JP2007261427A - バンパー構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】両端部が車体側に傾斜しているバンパーリインフォースメントを備えるバンパー構造であって、バンパーリインフォースメントが直線状に伸ばされるときに吸収される衝突エネルギー量を増大させることが可能なバンパー構造を提供すること。
【解決手段】一対のバンパーステイと、両端部が車体側に傾斜しているバンパーリインフォースメントと、を備えるバンパー構造であって、前記バンパーステイは、車体と前記バンパーリインフォースメントとの間に介設されるステイ本体と、当該ステイ本体に付設された支持アームとを有し、前記バンパーリインフォースメントは、その両端部の各々に、車幅方向に並ぶ二つの支持部を有し、外側の前記支持部が前記ステイ本体によって支持されており、内側の前記支持部が前記支持アームによって支持されていることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】一対のバンパーステイと、両端部が車体側に傾斜しているバンパーリインフォースメントと、を備えるバンパー構造であって、前記バンパーステイは、車体と前記バンパーリインフォースメントとの間に介設されるステイ本体と、当該ステイ本体に付設された支持アームとを有し、前記バンパーリインフォースメントは、その両端部の各々に、車幅方向に並ぶ二つの支持部を有し、外側の前記支持部が前記ステイ本体によって支持されており、内側の前記支持部が前記支持アームによって支持されていることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、一対のバンパーステイとバンパーリインフォースメントとにより構成されるバンパー構造に関する。
一対のバンパーステイとバンパーリインフォースメントとにより構成されるバンパー構造は、特許文献1などに開示されている。このバンパー構造は、バンパーリインフォースメントとバンパーステイとが変形することによって衝突エネルギーを吸収するものである。
特開2005−254829号公報
ところで、両端部が車体側に傾斜しているバンパーリインフォースメント(例えば、全体が円弧状に湾曲しているバンパーリインフォースメントや、両端部が車体側に屈曲しているバンパーリインフォースメントなど)を備えるバンパー構造においては、バンパーリインフォースメントの屈曲部分が直線状に伸ばされることによっても、衝突エネルギーが吸収される。例えば、特許文献1のバンパー構造においては、バンパーステイが潰される前に、バンパーリインフォースメントの屈曲部分が直線状に伸ばされることによって、衝突エネルギーが第一次的に吸収されるようになっている。
ところが、車体後部のバンパー構造のようにバンパーリインフォースメントの曲げ剛性が小さい場合には、バンパーリインフォースメントが直線状に伸ばされることによって吸収される衝突エネルギー量も小さくなってしまう。
一方、バンパーリインフォースメントを重厚にしてその曲げ剛性を大きくすれば、直線状に伸ばされることによって吸収される衝突エネルギー量を増大させることもできるが、このようにすると、車体の軽量化を望む需要者のニーズに応えられなくなる虞がある。
このような観点から、本発明は、両端部が車体側に傾斜しているバンパーリインフォースメントを備えるバンパー構造であって、バンパーリインフォースメント自体の剛性を増大させなくとも、バンパーリインフォースメントが直線状に伸ばされるときに吸収される衝突エネルギー量を増大させることが可能なバンパー構造を提供することを課題とする。
このような課題を解決する本発明は、一対のバンパーステイと、両端部が車体側に傾斜しているバンパーリインフォースメントと、を備えるバンパー構造であって、前記バンパーステイは、車体と前記バンパーリインフォースメントとの間に介設されるステイ本体と、当該ステイ本体に付設された支持アームとを有し、前記バンパーリインフォースメントは、その両端部の各々に、車幅方向に並ぶ二つの支持部を有し、外側の前記支持部が前記ステイ本体によって支持されており、内側の前記支持部が前記支持アームによって支持されていることを特徴とする。
本発明においては、バンパーリインフォースメントが一対のステイ本体によって支持されるだけでなく、一対のステイ本体間に配置される一対の支持アームによっても支持されることになる。このようにすると、支持アームがない場合に比べて、バンパーリインフォースメントの実質的な支点間距離が短くなるので、バンパーリインフォースメント自体の剛性を増大させなくとも、バンパーリインフォースメントが直線状に伸ばされる際の抵抗力が増大し、ひいては、バンパーリインフォースメントが直線状に伸ばされる際に吸収される衝突エネルギー量が増大することになる。また、本発明によると、バンパーリインフォースメントが直線状に伸ばされるのに伴って支持アームが変形するので、支持アームがない場合に比べて、バンパーリインフォースメントが直線状に伸ばされる際に吸収される衝突エネルギー量が大きくなる。
本発明においては、前記支持アームの圧潰強度が前記ステイ本体の圧潰強度よりも小さいことが好ましい。すなわち、車体前後方向の衝突荷重を作用させたときに、ステイ本体に塑性座屈や塑性曲げ変形が発生する荷重よりも小さい荷重で、支持アームに塑性座屈や塑性曲げ変形が発生することが望ましい。このようにすると、ステイ本体の圧潰(塑性座屈や塑性曲げ変形)が開始される前に、支持アームが圧潰(塑性座屈や塑性曲げ変形)することになるので、支持アームの塑性変形による衝突エネルギーの吸収が確実なものとなる。
前記支持アームは、前記バンパーリインフォースメントに近づくにしたがって前記ステイ本体から離間するように形成されていることが好ましい。このようにすると、一対の支持アームの離間距離が小さくなるので、バンパーリインフォースメントが直線状に伸ばされる際の抵抗力がより一層増大し、吸収される衝突エネルギー量もより一層増大することになる。
本発明に係るバンパー構造は、前記支持アームの中間部分と前記ステイ本体とを連結する連結アームをさらに備えるものであってもよい。このようにすると、支持アームがステイ本体にしっかりと固定されることになる。
連結アームを備えている場合には、前記支持アームを、前記連結アームとの接続点で屈曲させるとよい。このようにすると、支持アームは、連結アームとの接続点よりもバンパーリインフォースメント側において塑性曲げ変形を起こし易くなる。つまり、支持アームを屈曲させるとともに、この屈曲点に連結アームを接続することで、支持アームの塑性変形モードを制御することが可能となり、その結果、吸収される衝突エネルギー量にばらつきが生じ難くなる。
なお、より好ましくは、前記支持アームは、前記連結アームとの接続点よりも前記バンパーリインフォースメント側にある部位が塑性曲げ変形をした後に、前記接続点よりも前記ステイ本体側にある部位が塑性座屈するように、形状および剛性が設定されていることが望ましい。このようにすると、支持アームの圧潰によって吸収される衝突エネルギー量が大きくなる。
前記ステイ本体は、筒状部と、前記筒状部の前面および後面の少なくとも一方に立設された一対の壁部とを備えているものが好ましく、さらには、前後方向に衝突荷重が作用したときに、前記一対の壁部の少なくとも一方が前記筒状部に減り込むように、前記筒状部および前記一対の壁部の剛性が設定されていることが好ましい。このようにすると、車体の前後方向に衝突荷重が作用したときに、壁部が筒状部に減り込むことで筒状部が前後方向に潰れるので、ステイ本体が車体の幅方向外向きに座屈し難くなり、さらには、筒状部の前後方向への潰れ(すなわち、筒状部により形成される筒状空間の前後方向への潰れ)が進行した後に、一対の壁部の変形(すなわち、一対の壁部を利用して形成される筒状空間の前後方向への潰れ)が進行するので、前後方向への変形量が大きいうえに、平均圧潰荷重が高く、エネルギー吸収量も大きくなる。
なお、前記ステイ本体と前記支持アームとは、別体とし、かつ、各々をアルミニウム合金製の押出形材で形成するとよい。このようにすると、大型の押出装置を使用せずともバンパーステイを製造することが可能となる。また、アルミニウム製の押出形材とすることで、軽量化・低コスト化を図ることが可能となり、さらには、製造が容易になるとともに、品質が安定する。
本発明によると、バンパーリインフォースメントが直線状に伸ばされるときに吸収される衝突エネルギー量を増大させることが可能となる。
本発明を実施するための最良の形態を、添付した図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本実施形態では、バンパー構造がリアバンパーを構成する場合を例示し、「前後」、「右左」、「上下」は車体に取り付けられた状態を基準とする。
図1および図2に示すように、本実施形態に係るバンパー構造100は、バンパーリインフォースメント1と、一対のバンパーステイ2,2とを備えて構成されている。
バンパーリインフォースメント1は、車体の後方に配置されるアルミニウム合金製の部材であって、その両端部が車体の一部であるサイドメンバM側(前方)に傾斜している。このようなバンパーリインフォースメント1は、アルミニウム合金製の中空押出形材に曲げ加工を施すことにより得ることができる。なお、以下の実施形態においては、バンパーリインフォースメント1のうち、車体側に傾斜している部位を傾斜部11と称し、車幅方向に沿って配置される直線状の部位を中央部12と称することとする。
傾斜部11は、図2に示すように、その側端に向かうに従ってサイドメンバM側に近づくように中央部12の側端部から延出している。傾斜部11は、車幅方向に並ぶ二つの支持部1A,1Bを備えていて、外側の支持部1Aがバンパーステイ2のステイ本体3によって支持され、内側の支持部1Bがバンパーステイ2の支持アーム4によって支持されている。なお、図1に示すように、外側の支持部1Aの後壁には、複数の透孔11a,11aが形成されており、前壁には、透孔11aに対応する位置に、透孔11aよりも径の小さいボルト挿通孔11b,11bが形成されている。また、内側の支持部1Bの後壁には、透孔11cが形成されており、前壁には、透孔11cに対応する位置に、透孔11cよりも径の小さいボルト挿通孔11dが形成されている。
バンパーステイ2は、図1に示すように、車体を構成するサイドメンバMとバンパーリインフォースメント1の間に介設されるステイ本体3と、このステイ本体3に付設された支持アーム4と、この支持アーム4の中間部分とステイ本体3とを連結する連結アーム5とを備えて構成されている。
ステイ本体3は、図3に示すように、バンパーリインフォースメント1の外側の支持部1Aを支持するアルミニウム合金製の部材であり、筒状部3Aと、この筒状部3Aの前面に立設された一対の壁部3B,3Bと、一対の壁部3B,3Bを連結するように配置された連結部3Cとを備えて構成されている。筒状部3A、一対の壁部3B,3Bおよび連結部3Cは、サイドメンバMとバンパーリインフォースメント1との間に、前後方向に並ぶ二つの筒状空間3x,3yを形成する。筒状空間3x,3yは、それぞれ、上面および下面が開口している。
筒状部3Aは、バンパーリインフォースメント1に固定される取付部31と、この取付部31から壁部3Bとの接続点j1に至る変形部32と、一方の接続点j1から他方の接続点j1に至る仕切部33とを備えて構成されている。なお、取付部31と、対向する一対の変形部32,32と、仕切部33とで囲まれた空間が筒状空間3xに相当する。筒状空間3xには、その内部を左右に仕切るような補強リブ等が存在しない。つまり、筒状部3Aの内部には、壁部3Bの減り込みを阻害するような補強リブ等は存在しない。
取付部31は、平板状を呈していて、外側の支持部1Aの前壁に当接する。取付部31には、傾斜部11のボルト挿通孔11b(図1参照)に対応する位置に、ボルト挿通孔31aが形成されている。ボルト挿通孔31aには、バンパーリインフォースメント1をステイ本体3に固定するための固定ボルトB1(図2参照)が挿通される。また、取付部31の中央部には、他の部位よりも肉厚の薄い薄肉部31bが形成されている。薄肉部31bには、バンパーリインフォースメント1の内部から図示せぬリベットが打ち込まれる。
変形部32は、二つの屈曲点b1,b2を有し、この屈曲点b1,b2で屈曲している。一方の屈曲点b1は、二つの接続点j1,j1を通る直線p1上に位置しており、他方の屈曲点b2は、直線p1よりもバンパーリインフォースメント1側に位置している。
なお、以下の説明においては、取付部31と変形部32との接続点j2(本実施形態では取付部31の縁端)から屈曲点b2に至る平板状の部位(すなわち、取付部31からサイドメンバMに向かって起立した部位)を起立片32aと称し、変形部32と壁部3Bとの接続点j1から屈曲点b1に至る平板状の部位(すなわち、仕切部33の端縁から張り出した部位)を張出片32bと称することとする。また、屈曲点b1から屈曲点b2に至る平板状の部位(すなわち、起立片32aと張出片32bとを連結する部位)を接続片32cと称することとする。
左右の起立片32a,32aは、前後方向(車軸方向)に沿って互いに平行に配置されており、それぞれ、取付部31と斜交している。本実施形態では、バンパーリインフォースメント1の中央側(図3においては左側)に位置する起立片32aの方がバンパーリインフォースメント1の端部側(図3においては右側)にある起立片32aよりも長くなっている。なお、バンパーリインフォースメント1の中央側に位置する起立片32aの後端部(接続点j2付近)には、断面横L字状を呈する被係合片32dが突設されている。また、張出片32bは、仕切部33の端縁から側方に向かって張り出している。
仕切部33は、左右の変形部32,32を連結するものであり、取付部31と対向して配置されている。仕切部33は、断面円弧を呈していて、直線p1よりもバンパーリインフォースメント1側に突出している。
壁部3Bは、一つ屈曲点b3を有し、この屈曲点b3で屈曲している。なお、以下の説明においては、接続点j1から屈曲点b3に至る平板状の部位(すなわち、筒状部3AからサイドメンバMに向かって起立する部位)を後壁部37と称し、屈曲点b3から連結部3Cとの接続点j3に至る平板状の部位を前壁部38と称することとする。
後壁部37は、前後方向(車軸方向)に沿って形成された前壁部38に対して傾斜していて、変形部32の張出片32bと鋭角に交わっている。左右の後壁部37,37の離隔距離は、連結部3Cに向かうに従って大きくなっているが、筒状部3Aとの接続部分における離隔距離は、筒状部3Aの最大離隔距離d1よりも小さくなっている。左右の前壁部38,38の離隔距離(すなわち、壁部3B,3Bの最大離隔距離)d2は、筒状部3Aの最大離隔距離d1と等しくなっている。
なお、壁部3Bは、筒状部3Aの仕切部33と連結部3Cとによって他方の壁部3Bと連結されていることから、横倒れし難い構造になっている。
連結部3Cは、一対の壁部3B,3Bの先端同士を連結し、筒状部3Aの仕切部33と壁部3B,3Bとともに筒状空間3yを形成する。連結部3Cは、壁部3B,3Bの側方に張り出すフランジ39を備えている。フランジ39には、取付面M1に形成された雌ネジM11(図1参照)に対応する位置に、ボルト挿通孔39aが形成されている。ボルト挿通孔39aには、フランジ39をサイドメンバMの取付面M1に固定するための固定ボルトB3(図2参照)が挿通される。
ステイ本体3は、これと同一の断面形状を有するアルミニウム合金製の押出形材を、その押出方向を法線方向とする平面で切断するとともに、不要な部位を切除するだけで製造することができる。
支持アーム4は、図4に示すように、バンパーリインフォースメント1の内側の支持部1Bを支持するアルミニウム合金製の部材であり、アーム本体部41と、このアーム本体部41の一端(後端に形成された第一接合部42と、アーム本体部41の他端(前端)に形成された第二接合部43とを備えて構成されている。
アーム本体部41は、バンパーリインフォースメント1に近づくにしたがってステイ本体3から離間するように形成されていて、かつ、連結アーム5との接続点j4で屈曲している。なお、以下の説明においては、アーム本体部41のうち、接続点j4よりもバンパーリインフォース1側にある帯板状の部位を第一変形片41aと称し、接続点j4よりもサイドメンバM側にある帯板状の部位を第二変形片41bと称することとする。
第一変形片41aは、接続点j4を通る直線であってステイ本体3の中心線に平行な直線(すなわち、車軸に平行な直線)p2に対して傾斜していて、接続点j4からバンパーリインフォースメント1に近づくにしたがってステイ本体3から離間する。第二変形片41bも、直線p2に対して傾斜していて、サイドメンバMから接続点j4に近づくにしたがってステイ本体3から離間するが、直線p2に対する傾斜角度θbは、第一変形片41aの直線p2に対する傾斜角度θaよりも小さくなっている。
第一接合部42は、アーム本体部41の後端からバンパーリインフォースメント1に沿って延出していて、内側の支持部1Bの前壁に当接する。第一接合部42には、支持部1Bのボルト挿通孔11d(図1参照)に対応する位置に、ボルト挿通孔42aが形成されている。ボルト挿通孔42aには、第一接合部42をバンパーリインフォースメント1の内側の支持部1Bに固定するための固定ボルトB2(図1参照)が挿通される。
第二接合部43は、ステイ本体3の連結部3Cのフランジ39に重なるように、アーム本体部41の前端部からステイ本体3の壁部3Bに向かって張り出している。第二接合部43には、フランジ39のボルト挿通孔39aに対応する位置に、ボルト挿通孔43aが形成されている。ボルト挿通孔43aには、固定ボルトB3(図2参照)が挿通され、固定ボルトB3を締め付けることで、第二接合部43がステイ本体3のフランジ39に接合されるとともに、フランジ39がサイドメンバMの取付面M1に固定される。
連結アーム5は、帯板状を呈していて、支持アーム4の中間部分とステイ本体3の後端部(取付部31と内側の変形部32との接続点j2付近)とを連結している。連結アーム5は、支持アーム4と一体に成形されている。すなわち、連結アーム5は、支持アーム4の中間部分からステイ本体3に向かって張り出している。連結アーム5の先端部には、ステイ本体3の被係合片32dに係合する係合片51が形成されていて、係合片51をステイ本体3の被係合片32dに係合することで、ステイ本体3と支持アーム4とが連結される。なお、連結アーム5の肉厚は、支持アーム4の肉厚よりも薄くなっている。
支持アーム4および連結アーム5は、これと同一の断面形状を有するアルミニウム合金製の押出形材を、その押出方向を法線方向とする平面で切断するとともに、不要な部位を切除するだけで製造することができる。
以上のように構成されたバンパー構造100においては、図5の(a)〜(c)に示すように、バンパーリインフォースメント1が直線状に伸ばされるのに伴って支持アーム4および連結アーム5の圧潰(塑性曲げ変形や塑性座屈)が進行し、その後、ステイ本体3の前後方向への圧潰が進行するように、バンパーリインフォースメント1、ステイ本体3、支持アーム4および連結アーム5の剛性、強度、形状などが設定されている。すなわち、図5の(a)に示すバンパー構造100において、バンパーリインフォースメント1に車体前後方向の衝突荷重が作用すると、図5の(b)に示すように、まず、バンパーリインフォースメント1の傾斜部11と中央部12との境界部分が直線状に曲げ伸ばされるとともに支持アーム4および連結アーム5が圧潰することで衝突エネルギーが吸収され、さらに、図5の(c)に示すように、ステイ本体3の筒状部3Aが前後方向に圧潰するなどして衝突エネルギーが吸収される。
図6および図7を参照してバンパーステイ2の各部の剛性について説明する。
ステイ本体3においては、車幅方向の外側(図6および図7においては右側)に位置する壁部3Bが筒状部3Aに減り込むように、筒状部3Aおよび一対の壁部3B,3Bの剛性、強度、形状などが設定されている。なお、本実施形態においては、図6の(a)および(b)に示すように、バンパーリインフォースメント1が直線状に伸ばされるのに伴って、筒状部3Aの車幅方向の内側(図6および図7においては左側)の変形部32がサイドメンバM側に移動(回転)するとともに、車幅方向の内側に位置する壁部3Bが傾倒を開始した後に、車幅方向の外側に位置する壁部3Bが筒状部3Aに減り込むように、筒状部3Aおよび一対の壁部3B,3Bの剛性、強度、形状などが設定されている(図6の(c)および図7の(a)〜(c)参照)。すなわち、本実施形態においては、車幅方向内側の壁部3Bが筒状部3Aの車幅方向内側の変形部32によって押し倒されことで、筒状空間3yの潰れが進行し、さらに、車幅方向外側の壁部3Bが筒状部3Aに減り込んで仕切部33が取付部31に近づくことで、筒状部3Aの潰れ(筒状空間3xの潰れ)が進行する。
ステイ本体3においては、車幅方向の外側(図6および図7においては右側)に位置する壁部3Bが筒状部3Aに減り込むように、筒状部3Aおよび一対の壁部3B,3Bの剛性、強度、形状などが設定されている。なお、本実施形態においては、図6の(a)および(b)に示すように、バンパーリインフォースメント1が直線状に伸ばされるのに伴って、筒状部3Aの車幅方向の内側(図6および図7においては左側)の変形部32がサイドメンバM側に移動(回転)するとともに、車幅方向の内側に位置する壁部3Bが傾倒を開始した後に、車幅方向の外側に位置する壁部3Bが筒状部3Aに減り込むように、筒状部3Aおよび一対の壁部3B,3Bの剛性、強度、形状などが設定されている(図6の(c)および図7の(a)〜(c)参照)。すなわち、本実施形態においては、車幅方向内側の壁部3Bが筒状部3Aの車幅方向内側の変形部32によって押し倒されことで、筒状空間3yの潰れが進行し、さらに、車幅方向外側の壁部3Bが筒状部3Aに減り込んで仕切部33が取付部31に近づくことで、筒状部3Aの潰れ(筒状空間3xの潰れ)が進行する。
支持アーム4においては、バンパーリインフォースメント1が直線状に伸ばされるのに伴って、第一変形片41aに塑性曲げ変形が発生して第一変形片41aがバンパーリインフォース1と略平行となった後に、第二変形片41bに塑性座屈が発生する(図6の(a)および図7の(a)〜(c)参照)ように、第一変形片41aおよび第二変形片41bの剛性、強度、形状などが設定されている。第二変形片41bは、第一変形片41aの塑性変形に伴って、ステイ本体3に近づくように回転して車軸と略平行となり(図6の(c)および図7の(a)参照)、その後、ステイ本体3が前後方向へ圧潰するのに伴って、塑性座屈する(図7の(b)および(c)参照)。なお、本実施形態では、支持アーム4の第一変形片41aの圧潰強度が、ステイ本体3の圧潰強度よりも小さくなっていて、第一変形片41aの圧潰(塑性曲げ変形)が開始した後に、ステイ本体3の圧潰が進行するようになっている。
連結アーム5は、バンパーリインフォースメント1が直線状に伸ばされるのに伴って塑性座屈するように(図6の(c)参照)、剛性、強度、形状などが設定されている。すなわち、連結アーム5は、支持アーム4の第一変形片41aがバンパーリインフォース1と略平行となるのに伴って塑性座屈するように剛性、強度、形状などが設定されている。
以上説明したバンパー構造100によれば、バンパーリインフォースメント1が一対のステイ本体3,3によって支持されるだけでなく、一対のステイ本体3,3間に配置される一対の支持アーム4,4によっても支持されることになるので、支持アーム4,4がない場合に比べて、バンパーリインフォースメント1の実質的な支点間距離が短くなる。すなわち、バンパー構造100によれば、バンパーリインフォースメント1自体の剛性を増大させなくとも、バンパーリインフォースメント1が直線状に伸ばされる際の抵抗力が増大し、ひいては、バンパーリインフォースメント1が直線状に伸ばされる際に吸収される衝突エネルギー量が増大することになる。また、バンパー構造100によると、バンパーリインフォースメント1が直線状に伸ばされるのに伴って支持アーム4および連結アーム5に塑性曲げ変形や塑性座屈が発生するので、支持アーム4がない場合に比べて、バンパーリインフォースメント1が直線状に伸ばされる際に吸収される衝突エネルギー量が大きくなる。
本実施形態においては、支持アーム4の圧潰強度をステイ本体3の圧潰強度よりも小さくしたので、ステイ本体3の圧潰が開始される前に、支持アーム4が圧潰する。すなわち、バンパーステイ2においては、ステイ本体3が圧潰する前においても、衝突エネルギーを吸収することが可能となる。
また、バンパー構造100においては、支持アーム4がバンパーリインフォースメント1に近づくにしたがってステイ本体3から離間するように形成されているので、一対の支持アーム4,4の離間距離が小さくなる。すなわち、バンパー構造100によれば、バンパーリインフォースメント1が直線状に伸ばされる際の抵抗力がより一層増大し、吸収される衝突エネルギー量もより一層増大することになる。
さらに、バンパー構造100においては、支持アーム4の中間部分とステイ本体3とを連結する連結アーム5を備えているので、支持アーム4がステイ本体3にしっかりと固定されることになる。
また、支持アーム4を、連結アーム5との接続点j4で屈曲させているので、接続点j4よりもバンパーリインフォースメント1側において塑性曲げ変形を起こし易くなる。つまり、支持アーム4を屈曲させるとともに、この屈曲点(接続点j4)に連結アーム5を接続することで、支持アーム4の塑性変形モードを制御することが可能となり、その結果、吸収される衝突エネルギー量にばらつきが生じ難くなる。
また、支持アーム4において、連結アーム5との接続点j4よりもバンパーリインフォースメント1側にある第一変形片41aが塑性曲げ変形をした後に、接続点j4よりもステイ本体側にある第二変形片41bが塑性座屈するように、剛性、強度、形状などが設定されているので、支持アーム4の圧潰によって吸収される衝突エネルギー量が大きくなる。
さらに、バンパーステイ2においては、車体の前後方向に衝突荷重が作用したときに、一方の壁部3Bが筒状部3Aに減り込むので、ステイ本体3が車体の幅方向外向きに座屈し難くなり、さらには、筒状部3Aの前後方向への潰れ(すなわち、筒状部3Aにより形成される筒状空間3xの前後方向への潰れ)が進行しつつ、壁部3Bの変形(すなわち、筒状空間3yの前後方向への潰れ)が進行するので、前後方向への変形量が大きいうえに、平均圧潰荷重が高く、エネルギー吸収量も大きくなる。
加えて、本実施形態においては、ステイ本体3と支持アーム4とを別体とし、かつ、各々をアルミニウム合金製の押出形材で形成したので、大型の押出装置を使用せずともバンパーステイ2を製造することが可能となる。また、これらをアルミニウム製の押出形材とすることで、軽量化・低コスト化を図ることが可能となり、さらには、製造が容易になるとともに、品質が安定する。
なお、本実施形態においては、筒状空間3x,3yの開口が上下になるように、バンパーステイ2を配置したが、これに限定されることはなく、図示は省略するが、筒状空間3x,3yの開口が左右になるようにバンパーステイ3を配置しても差し支えない。
本実施形態では、一対の壁部3B,3Bの一方を筒状部3Aに減り込ませたが、一対の壁部3B,3Bの両方を筒状部3Aに減り込ませてもよい。
本実施形態では、支持アーム4と連結アーム5を一体に成形したが、別体としても勿論差し支えない。また、本実施形態では、支持アーム4および連結アーム5をステイ本体3と別体としたが、一体に成形しても勿論差し支えない。
本実施形態においては、バンパー構造100がリアバンパーを構成する場合を例示したが、フロントバンパーに適用できることは言うまでもない。
100 バンパー構造
1 バンパーリインフォースメント
2 バンパーステイ
3 ステイ本体
3A 筒状部
3B 壁部
3C 連結部
3x,3y 筒状空間
4 支持アーム
5 連結アーム
M サイドメンバ
1 バンパーリインフォースメント
2 バンパーステイ
3 ステイ本体
3A 筒状部
3B 壁部
3C 連結部
3x,3y 筒状空間
4 支持アーム
5 連結アーム
M サイドメンバ
Claims (8)
- 一対のバンパーステイと、
両端部が車体側に傾斜しているバンパーリインフォースメントと、を備えるバンパー構造であって、
前記バンパーステイは、車体と前記バンパーリインフォースメントとの間に介設されるステイ本体と、当該ステイ本体に付設された支持アームとを有し、
前記バンパーリインフォースメントは、その両端部の各々に、車幅方向に並ぶ二つの支持部を有し、
外側の前記支持部が前記ステイ本体によって支持されており、内側の前記支持部が前記支持アームによって支持されていることを特徴とするバンパー構造。 - 前記支持アームの圧潰強度が前記ステイ本体の圧潰強度よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のバンパー構造。
- 前記支持アームは、前記バンパーリインフォースメントに近づくにしたがって前記ステイ本体から離間するように形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のバンパー構造。
- 前記バンパーステイは、前記支持アームの中間部分と前記ステイ本体とを連結する連結アームをさらに備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のバンパー構造。
- 前記支持アームは、前記連結アームとの接続点で屈曲していることを特徴とする請求項4に記載のバンパー構造。
- 前記支持アームは、前記連結アームとの接続点よりも前記バンパーリインフォースメント側にある部位が塑性曲げ変形をした後に、前記接続点よりも前記ステイ本体側にある部位が座屈するように、形状および剛性が設定されていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のバンパー構造。
- 前記ステイ本体は、筒状部と、前記筒状部の前面および後面の少なくとも一方に立設された一対の壁部とを備えており、
前後方向に衝突荷重が作用したときに、前記一対の壁部の少なくとも一方が前記筒状部に減り込むように、前記筒状部および前記一対の壁部の剛性が設定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のバンパー構造。 - 前記ステイ本体と前記支持アームとが、別体であり、かつ、各々がアルミニウム合金製の押出形材からなることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載のバンパー構造。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006089014A JP2007261427A (ja) | 2006-03-28 | 2006-03-28 | バンパー構造 |
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- 2006-03-28 JP JP2006089014A patent/JP2007261427A/ja active Pending
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