の第2の方向D2の強度分布は、トップハット形状の分布を有する。
図5は、厚み方向(第2の方向)の強度分布の一例を示す図である。図5において、縦軸は光強度を示し、横軸は厚み方向を示す。ラインビーム13が、第2の方向D2にトップハット形状の強度分布を有するとき、面状照明装置10の所望の長さに投射された投影後の要素16が、それぞれ同じ長さになるようにすれば、均一な強度分布の面状照明光を得ることができる。その投影の関数を自由曲面ミラー5の光反射面14で実現することにより、均一な強度分布の面状照明光が得られる。
ここで、自由曲面ミラー5の具体的な設計例について説明する。一例として、自由曲面ミラー5及び光出射部6は、下記の条件で設計される。図6は、自由曲面ミラー及び光出射部の設計例を説明するための図である。なお、下記の条件で、x方向は、レーザ光源1を出射したレーザ光の進行方向を示し、y方向は、光出射部6の光出射面に垂直な方向、すなわち、第2の方向を示す。
(条件)
ラインビーム13の第2の方向D2(y方向)の強度分布:トップハット
ラインビーム13のy方向の厚み:10mm
自由曲面ミラー5のy方向の長さ:10mm
光出射部6の光出射面のx方向の長さ:400mm
自由曲面ミラー5のx方向の位置(光出射部6の自由曲面ミラー5側の端部から自由曲面ミラー5までのx方向の長さ):30mm
自由曲面ミラー5のy方向の位置(光出射部6の光出射面から自由曲面ミラー5までのy方向の長さ):30mm
上記の条件において、自由曲面ミラー5をy方向にn=400の微小要素15に分割し、光出射部6の光出射面はx方向にn=400の要素16に分割する。この時、自由曲面ミラー5の1つの微小要素15のy方向の長さは、0.025mm(10mm/400)となり、光出射面の1つの要素16のx方向の長さは、1mm(400mm/400)となる。自由曲面ミラー5の各々の微小要素15と、光出射面の要素16が1対1で対応するように、自由曲面ミラー5が設計される。
図7は、複数の微小要素に分割した自由曲面ミラーと、複数の要素に分割した光出射面とを模式的に示す図である。図7において、自由曲面ミラー5の微小要素15と光出射面の要素16とを1対1で対応させるためには、微小要素15のそれぞれの傾きを異ならせる必要がある。
ラインビーム13は、x方向に平行に自由曲面ミラー5に入射する。自由曲面ミラー5の各微小要素15と、各微小要素15に対応付ける光出射面の各要素16との位置関係により、要素16へのビームの入射角度θ1、θ2、・・・が決まる。なお、入射角度θ1、θ2、・・・は、自由曲面ミラー5の各微小要素15を反射したビームの光軸と、光出射部6の光出射面とがなす角度である。入射角度θ1、θ2、・・・を用いて、幾何学的に各微小要素15の傾きが計算できる。各微小要素15の傾きが求まると、その微小要素15で構成される自由曲面ミラー5の形状が決まる。図8は、上記条件において、微小要素の計算から求めた自由曲面ミラーの反射面の断面形状の曲線を示す図である。図8において、縦軸はy方向の長さを示し、横軸はx方向の長さを示す。
また、本実施の形態1の面状照明装置10において、1次元光拡散素子としてレンチキュラーレンズ3を用いている。しかしながら、時間的に変化しないビームプロファイルのレーザ光がレーザ光源1から出射される場合、1次元光拡散素子は、第1の略平行光を直線状に広げる機能を有するものであれば、非球面レンズ、自由曲面ミラー及び回折光学素子のいずれかでもよい。
この場合、レーザ光源1は、特にシングルモードの半導体レーザ光源であることが好ましい。シングルモードの半導体レーザ光源は、ビームプロファイルが一定で、ガウス分布となっているので、1次元光拡散素子の設計が容易になる。また、シングルモードの半導体レーザ光源を用いることで、面状照明光の強度分布がレーザ光源の温度変化及び出力変化の影響を受けにくくなり、信頼性の高い面状照明装置を実現することができる。
なお、レーザ光のビームプロファイルが、温度又は時間で変化する場合、レーザ光源1から出射されたビームを、光ファイバに入射し、光ファイバから出射されたビームをコリメートレンズにより第1の略平行光に変換し、1次元拡散素子に入射してもよい。光ファイバから出射されるビームは、入射するビームのビームプロファイルに関わらずほぼ一定である。そのため、ラインビームの強度分布を、光ファイバに入射するビームのビームプロファイルに関わらず、一定とすることができる。したがって、面状照明光の強度分布が変化しない、信頼性の高い面状照明装置を実現することができる。特に、高出力の半導体レーザは、出力や温度によって、ビームプロファイルが変化するため、高出力の半導体レーザを光源に用いる場合に、この構成は有用である。
なお、光ファイバに入射するビームの偏光方向と、光ファイバから出射するビームの偏光方向とを同一にする場合、光ファイバは偏波面保持光ファイバであることが好ましい。偏波面保持光ファイバは、入射光と出射光とで偏光方向が変わらない。
また、面状照明光の強度分布を均一にする場合、レーザ光源1は、少なくとも第2の方向D2にシングルモードであることが好ましい。この場合、レーザ光源1の個体にあわせて自由曲面ミラー5の断面形状を設計する必要がなく、自由曲面ミラー5の断面形状の設計が容易になる。
このように、コリメートレンズ2によって、レーザ光源1から出射されたビームが第1の略平行光に変換され、レンチキュラーレンズ3によって、第1の略平行光に変換されたビームが第1の方向に直線状に広げられ、フレネルレンズ4によって、第1の方向に広げられたビームが第2の略平行光に変換される。そして、自由曲面で形成された反射面を有する自由曲面ミラー5によって、第2の略平行光に変換されたビームが第1の方向に直交する第2の方向に面状に広げられる。
したがって、第1の方向に直線状に広げられたビームの第2の方向の長さは一定であり、直線状のビームを第1の方向に長くしたとしても、第2の方向の長さは変わらないので、装置を薄型化することができる。また、自由曲面ミラー5を反射することによって、ビームが面状に広げられ、光学素子内をビームが通過しないため、透過損失が小さく高い光利用効率を実現することができる。
また、レンチキュラーレンズ3によって第1の方向に直線状に広げられたビームは、第1の方向に直交する第2の方向に略平行であるため、直線状のビームの第1の方向の長さに依存せず、第2の方向の長さは一定である。このため、直線状のビームを第1の長さ方向に十分長くしても、第2の方向の長さは短くできる。そのため、直線状のビームの生成に必要な空間は、薄い直方体となり、面状照明装置10の第2の方向への大型化を防ぐことができる。
また、自由曲面ミラー5は、直線状のビームを反射して第2の方向に広げる反射型の光学素子であるため、自由曲面ミラー5の反射面以外の形状や大きさは何ら規定されるものではない。そのため、自由曲面ミラー5は、内部を光が通る導光板等に比べ、小さい体積で実現することができ、面状照明装置10を小型化することができる。面状照明装置10の小型化は、面状照明装置10を配置する空間の省スペース化などから有用といえる。さらに、自由曲面ミラー5の体積が小さいので、自由曲面ミラー5をつくる材料の量を少なくでき、面状照明装置10の生産コストを抑えることが可能となる。
また、自由曲面ミラー5は、導光板に比べ光学素子内に光が通らないため、透過損失が小さく高い光利用効率を実現することができ、電気−光変換効率の高い低消費電力の面状照明装置10を実現することができる。また、自由曲面ミラー5は反射面のみが面状照明装置10に使用されるため、導光板等に比べ、経年劣化を低減することができる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係る面状照明装置について説明する。
図9は、本発明の実施の形態2に係る面状照明装置の概略構成を示す斜視図であり、図10は、本発明の実施の形態2に係る面状照明装置の概略構成を示す正面図であり、図11は、本発明の実施の形態2に係る面状照明装置の概略構成を示す側面図である。
実施の形態2に係る面状照明装置20は、実施の形態1に係る面状照明装置10の構成に加えて、さらに自由曲面ミラー5で広げられたレーザ光を略平行光に変換するプリズムシート7を備えている。プリズムシート7は、光の屈折や反射を用いて、光の角度を変える面状の光学素子である。プリズムシート7により、自由曲面ミラー5で反射した光は第3の略平行光に変換される。なお、本実施の形態2において、プリズムシート7が面状光学素子の一例に相当する。
面状に広がったレーザ光が、面状照明装置20の光出射部6から垂直に出射されることで、面状照明装置20は正面を照明することができる。正面を照明する面状照明装置20は、LCDに使われるバックライト等に使う場合に有用となる。
図12は、本発明の実施の形態2に係る面状照明装置の自由曲面ミラー5とプリズムシート7との位置関係を説明するための図である。なお、図12には、ラインビーム13、自由曲面ミラー5及びプリズムシート7以外の構成要素は図示していない。
ラインビーム13は、自由曲面ミラー5で広げられ、自由曲面ミラー5で広げられたレーザ光は、プリズムシート7に入射する。この時、自由曲面ミラー5からプリズムシート7までの距離が最も近い光入射位置におけるレーザ光の入射角度θ1は、距離が最も遠い光入射位置におけるレーザ光の入射角度θ2よりも小さくなる。図12から明らかなように、プリズムシート7の光入射位置によって、プリズムシート7へのレーザ光の入射角度が大きく異なる。
また、プリズムシート7には、屈折型プリズムシート71と反射型プリズムシート72とがある。図13は、屈折型プリズムシート71の原理を説明するための図である。屈折型プリズムシート71は、プリズムを入射角度に応じて傾けることで、出射されるレーザ光を略平行にしている。図13から明らかなように、入射角度が大きくなれば、プリズムの入射面と、入射光とが平行に近づき、プリズムへの光入射面積を大きくとることが難しくなる。
一方、図14は、反射型プリズムシート72の原理を説明するための図である。屈折型プリズムシート71と同様に、反射型プリズムシート72のプリズムは入射角度に応じて傾いている。屈折型プリズムシート71とは逆に、図14から明らかなように、入射角度が小さくなれば、プリズムの入射面と、入射光とが平行に近づき、プリズムへの光入射面積を大きくとることが難しくなる。
そのため、面状照明装置20を薄型化する場合、自由曲面ミラー5とプリズムシート7とは近接して配置することが好ましく、かつ、光利用効率を高める場合、プリズムシート7は、光の入射角度に応じて、屈折型プリズムシート71と反射型プリズムシート72とを組み合わせて構成することが好ましい。すなわち、図12に示すように、屈折型プリズムシート71と反射型プリズムシート72とを第1の方向に隣接して配置し、自由曲面ミラー5に近い側には屈折型プリズムシート71を配置し、自由曲面ミラー5に遠い側には反射型プリズムシート72を配置する。
特に、自由曲面ミラー5とプリズムシート7とを50mm以内の距離に配置する時は、図12に示すように、屈折型プリズムシート71と反射型プリズムシート72との境界73が、入射角度25度から35度の範囲内にあれば、プリズムシート7の光利用効率が80%以上となり、薄型で光利用効率の高い面状照明装置を実現することができる。
このように、自由曲面ミラー5からプリズムシート7へ入射するビームの入射角度が25度から35度までの範囲内に、反射型プリズムシート72と屈折型プリズムシート71との境界73が存在するように、反射型プリズムシート72と屈折型プリズムシート71とが配置されるので、自由曲面ミラー5と光出射部6との距離を短くすることができ、装置をさらに薄型化することができる。
また、プリズムシート7が屈折型プリズムシート71と反射型プリズムシート72とから構成される場合、プリズムシート7の光出射面側に拡散シートを挿入する、あるいは拡散性を有するプリズムシート7を用いてもよい。そうすれば、プリズムシート7の反射型プリズムシート72の領域と屈折型プリズムシート71の領域との境界73によってできる光の明線及び暗線を低減でき、均一な面状照明光を得ることができる。
また、自由曲面ミラー5で広げられたビームが第3の略平行光に変換されるので、従来使用されている面状照明装置の代替が容易となり、使い勝手のよい面状照明装置20を実現することができる。また、面状照明装置20を液晶表示装置のバックライトに容易に利用することができる。
なお、プリズムシート7は反射型プリズムシート72であり、かつ、自由曲面ミラー5を、プリズムシート7よりも大きく外側に配置してもよい。すなわち、自由曲面ミラー5と、反射型プリズムシート72の上端部との、レーザ光源1の光軸方向の距離を十分に長くする。
図15は、自由曲面ミラーをプリズムシートよりも大きく外側に配置した時の、両者の位置関係を示す図である。図15に示すように、自由曲面ミラー5と、反射型プリズムシート72の上端部74との距離が十分に長くなるように、自由曲面ミラー5及び反射型プリズムシート72が配置される。これにより、反射型プリズムシート72への入射角度を、光の入射位置に関わらず大きくすることができ、反射型プリズムシート72のみで、プリズムシート7の光利用効率を高めることができる。
なお、プリズムシート7の代わりに、回折を利用して光の角度を変えるホログラムシートを用いてもよい。この場合、上記に述べてきたプリズムシート7と同様の効果を有する。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3に係る面状照明装置について説明する。
本発明の実施の形態3に係る面状照明装置は、実施の形態1に係る面状照明装置あるいは実施の形態2に係る面状照明装置の構成に、さらに、自由曲面ミラーによって面状に広がったビームを反射させる背面ミラーを備える。
図16は、本発明の実施の形態3に係る面状照明装置の概略構成を示す断面図である。なお、面状照明光の強度分布を均一化する場合、背面ミラーは、ビームを広げ、ビームを重畳する機能を有するレンチキュラーミラーであることが好ましい。そのため、図16に示す面状照明装置は、背面ミラーとしてレンチキュラーミラーを用いている。
実施の形態3に係る面状照明装置30は、レーザ光源1、コリメートレンズ2、レンチキュラーレンズ3、フレネルレンズ4、自由曲面ミラー5、光出射部6及びレンチキュラーミラー8を備える。
レンチキュラーミラー8は、自由曲面ミラー5によって反射されたビームを、面状に広げられたビームを外部に出射する光出射部6に向けて反射する。また、レンチキュラーミラー8は、入射したビームを複数に分割して反射するとともに、分割した複数のビームのそれぞれを重畳する。なお、実施の形態3において、レンチキュラーミラー8がミラーの一例に相当する。
レンチキュラーミラー8は、小さい反射型シリンドリカルレンズアレイで構成されている。レンチキュラーミラー8のひとつひとつの反射型シリンドリカルレンズが、自由曲面ミラー5によって面状に広がったビームを反射する。さらに、反射型シリンドリカルレンズは各々に入射する光を第2の方向D2に広げるため、レンチキュラーミラー8に入射した面状照明光は、レンチキュラーミラー8によって第2の方向D2に向けて重畳される。
レンチキュラーミラー8を反射したビームが第2の方向D2に向けて重畳されることで、自由曲面ミラー5で反射された面状照明光の強度むらを均一化することができる。これにより、面状照明装置で発生する面状照明光の強度むらは、ラインビームの第2の方向D2の光強度むら、自由曲面ミラー5の表面の傷、あるいは塵等の影響を受けにくく、信頼性の高い面状照明装置を実現することができる。
また、レンチキュラーミラー8によって、自由曲面ミラー5により反射されたビームを光出射部6に向けて反射させるので、自由曲面ミラー5と光出射部6との光学的な距離を長くすることが可能になり、大きい面積の面状照明光を得ることが容易となる。さらに、レンチキュラーミラー8によって、入射したビームが分割して反射されるとともに、分割されたビームのそれぞれが重畳されるので、直線状のビームの第2の方向D2の強度分布に関わらず、均一な強度分布の面状照明光を得ることができる。
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4に係る面状照明装置について説明する。
本発明の実施の形態4に係る面状照明装置は、実施の形態1〜3に係るいずれか1つの面状照明装置に、さらに折り返しミラーを備える。
図17は、本発明の実施の形態4に係る面状照明装置の構成を示す側面図である。実施の形態4に係る面状照明装置40は、レーザ光源1、コリメートレンズ2、レンチキュラーレンズ3、フレネルレンズ4、自由曲面ミラー5、光出射部6及び折り返しミラー9を備える。折り返しミラー9は、レンチキュラーレンズ3から自由曲面ミラー5までの間に配置され、レンチキュラーレンズ3により直線状に広げられたビームを折り返す。
レーザ光源1から出射したレーザ光は、コリメートレンズ2にて第1の略平行光に変換され、レンチキュラーレンズ3によって、ラインビームに変換される。ラインビームは折り返しミラー9によって略90度反射され、フレネルレンズ4にて第2の略平行光に変換され、自由曲面ミラー5に入射する。自由曲面ミラー5によって反射された面状照明光は、ラインビームと交差して、光出射部6から面状照明装置40の外へ出射される。
図17から明らかなように、折り返しミラー9によってラインビームを折り返すことによって、フレネルレンズ4が自由曲面ミラー5の反射光の障害物になることを容易に防ぐことができる。そのため、自由曲面ミラー5からの反射光がフレネルレンズ4に当たらないようにするために装置を大型化することを防ぎ、コンパクトな面状照明装置を提供できる。
すなわち、レンチキュラーレンズ3により直線状に広げられたビームが折り返しミラー9によって折り返され、折り返されたビームがフレネルレンズ4に入射するので、フレネルレンズ4が、自由曲面ミラー5で反射されたビームの陰になることを防ぐことができ、装置を薄型化することができる。
なお、レンチキュラーレンズ3から自由曲面ミラー5までの距離を長くする場合、ラインビームを折り返して、往復させてもよい。図18は、本発明の実施の形態4の変形例に係る面状照明装置の概略構成を示す側面図である。図18に示す面状照明装置41は、ラインビームを折り返して往復させる。
折り返しミラー9は、光出射部6の上端部の近傍に配置され、自由曲面ミラー5は、レンチキュラーレンズ3の近傍に配置される。折り返しミラー9と自由曲面ミラー5との間にはフレネルレンズ4が配置される。レンチキュラーレンズ3によって広げられたラインビームは、折り返しミラー9によって自由曲面ミラー5に向かって折り返され、自由曲面ミラー5によって面状に広げられる。
ラインビームは第2の方向D2に略平行であるため、面状照明装置41の第2の方向D2のサイズは同程度で光路を長くすることができ、ラインビームを第1の方向に容易に長くすることができる。すなわち、レンチキュラーレンズ3による広がり角が小さい場合でも、第2の方向D2のサイズは同程度で、第1の方向に大きな面状照明光を出射する面状照明装置41を提供できる。
なお、本発明の実施の形態1〜4に係る面状照明装置において、レーザ光源1に狭スペクトル幅のレーザ光を出射するレーザ光源を使用し、かつ、品質のよい面状照明光を得る場合、面状照明装置は、レーザ光の位相を時間的あるいは空間的にランダム化する手段を備えることが好ましい。
例えば、青色半導体レーザから出射される波長440nmのレーザ光は、スペクトル幅が0.5nm程度以下と小さく、かつ、コヒーレント光である。そのため、このレーザ光を光源に用いると、スペックルノイズと呼ばれる粒状のギラつきが現れる。これは、狭スペクトル幅のレーザ特有の現象であり、照明光の品質を低下させる。レーザ光の位相を時間的あるいは空間的にランダム化する手段によって、スペックルノイズが低減され、なめらかな面状照明光を得ることができる。
具体的に、レーザ光の位相を時間的にランダム化する手段としては、光学素子を振動させる振動装置が用いられる。振動装置によって光学素子を振動させることにより、レーザ光の干渉パターンを人間の目の時間応答以上で時間的に変化させ、干渉パターンを平均化する。
なお、振動装置の消費電力を小さくする場合、振動させる光学素子はコリメートレンズ2であることが好ましい。本実施の形態1〜4では、略平行光のビーム径は3mm程度である。したがって、コリメートレンズ2の径は5mm程度と小さくなる。さらに、コリメートレンズ2はレーザ光源1に近い光学素子であるため、コリメートレンズ2に与える振動は小さくても、面状照射光の干渉パターンを大きく変化させることができる。そのため、コリメートレンズ2を振動させるためのエネルギーは小さくてよく、低消費電力の面状照明装置を実現することができる。
なお、コリメートレンズ2が光軸に対して傾いた場合、自由曲面ミラー5へ入射するラインビームの位置がずれるため、コリメートレンズ2の光軸に対する傾きは固定されていることが好ましい。コリメートレンズ2の光軸に対する傾きが固定されていれば、面状照明光の光強度分布は一定の状態で、スペックルノイズのみが低減され、品質のよい面状照明光を得ることができる。コリメートレンズ2の光軸に対する傾きを固定して、コリメートレンズ2を振動させる振動装置としては、例えば、4本のワイヤにより支持するアクチュエータが考えられる。
図19は、コリメートレンズを振動させるアクチュエータの概略構成を示す図である。図19では、4本のワイヤによるアクチュエータ27の概略構成を示している。アクチュエータベース21とヨーク22とは、面状照明装置に固定され、可動部23は、4本のワイヤ24で支えられている。コリメートレンズ2は、可動部23に固定され、可動部23は、ヨーク22によって、縦方向25と横方向26に、例えばローレンツ力等の力を受ける。コリメートレンズ2の光軸方向は、図19のZ軸方向である。4本のワイヤ24は、アクチュエータベース21と可動部23とを平行リンク構造でつないでいる。そのため、可動部23は、光軸方向に対し傾きを変えず、縦方向25と横方向26とに平行移動する。この構造により、可動部23に固定されているコリメートレンズ2を、光軸方向の傾きを変えずに、振動させることができる。
このように、コリメートレンズ2を振動させるので、スペックルノイズを低減することができ、なめらかな面状照明光を得ることができる。また、コリメートレンズ2は、装置の中で使われている光学素子の中で最も小さい素子であるため、振動させるエネルギーを小さくでき、消費電力を抑えた面状照明装置を実現することができる。
なお、本実施の形態1〜4の面状照明装置において、面状照明光の強度むらを抑える場合、振動させる光学素子は1次元光拡散素子であり、かつ、その1次元光拡散素子のビームの広がり角が一定であってもよい。1次元光拡散素子としては、レンチキュラーレンズ3、又はラインビームを成形する拡散シート等が例として挙げられる。
図20は、レンチキュラーレンズを振動させるアクチュエータの概略構成を示す図である。なお、レンチキュラーレンズ3を振動させるアクチュエータ28は、図19に示すアクチュエータ27と同じ構成である。
例えば、レンチキュラーレンズ3が振動し、第1の略平行光のレンチキュラーレンズ3へ入射する領域が変化した場合でも、レンチキュラーレンズ3は小さいシリンドリカルレンズがアレイ状に配列されたものであるため、出射するビームの広がり角は変化しない。さらに、1次元光拡散素子は光軸に対し傾きを固定され、自由曲面ミラー5へ入射するラインビームの角度が一定であることが好ましい。1次元拡散素子を振動させる振動装置は、上述したコリメートレンズ2の振動装置と同様の構成等が考えられる。
1次元拡散素子の光軸に対する傾きが固定されていれば、レーザ光源1の出射光から自由曲面ミラー5の面状照明光までの光軸が常に一定となり、面状照明光の光強度分布が一定になる。面状照明光の光強度分布が一定であり、スペックルノイズのみが低減されるため、光強度分布が変化しない品質のよい面状照明光を得ることができる。また、1次元光拡散素子は、コリメートレンズ2に比べて、レーザ光源1から離れた位置に配置できるため、振動装置の配置が容易となる。
このように、レンチキュラーレンズ3を振動させるので、スペックルノイズを低減することができ、なめらかな面状照明光を得ることができる。また、レンチキュラーレンズ3が、ビームを分割して重畳する場合、レンチキュラーレンズ3が振動したとしても、面状照明光の強度むらは発生しにくいため、信頼性の高い面状照明装置を実現することができる。
なお、本実施の形態1〜4の面状照明装置において、光学素子の振動を積極的に利用して、面状照明光の強度むらを抑える場合、振動させる光学素子は自由曲面ミラー5であってもよい。
図21は、自由曲面ミラーを振動させるアクチュエータの概略構成を示す図である。図21に示すアクチュエータ29は、自由曲面ミラー5の側面に取り付けられた回転軸31に接続されており、回転軸31を回転振動させる。これにより、自由曲面ミラー5が矢印32の方向へ回転振動する。
アクチュエータ29は、ラインビームの第1の方向を回転軸31として、自由曲面ミラー5に対し微小な回転振動を与える。これにより、面状に広がった照明光が、光出射部6で走査される。そうすれば、面状照明光の干渉パターンが時間的に変化し、スペックルノイズが低減する。さらに、本構成では、面状照明光を光出射部6で走査することにより、自由曲面ミラー5の表面の傷又は塵等による面状照明光の強度のむらが低減されるため、均一な面状照明光を得ることができる。
このように、自由曲面ミラー5を振動させるので、スペックルノイズを低減することができ、なめらかな面状照明光を得ることができる。また、面状照明光の強度むらを抑え、均一な強度の面状照明光を得ることができる。
なお、騒音の防止や信頼性の向上等の理由により、機械的な振動装置を使用しない場合、音響光学素子又は電気光学素子等を用いて、第1の略平行光を走査してもよい。第1の略平行光はビーム径が小さいので、走査させることが容易である。第1の略平行光を走査させることにより、コリメートレンズ2を振動させること、あるいは自由曲面ミラー5を回転振動させることと、同様の効果を得ることが可能である。
なお、面状照明光の偏光が乱れてもよい場合、液晶を用いて、レーザ光の偏光を時間的に変化させ、スペックルノイズを低減してもよい。この場合、液晶を光路上に配置し、偏光を時間的にランダム化する。これにより、干渉パターンを時間的に変化させ、スペックルノイズを低減することができる。
なお、スペックルノイズの低減のために、上記で述べた方法を2つ以上組み合わせて使用することも可能であることは言うまでもない。
また、本発明の実施の形態1〜4による面状照明装置において、面状照明装置が長方形状の照射面を有し、面状照明装置を立てて使用する場合、1次元光拡散素子は、長方形状の照射面の横方向にビームを広げ、レーザ光源1は長方形状の照射面の中心の下方に配置されることが好ましい。
図22は、レーザ光源を面状照明装置の正面下部に配置した状態を示す図である。図22に示すように、レーザ光源1は、光出射部6の中央の下方に配置される。この場合、面状照明装置を正面から見たときに、左右対称に光学素子等が配置でき、レーザ光源1は正面下部に配置できる。面状照明装置を壁に設置するなど、立てて使う場合や、面状照明装置を画像表示装置のバックライトに使用する場合、面状照明装置を構成する光学素子が対称性を有しているので、デザイン性等に優れた面状照明装置を実現することができる。また、本実施の形態1〜4の面状照明装置では、レーザ光源1の重量が比較的大きくなるため、面状照明装置の下部にレーザ光源1を配置することで、安定した面状照明装置を実現することができる。
(実施の形態5)
次に、本発明の実施の形態5に係る面状照明装置について説明する。本実施の形態5に係る面状照明装置は、光源にレーザを用いているため、高速に変調することが可能である。そのため、カラーフィールドシーケンシャル方式と呼ばれる、各色の画像を人の目の時間分解能よりも高速に表示させ、カラー画像をつくることが可能である。
図23は、本発明の実施の形態5に係る面状照明装置の構成を示す正面図である。実施の形態5に係る面状照明装置50は、青色レーザ光源1a、赤色レーザ光源1b、緑色レーザ光源1c、コリメートレンズ2a,2b,2c、レンチキュラーレンズ3、フレネルレンズ4、自由曲面ミラー5、光出射部6及びダイクロイックミラー51,52を備える。なお、実施の形態1に係る面状照明装置10と同じ構成については、同じ符号を付し、説明を省略する。
青色レーザ光源1aは、レーザ光源1と同じ構成であり、青色レーザ光を出射する。赤色レーザ光源1bは、レーザ光源1と同じ構成であり、赤色レーザ光を出射する。緑色レーザ光源1cは、レーザ光源1と同じ構成であり、緑色レーザ光を出射する。
コリメートレンズ2aは、青色レーザ光源1aによって出射された青色レーザ光を第1の略平行光に変換する。コリメートレンズ2bは、赤色レーザ光源1bによって出射された赤色レーザ光を第1の略平行光に変換する。コリメートレンズ2cは、緑色レーザ光源1cによって出射された緑色レーザ光を第1の略平行光に変換する。
ダイクロイックミラー51は、コリメートレンズ2aを透過した青色レーザ光を透過させ、コリメートレンズ2bを透過した赤色レーザ光を反射させる。ダイクロイックミラー52は、ダイクロイックミラー51を透過した青色レーザ光を透過させ、ダイクロイックミラー51を反射した赤色レーザ光を反射させ、コリメートレンズ2cを透過した緑色レーザ光を反射させる。
ダイクロイックミラー52を透過した青色レーザ光及び赤色レーザ光と、ダイクロイックミラー52を反射した緑色レーザ光とは、レンチキュラーレンズ3に入射する。そして、制御部(不図示)は、青色レーザ光源1a、赤色レーザ光源1b及び緑色レーザ光源1cを制御し、カラーフィールドシーケンシャル方式により、青色レーザ光、赤色レーザ光及び緑色レーザ光をそれぞれ時間的にずらして出射させる。
このように、光の3原色である青色、赤色及び緑色のビームが青色レーザ光源1a、赤色レーザ光源1b及び緑色レーザ光源1cから出射されるので、高い色再現範囲を有する面状照明装置を実現することができる。
また、液晶パネルを使った画像表示装置に通常使用されているカラーフィルタを取り除くことができる。カラーフィルタの光損失を無くすことで、画像表示装置の光利用効率を高め、低消費電力の画像表示装置を実現することができる。
図24は、本発明の実施の形態5の変形例に係る面状照明装置の構成を示す正面図である。実施の形態5の変形例に係る面状照明装置53は、青色レーザ光源1a、赤色レーザ光源1b、緑色レーザ光源1c、コリメートレンズ2、レンチキュラーレンズ3、フレネルレンズ4、自由曲面ミラー5、光出射部6及び光ファイバ54を備える。なお、実施の形態1に係る面状照明装置10及び実施の形態5に係る面状照明装置50と同じ構成については、同じ符号を付し、説明を省略する。
光ファイバ54は、青色レーザ光源1a、赤色レーザ光源1b及び緑色レーザ光源1cから出射された赤色ビーム、緑色ビーム及び青色ビームを合波する。光ファイバ54によって合波されたビームは、コリメートレンズ2に入射する。
このように、青色レーザ光源1a、赤色レーザ光源1b及び緑色レーザ光源1cから出射された赤色ビーム、緑色ビーム及び青色ビームを光ファイバ54により合波することで、面状照明光の強度分布は、青色レーザ光源1a、赤色レーザ光源1b及び緑色レーザ光源1cのビームプロファイル変化の影響を受けにくくなり、信頼性の高い面状照明装置を実現することができる。
(実施の形態6)
次に、本発明の実施の形態6に係る画像表示装置について説明する。実施の形態6に係る画像表示装置は、少なくとも液晶パネルと、実施の形態1〜5に係る面状照明装置のいずれかをバックライトに用いた画像表示装置である。
図25は、本発明の実施の形態6に係る画像表示装置の概略構成を示す図である。画像表示装置60は、面状照明装置10、液晶パネル61及びフライアイレンズシート62を備える。なお、図25に示す画像表示装置60は、実施の形態1に係る面状照明装置10を備えているが、本発明は特にこれに限定されず、実施の形態2〜5に係る面状照明装置を備えてもよい。また、画像表示装置60は、フライアイレンズシート62を備えず、面状照明装置10及び液晶パネル61のみを備えてもよい。
液晶パネル61を使った画像表示装置60は、バックライトから出射される照明光の偏光を制御して、画像を表示するディスプレイである。本実施の形態6の画像表示装置60は、直線偏光のレーザ光を光源に用いて、かつ、直線偏光のまま面状照明光を生成できる面状照明装置をバックライトに用いている。そのため、光利用効率を高くすることができ、消費電力を抑えることができる。
また、本実施の形態6の画像表示装置60は、液晶パネル61の光出射面側にフライアイレンズシート62を備えていることが好ましい。さらに好ましくは、フライアイレンズシート62の個々のレンズが、液晶パネル61の各画素よりも十分に小さいことが好ましい。通常の液晶パネルを使った画像表示装置は、斜め横や上から見た場合でも映像が視聴できるよう、ある程度の視野角が必要となっている。そのため、液晶パネルから出射する光は、広がり角をもって出射される必要がある。そこで、フライアイレンズシート62により、液晶パネル61から出射された光が上下左右に拡大されるので、広視野角の画像表示装置を実現することができる。
また、フライアイレンズシート62を液晶パネル61の出射面側に配置すれば、フライアイレンズシート62は、液晶パネル61に入射する光に何ら影響を与えないため、画像表示装置60の光利用効率を低下させることはない。また、フライアイレンズシート62の個々のレンズが液晶パネル61の各画素よりも十分に小さければ、フライアイレンズシート62による画質の低下を抑えた画像表示装置60を実現することができる。なお、本実施の形態6において、フライアイレンズシート62が光拡散部及びレンズアレイシートの一例に相当する。
すなわち、フライアイレンズシート62の個々のレンズが、液晶パネル61の1画素よりも小さいので、フライアイレンズシート62による画像のぼやけを抑え、広視野角の画像表示装置を実現することができる。
また、画像表示装置60が実施の形態5に係る面状照明装置50を備え、画像表示装置60の映像表示方式がカラーフィールドシーケンシャル方式である場合、カラーフィルタを取り除くことができ、光利用効率が高く低消費電力の画像表示装置60を実現することができる。
なお、実施の形態1〜5に係る面状照明装置は、画像表示装置だけではなく、植物プラントの面状照明装置に用いることも可能である。植物プラントの照明は1日中使用するなど、使用時間が非常に長く、コストの観点から、消費電力は非常に重要である。そのため、光利用効率が高く、低消費電力の本実施の形態1〜5に係る面状照明装置は有用である。
さらに、従来のように、樹脂でできた導光板を用いると、光吸収により導光板が劣化し、透過率が低下する可能性がある。しかしながら、本実施の形態1〜5に係る面状照明装置は、直接投射型の光学系であり、光は空気中を通るため、光学素子である導光板の経年劣化の影響を抑えることが可能である。
また、実施の形態1〜5に係る面状照明装置及び実施の形態6に係る画像表示装置は、本発明の主旨から逸脱しない範囲で様々な形態をとり得ることは言うまでもない。
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
本発明の一局面に係る面状照明装置は、レーザ光源と、前記レーザ光源から出射されたビームを第1の略平行光に変換する第1の変換部と、前記第1の変換部によって第1の略平行光に変換されたビームを第1の方向に直線状に広げる1次元光拡散素子と、前記1次元拡散素子によって前記第1の方向に広げられたビームを第2の略平行光に変換する第2の変換部と、自由曲面で形成された反射面を有し、前記第2の変換部によって前記第2の略平行光に変換されたビームを前記第1の方向に直交する第2の方向に面状に広げる自由曲面ミラーとを備える。
この構成によれば、第1の変換部によって、レーザ光源から出射されたビームが第1の略平行光に変換され、1次元光拡散素子によって、第1の略平行光に変換されたビームが第1の方向に直線状に広げられ、第2の変換部によって、第1の方向に広げられたビームが第2の略平行光に変換される。そして、自由曲面で形成された反射面を有する自由曲面ミラーによって、第2の略平行光に変換されたビームが第1の方向に直交する第2の方向に面状に広げられる。
したがって、第1の方向に直線状に広げられたビームの第2の方向の長さは一定であり、直線状のビームを第1の方向に長くしたとしても、第2の方向の長さは変わらないので、装置を薄型化することができる。また、自由曲面ミラーを反射することによって、ビームが面状に広げられ、光学素子内をビームが通過しないため、透過損失が小さく高い光利用効率を実現することができる。
また、上記の面状照明装置において、前記1次元光拡散素子は、前記第1の略平行光の前記第1の方向の強度を均一化する機能を有し、前記自由曲面ミラーの前記第1の方向に対する断面形状が一様であることが好ましい。
この構成によれば、自由曲面ミラーの第1の方向に対する断面形状が一様であるので、自由曲面ミラーの加工の容易性が向上し、面状照明装置の加工コストを抑えることができる。
また、上記の面状照明装置において、前記1次元光拡散素子は、前記第1の略平行光を複数に分割し、分割した複数の第1の略平行光のそれぞれを直線状に広げ、広げた複数の第1の略平行光のそれぞれを重畳することが好ましい。
この構成によれば、直線状のビームの第1の方向の強度分布が略一様となるので、レーザ光源の固体差によるビームプロファイルの違いや、温度変化によるビームプロファイルの変化の影響を受けにくい、信頼性の高い面状照明装置を実現することができる。
また、上記の面状照明装置において、前記1次元光拡散素子は、レンチキュラーレンズを含むことが好ましい。
この構成によれば、レンチキュラーレンズに入射するビームの偏光方向と、レンチキュラーレンズによって広げられた直線状のビームの偏光方向とを一致させることができる。
また、上記の面状照明装置において、前記自由曲面ミラーで広げられたビームを第3の略平行光に変換する面状光学素子をさらに備え、前記面状光学素子は、面状に広げられたビームを外部に出射する光出射部に対して直線偏光の第3の略平行光を垂直に出射することが好ましい。
この構成によれば、自由曲面ミラーで広げられたビームが第3の略平行光に変換されるので、従来使用されている面状照明装置の代替が容易となり、使い勝手のよい面状照明装置を実現することができる。また、面状照明装置を液晶表示装置のバックライトに容易に利用することができる。
また、上記の面状照明装置において、前記面状光学素子は、反射型プリズムシートと屈折型プリズムシートとを含み、前記自由曲面ミラーから前記面状光学素子へ入射するビームの入射角度が25度から35度までの範囲内に、前記反射型プリズムシートと前記屈折型プリズムシートとの境界が存在することが好ましい。
この構成によれば、自由曲面ミラーから面状光学素子へ入射するビームの入射角度が25度から35度までの範囲内に、反射型プリズムシートと屈折型プリズムシートとの境界が存在するように、反射型プリズムシートと屈折型プリズムシートとが配置されるので、自由曲面ミラーと光出射部との距離を短くすることができ、装置をさらに薄型化することができる。
また、上記の面状照明装置において、前記自由曲面ミラーによって反射されたビームを、面状に広げられたビームを外部に出射する光出射部に向けて反射するミラーをさらに備えることが好ましい。
この構成によれば、ミラーによって、自由曲面ミラーにより反射されたビームを光出射部に向けて反射させるので、自由曲面ミラーと光出射部との光学的な距離を長くすることが可能になり、大きい面積の面状照明光を得ることが容易となる。
また、上記の面状照明装置において、前記ミラーは、入射したビームを複数に分割して反射するとともに、分割した複数のビームのそれぞれを重畳することが好ましい。
この構成によれば、ミラーによって、入射したビームが複数に分割して反射し、分割された複数のビームのそれぞれが重畳されるので、直線状のビームの第2の方向の強度分布に関わらず、均一な強度分布の面状照明光を得ることができる。
また、上記の面状照明装置において、前記1次元光拡散素子から前記自由曲面ミラーまでの間に配置され、前記1次元光拡散素子により直線状に広げられたビームを折り返す折り返しミラーをさらに備えることが好ましい。
この構成によれば、1次元光拡散素子により直線状に広げられたビームが折り返され、折り返されたビームが第2の変換部に入射するので、第2の変換部が、自由曲面ミラーで反射されたビームの陰になることを防ぐことができ、装置を薄型化することができる。
また、上記の面状照明装置において、前記第2の変換部は、面状に広げられたビームを外部に出射する長方形状の光出射部の端部に配置されていることが好ましい。
この構成によれば、面状に広げられたビームを外部に出射する長方形状の光出射部の端部に第2の変換部が配置されているので、第2の変換部が、自由曲面ミラーで反射されたビームの陰になることを防ぐことができ、装置を薄型化することができる。
また、上記の面状照明装置において、前記第1の変換部を振動させる振動装置をさらに備え、前記第1の変換部は光軸に対し傾きが固定されていることが好ましい。
この構成によれば、第1の変換部を振動させるので、スペックルノイズを低減することができ、なめらかな面状照明光を得ることができる。また、第1の変換部は、装置の中で使われている光学素子の中で最も小さい素子であるため、振動させるエネルギーを小さくでき、消費電力を抑えた面状照明装置を実現することができる。
また、上記の面状照明装置において、前記1次元光拡散素子を振動させる振動装置をさらに備え、前記1次元光拡散素子は光軸に対し傾きが固定されていることが好ましい。
この構成によれば、1次元光拡散素子を振動させるので、スペックルノイズを低減することができ、なめらかな面状照明光を得ることができる。また、1次元拡散素子が、ビームを分割して重畳する場合、1次元拡散素子が振動したとしても、面状照明光の強度むらは発生しにくいため、信頼性の高い面状照明装置を実現することができる。
また、上記の面状照明装置において、前記自由曲面ミラーを振動させる振動装置をさらに備えることが好ましい。
この構成によれば、自由曲面ミラーを振動させるので、スペックルノイズを低減することができ、なめらかな面状照明光を得ることができる。また、面状照明光の強度むらを抑え、均一な強度の面状照明光を得ることができる。
また、上記の面状照明装置において、前記レーザ光源は、シングルモードの半導体レーザを含むことが好ましい。
この構成によれば、シングルモードの半導体レーザを用いることで、面状照明光の強度分布がレーザ光源の温度変化及び出力変化の影響を受けにくくなり、信頼性の高い面状照明装置を実現することができる。
また、上記の面状照明装置において、前記レーザ光源は、赤色ビーム、緑色ビーム及び青色ビームを出射することが好ましい。
この構成によれば、光の3原色である赤色、緑色及び青色のビームがレーザ光源から出射されるので、高い色再現範囲を有する面状照明装置を実現することができる。
また、上記の面状照明装置において、前記レーザ光源から出射された赤色ビーム、緑色ビーム及び青色ビームを合波する光ファイバをさらに備えることが好ましい。
この構成によれば、レーザ光源から出射された赤色ビーム、緑色ビーム及び青色ビームを光ファイバにより合波することで、面状照明光の強度分布は、レーザ光源のビームプロファイル変化の影響を受けにくくなり、信頼性の高い面状照明装置を実現することができる。
本発明の他の局面に係る画像表示装置は、上記の面状照明装置と、前記面状照明装置によって照明される液晶パネルとを少なくとも備える。
この構成によれば、バックライトに用いる面状照明装置は、導光板型の面状照明装置に比べ、光の透過損失が少ないため、光利用効率が高く低消費電力の画像表示装置を実現することができる。また、バックライトに用いる面状照明装置は、直線偏光の光を出射できるため、画像表示装置の光利用効率を高くすることができ、低消費電力の画像表示装置を実現することができる。
また、上記の画像表示装置において、前記液晶パネルの光出射面側に配置されている光拡散部をさらに備えることが好ましい。
この構成によれば、光拡散部が液晶パネルの光出射面側に配置されているので、広視野角の画像表示装置を実現することができる。また、液晶パネルに入射する照明光の偏光を乱すことがなく、高い光利用効率の画像表示装置を実現することができる。
また、上記の画像表示装置において、前記光拡散部は、レンズアレイシートを含み、前記レンズアレイシートの個々のレンズは、前記液晶パネルの1画素よりも小さいことが好ましい。
この構成によれば、レンズアレイシートの個々のレンズが、液晶パネルの1画素よりも小さいので、レンズアレイシートによる画像のぼやけを抑え、広視野角の画像表示装置を実現することができる。
また、上記の画像表示装置において、前記画像表示装置の映像表示方式は、カラーフィールドシーケンシャル方式であることが好ましい。
この構成によれば、画像表示装置の映像表示方式が、カラーフィールドシーケンシャル方式であるので、カラーフィルタを取り除くことができ、光利用効率が高く低消費電力の画像表示装置を実現することができる。
本発明に係る面状照明装置及び画像表示装置は、薄型化することができるとともに、高い光利用効率を実現することができ、レーザを光源に利用した面状照明装置及び当該面状照明装置をバックライトに用いた画像表示装置として有用である。
本発明は、レーザを光源に利用した面状照明装置及び当該面状照明装置をバックライトに用いた画像表示装置に関するものである。
画像表示装置は、CRT(Cathode Ray Tube)又はPDP(Plasma Display Panel)のような自発光型ディスプレイと、液晶パネルを使ったLCD(Liquid Crystal Display)のような光の透過率を変化させて画像を表示させる非自発光型ディスプレイとに大別できる。非自発光型ディスプレイは、一般に、背面にバックライトとなる面状照明装置を備え、面状照明装置から発せられる照明光の透過量を各画素で変化させ画像を表示している。それゆえ、非自発光型ディスプレイにおいて、面状照明装置は、画像表示装置の消費電力、画質及びサイズ等に大きく影響を与える。
近年、LED(発光ダイオード)をバックライトに用いたLCDが開発されている。LEDを用いることで、従来の冷陰極管方式よりも、電気−光変換効率が高く、さらに色純度の高いLCDを実現できる。また、レーザ光源をバックライトに用いることで、LEDよりさらに電気−光変換効率が高く、かつ色純度の高い画像表示装置ができると考えられている。これは、レーザはLEDよりも、電気−光変換効率が高く、かつ、スペクトル幅が小さいため色再現性に優れているからである。
LCDにおいて、液晶パネルは、面状照明装置から発せられる照明光の偏光状態を制御して、各画素の透過光の量を変える。そのため、一般にLCDでは照明光が有する偏光は、偏光フィルター等を通過することで1つの方向に揃えられ、1つの方向に偏光した光、すなわち直線偏光の光が液晶パネルに入射する。
これに対し、レーザ光は、一般に直線偏光の光である。そのため、レーザ光をLCDの照明光に使うことで、LCDの偏光フィルターを取り除くことができ、LCDの光利用効率を高めることができる。さらに、レーザは時間応答が冷陰極管に比べて非常に早いため、高速に変調できる。そのため、液晶パネルの各画素の色分割のために従来使われているカラーフィルタを取り除き、各色の画面を時分割して点灯するカラーフィールドシーケンシャル方式も実現可能である。カラーフィールドシーケンシャル方式を採用した場合、LCDのカラーフィルタの光損失がなくなるため、LCDの光利用効率をさらに高めることができる。
レーザ光源を用いた面状照明装置は、導光板の側面からレーザ光を入射し、面状の照明光を得る導光板方式と、ミラーやレンズを使うことでレーザ光を直接面状の照明光に変換する直接投射方式との二つの種類に大別できる。一般に、導光板方式では、導光板の側面からレーザ光を入射し、導光板内で光が拡散され、導光板から面状に光が出射される。導光板を用いた面状照明装置は、例えば特許文献1に提案されている。
これに対し、直接投射方式では、プロジェクタのように、面状に光が投射される。直接投射方式では、光は基本的に空気中を通るので、導光板の内部を光が通る導光板方式よりも、光の透過損失が小さく、高い光利用効率を実現できる。直接投射方式の光学系を用いた画像表示装置には、例えばリアプロジェクション型画像表示装置がある。
近年、画像表示装置は、薄型化が進んでおり、LCDも例外ではない。LCDを薄型化する場合、バックライトとなる面状照明装置の薄型化は、必須である。また、同時に、LCDの低消費電力化のため、バックライトとなる面状照明装置が、高い光利用効率を有することも望まれている。
直接投射方式の面状照明装置では、光が通る光路の大半が空気のため、光路における光の損失が小さく、高い光利用効率を有する。また、一般に、直接投射方式は、光を拡散させる機能を有する導光板のような、偏光を乱す光学素子を用いる必要がないため、直線偏光の光のまま面状照明光を得ることが容易である。
画像をスクリーンに直接投射するリアプロジェクション型画像表示装置の一般的な光学系を、直接投射方式の画像表示装置の例として挙げる。図26は、一般的なリアプロジェクション型画像表示装置の概略構成を示す断面図である。光学エンジン部100から出射される光は、画像表示素子101で変調され、投射光学系102で拡大され、背面ミラー103で反射した後、スクリーン104に投影される。しかし、従来のリアプロジェクション型画像表示装置では、投射光学系102を通過した光が、長方形に拡大されるため、装置全体のサイズが大きくなってしまうという課題がある。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、薄型化することができるとともに、高い光利用効率を実現することができる面状照明装置及び画像表示装置を提供することを目的とするものである。
本発明の一局面に係る面状照明装置は、レーザ光源と、前記レーザ光源から出射されたビームを第1の略平行光に変換する第1の変換部と、前記第1の変換部によって第1の略平行光に変換されたビームを第1の方向に直線状に広げる1次元光拡散素子と、前記1次元拡散素子によって前記第1の方向に広げられたビームを第2の略平行光に変換する第2の変換部と、自由曲面で形成された反射面を有し、前記第2の変換部によって前記第2の略平行光に変換されたビームを前記第1の方向に直交する第2の方向に面状に広げる自由曲面ミラーとを備える。
この構成によれば、第1の変換部によって、レーザ光源から出射されたビームが第1の略平行光に変換され、1次元光拡散素子によって、第1の略平行光に変換されたビームが第1の方向に直線状に広げられ、第2の変換部によって、第1の方向に広げられたビームが第2の略平行光に変換される。そして、自由曲面で形成された反射面を有する自由曲面ミラーによって、第2の略平行光に変換されたビームが第1の方向に直交する第2の方向に面状に広げられる。
本発明によれば、第1の方向に直線状に広げられたビームの第2の方向の長さは一定であり、直線状のビームを第1の方向に長くしたとしても、第2の方向の長さは変わらないので、装置を薄型化することができる。また、自由曲面ミラーを反射することによって、ビームが面状に広げられ、光学素子内をビームが通過しないため、透過損失が小さく高い光利用効率を実現することができる。
本発明の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
本発明の実施の形態1に係る面状照明装置の概略構成を示す正面図である。
本発明の実施の形態1に係る面状照明装置の概略構成を示す側面図である。
レンチキュラーレンズでビームを広げる様子を説明するための図である。
面状照明装置の自由曲面ミラー及び光出射部の近傍を拡大した側面断面図である。
厚み方向(第2の方向)の強度分布の一例を示す図である。
自由曲面ミラー及び光出射部の設計例を説明するための図である。
複数の微小要素に分割した自由曲面ミラーと、複数の要素に分割した光出射面とを模式的に示す図である。
計算例の条件において、微小要素の計算から求めた自由曲面ミラーの反射面の断面形状の曲線を示す図である。
本発明の実施の形態2に係る面状照明装置の概略構成を示す斜視図である。
本発明の実施の形態2に係る面状照明装置の概略構成を示す正面図である。
本発明の実施の形態2に係る面状照明装置の概略構成を示す側面図である。
本発明の実施の形態2に係る面状照明装置の自由曲面ミラーとプリズムシートとの位置関係を説明するための図である。
屈折型プリズムシートの原理を説明するための図である。
反射型プリズムシートの原理を説明するための図である。
自由曲面ミラーをプリズムシートよりも大きく外側に配置した時の、両者の位置関係を示す図である。
本発明の実施の形態3に係る面状照明装置の概略構成を示す断面図である。
本発明の実施の形態4に係る面状照明装置の構成を示す側面図である。
本発明の実施の形態4の変形例に係る面状照明装置の概略構成を示す側面図である。
コリメートレンズを振動させるアクチュエータの概略構成を示す図である。
レンチキュラーレンズを振動させるアクチュエータの概略構成を示す図である。
自由曲面ミラーを振動させるアクチュエータの概略構成を示す図である。
レーザ光源を面状照明装置の正面下部に配置した状態を示す図である。
本発明の実施の形態5に係る面状照明装置の構成を示す正面図である。
本発明の実施の形態5の変形例に係る面状照明装置の構成を示す正面図である。
本発明の実施の形態6に係る画像表示装置の概略構成を示す図である。
一般的なリアプロジェクション型画像表示装置の概略構成を示す側面図である。
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。尚、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1に係る面状照明装置の概略構成を説明する。
図1及び図2は、本発明の実施の形態1に係る面状照明装置の概略構成を示す図であり、図1は、本発明の実施の形態1に係る面状照明装置の概略構成を示す正面図であり、図2は、本発明の実施の形態1に係る面状照明装置の概略構成を示す側面図である。
本実施の形態1に係る面状照明装置10は、レーザ光を面状に広げて照射する。面状照明装置10は、レーザ光源1、コリメートレンズ2、レンチキュラーレンズ3、フレネルレンズ4、自由曲面ミラー5及び光出射部6を備える。
レーザ光源1は、レーザ光を発生する。コリメートレンズ2は、レーザ光源1から出射されたビームを第1の略平行光に変換する。レンチキュラーレンズ3は、コリメートレンズ2によって第1の略平行光に変換されたビームを第1の方向D1に直線状に広げる。フレネルレンズ4は、レンチキュラーレンズ3によって第1の方向D1に広げられたビーム(ラインビームとする)を第2の略平行光に変換する。自由曲面ミラー5は、自由曲面で形成された反射面を有し、フレネルレンズ4によって第2の略平行光に変換されたビームを第1の方向D1に直交する第2の方向D2に面状に広げて反射する。光出射部6は、面状に広げられたビームを外部に出射する。なお、フレネルレンズ4の代わりに、光の回折を使って光を同一方向の向きに揃える回折素子を用いてもよい。
また、本実施の形態1において、コリメートレンズ2が第1の変換部の一例に相当し、レンチキュラーレンズ3が1次元光拡散素子の一例に相当し、フレネルレンズ4が第2の変換部の一例に相当する。
レーザ光源1から出射したレーザ光は、コリメートレンズ2により第1の略平行光に変換される。コリメートレンズ2はどこに配置してもよいが、面状照明装置10の厚みを薄くするときには、レーザ光源1の出射端付近に配置すればよい。なぜならば、コリメートレンズ2をレーザ光源1に近づける程コリメートレンズ2に入射するビーム径は小さくなるので、コリメートレンズ2から出るコリメート光のビーム径も小さくできるからである。
第1の略平行光は、レンチキュラーレンズ3を透過し、第1の方向D1に広がりを有するラインビームに変換される。第1の方向D1は、レーザ光源を出射するビーム光軸に垂直であり、かつ面状照明光の出射面に平行な方向である。なお、ラインビームの第2の方向D2の広がりは、略平行のままである。
ラインビームは、フレネルレンズ4にて、第2の略平行光に変換され、自由曲面ミラー5に入射する。第2の略平行光は、自由曲面ミラー5の反射面のいずれの位置においても、同じ角度で入射される。自由曲面ミラー5の反射面のいずれの位置においても第2の略平行光が同じ角度で入射することで、自由曲面ミラー5の反射面の設計が容易となる。自由曲面ミラー5は、所望する面状照明光の強度分布によって形状が異なる。例えば、均一な面状照明光を必要とする場合、自由曲面ミラー5の反射面は、第2の略平行光の強度分布を均一化する曲率を第1の方向D1に有し、ラインビームの第2の方向D2の強度分布を均一化して拡大する曲率を第2の方向D2に有する自由曲面となる。
なお、自由曲面ミラー5の加工コストを抑え、かつ、均一な面状照明光を得る場合、第2の略平行光の第1の方向D1の強度分布が略一様で、自由曲面ミラー5の第1の方向D1に対する断面形状が一様になっていることが好ましい。第2の略平行光の第1の方向D1の強度分布が一様であれば、均一な面状照明光を得る場合、自由曲面ミラー5は第1の方向D1に一様な断面形状でよく、自由曲面ミラー5の加工コストを抑えることができる。
このように、自由曲面ミラー5の第1の方向に対する断面形状が一様であるので、自由曲面ミラー5の加工の容易性が向上し、面状照明装置10の加工コストを抑えることができる。
また、第2の略平行光は、第1の方向D1の広がりが略平行であるため、自由曲面ミラー5へ入射するラインビームの長さが、自由曲面ミラー5の位置に関わらず一定となり、自由曲面ミラー5を配置する位置の自由度を大きくすることができる。
また、フレネルレンズ4を小型化する場合、フレネルレンズ4は、レンチキュラーレンズ3と自由曲面ミラー5との間に配置されることが好ましい。フレネルレンズ4に入射するラインビームは、第2の方向に略平行であるため、レンチキュラーレンズ3と自由曲面ミラー5との間にフレネルレンズ4を配置すると、フレネルレンズ4の入射面の厚みを小さくすることができる。フレネルレンズ4を小さくすることで、面状照明装置10の厚みを小さくすることができる。
さらに、フレネルレンズ4は、面状に広げられたビームを外部に出射する長方形状の光出射部6の端部、より具体的には光出射部6の上端部の近傍に配置されている。この場合、面状に広げられたビームを外部に出射する長方形状の光出射部6の端部にフレネルレンズ4が配置されているので、フレネルレンズ4が、自由曲面ミラー5で反射されたビームの陰になることを防ぐことができ、装置を薄型化することができる。
また、実施の形態1に係る面状照明装置10において、面状照明光の第1の方向D1の強度むらを低減したい場合、レンチキュラーレンズ3を1次元光拡散素子として用いることが好ましい。
図3は、レンチキュラーレンズでビームを広げる様子を説明するための図である。レーザ光源1から出射されたレーザ光11は、コリメートレンズ2にて第1の略平行光12に変換される。第1の略平行光12は、レンチキュラーレンズ3に入射して、複数のビームに分割され、各ビームが重畳されたラインビーム13に変換される。
レンチキュラーレンズ3は、シリンドリカルレンズアレイで構成される光学素子である。図3においては、レンチキュラーレンズ3は、6つのシリンドリカルレンズで構成されるレンズアレイで示され、内側の4つのシリンドリカルレンズが、第1の略平行光12をラインビーム13に広げている。レンチキュラーレンズ3を構成する各シリンドリカルレンズは、各々に入射した第1の略平行光12を広げて出射する。そのため、第1の略平行光12は、入射するシリンドリカルレンズの数だけ重畳されたラインビーム13になる。
重畳されたラインビーム13の第1の方向D1の強度分布は、第1の略平行光12の第1の方向D1の強度分布に関わらず、略一定となる。なぜならば、ラインビーム13は、第1の略平行光12を重畳してつくられているため、ラインビーム13の第1の方向D1の強度分布は、レンチキュラーレンズ3の各シリンドリカルレンズに入射する各ビームの強度分布を平均化したものだからである。
このように、レンチキュラーレンズ3は、第1の略平行光を複数に分割し、分割した複数の第1の略平行光のそれぞれを直線状に広げ、広げた複数の第1の略平行光のそれぞれを重畳する。
これにより、第1の略平行光12の強度分布が、温度変化や経年劣化で変化しても、自由曲面ミラー5に入射するラインビーム13の第1の方向D1の強度分布を一定にすることができる。自由曲面ミラー5に入射するラインビーム13の第1の方向D1の強度分布は、面状照明装置10の第1の方向D1の強度分布に影響する。そのため、レンチキュラーレンズ3を1次元拡散素子として用いることで、面状照明光の第1の方向D1の強度分布が変化しにくい、信頼性の高い面状照明装置10を実現することができる。
また、レンチキュラーレンズ3を用いることで、レンチキュラーレンズ3に入射するビームの偏光方向と、レンチキュラーレンズ3によって広げられた直線状のビームの偏光方向とを一致させることができる。
なお、レンチキュラーレンズ3のレンズピッチは、ビーム径よりも十分小さいことが好ましい。レンズピッチがビーム径の5分の1以下となれば、ラインビーム13の強度分布は、第1の略平行光12の強度分布変化の影響をほとんど受けなくなり、第1の方向D1の強度むらを20%以下に抑えた面状照明光を実現することができる。
また、第1の略平行光12がレンチキュラーレンズ3によりラインビーム13に変換される際、第1の略平行光12の透過するシリンドリカルレンズの数で、分割して重畳されるビームの数が決まる。第1の略平行光12が透過するシリンドリカルレンズの数を5つ以上にすることで、第1の略平行光12の強度分布にほとんど依存しないラインビーム13をつくることができる。
なお、第1の略平行光12がレンチキュラーレンズ3を透過する際に、第1の略平行光12の偏光方向とラインビーム13の偏光方向とを一致させる場合、レンチキュラーレンズ3は、ガラスあるいは複屈折量が少ない樹脂で生成されていることが好ましい。複屈折量が少なければ、レンチキュラーレンズ3の透過前後でビームの偏光成分の乱れは少なくなる。例えば、ラインビーム13の偏光比を100:1にするには、複屈折量は0.01以下であることが好ましい。
次に、実施の形態1に係る面状照明装置10における自由曲面ミラー5の光反射面の断面形状の具体的な設計方法について述べる。図4は、面状照明装置の自由曲面ミラー及び光出射部の近傍を拡大した側面断面図である。図4では、ラインビーム13の断面、自由曲面ミラー5の断面、光出射部6の断面を図示している。
ラインビーム13が入射する自由曲面ミラー5の光反射面14は、自由曲面ミラー5の左下の部分である。光反射面14は、微小要素15に分割される。図4では、模式的に光反射面14を3つの微小要素15に分割し、光出射部6を3つの要素16に分割している。微小要素15は、微小要素15に入射する光を要素16の長さに投影する。そのとき、例えば、ラインビーム13の第2の方向D2の強度分布は、トップハット形状の分布を有する。
図5は、厚み方向(第2の方向)の強度分布の一例を示す図である。図5において、縦軸は光強度を示し、横軸は厚み方向を示す。ラインビーム13が、第2の方向D2にトップハット形状の強度分布を有するとき、面状照明装置10の所望の長さに投射された投影後の要素16が、それぞれ同じ長さになるようにすれば、均一な強度分布の面状照明光を得ることができる。その投影の関数を自由曲面ミラー5の光反射面14で実現することにより、均一な強度分布の面状照明光が得られる。
ここで、自由曲面ミラー5の具体的な設計例について説明する。一例として、自由曲面ミラー5及び光出射部6は、下記の条件で設計される。図6は、自由曲面ミラー及び光出射部の設計例を説明するための図である。なお、下記の条件で、x方向は、レーザ光源1を出射したレーザ光の進行方向を示し、y方向は、光出射部6の光出射面に垂直な方向、すなわち、第2の方向を示す。
(条件)
ラインビーム13の第2の方向D2(y方向)の強度分布:トップハット
ラインビーム13のy方向の厚み:10mm
自由曲面ミラー5のy方向の長さ:10mm
光出射部6の光出射面のx方向の長さ:400mm
自由曲面ミラー5のx方向の位置(光出射部6の自由曲面ミラー5側の端部から自由曲面ミラー5までのx方向の長さ):30mm
自由曲面ミラー5のy方向の位置(光出射部6の光出射面から自由曲面ミラー5までのy方向の長さ):30mm
上記の条件において、自由曲面ミラー5をy方向にn=400の微小要素15に分割し、光出射部6の光出射面はx方向にn=400の要素16に分割する。この時、自由曲面ミラー5の1つの微小要素15のy方向の長さは、0.025mm(10mm/400)となり、光出射面の1つの要素16のx方向の長さは、1mm(400mm/400)となる。自由曲面ミラー5の各々の微小要素15と、光出射面の要素16が1対1で対応するように、自由曲面ミラー5が設計される。
図7は、複数の微小要素に分割した自由曲面ミラーと、複数の要素に分割した光出射面とを模式的に示す図である。図7において、自由曲面ミラー5の微小要素15と光出射面の要素16とを1対1で対応させるためには、微小要素15のそれぞれの傾きを異ならせる必要がある。
ラインビーム13は、x方向に平行に自由曲面ミラー5に入射する。自由曲面ミラー5の各微小要素15と、各微小要素15に対応付ける光出射面の各要素16との位置関係により、要素16へのビームの入射角度θ1、θ2、・・・が決まる。なお、入射角度θ1、θ2、・・・は、自由曲面ミラー5の各微小要素15を反射したビームの光軸と、光出射部6の光出射面とがなす角度である。入射角度θ1、θ2、・・・を用いて、幾何学的に各微小要素15の傾きが計算できる。各微小要素15の傾きが求まると、その微小要素15で構成される自由曲面ミラー5の形状が決まる。図8は、上記条件において、微小要素の計算から求めた自由曲面ミラーの反射面の断面形状の曲線を示す図である。図8において、縦軸はy方向の長さを示し、横軸はx方向の長さを示す。
また、本実施の形態1の面状照明装置10において、1次元光拡散素子としてレンチキュラーレンズ3を用いている。しかしながら、時間的に変化しないビームプロファイルのレーザ光がレーザ光源1から出射される場合、1次元光拡散素子は、第1の略平行光を直線状に広げる機能を有するものであれば、非球面レンズ、自由曲面ミラー及び回折光学素子のいずれかでもよい。
この場合、レーザ光源1は、特にシングルモードの半導体レーザ光源であることが好ましい。シングルモードの半導体レーザ光源は、ビームプロファイルが一定で、ガウス分布となっているので、1次元光拡散素子の設計が容易になる。また、シングルモードの半導体レーザ光源を用いることで、面状照明光の強度分布がレーザ光源の温度変化及び出力変化の影響を受けにくくなり、信頼性の高い面状照明装置を実現することができる。
なお、レーザ光のビームプロファイルが、温度又は時間で変化する場合、レーザ光源1から出射されたビームを、光ファイバに入射し、光ファイバから出射されたビームをコリメートレンズにより第1の略平行光に変換し、1次元拡散素子に入射してもよい。光ファイバから出射されるビームは、入射するビームのビームプロファイルに関わらずほぼ一定である。そのため、ラインビームの強度分布を、光ファイバに入射するビームのビームプロファイルに関わらず、一定とすることができる。したがって、面状照明光の強度分布が変化しない、信頼性の高い面状照明装置を実現することができる。特に、高出力の半導体レーザは、出力や温度によって、ビームプロファイルが変化するため、高出力の半導体レーザを光源に用いる場合に、この構成は有用である。
なお、光ファイバに入射するビームの偏光方向と、光ファイバから出射するビームの偏光方向とを同一にする場合、光ファイバは偏波面保持光ファイバであることが好ましい。偏波面保持光ファイバは、入射光と出射光とで偏光方向が変わらない。
また、面状照明光の強度分布を均一にする場合、レーザ光源1は、少なくとも第2の方向D2にシングルモードであることが好ましい。この場合、レーザ光源1の個体にあわせて自由曲面ミラー5の断面形状を設計する必要がなく、自由曲面ミラー5の断面形状の設計が容易になる。
このように、コリメートレンズ2によって、レーザ光源1から出射されたビームが第1の略平行光に変換され、レンチキュラーレンズ3によって、第1の略平行光に変換されたビームが第1の方向に直線状に広げられ、フレネルレンズ4によって、第1の方向に広げられたビームが第2の略平行光に変換される。そして、自由曲面で形成された反射面を有する自由曲面ミラー5によって、第2の略平行光に変換されたビームが第1の方向に直交する第2の方向に面状に広げられる。
したがって、第1の方向に直線状に広げられたビームの第2の方向の長さは一定であり、直線状のビームを第1の方向に長くしたとしても、第2の方向の長さは変わらないので、装置を薄型化することができる。また、自由曲面ミラー5を反射することによって、ビームが面状に広げられ、光学素子内をビームが通過しないため、透過損失が小さく高い光利用効率を実現することができる。
また、レンチキュラーレンズ3によって第1の方向に直線状に広げられたビームは、第1の方向に直交する第2の方向に略平行であるため、直線状のビームの第1の方向の長さに依存せず、第2の方向の長さは一定である。このため、直線状のビームを第1の長さ方向に十分長くしても、第2の方向の長さは短くできる。そのため、直線状のビームの生成に必要な空間は、薄い直方体となり、面状照明装置10の第2の方向への大型化を防ぐことができる。
また、自由曲面ミラー5は、直線状のビームを反射して第2の方向に広げる反射型の光学素子であるため、自由曲面ミラー5の反射面以外の形状や大きさは何ら規定されるものではない。そのため、自由曲面ミラー5は、内部を光が通る導光板等に比べ、小さい体積で実現することができ、面状照明装置10を小型化することができる。面状照明装置10の小型化は、面状照明装置10を配置する空間の省スペース化などから有用といえる。さらに、自由曲面ミラー5の体積が小さいので、自由曲面ミラー5をつくる材料の量を少なくでき、面状照明装置10の生産コストを抑えることが可能となる。
また、自由曲面ミラー5は、導光板に比べ光学素子内に光が通らないため、透過損失が小さく高い光利用効率を実現することができ、電気−光変換効率の高い低消費電力の面状照明装置10を実現することができる。また、自由曲面ミラー5は反射面のみが面状照明装置10に使用されるため、導光板等に比べ、経年劣化を低減することができる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係る面状照明装置について説明する。
図9は、本発明の実施の形態2に係る面状照明装置の概略構成を示す斜視図であり、図10は、本発明の実施の形態2に係る面状照明装置の概略構成を示す正面図であり、図11は、本発明の実施の形態2に係る面状照明装置の概略構成を示す側面図である。
実施の形態2に係る面状照明装置20は、実施の形態1に係る面状照明装置10の構成に加えて、さらに自由曲面ミラー5で広げられたレーザ光を略平行光に変換するプリズムシート7を備えている。プリズムシート7は、光の屈折や反射を用いて、光の角度を変える面状の光学素子である。プリズムシート7により、自由曲面ミラー5で反射した光は第3の略平行光に変換される。なお、本実施の形態2において、プリズムシート7が面状光学素子の一例に相当する。
面状に広がったレーザ光が、面状照明装置20の光出射部6から垂直に出射されることで、面状照明装置20は正面を照明することができる。正面を照明する面状照明装置20は、LCDに使われるバックライト等に使う場合に有用となる。
図12は、本発明の実施の形態2に係る面状照明装置の自由曲面ミラー5とプリズムシート7との位置関係を説明するための図である。なお、図12には、ラインビーム13、自由曲面ミラー5及びプリズムシート7以外の構成要素は図示していない。
ラインビーム13は、自由曲面ミラー5で広げられ、自由曲面ミラー5で広げられたレーザ光は、プリズムシート7に入射する。この時、自由曲面ミラー5からプリズムシート7までの距離が最も近い光入射位置におけるレーザ光の入射角度θ1は、距離が最も遠い光入射位置におけるレーザ光の入射角度θ2よりも小さくなる。図12から明らかなように、プリズムシート7の光入射位置によって、プリズムシート7へのレーザ光の入射角度が大きく異なる。
また、プリズムシート7には、屈折型プリズムシート71と反射型プリズムシート72とがある。図13は、屈折型プリズムシート71の原理を説明するための図である。屈折型プリズムシート71は、プリズムを入射角度に応じて傾けることで、出射されるレーザ光を略平行にしている。図13から明らかなように、入射角度が大きくなれば、プリズムの入射面と、入射光とが平行に近づき、プリズムへの光入射面積を大きくとることが難しくなる。
一方、図14は、反射型プリズムシート72の原理を説明するための図である。屈折型プリズムシート71と同様に、反射型プリズムシート72のプリズムは入射角度に応じて傾いている。屈折型プリズムシート71とは逆に、図14から明らかなように、入射角度が小さくなれば、プリズムの入射面と、入射光とが平行に近づき、プリズムへの光入射面積を大きくとることが難しくなる。
そのため、面状照明装置20を薄型化する場合、自由曲面ミラー5とプリズムシート7とは近接して配置することが好ましく、かつ、光利用効率を高める場合、プリズムシート7は、光の入射角度に応じて、屈折型プリズムシート71と反射型プリズムシート72とを組み合わせて構成することが好ましい。すなわち、図12に示すように、屈折型プリズムシート71と反射型プリズムシート72とを第1の方向に隣接して配置し、自由曲面ミラー5に近い側には屈折型プリズムシート71を配置し、自由曲面ミラー5に遠い側には反射型プリズムシート72を配置する。
特に、自由曲面ミラー5とプリズムシート7とを50mm以内の距離に配置する時は、図12に示すように、屈折型プリズムシート71と反射型プリズムシート72との境界73が、入射角度25度から35度の範囲内にあれば、プリズムシート7の光利用効率が80%以上となり、薄型で光利用効率の高い面状照明装置を実現することができる。
このように、自由曲面ミラー5からプリズムシート7へ入射するビームの入射角度が25度から35度までの範囲内に、反射型プリズムシート72と屈折型プリズムシート71との境界73が存在するように、反射型プリズムシート72と屈折型プリズムシート71とが配置されるので、自由曲面ミラー5と光出射部6との距離を短くすることができ、装置をさらに薄型化することができる。
また、プリズムシート7が屈折型プリズムシート71と反射型プリズムシート72とから構成される場合、プリズムシート7の光出射面側に拡散シートを挿入する、あるいは拡散性を有するプリズムシート7を用いてもよい。そうすれば、プリズムシート7の反射型プリズムシート72の領域と屈折型プリズムシート71の領域との境界73によってできる光の明線及び暗線を低減でき、均一な面状照明光を得ることができる。
また、自由曲面ミラー5で広げられたビームが第3の略平行光に変換されるので、従来使用されている面状照明装置の代替が容易となり、使い勝手のよい面状照明装置20を実現することができる。また、面状照明装置20を液晶表示装置のバックライトに容易に利用することができる。
なお、プリズムシート7は反射型プリズムシート72であり、かつ、自由曲面ミラー5を、プリズムシート7よりも大きく外側に配置してもよい。すなわち、自由曲面ミラー5と、反射型プリズムシート72の上端部との、レーザ光源1の光軸方向の距離を十分に長くする。
図15は、自由曲面ミラーをプリズムシートよりも大きく外側に配置した時の、両者の位置関係を示す図である。図15に示すように、自由曲面ミラー5と、反射型プリズムシート72の上端部74との距離が十分に長くなるように、自由曲面ミラー5及び反射型プリズムシート72が配置される。これにより、反射型プリズムシート72への入射角度を、光の入射位置に関わらず大きくすることができ、反射型プリズムシート72のみで、プリズムシート7の光利用効率を高めることができる。
なお、プリズムシート7の代わりに、回折を利用して光の角度を変えるホログラムシートを用いてもよい。この場合、上記に述べてきたプリズムシート7と同様の効果を有する。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3に係る面状照明装置について説明する。
本発明の実施の形態3に係る面状照明装置は、実施の形態1に係る面状照明装置あるいは実施の形態2に係る面状照明装置の構成に、さらに、自由曲面ミラーによって面状に広がったビームを反射させる背面ミラーを備える。
図16は、本発明の実施の形態3に係る面状照明装置の概略構成を示す断面図である。なお、面状照明光の強度分布を均一化する場合、背面ミラーは、ビームを広げ、ビームを重畳する機能を有するレンチキュラーミラーであることが好ましい。そのため、図16に示す面状照明装置は、背面ミラーとしてレンチキュラーミラーを用いている。
実施の形態3に係る面状照明装置30は、レーザ光源1、コリメートレンズ2、レンチキュラーレンズ3、フレネルレンズ4、自由曲面ミラー5、光出射部6及びレンチキュラーミラー8を備える。
レンチキュラーミラー8は、自由曲面ミラー5によって反射されたビームを、面状に広げられたビームを外部に出射する光出射部6に向けて反射する。また、レンチキュラーミラー8は、入射したビームを複数に分割して反射するとともに、分割した複数のビームのそれぞれを重畳する。なお、実施の形態3において、レンチキュラーミラー8がミラーの一例に相当する。
レンチキュラーミラー8は、小さい反射型シリンドリカルレンズアレイで構成されている。レンチキュラーミラー8のひとつひとつの反射型シリンドリカルレンズが、自由曲面ミラー5によって面状に広がったビームを反射する。さらに、反射型シリンドリカルレンズは各々に入射する光を第2の方向D2に広げるため、レンチキュラーミラー8に入射した面状照明光は、レンチキュラーミラー8によって第2の方向D2に向けて重畳される。
レンチキュラーミラー8を反射したビームが第2の方向D2に向けて重畳されることで、自由曲面ミラー5で反射された面状照明光の強度むらを均一化することができる。これにより、面状照明装置で発生する面状照明光の強度むらは、ラインビームの第2の方向D2の光強度むら、自由曲面ミラー5の表面の傷、あるいは塵等の影響を受けにくく、信頼性の高い面状照明装置を実現することができる。
また、レンチキュラーミラー8によって、自由曲面ミラー5により反射されたビームを光出射部6に向けて反射させるので、自由曲面ミラー5と光出射部6との光学的な距離を長くすることが可能になり、大きい面積の面状照明光を得ることが容易となる。さらに、レンチキュラーミラー8によって、入射したビームが分割して反射されるとともに、分割されたビームのそれぞれが重畳されるので、直線状のビームの第2の方向D2の強度分布に関わらず、均一な強度分布の面状照明光を得ることができる。
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4に係る面状照明装置について説明する。
本発明の実施の形態4に係る面状照明装置は、実施の形態1〜3に係るいずれか1つの面状照明装置に、さらに折り返しミラーを備える。
図17は、本発明の実施の形態4に係る面状照明装置の構成を示す側面図である。実施の形態4に係る面状照明装置40は、レーザ光源1、コリメートレンズ2、レンチキュラーレンズ3、フレネルレンズ4、自由曲面ミラー5、光出射部6及び折り返しミラー9を備える。折り返しミラー9は、レンチキュラーレンズ3から自由曲面ミラー5までの間に配置され、レンチキュラーレンズ3により直線状に広げられたビームを折り返す。
レーザ光源1から出射したレーザ光は、コリメートレンズ2にて第1の略平行光に変換され、レンチキュラーレンズ3によって、ラインビームに変換される。ラインビームは折り返しミラー9によって略90度反射され、フレネルレンズ4にて第2の略平行光に変換され、自由曲面ミラー5に入射する。自由曲面ミラー5によって反射された面状照明光は、ラインビームと交差して、光出射部6から面状照明装置40の外へ出射される。
図17から明らかなように、折り返しミラー9によってラインビームを折り返すことによって、フレネルレンズ4が自由曲面ミラー5の反射光の障害物になることを容易に防ぐことができる。そのため、自由曲面ミラー5からの反射光がフレネルレンズ4に当たらないようにするために装置を大型化することを防ぎ、コンパクトな面状照明装置を提供できる。
すなわち、レンチキュラーレンズ3により直線状に広げられたビームが折り返しミラー9によって折り返され、折り返されたビームがフレネルレンズ4に入射するので、フレネルレンズ4が、自由曲面ミラー5で反射されたビームの陰になることを防ぐことができ、装置を薄型化することができる。
なお、レンチキュラーレンズ3から自由曲面ミラー5までの距離を長くする場合、ラインビームを折り返して、往復させてもよい。図18は、本発明の実施の形態4の変形例に係る面状照明装置の概略構成を示す側面図である。図18に示す面状照明装置41は、ラインビームを折り返して往復させる。
折り返しミラー9は、光出射部6の上端部の近傍に配置され、自由曲面ミラー5は、レンチキュラーレンズ3の近傍に配置される。折り返しミラー9と自由曲面ミラー5との間にはフレネルレンズ4が配置される。レンチキュラーレンズ3によって広げられたラインビームは、折り返しミラー9によって自由曲面ミラー5に向かって折り返され、自由曲面ミラー5によって面状に広げられる。
ラインビームは第2の方向D2に略平行であるため、面状照明装置41の第2の方向D2のサイズは同程度で光路を長くすることができ、ラインビームを第1の方向に容易に長くすることができる。すなわち、レンチキュラーレンズ3による広がり角が小さい場合でも、第2の方向D2のサイズは同程度で、第1の方向に大きな面状照明光を出射する面状照明装置41を提供できる。
なお、本発明の実施の形態1〜4に係る面状照明装置において、レーザ光源1に狭スペクトル幅のレーザ光を出射するレーザ光源を使用し、かつ、品質のよい面状照明光を得る場合、面状照明装置は、レーザ光の位相を時間的あるいは空間的にランダム化する手段を備えることが好ましい。
例えば、青色半導体レーザから出射される波長440nmのレーザ光は、スペクトル幅が0.5nm程度以下と小さく、かつ、コヒーレント光である。そのため、このレーザ光を光源に用いると、スペックルノイズと呼ばれる粒状のギラつきが現れる。これは、狭スペクトル幅のレーザ特有の現象であり、照明光の品質を低下させる。レーザ光の位相を時間的あるいは空間的にランダム化する手段によって、スペックルノイズが低減され、なめらかな面状照明光を得ることができる。
具体的に、レーザ光の位相を時間的にランダム化する手段としては、光学素子を振動させる振動装置が用いられる。振動装置によって光学素子を振動させることにより、レーザ光の干渉パターンを人間の目の時間応答以上で時間的に変化させ、干渉パターンを平均化する。
なお、振動装置の消費電力を小さくする場合、振動させる光学素子はコリメートレンズ2であることが好ましい。本実施の形態1〜4では、略平行光のビーム径は3mm程度である。したがって、コリメートレンズ2の径は5mm程度と小さくなる。さらに、コリメートレンズ2はレーザ光源1に近い光学素子であるため、コリメートレンズ2に与える振動は小さくても、面状照射光の干渉パターンを大きく変化させることができる。そのため、コリメートレンズ2を振動させるためのエネルギーは小さくてよく、低消費電力の面状照明装置を実現することができる。
なお、コリメートレンズ2が光軸に対して傾いた場合、自由曲面ミラー5へ入射するラインビームの位置がずれるため、コリメートレンズ2の光軸に対する傾きは固定されていることが好ましい。コリメートレンズ2の光軸に対する傾きが固定されていれば、面状照明光の光強度分布は一定の状態で、スペックルノイズのみが低減され、品質のよい面状照明光を得ることができる。コリメートレンズ2の光軸に対する傾きを固定して、コリメートレンズ2を振動させる振動装置としては、例えば、4本のワイヤにより支持するアクチュエータが考えられる。
図19は、コリメートレンズを振動させるアクチュエータの概略構成を示す図である。図19では、4本のワイヤによるアクチュエータ27の概略構成を示している。アクチュエータベース21とヨーク22とは、面状照明装置に固定され、可動部23は、4本のワイヤ24で支えられている。コリメートレンズ2は、可動部23に固定され、可動部23は、ヨーク22によって、縦方向25と横方向26に、例えばローレンツ力等の力を受ける。コリメートレンズ2の光軸方向は、図19のZ軸方向である。4本のワイヤ24は、アクチュエータベース21と可動部23とを平行リンク構造でつないでいる。そのため、可動部23は、光軸方向に対し傾きを変えず、縦方向25と横方向26とに平行移動する。この構造により、可動部23に固定されているコリメートレンズ2を、光軸方向の傾きを変えずに、振動させることができる。
このように、コリメートレンズ2を振動させるので、スペックルノイズを低減することができ、なめらかな面状照明光を得ることができる。また、コリメートレンズ2は、装置の中で使われている光学素子の中で最も小さい素子であるため、振動させるエネルギーを小さくでき、消費電力を抑えた面状照明装置を実現することができる。
なお、本実施の形態1〜4の面状照明装置において、面状照明光の強度むらを抑える場合、振動させる光学素子は1次元光拡散素子であり、かつ、その1次元光拡散素子のビームの広がり角が一定であってもよい。1次元光拡散素子としては、レンチキュラーレンズ3、又はラインビームを成形する拡散シート等が例として挙げられる。
図20は、レンチキュラーレンズを振動させるアクチュエータの概略構成を示す図である。なお、レンチキュラーレンズ3を振動させるアクチュエータ28は、図19に示すアクチュエータ27と同じ構成である。
例えば、レンチキュラーレンズ3が振動し、第1の略平行光のレンチキュラーレンズ3へ入射する領域が変化した場合でも、レンチキュラーレンズ3は小さいシリンドリカルレンズがアレイ状に配列されたものであるため、出射するビームの広がり角は変化しない。さらに、1次元光拡散素子は光軸に対し傾きを固定され、自由曲面ミラー5へ入射するラインビームの角度が一定であることが好ましい。1次元拡散素子を振動させる振動装置は、上述したコリメートレンズ2の振動装置と同様の構成等が考えられる。
1次元拡散素子の光軸に対する傾きが固定されていれば、レーザ光源1の出射光から自由曲面ミラー5の面状照明光までの光軸が常に一定となり、面状照明光の光強度分布が一定になる。面状照明光の光強度分布が一定であり、スペックルノイズのみが低減されるため、光強度分布が変化しない品質のよい面状照明光を得ることができる。また、1次元光拡散素子は、コリメートレンズ2に比べて、レーザ光源1から離れた位置に配置できるため、振動装置の配置が容易となる。
このように、レンチキュラーレンズ3を振動させるので、スペックルノイズを低減することができ、なめらかな面状照明光を得ることができる。また、レンチキュラーレンズ3が、ビームを分割して重畳する場合、レンチキュラーレンズ3が振動したとしても、面状照明光の強度むらは発生しにくいため、信頼性の高い面状照明装置を実現することができる。
なお、本実施の形態1〜4の面状照明装置において、光学素子の振動を積極的に利用して、面状照明光の強度むらを抑える場合、振動させる光学素子は自由曲面ミラー5であってもよい。
図21は、自由曲面ミラーを振動させるアクチュエータの概略構成を示す図である。図21に示すアクチュエータ29は、自由曲面ミラー5の側面に取り付けられた回転軸31に接続されており、回転軸31を回転振動させる。これにより、自由曲面ミラー5が矢印32の方向へ回転振動する。
アクチュエータ29は、ラインビームの第1の方向を回転軸31として、自由曲面ミラー5に対し微小な回転振動を与える。これにより、面状に広がった照明光が、光出射部6で走査される。そうすれば、面状照明光の干渉パターンが時間的に変化し、スペックルノイズが低減する。さらに、本構成では、面状照明光を光出射部6で走査することにより、自由曲面ミラー5の表面の傷又は塵等による面状照明光の強度のむらが低減されるため、均一な面状照明光を得ることができる。
このように、自由曲面ミラー5を振動させるので、スペックルノイズを低減することができ、なめらかな面状照明光を得ることができる。また、面状照明光の強度むらを抑え、均一な強度の面状照明光を得ることができる。
なお、騒音の防止や信頼性の向上等の理由により、機械的な振動装置を使用しない場合、音響光学素子又は電気光学素子等を用いて、第1の略平行光を走査してもよい。第1の略平行光はビーム径が小さいので、走査させることが容易である。第1の略平行光を走査させることにより、コリメートレンズ2を振動させること、あるいは自由曲面ミラー5を回転振動させることと、同様の効果を得ることが可能である。
なお、面状照明光の偏光が乱れてもよい場合、液晶を用いて、レーザ光の偏光を時間的に変化させ、スペックルノイズを低減してもよい。この場合、液晶を光路上に配置し、偏光を時間的にランダム化する。これにより、干渉パターンを時間的に変化させ、スペックルノイズを低減することができる。
なお、スペックルノイズの低減のために、上記で述べた方法を2つ以上組み合わせて使用することも可能であることは言うまでもない。
また、本発明の実施の形態1〜4による面状照明装置において、面状照明装置が長方形状の照射面を有し、面状照明装置を立てて使用する場合、1次元光拡散素子は、長方形状の照射面の横方向にビームを広げ、レーザ光源1は長方形状の照射面の中心の下方に配置されることが好ましい。
図22は、レーザ光源を面状照明装置の正面下部に配置した状態を示す図である。図22に示すように、レーザ光源1は、光出射部6の中央の下方に配置される。この場合、面状照明装置を正面から見たときに、左右対称に光学素子等が配置でき、レーザ光源1は正面下部に配置できる。面状照明装置を壁に設置するなど、立てて使う場合や、面状照明装置を画像表示装置のバックライトに使用する場合、面状照明装置を構成する光学素子が対称性を有しているので、デザイン性等に優れた面状照明装置を実現することができる。また、本実施の形態1〜4の面状照明装置では、レーザ光源1の重量が比較的大きくなるため、面状照明装置の下部にレーザ光源1を配置することで、安定した面状照明装置を実現することができる。
(実施の形態5)
次に、本発明の実施の形態5に係る面状照明装置について説明する。本実施の形態5に係る面状照明装置は、光源にレーザを用いているため、高速に変調することが可能である。そのため、カラーフィールドシーケンシャル方式と呼ばれる、各色の画像を人の目の時間分解能よりも高速に表示させ、カラー画像をつくることが可能である。
図23は、本発明の実施の形態5に係る面状照明装置の構成を示す正面図である。実施の形態5に係る面状照明装置50は、青色レーザ光源1a、赤色レーザ光源1b、緑色レーザ光源1c、コリメートレンズ2a,2b,2c、レンチキュラーレンズ3、フレネルレンズ4、自由曲面ミラー5、光出射部6及びダイクロイックミラー51,52を備える。なお、実施の形態1に係る面状照明装置10と同じ構成については、同じ符号を付し、説明を省略する。
青色レーザ光源1aは、レーザ光源1と同じ構成であり、青色レーザ光を出射する。赤色レーザ光源1bは、レーザ光源1と同じ構成であり、赤色レーザ光を出射する。緑色レーザ光源1cは、レーザ光源1と同じ構成であり、緑色レーザ光を出射する。
コリメートレンズ2aは、青色レーザ光源1aによって出射された青色レーザ光を第1の略平行光に変換する。コリメートレンズ2bは、赤色レーザ光源1bによって出射された赤色レーザ光を第1の略平行光に変換する。コリメートレンズ2cは、緑色レーザ光源1cによって出射された緑色レーザ光を第1の略平行光に変換する。
ダイクロイックミラー51は、コリメートレンズ2aを透過した青色レーザ光を透過させ、コリメートレンズ2bを透過した赤色レーザ光を反射させる。ダイクロイックミラー52は、ダイクロイックミラー51を透過した青色レーザ光を透過させ、ダイクロイックミラー51を反射した赤色レーザ光を反射させ、コリメートレンズ2cを透過した緑色レーザ光を反射させる。
ダイクロイックミラー52を透過した青色レーザ光及び赤色レーザ光と、ダイクロイックミラー52を反射した緑色レーザ光とは、レンチキュラーレンズ3に入射する。そして、制御部(不図示)は、青色レーザ光源1a、赤色レーザ光源1b及び緑色レーザ光源1cを制御し、カラーフィールドシーケンシャル方式により、青色レーザ光、赤色レーザ光及び緑色レーザ光をそれぞれ時間的にずらして出射させる。
このように、光の3原色である青色、赤色及び緑色のビームが青色レーザ光源1a、赤色レーザ光源1b及び緑色レーザ光源1cから出射されるので、高い色再現範囲を有する面状照明装置を実現することができる。
また、液晶パネルを使った画像表示装置に通常使用されているカラーフィルタを取り除くことができる。カラーフィルタの光損失を無くすことで、画像表示装置の光利用効率を高め、低消費電力の画像表示装置を実現することができる。
図24は、本発明の実施の形態5の変形例に係る面状照明装置の構成を示す正面図である。実施の形態5の変形例に係る面状照明装置53は、青色レーザ光源1a、赤色レーザ光源1b、緑色レーザ光源1c、コリメートレンズ2、レンチキュラーレンズ3、フレネルレンズ4、自由曲面ミラー5、光出射部6及び光ファイバ54を備える。なお、実施の形態1に係る面状照明装置10及び実施の形態5に係る面状照明装置50と同じ構成については、同じ符号を付し、説明を省略する。
光ファイバ54は、青色レーザ光源1a、赤色レーザ光源1b及び緑色レーザ光源1cから出射された赤色ビーム、緑色ビーム及び青色ビームを合波する。光ファイバ54によって合波されたビームは、コリメートレンズ2に入射する。
このように、青色レーザ光源1a、赤色レーザ光源1b及び緑色レーザ光源1cから出射された赤色ビーム、緑色ビーム及び青色ビームを光ファイバ54により合波することで、面状照明光の強度分布は、青色レーザ光源1a、赤色レーザ光源1b及び緑色レーザ光源1cのビームプロファイル変化の影響を受けにくくなり、信頼性の高い面状照明装置を実現することができる。
(実施の形態6)
次に、本発明の実施の形態6に係る画像表示装置について説明する。実施の形態6に係る画像表示装置は、少なくとも液晶パネルと、実施の形態1〜5に係る面状照明装置のいずれかをバックライトに用いた画像表示装置である。
図25は、本発明の実施の形態6に係る画像表示装置の概略構成を示す図である。画像表示装置60は、面状照明装置10、液晶パネル61及びフライアイレンズシート62を備える。なお、図25に示す画像表示装置60は、実施の形態1に係る面状照明装置10を備えているが、本発明は特にこれに限定されず、実施の形態2〜5に係る面状照明装置を備えてもよい。また、画像表示装置60は、フライアイレンズシート62を備えず、面状照明装置10及び液晶パネル61のみを備えてもよい。
液晶パネル61を使った画像表示装置60は、バックライトから出射される照明光の偏光を制御して、画像を表示するディスプレイである。本実施の形態6の画像表示装置60は、直線偏光のレーザ光を光源に用いて、かつ、直線偏光のまま面状照明光を生成できる面状照明装置をバックライトに用いている。そのため、光利用効率を高くすることができ、消費電力を抑えることができる。
また、本実施の形態6の画像表示装置60は、液晶パネル61の光出射面側にフライアイレンズシート62を備えていることが好ましい。さらに好ましくは、フライアイレンズシート62の個々のレンズが、液晶パネル61の各画素よりも十分に小さいことが好ましい。通常の液晶パネルを使った画像表示装置は、斜め横や上から見た場合でも映像が視聴できるよう、ある程度の視野角が必要となっている。そのため、液晶パネルから出射する光は、広がり角をもって出射される必要がある。そこで、フライアイレンズシート62により、液晶パネル61から出射された光が上下左右に拡大されるので、広視野角の画像表示装置を実現することができる。
また、フライアイレンズシート62を液晶パネル61の出射面側に配置すれば、フライアイレンズシート62は、液晶パネル61に入射する光に何ら影響を与えないため、画像表示装置60の光利用効率を低下させることはない。また、フライアイレンズシート62の個々のレンズが液晶パネル61の各画素よりも十分に小さければ、フライアイレンズシート62による画質の低下を抑えた画像表示装置60を実現することができる。なお、本実施の形態6において、フライアイレンズシート62が光拡散部及びレンズアレイシートの一例に相当する。
すなわち、フライアイレンズシート62の個々のレンズが、液晶パネル61の1画素よりも小さいので、フライアイレンズシート62による画像のぼやけを抑え、広視野角の画像表示装置を実現することができる。
また、画像表示装置60が実施の形態5に係る面状照明装置50を備え、画像表示装置60の映像表示方式がカラーフィールドシーケンシャル方式である場合、カラーフィルタを取り除くことができ、光利用効率が高く低消費電力の画像表示装置60を実現することができる。
なお、実施の形態1〜5に係る面状照明装置は、画像表示装置だけではなく、植物プラントの面状照明装置に用いることも可能である。植物プラントの照明は1日中使用するなど、使用時間が非常に長く、コストの観点から、消費電力は非常に重要である。そのため、光利用効率が高く、低消費電力の本実施の形態1〜5に係る面状照明装置は有用である。
さらに、従来のように、樹脂でできた導光板を用いると、光吸収により導光板が劣化し、透過率が低下する可能性がある。しかしながら、本実施の形態1〜5に係る面状照明装置は、直接投射型の光学系であり、光は空気中を通るため、光学素子である導光板の経年劣化の影響を抑えることが可能である。
また、実施の形態1〜5に係る面状照明装置及び実施の形態6に係る画像表示装置は、本発明の主旨から逸脱しない範囲で様々な形態をとり得ることは言うまでもない。
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
本発明の一局面に係る面状照明装置は、レーザ光源と、前記レーザ光源から出射されたビームを第1の略平行光に変換する第1の変換部と、前記第1の変換部によって第1の略平行光に変換されたビームを第1の方向に直線状に広げる1次元光拡散素子と、前記1次元拡散素子によって前記第1の方向に広げられたビームを第2の略平行光に変換する第2の変換部と、自由曲面で形成された反射面を有し、前記第2の変換部によって前記第2の略平行光に変換されたビームを前記第1の方向に直交する第2の方向に面状に広げる自由曲面ミラーとを備える。
この構成によれば、第1の変換部によって、レーザ光源から出射されたビームが第1の略平行光に変換され、1次元光拡散素子によって、第1の略平行光に変換されたビームが第1の方向に直線状に広げられ、第2の変換部によって、第1の方向に広げられたビームが第2の略平行光に変換される。そして、自由曲面で形成された反射面を有する自由曲面ミラーによって、第2の略平行光に変換されたビームが第1の方向に直交する第2の方向に面状に広げられる。
したがって、第1の方向に直線状に広げられたビームの第2の方向の長さは一定であり、直線状のビームを第1の方向に長くしたとしても、第2の方向の長さは変わらないので、装置を薄型化することができる。また、自由曲面ミラーを反射することによって、ビームが面状に広げられ、光学素子内をビームが通過しないため、透過損失が小さく高い光利用効率を実現することができる。
また、上記の面状照明装置において、前記1次元光拡散素子は、前記第1の略平行光の前記第1の方向の強度を均一化する機能を有し、前記自由曲面ミラーの前記第1の方向に対する断面形状が一様であることが好ましい。
この構成によれば、自由曲面ミラーの第1の方向に対する断面形状が一様であるので、自由曲面ミラーの加工の容易性が向上し、面状照明装置の加工コストを抑えることができる。
また、上記の面状照明装置において、前記1次元光拡散素子は、前記第1の略平行光を複数に分割し、分割した複数の第1の略平行光のそれぞれを直線状に広げ、広げた複数の第1の略平行光のそれぞれを重畳することが好ましい。
この構成によれば、直線状のビームの第1の方向の強度分布が略一様となるので、レーザ光源の固体差によるビームプロファイルの違いや、温度変化によるビームプロファイルの変化の影響を受けにくい、信頼性の高い面状照明装置を実現することができる。
また、上記の面状照明装置において、前記1次元光拡散素子は、レンチキュラーレンズを含むことが好ましい。
この構成によれば、レンチキュラーレンズに入射するビームの偏光方向と、レンチキュラーレンズによって広げられた直線状のビームの偏光方向とを一致させることができる。
また、上記の面状照明装置において、前記自由曲面ミラーで広げられたビームを第3の略平行光に変換する面状光学素子をさらに備え、前記面状光学素子は、面状に広げられたビームを外部に出射する光出射部に対して直線偏光の第3の略平行光を垂直に出射することが好ましい。
この構成によれば、自由曲面ミラーで広げられたビームが第3の略平行光に変換されるので、従来使用されている面状照明装置の代替が容易となり、使い勝手のよい面状照明装置を実現することができる。また、面状照明装置を液晶表示装置のバックライトに容易に利用することができる。
また、上記の面状照明装置において、前記面状光学素子は、反射型プリズムシートと屈折型プリズムシートとを含み、前記自由曲面ミラーから前記面状光学素子へ入射するビームの入射角度が25度から35度までの範囲内に、前記反射型プリズムシートと前記屈折型プリズムシートとの境界が存在することが好ましい。
この構成によれば、自由曲面ミラーから面状光学素子へ入射するビームの入射角度が25度から35度までの範囲内に、反射型プリズムシートと屈折型プリズムシートとの境界が存在するように、反射型プリズムシートと屈折型プリズムシートとが配置されるので、自由曲面ミラーと光出射部との距離を短くすることができ、装置をさらに薄型化することができる。
また、上記の面状照明装置において、前記自由曲面ミラーによって反射されたビームを、面状に広げられたビームを外部に出射する光出射部に向けて反射するミラーをさらに備えることが好ましい。
この構成によれば、ミラーによって、自由曲面ミラーにより反射されたビームを光出射部に向けて反射させるので、自由曲面ミラーと光出射部との光学的な距離を長くすることが可能になり、大きい面積の面状照明光を得ることが容易となる。
また、上記の面状照明装置において、前記ミラーは、入射したビームを複数に分割して反射するとともに、分割した複数のビームのそれぞれを重畳することが好ましい。
この構成によれば、ミラーによって、入射したビームが複数に分割して反射し、分割された複数のビームのそれぞれが重畳されるので、直線状のビームの第2の方向の強度分布に関わらず、均一な強度分布の面状照明光を得ることができる。
また、上記の面状照明装置において、前記1次元光拡散素子から前記自由曲面ミラーまでの間に配置され、前記1次元光拡散素子により直線状に広げられたビームを折り返す折り返しミラーをさらに備えることが好ましい。
この構成によれば、1次元光拡散素子により直線状に広げられたビームが折り返され、折り返されたビームが第2の変換部に入射するので、第2の変換部が、自由曲面ミラーで反射されたビームの陰になることを防ぐことができ、装置を薄型化することができる。
また、上記の面状照明装置において、前記第2の変換部は、面状に広げられたビームを外部に出射する長方形状の光出射部の端部に配置されていることが好ましい。
この構成によれば、面状に広げられたビームを外部に出射する長方形状の光出射部の端部に第2の変換部が配置されているので、第2の変換部が、自由曲面ミラーで反射されたビームの陰になることを防ぐことができ、装置を薄型化することができる。
また、上記の面状照明装置において、前記第1の変換部を振動させる振動装置をさらに備え、前記第1の変換部は光軸に対し傾きが固定されていることが好ましい。
この構成によれば、第1の変換部を振動させるので、スペックルノイズを低減することができ、なめらかな面状照明光を得ることができる。また、第1の変換部は、装置の中で使われている光学素子の中で最も小さい素子であるため、振動させるエネルギーを小さくでき、消費電力を抑えた面状照明装置を実現することができる。
また、上記の面状照明装置において、前記1次元光拡散素子を振動させる振動装置をさらに備え、前記1次元光拡散素子は光軸に対し傾きが固定されていることが好ましい。
この構成によれば、1次元光拡散素子を振動させるので、スペックルノイズを低減することができ、なめらかな面状照明光を得ることができる。また、1次元拡散素子が、ビームを分割して重畳する場合、1次元拡散素子が振動したとしても、面状照明光の強度むらは発生しにくいため、信頼性の高い面状照明装置を実現することができる。
また、上記の面状照明装置において、前記自由曲面ミラーを振動させる振動装置をさらに備えることが好ましい。
この構成によれば、自由曲面ミラーを振動させるので、スペックルノイズを低減することができ、なめらかな面状照明光を得ることができる。また、面状照明光の強度むらを抑え、均一な強度の面状照明光を得ることができる。
また、上記の面状照明装置において、前記レーザ光源は、シングルモードの半導体レーザを含むことが好ましい。
この構成によれば、シングルモードの半導体レーザを用いることで、面状照明光の強度分布がレーザ光源の温度変化及び出力変化の影響を受けにくくなり、信頼性の高い面状照明装置を実現することができる。
また、上記の面状照明装置において、前記レーザ光源は、赤色ビーム、緑色ビーム及び青色ビームを出射することが好ましい。
この構成によれば、光の3原色である赤色、緑色及び青色のビームがレーザ光源から出射されるので、高い色再現範囲を有する面状照明装置を実現することができる。
また、上記の面状照明装置において、前記レーザ光源から出射された赤色ビーム、緑色ビーム及び青色ビームを合波する光ファイバをさらに備えることが好ましい。
この構成によれば、レーザ光源から出射された赤色ビーム、緑色ビーム及び青色ビームを光ファイバにより合波することで、面状照明光の強度分布は、レーザ光源のビームプロファイル変化の影響を受けにくくなり、信頼性の高い面状照明装置を実現することができる。
本発明の他の局面に係る画像表示装置は、上記の面状照明装置と、前記面状照明装置によって照明される液晶パネルとを少なくとも備える。
この構成によれば、バックライトに用いる面状照明装置は、導光板型の面状照明装置に比べ、光の透過損失が少ないため、光利用効率が高く低消費電力の画像表示装置を実現することができる。また、バックライトに用いる面状照明装置は、直線偏光の光を出射できるため、画像表示装置の光利用効率を高くすることができ、低消費電力の画像表示装置を実現することができる。
また、上記の画像表示装置において、前記液晶パネルの光出射面側に配置されている光拡散部をさらに備えることが好ましい。
この構成によれば、光拡散部が液晶パネルの光出射面側に配置されているので、広視野角の画像表示装置を実現することができる。また、液晶パネルに入射する照明光の偏光を乱すことがなく、高い光利用効率の画像表示装置を実現することができる。
また、上記の画像表示装置において、前記光拡散部は、レンズアレイシートを含み、前記レンズアレイシートの個々のレンズは、前記液晶パネルの1画素よりも小さいことが好ましい。
この構成によれば、レンズアレイシートの個々のレンズが、液晶パネルの1画素よりも小さいので、レンズアレイシートによる画像のぼやけを抑え、広視野角の画像表示装置を実現することができる。
また、上記の画像表示装置において、前記画像表示装置の映像表示方式は、カラーフィールドシーケンシャル方式であることが好ましい。
この構成によれば、画像表示装置の映像表示方式が、カラーフィールドシーケンシャル方式であるので、カラーフィルタを取り除くことができ、光利用効率が高く低消費電力の画像表示装置を実現することができる。
本発明に係る面状照明装置及び画像表示装置は、薄型化することができるとともに、高い光利用効率を実現することができ、レーザを光源に利用した面状照明装置及び当該面状照明装置をバックライトに用いた画像表示装置として有用である。