JP2007261120A - レーザー彫刻印刷版または印刷原版の再生方法 - Google Patents

レーザー彫刻印刷版または印刷原版の再生方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2007261120A
JP2007261120A JP2006089993A JP2006089993A JP2007261120A JP 2007261120 A JP2007261120 A JP 2007261120A JP 2006089993 A JP2006089993 A JP 2006089993A JP 2006089993 A JP2006089993 A JP 2006089993A JP 2007261120 A JP2007261120 A JP 2007261120A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
printing
printing plate
laser engraving
plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006089993A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5240968B2 (ja
Inventor
Hiroshi Yamada
浩 山田
Hiroshi Tomeba
啓 留場
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Chemicals Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Chemicals Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Chemicals Corp filed Critical Asahi Kasei Chemicals Corp
Priority to JP2006089993A priority Critical patent/JP5240968B2/ja
Publication of JP2007261120A publication Critical patent/JP2007261120A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5240968B2 publication Critical patent/JP5240968B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41CPROCESSES FOR THE MANUFACTURE OR REPRODUCTION OF PRINTING SURFACES
    • B41C1/00Forme preparation
    • B41C1/02Engraving; Heads therefor
    • B41C1/04Engraving; Heads therefor using heads controlled by an electric information signal
    • B41C1/05Heat-generating engraving heads, e.g. laser beam, electron beam
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41NPRINTING PLATES OR FOILS; MATERIALS FOR SURFACES USED IN PRINTING MACHINES FOR PRINTING, INKING, DAMPING, OR THE LIKE; PREPARING SUCH SURFACES FOR USE AND CONSERVING THEM
    • B41N3/00Preparing for use and conserving printing surfaces
    • B41N3/006Cleaning, washing, rinsing or reclaiming of printing formes other than intaglio formes

Abstract

【課題】フレキソ印刷版、ドライオフセット印刷版、レタープレス印刷版、オフセット印刷用ブランケットに適した印刷版を再生し、印刷原版として再生する方法の提供。
【解決手段】少なくとも感光性樹脂硬化物を含有する印刷版層を有するレーザー彫刻印刷版または印刷原版を再生する方法であって、前記感光性樹脂硬化物層の少なくとも一部分を除去する工程、前記除去された部分に表面処理を施す工程、前記表面処理された部分に感光性樹脂組成物を塗布する工程、前記塗布した感光性樹脂組成物に光を照射する工程、を含むレーザー彫刻印刷版または印刷原版の再生方法。
【選択図】なし

Description

本発明はフレキソ印刷版、ドライオフセット印刷版、レタープレス印刷版、オフセット印刷用ブランケットに適したレーザー彫刻印刷版または印刷原版の再生方法に関するものである。
段ボール、紙器、紙袋、軟包装用フィルムなどの包装材、壁紙、化粧板などの建装材、ラベル印刷などに用いられるフレキソ印刷は各種の印刷方式の中でその比重を高めている。これに用いる印刷版の製作には、通常、感光性樹脂が用いられることが多く、液状の樹脂、またはシート状に成形された固体樹脂板を用い、フォトマスクを感光性樹脂上に置き、マスクを通して光を照射し架橋反応を起こさせた後、非架橋部分を現像液で洗い落とす写真製版という方法が用いられてきた。近年、感光性樹脂表面にブラックレーヤーという薄い光吸収層を設け、これにレーザー光を照射し感光性樹脂板上に直接マスク画像を形成後、そのマスクを通して光を照射し架橋反応を起こさせた後、光の非照射部分の非架橋部分を現像液で洗い落とす、いわゆるフレキソCTP(Computer to Plate)という技術が開発され、印刷版製作の効率改善効果から、採用が進みつつある。しかしながら、この技術も現像工程が残るなど、効率改善効果も限られたものである。
現像不要な印刷版の製作方法としては、レーザーを使って直接印刷原版上にレリーフ画像を形成するレーザー彫刻法が知られている。
レーザー彫刻法では印刷原版にレーザーを照射し、照射された部分の樹脂が溶融あるいは分解することにより凹パターンが形成される。
このようなレーザー彫刻法は、彫刻の際に生じるカスの除去が困難であったり、良好な網点が得られない等の理由により実用化が困難であったが、近年、印刷原版の研究が進み、実用に耐え得るものとなりつつある(特許文献1参照)。
国際公開第03/022594号のパンフレット
ところで、印刷工程で使用された印刷版は、再生されずに廃棄されるため、支持体、クッション層を含めた使用済み印刷版廃棄物処理の問題が残されていた。したがって、再利用できる部分は再度利用し、廃棄物として処分する部分の量を可能な限り削減する方法が求められていた。
本発明は、フレキソ印刷版、ドライオフセット印刷版、レタープレス印刷版、オフセット印刷用ブランケットに適した印刷版を再生し、印刷原版として再生する方法を提供することを目的とする。
写真製版技術を用いて表面に凹凸パターンを形成する方法では、感光性樹脂組成物層を露光、現像する工程を経てパターンが形成され印刷版層を形成するため、パターン形成された印刷版層は感光性樹脂硬化物へと変質している。したがって、一度光硬化させて得られた感光性樹脂硬化物を再度、写真製版技術を用いてパターンを形成するために用いることは不可能であり、光硬化させた層を全て除去せずに印刷版を再生利用することはできない。
これに対し、レーザー彫刻法で表面に凹パターンを形成する方法では、レーザー照射により照射された部分の樹脂が溶融あるいは分解することにより凹パターンを形成するため、パターン形成により印刷版層自体の変質は起こらない。また、印刷工程において表面に付着するインキの印刷版層内部への浸透も、高々、数十μm程度の深さまでであることが分かった。
本発明者らはこれらの点に着目し、鋭意検討した結果、レーザー彫刻法用印刷版であれば、その印刷版層のパターンが形成されていた部分を除去し、露出した表面上に新たに感光性樹脂組成物を塗布し、塗布された感光性樹脂組成物を光硬化させ感光性樹脂硬化物を形成することにより元に戻すことができ、これにより印刷原版への再生が可能となることを見出し本発明を完成するに至った。
本発明は下記の通りである。
少なくとも感光性樹脂硬化物を含有する印刷版層を有するレーザー彫刻印刷版または印刷原版を再生する方法であって、
前記感光性樹脂硬化物層の少なくとも一部分を除去する工程、
前記除去された部分に表面処理を施す工程、
前記表面処理された部分に感光性樹脂組成物を塗布する工程、
前記塗布した感光性樹脂組成物に光を照射する工程、
を含むレーザー彫刻印刷版または印刷原版の再生方法。
本発明により、フレキソ印刷版、ドライオフセット印刷版、レタープレス印刷版、オフセット印刷用ブランケットに適したレーザー彫刻印刷版を、信頼性の高い印刷原版へ再生し、廃棄物の量を削減する方法を提供することができる。
以下、さらに詳細に本発明の好ましい実施態様を説明する。
本発明で再生するのは、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、レタープレス印刷、オフセット印刷用ブランケット等の用途で用いられるレーザー彫刻印刷版または印刷原版であり、少なくとも感光性樹脂硬化物を含む印刷版層を有する。この印刷版層がレーザ照射により溶融あるいは分解されて凹パターンが形成される。
本発明では、凹パターンを形成済みの印刷版だけでなく、製造過程での気泡混入、傷等の理由で不良となった印刷原版も対象となる。
本発明においては、感光性樹脂硬化物を含む印刷版層の少なくとも一部を除去する工程において、印刷版の凹パターン形成部や印刷原版の不良箇所等を除去する。
除去方法に限定はなく、一般に使用されている方法を採用することができるが、切削、研削、研磨、レーザー彫刻、ドリル孔明け等が好ましい。レーザー彫刻は、印刷版のパターン形成部や印刷原版の不良箇所を選択的に彫刻することができ好ましい。
また、レーザービームを印刷版に垂直に照射する通常の方法に加えて、シリンダーに装着した印刷版の接線方向にレーザービームを照射して切削する方法も含まれる。シート状の印刷版もシリンダー表面に貼り付けることによりレーザービームで切削する方法で加工することができる。
再生されるのが印刷版である場合、印刷工程においてインキが表面に付着あるいはパターン部表面から内部に浸透している可能性が高いので、少なくともパターン部表面の10μm以上は除去することが好ましい。
本発明においては、感光性樹脂硬化物を含む印刷版層の少なくとも一部分が除去された部分に、表面処理を施すことが必要である。
一度光硬化した感光性樹脂硬化物の表面には重合性不飽和基が存在していないため、たとえ同じ成分からなる未硬化の感光性樹脂組成物を積層しても、その界面での接着力は大きいものではなく、印刷時の機械的衝撃力に耐えられるものではない。そのため、その上に形成される感光性樹脂硬化物との接着性を確保し信頼性の高い印刷原版に再生する観点から表面処理が必要となる。
ここで、「表面処理」とは、その上に形成される感光性樹脂硬化物との接着性を向上させるために表面に対して施す処理をいい、接着性の向上効果があればいかなる処理であってもよい。
表面処理としては、波長300nm以下の紫外線、電子線、分子線、X線から選択される少なくとも1種類の高エネルギー線を照射するか、あるいはプラズマ雰囲気に曝すことが、既存の印刷版層とその上に形成される感光性樹脂硬化物との間に非常に強固な接合が生じることから好ましい。
ここで、「高エネルギー線」とは、399kJ/mol以上のエネルギー線をいう。
装置の汎用性、コスト、取り扱いの容易性の観点から、波長150nm以上300nm以下の紫外線を用いることが特に好ましい。より好ましい波長範囲は150nm以上260nm以下、さらに好ましくは150nm以上200nm以下である。
紫外線光源としては、エキシマレーザー、エキシマランプ、メタルハライドランプ、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯等を挙げることができるが、特に、キセノン・エキシマランプ、クリプトン・エキシマランプ、アルゴン・エキシマランプ、ネオン・エキシマランプ、フッ化アルゴン・エキシマレーザー、フッ化クリプトン・エキシマレーザー、フッ素・エキシマレーザーが好ましい。
表面改質法として、プラズマ処理法、電子線照射法、紫外線照射法等は従来からよく知られている。しかし、これらの一般に知られる表面改質法は、表面に極性基を導入することで濡れ性、塗布性等の向上を実現し接着性を改良するものである。
これに対し、感光性樹脂硬化物をプラズマ雰囲気に曝したり、感光性樹脂硬化物に高エネルギー線を照射すると、その上に感光性樹脂組成物を塗布して硬化させた場合に、単なる接着を越えた、強固な接合が生じることは予想外であった。
これは、感光性樹脂硬化物は、酸素原子、窒素原子を多く含有する化合物から形成されているため、高エネルギー線の照射や、プラズマ雰囲気への暴露により、その表面にカルボキシル基、水酸基、アミノ基等の反応性官能基が高濃度に生成し、その上に塗布される感光性樹脂組成物と反応するためと推定される。
さらに、プラズマ雰囲気への暴露により、感光性樹脂硬化物表面にラジカル種が発生し、その上に塗布される感光性樹脂組成物とグラフト重合反応するためとも推定される。
また、エネルギー線を照射する雰囲気が大気中であることが好ましい。大気中とは、窒素濃度79vol%、酸素濃度21vol%の気体だけでなく、酸素濃度が10vol%から30vol%の範囲の気体も含める。さらに、圧力は大気圧だけでなく、0.01Torr以上760Torr未満の減圧状態も含めるものとする。
さらに、感光性樹脂硬化物層の少なくとも一部分が除去された部分に表面処理を施す工程の後に、表面処理された部分接着剤層を形成する工程を含むことが好ましい。
接着剤層の厚さは20μm以下が好ましく、より好ましい範囲は10μm以下、さらに好ましい範囲は5μm以下である。接着剤層の厚さが厚い場合には、印刷版としての性能が大きく変化することが懸念されるが、接着剤層の厚さがこの範囲であれば、接着力を確保でき、接着剤層が存在していても印刷版の性能を確保できる。接着剤層の厚さの下限は、単分子層以上であればよいが、厚さの測定は極めて困難である。接着剤層の厚さを測定する方法としては、感光性樹脂硬化物を深さ方向へ切断し、その断面を透過型電子顕微鏡、高分解能電界放射型走査型電子顕微鏡を用いて観察し、元素分析等の手法を組み合わせる方法が好ましい。また、接着剤層の厚さがμmオーダー以上であれば、高倍率の光学顕微鏡等を用いて観察することも可能である。
接着剤層を形成するための化合物が、水酸基、カルボキシル基、アミノ基から選ばれる少なくとも1種類の官能基と反応し化学結合を形成する官能基、および、重合性不飽和基を有する化合物を含有することが好ましい。
水酸基、カルボキシル基、アミノ基から選ばれる少なくとも1種類の官能基と反応し化学結合を形成する官能基は、イソシアネート基、アミノ基、グリシジル基、アルコキシシリル基、水酸基、カルボキシル基、ヒドロキシシリル基、クロロシリル基から選択される少なくとも1種類の官能基であることが好ましい。
化合物の取り扱いおよび反応性の観点から、末端にメタクリル基、アクリル基、ビニル基等の重合性不飽和基あるいはメルカプト基等の重合性官能基を有し、かつアルコキシシリル基、クロロシリル基、ヒドロキシシリル基、アルコキシチタニル基、クロロチタニル基、アルコキシアルミニウム基等の官能基を有する有機珪素化合物、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物を用いることが特に好ましい。
加熱処理等により保護基が外れて前記の反応性官能基が出現するような出現する化合物であっても構わない。
具体的な化合物としては、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシトキシプロピルトリメトシキシシラン、γ−グリシトキシプロピルトリエトシキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート等の化合物を挙げることができる。また、メタクリル変性シリコーンオイル、アクリル変性シリコーンオイル等の高分子系化合物を用いることもできる。
重合性不飽和基とは、ラジカル重合反応または付加重合反応に関与する不飽和基である。
ラジカル重合反応に関与する化合物として、エチレン、プロピレン、スチレン等の骨格を有するオレフィン類、アセチレン類、(メタ)アクリル酸およびその誘導体、ハロオレフィン類、アクリルニトリル等の不飽和ニトリル類、(メタ)アクリルアミドおよびその誘導体、アリールアルコール、アリールイソシアネート等のアリール化合物、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸およびその誘導体、酢酸ビニル類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール等の骨格を有する化合物等を挙げることができる。 また、付加重合反応に関与する化合物としては、シンナモイル基、チオール基、アジド基、開環付加反応するエポキシ基、オキセタン基、環状エステル基、ジオキシラン基、スピロオルトカーボネート基、スピロオルトエステル基、ビシクロオルトエステル基、環状イミノエーテル基等を有する化合物等を挙げることができる。
接着剤層は、前記の接着剤層を形成するための化合物を含む処理液を、表面処理された部分に塗布して形成する。
処理液は、上記の接着剤層を形成するための化合物に、必要に応じ、水−アルコール、あるいは酢酸水−アルコール混合液で希釈して、調製する。処理液中の接着剤層を形成するための化合物の濃度は、0.05〜10.0重量%が好ましい。
処理液を塗布する方法に特に限定はなく、例えば浸漬法、スプレー法、ロールコート法、あるいは刷毛塗り法等を適用することができる。また、塗布温度、塗布時間についても特に限定はないが、塗布温度は5〜60℃であることが好ましく、塗布時間は0.1〜60秒であることが好ましい。さらに樹脂版表面上の処理液層の乾燥を加熱下で行うことが好ましく、加熱温度としては50〜150℃が好ましい。
本発明において、表面処理された部分に塗布する感光性樹脂組成物は、その硬化物が既存の印刷版層に含まれる感光性樹脂硬化物と成分が実質的に同じとなるようなものであることが好ましい。成分が実質的に同じとは、赤外線スペクトル分析法を用いて分析を実施した場合に、吸光度表示したスペクトルが面積において80%以上重なった状態と定義する。
本発明において、表面処理された部分に塗布する感光性樹脂組成物は、高分子化合物からなる樹脂(a)、分子内に重合性不飽和基を有する有機化合物(b)、光重合開始剤(c)を含有していることが好ましい。
樹脂(a)は、数平均分子量が1000以上30万以下の重合性不飽和基を有することが好ましい。樹脂(a)の数平均分子量のより好ましい範囲は、2000以上20万以下、さらに好ましい範囲は5000以上10万以下である。樹脂(a)の数平均分子量は1000以上であれば、後に架橋して再生する印刷原版が強度を保ち、この原版から作製したレリーフ画像は強く、印刷版などとして用いる場合、繰り返しの使用にも耐えられる。また、樹脂(a)の数平均分子量が30万以下であれば、感光性樹脂組成物の塗布時の粘度が過度に上昇することもなく、シート状、あるいは円筒状のレーザー彫刻印刷原版を再生することができる。ここで言う数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定し、分子量既知のポリスチレンで検量し換算した値である。
樹脂(a)は、分子内に重合性不飽和基を有していても構わない。特に好ましい樹脂(a)として1分子あたり平均で0.7以上の重合性不飽和基を有するポリマーを挙げることができる。1分子あたり平均で0.7以上であれば、本発明の樹脂組成物より得られる印刷原版の機械強度に優れ、レーザー彫刻時にレリーフ形状が崩れ難くなる。さらにその耐久性も良好で、繰り返しの使用にも耐えらるのものとなり好ましい。印刷原版の機械強度を考慮すると、樹脂(a)の重合性不飽和基は1分子あたり0.7以上が好ましく、1を越える量がさらに好ましい。樹脂(a)において、重合性不飽和基の位置は、高分子主鎖の末端、高分子側鎖の末端や高分子主鎖中や側鎖中に直接結合していることが好ましい。樹脂(a)1分子に含まれる重合性不飽和基の数の平均は、核磁気共鳴スペクトル法(NMR法)による分子構造解析法で求めることができる。
樹脂(a)を製造する方法としては、例えば直接、重合性の不飽和基をその分子末端に導入したものを用いてもよいが、別法として、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、ケトン基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、アルコキシカルボニル基などの反応性基を複数有する数千程度の分子量の上記成分の反応性基と結合しうる基を複数有する結合剤(例えば水酸基やアミノ基の場合のポリイソシアネートなど)を反応させ、分子量の調節、および末端の結合性基への変換を行った後、この末端結合性基と反応する基と重合性不飽和基を有する有機化合物とを反応させて末端に重合性不飽和基を導入する方法などの方法が好適に挙げられる。
樹脂(a)としては、液状化し易い樹脂や分解し易い樹脂が好ましい。分解し易い樹脂としては、分子鎖中に分解し易いモノマー単位としてスチレン、α−メチルスチレン、α−メトキシスチレン、アクリルエステル類、メタクリルエステル類、エステル化合物類、エーテル化合物類、ニトロ化合物類、カーボネート化合物類、カルバモイル化合物類、ヘミアセタールエステル化合物類、オキシエチレン化合物類、脂肪族環状化合物類等が含まれていることが好ましい。特にポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラエチレングリコール等のポリエーテル類、脂肪族ポリカーボネート類、脂肪族カルバメート類、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ニトロセルロース、ポリオキシエチレン、ポリノルボルネン、ポリシクロヘキサジエン水添物、あるいは分岐構造の多いデンドリマー等の分子構造を有するポリマーは、分解し易いものの代表例である。また、分子鎖中に酸素原子を多数含有するポリマーが分解性の観点から好ましい。これらの中でも、カーボネート基、カルバメート基、メタクリル基をポリマー主鎖中に有する化合物は、熱分解性が高く好ましい。例えば、(ポリ)カーボネートジオールや(ポリ)カーボネートジカルボン酸を原料として合成したポリエステルやポリウレタン、(ポリ)カーボネートジアミンを原料として合成したポリアミドなどを熱分解性の良好なポリマーの例として挙げることができる。これらのポリマー主鎖、側鎖に重合性不飽和基を含有しているものであっても構わない。特に、末端に水酸基、アミノ基、カルボキシル基等の反応性官能基を有する場合には、主鎖末端に重合性不飽和基を導入することも容易である。
樹脂(a)の例として、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのポリジエン類等の分子主鎖あるいは側鎖に重合性不飽和基を有する化合物を挙げることができる。また、重合性不飽和を有しない高分子化合物を出発原料として、置換反応、脱離反応、縮合反応、付加反応等の化学反応により重合性不飽和基を分子内に導入した高分子化合物を挙げることもできる。重合性不飽和基を有しない高分子化合物の例としてポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類、ポリ塩化ビニルポリ塩化ビニリデン等のポリハロオレフィン類、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリアクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリビニルエーテル等のC−C連鎖高分子の他、ポリフェニレンエーテル等のポリエーテル類、ポリフェニレンチオエーテル等のポリチオエーテル類、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリアミド、ポリウレア、ポリイミド、ポリジアルキルシロキサン等の高分子化合物、あるいはこれらの高分子化合物の主鎖にヘテロ原子を有する高分子化合物、複数種のモノマー成分から合成されたランダム共重合体、ブロック共重合体を挙げることができる。さらに、分子内に重合性不飽和基を導入した高分子化合物を複数種混合して用いることもできる。
特にフレキソ印刷版用途のように柔軟なレリーフ画像が必要な場合には、樹脂(a)として、一部、ガラス転移温度が20℃以下の液状樹脂、さらに好ましくはガラス転移温度0℃以下の液状樹脂を用いることが特に好ましい。
このような液状樹脂として、例えばポリエチレン、ポリブタジエン、水添ポリブタジエン、ポリイソプレン、水添ポイソプレン等の炭化水素類、アジペート、ポリカプロラクトン等のポリエステル類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテル類、脂肪族ポリカーボネート、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン類、(メタ)アクリル酸および/またはその誘導体の重合体およびこれらの混合物やコポリマー類を用いて合成され、分子内に重合性不飽和基を有する化合物を用いることができる。その含有量は、樹脂(a)全体に対して30wt%以上含有することが好ましい。特に耐候性の観点からポリカーボネート構造を有する不飽和ポリウレタン類が好ましい。
ここで言う液状樹脂とは、容易に流動変形し、かつ冷却により変形された形状に固化できるという性質を有する高分子体を意味し、外力を加えたときに、その外力に応じて瞬時に変形し、かつ外力を除いたときには、短時間に元の形状を回復する性質を有するエラストマーに対応する言葉である。
樹脂(a)が20℃において液状樹脂である場合は、感光性樹脂組成物も20℃において液状である。これから得られるレリーフ画像作成用原版をシート状、もしくは円筒状に成形する際、良好な厚み精度や寸法精度を得ることができる。
本発明の感光性樹脂組成物は、好ましくは、20℃における粘度が10Pa・s以上10kPa・s以下である。さらに好ましくは、50Pa・s以上5kPa・s以下である。
粘度が10Pa・s以上であれば、作製される印刷原版の機械的強度が十分であり、円筒状印刷原版に成形する際であっても形状を保持し易く、加工し易い。粘度が10kPa・s以下であれば、常温でも変形し易く、加工が容易である。シート状あるいは円筒状の印刷原版に成形し易く、プロセスも簡便である。特に版厚精度の高い円筒状印刷原版を得るためには、円筒状支持体上に液状感光性樹脂層を形成する際に、該感光性樹脂組成物が重力により液ダレ等の現象を起こさないように粘度が100Pa・s以上が好ましく、より好ましくは200Pa・s以上、さらに好ましくは500Pa・s以上である。
また、本発明で用いる感光性樹脂組成物が特に20℃において液状である場合、チキソトロピー性を有することが好ましい。特に円筒状支持体状に感光性樹脂組成物層を形成する際に、重力により液ダレを起こすことなく、所定の厚さを保持できる。
有機化合物(b)は、数平均分子量が1000未満の重合性不飽和基を有した化合物である。樹脂(a)との希釈のし易さから数平均分子量は1000以下が好ましい。前述のように、重合性不飽和基とは、ラジカル重合反応または付加重合反応に関与する不飽和基である。
有機化合物(b)の具体例としては、ラジカル重合反応に関与する化合物として、エチレン、プロピレン、スチレン、ジビニルベンゼン等のオレフィン類、アセチレン類、(メタ)アクリル酸およびその誘導体、ハロオレフィン類、アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類、(メタ)アクリルアミドおよびその誘導体、アリールアルコール、アリールイソシアネート等のアリール化合物、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸およびその誘導体、酢酸ビニル類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール等が挙げられるが、その種類の豊富さ、価格、レーザー光照射時の分解性等の観点から(メタ)アクリル酸およびその誘導体が好ましい例である。
前記化合物の誘導体の例としては、シクロアルキル−、ビシクロアルキル−、シクロアルケン−、ビシクロアルケン−などの脂環族、ベンジル−、フェニル−、フェノキシ−、フルオレン−などの芳香族、アルキル−、ハロゲン化アルキル−、アルコキシアルキル−、ヒドロキシアルキル−、アミノアルキル−、テトラヒドロフルフリル−、アリル−、グリシジル−、アルキレングリコール−、ポリオキシアルキレングリコール−、(アルキル/アリルオキシ)ポリアルキレングリコール−やトリメチロールプロパン等の多価アルコールのエステル、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン等のポリシロキサン構造を有する化合物などが挙げられる。また、窒素、硫黄等の元素を含有した複素芳香族化合物であっても構わない。
また、付加重合反応に関与する化合物としては、シンナモイル基、チオール基、アジド基、開環付加反応するエポキシ基、オキセタン基、環状エステル基、ジオキシラン基、スピロオルトカーボネート基、スピロオルトエステル基、ビシクロオルトエステル基、環状イミノエーテル基等を有する化合物等を挙げることができる。
有機化合物(b)はその目的に応じて1種若しくは2種以上のものを選択できる。
例えば、印刷インキの溶剤であるアルコールやエステル等の有機溶剤に対する膨潤を押さえるために長鎖脂肪族、脂環族または芳香族の誘導体を少なくとも1種類以上有することが好ましい。
機械強度を高めるためには、有機化合物(b)としては脂環族または芳香族の誘導体が少なくとも1種類以上有することが好ましく、この場合、有機化合物(b)の全体量の20wt%以上であることが好ましく、さらに好ましくは50wt%以上である。また、前記芳香族の誘導体として、窒素、硫黄等の元素を有する芳香族化合物であっても構わない。
印刷版の反撥弾性を高めるため、例えば特開平7−239548号公報に記載されているようなメタクリルモノマーを使用するとか、公知の印刷用感光性樹脂の技術知見等を利用して選択することができる。
樹脂(a)あるいは有機化合物(b)が、分子鎖中に存在する酸素原子あるいは窒素原子に対しα位に存在する水素原子を有する化合物、チオールのような硫黄原子に直接結合している水素原子を有する化合物を、感光性樹脂組成物全体量の少なくとも20wt%以上含有することが好ましい。より好ましくは40wt%以上である。前記酸素原子の由来原子団としては、アルコール、エーテル、エステル、カーボネート等を挙げることができ、また前記窒素原子の由来原子団としてはウレタン、ウレア、アミド等を挙げることができる。
光重合開始剤(c)は一般に使用されているものから選択でき、例えば高分子学会編「高分子データ・ハンドブック−基礎編」1986年培風館発行、に例示されているラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合の開始剤等が使用できる。光重合開始剤(c)としては、水素引き抜き型光重合開始剤(d)と崩壊型光重合開始剤(e)が、特に効果的な光重合開始剤として用いられる。
水素引き抜き型光重合開始剤(d)として、特に限定するものではないが、芳香族ケトンを用いることが好ましい。芳香族ケトンは光励起により効率良く励起三重項状態になり、この励起三重項状態は周囲の媒体から水素を引き抜いてラジカルを生成すると考えられている。そして生成したラジカルが光架橋反応に関与するものと考えられる。
芳香族ケトンとして、ベンゾフェノン類、ミヒラーケトン類、キサンテン類、チオキサントン類、アントラキノン類を挙げることができ、これらの群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を用いることが好ましい。ベンゾフェノン類とは、ベンゾフェノンあるいはその誘導体を指し、具体的には3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−テトラメトキシベンゾフェノン等である。ミヒラーケトン類とはミヒラーケトンおよびその誘導体をいう。キサンテン類とはキサンテンおよびアルキル基、フェニル基、ハロゲン基で置換された誘導体をいう。チオキサントン類とは、チオキサントンおよびアルキル基、フェニル基、ハロゲン基で置換された誘導体をさし、エチルチオキサントン、メチルチオキサントン、クロロチオキサントン等を挙げることができる。アントラキノン類とはアントラキノンおよびアルキル基、フェニル基、ハロゲン基等で置換された誘導体をいう。
水素引き抜き型光重合開始剤(d)の添加量は、感光性樹脂組成物全体量の0.1wt%以上10wt%以下が好ましく、より好ましくは0.5wt%以上5wt%以下である。添加量がこの範囲であれば、液状感光性樹脂組成物を大気中で光硬化させた場合、硬化物表面の硬化性は充分に確保でき、また、耐候性を確保することができる。
崩壊型光重合開始剤(e)とは、光吸収後に分子内で開裂反応が発生し活性なラジカルが生成する化合物を指し、特に限定するものではない。
具体的には、ベンゾインアルキルエーテル類、2,2−ジアルコキシ−2−フェニルアセトフェノン類、アセトフェノン類、アシルオキシムエステル類、アゾ化合物類、有機イオウ化合物類、ジケトン類等を挙げることができ、これらの群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を用いることが好ましい。ベンゾインアルキルエーテル類としては、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、「感光性高分子」(講談社、1977年出版、頁228)に記載の化合物を挙げることができる。2,2−ジアルコキシ−2−フェニルアセトフェノン類としては、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン等を挙げることができる。アセトフェノン類としては、アセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン等を挙げることができる。アシルオキシムエステル類としては、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム等を挙げることができる。アゾ化合物としては、アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾニウム化合物、テトラゼン化合物等を挙げることができる。有機イオウ化合物としては、芳香族チオール、モノおよびジスルフィド、チウラムスルフィド、ジチオカルバメート、S−アシルジチオカルバメート、チオスルホネート、スルホキシド、スルフェネート、ジチオカルボネート等を挙げることができる。ジケトン類としては、ベンジル、メチルベンゾイルホルメート等を挙げることができる。
崩壊型光重合開始剤の添加量(e)は、感光性樹脂組成物全体量の0.1wt%以上10wt%以下が好ましく、より好ましくは0.3wt%以上3wt%以下である。添加量がこの範囲であれば、感光性樹脂組成物を大気中で光硬化させた場合、硬化物内部の硬化性は充分に確保できる。
水素引き抜き型光重合開始剤(d)として機能する部位と崩壊型光重合開始剤(e)として機能する部位を同一分子内に有する化合物を、光重合開始剤(c)として用いることもできる。α−アミノアセトフェノン類を挙げることができる。例えば、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、下記一般式(1)で示される化合物を挙げることができる。
Figure 2007261120
(式中、R2は各々独立に、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表す。また、Xは炭素数1〜10のアルキレン基を表す。)
水素引き抜き型光重合開始剤(d)として機能する部位と崩壊型光重合開始剤(e)として機能する部位を同一分子内に有する化合物の添加量としては、感光性樹脂組成物全体量の0.1wt%以上10wt%以下が好ましく、より好ましくは0.3wt%以上3wt%以下である。添加量がこの範囲であれば、感光性樹脂組成物を大気中で光硬化させた場合であっても、硬化物の機械的物性は充分に確保できる。
また、光を吸収して酸を発生することにより、付加重合反応を誘起させる光重合開始剤を用いることもできる。例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩等の光カチオン重合開始剤、あるいは光を吸収して塩基を発生する重合開始剤などが挙げられる。
これらの光重合開始剤の添加量は、感光性樹脂組成物全体量の0.1wt%以上10wt%以下の範囲が好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物には無機多孔質体(f)を添加することが好ましい。無機多孔質体(f)とは、粒子中に微小細孔を有する、あるいは微小な空隙を有する無機粒子であり、レーザー彫刻において多量に発生する粘稠性の液状カスを吸収除去するための添加剤であり、版面のタック防止効果も有する。本発明の無機多孔質体は粘稠な液状カスの除去を最大の目的として添加するものであり、数平均粒子径、比表面積、平均細孔径、細孔容積、灼熱減量がその性能に大きく影響する。
無機多孔質体(f)は数平均粒径が0.1〜100μmであることが好ましい。より好ましい平均粒子径の範囲は、0.5〜20μmであり、さらに好ましい範囲は3〜10μmである。多孔質無機吸収剤の平均粒子径は、レーザー散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定した値である。
無機多孔質体(f)の比表面積の範囲は、10m2/g以上1500m2/g以下であることが好ましい。より好ましい範囲は、100m2/g以上800m2/g以下である。比表面積が10m2/g以上である場合、レーザー彫刻時の液状カスの除去が充分となり、また、1500m2/g以下であれば、感光性樹脂組成物の粘度上昇を抑え、また、チキソトロピー性を抑えることができる。比表面積は、−196℃における窒素の吸着等温線からBET式に基づいて求められる。
無機多孔質体(f)の平均細孔径は、レーザー彫刻時に発生する液状カスの吸収量に極めて大きく影響を及ぼす。平均細孔径の好ましい範囲は、1nm以上1000nm以下、より好ましくは2nm以上200nm以下、さらに好ましくは2nm以上50nm以下である。
ここで、平均細孔径は、窒素吸着法を用いて測定した値である。平均細孔径が2〜50nmのものは特にメソ孔と呼ばれ、メソ孔を有する多孔質粒子が液状カスを吸収する能力が極めて高い。本発明においては細孔径分布は、−196℃における窒素の吸着等温線から求められる。
無機多孔質体(f)の細孔容積は、好ましくは0.1ml/g以上10ml/g以下、より好ましくは0.2ml/g以上5ml/g以下である。細孔容積が0.1ml/g以上の場合、粘稠性液状カスの吸収量は十分であり、また10ml/g以下の場合、粒子の機械的強度を確保することができる。
ここで、細孔容積の測定には、窒素吸着法を用いる。細孔容積は、−196℃における窒素の吸着等温線から求められる。
また、液状カス吸着量を評価する指標として、吸油量がある。これは、無機多孔質体100gが吸収する油の量で定義する。無機多孔質体(f)の吸油量の好ましい範囲は、10ml/100g以上2000ml/100g以下、より好ましい範囲は50ml/100g以上1000ml/100g以下である。吸油量が10ml/100g以上であれば、レーザー彫刻時に発生する液状カスの除去が十分であり、また2000ml/100g以下であれば、無機多孔質体(f)の機械的強度を十分に確保できる。吸油量の測定は、JIS−K5101にて行った。
無機多孔質体(f)は、特に赤外線波長領域のレーザー光照射により変形あるいは溶融せずに多孔質性を保持することが好ましい。950℃において2時間処理した場合の灼熱減量が、15wt%以下が好ましく、より好ましくは10wt%以下である。
無機多孔質(f)体の粒子形状は特に限定するものではなく、球状、扁平状、針状、無定形、あるいは表面に突起のある粒子などを使用することができる。特に耐磨耗性の観点からは、球状粒子が好ましい。また、粒子の内部が空洞になっている粒子、シリカスポンジ等の均一な細孔径を有する球状顆粒体など使用することも可能である。特に限定するものではないが、例えば、多孔質シリカ、メソポーラスシリカ、シリカ−ジルコニア多孔質ゲル、ポーラスアルミナ、多孔質ガラス等を挙げることができる。また、層状粘土化合物などのように、層間に数nm〜100nmの空隙が存在するものについては、細孔径を定義できないため、層間に存在する空隙の間隔を細孔径と定義する。
無機多孔質体(f)は1種類もしくは2種類以上のものを選択でき、無機多孔質体(f)を添加することによりレーザー彫刻時の液状カスの発生抑制、およびレリーフ印刷版のタック防止等の改良が有効に行われる。
本発明の感光性樹脂組成物における樹脂(a)、有機化合物(b)、および無機多孔質体(f)の割合は、通常、樹脂(a)100重量部に対して、有機化合物(b)は5〜200重量部が好ましく、20〜100重量部の範囲がより好ましい。また、無機多孔質体(f)は1〜100重量部が好ましく、2〜50重量部の範囲がより好ましい。さらに好ましい範囲は、2〜20重量部である。
その他、本発明の感光性樹脂組成物には用途や目的に応じて重合禁止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、滑剤、界面活性剤、可塑剤、香料などを添加することができる。
本発明において、表面処理された部分に感光性樹脂組成物を塗布する方法に限定はなく、一般に使用されている方法を採用することができ、例えばスプレー法、ロールコート法、あるいは刷毛塗り法等を適用することができる。
本発明においては、塗布した感光性樹脂組成物に光を照射して架橋させる。光照射は塗布と同時に行ってもよい。
硬化に用いられる光源としては高圧水銀灯、超高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、殺菌灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ等を挙げることができる。感光性樹脂組成物層に照射される光は、200nmから300nmの波長の光を有することが好ましい。特に水素引き抜き型光重合開始剤(d)は、この波長領域に強い光吸収を有するものが多いため、200nmから300nmの波長の光を有する場合、感光性樹脂硬化物表面の硬化性を充分に確保することができる。硬化に用いる光源は、1種類でも構わないが、波長の異なる2種類以上の光源を用いて硬化させることにより、樹脂の硬化性が向上することがあるので、2種類以上の光源を用いることも差し支えない。
本発明においては、塗布した感光性樹脂組成物を硬化させた後、表面の若干の凹凸を修正するために切削、研磨等の表面処理工程を導入することもできる。
次に、本発明において再生される、印刷版、印刷原版について詳細に説明する。
本発明で再生する印刷版、印刷原版は、少なくとも感光性樹脂硬化物を含む印刷版層を有するが、この印刷版層は支持体上に形成されていることが好ましい。
支持体の形状は円筒状やシート状が好ましい。特に、新たに塗布しその後光硬化させた感光性樹脂硬化物との界面の接着性の観点から円筒状がより好ましい。接着性の観点から円筒状がより好ましい理由は、感光性樹脂組成物の光硬化収縮特性に由来するものと推定される。
支持体材料の具体例としては、ニッケルなどの金属やポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリビスマレイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンチオエーテル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂からなる液晶樹脂、全芳香族ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂などを挙げることができる。また、これらの樹脂を積層して用いることもできる。また、多孔質性のシート、例えば繊維を編んで形成したクロスや、不織布、フィルムに細孔を形成したもの等を支持体として用いることができる。支持体として多孔質性シートを用いる場合、感光性樹脂組成物を孔に含浸させた後に光硬化させることで、感光性樹脂硬化物を含む印刷版層と支持体とが一体化するために高い接着性を得ることができる。クロスあるいは不織布を形成する繊維としては、ガラス繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、アルミナ・シリカ繊維、ホウ素繊維、高珪素繊維、チタン酸カリウム繊維、サファイア繊維などの無機系繊維、木綿、麻などの天然繊維、レーヨン、アセテート等の半合成繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ビニロン、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリイミド、アラミド等の合成繊維を挙げることができる。また、バクテリアの生成するセルロースは、高結晶性ナノファイバーであり、薄くて寸法安定性の高い不織布を作製することのできる材料である。
円筒状支持体の場合、繊維強化プラスチック(FRP)製、プラスチック製あるいは金属製の円筒状支持体が好ましい。円筒状支持体は軽量化のために一定厚みで中空のものを使用することができる。
支持体の役割は、印刷原版の寸法安定性を確保することである。したがって、寸法安定性の高いものを選択する必要がある。線熱膨張係数を用いて評価すると、好ましい支持体材料の線熱膨張係数の上限値は100ppm/℃以下、さらに好ましくは70ppm/℃以下である。
支持体の線熱膨張係数を小さくする方法として、充填剤を添加する方法、全芳香族ポリアミド等のメッシュ状クロス、ガラスクロスなどに樹脂を含浸あるいは被覆する方法などを挙げることができる。充填剤としては、通常用いられる有機系微粒子、金属酸化物あるいは金属等の無機系微粒子、有機・無機複合微粒子など用いることができる。また、多孔質微粒子、内部に空洞を有する微粒子、マイクロカプセル粒子、低分子化合物が内部にインターカレーションする層状化合物粒子を用いることもできる。特に、アルミナ、シリカ、酸化チタン、ゼオライト等の金属酸化物微粒子、ポリスチレン・ポリブタジエン共重合体からなるラテックス微粒子、高結晶性セルロース等の天然物系の有機系微粒子等が有用である。
印刷版層を支持体上に形成するには、既存の樹脂の塗布方法を用いることができる。例えば、注型法、ポンプや押し出し機等の機械で樹脂をノズルやダイスから押し出し、ブレードで厚みを合わせる、ロールによりカレンダー加工して厚みを合わせる方法等が例示できる。その際、樹脂の性能を落とさない範囲で加熱しながら塗布を行なうことも可能である。また、必要に応じて圧延処理、研削処理などをほどこしてもよい。
通常はPETやニッケルなどの素材からなるシート状支持体の上に形成される場合が多いが、直接印刷機のシリンダー上に形成する場合などもありうる。
シート状支持体あるいは円筒状支持体の表面に物理的、化学的処理を行うことにより、印刷版層あるいは接着剤層との接着性を向上させることができる。物理的処理方法としては、サンドブラスト法、微粒子を含有した液体を噴射するウエットブラスト法、コロナ放電処理法、プラズマ処理法、紫外線あるいは真空紫外線照射法などを挙げることができる。また、化学的処理方法としては、強酸・強アルカリ処理法、酸化剤処理法、カップリング剤処理法などである。
成形された印刷版層は光照射により架橋せしめ、印刷原版を形成する。また、成型しながら光照射により架橋させることもできる。硬化に用いられる光源としては高圧水銀灯、超高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、殺菌灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ等を挙げることができる。照射される光は、200nmから300nmの波長の光を有することが好ましい。特に水素引き抜き型光重合開始剤は、この波長領域に強い光吸収を有するものが多いため、200nmから300nmの波長の光を有する場合、感光性樹脂硬化物を含む印刷版層表面の硬化性を充分に確保することができる。硬化に用いる光源は、1種類でも構わないが、波長の異なる2種類以上の光源を用いて硬化させることにより、樹脂の硬化性が向上することがあるので、2種類以上の光源を用いることも差し支えない。
印刷版層の厚みは、その使用目的に応じて任意に設定して構わないが、一般的に0.1〜7mmの範囲である。場合によっては、組成の異なる材料を複数積層していても構わない。例えば、最表面にYAGレーザー、ファイバーレーザーあるいは半導体レーザー等の近赤外線領域に発振波長を有するレーザーを用いて彫刻することができる層を形成し、その層の下に炭酸ガスレーザー等の赤外線レーザーあるいは可視・紫外線レーザーを用いてレーザー彫刻できる層を形成することも可能である。このような積層構造を形成することにより、極めて出力の高い炭酸ガスレーザーを用いて比較的粗いパターンを深く彫刻し、表面近傍の極めて精細なパターンをYAGレーザー、ファイバーレーザー等の近赤外線レーザーを用いて彫刻することが可能となる。極めて精細なパターンは比較的浅く彫刻できればよいので、該近赤外線レーザーに感度のある層の厚さは、0.01mm以上0.5mm以下の範囲が好ましい。このように近赤外線レーザーに感度のある層と赤外線レーザーに感度のある層を積層することにより、近赤外線レーザーを用いて彫刻されたパターンの深さを正確に制御できる。これは、赤外線レーザーに感度のある層を、近赤外線レーザーでは彫刻することが困難である現象を利用しているからである。彫刻可能なパターンの精細さの違いは、レーザー装置固有の発振波長の違い、すなわち絞れるレーザービーム径の違いに起因する。このような方法でレーザー彫刻する場合、赤外線レーザーと近赤外線レーザーを搭載した別々のレーザー彫刻装置を用いて彫刻することもでき、また、赤外線レーザーと近赤外線レーザーの両方を搭載したレーザー彫刻装置を用いて行うことも可能である。
印刷版層の下部にエラストマーからなるクッション層を形成することもできる。一般的に印刷版層の厚さは、0.1〜数mmであるため、それ以外の下部層は組成の異なる材料であっても構わない。クッション層としては、ショアA硬度が20から70度のエラストマー層であることが好ましい。ショアA硬度が20度以上である場合、適度に変形するため、印刷品質を確保することができる。また、70度以下であれば、クッション層としての役割を果たすことができる。より好ましいショアA硬度の範囲は、30〜60度である。
前記クッション層は、特に限定せず、熱可塑性エラストマー、光硬化型エラストマー、熱硬化型エラストマー等ゴム弾性を有するものであれば何でも構わない。ナノメーターレベルの微細孔を有する多孔質エラストマー層であってもよい。特にシート状あるいは円筒状印刷版への加工性の観点から、光で硬化する液状感光性樹脂組成物を用い、硬化後にエラストマー化する材料を用いることが簡便であり好ましい。
クッション層に用いる熱可塑性エラストマーの具体例としては、スチレン系熱可塑性エラストマーであるSBS(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン)、SIS(ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリエチレン/ポリブチレン−ポリスチレン)等、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、シリコン系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。
光硬化型エラストマーとしては、前記熱可塑性エラストマーに光重合性モノマー、可塑剤および光重合開始剤等を混合したもの、プラストマー樹脂に光重合性モノマー、光重合開始剤等を混合した液状組成物などを挙げることができる。微細パターンの形成機能が重要な要素である感光性樹脂組成物の設計思想とは異なり、光を用いて微細なパターンの形成を行う必要がなく、全面露光により硬化させることにより、ある程度の機械的強度を確保できればよいため、材料の選定において自由度が極めて高い。
また、硫黄架橋型ゴム、有機過酸化物、フェノール樹脂初期縮合物、キノンジオキシム、金属酸化物、チオ尿素等の非硫黄架橋型ゴムを用いることもできる。
さらに、テレケリック液状ゴムを反応する硬化剤を用いて3次元架橋させてエラストマー化したものを使用することもできる。
形成したい画像をデジタル型のデータとしてコンピューターを利用してレーザー装置を操作してレーザー彫刻し、上述のようにして作成した原版上にレリーフ画像を作成し印刷版とする。
レーザー彫刻に用いるレーザーは、原版が吸収を有する波長を含むものであればどのようなものを用いてもよいが、彫刻を高速度で行なうためには出力の高いものが望ましく、炭酸ガスレーザーやYAGレーザー、半導体レーザー等の赤外線あるいは赤外線放出固体レーザーが好ましいものの一つである。また、可視光線領域に発振波長を有するYAGレーザーの第2高調波、銅蒸気レーザー、紫外線領域に発振波長を有する紫外線レーザー、例えばエキシマレーザー、第3あるいは第4高調波へ波長変換したYAGレーザーは、有機分子の結合を切断するアブレージョン加工が可能であり、微細加工に適する。また、レーザーは連続照射でも、パルス照射でもよい。一般には樹脂は炭酸ガスレーザーの10μm近傍に吸収を持つため、特にレーザー光の吸収を助けるような成分の添加は必須ではないが、YAGレーザーは1.06μm近傍の波長であり、この波長の吸収を有するものはあまり無い。その場合、これの吸収を助ける成分である、染料、顔料の添加が好ましい。このような染料の例としては、ポリ(置換)フタロシアニン化合物および金属含有フタロシアニン化合物、;シアニン化合物;スクアリリウム染料;カルコゲノピリロアリリデン染料;クロロニウム染料;金属チオレート染料;ビス(カルコゲノピリロ)ポリメチン染料;オキシインドリジン染料;ビス(アミノアリール)ポリメチン染料;メロシアニン染料;およびキノイド染料などが挙げられる。顔料の例としてはカーボンブラック、グラファイト、亜クロム酸銅、酸化クロム、コバルトクロームアルミネート、酸化銅、酸化鉄等の暗色の無機顔料や鉄、アルミニウム、銅、亜鉛のような金属粉およびこれら金属にSi、Mg、P、Co、Ni、Y等をドープしたもの等が挙げられる。これら染料、顔料は単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用してもよいし、複層構造にするなどのあらゆる形態で組み合わせてもよい。ただし、硬化に使用する光の波長における光吸収が大きな有機/無機化合物の添加量は、光硬化性に支障のない範囲にすることが好ましく、感光性樹脂組成物全体量に対する添加比率は、好ましくは5wt%以下、より好ましくは2wt%以下である。
レーザーによる彫刻は酸素含有ガス下、一般には空気存在下もしくは気流下に実施するが、炭酸ガス、窒素ガス下でも実施できる。彫刻終了後、レリーフ印刷版面にわずかに発生する粉末状もしくは液状の物質は適当な方法、例えば溶剤や界面活性剤の入った水等で洗いとる方法、高圧スプレー等により水系洗浄剤を照射する方法、高圧スチームを照射する方法などを用いて除去してもよい。
レーザー光を照射し凹パターンを形成する彫刻後に、版表面に残存する粉末状あるいは粘性のある液状カスを除去する工程に引き続き、パターンを形成した印刷版表面に波長200nm〜450nmの光を照射する後露光を実施することもできる。これにより表面のタックが除去できる。後露光は大気中、不活性ガス雰囲気中、水中のいずれの環境で行っても構わない。用いる感光性樹脂組成物中に水素引き抜き型光重合開始剤が含まれている場合、特に効果的である。さらに、後露光工程前に印刷版表面を、水素引き抜き型光重合開始剤を含む処理液で処理し露光しても構わない。また、水素引き抜き型光重合開始剤を含む処理液中に印刷版を浸漬した状態で露光しても構わない。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
(1)レーザー彫刻
レーザー彫刻は炭酸ガスレーザー彫刻機(商標:ZED−mini−1000、英国、ZED社製、米国、コヒーレント社製、出力250W炭酸ガスレーザーを搭載)を用いて行った。彫刻は、網点(80 lines per inch で面積率10%)、500μm幅の凸線による線画、及び、500μm幅の白抜き線を含むパターンを作成して実施した。彫刻深さを大きく設定すると、微細な網点部のパターンのトップ部の面積が確保できず、形状も崩れて不鮮明となるため、彫刻深さは0.55mmとした。
(2)数平均分子量の測定
樹脂(a)の数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ法(GPC法)を用いて、分子量既知のポリスチレンで換算して求めた。高速GPC装置(日本国、東ソー社製のHLC−8020)とポリスチレン充填カラム(商標:TSKgel GMHXL;日本国、東ソー社製)を用い、テトラヒドロフラン(THF)で展開して測定した。カラムの温度は40℃に設定した。GPC装置に注入する試料としては、樹脂濃度が1wt%のTHF溶液を調製し、注入量10μlとした。また、検出器としては、樹脂(a)に関しては紫外吸収検出器を使用し、モニター光として254nmの光を用いた。
(3)重合性不飽和基の数の測定
合成した樹脂(a)の分子内に存在する重合性不飽和基の平均数は、未反応の低分子成分を液体クロマトグラフ法を用いて除去した後、核磁気共鳴スペクトル法(NMR法)を用いて分子構造解析し求めた。
(印刷版の製造)
(樹脂(a)の製造)
温度計、攪拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコに旭化成株式会社製ポリカーボネートジオールである、商標「PCDL L4672」(数平均分子量1990、OH価56.4)447.24gとトリレンジイソシアナート30.83gを加え80℃に加温下に約3時間反応させた後、2−メタクリロイルオキシイソシアネート14.83gを添加し、さらに約3時間反応させて、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均約2個)である数平均分子量約10000の樹脂(a)を製造した。この樹脂は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。
(印刷原版の製造)
前記樹脂(a)100重量部、有機化合物(b)としてフェノキシエチルメタクリレート25重量部とポリプロピレングリコールモノメタクリレート19重量部、光重合開始剤としてベンゾフェノン1重量部および2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン0.5重量部、その他添加剤としてメチルスチリル変性シリコーンオイル(信越化学工業社製、商標「KF−410」)0.5重量部、多孔質性微粉末シリカ(富士シリシア社製、商標「サイロスフェアC−1504」)5重量部を混合し、感光性樹脂組成物を調製した。調製した感光性樹脂組成物は、20℃において液状であった。また、B型粘度計を用いて測定した粘度は、20℃において、1.5kPa・sであった。
調製した感光性樹脂組成物をドクターブレードを用いて、厚さ1.5mmの繊維強化プラスチック製スリーブ上に、厚さ約1.9mmになるように塗布し、スリーブを周方向に回転させながらメタルハライドランプ(アイ・グラフィックス社製、商標「M056−L21」)の開口部(開口部寸法:40mm×310mm)から出てくる光を、大気中で感光性樹脂組成物層が露出している面から照射し、円筒状のスリーブ上に感光性樹脂硬化物からなる印刷版層を形成した。照射したエネルギー量は、4000mJ/cm2(UV−35−APRフィルターで測定した照度を時間積分した値)であった。照射面でのランプ照度は、UVメーター(オーク製作所社製、商標「UV−M02」)を用いて測定した。UV−35−APRフィルターを使用して測定したランプ照度は、100mW/cm2、UV−25フィルターを使用して測定したランプ照度は、14mW/cm2であった。その後、感光性樹脂硬化物からなる印刷版層の厚さが1.7mmとなるまで研削、研磨を実施し、円筒状のレーザー彫刻印刷原版を作製した。
(レーザー彫刻)
前述の(1)に記載した方法で、作製した円筒状レーザー彫刻印刷原版表面にレーザ彫刻を行った。
(実施例1)
表面に形成されたパターン部を、深さ約0.55mmまで、研削処理することにより除去した。スリーブを周方向に回転させながら処理された表面に、波長172nmのキセノン・エキシマランプ(エム・ディ・コム社製)の光を大気中で5分間照射した。前記研削処理された表面とエキシマランプの距離は、1mmとした。
キセノン・エキシマランプの光で処理された表面に、メタクリル基を有するシランカップリング剤として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、商標「KBE−503」)を5wt%含有するエタノール処理液を塗布し、60℃で乾燥し接着剤層を形成した。
このようにして処理された表面に、印刷版層を形成したときに用いたのと同じ感光性樹脂組成物を厚さ約0.6mm塗布し、さらに印刷版層を形成したときと同様にメタルハライドランプの光を照射することにより、感光性樹脂組成物を光硬化し、光硬化させた表面を約0.1mm研削研磨することにより、所定厚みのレーザー彫刻印刷原版を再生した。
再生された円筒状レーザー彫刻印刷原版において、後から積層された感光性樹脂硬化物層がその界面で剥離することはなかった。さらに、その後レーザー彫刻法により表面にパターンを形成したが、積層された界面において剥離することなくフレキソ印刷に用いることができた。
(比較例1)
キセノン・エキシマランプの光による高エネルギー線での暴露処理を実施しないこと以外は、実施例1と同様にして円筒状レーザー彫刻印刷原版を再生した。
後から積層した感光性樹脂硬化物が、その界面において手で剥がれることを確認した。接着強度は、フレキソ印刷に耐えられる程強いものではなかった。
本発明により再生された印刷原版は印刷版用レリーフ画像の他、スタンプ・印章、エンボス加工用のデザインロール、電子部品作成に用いられる絶縁体、抵抗体、導電体ペーストのパターニング用レリーフ画像、光学部品の反射防止膜、カラーフィルター、(近)赤外線吸収フィルター等の機能性材料のパターン形成、液晶ディスプレイあるいは有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の表示素子の製造における配向膜、下地層、発光層、電子輸送層、封止剤層の塗膜・パターン形成、窯業製品の型材用レリーフ画像、広告・表示板などのディスプレイ用レリーフ画像、各種成型品の原型・母型など各種の用途に応用し利用できる。

Claims (9)

  1. 少なくとも感光性樹脂硬化物を含む印刷版層を有するレーザー彫刻印刷版または印刷原版を再生する方法であって、
    前記印刷版層の少なくとも一部分を除去する工程、
    前記印刷版層の除去された部分に表面処理を施す工程、
    前記表面処理された部分に感光性樹脂組成物を塗布する工程、
    前記塗布した感光性樹脂組成物に光を照射する工程、
    を含むレーザー彫刻印刷版または印刷原版の再生方法。
  2. 前記表面処理が、波長300nm以下の紫外線、電子線、分子線、X線から選択される少なくとも1種類の高エネルギー線を照射するか、あるいは、プラズマ雰囲気に曝すことにより行われる請求項1に記載のレーザー彫刻印刷版または印刷原版の再生方法。
  3. 前記表面処理が、波長150nm以上260nm以下の紫外線を、大気雰囲気中で照射することにより行われる請求項2に記載のレーザー彫刻印刷版または印刷原版の再生方法。
  4. 前記除去が切削、研削、研磨、レーザー彫刻から選択される少なくとも1種類の方法により行われる請求項1から3のいずれか1項に記載のレーザー彫刻印刷版または印刷原版の再生方法。
  5. 前記表面処理を施す工程の後に、さらに、前記表面処理された部分に接着剤層を形成する工程を含む請求項1から4のいずれか1項に記載のレーザー彫刻印刷版または印刷原版の再生方法。
  6. 前記接着剤層が、水酸基、カルボキシル基、アミノ基から選ばれる少なくとも1種類の基と反応して化学結合を形成する官能基、および、重合性不飽和基を有する化合物を含有する請求項5に記載のレーザー彫刻印刷版または印刷原版の再生方法。
  7. 前記官能基が、イソシアネート基、アミノ基、グリシジル基、アルコキシシリル基、水酸基、カルボキシル基、ヒドロキシシリル基、クロロシリル基、アルコキシチタニル基から選択される少なくとも1種類の官能基である請求項6に記載のレーザー彫刻印刷版または印刷原版の再生方法。
  8. 前記塗布した感光性樹脂組成物に光を照射する工程の後に、さらに、切削、研削、研磨、レーザー彫刻から選択される少なくとも1種類の方法で印刷原版の表面を調整する工程を含む請求項1から7のいずれか1項に記載のレーザー彫刻印刷版または印刷原版の再生方法。
  9. 請求項1から8のいずれか1項に記載のレーザー彫刻印刷版または印刷原版の再生方法により再生されたレーザー彫刻印刷原版。

JP2006089993A 2006-03-29 2006-03-29 レーザー彫刻印刷版または印刷原版の再生方法 Expired - Fee Related JP5240968B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006089993A JP5240968B2 (ja) 2006-03-29 2006-03-29 レーザー彫刻印刷版または印刷原版の再生方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006089993A JP5240968B2 (ja) 2006-03-29 2006-03-29 レーザー彫刻印刷版または印刷原版の再生方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007261120A true JP2007261120A (ja) 2007-10-11
JP5240968B2 JP5240968B2 (ja) 2013-07-17

Family

ID=38634584

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006089993A Expired - Fee Related JP5240968B2 (ja) 2006-03-29 2006-03-29 レーザー彫刻印刷版または印刷原版の再生方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5240968B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113799512A (zh) * 2020-06-12 2021-12-17 乐凯华光印刷科技有限公司 柔性感光印刷版的双层结构感光弹性体及其制备方法及包含其的柔性感光印刷版
EP4311644A1 (en) * 2022-07-25 2024-01-31 Ira Nicoletti Process for the treatment of the photopolymer material that constitutes the matrix plates in flexographic printing
EP4311643A1 (en) * 2022-07-25 2024-01-31 Ira Nicoletti Process for the treatment of the photopolymer material that constitutes the matrix plates in flexographic printing

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005005147A1 (ja) * 2003-07-09 2005-01-20 Asahi Kasei Chemicals Corporation シームレス印刷用凸版材の製造方法及びシームレス印刷用凸版材の製造装置
JP2005281729A (ja) * 2004-03-26 2005-10-13 Seiko Epson Corp 基材の表面処理方法および基材

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005005147A1 (ja) * 2003-07-09 2005-01-20 Asahi Kasei Chemicals Corporation シームレス印刷用凸版材の製造方法及びシームレス印刷用凸版材の製造装置
JP2005281729A (ja) * 2004-03-26 2005-10-13 Seiko Epson Corp 基材の表面処理方法および基材

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113799512A (zh) * 2020-06-12 2021-12-17 乐凯华光印刷科技有限公司 柔性感光印刷版的双层结构感光弹性体及其制备方法及包含其的柔性感光印刷版
CN113799512B (zh) * 2020-06-12 2023-03-10 乐凯华光印刷科技有限公司 柔性感光印刷版的双层结构感光弹性体及其制备方法及包含其的柔性感光印刷版
EP4311644A1 (en) * 2022-07-25 2024-01-31 Ira Nicoletti Process for the treatment of the photopolymer material that constitutes the matrix plates in flexographic printing
EP4311643A1 (en) * 2022-07-25 2024-01-31 Ira Nicoletti Process for the treatment of the photopolymer material that constitutes the matrix plates in flexographic printing

Also Published As

Publication number Publication date
JP5240968B2 (ja) 2013-07-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7754415B2 (en) Process for producing laser engravable printing substrate
EP1710093B1 (en) Photosensitive resin composition for laser engravable printing substrate
JP4627531B2 (ja) 感光性樹脂硬化物の製造方法
EP1731325A1 (en) Hollow cylindrical printing element
JP2007185917A (ja) フレキソ印刷用印刷版の製造方法
JP4475505B2 (ja) レーザー彫刻可能な円筒状印刷原版
JP2006248191A (ja) シート状あるいは円筒状の樹脂製印刷基材の製造方法
JP4024136B2 (ja) レーザー彫刻印刷原版
JP4323186B2 (ja) レーザー彫刻可能な円筒状フレキソ印刷原版
JP4425551B2 (ja) レーザー彫刻可能な印刷原版用感光性樹脂組成物
JP4502367B2 (ja) レーザー彫刻可能な円筒状フレキソ印刷原版の製造方法
JP4942404B2 (ja) シート状又は円筒状印刷基材の製造方法
JP2006069120A (ja) 電子回路あるいは光学部材の製造方法
JP5240968B2 (ja) レーザー彫刻印刷版または印刷原版の再生方法
JP2007144910A (ja) レーザー彫刻印刷版の製造方法
JP4220272B2 (ja) レーザー彫刻印刷版の製造方法
JP4180314B2 (ja) 印刷版の製造方法
JP4375705B2 (ja) レーザー彫刻印刷原版
JP2005221735A (ja) レーザー彫刻可能な円筒状印刷原版の製造方法
JP4391260B2 (ja) 周長調整層を有する円筒状印刷原版
JP4024135B2 (ja) レーザー彫刻印刷版
JP2005212144A (ja) 表面処理されたレーザー彫刻印刷版の製造方法
JP4220221B2 (ja) フレキソ印刷原版の作製方法
JP2005219378A (ja) 円筒状印刷原版
JP4156902B2 (ja) レーザー彫刻印刷原版

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090310

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20090401

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111031

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120403

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120524

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130328

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130401

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160412

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees