以下、本発明の実施形態を、図例に基づいて説明する。なお、本発明は、実施形態に限定されるものではない。請求の範囲の要件内のあらゆる変更、またはその要件に関する均等物は、請求の範囲の範囲内に包含されるものである。
第1実施形態の膝保護用エアバッグ装置M1は、図1・2に示すように、コラムカバー9の下面9a側におけるコラムカバー9の下方に配設されて、エアバッグ26、インフレーター21、及び、ケース19、を備えて構成されている。エアバッグ26は、折り畳まれて、ステアリングコラム3の下方に、収納されている。インフレーター21は、エアバッグ26に膨張用ガスを供給する。ケース19は、エアバッグ26とインフレーター21とを収納している。
コラムカバー9は、略四角筒形状の合成樹脂製として、ステアリングホイール1の下方のステアリングコラム3を覆っている。そして、コラムカバー9は、ステアリングコラム3の軸方向に沿って、配設されている。すなわち、コラムカバー9は、車両前方側を下方に配置させて、車両後方側を上方に配置させるように、後上がりに傾斜して配設されている。さらに、コラムカバー9の下面9aは、略長方形形状とし、車両前後方向で、後上がりの曲面状に形成されている。
ステアリングコラム3には、付属部品7として、ステアリングホイール1の操舵をロックさせるキーシリンダ7a、チルト機構操作部(操作レバー)7c、及び、テレスコピッ
ク機構操作部(操作レバー)7dが、配設されている。これらの部品7a・7c・7dは、コラムカバー9から露出若しくは突出して、配設されている。キーシリンダ7aは、コラムカバー9の右側面に配置されて、コラムカバー9には、その部位を覆うように、略半割円錐台形状のカバー部9cが、突設されている。また、チルト機構操作レバー7cは、コラムカバー9の左側面に、配置され、テレスコピック機構操作レバー7dは、コラムカバー下面9aの左縁側の挿通孔9bから突出するように配設されている。
ステアリングコラム3は、ステアリングホイール1に連結されるメインシャフト4と、メインシャフト4の周囲を覆うコラムチューブ5と、を備えて構成されている。メインシャフト4とコラムチューブ5との間には、図示しないチルト機構やテレスコピック機構等が、配設されている。チルト機構は、ステアリングホイール1のリング面Pの角度を調整するものである。また、テレスコピック機構は、ステアリングホイール1を、シャフト4の軸方向に移動させて、停止させるものである。
ケース19は、板金製として、略四角筒形状の周壁部19aと、周壁部19aの底部を塞ぐ略長方形形状の底壁部19bと、を備えて構成されている。ケース19は、ステアリングコラム3におけるコラムチューブ5の移動しない部位に、ブラケット6を利用して、連結固定されている。ケース19は、車両後方側に、周壁部19aに囲まれた開口19cを配置させている。そして、ケース19は、周壁部19aの軸方向をコラムカバー下面9aに沿わせて(ステアリングコラム3の軸方向に沿わせて)、配設されている。この配設態様は、収納したエアバッグ26が、ケース19から突出する際に、容易に、コラムカバー9の下面9aに沿って突出できるように、するためである。
インフレーター21は、図1・6に示すように、本体22と、二つのブラケット部23と、を備えて構成されている。本体22は、電気信号を入力させて膨張用ガスを吐出可能に構成されたシリンダタイプとしている。本体22は、膨張用ガスを吐出させるガス吐出口22a(図6参照)を備える。実施形態の場合、インフレーター21は、所定の制御装置からの電気信号を入力させて、作動する。このインフレーター21の作動時には、ステアリングホイール1に搭載された図示しないエアバッグ装置も、所定の制御装置からの電気信号を入力させて、インフレーター21と同時に作動する。ブラケット部23は、保持環23aとボルト23bとを備える。保持環23aは、板金製として、縮径させるように塑性変形させて、本体22を挟持可能としている。ボルト23bは、保持環23aから突出している。インフレーター21は、本体22にブラケット部23を組み付けて、エアバッグ26に包まれる。そして、インフレーター21は、エアバッグ26から突出するボルト23bを、ケース19を挿通させ、ナット24を使用して、ブラケット6に締結させる。その結果、インフレーター21は、エアバッグ26やケース19とともに、ブラケット6に取付固定されている。
そして、折り畳まれてケース19内に収納されたエアバッグ26は、インストルメントパネル(インパネ)11の下部側におけるロアパネル13の内部に収納されている。インパネ11は、コラムカバー9の周囲を覆っている。ロアパネル13のコラムカバー下面9a側には、略半割四角筒形状の周縁部14が配置されている。周縁部14は、コラムカバー下面9a周縁との間に隙間Sを空けている。周縁部14の車両前方側の内部には、平板状の扉部16が配設されている。扉部16は、折り畳まれて収納されたエアバッグ26の後方側を覆うように、すなわち、ケース周壁部19aにおける車両後方側の開口19cを覆っている。扉部16の下縁側におけるロアパネル13との境界部位には、インテグラルヒンジからなるヒンジ部17が配設されている。
この扉部16は、エアバッグ26の展開膨張時に、エアバッグ26に押されて、ヒンジ部17を回転中心として、上縁16a側を車両後方側の下方に回転させて、開く。すなわ
ち、扉部16は、下開きで開く。そして、この扉部16は、ヒンジ部17が周縁部14に沿うように湾曲して形成されている。そのため、扉部16は、車両後方側に全開するのではなく、浅い角度で開く。そして、扉部16は、膨張展開するエアバッグ26を、コラムカバー下面9aに沿い易いように、案内する案内板部としての役目を果たしている。なお、コラムカバー9の上面側は、インパネ11のアッパパネル12が覆っている。
エアバッグ26は、可撓性を有したポリエステルやポリアミド等の織布から形成されている。エアバッグ26は、展開膨張完了時の形状を、コラムカバー9の下面9a側を覆い可能な略長方形の略板形状としている。実施形態の場合には、エアバッグ26は、図6・7に示すように、周壁が、厚さ方向で対向する上面側の上側布27と下面側の下側布28とから構成されている。なお、上側布27は、コラムカバー9側の壁部27を構成し、下側布28は、運転者側の壁部28を構成する。
そして、エアバッグ26の膨張完了時における右縁26dの後端部位には、カバー部26eが配設されている。カバー部26eは、コラムカバー下面9a側における付属部品としてのキーシリンダ7aの部位9cを覆い可能である。実施形態のカバー部26eは、図4・5に示すように、展開膨張時に、コラムカバー9のカバー部9cの下面9aや右側面のみならず、キーシリンダ7aの後面7b側も覆うように、構成されている(図2参照)。また、このエアバッグ26では、展開膨張時に、テレスコピック操作レバー7dの下方を含めたコラムカバー下面9aの中央付近を覆い可能な本体部26gを、備えて構成されている。さらに、エアバッグ26は、左縁側に、カバー部26eほど大きくはないものの、カバー部26fを備えている。カバー部26fは、チルト機構操作レバー7c側の下方を、覆い可能としている。チルト機構操作レバー7cは、ステアリングコラム3を中心軸として、キーシリンダ部位9cと対称の位置に、配置されている。
さらに、エアバッグ26は、図6・7に示すように、コラムカバー側壁部27・運転者側壁部28相互を連結する連結手段としてのテザー29を複数(実施形態では2つ)配設させている。テザー29は、エアバッグ26の厚さ寸法tを略一定として、エアバッグ26の略板形状を維持可能とする。すなわち、テザー29は、エアバッグ26の厚さ規制手段としての機能を持つ。また、コラムカバー側壁部27の前後方向の中央付近におけるテザー29間の前後方向の膜長寸法LUは、対応する下側布28の前後方向の膜長寸法LDより、短く設定されている。このような構成により、展開膨張時のエアバッグ26のコラムカバー側壁部27が、コラムカバー下面9aの後上がりの曲面に、密着して沿い易い。また、エアバッグ26の前端(下端)26b側のコラムカバー側壁部27には、挿通孔27aが形成されている。これらの挿通孔27aには、インフレーター21の各ボルト23bが挿通される。
エアバッグ装置M1の車両への搭載について説明する。まず、インフレーター21を内蔵した状態で、エアバッグ26を折り畳む。なお、インフレーター21の各ボルト23bは、挿通孔27aから突出させておく。また、インフレーター本体22から延びる作動信号入力用の図示しないリード線は、エアバッグ26の所定の図示しない挿通孔から出しておく。
そして、エアバッグ26の折り畳み後、エアバッグ26を破断可能な図示しないラッピングフィルムでくるみ、各ボルト23bを、ラッピングフィルムを経て、かつ、ケース19から突出させる。そして、突出した各ボルト23bには、薄板状の図示しないスプリングナットを組み付けて、折り畳んだエアバッグ26とインフレーター21とをケース19内に収納させておく。これによりエアバッグ組立体SAが形成される。
なお、エアバッグ26の折り畳みは、まず、コラムカバー側壁部27と運転者側壁部2
8とを重ねて平らに展開した状態から、左右両縁26c・26dを、コラムカバー側壁部27の側で、中央側に接近させるように折り返す。ついで、図1に示すように、エアバッグ26の後端(上端)26a側を、上面側であるコラムカバー側壁部27の側にロール巻きするように折り畳む。このように、ロール巻きすれば、エアバッグ26の展開膨張時に、運転者の膝の上面側と接触しても、ロール巻きの巻きを解きつつ、エアバッグ後端26a側がコラムカバー下面9aに沿って展開膨張し易くなる。そして、巻いた状態の折り畳み部位が膨張用ガスを流入させて折りを解消する際には、折り畳み部位は、巻いた状態を解きつつ折りを解消する。すなわち、折りを解消した部位は、折りの未解消部位の回転する慣性力によって、運転者側壁部28の側でなく、巻いていた側のコラムカバー側壁部27の側に、引っ張られる。そして、その状態で、折り畳み部位が、折りを解消する。そのため、ロール折りの折り畳み部位では、折りの解消時、コラムカバー側壁部27側に湾曲するように、折りが解消される。その結果、折り畳み部位では、コラムカバー下面9aに沿って、円滑に、展開膨張することとなる。
勿論、この点を考慮しなければ、エアバッグ26は、後端26a側を、下面側である運転者側壁部28側にロール巻きするように折り畳んでもよい。あるいは、エアバッグ26は、後端26a側を、順次、エアバッグ26内に入れ込んで、前端26b側に接近させるような、カクタス折りにより、折り畳んでもよい。さらに、エアバッグ26は、蛇腹折り等によって、後端26a側を前端26b側に接近させるように、折り畳んでもよい。
また、インフレーター本体22から延びる図示しないリード線は、ラッピングフィルムから出すとともに、ケース19の図示しない挿通孔から出しておく。
そして、エアバッグ26とインフレーター21とをケース19に収納させたエアバッグ組立体SA(エアバッグ装置M1)を、ナット24を利用してブラケット6に固定し、さらに、図示しないリード線を制御回路に結線して、インパネ11を車両に装着すれば、エアバッグ装置M1を車両に搭載することができる。
車両へのエアバッグ装置M1の搭載後、インフレーター本体22に所定の電気信号が入力されれば、ガス吐出口22aから膨張用ガスが吐出される。そのため、エアバッグ26が、膨張して、図示しないラッピングフィルムを破断するとともにロアパネル13の扉部16を押し開く。そして、エアバッグ26は、コラムカバー下面9aに沿って上昇しつつ、展開膨張することとなる。エアバッグ26は、展開膨張を完了させた際、後端26aを、コラムカバー下面9aの後端9d付近に配置させる。
すなわち、エアバッグ26は、展開膨張時、コラムカバー9のカバー部9cより下方の前部側から、コラムカバー下面9aに沿って上昇して、後端9c付近まで、展開膨張する。また、エアバッグ26は、その膨張完了形状を、コラムカバー9の下面9a側を覆い可能な略長方形板状としている。そのため、運転者がブレーキペダルを踏み込んだ状態として、運転者の膝がコラムカバー9に接近していても、展開膨張するエアバッグ26が、運転者の膝とコラムカバー下面9aとの間に、円滑に、進入する。そして、展開膨張を完了させたエアバッグ26は、運転者の膝がコラムカバー9と干渉しないように、膝を的確に保護することができる。
また、第1実施形態では、折り畳んだエアバッグ26を、車両後方側を開口させたケース19内に収納させている。このような構成では、膨張用ガスを流入させて膨張するエアバッグ26を、車両後方側に開口したケース開口19cから突出させることができる。そのため、エアバッグ19cは、突出方向を安定させて、円滑に、コラムカバー下面9aに沿って上昇しつつ、展開膨張することができる。
特に、第1実施形態では、エアバッグ26を収納するケース19が、軸方向をステアリングコラム3の軸方向と略平行とするように、配置させている。そのため、ケース19によって、エアバッグ26の突出方向が、ステアリングコラム3の軸方向に沿う方向として、安定する。その結果、展開膨張時のエアバッグ26は、一層、コラムカバー9の下面9aに沿うように突出することとなる。
また、第1実施形態の場合、展開膨張時のエアバッグ26は、カバー部26eを備えて、コラムカバー下面9a側におけるカバー部9cのキーシリンダ7aを覆うように、構成されている。そのため、図4に示すように、運転者の膝Kが、カバー部9cを介在させた状態で、コラムカバー9から突出しているキーシリンダ7aに干渉しようとしても、エアバッグカバー部26eが、的確に、運転者の膝Kを保護することができる。そして特に、実施形態の場合には、展開膨張したカバー部26eが、図3・5に示すように、キーシリンダ7aの後面7b側も覆うように構成されている。そのため、カバー部26eが、一層、金属ブロックから形成されているようなキーシリンダ7aと膝Kとの干渉を、防止することができる。
さらに、第1実施形態の場合、展開膨張時のエアバッグ26は、キーシリンダ7aだけでなく、本体部26gやカバー部26fが、ステアリングコラム3に配置されたチルト機構操作レバー7cやテレスコピック機構操作レバー7d等の付属部品7の下面側を覆うように、構成されている。そのため、これらの操作レバー7c・7dに運転者の膝Kが干渉しようとしても、エアバッグ26の本体部26aやカバー部26fが、的確に、運転者の膝Kを保護することができる。
なお、エアバッグ26は、実施形態のようにコラムカバー9から露出若しくは突出している付属部品7a・7c・7dに限らず、コラムカバー9に完全に覆われた剛性を有する付属部品7、の配置部位を、覆うように構成してもよい。
また、第1実施形態では、展開膨張したエアバッグ26が、コラムカバー9の下面9a側だけを覆うように構成した。しかし、第2実施形態の膝保護用エアバッグ装置M2のように構成してもよい。
この膝保護用エアバッグ装置M2は、図8・9に示すように、展開膨張したエアバッグ26Aが、コラムカバー9近傍におけるインパネ11を覆うように、構成されている。そして、エアバッグ26Aにより覆われるインパネ11のアッパパネル12Aの部位には、コラムカバー9の右方に配置されるキーシリンダ61が、配置されている。また、エアバッグ26Aにより覆われるインパネ11のロアパネル13Aの部位には、コラムカバー9の左方に配置されるパーキングブレーキリリースレバー62が、配置されている。そして、展開膨張するエアバッグ26Aは、エアバッグ26と同様に、本体部26gとカバー部26e・26fとを備える。本体部26gは、コラムカバー9の下面9aを覆う。カバー部26eは、キーシリンダ61の下面側から後面側付近までを覆う。カバー部26fは、リリースレバー62の下面側から後面側付近までを覆う。
なお、エアバッグ26Aは、内部にテザー29を配設させて、第1実施形態と同様に、略長方形板状に構成されている。また、アッパパネル12Aやロアパネル13Aの他の部位、あるいは、ケース19・インフレーター21の構成は、第1実施形態と同様である。そのため、それらの部位には、第1実施形態と同一符号を付して、それらの部位の説明を省略する。また、コラムカバー9の左側面には、ステアリングコラム3の付属部品7として、チルト機構及びテレスコピック機構の兼用の操作部(操作レバー)7eが、配置されている。さらに、このエアバッグ装置M2は、車両への搭載工程を、第1実施形態と同様としている。
この第2実施形態のエアバッグ装置M2では、エアバッグ26Aが展開膨張すれば、エアバッグ26Aは、コラムカバー9の下方の下部側から、コラムカバー下面9aに沿って上昇しつつ、後端9d付近まで、展開膨張する。そして、エアバッグ26Aは、膨張完了形状も、コラムカバー9の下面9a側を覆い可能な略長方形板状としている。そのため、運転者がブレーキペダルを踏み込んだ状態として、運転者の膝がコラムカバー9に接近していても、展開膨張するエアバッグ26Aが、運転者の膝とコラムカバー下面9aとの間に、円滑に進入する。そして、展開膨張を完了させたエアバッグ26Aは、運転者の膝がコラムカバー9と干渉しないように、膝を的確に保護することができる。
また、エアバッグ26Aは、コラムカバー9近傍のインパネ11の一部も覆うように構成されて、コラムカバー下面9a側を広い範囲で覆う。そのため、エアバッグ26Aは、保護範囲を、エアバッグ26に比べて、広げることができる。すなわち、エアバッグ26Aは、運転者の膝を、広い範囲で、効果的に保護することができる。特に、第2実施形態では、アッパパネル12Aやロアパネル13Aにキーシリンダ61やリリースレバー62が配置されていても、それらの部位をカバー部26e・26fが覆う。そのため、エアバッグ26Aは、運転者の膝を、それらの部材61・62から、的確に保護することができる。
なお、このエアバッグ26Aにおいても、キーシリンダ61やリリースレバー62だけでなく、さらに、インパネ11から露出若しくは突出している部品に限らず、コラムカバー9の近傍におけるインパネ11内に配置された剛性を有する部品の、配置部位も、覆うように、構成してもよい。
さらに、第1・2実施形態のエアバッグ26・26Aでは、エアバッグ26・26Aの厚さ方向で対向する周壁相互、すなわち、コラムカバー側壁部27・運転者側壁部28相互、を部分的に連結する連結手段としてのテザー29を、配設させている。そのため、膨張完了状態のエアバッグ26・26Aは、略板形状を維持し易い。その結果、エアバッグ26・26Aは、狭い空間のコラムカバー下面9aと運転者の膝Kとの間に、容易に配置させることができる。
勿論、この点を考慮しなければ、図10に示すように、テザー29等の連結手段を設けずに、コラムカバー側壁部27・運転者側壁部28の外周縁相互を連結して、エアバッグ26・26Aを構成してもよい。
なお、テザー29は、第1・2実施形態のように、車両の左右方向に帯状に延びるように配置させた。しかし、図11のエアバッグ26Bのように、テザー29を、車両の前後方向に帯状に延びるように、配置させてもよい。そして、テザー29の配置数は、1個若しくは複数個として、適宜、設定すればよい。
但し、第1実施形態のエアバッグ26のように、インフレーター21の近傍に、車両の左右方向に配置させたテザー29D(図6参照)を配設させる場合には、つぎのような作用・効果を得ることができる。すなわち、このテザー29Dが、ガス流れ規制材としての役目を果たす。そして、テザー29Dが、エアバッグ26内を、テザー29Dよりインフレーター21側の部位(下部)を、膨張用ガスの上流側部位31とし、エアバッグ26内のテザー29Dより後端(上端)26a側の部位(上部)を、膨張用ガスの下流側部位32として、区画することとなる。そして、膨張用ガスが、上流側部位31において、左右方向に流れ、ガス流通孔33・33を経て、下流側部位32に流れることとなる。そのため、テザー29Dが、展開膨張時のエアバッグ26を、左右方向に広くした状態で、コラムカバー下面9aに沿って、上昇させることとなる。なお、ガス流通孔33は、テザー2
9Dの左右両端と、エアバッグ26の左右の縁26c・26dと、の間に配設された隙間である。
また、エアバッグの略板形状を確保するために、エアバッグの厚さ方向で対向する周壁相互を部分的に連結する連結手段としては、周壁相互を縫合や接着などで連結するテザーを、利用してもよい。さらに、図12に示すエアバッグ36のように、周壁自体の相互を接着させるように、コラムカバー側壁部37・運転者側壁部38を部分的に接着させる等した結合部39を形成し、それらの結合部39を連結手段として、構成してもよい。さらに、連結手段は、エアバッグを袋織りして形成して、厚さ方向で対向する周壁相互を部分的に結合させ、それらの結合部位によって、構成してもよい。
また、実施形態のエアバッグ26・26Aでは、エアバッグ26・26Aの厚さ方向で対向する上方側の上側布27における前後方向の長さ寸法LUを、厚さ方向で対向する下方側の下側布28における前後方向の長さ寸法LDより、短く設定している。そのため、展開膨張時のエアバッグ26・26Aが、その上端(後端)26a側を上方に曲げるような態様となって、コラムカバー下面9a側に、密着するように沿い易い。その結果、エアバッグ26・26Aは、狭い空間のコラムカバー下面9aと運転者の膝との間に、一層、円滑に進入させることができる。
なお、展開膨張時のエアバッグをコラムカバー下面9aに密着させるように沿わせるために、厚さ方向で対向する上方側の周壁における前後方向の長さ寸法を、厚さ方向で対向する下方側の周壁における前後方向の長さ寸法より、短く設定する場合には、図13・14に示すエアバッグ46のように、構成してもよい。このエアバッグ46は、縫合糸30を使用して、同一形状のコラムカバー側壁部47・運転者側壁部48の周縁相互を縫合した後、コラムカバー側壁部47の一部に、縫合糸30を使用して、タック49を設けている。タック49の余り部位49aは、エアバッグ46の内周側に設けてもよいし、括弧内に図示したように、エアバッグ46の外周側に露出させてもよい。ちなみに、タック49の配置数は1個に限られるものではなく、図15・16に示すエアバッグ56のように、前後方向に沿って二個配置させる構成としてもよい。さらに、タック49は、三個以上、配置させる構成としてもよい。このようにタック49の配置数を増加させれば、膨張完了時の上方側の周壁(上側布・コラムカバー側壁部)47の前後方向の長さ寸法を、下方側の周壁(下側布・運転者側壁部)48の前後方向の長さ寸法に対して、容易に短くすることができる。また、タック49を前後方向に沿って複数個配置させれば、バランスよく、上方側の周壁47の長さ寸法を短くすることができる。
また、図17・18に示すエアバッグ66のように、構成してもよい。このエアバッグ66は、縫合糸30等を使用して、長さ寸法調整布69の前後の端部を、コラムカバー側壁部67の前後方向の長さを縮めるようにして、壁部67の外周側に、結合させている。そのため、エアバッグ66は、膨張完了時、調整布69に壁部67が引っ張られて、壁部67の前後方向の長さ寸法が、運転者側壁部68より、短くなる。このようなエアバッグ66では、前述のタック49を複数個配置させたエアバッグ56に比べて、コラムカバー側壁部67の前後方向の長さ寸法を、容易に短くすることができる。
さらに、図19に示すエアバッグ76のように、構成してもよい。このエアバッグ76は、袋織りにより形成されて、織成時の糸(経糸・緯糸)の打ち込み本が、運転者側壁部78より、コラムカバー側壁部77の本数を多くしている。このエアバッグ76では、展開膨張時、コラムカバー側壁部77が、伸び難い。そのため、エアバッグ76は、膨張完了時、壁部77の前後方向の長さ寸法が、運転者側壁部78より、短くなる。
さらにまた、第1・2実施形態では、平らに展開した状態のコラムカバー側壁部27・
運転者側壁部28を縫合したような平面状のエアバッグ26・26Aを示した。しかし、図20に示すエアバッグ86のように、膨張完了形状に対応して立体的に裁断された所定枚数のエアバッグ素材を結合させて、立体状にエアバッグ86を形成してもよい。図例の場合には、コラムカバー側壁部87を形成するエアバッグ素材86aと、運転者側壁部88を形成するエアバッグ素材86bと、壁部87・88の周縁相互を連結するための帯状の連結壁部89を形成するエアバッグ素材86cと、の三枚のエアバッグ素材86a・86b・86cから、形成されている。そして、エアバッグ86は、これらのエアバッグ素材86a・86b・86cを、適宜、縫合・接着・溶着等して、結合させて、製造されている。このようなエアバッグ86では、膨張完了形状をコラムカバー下面9aに沿うように立体的に形成できる。そのため、展開膨張完了時のエアバッグ86は、コラムカバー9の下面9a側に的確に密着する。
さらにまた、第1・2実施形態では、エアバッグ26・26Aを、コラムカバー9の下方におけるインパネ11のロアパネル13・13Aの内部に、折り畳んで収納させている。そのため、第1・2実施形態では、コラムカバー9内にエアバッグを折り畳んで収納する場合に比べて、エアバッグ26・26Aの収納スペースを確保し易い。また、エアバッグ26・26Aが、コラムカバー9の下方のロアパネル13・13Aの内部に収納されている。そのため、展開膨張時、エアバッグ26・26Aは、容易かつ円滑に、収納部位の上方のコラムカバー下面9aに沿って、上昇させることができる。
なお、第1・2実施形態では、ケース19を、折り畳んだエアバッグ26・26Aやインフレーター21とともに、コラム3側に連結支持させた場合を示した。しかし、ケース19は、コラム3側でなく、図21に示すように、ロアパネル13に連結支持させてもよい。さらに、ケース19は、図22に示すように、ボディB側のリインフォースRに、ブラケット6を利用して、連結支持させてもよい。なお、リインフォースRは、ステアリングコラム3の近傍に配置されて、コラム3を連結支持している。
さらに、第1・2実施形態では、折り畳んで収納されたエアバッグ26・26Aの後方に、展開膨張時にエアバッグ26・26Aに押されて開き可能な扉部16が配設されている。すなわち、折り畳んだエアバッグ26が扉部16で塞がれた状態となる。そのため、このような構成では、扉部16によって、コラムカバー9の下方の外観意匠を良好にすることができる。また、扉部16が、折り畳まれたエアバッグ26・26Aに異物が混入することを、防止することができる。
さらにまた、第1・2実施形態では、扉部16が、インパネ11のロアパネル13・13Aの内部に配設されている。そのため、エアバッグ装置M1・M2の有無を判別し難くなる。すなわち、エアバッグ装置の搭載されない車両とエアバッグ装置の搭載された車両とにおいて、コラムカバー下面9a付近が、略同一の外観となる。その結果、エアバッグ装置搭載車両におけるコラムカバー9の下方の外観意匠が、エアバッグ装置非搭載車両に比べて、低下することを、抑えることができる。
なお、コラムカバー9の下方におけるインパネ11のロアパネル13・13A内の奥に、折り畳んだエアバッグ26・26Aを収納する場合には、その収納部位が、運転者等から目視され難い。そのため、図23に示すように、扉部16を設けなくともよい。この場合、ロアパネル13・13Aの周縁部14とコラムカバー9との隙間Sから、エアバッグ26・26Aを展開膨張させることとなる。
そして、第1・2実施形態では、エアバッグ26・26Aの展開膨張時に開く扉部16を、インパネ11のロアパネル13・13Aにおける内部側に配設させた場合を示した。しかし、図24〜26に示す第3実施形態のエアバッグ装置M3のように構成してもよい
。このエアバッグ装置M3では、折り畳まれて収納されたエアバッグ26の後方におけるロアパネル13の後端側に、扉部16Aを設けている。この扉部16Aは、下縁側に配置されるヒンジ部17Aと、破断予定部15と、を備える。ヒンジ部17Aは、略半円弧状に配置されて、インテグラルヒンジから構成されている。破断予定部15は、破断可能な薄肉として、ヒンジ部17Aの左右両端から直線状に上方に延びている。この扉部16Aは、エアバッグ26の展開膨張時に、エアバッグ26に押されて破断予定部15・15を破断させ、ヒンジ部17Aを回転中心として、上縁16a側を車両後方側に回転させて、開く(下開きで開く)。この扉部16Aは、ヒンジ部17Aが略半円弧状に形成されている。そのため、扉部16Aは、車両後方側に全開せずに、浅い角度で開く。すなわち、扉部16Aは、展開膨張するエアバッグ26をコラムカバー下面9aに沿い易いように、案内する案内板部としての役目を果たしている。なお、このエアバッグ装置M3では、チルト機構及びテレスコピック機構の兼用の操作部(操作レバー)7eが、コラムカバー9の左側面に配置されている点が相違しているものの、他の部材が、第1実施形態と同様であり、それら部材には、同一符号を付して説明を省略する。
そして、このエアバッグ装置M3でも、エアバッグ26が展開膨張すれば、エアバッグ26が、扉部16Aを押し開いて、コラムカバー9の下方の下部側から、コラムカバー下面9aに沿って上昇しつつ、展開膨張する。そして、エアバッグ26は、膨張完了形状を、コラムカバー9の下面9a側を覆い可能な略長方形板状としている。そのため、運転者がブレーキペダルを踏み込んだ状態として、運転者の膝がコラムカバー9に接近していても、展開膨張するエアバッグ26が、運転者の膝とコラムカバー下面9aとの間に、円滑に進入する。その結果、エアバッグ26は、運転者の膝がコラムカバー9と干渉しないように、膝を的確に保護することができる。
また、この第3実施形態では、扉部16Aが、車内側の表面側に直接目視できるように、露出されて配設されている。そのため、扉部16Aを配設させたロアパネル13B自体が、折り畳まれたエアバッグ26やケース19の車両後方側を覆うエアバッグカバー13Bとなる。そして、第3実施形態では、エアバッグカバー13Bに配設される扉部16Aが、下開きとなるように、開き時におけるヒンジ部17Aを、扉部16Aの下端側に配設させて、構成されている。このような構成では、扉部16Aが、下開きとされて、展開膨張するエアバッグ26に押されて開く際に、上端16a側から開く。そのため、展開膨張するエアバッグ26が、扉部16Aの開き当初に、扉部16Aの開く開口エリアOAの上部側から突出する。すなわち、展開膨張するエアバッグ26が、上方に向かって突出し易くなる。その結果、エアバッグ26は、コラムカバー下面9a側に沿って上昇しつつ、円滑に展開膨張する。また、折り畳まれたエアバッグ26が、エアバッグカバー13Bで覆われて車両に搭載されることから、エアバッグ装置M3の外観意匠を向上させることができる。
さらに、このエアバッグカバー13Bは、コラムカバー9下方におけるインパネ11のロアパネル13Bと一体的に形成されている。そのため、エアバッグ装置M3は、車両に搭載されても、コラムカバー9付近の外観を低下させない。
また、このエアバッグカバー13Bの扉部16Aは、周縁に配置された破断予定部15を破断させて、開く構成としている。すなわち、エアバッグカバー13Bの扉部16Aは、扉部16Aの周囲におけるエアバッグカバー本体部(一般部)13aと、外観を一致させることができる。そのため、エアバッグカバー13Bは、扉部16Aを含めて、外観意匠を良好にすることができる。
なお、第1〜3実施形態では、コラムカバー9の下方におけるインパネ11のロアパネル13・13A内に、扉部16・16Aで覆って、エアバッグ26・26Aを収納した。
しかし、展開膨張するエアバッグが、コラムカバー下面9aに沿って展開膨張して、運転者の膝とコラムカバー下面9aとの間に、円滑に進入可能であれば、エアバッグをコラムカバー9内に収納してもよい。すなわち、コラムカバー9の下面9a側自体におけるカバー部9cの下方、若しくは、下面9a側自体におけるコラムカバー9の上下方向の略中間部位より下方側において、折り畳んだエアバッグを、押し開き可能な扉部で覆って、コラムカバー9内に収納してもよい(図72・73のコラムカバー9A参照)。
また、第1〜3実施形態の扉部16・16Aでは、展開膨張時のエアバッグ26・26Aをコラムカバー下面9aに沿うように案内する案内板部としての役目を果たすように、構成した。しかし、図27に示すように、ケース19Aの周壁部19aにおける車両後方側の開口19cの下縁側周縁に、展開膨張時のエアバッグ26をコラムカバー下面9aに沿うように案内するための案内板部20を、設けてもよい。さらに、インフレーター本体22から吐出する膨張用ガスの流れを、コラムカバー下面9aに沿わせるように、インフレーター本体22の近傍に、膨張用ガスの流れを規制するディフューザー25(図3・26の二点鎖線参照)を、設けてもよい。
さらに、扉部16・16Aに案内板部としての機能を設ける場合、実施形態のように、ヒンジ部17・17Aの配置形状で開口角度を規制する他、図21に示すように構成してもよい。すなわち、扉部16・16Aの周囲若しくは扉部16・16A自体に、扉部16・16Aの開き時に干渉して、扉部16Aの開口角度を規制する角度規制部材18を、設けてもよい。
さらにまた、各実施形態M1・M2・M3では、車両への搭載前に、エアバッグ組立体SAを組み立ている。エアバッグ組立体SAは、ケース19内に、折り畳まれたエアバッグ26・26Aと、エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーター21と、を収納させて、形成される。そして、各実施形態では、このエアバッグ組立体SAは、車両に搭載させる際、ステアリングコラム3や車両のボディBに固定させたり、あるいは、ロアパネル13に取り付けている。このような構成では、エアバッグ装置M1・M2・M3を予めアセンブリーとして組み立てておくことができる。そのため、このような構成では、エアバッグ装置M1・M2・M3の車両への組み付け作業が容易となる。また、このような構成では、各部材を一体化させることができるため、車両搭載までの各部材の取り扱いも容易となる。なお、エアバッグ組付体SAは、ロアパネル13に取り付けてもよいが、取付強度を確保するために、剛性のあるステアリングコラム3や車両のボディBに取り付けることが望ましい。
つぎに、図28〜31に示す第4実施形態である膝保護用エアバッグ装置M4について説明する。このエアバッグ装置M4は、コラムカバー9の下方に配置される保持部材としての板状の保持プレート117に保持されている。保持プレート117は、図31に示すように、コラムカバー9の下方に配置されている。そして、保持プレート117は、左右に配置された車両のフレーム部FC・FRに、それぞれ、ボルトを利用して、固定されている。エアバッグ装置M4は、ステアリングコラム3の下方に収納されたエアバッグ129と、エアバッグ129に膨張用ガスを供給するインフレーター124と、エアバッグ129とインフレーター124とを収納するケース119と、を備える。そして、エアバッグ装置M4は、ケース119を、保持プレート117の車両前方側に配置させるようにして、保持プレート117に取り付けられている。
この第4実施形態でも、コラムカバー9や、コラムカバー9が覆っているステアリングコラム3等は、第1〜3実施形態と略同様の構成である。
そして、ケース119は、板金製として、図28〜30に示すように、バッグ収納部1
20とインフレーター収納部121とを備えて構成されている。バッグ収納部120は、折り畳まれたエアバッグ129を収納して、車両後方側に開口120dを備える。インフレーター収納部121は、バッグ収納部120の車両前方側に配置されて、インフレーター124を収納する。バッグ収納部120は、略直方体形状としている。バッグ収納部120は、略四角筒状の周壁部120aと、底壁部120bとを備える。底壁部120bは、周壁部120aの車両前方側に配置されて、インフレーター収納部121に連通する連通孔120cを備える。インフレーター収納部121は、略直方体形状としている。インフレーター収納部121は、周壁部121aと底壁部121bとを備える。周壁部121aは、略四角筒形状として、バッグ収納部120の底壁部120bに形成される連通孔120cの周縁に、配置される。底壁部121bは、周壁部121aの車両前方側に配置される。
そして、バッグ収納部120とインフレーター収納部121との車両上下方向における幅寸法は、図28・29に示すように、略同一としている。また、バッグ収納部120の車両左右方向における幅寸法w1は、図30に示すように、インフレーター収納部121の車両左右方向における幅寸法w2よりも、大きく形成されている。
また、バッグ収納部120の開口120d周縁には、ケース119を保持プレート117に取り付けるためのフランジ部120eが、外方に突出している。そして、実施形態では、ケース119は、図28・29に示すように、図示しないボルト等を利用して、フランジ部120eを保持プレート117に固定させている。また、ケース119は、収納したエアバッグ129がケース119から突出する際に、コラムカバー9の下面9aに沿って突出するように、周壁部120a・121aの軸方向Oをコラムカバー下面9aに沿わせて(ステアリングコラム3の軸方向に沿わせて)、配設されている。
インフレーター124は、図28〜30・32・33に示すように、シリンダタイプの本体125と、二つのブラケット部126・126と、を備える。本体125は、膨張用ガスを吐出させるガス吐出口125aを備える。このインフレーター124も、第1実施形態のインフレーター21と同様に、所定の制御装置からの電気信号を、ステアリングホイール1用のエアバッグ装置と同時に入力させて、作動される。各ブラケット部126は、第1実施形態のブラケット部23と同様に、本体125を挟持可能な板金製の保持環126aと、保持環126aから突出するボルト126bと、から構成されている。インフレーター124は、本体125にブラケット部126・126を組み付けて、エアバッグ129に包まれ、インフレーター収納部121に収納される。そして、収納部121から突出した各ボルト126にナット127を締結して、インフレーター124は、エアバッグ129とともに、インフレーター収納部121に取付固定されている。また、本体125には、図示しないリード線が結線されている。
保持プレート117は、板金製として、図28・29・31に示すように、コラムカバー9の周囲を覆うインパネ11の下部側に配置されている。そして、保持プレート117は、車内側をインパネ11の下部側のロアパネル13に覆われている。ロアパネル13は、エアバッグカバー112の役目も果たしている。保持プレート117には、ケース119の開口120dと連通するように開口117aが形成されている。エアバッグカバー112には、展開膨張する際のエアバッグ129に押されて車内側へ開く略長方形板状の扉部114(114A・114B)が形成されている。これらの扉部114は、エアバッグカバー112と一体的に形成されるものであり、図29・31に示すように、周囲に、薄肉の破断予定部113を配設させて構成されている。破断予定部113は、車内側から見て略H字形状としている。各扉部114は、車両上方側の扉部114Aが、ヒンジ部115を上縁側に配置させ、車両下方側の扉部114Bが、ヒンジ部115を下縁側に配置させている。そして、各扉部114A・114Bは、それぞれ、車両上下方向に開くように
設定されている。なお、実施形態では扉部114A・114Bは上下方向に開く設定であるが、左右方向に開く構成としてもよい。また、扉部は、図68の扉部314に示すように、破断予定部315を、車内側から見て、逆U字形状に配置させて、一枚から構成してもよい。この場合の扉部314は、下縁側にヒンジ部316を配置させた下開きタイプとなる。
エアバッグ129は、可撓性を有したポリエステルやポリアミド等の織布から形成されて、図32・33に示すように、展開膨張完了時の形状を略長方形の板形状としている。エアバッグ129は、展開膨張完了時にコラムカバー9側となる壁部133と、運転者D側となる壁部134と、を備えて構成されている。エアバッグ129の下端(前端)129bにおけるコラムカバー側壁部133には、インフレーター124を収納して取り付けるための収納部133aが、配設されている。収納部133aは、車両前方側に突出するように、配設されている。収納部133aには、各ボルト126bを挿通させるための挿通孔133bが形成されている。
そして、エアバッグ129は、左右方向の中央付近の中央部位129cと、中央部位129cの左右に位置する左端部129d・右端部129fと、を備えて構成されている。インフレーター124は、エアバッグ129の下端(前端)129b側の中央部位129cに収納されることとなる。なお、エアバッグ129は、図31・40に示すように、展開膨張時、ケース119から、コラムカバー9の下面9a側に沿って上昇する。そして、エアバッグ129は、運転者Dの両膝KR・KL付近から大腿部T付近までを、保護可能としている。
エアバッグ129内には、図32・33に示すように、コラムカバー側壁部133・運転者側壁部134相互を連結するテザー135が、複数個配設されている。テザー135は、展開膨張時におけるエアバッグ129の厚さ寸法を一定とするための厚さ規制手段である。テザー135(135D・135U)は、エアバッグ129と同様に可撓性を有した材料で形成されている。そして、テザー135Dは、収納部133a近傍の上方側において、車両左右方向と略平行に配置されている。このテザー135Dの配置位置は、実施形態に場合、図37に示すように、エアバッグ129内において、展開膨張時にエアバッグ収納部位(ケース119)から車内側へ離脱する位置であって、かつ、その収納部位近傍となる位置に、配設されている。テザー135Uは、エアバッグ129の上端(前端)付近における左右方向の中心に、車両上下方向に沿って配置されている。テザー135D・135Uは、収納部133aを除いたエアバッグ129を、展開膨張時に、厚さ寸法を一定にする。そして、テザー135D・135Uは、展開膨張するエアバッグ129を、運転者Dの膝Kとコラムカバー下面9aとの間に円滑に侵入させるために、配置されている。
また、テザー135Dは、エアバッグ129内を、膨張用ガスGの上流側の部位130と下流側の部位131とに区画する役目を果たす。すなわち、テザー135Dは、エアバッグ129を、下部側の上流側部位130と、上部側の下流側部位131と、に区画している。
そしてさらに、テザー135Dは、ガス流れ規制材としての役割も果たす。すなわち、テザー135Dの左右両端部135a・135bが、エアバッグ129の左右両縁129e・129gから離れて、配置されている。そのため、端部135a・135bと縁129e・129gとのそれぞれの間に、ガス流通孔136・136が配設される。そして、膨張用ガスGは、テザー135Dに規制されて、上流側部位130内で左右方向両側に流れ、その後、ガス流通孔136・136を経て、下流側部位131に流れることとなる。
このエアバッグ装置M4の車両への搭載について説明する。まず、インフレーター124を内蔵した状態で、エアバッグ129を折り畳む。なお、インフレーター124の各ボルト126bは、それぞれ、挿通孔133bから突出させておく。また、本体125から延びる図示しないリード線は、エアバッグ129における所定の図示しない挿通孔から出しておく。
エアバッグ129の折り畳みは、実施形態の場合、縦折り工程と横折り工程との二工程により、行なっている。
そして、縦折り工程では、図34のAに示すように、まず、運転者側壁部134をコラムカバー側壁部133に当接させて平らに展開する。ついで、図34のBに示すように、エアバッグ129の左右両縁129e・129gを収納部133a側(中央部位129c側)に接近させるように折る。この時、左右両縁129e・129g付近を、それぞれ、コラムカバー側壁部133側に向かって折り畳んで、図35のAに示すような形状とする。ついで、図34のCに示すように、折り畳んだ後の両縁部分137・137を収納部133a側に接近させるように折る。この時、折り畳んだ後の両縁部分137・137は、それぞれ、コラムカバー側壁部133側に向かって折り返されて、折り畳み部位138・138が形成される。その結果、エアバッグ129の左右の端部129d・129f側が、コラムカバー側壁部133の側に、蛇腹折りされることとなる。そして、縦折り工程が終了する。
この時、実施形態では、図35のBに示すように、折り畳まれた状態のエアバッグ129の左右方向の幅寸法w3が、ケース119におけるバッグ収納部120の左右方向の幅寸法w1(図30参照)と、略同一か、若しくは、若干小さな寸法とされる。
ついで、横折り工程では、図34のDに示すように、縦折り後のエアバッグ129を、上端129aからコラムカバー側壁部133側に向かってロール巻きするように折り畳む。このロール折りにより、横折り工程が完了し、エアバッグ129の折り畳み作業が完了する。
そして、折り畳み後、エアバッグ129を破断可能な図示しないラッピングフィルムでくるみ、各ボルト126bを、ラッピングフィルムから突出させる。ついで、各ボルト126bをケース119から突出させ、突出した各ボルト126bにナット127を締め付けて、インフレーター124とエアバッグ129とをケース119に取り付け、エアバッグ組立体SAを組み立てる。この時、インフレーター124は、インフレーター収納部121内に収納され、折り畳んだエアバッグ129は、バッグ収納部120内に収納される。また、インフレーター本体125から延びる図示しないリード線は、ラッピングフィルムから出すとともに、ケース119の図示しない挿通孔から出しておく。
そして、ケース119、インフレーター124、及び、エアバッグ129からなるエアバッグ組立体SAを、フランジ部120eを利用して保持プレート117に固定する。さらに、保持プレート117の左右方向の両端を、左右に配置された車両のフレーム部FC・FRに、それぞれ、ボルトを利用して、固定する。そして、図示しないリード線を制御回路に結線して、インパネ11のアッパパネル12やロアパネル13を車両に装着すれば、図28〜30に示すように、エアバッグ装置M4を車両に搭載することができる。なお、破断予定部113が円滑に破断されるように、保持プレート117の開口117aの周縁には、エアバッグカバー112としてのロアパネル13を固着させておくことが望ましい。
車両へのエアバッグ装置M4の搭載後、インフレーター本体125に所定の電気信号が
入力されれば、ガス吐出口125aから膨張用ガスGが吐出されて、エアバッグ129が膨張する。すると、エアバッグ129が、図示しないラッピングフィルムを破断するとともにエアバッグカバー112の扉部114A・114Bを押し開く。そして、略板形状のエアバッグ129は、横折りと縦折りとを解消しつつ、コラムカバー下面9aに沿って、上昇しつつ展開膨張することとなる。
この時、第4実施形態のエアバッグ装置M4では、エアバッグ129が、予め、上端129aをコラムカバー側壁部133側へ向かってロール巻きするように折り畳まれている。そのため、エアバッグ129が、膨張用ガスGを流入させて横折りを解消する際、図36・37に示すように、ロール巻きの巻きを解きつつ、上端129a側がコラムカバー下面9aに沿って展開膨張し、図40に示すように展開膨張を完了する。この時、エアバッグ129は、展開膨張時、コラムカバー9側に極力接近して折りを解消するため、運転者Dの膝K方向への突出を抑えることができる。その結果、エアバッグ129は、運転者D側への突出を抑えて、円滑に、コラムカバー下面9aに沿って上昇しつつ、展開膨張することとなる。また、エアバッグ129は、仮に、運転者Dの膝Kに接触しても、ロール巻きの巻きを解くように円滑に展開することができ、運転者Dに不要な押圧力を与えない。
さらに、第4実施形態のエアバッグ129では、エアバッグ129をロール折りして折り畳む場合、縦折り工程を経て、折り畳んでいる。そして、縦折り工程では、エアバッグ129を、平らに展開した状態で、左右両縁129e・129fを中央部位129c側に接近させるように縦折りして、ケース119(エアバッグ収納部120)内に収納可能な幅寸法w3に、折り畳んでいる。そのため、第4実施形態のエアバッグ装置M4では、エアバッグ129の展開膨張時、ケース119(エアバッグ収納部120)の左右方向の幅寸法w1より広いエリアで、エアバッグ129は、コラムカバー下面9aを覆うことができる。その結果、エアバッグ129は、運転者Dの両膝KL・KRを広い範囲で、保護可能となる。
また、第4実施形態では、膨張用ガスGが流入されて、エアバッグ129が縦折りを解消する際、図38に示すように、まず、インフレーター124の配置された中央部位129cの運転者側壁部134が、ケース119から突出して、運転者D側に接近する。ついで、その中央部位129cに連なる左右の端部129d・129fが、それぞれ、ケース119から突出して、運転者D側に接近することとなる。
そしてさらに、図39に示すように、膨張用ガスGの流入に伴って、エアバッグ129の左右両縁129e・129g側の折り畳み部位138・138が、それぞれ、折りを解消させることとなる。その際、中央部位129cに隣接する左右端部129d・129fが、縦折り時、図35のBに示すように、コラムカバー側壁部133側に、それぞれ、折り畳まれている。そのため、エアバッグ129の左右の縁129e・129gが、それぞれ、運転者D側へ突出することを極力抑えて、すなわち、コラムカバー9側に向く状態として、左右方向に広く展開しつつ折りを解消させることとなる。
したがって、第4実施形態の膝保護用エアバッグ装置M4では、第1〜3実施形態と同様な作用・効果を得ることができる。そしてさらに、エアバッグ129が、運転者D側への突出を抑えて、左右方向の幅寸法を広くするように展開膨張することから、運転者Dの両膝KR・KLを的確に保護することができる。
さらに、第4実施形態のエアバッグ装置M4では、エアバッグ129が、テザー135Dによって、膨張用ガスGを、エアバッグ下部側の上流側部位130では左右方向両側へ向かうように流し、その後、下流側部位131としてのエアバッグ129の上部側に流すように、構成されている。このようなエアバッグ129では、膨張用ガスGは、上流側部
位130内を流れる際に、左右方向両側へ向かうように流れる(図32参照)。そのため、エアバッグ129の下部側が、運転者D側に突出することを抑えて、左右方向の幅寸法を広げるように展開膨張し、ついで、上部側の下流側部位131の膨張を完了させることとなる。その結果、エアバッグ129は、一層、運転者D側への突出を抑えて、左右方向の幅寸法を広くするように展開膨張し、一つのエアバッグ129であっても、運転者Dの両膝KL・KRを的確に保護可能となる。
特に、第4実施形態のエアバッグ129では、上流側部位130内でのガス流れ規制材として、コラムカバー側壁部133と運転者側壁部134とを連結するテザー135Dを配設させている。このガス流れ規制材としてのテザー135Dは、エアバッグ129内で、左右両端135a・135bとエアバッグ129内の左右両側129e・129gとの間に、それぞれ、ガス流通孔136を形成するように、左右方向に沿って配設されている。このような構成では、エアバッグ129内に配設したテザー135Dによって、膨張用ガスGの流れを確実に規制できて、エアバッグ129は、運転者D側に突出することを抑えられて、安定して、左右方向の幅寸法を広げるように、展開膨張する(図38・39参照)。テザー135Dは、可撓性を有した布材で形成されていることから、エアバッグ129の収納時に、嵩張らずにエアバッグ129とともに折り畳むことができる。また、ガス流れ規制材135Dは、コラムカバー側壁部133と運転者側壁部134とを連結している。そのため、ガス流れ規制材135Dが、エアバッグ129の膨張完了時に、エアバッグ129の厚さを一定に規制でき、運転者D側への突出を、一層、抑えることができる。
さらに、第4実施形態のエアバッグ129では、下流側部位131内にも、エアバッグ129の厚さを規制可能な厚さ規制手段としてのテザー135Uを設けている。すなわち、膨張完了状態のエアバッグ129の下流側部位131が、テザー135Uによって、略板形状を維持し易い。そのため、テザー135Uは、エアバッグ129を、狭い空間のコラムカバー下面9aと運転者Dの膝KL・KRとの間に、容易に配置させることができる。
さらにまた、第4実施形態のエアバッグ129では、ガス流れ規制材としてのテザー135Dが、エアバッグ129内において、展開膨張時のエアバッグ収納部位119から車内側へ離脱する位置であって、かつ、その収納部位近傍となる位置に、配設されている(図37参照)。このような構成では、エアバッグ129が、展開膨張時におけるエアバッグ収納部位119から突出してコラムカバー下面9a側に沿って上昇する当初に、車内側の自由空間Zに位置するガス流れ規制材135Dによって、一層、エアバッグ129を左右方向へ素早く展開させることができる。そのため、ガス流れ規制材135Dが、運転者D側へのエアバッグ129の突出を、一層、抑えることができる。
また、第4実施形態では、エアバッグ組立体SAが、保持プレート117を利用して、ステアリングコラム3の左右両側におけるボディB側のフレーム部FC・FRに連結されている。そのため、このエアバッグ装置M4では、ステアリングコラム3と干渉することなく、容易に、エアバッグ組立体SAを車両へ組み付けることができる。勿論、第4実施形態でも、第1〜3実施形態と同様に、エアバッグ装置M4のエアバッグ129・インフレーター124・ケース119をエアバッグ組立体SAとして、予めアセンブリーとして組み立てておくことができる。そのため、エアバッグ装置M4の車両への組み付け作業が容易となる。また、このような構成では、各部材を一体化させることができるため、車両搭載までの各部材の取り扱いも容易となる。
なお、実施形態では、ケース119のフランジ部120eを、保持プレート117に対して、ボルト等を利用して連結させた場合を示した。しかし、フランジ部120eを延設
させて、保持プレート117を省き、フランジ部120eを、直接、フレーム部FC・FRに連結固定させるように構成しても良い。
また、第4実施形態では、エアバッグ129の左右両縁129e・129g側の折り畳み部位138・138を蛇腹折りにより折り畳んでいる。しかし、エアバッグ129の左右両端部129d・129fのコラムカバー側壁部133側へ折り畳む蛇腹折りは、上記折り畳み方法に限られるものではない。例えば、図41・42に示すようにしてもよい。図41のエアバッグ129では、エアバッグ129の左右両端部129d・129f側の折り畳み部位138・138は、2段の蛇腹折りにより、折り畳まれている。そして、各折り畳み部位138は、コラムカバー側壁部133側において、それぞれ、エアバッグ129の左右両縁129e・129gが外側に向かうように配置されている。図42のエアバッグ129では、左右両端部129d・129fの折り畳み部位138・138は、3段の蛇腹折りにより、折り畳まれている。そして、各折り畳み部位138は、コラムカバー壁部133側において、それぞれ、本体部133の左右両縁129e・129gが収納部133a側に向かうように配置されている。
折り畳み部位138を、これらのような蛇腹折りにより、折り畳む構成とすれば、折り板を使用してエアバッグ129を折り畳む際に、折り板を挟む順序や、位置を適宜変更することができて、折り畳み工程の自由度を増加させることができる。
なお、図41・42に示すような状態で縦折り工程を完了した後には、既述のロール折りの横折り工程に移行することとなる。
また、エアバッグ129の縦折りは、図43・44に示すように折り畳んでもよい。まず、図43のAに示すように、運転者側壁部134をコラムカバー側壁部133に当接させて平らに展開する。ついで、図43のBに示すように、エアバッグ129の左右両縁129e・129gを、それぞれ、コラムカバー側壁部133側に向かって巻くようにロール折りして、縦折り工程を完了する。縦折りされた両端部129d・129fの折り畳み部位140・140は、図44に示すように、コラムカバー側の壁部133側に、それぞれ、配置されている。なお、この時、前述の折り畳み方法で折り畳む場合と同様に、折り畳まれたエアバッグ129の左右方向の幅寸法w4は、ケース119におけるバッグ収納部120の左右方向の幅寸法w1と、略同一か、若しくは、若干小さな寸法とされている。
ついで、図43のCに示すように、折り畳まれたエアバッグ129を、上端129aからコラムカバー側壁部133側に向かってロール巻きするように折り畳んで、横折り工程を完了し、エアバッグ129の折り畳み作業を完了する。
このようにしてエアバッグ129を折り畳めば、エアバッグ129の展開膨張時において、エアバッグ129の左右両縁129e・129gは、巻きを解くように折りを解消する際、コラムカバー9側に極力接近して折りを解消する。そのため、エアバッグ129の左右両端部129d・129f側は、一層、運転者D側への突出を抑えることができる。
なお、巻いた状態の折り畳み部位140・140が膨張用ガスを流入させて折りを解消する際には、折り畳み部位140・140は、巻いた状態を解きつつ折りを解消する。すなわち、折りを解消した部位は、折りの未解消部位の回転する慣性力によって、巻いていた側に引っ張られる。そして、その状態で、折り畳み部位140・140が、折りを解消する。そのため、上記の折り畳み部位140・140では、折りの解消時、コラムカバー側壁部133側に湾曲するように、折りが解消される。その結果、上記の折り畳み部位140・140では、コラムカバー下面9aに沿って車両左右方向へ展開することとなる。
また、エアバッグ129を、図45に示すようなケース142に収納させてもよい。ケース142は、略四角筒形状の周壁部142aと、周壁部142aの車両前方側を塞ぐ略長方形形状の底壁部142bと、を備える。ケース142は、車両左右方向の幅寸法w5を、図45に示すように、インフレーター124を収納可能な幅寸法としている。そして、ケース142は、前述のケース119と同様に、周壁部142aの開口142c周縁に形成されたフランジ部142dを利用して、保持プレート117に取付固定される。
このようなケース142に収納させる際のエアバッグ129の折り畳みは、以下のようにして行われる。まず、縦折り工程において、図46A・46B・46Cに示すように、図34と同様にして、エアバッグ129の左右両端部129d・129fを縦折りして、折り畳み部位138・138を形成する。ついで、図46Dに示すように、折り畳み部位138・138が、コラムカバー側壁部133側にそれぞれ配置された状態を維持して、運転者側壁部134の中央部位129cにおける外表面上(車両後方側上・運転者側上)に、載せられるように、折り畳む。すなわち、エアバッグ129を、図47に示すような形状に折り畳む。この時、エアバッグ129は、左右方向の幅寸法w6を、ケース142の左右方向の幅寸法w5と、略同一、若しくは、若干小さな寸法としている。
そして、図46Eに示すように、前述の折り畳みと同様に、折り畳まれたエアバッグ129を、上端129aからコラムカバー側壁部133側に向かってロール巻きするように折り畳んで、横折り工程を完了し、エアバッグ129の折り畳み作業を完了する。
このようにエアバッグ129を折り畳めば、図34等で示す既述の折り畳み方法に比して、縦折り完了時におけるエアバッグ129の左右方向の幅寸法w6を、コンパクトにすることができる。
また、このようにエアバッグ129を折り畳んだ場合にも、エアバッグ129内に膨張用ガスが流入されて、縦折りを解消する際、まず、インフレーター124近傍における中央部位129cの運転者側壁部134が、ケース142から突出して、運転者D側に接近する。その際、中央部位129cは、運転者側壁部134の中央部位129cの外表面上に載せていた折り畳み部位138・138を、左右方向に押し離すように展開させる。その後、前述と同様に、中央部位129cに隣接する左右端部129d・129fが、縦折り時、図46のB・Cに示すように、コラムカバー側壁部133側に、それぞれ、折り畳まれている。そのため、前述と同様に、エアバッグ129の左右の縁129e・129g側が、それぞれ、運転者D側へ突出することを極力抑えて、すなわち、コラムカバー9側に向く状態として、左右方向に広く展開しつつ折りを解消させることとなる。
以上のように、エアバッグ129の左右両端部129d・129fをコラムカバー側壁部133側にそれぞれ配置させるようにして、折り畳めば、両端部129d・129fの折り畳み部位138・138を、運転者側壁部134の中央部位129cの外表面上(運転者側の壁部134側上)に載せて、左右方向の幅寸法をコンパクトにするように折り畳んでもよい。すなわち、このような折り畳み方でも、運転者D側への突出を抑えて、左右方向の幅寸法を広くするようにエアバッグ129を展開膨張させることができ、その結果、運転者Dの両膝KR・KLを的確に保護することができる。
なお、エアバッグ129は、図48・49に示すように、まず、左右両端部129d・129f側を、それぞれ、コラムカバー側壁部133側に向かって巻くようにロール折りして、縦折り工程を行ってもよい。そして、その折り畳み部位140・140を、それぞれ、運転者側の壁部134側上に載せるように、エアバッグ129を、折り畳んでもよい。
なお、第4実施形態では、インフレーター124から吐出された膨張用ガスGの流れを規制するガス流れ規制材として、テザー135D・135Uが配置されたエアバッグ129を使用している。しかし、エアバッグ装置M4には、図50・51に示すようなガス流れ規制材159を備えたエアバッグ152を、使用してもよい。
このエアバッグ152は、コラムカバー側壁部157と運転者側壁部158とを備えて構成されている。コラムカバー側壁部157には、インフレーター124を収納するための収納部157aと挿通孔157bとが、形成されている。そして、エアバッグ152の下部側におけるガスGの上流側部位154には、ガス流れ規制材としての略円筒状の整流布159が、配置されている。整流布159は、インフレーター124の外周を覆うように、車両左右方向両側が開口159a・159aとされている。また、エアバッグ152の上部側におけるガスGの下流側部位155内には、既述のエアバッグ129のテザー135Uと同様に、コラムカバー側壁部157・運転者側壁部158相互を連結して、下流側部位155の展開膨張時における厚さ寸法を一定にするためのテザー160が、配置されている。
エアバッグ152をこのような構成とすれば、図50に示すように、上流側部位154内では、整流布159が、インフレーター124から吐出される膨張用ガスGを、左右方向両側へ向かうように流す。その後、膨張用ガスGは、整流布159の左右両端の開口159a・159aとエアバッグ152の左右両縁152a・152bとの間から、下流側部位155に流れる。そのため、このエアバッグ152でも、展開膨張時、整流布159によって、確実に、運転者D側に突出することを抑えて、左右方向の幅寸法を広げるように展開膨張させることができる。すなわち、エアバッグ152は、展開膨張時に、運転者D側への突出を抑えて、左右方向の幅寸法を広くするように展開膨張することができ、その結果、運転者Dの両膝Kを的確に保護することができる。
また、ガス流れ規制材として、図52に示すようなインフレーター173に設けた案内部材177を、使用してもよい。
インフレーター173を配置させるエアバッグ164は、コラムカバー側壁部169と運転者側壁部170とを備えて構成されている。コラムカバー側壁部169には、インフレーター173を収納するための収納部169aが配設されている。エアバッグ164の上部側の下流側部位167には、コラムカバー側壁部169・運転者側壁部170相互を連結して、下流側部位167の展開膨張時における厚さ寸法を一定にするためのテザー171が、配置されている。そして、エアバッグ164の下部側の上流側部位166に、インフレーター173が配置されている。インフレーター173は、本体174と、二つのブラケット部176・176と、を備えて構成されている。本体174における左右両端には、エアバッグ164の左右両縁164a・164bに向かって膨張用ガスGを吐出可能なガス吐出口175・175が形成されている。そして、本体174の左右両端付近に、ガス流れ規制材としての案内部材177・177が配置されている。各案内部材177は、ガス吐出口175・175の少なくとも上部側を覆うような板状としている。
このような案内部材177では、図52に示すように、上流側部位166内で、膨張用ガスGが、インフレーター173のガス吐出口175・175から、案内部材177・177に案内されるようにしてエアバッグ164の左右方向両側へ向かって吐出される。そのため、エアバッグ164は、展開膨張時、確実に、運転者D側に突出することを抑えて、左右方向の幅寸法を広げるように展開膨張する。その結果、エアバッグ164は、運転者D側への突出を抑えて、左右方向の幅寸法を広くするように、展開膨張し、運転者Dの両膝Kを的確に保護することができる。
なお、図例では、案内部材177として、板状のものを例示した。しかし、ガス流れ規制材としての案内部材の形状は、これに限られるものではない。例えば、筒状のものを使用してもよい。さらに、図例では、案内部材177は、本体174に配設されて、ガス吐出口175・175から吐出される膨張用ガスを、左右方向両側に向かうように案内している。しかし、インフレーター173に案内部材177・177を配置しない構成として、ガス吐出口175・175から吐出される膨張用ガスGを、本体174からエアバッグ164の左右両側へ、直接、向かわせる構成としてもよい。すなわち、インフレーター自体が、ガス吐出口175等を利用して、ガス流れ規制材を併設させた構成としてもよい。
さらにまた、エアバッグとしては、図53・54に示す第5実施形態のエアバッグ装置M5のエアバッグ182を、使用してもよい。このエアバッグ182には、下端182bにおけるコラムカバー側壁部185と運転者側壁部186との境界部位の中央付近に、インフレーター124を収納させる収納部184が、配設されている。このエアバッグ182は、左右方向の中央付近における中央部位182cと、中央部位182cに連なる左右の縁182e・182g側の左右両端部182d・182fと、を具備して構成されている。このエアバッグ182の折り畳みは、図54に示すように、左右両端部182d・182fの折り畳み部位187・187が、まず、コラムカバー側の壁部185の側に、それぞれ、配置されるように、縦折りされる。その後、エアバッグ182は、上端182aからコラムカバー側壁部185側に向かってロール折りするように折り畳まれて、ケース119内に収納されている。
このエアバッグ182では、インフレーター124を取り付ける収納部184が、エアバッグ182の本体部183と同一直線上に配置されている。なお、本体部183は、エアバッグ182の収納部184以外の部位をいう。このようなエアバッグ182でも、展開膨張時に、インフレーター124から吐出される膨張用ガスが、まず、本体部183内に流入した後、中央部位182cに沿うように上端182aに向かって流れる。そして、運転者側壁部186における中央部位182c付近がロール折りを解きつつ運転者D側に膨張する。ついで、エアバッグ129と同様に、中央部位182cに連なる左右の端部182d・182fの折り畳み部位187・187が、膨張用ガスを流入させて、それぞれ、折り畳みを解きつつコラムカバー下面9a側に沿って展開膨張する。その際、エアバッグ182は、展開膨張時に、運転者D側に突出することを極力抑えて、左右方向の幅寸法を広くするように展開膨張する。その結果、エアバッグ182は、運転者Dの両膝Kを的確に保護することができる。
なお、図45に示すケース142に、エアバッグ182を収納する場合には、ロール折りの直前の縦折り時、折り畳み部位187・187を、図46のC・Dに示すように、運転者側壁部186に載せるようにする。そして、その後、ロール折りすればよい。
また、第4・5実施形態では、エアバッグを、縦折り工程後に横折り工程を行なって、折り畳む場合を示している。しかし、第4・5実施形態の作用・効果を得難いが、横折り工程後に縦折り工程を行なってもよい。また、横折り工程において、蛇腹折りにより、折り畳んでもよい。さらに、縦折り工程若しくは横折り工程の途中で、適宜、横折りや縦折りを加えてもよい。例えば、図46に示すようなエアバッグ129の折り畳み工程において、まず、エアバッグ129を、図46Bに示す状態まで折り畳む。その後、上端129aをコラムカバー側壁部133側に向かって、エアバッグ129の上下方向の中間部位付近までロール折りする。ついで、図46Dに示す状態まで、縦折りして縦折りを完了させる。そして、途中までロール折りしていたエアバッグを、ロール折りして、横折りを完了させるように、折り畳んでもよい。
つぎに、図55〜57に示す第6実施形態の膝保護用エアバッグ装置M6を説明する。このエアバッグ装置M6は、第4・5実施形態と同様に、コラムカバー9の下方に配置される保持部材としての板状の保持プレート117に保持されている。エアバッグ装置M6は、折り畳まれたエアバッグ226と、エアバッグ226に膨張用ガスを供給するインフレーター124と、エアバッグ226とインフレーター124とを収納するケース142と、を備えて構成されている。そして、エアバッグ装置M6は、ケース142を、保持プレート117の車両前方側に配置させるようにして、保持プレート117に取り付けられている。
コラムカバー9、コラムカバー9が覆うステアリングコラム3、インパネ11、インフレーター124、保持プレート117は、第4実施形態と同様であり、各部位に、第4実施形態と同一の符号を付して、説明を省略する。また、ケース142も、図45に示すものと同様であり、各部位に、図45と同一の符号を付して、説明を省略する。
エアバッグ226は、可撓性を有したポリエステルやポリアミド等の織布から形成されている。そして、このエアバッグ226は、第4実施形態のエアバッグ129が、下端129b側を下方に延設させた形状と、略同一としている。すなわち、エアバッグ226は、図58・59に示すように、コラムカバー側壁部231と、運転者側壁部232と、を備えて、展開膨張完了時の形状が上下方向に延びる略長方形板状としている。コラムカバー側壁部231の下部側には、インフレーター124を収納して取り付けるための収納部230が配設されている。収納部230は、エアバッグ226の展開膨張時、ケース142内に残ることとなる。エアバッグ226の収納部230以外の本体部227が、エアバッグ226の展開膨張時、ケース142から突出する。なお、収納部230には、インフレーター124のボルト126bを挿通させる挿通孔230aが、形成されている。
この本体部227は、第6実施形態の場合、上部228と下部229とを備えて構成されている。上部228は、ケース142からコラムカバー9の下面9a側を覆うように上方に展開して、運転者Dの膝上部から大腿部付近までを保護可能とする。下部229は、ケース142からエアバッグカバー112の車内側を覆うように下方に展開して、運転者Dの膝の下部から脛付近までを保護可能としている。このエアバッグ226は、図55・56に示すように、上部228及び下部229をそれぞれロール折りして、ケース142内に収納されている。
そして、上部228には、図58・59に示すように、展開膨張時における厚さ寸法を一定とするように、コラムカバー側壁部231・運転者側壁部232相互を連結する連結手段としてのテザー233が、複数個配設されている。実施形態の場合、エアバッグ226は、第4実施形態のテザー135と同様に、二つのテザー233D・233Uを配設させている。これらのテザー233D・233Uは、上部228の展開膨張時における厚さ寸法を一定にして、展開膨張する上部228を、運転者Dの膝Kとコラムカバー下面9aとの間に円滑に侵入させるために、配置されている。テザー233Uは、第4実施形態のテザー135Uと同様に、上部228における中央から上端228a付近にかけての左右方向の略中心に、車両の上下方向に沿って配置されている。
そして、テザー233Dは、第4実施形態のテザー135Dと同様に、上部228における収納部230近傍において、車両左右方向と略平行に配置されている。このテザー233Dは、エアバッグ226の本体部227内を、膨張用ガスGの上流側の部位227cと下流側の部位227dとに区画する役目を果たす。すなわち、テザー233Dは、本体部227を、下部側の上流側部位227cと、上部側の下流側部位227dと、に区画している。さらに、テザー233Dは、ガス流れ規制材としての役割も果たす。すなわち、テザー233Dの左右両端部233a・233bが、本体部227の左右両縁227a・
227bから離れて、配置されている。そのため、端部233a・233bと縁227a・227bとのそれぞれの間に、ガス流通孔227e・227eが配設される。そして、膨張用ガスGは、テザー233Dに規制されて、上流側部位227c内で左右方向両側に流れ、その後、ガス流通孔227e・227eを経て、下流側部位227dに流れることとなる。また、テザー233Dの配置位置は、テザー135Dと同様に、エアバッグ226の本体部227内において、展開膨張時にエアバッグ収納部位(ケース142)から車内側へ離脱する位置であって、かつ、その収納部位近傍となる位置に、配設されている。
エアバッグ装置M6の車両への搭載について説明すると、まず、インフレーター124を内蔵した状態で、エアバッグ226を折り畳む。なお、インフレーター124の各ボルト126bは、それぞれ、挿通孔230aから突出させておく。また、本体125から延びる図示しないリード線は、エアバッグ226における所定の図示しない挿通孔から出しておく。
エアバッグ226の折り畳みは、縦折り工程と、縦折り工程後の横折り工程と、によって、行う。縦折り工程は、まず、図60Aに示すように、コラムカバー側壁部231と運転者側壁部232とを重ねて平らに展開する。そして、図60Bに示すように、本体部227の左右両縁227a・227bをコラムカバー側壁部231の側に向かって巻くように、ロール折りする。その後、図60Cに示すように、ロール折りした部位を車両後方側の運転者側壁部232上に載せて、ケース142の左右方向の幅と、略同一の幅となるように、折り畳む。これにより、縦折り工程が完了する。
横折り工程は、図60Dに示すように、上部228を、上端228aからコラムカバー側壁部231側でロール巻きするように折り畳み、また、下部229を、下端229aからコラムカバー側壁部231側でロール巻きするように折り畳む。これにより、横折り工程が完了する。
そして、エアバッグ226の折り畳み後、エアバッグ226を破断可能な図示しないラッピングフィルムでくるみ、各ボルト126bを、ラッピングフィルムを経て、かつ、ケース142から突出させる。ついで、突出した各ボルト126bにナット127を締結して、折り畳んだエアバッグ226とインフレーター124とをケース142内に収納させ、エアバッグ組立体SAを組み立てる。なお、インフレーター本体125から延びる図示しないリード線は、ラッピングフィルムから出すとともに、ケース142の図示しない挿通孔から出しておく。
そして、エアバッグ組立体SAを、フランジ部142dを利用して保持プレート117に固定する。その後、保持プレート117の左右方向の両端を、左右に配置された車両のフレーム部FC・FRに、それぞれ、ボルトを利用して、固定する。そして、図示しないリード線を制御回路に結線して、インパネ11のアッパパネル12とロアパネル13(エアバッグカバー112)を車両に装着すれば、図55に示すように、エアバッグ装置M6を車両に搭載することができる。
車両へのエアバッグ装置M6の搭載後、インフレーター本体125に所定の電気信号が入力されれば、ガス吐出口125aから膨張用ガスGが吐出される。そして、エアバッグ226は、膨張して、図示しないラッピングフィルムを破断するとともにエアバッグカバー112の扉部114(114A・114B)を押し開いて、上部228及び下部229が、コラムカバー下面9aとエアバッグカバー112表面とに沿うように、それぞれ、上下に展開膨張する。
具体的には、ガス吐出口125aから吐出された膨張用ガスGが、エアバッグ226内
に流入して、エアバッグ226が、図61に示すように、扉部114A・114Bを上下に開かせるように、展開膨張する。この時、エアバッグ226は、本体部227における上部228と下部との境界部位付近が、一旦、車両後方側に突出する。そして、上部228及び下部229は、それぞれ、ロール巻きするように折り畳まれている。そのため、展開膨張時に、図61・62に示すように、ロール巻きの巻きを解きつつ、上部228の上端228a側がコラムカバー下面9aに沿って展開膨張し、下部229の下端229a側も、エアバッグカバー112表面に沿って展開膨張する。その結果、エアバッグ226の膝K方向への突出を抑えることができ、運転者Dの膝Kへの押圧力を低く抑えることができる。さらに、実施形態のエアバッグ226は、仮に、運転者Dの膝Kに接触しても、巻きを解くように円滑に展開することができる。
また、第6実施形態のエアバッグ226は、本体部227の左右両縁227a・227bが、車両前方側に向かってロール巻きされている。そのため、展開膨張時に、上部228及び下部229が、左右方向へもロール巻きの巻きを解きつつ、左右方向に広がるように展開する。
さらに、第6実施形態では、上部228における収納部230近傍に、車両左右方向と略平行にテザー233Dが配置されている。また、上部228には、テザー233Dの左右両端233a・233b付近のガス流通孔227eから、膨張用ガスGが流入する。そのため、上部228は、膨張初期において、左右方向へ広がるように膨張して、展開する。その結果、第6実施形態では、一層、エアバッグ226の膝K方向への突出を抑えることができる。
以上のように、第6実施形態のエアバッグ装置M6では、展開膨張するエアバッグ226が、コラムカバー9の下面9a側を覆うように展開して、ケース142から上方に展開する上部228と、ケース142から下方に展開する下部229と、を備えている。そのため、図63に示すように、エアバッグ226の上部228が、運転者Dの膝Kの上部から大腿部T付近までを覆い、エアバッグ226の下部229が、運転者Dの膝Kの下部から脛L付近までを覆うこととなる。その結果、展開膨張したエアバッグ226は、運転者Dの膝Kを広い範囲にわたって的確に保護することができる。
また、第6実施形態でも、ケース142を固定させた保持プレート117が、左右方向の両端を、左右に配置された車両のフレーム部FC・FRに、固定させている。そのため、エアバッグ装置M6は、フレーム部FC・FRに安定して保持される。また、展開膨張を完了させたエアバッグ226も、保持プレート117に、安定して支持される。なお、これらの点を考慮しなければ、保持プレート117を配置させない構成としてもよい。すなわち、ケース142を、図66の二点鎖線で示すように、ステアリングコラム3におけるコラムチューブ5の移動しない部位に、ブラケット6を利用して、連結固定させてもよい。勿論、ケース142を、ブラケット6と保持プレート117との両方に固定させる構成としてもよい。このような構成とすれば、ケース142を、ブラケット6と保持プレート117との二箇所で固定させることとなる。そのため、エアバッグ装置M6が、一層安定して、保持される。
さらにまた、第6実施形態でも、ケース142における周壁部142aの軸方向Oが、ステアリングコラム3の軸方向と略平行となっている。そのため、エアバッグ226を、コラムカバー下面9aに沿うように車両後方側へ突出させる際に、エアバッグ226(特に上部228)をコラムカバー9と運転者Dの膝Kとの間に、円滑に侵入させることができる。その結果、エアバッグ226は、運転者Dの膝Kの上部付近をさらに的確に保護することが可能となる。
以上のように、第6実施形態では、第4実施形態と同様な作用・効果を得ることができる。そしてさらに、第6実施形態では、エアバッグ226が、下部229を下方に延設させており、広い範囲で、運転者Dの大腿部T、膝K、及び、脛Lを、保護することができる。
また、エアバッグとしては、図64・65に示すエアバッグ236を使用してもよい。このエアバッグ236は、前述の実施形態のエアバッグ226と同様に、本体部237と収納部240とを、備えるとともに、本体部237が、上部238と下部239とを備えている。収納部240には、インフレーター124のボルト126bを挿通させる挿通孔240aが形成されている。そして、エアバッグ236内には、ガス流れ規制材としての整流布244が配置されている。整流布244は、インフレーター124の外周を覆うように、略円筒状としている。そして、整流布244には、車両左右方向両側に、開口244a・244aが配設されている。このエアバッグ236では、膨張用ガスGの上流側部位245が、整流布244付近となり、膨張用ガスGの下流側部位246が、上部238における整流布244の上方側の部位と、下部239における整流布244の下方側の部位と、の二箇所に配設されることとなる。
また、上部238及び下部239には、コラムカバー側壁部241・運転者側壁部242相互を連結するテザー243(243D・243U)が、それぞれ一箇所ずつに配設されている。各テザー243は、左右方向の中央に車両上下方向に沿って、配置されている。
このエアバッグ236でも、エアバッグ226と同様に折り畳んで、ケース142に収納する。そして、展開膨張時、このエアバッグ236では、インフレーター124から吐出される膨張用ガスGは、図64に示すように、整流布244の開口244a・244aから左右方向両側に流出される。そのため、インフレーター124から吐出された膨張用ガスGが、直接、上部238及び下部239に流入するのを防止できる。そして、膨張用ガスGは、本体部237の左右両縁237a・237b側から、上部238の上端238a側と下部239の下端239a側とに、流れる。その結果、本体部237aの整流布244付近が、左右方向に広がった状態で、上・下部238・239が展開膨張する。すなわち、上部238及び下部239は、膨張初期において、運転者D側への突出を抑えて、左右方向の幅寸法を広くするように展開膨張して、運転者Dの大腿部T、膝K、及び、脛Lを、的確に保護することができる。
つぎに、図67・68に示す第7実施形態の膝保護用エアバッグ装置M7について説明する。このエアバッグ装置M7は、ステアリングコラム3の下方で、かつ、コラムカバー9の下方に配設されている。このエアバッグ装置M7では、エアバッグ326と、インフレーター321と、エアバッグ326とインフレーター321とを収納するケース319と、エアバッグカバー312と、を備えて構成されている。
ステアリングコラム3、コラムカバー9、及び、インパネ11は、第4〜6実施形態と同様であり、各部位に各実施形態と同一の符号を付して、説明を省略する。
ケース319は、板金製として、略四角筒形状の周壁部319aと、周壁部319aにおける車両の上前方向側を塞ぐ略長方形形状の底壁部319bと、を備える。また、周壁部319aにおける車両の下後方向側は開口319cとされている。そして、ケース319は、開口319cの周縁のフランジ部319dが、ステアリングコラム3の左右の両側に配置された車両のフレーム部FC・FRに、ボルトを利用して、固定されている。
インフレーター321は、各実施形態と同様に、図67・69・70に示すように、シ
リンダタイプの本体322と、二つのブラケット部323・323と、を備える。本体322は、膨張用ガスを吐出させるガス吐出口322aを備える。そして、本体322は、ステアリングホイール1に搭載された図示しないエアバッグ装置と同時に作動する。各ブラケット部323は、本体322を挟持可能な板金製の保持環323aと、保持環323aから突出するボルト323bと、からなる。
インフレーター321は、本体322にブラケット部323・323を組み付けて、エアバッグ326に包まれ、ケース319に収納される。そして、ケース319から突出した各ボルト323bにナット324を締結して、インフレーター321は、ケース319に取付固定されている。また、本体322には、図示しないリード線が結線されている。
エアバッグカバー312は、エアバッグカバー本体部313と、扉部314と、を備える。扉部314は、エアバッグカバー本体部313と一体的に形成されて、ケース319における開口319c付近の車両下方側を覆う。そして、第7実施形態の場合、第4〜6実施形態と同様に、エアバッグカバー本体部313は、図67・68に示すように、インパネ11のロアパネル13と一体的に形成されている。扉部314は、図68に示すように、コラムカバー9の下方におけるエアバッグカバー本体部313の上下方向の略中央に、配置されている。扉部314は、車内側から見て略長方形状としている。扉部314の周囲には、車内側から見て略逆U字形状となる薄肉の破断予定部315が配設されている。そして、扉部314の下端側には、インテグラルヒンジからなる薄肉のヒンジ部316が形成されている。そのため、扉部314は、エアバッグ326に押された際、ヒンジ部316を回転中心として、下開きとなる。
エアバッグ326は、可撓性を有したポリエステルやポリアミド等の織布から形成されている。そして、エアバッグ326は、展開膨張完了時の形状を、図69・70に示すように、コラムカバー9の下面9a側を覆い可能な略長方形板状としている。また、エアバッグ326は、周壁が、厚さ方向で対向する上面側のコラムカバー側壁部327と下面側の運転者側壁部328とを備えて、構成されている。コラムカバー側壁部327の下端326b側には、インフレーター321の各ボルト323bを挿通させる挿通孔327aが、形成されている。
また、エアバッグ326は、図70に示すように、厚さ寸法を略一定として、略板形状を維持可能なように、コラムカバー側壁部327・運転者側壁部328相互を連結する連結手段としてのテザー329を、複数(実施形態では2つ)配設させている。テザー329(329U・329D)は、エアバッグ326と同様に可撓性を有した材料で形成されている。これらのテザー329U・329Dは、車両左右方向と略平行に、上下に配置されている。
そして、上部側(車両後方側)のテザー329Uにおける運転者側壁部328との連結部位Udは、図70に示すように、展開膨張完了時のエアバッグ326における運転者Dの膝Kとの干渉部位326hより、膨張用ガスGの上流側(インフレーター321に近い側)に配置されている。さらに、このテザー329Uの運転者側壁部328との連結部位Udは、テザー329Uのコラムカバー側壁部327との連結部位Ucより、下方側(膨張用ガスGの上流側)に連結されている。
そのため、エアバッグ326の展開膨張時、テザー329Uの上方側に配置される干渉部位326hは、極力、厚さを大きくできるように設定されて、高いクッション作用を発揮する(図71参照)。さらに、この部位326hは、凹部2に入り込んだ状態としても、膝Kとの干渉前には、干渉部位326hの運転者側壁部328を、凹凸を生じさせることなく、下方側から滑らかな曲面として、配置させることとなる。なお、凹部2は、コラ
ムカバー下面9aの後端9d付近からステアリングホイール1の中央のロアカバー1aまでの、上方へ凹む部位である。
また、下方側のテザー329Dの配置位置は、図71に示すように、エアバッグ326内において、展開膨張時にエアバッグ収納部位(ケース319)から車内側へ離脱する位置であって、かつ、その収納部位近傍となる位置に、配設されている。
なお、エアバッグ326の上端(前端)326a側の干渉部位326hは、展開膨張完了時には、厚さ寸法を他の部位より厚くする。しかし、エアバッグの上端326a側は、展開膨張過程では、膨張用ガスGの流入量が少ない。そのため、エアバッグの上端326a側は、展開膨張完了前に、円滑に、運転者Dの膝Kとコラムカバー下面9aとの間に侵入することとなる。
また、テザー329Dは、エアバッグ326内を、膨張用ガスGの上流側の部位331と下流側の部位332とに区画する役目を果たす。すなわち、テザー329Dは、エアバッグ326を、下部側の上流側部位331と上部側の下流側部位332とに、区画している。
そしてさらに、テザー329Dは、ガス流れ規制材としての役割も果たす。すなわち、テザー329Dの左右両端部329a・329bが、エアバッグ326の左右両縁326e・326gから離れて、配置されている。そのため、端部329a・329bと縁326e・326gとのそれぞれの間に、ガス流通孔333・333が配設される。そして、膨張用ガスGは、テザー329Dに規制されて、上流側部位331内で左右方向両側に流れ、その後、ガス流通孔333・333を経て、下流側部位332に流れることとなる。
第7実施形態のエアバッグ装置M7の車両への搭載について説明すると、まず、インフレーター321を内蔵した状態で、エアバッグ326を折り畳む。なお、インフレーター321の各ボルト323bは、挿通孔327aから突出させておく。また、インフレーター本体322から延びる図示しないリード線は、エアバッグ326の所定の図示しない挿通孔から出しておく。
そして、エアバッグ326の折り畳みは、図49と同様に、縦折り工程と横折り工程とを経て折り畳む。縦折り工程の終了時には、左右両端部326d・326fの折り畳み部位を中央部位326cにおける運転者側壁部328側の上に載せることとなる。また、横折り工程では、上端326a側をコラムカバー側壁部327の側へ巻くように、ロール折りすることとなる。
折り畳み後、エアバッグ326は、破断可能な図示しないラッピングフィルムでくるみ、各ボルト323bを、ラッピングフィルムから突出させる。そして、エアバッグ326とインフレーター321とをケース319内に収納させるとともに、各ボルト323bをケース319から突出させて、突出した各ボルト323bにナット324を締結させれば、エアバッグ326、インフレーター321、及び、ケース319が一体的に組み立てられたエアバッグ組立体SAを、形成することができる。
なお、インフレーター本体322から延びる図示しないリード線は、ラッピングフィルムから出すとともに、ケース319の図示しない挿通口から出しておく。
そして、エアバッグ組立体SAは、ボルトを利用して、ケース319のフランジ部319dを、ステアリングコラム3の左右両側におけるボディB側のフレーム部FC・FRに連結させて、車両に搭載する。そして、図示しないリード線は、制御回路に結線する。さ
らに、インパネ11のアッパパネル12とロアパネル13を車両に装着すれば、エアバッグ装置M7を車両に搭載することができる。
そして、車両へのエアバッグ装置M7の搭載後、インフレーター本体322に所定の電気信号が入力されれば、ガス吐出口322aから膨張用ガスが吐出される。すると、エアバッグ326は、膨張して、図示しないラッピングフィルムを破断するとともにエアバッグカバー312の扉部314を押し開いて、コラムカバー下面9aに沿って上昇しつつ、展開膨張する。そして、図71に示すように、展開膨張したエアバッグ326が、運転者Dの膝Kを保護する。
この第7実施形態のエアバッグ装置M7では、第4実施形態等と同様の作用・効果を得ることができる。そしてさらに、この第7実施形態では、図71に示すように、厚さ規制手段としてのテザー329U・329Dが、展開膨張完了時のエアバッグ326における運転者Dの膝Kとの干渉部位326hより、膨張用ガスGの上流側に配置されている。このような構成では、展開膨張完了時、エアバッグ326における運転者Dの膝Kとの干渉部位326hを、テザー329U・329Dの配置部位より、厚くすることができる。そのため、展開膨張を完了させたエアバッグ326は、厚くした部位326hによって、運転者Dの膝Kを効果的に保護することができる。
また、展開膨張完了時のエアバッグ326では、運転者Dの膝下方における脛Lの前方側に配置される部位326iが、テザー329U・329Dを配置されて、厚さを規制されている。そのため、展開膨張完了時のエアバッグ326は、不必要に、脛Lを圧迫しない。
なお、第7実施形態では、ケース319の周壁部319aにおける開口319c側への軸方向が、後下がりの斜め下方向に向いて、ステアリングコラム3やコラムカバー下面9aに沿っていない。そのため、エアバッグ326の展開膨張の初期段階では、ロール折りされた部位が、車両後方側の略水平方向より、斜め下方向に向いて、ケース319から突出し易い。
しかし、エアバッグカバー312の扉部314が、下開きとされて、展開膨張するエアバッグ326に押されて開く際に、上端314a側から開く。そのため、展開膨張するエアバッグ326が、扉部314の開き当初に、扉部314の開く開口エリアOAの上部側(車両後方側)から突出する。すなわち、展開膨張するエアバッグ326が、上方に向かって突出し易くなる。さらに、エアバッグ326自体が、横折り工程で、上端326aをコラムカバー側壁部327の側に巻くように、ロール折りされている。そのため、エアバッグ326が、その後の展開膨張過程で、ロール折りの折りを解消すれば、円滑に、コラムカバー下面9aに沿って上昇する。その結果、その後の展開膨張過程では、エアバッグ326は、運転者Dの膝Kとコラムカバー下面9aとの間の狭い空間に、円滑に進入することとなる。
また、第7実施形態では、膝保護用エアバッグ装置M7をステアリングコラム3の下方のロアパネル13内に配設させた場合を示した。しかし、展開膨張するエアバッグが、コラムカバー下面9aに沿って展開膨張して、運転者Dの膝Kとコラムカバー下面9aとの間に、円滑に進入可能であれば、図72・73に示すように、膝保護用エアバッグ装置M8をステアリングコラム3の下方のコラムカバー9A内に、配設させてもよい。
このエアバッグ装置M8では、エアバッグカバー312が、コラムカバー9Aの下端側に、コラムカバー9Aと一体的に形成されている。エアバッグカバー312には、扉部314が配設されている。扉部314は、車内側から見て、逆U字形状となる破断予定部3
15を周囲に配置させて、下端側をヒンジ部316としている。そのため、この扉部314は、エアバッグ326に押されて開く際、破断予定部315を破断させて、上端314aを下方へ回転させるように、下開きで開く。
そして、ケース319Aが、ブラケット6、インフレーター321のボルト323b、及び、ナット324を利用して、ステアリングコラム3におけるコラムチューブ5の移動しない部位に、連結固定されている。
なお、インフレーター321、エアバッグ326、及び、エアバッグの折り畳み工程は、第7実施形態と同様である。
そして、この第8実施形態でも、エアバッグ326が展開膨張すれば、第7実施形態と同様な作用・効果を得ることができる。また、エアバッグカバー312が、ロアカバー9Aと一体的に形成されている。そのため、膝保護用エアバッグ装置M8が、車両に搭載されても、コラムカバー9A付近の外観を低下させない。
さらに、第8実施形態でも、第7実施形態と同様に、エアバッグカバー312の扉部314が、周縁に配置された破断予定部315を破断させて、開く構成である。すなわち、エアバッグカバー312の扉部314が、扉部314の周囲のエアバッグカバー本体部(一般部)313と、外観を一致させることができる。そのため、エアバッグカバー312の外観意匠が、良好となる。
つぎに、図74〜77に示す第9実施形態である膝保護用エアバッグ装置M9を説明する。このエアバッグ装置M9も、各実施形態と同様に、ステアリングコラム3の下方位置であるコラムカバー9の下方に、配設されている。エアバッグ装置M9は、エアバッグ26と、インフレーター21と、ケース419と、ケース419の車両後方側を覆うエアバッグカバー412と、を備える。
ステアリングコラム3、コラムカバー9、インパネ11、及び、それらの各部は、各実施形態と同様であり、各実施形態と同一の符号を付して、説明を省略する。
また、インフレーター21、エアバッグ26、及び、それらの各部も、第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一の符号を付して、説明を省略する。
ケース419は、板金製として、略四角筒形状の周壁部419aと、周壁部419aの車両前方側を塞ぐ略長方形形状の底壁部419bと、を備える。そして、ケース419は、ステアリングコラム3におけるコラムチューブ5の移動しない部位に、ブラケット6を利用して、連結固定されている。また、周壁部419aの車両後方側は開口419cとされている。ケース419は、第1実施形態と同様に、収納したエアバッグ26がケース419から突出する際に、コラムカバー9の下面9aに沿ってエアバッグ26が突出するように、周壁部419aの軸方向Oをコラムカバー下面9aに沿わせて(ステアリングコラム3の軸方向に沿わせて)、配設させている。
エアバッグカバー412は、エアバッグカバー本体部413と、扉部414とを備える。扉部414は、本体部413と一体的に形成されて、ケース419における開口419c付近の車両後方側を覆うように、配置されている。そして、エアバッグカバー本体部413は、図74〜76に示すように、インパネ11のロアパネル13と一体的に形成されており、図示しない位置で車両のフレームに、固定されている。
扉部414は、図76に示すように、コラムカバー9の下方におけるエアバッグカバー
本体部413の上下方向の略中央に配置されて、車内側から見て略長方形状としている。そして、扉部414は、周囲に、車内側から見て略逆U字形状となる薄肉の破断予定部415を配設させている。また、扉部414は、縦断面形状を、斜め下方の車両後方側に向かって突出するように、上端414a側から下方にかけて、下膨らみで、湾曲する形状としている。そして、扉部414は、下端側に、インテグラルヒンジからなる薄肉のヒンジ部416を配設させて、下開きとなるように、構成されている。ヒンジ部416は、図74・75に示すように、扉部414の上端414aよりも車両前方側で、かつ、図74〜76に示すように、ケース開口419cの下縁419dよりも、車両前方側の下方に位置するように、配置されている。
このエアバッグ装置M9の車両への搭載も、第1実施形態と同様である。すなわち、エアバッグ26にインフレーター21を内蔵させて、エアバッグ26を、第4実施形態で既述したように、所定の縦折り工程とロール折りの横折り工程とを経て、折り畳む。その後、エアバッグ26を破断可能な図示しないラッピングフィルムでくるみ、各ボルト23bを、ラッピングフィルムから突出させる。さらに、エアバッグ26をケース419に収納するとともに、各ボルト23bを、ケース419から突出させ、突出した各ボルト23bに、薄板状の図示しないスプリングナットを組み付けて、エアバッグ26・インフレーター21・ケース419とからなるエアバッグ組立体SAを形成する。
そして、エアバッグ組立体SAを、ナット24を利用してブラケット6に固定し、インパネ11及びエアバッグカバー412を車両に装着すれば、エアバッグ装置M9を、車両に搭載することができる。
車両へのエアバッグ装置M9の搭載後、インフレーター本体22のガス吐出口22aから膨張用ガスが吐出されれば、エアバッグ26は、膨張して、図示しないラッピングフィルムを破断するとともにエアバッグカバー412の扉部414を押し開いて、コラムカバー下面9aに沿って展開膨張する(図77参照)。
この時、第9実施形態では、図75に示すように、扉部414の下端側のヒンジ部416が、扉部414の上端414aよりも車両前方側に位置している。特に、実施形態の場合には、ヒンジ部416は、ケース開口419cの下縁419dより、さらに、車両前方側に配置されている。このような構成では、比較例に比べて、エアバッグ26の展開膨張時に開く扉部414の車両後方側への突出量を抑えて、エアバッグ26を円滑に展開膨張させることができる。なお、比較例は、エアバッグ26の展開膨張に必要なエアバッグカバー412の開口エリアOAを確保できる状態として、扉部を略鉛直方向に沿って配置させた場合である(すなわち、比較例の扉部は、寸法線w12の位置に配置される扉部である)。また、比較例の扉部も、ヒンジ部を扉部の下端に配設させている。
第9実施形態の扉部414では、ヒンジ部416が前方側に位置しているため、扉部414自体の扉部414に沿った上下方向における幅寸法w11が、比較例における扉部の上下方向の幅寸法w12に比して、大きくなる。その結果、扉部414では、扉部414の開口角度θ1を、小さくすることができる。なお、開口角度θ1は、エアバッグ26の展開膨張に必要なエアバッグカバー412の開口エリアOAを確保可能に開く際の、扉部414の開き角度である。一方、比較例の扉部は、ヒンジ部が扉部の上端と車両前後方向において略同一となる位置に配置されている。そのため、比較例では、エアバッグ26の展開膨張に必要なエアバッグカバー412の開口エリアOAを確保するために、扉部を、略水平方向に沿うように、開口角度θ2を大きくして開かせる必要がある。しかし、第9実施形態の扉部414では、下端側のヒンジ部416を扉部上端414aよりも車両前方側に配置させる構成である。そのため、扉部414では、扉部自体の扉部414に沿った上下方向における幅寸法w11(扉部414の開き時における回転半径となる)が大きく
なる。その結果、扉部414では、扉部の開口角度θ1が小さくても、エアバッグ26の展開膨張に必要なエアバッグカバー412の開口エリアOAを、容易に、確保することができる。そして、実施形態の扉部414では、開口角度θ1が小さいため、比較例の扉部に比して、開く際の水平方向における車両後方側への突出幅を、小さくすることが可能となる。すなわち、扉部を鉛直方向に沿って配置させる比較例に比して、実施形態の構成では、扉部414の上端414a、即ち、開いた際に運転者側となる端部(後端部)414a、の水平方向における車両後方側への突出幅を、小さくすることができる。換言すれば、実施形態の扉部414では、開き時における水平方向の車両後方側への突出を、抑えることができる。ちなみに、比較例の扉部では、開いた際の上端は、図75のHの位置に配置され、実施形態の扉部414では、開いた際の上端414aが、H位置より、車両前方側となる。
その結果、第9実施形態の扉部414では、エアバッグ26の展開膨張時に開く際の車両後方側への突出量を抑えて、エアバッグ26を円滑に展開膨張させることができる。
また、エアバッグ装置M9でも、扉部414は、下開きとされて、展開膨張するエアバッグ26に押されて開く際に、上端414a側から開く。そのため、展開膨張するエアバッグ26は、扉部414の開き当初に、開口エリアOAの上部側から突出する。その結果、エアバッグ装置M9では、展開膨張するエアバッグ26が、上方に向かって突出し易く、円滑に、コラムカバー下面9a側に沿って展開膨張する。
なお、第9実施形態では、扉部414は、斜め下方の車両後方側に突出するように、上端414a側から下方にかけて、下膨らみで湾曲するように、形成されている。しかし、扉部414は、既述の形状に限られるものではなく、ヒンジ部416が上端414aよりも車両前方側に位置するように配置されていればよい。具体的には、図24〜26に示す第3実施形態のエアバッグ装置M3における扉部16Aのように、扉部16・414が、略平板状として、上端側から下方にかけて、車両前方側へ向かって、斜め下向きに配置される構成としてもよい。また、扉部414は、平板状として、上端414aからケース開口419cの下縁419d付近まで、鉛直方向に沿って配置させ、さらに、ケース開口419cの下縁419d付近から、車両前方側に向かって、斜め下向きに傾斜する等の形状に、形成してもよい。
但し、扉部414は、省スペース化の見地からは、湾曲させて配置させることが好ましい。また、ヒンジ部416と上端414aとの車両前後方向における距離を大きくすれば、扉部414の上端414aの車両後方側への突出を、一層抑えることができる。そのため、扉部414は、第9実施形態のように、斜め下方の車両後方側に向かって突出するように、上端416aの側から下方にかけて、下向きに膨らむように湾曲させて配置させ、かつ、ヒンジ部416を、ケース開口419cの下縁419dよりも、車両前方側に配置させることが、好ましい。
つぎに、図78〜80に示す第10実施形態の膝保護用エアバッグ装置M10について説明する。エアバッグ装置M10は、図78に示すように、エアバッグカバー433以外の部品は、前述の第9実施形態のエアバッグ装置M9と同様の構成であり、同一の図符号を付して、説明を省略する。
エアバッグカバー433は、第9実施形態と同様に、エアバッグカバー本体部434と、扉部435と、を備える。扉部435は、エアバッグカバー本体部434と一体的に形成されている。また、扉部435は、ケース419における開口419c付近の車両後方側を覆うように、配置されている。エアバッグカバー本体部434と扉部435とは、図78・79に示すように、平板状としている。また、エアバッグカバー本体部434と扉
部435とは、コラムカバー9の下方側において、上端側から下方にかけて車両前方側に向かうように、傾斜して配置されている。扉部435は、第9実施形態の扉部414と同様に、エアバッグカバー本体部434の上下方向の略中央に配置されて、車内側から見て略長方形状としている。扉部435は、図80に示すように、ケース419の左右方向の幅寸法w13よりも大きな左右方向の幅寸法w14としている。また、扉部435は、第9実施形態と同様に、周囲に、車内側から見て略逆U字形状となる薄肉の破断予定部436を配設させている。さらに、扉部435は、下端側に、薄肉のヒンジ部437を配設させて、下開きとしている。
そして、扉部435の左右両縁付近には、リンク機構439が配置されている。各リンク機構439は、ケース周壁部419aと扉部435とを連結して、扉部435の開き角度を規制する角度規制手段である。各リンク機構439は、図79・80に示すように、2つの長尺板状のリンク440A・440Bから構成されている。各リンク440A・440Bは、ピン441により、端部440b・440a相互を回動可能に連結させている。また、各リンク440Aの端部440aは、ケース周壁部419bにおける左右の外側に、軸着され、各リンク440Bの端部440bは、扉部435におけるケース419の側面側に、軸着されている。各リンク機構439は、扉部435が閉じている際には、リンク440A・440B相互がV字形状に屈曲され、扉部435が開く際には、相互の交差角を広げて、リンク440A・440Bが直線状となる。
この第10実施形態では、図79に示すように、各リンク機構439のリンク440A・440Bが直線状となった状態で、扉部435の所定の開き角度が維持される。扉部435の所定の開き角度は、開いた扉部435が、エアバッグ26の展開膨張に必要な開口エリアOAを確保できる角度である。そして、リンク機構439の各リンク440A・440Bが直線状となった状態で、扉部435は、その角度以上の開きが規制される。
このような構成では、扉部435が展開膨張するエアバッグ26によって押し開かれる際に、角度規制手段としてのリンク機構439により、扉部435は、エアバッグ26の展開膨張に必要な開口エリアOAを確保した開き角度で、開きを維持される。また、リンク機構439によって、扉部435は、その開き角度以上の開きを規制される。そのため、エアバッグ26の展開膨張時における扉部435の上端435a、即ち、開いた際に運転者側となる端部(後端部)435a、の位置が、規制される。その結果、リンク機構439を配置させない扉部を用いる場合に比して、扉部435は、水平方向における車両後方側への突出を抑えることができる。勿論、扉部435は、リンク機構439によって、エアバッグ26の展開膨張に必要な開口エリアOAを確保可能とする位置で、規制される。そのため、開いた扉部435は、エアバッグ26に干渉することなく、エアバッグ26を円滑に展開膨張させることができる。
したがって、エアバッグ装置M10では、第1実施形態と同様な作用・効果を得ることができ、さらに、エアバッグ26の展開膨張時に開く扉部435の車両後方側への突出量を、抑えることができて、エアバッグ26を円滑に展開膨張させることができる。
また、エアバッグ装置M10では、前述のエアバッグ装置M9と同様に、扉部435は、上端435a側から開く。そのため、展開膨張するエアバッグ26は、扉部435の開き当初に、開口エリアOAの上部側から突出することとなる。その結果、エアバッグ装置M10でも、エアバッグ装置M9と同様に、展開膨張するエアバッグ26が、上方に向かって突出し易くなり、コラムカバー下面9a側に沿って、円滑に、展開膨張する。さらに、扉部435は、角度規制手段により、開き角度を規制された状態となって、扉部435のエアバッグ側の面435bが、コラムカバー下面9aに沿って突出するように、エアバッグ26を案内することも可能となる。
なお、角度規制手段としては、上記のリンク機構439に限られるものではない。例えば、図81に示すように、帯状若しくは紐状のテザー444を配置させてもよい。このテザー444は、布等の可撓性を有した材料から形成されて、ケース419と扉部435とを連結している。このテザー444の長さは、エアバッグ26の展開膨張に必要な開口エリアOAを確保した開き角度を維持し、かつ、その開き角度以上の開きを、規制可能な長さに、設定されている。このテザー444は、扉部435の閉じている状態では、扉部435の左右両縁付近において、車両前方側に撓んだ状態で、収納されている。
つぎに、図82・83に示す第11実施形態の膝保護用エアバッグ装置M11について説明する。このエアバッグ装置M11では、図82に示すように、エアバッグカバー447以外の部品は、第9実施形態であるエアバッグ装置M9と同様の構成であり、同一の図符号を付して、説明を省略する。
エアバッグカバー447は、図82に示すように、既述のエアバッグ装置M9・M10と同様に、エアバッグカバー本体部448と、扉部449と、を備える。扉部449は、エアバッグカバー本体部448と一体的に形成されて、ケース419における開口419c付近の車両後方側を覆うように、配置されている。エアバッグカバー本体部448と扉部449とは、前述のエアバッグ装置M10と同様に、平板状として、コラムカバー9の下方側において、上端側から下方にかけて車両前方側に向かって、斜め下向きに、傾斜している。
扉部449は、前述のエアバッグ装置M9・M10と同様に、エアバッグカバー本体部448の上下方向の略中央に配置されて、車内側から見て略長方形状としている。扉部449の周囲には、車内側から見て略逆U字形状となる薄肉の破断予定部450が配設されている。扉部449は、下端側に、薄肉の下端側ヒンジ部451を配設させて、下開きとなるように、構成されている。また、下端側ヒンジ部451と扉部上端449aとの間における上下方向の略中間位置には、薄肉のインテグラルヒンジからなる補助ヒンジ部452が、配設されている。補助ヒンジ部452は、扉部449の左右方向の全長にわたって配設されている。補助ヒンジ部452は、補助ヒンジ部452の上部側の部位、すなわち、上部側扉部449bを、下開きに開き可能としている。
このような構成では、展開膨張するエアバッグ26によって破断予定部450が破断して、扉部449が押し開かれる際に、上端449a側から開く。そのため、図83Aに示すように、まず、補助ヒンジ部452が屈曲して、補助ヒンジ部452の上方側に配置される上部側扉部449bが、下開きで開く。ついで、図83Bに示すように、下端側ヒンジ部451が屈曲して、下端側ヒンジ部451の上方側に配置される下部側扉部449cが、開いて、扉部449の全体が、開く。
すなわち、扉部449は、全開する際、補助ヒンジ部452の上方の上部側扉部449bを屈曲させた状態で、下部側扉部449cが開く。そのため、下端側ヒンジ部451のみを設けた扉部を用いる場合に比して、この扉部449では、下端側ヒンジ部451から扉部上端449aまでの実質的な回転半径d1を、小さくすることができる。ちなみに、下端側ヒンジ部451のみを設けた扉部の回転半径は、扉部自体の扉部に沿った上下方向における幅寸法w15となって、回転半径d1より大きい。その結果、扉部449は、エアバッグ26の展開膨張に必要な開口エリアOAを確保可能に開いた際、運転者側となる端部449aの水平方向における車両後方側への突出を、抑えることができる。
したがって、第11実施形態のエアバッグ装置M11でも、第9・10実施形態と同様に、エアバッグ26の展開膨張時に開く扉部449の車両後方側への突出量を、抑えるこ
とができて、エアバッグ26を円滑に展開膨張させることができる。
また、エアバッグ装置M11でも、前述のエアバッグ装置M9・M10と同様に、扉部449が下開きとされている。そのため、展開膨張するエアバッグ26が、扉部449の開き当初に、開口エリアOAの上部側から突出することとなる。その結果、エアバッグ装置M11でも、エアバッグ装置M9・M10と同様に、展開膨張するエアバッグ26が、上方に向かって突出し易くなり、コラムカバー下面9a側に沿って、円滑に、展開膨張する。
さらに、エアバッグ装置M11において、インテグラルヒンジからなる補助ヒンジ部452の曲げ強度を、小さく設定すれば、以下の作用・効果を得ることができる。すなわち、エアバッグ26が展開膨張する際に、仮に、扉部449の端部449aが運転者の膝に干渉したとしても、図83Bの二点鎖線で示すように、端部449aが運転者の膝に押される。そのため、扉部449は、補助ヒンジ部452によって車両前方側へ撓ませることができる。そのため、エアバッグ装置M11は、運転者の膝を一層的確に保護することができる。
なお、エアバッグ装置M11では、補助ヒンジ部452を1つ配置させている。しかし、補助ヒンジ部452は、2つ以上配置させてもよい。また、扉部449が上端449a側から開きやすいように、破断予定部の肉厚を適宜変更してもよい。具体的には、上部側扉部449bの側方側に配置される破断予定部を、下部側扉部449cの側方側に配置される破断予定部よりも薄肉に形成する。また、上部側扉部449bの上端449a付近に配置される破断予定部を、上部側扉部449bの側方側に配置される破断予定部よりも、さらに薄肉に形成する。このような構成では、上方側に配置される破断予定部ほど破断し易い。その結果、扉部449は、展開膨張するエアバッグ26に押される際、円滑に、上端449a側から開くこととなる。
つぎに、図84に示す第12実施形態の膝保護用エアバッグ装置M12について説明する。このエアバッグ装置M12は、エアバッグカバー456以外の部品は、第9実施形態のエアバッグ装置M9と同様の構成であり、同一の図符号を付して、説明を省略する。
エアバッグカバー456は、前述のエアバッグ装置M9・M10・M11と同様に、エアバッグカバー本体部457と、扉部458と、を備える。扉部458は、エアバッグカバー本体部457と一体的に形成されており、また、ケース419における開口419c付近の車両後方側を覆うように配置されている。エアバッグカバー本体部457と扉部458とは、前述のエアバッグ装置M10・M11と同様に、平板状として、コラムカバー9の下方側において、上端側から下方にかけて、車両前方側に向かって、斜め下向きに傾斜している。扉部458は、前述のエアバッグ装置M9・M10・M11と同様に、エアバッグカバー本体部457の上下方向の略中央に配置されて、車内側から見て略長方形状としている。
そして、扉部458の下端458aが、ケース開口419cの下縁419dよりも、上方側に配置されている。すなわち、扉部458自体の扉部458に沿った上下方向における幅寸法w16が、ケース開口419cにおける開口419cに沿った上下方向の幅寸法w17より、小さい。また、扉部458の周囲には、前述のエアバッグ装置M9・M10・M11と同様、車内側から見て略逆U字形状となる薄肉の破断予定部459が、配設されている。そして、扉部458は、下端458a側に、薄肉のヒンジ部460を配設させて、下開きとなるように設定されている。また、ケース開口419cにおける下部側は、エアバッグカバー本体部457に覆われている。
エアバッグカバー456をこのような構成とすれば、扉部458自体の扉部458に沿った上下方向の幅寸法w16が、ケース419の開口419cにおける開口419cに沿った上下方向の幅寸法w17より、小さい。そのため、上下方向の幅寸法をケース開口419cにおける上下方向の幅寸法と略同一とした扉部を配置させる場合に比して、この扉部458では、エアバッグ26の膨張時における扉部458の上端458b、即ち、開いた際に運転者側となる端部458b、の水平方向における車両後方側への突出を、抑えることができる。
また、第12実施形態では、扉部458の下端458aが、ケース開口419cの下縁419dよりも上方側に配置され、かつ、ケース開口419cにおける下部側が、エアバッグカバー本体部457に覆われている。しかし、この構成では、ケース周壁部419aの軸方向Oがステアリングコラム3の軸方向に沿うように配置され、エアバッグ26は、コラムカバー9の下方位置において、そのケース419内から、コラムカバー9の下面9a側に沿うように、車両後方側における上方に向かって展開膨張する。そのため、ケース開口419cにおける下部側が、エアバッグカバー本体部457に覆われていても、展開膨張するエアバッグ26は、ケース開口419cの上部側を通過する。そして、エアバッグ26は、極力、エアバッグカバー本体部457との干渉を抑えて、ケース419から突出して、円滑に展開膨張する。
したがって、第12実施形態のエアバッグ装置M12でも、第9〜11実施形態と同様に、エアバッグ26の展開膨張時に開く扉部458の車両後方側への突出量を、抑えることができて、エアバッグ26を円滑に展開膨張させることができる。
なお、エアバッグ装置M12では、扉部458が、下端458a側にヒンジ部460を配置させて、下開きとなるように設定されている。しかし、扉部458の開き方向は、これに限られるものではない。例えば、図85に示すように、扉部458の上端458b側に、ヒンジ部460を配置させて、扉部458を上開きとするように、構成してもよい。
また、第9・10・11・12実施形態では、エアバッグカバー本体部413・434・448・457と扉部414・435・449・458とが、一体的に形成されている。しかし、エアバッグカバー463として、図86〜88に示すように、エアバッグカバー本体部464と扉部465とを別体から形成してもよい。
図86〜88に示すエアバッグカバー463は、例えば、扉部465の一端とエアバッグカバー本体部464とが、蝶番等のヒンジ(図示せず)により、連結されている。
そして、ヒンジから上下方向に離れた扉部465の端部465a(図例では上端部)に、係合手段466を、配置させてもよい。この係合手段466は、エアバッグカバー本体部464に係合して、扉部465の閉状態を維持するものである。
図86に示す係合手段466は、凹部464aと凸部465bとから構成されている。凹部464aは、エアバッグカバー本体部464の端部におけるケース419側に、設けられる。凸部465bは、凹部464aに嵌合可能として、扉部465の端部465aに、設けられている。
また、図87に示す係合手段466は、係合プレート468と係合突起部469とから構成されている。係合突起部469は、扉部465の端部465a付近に、ケース419側に向かって突出するように配置されている。係合プレート468は、エアバッグカバー本体部464におけるケース419側に、配置され、係合突起部469を係合可能な係合穴部468aを備えて構成されている。
図88に示す係合手段466は、係合プレート468と係止爪部470とから構成されている。係止爪部470は、扉部465の端部465a付近に、ケース419側に向かって突出し、係合プレート468の係合受け部468bに係止させる構成としている。
なお、いずれの場合にも、係合手段466は、エアバッグ26が展開膨張して扉部465を押し開く際に、係合状態を容易に解除可能とされている。
また、エアバッグカバー412・433・447・456自体は、インパネ11のロアパネル13やロアカバー9Aと一体的に形成してもよいし、あるいは、ロアパネル13やロアカバー9Aと別体から形成してもよい。このような構成は、エアバッグカバー本体部と扉部とが、一体的に形成されている場合に限らず、別体で形成されている場合も同様である。但し、一体的に形成する場合には、外観意匠を良好にすることができる。
さらに、エアバッグ装置M9・M11・M12に、エアバッグ装置M10に配置されている角度規制部材(リンク機構439・テザー444)を配置させる構成としてもよい。また、エアバッグ装置M9の扉部414に、エアバッグ装置M11の如く補助ヒンジ部を配置させる構成としてもよい。
さらに、エアバッグカバー463の扉部465を別体で形成する場合には、図89・90に示す第13実施形態の膝保護用エアバッグ装置M13のように構成してもよい。このエアバッグ装置M13は、図78〜80の示す第10実施形態の各部と略同様である。しかし、第10実施形態とは、エアバッグカバー463の扉部465が、本体部464と別体に形成されるとともに、扉部465の角度規制部材の代わりに、クリップ530が利用されている点を、相違させている。そのため、インフレーター21、エアバッグ26、及び、ケース419等は、第10実施形態と同一符号を付して、説明を省略する。
クリップ530は、扉部465の左右両縁付近に配設されている。各クリップ530は、ブラケット507の係止孔508に挿入されて、ブラケット507に係止される。ブラケット507は、ケース419の左右両側に固着されている。また、ケース419には、各ブラケット507に係止させたクリップ530の延長線上に、ストッパ510を配設させている。ストッパ510は、ケース419の左右両側面に固着されたブラケット509に取り付けられている。各ブラケット509には、ナット509aが固着されており、ストッパ510は、各ナット509aに螺合させて、配設されている。なお、ストッパ510は、メンテナンス等で、扉部465を取り外す際に、取り外される。
各クリップ530は、図89〜93に示すように、係止芯材部531と、係止芯材部531に外装させるキャップ541と、から構成されている。
係止芯材部531は、剛性を有した鋼棒等の金属製として、連結部532、大径部533、首部534、及び、頭部535を備えている。連結部532は、円板状として、扉部465に埋設されて、扉部465と連結されている。大径部533は、連結部532に連なる円柱状とし、首部534は、大径部533の端面から、大径部533より小径として円柱状に突出している。頭部535は、首部534の先端部534aに連結されて、首部534より外径寸法を大きくしている。この頭部535は、テーパ部535a・535bを備える。テーパ部535bは、元部側に配置されて、先端側に向って広がっている。テーパ部535aは、先端部側に配置されて、先端側に向かって狭まっている。
キャップ541は、ポリアミド(66ナイロン)やオレフィン系熱可塑性エラストマー等の弾性変形可能な合成樹脂やゴム等から形成されている。キャップ541は、略円筒状
に形成され、先端側を、厚肉として先細り状としている。キャップ541は、図89・90・92〜94に示すように、係止芯材部531に外装した際、大径部533付近から頭部535の元部(テーパ部535b)まで覆い、かつ、頭部535に係止される。このキャップ541は、係止芯材部531に外装させた際、元部側の端部に位置する円環状の鍔部548が、扉部465に当接し、先端側が、係止芯材部531の頭部536付近までを覆う。
そして、キャップ541は、先端側の係止固定部542と、元部側の円筒部544と、を備える。係止固定部542は、元部側にかけて、外径寸法を大きくするように、厚肉のテーパ状に形成されている。そして、円筒部544と係止固定部542との間の外周面には、第1凹溝543が形成されている。第1凹溝543は、係止孔508の内周面部位508aを嵌合可能としている。円筒部544は、係止固定部542より、内径寸法を拡径させている。また、円筒部544は、外径寸法を、第1凹溝543の底部の外径寸法と略等しく設定されている。さらに、キャップ541には、係止固定部542の先端から、円筒部544付近まで、複数のスリット547が形成されている。
このクリップ530では、係止孔508への係止状態として、第1係止状態と第2係止状態との二種類がある。
第1係止状態は、図94のA・Bに示すように、係止芯材部531にキャップ541を外装させた状態で、係止孔508に挿入させて、第1凹溝543に、係止孔508の内周面部位508aを嵌合させた状態である。この第1係止状態では、クリップ530が、係止孔508からの抜け方向に引っ張られた際、図94のCに示すように、キャップ541をブラケット507に係止させた状態で、係止芯材部531の頭部535が、第1凹溝543付近まで、移動可能となる。この移動は、係止固定部542付近にスリット547が配置されており、係止固定部542が、内径を広げるようにして、容易になされる。しかし、係止固定部542が、第1凹溝543付近では、厚肉となっている。そのため、係止芯材部531の頭部535が、係止固定部542から抜けず、係止孔508の部位を潜り抜けることができない。すなわち、キャップ541の第1凹溝543に、係止孔508の内周面部位508aが嵌合されている第1係止状態では、係止芯材部531は、係止孔508から抜けない。
なお、図94のCでは、係止芯材部531が、係止孔508の軸方向に沿って、直線状に引き抜く状態を示している。しかし、車両搭載状態では、係止芯材部531は、頭部535側より、大径部533側が下がるように、揺動しながら、移動する。
第2係止状態は、図95のAに示すように、クリップ530を係止孔508側へ押し込んで、円筒部544を、係止孔508の内周面部位508aに配置させた状態である。この第2係止状態では、クリップ530が、係止孔508から抜け方向に引っ張られた際、図95のBに示すように、キャップ541をブラケット507に係止させた状態で、係止芯材部531の頭部535が、係止固定部542を潜り抜けることができる。この時、キャップ541における係止固定部542は、その厚肉の元部側が、係止孔508から離脱していることから、頭部535が、支障なく、係止固定部542を潜り抜けることとなる。そしてさらに、頭部535は、円筒部544を潜り抜けて、ブラケット507から離脱することができる。すなわち、キャップ541の円筒部544の部位が、係止孔508の位置に配置される第2係止状態では、係止芯材部531は、係止孔508から引き抜くことができる。
そして、このクリップ530では、図89・90に示すように、第1係止状態で、扉部465をケース419に連結させて、扉部465が、エアバッグカバー本体部464の開
口464bを塞ぐように、構成されている。また、展開膨張するエアバッグ26に押されて、扉部465が開く際には、図89・96に示すように、係止芯材部531の頭部535が係止孔508から抜けない状態で、頭部535が第1凹溝543近傍まで移動する分だけ、扉部465を開かせることができる。そして、頭部535の移動ストローク分、扉部465が開いて、エアバッグ26を、ケース419やエアバッグカバー本体部464の開口419c・464bから突出させることとなる。
また、メンテナンス等で、扉部465を外す際には、ストッパ510を取り外して、扉部465におけるクリップ530の配置位置付近を、車両前方側に押し、各クリップ530を第2係止状態に移行させる。そして、扉部465を引き抜けば、各クリップ530の係止芯材部531が、キャップ431の円筒部544付近を係止孔508周縁に係止させた状態で、係止孔508から引き抜くことができる。キャップ431は、その後、係止孔508から引き抜いて、係止芯材部531に外装させておく。
なお、通常時には、ストッパ510が配設されている。そのため、円筒部544の部位を係止孔508の部位に配置させるように、扉部465を押しても、図94のBの二点鎖線に示すように、係止芯材部531の頭部535が、ストッパ510に当接する。そのため、クリップ530は、第2係止状態に移行しない。
また、扉部456のケース419への取り付けは、各係止芯材部531にキャップ541を外装させた状態で、各クリップ530を係止孔508に挿入させ、第1凹溝543に、係止孔508の内周面部位508aを嵌合させればよい。
そして、第13実施形態のエアバッグ装置M13では、扉部465が、下端465cを上端465aの下方の車両前方側に配置させて、エアバッグカバー本体部464の開口464bとケース419の開口419cとを塞いでいる。また、開き時、扉部465の左右に配置されたクリップ530が、扉部465に対して、その上下方向の上部側でなく、上下方向の略中間位置に連結されている。そして、クリップ530は、係止孔508の周縁で支持されているが、その軸方向に沿って移動可能で、かつ、係止孔508を中心とした上下方向の揺動を可能としている。そのため、扉部465が展開膨張するエアバッグ26に押されると、扉部465の上端465a側の開き幅を、下端465c側の開き幅より、大きくして、開く態様が可能となる。そのため、扉部465自体が、案内板部としての役目を果たす。すなわち、扉部465は、開き途中の上面(エアバッグ側のメン)465dで、エアバッグ26の突出方向を、コラムカバー下面に沿わせるように案内することとなる。
なお、第13実施形態のクリップ530は、扉部を別体とすれば、各実施形態の扉部に、配設させることができる。
また、第13実施形態のクリップ530は、係止芯材部531とキャップ541とを直線状に形成した。しかし、図97〜100に示す第14実施形態のクリップ530Aのように、係止芯材部531とキャップ541との軸線を、円弧状に形成してもよい。この軸線の円弧は、扉部435のヒンジ部437を中心とした円弧である。
さらに、この第14実施形態の膝保護用エアバッグ装置M14は、図78・79に示す第10実施形態のエアバッグ装置M13と略同様の構成である。すなわち、第14実施形態では、角度規制部材としてのリンク機構439の代わりに、クリップ530Aを使用したものであり、第10実施形態と同一の部材には、同一の符号を付して、説明を省略する。
このような曲がりクリップ530Aを使用する膝保護用エアバッグ装置M14では、クリップ530Aが、図99・100に示すように、係止芯材部531の頭部535が、キャップ541の第1凹溝543付近まで移動して、扉部435の開き角度を規制することとなる。
なお、第14実施形態の曲がりクリップ530Aを、ストッパ510と併用して、第13実施形態に、利用してもよい。