JP2007261071A - 光反射体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、優れた光反射性能を有すると共に熱成形性にも優れ、更に、厚みも薄い光反射体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の光反射体は、発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡させて得られた予備発泡粒子を金型内に充填して発泡成形させてなる熱可塑性樹脂発泡成形体からなり、この熱可塑性樹脂発泡成形体の気泡が上記熱可塑性樹脂発泡成形体の厚み方向に圧壊されて、気泡壁の一部に山折れ状態に屈折変形した山折れ部と谷折れ状態に屈折変形した谷折れ部とを有する気泡を含有していることを特徴とするので、光反射体内に入射した光を気泡壁の屈折部において効果的に反射させることができ、よって、光反射体は、優れた光反射性能を有する。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明の光反射体は、発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡させて得られた予備発泡粒子を金型内に充填して発泡成形させてなる熱可塑性樹脂発泡成形体からなり、この熱可塑性樹脂発泡成形体の気泡が上記熱可塑性樹脂発泡成形体の厚み方向に圧壊されて、気泡壁の一部に山折れ状態に屈折変形した山折れ部と谷折れ状態に屈折変形した谷折れ部とを有する気泡を含有していることを特徴とするので、光反射体内に入射した光を気泡壁の屈折部において効果的に反射させることができ、よって、光反射体は、優れた光反射性能を有する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、液晶表示装置のバックライトや、蛍光灯、白熱灯を用いた照明器具の反射体に好適に用いることができる光反射体及びその製造方法に関する。
近年、パソコン、テレビ、携帯電話などの表示装置として液晶表示装置が多数、提供されている。この液晶表示装置は、液晶セルの後方又は側方に配設された光源から液晶セルに光を照射している。
そして、光源からの光を液晶セルに効率良く照射するために光反射体が配設されており、液晶表示画面の輝度を向上させるために、高い光反射性能を有する光反射体が求められている。
このような光反射体としては、特許文献1に、フィルム内部に孔を有する光反射フィルムであって、フィルム厚み方向に該孔により形成される界面を65以上有することを特徴とする光反射フィルムが提案されている。
更に、特許文献2には、平均気泡径50μm以下の微細気泡を含有し、厚さが200μm以上、比重が0.7以下の熱可塑性ポリエステル発泡体からなることを特徴とする光反射板が提案されている。
これらの光反射体は、フィルム内部の孔や気泡内に含まれる空気と、発泡体を構成している樹脂との間における屈折率の差を利用し、空気と樹脂との界面で光を反射させる技術を利用している。
従って、フィルム内部の孔や気泡内に含まれる空気と、発泡体を構成している樹脂との間の界面を増加させることが光反射体の光反射性能を向上させる手段の一つであり、このために、特許文献1の光反射フィルムでは、フィルムを構成する樹脂中に無機物や非相溶性の樹脂を多量に添加する必要があると共に、フィルム内部に孔を生成するために二軸延伸工程を必要とし、フィルム内に生成された孔が破れないように製造条件の厳密な管理が必要である上に、光反射フィルムは過度に延伸されているために熱成形性に劣るといった問題点があった。
又、特許文献2の光反射板では、その製造に、熱可塑性樹脂シートに有機溶媒を含有させる工程、不活性ガスを含浸させる工程及び加熱発泡させる工程を必要とし、生産性に劣るといった問題点があった。
更に、特許文献3には、内部に平均径50μmの独立気泡が分散する熱可塑性ポリエステル樹脂シートの全面または一部表面に、複数個の凹没部又は凸起部が形成されている光拡散反射シートが開示されている。
そして、この光反射体は、熱可塑性ポリエステル樹脂シートの表面に、シート材料のガラス転移温度以上で且つ融点より低い温度に加熱したエンボスロールを押圧することによって、熱可塑性ポリエステル樹脂シートの表面に凹没部を形成している。
しかしながら、エンボスロールの温度をシート材料のガラス転移温度以上の温度とし、このエンボスロールを熱可塑性ポリエステル樹脂シートに押圧することによって凹没部を形成していることから、エンボスロールを押圧している熱可塑性ポリエステル樹脂シートの表面部分の気泡壁のみがガラス状態からゴム状の柔軟な状態となっており、気泡壁の柔らかくなった気泡のみが優先的にエンボスロールによって押し潰されて消滅した状態となっている。
よって、熱可塑性ポリエステル樹脂シート全体の気泡数が減少しており、気泡内に含まれる空気と、熱可塑性ポリエステル樹脂シートを構成している熱可塑性ポリエステル系樹脂との間における屈折率の差を利用した光反射性能が低下してしまうといった問題点を生じていると共に、熱可塑性ポリエステル樹脂シートにエンボスロールを押圧することによって製造していることから、複雑な形状を有する光反射体を製造することができないといった問題点を有していた。
更に、近年のパソコン、テレビ、携帯電話などの表示装置の薄型化に伴って光反射体もその厚みができるだけ薄いことが要求されており、この要求に対応するために熱可塑性樹脂発泡成形体を薄いものとすると、この熱可塑性樹脂発泡成形体内に形成されている気泡の数が制限され、その結果、フィルム内部の孔や気泡内に含まれる空気と、発泡体を構成している樹脂との間の界面が少なくなり、光反射体の光反射性能が低下してしまうといった問題点を生じた。
本発明は、優れた光反射性能を有すると共に熱成形性にも優れ、更に、厚みも薄い光反射体及びその製造方法を提供する。
本発明の光反射体Aは、発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡させて得られた予備発泡粒子を金型内に充填して発泡成形させてなる熱可塑性樹脂発泡成形体からなり、この熱可塑性樹脂発泡成形体の気泡が上記熱可塑性樹脂発泡成形体の厚み方向に圧壊されて、気泡壁の一部に山折れ状態に屈折変形した山折れ部と谷折れ状態に屈折変形した谷折れ部とを有する気泡を含有していることを特徴とする。
発泡性熱可塑性樹脂粒子を構成している熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸エステル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド及びこれらを主たる成分とする共重合体などが挙げられ、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
上記ポリスチレン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、t−ブチルスチレン、ジメチルスチレンなどのスチレン系単量体の単独重合体又はこれらの共重合体などが挙げられる。
又、上記ポリスチレン系樹脂としては、上記スチレン系単量体を主成分とする、上記スチレン系単量体とこのスチレン系単量体と共重合可能なビニル単量体との共重合体であってもよく、このようなビニル単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、エチルフマレート、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタクリレートなどが挙げられる。
そして、発泡性熱可塑性樹脂粒子は、汎用の方法で製造された熱可塑性樹脂粒子に発泡剤を含浸させることによって製造される。例えば、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の場合には、ポリスチレン系樹脂の懸濁重合時に懸濁液中に発泡剤を含有させ、ポリスチレン系樹脂粒子中に発泡剤を含浸させて発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を製造する方法、ポリスチレン系樹脂粒子を汎用の方法で製造し、このポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を製造する方法などが挙げられる。なお、ポリスチレン系樹脂の懸濁重合時に発泡剤を含浸させる場合には、単量体の重合転化率が85%以上の時に発泡剤を懸濁液中に含有させることが好ましい。
そして、発泡剤としては、特に限定されず、例えば、プロパン、ブタン、ペンタンなどの脂肪族炭化水素;1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(HCFC−141b)、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン(HCFC−142b)、2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HCFC−124)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)などのフロン系発泡剤が挙げられ、脂肪族炭化水素が好ましい。なお、発泡剤は単独で使用されても併用されてもよい。
発泡性熱可塑性樹脂粒子中における発泡剤の含有量は、少ないと、発泡性熱可塑性樹脂粒子を発泡させて得られる発泡粒子同士の熱融着が不充分となって熱可塑性樹脂発泡成形体の機械的強度が低下することがある一方、多いと、発泡性熱可塑性樹脂粒子を用いて得られた熱可塑性樹脂発泡成形体に収縮が生じることがあるので、1〜12重量%が好ましく、2〜10重量%がより好ましい。
そして、上記熱可塑性樹脂発泡成形体1を構成している熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、低いと、熱可塑性樹脂発泡成形体の気泡を構成している気泡壁の一部を熱可塑性樹脂発泡成形体の厚み方向への圧壊によって、山折れ状態及び谷折れ状態に屈折変形させることができないことがあるので、40℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、80℃以上が特に好ましく、具体的には、熱可塑性樹脂発泡成形体1を構成する熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂が好ましく、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートがより好ましく、ポリスチレンが特に好ましい。
なお、熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、JIS K7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」記載の方法に準拠して測定されたものをいう。例えば、ポリスチレン系樹脂の場合には、試料10mgを充填した測定容器を示差走査熱量計内に配設し、窒素ガス流量を30ミリリットル/分の条件下にて、昇温速度20℃/分で220℃まで昇温し10分間に亘って保持した後、測定容器を示差走査熱量計から取り出して室温にて急冷した後、再度、測定容器を示差走査熱量計内に配設し、窒素ガス流量を30ミリリットル/分の条件下にて、昇温速度10℃/分で220℃まで昇温して発熱量を測定して吸熱曲線を得、この吸熱曲線から得られた中間点ガラス転移温度をガラス転移温度とする。
又、ポリエステル系樹脂の場合には、試料10mgを充填した測定容器を示差走査熱量計内に配設し、窒素ガス流量を30ミリリットル/分の条件下にて、昇温速度5℃/分で290℃まで昇温して発熱量を測定して吸熱曲線を得、この吸熱曲線から得られた中間点ガラス転移温度をガラス転移温度とする。
なお、示差走査熱量計としては、例えば、セイコー電子工業社から商品名「DSC200型」で市販されているものが用いられる。
そして、本発明の光反射体を構成している熱可塑性樹脂発泡成形体1は、発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡させて得られた予備発泡粒子を金型のキャビティ内に充填し、予備発泡粒子を加熱して発泡させて得られる発泡粒子同士を熱融着一体化してなるものである。
ここで、光反射体Aに入射した光は、一部が熱可塑性樹脂発泡成形体1によって反射されて反射光となり、一部は熱可塑性樹脂発泡成形体1を透過し、更に、残余の光は熱可塑性樹脂発泡成形体1に吸収され、光反射体Aの光線全反射率を向上させるには反射光を増加させることが必要である。
そして、光反射体Aの反射光は、熱可塑性樹脂発泡成形体1の気泡壁を構成している熱可塑性樹脂と、気泡内に含まれる空気との間の屈折率の差を利用して、空気と樹脂との界面で光を屈折、反射させることで得られている。
そこで、本発明の光反射体Aでは、図1に示したように、該光反射体Aを構成している熱可塑性樹脂発泡成形体1の気泡2を熱可塑性樹脂発泡成形体1の厚み方向に圧壊し、気泡2を構成している気泡壁21の一部を山折れ21a 状態及び谷折れ21b 状態に不規則に屈折変形させて気泡2を扁平な状態としている。
ここで、光反射体Aを構成している熱可塑性樹脂発泡成形体1の厚み方向とは、光が照射される光反射体Aの表面に対して垂直な方向をいい、例えば、図2に示した形状の熱可塑性樹脂発泡成形体1及び光反射体Aの場合には、熱可塑性樹脂発泡成形体1及び光反射体Aの光入射面1a,A1に対して垂直な方向VDをいう。
そして、「気泡壁21の一部を山折れ21a 状態及び谷折れ21b 状態に屈折変形させている」とは、光反射体Aをその厚み方向に全長に亘って切断して得られた切断面に露出した気泡の切断面において、一の気泡を構成している気泡壁が、山折れ状態に屈折変形させられた山折れ部21a と、谷折れ状態に屈折変形させられた谷折れ部21b の双方を有していることをいう。
なお、熱可塑性樹脂発泡成形体1の一部の気泡について、該気泡を構成している気泡壁21の一部を山折れ21a 状態及び谷折れ21b 状態に屈折変形させておればよいが、全ての気泡について、該気泡を構成している気泡壁21の一部を山折れ21a 状態及び谷折れ21b 状態に屈折変形させていることが好ましい。
そして、気泡壁21の一部に山折れ状態に屈折変形した山折れ部と谷折れ状態に屈折変形した谷折れ部とを有する気泡2が全体の気泡に占める割合は、少ないと、光反射体の光反射性能が低下することがあるので、50%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。
ここで、気泡壁21の一部に山折れ状態に屈折変形した山折れ部と谷折れ状態に屈折変形した谷折れ部とを有する気泡2が全体の気泡に占める割合は下記の要領で測定されたものをいう。先ず、光反射シートをその厚み方向に全長に亘って切断する。しかる後、光反射シートの断面を電子顕微鏡を用いて適切な倍率にて顕微鏡写真を得る。
なお、電子顕微鏡の倍率としては、熱可塑性樹脂発泡成形体の気泡の形態を明瞭に確認することができれば、特に限定されず、通常、30〜1000倍に調整すればよいが、この範囲以外の倍率であっても、熱可塑性樹脂発泡成形体の気泡の形態を明瞭に確認できればよい。
又、熱可塑性樹脂発泡成形体の気泡の形態を明瞭に確認できる倍率とすると、一枚の顕微鏡写真に熱可塑性樹脂発泡成形体の厚み方向の全長が収まらない場合は、熱可塑性樹脂発泡成形体をその厚み方向に複数に分割して撮影し、複数枚の顕微鏡写真を繋ぎ合わせることによって一枚の顕微鏡写真としてもよい。
そして、電子顕微鏡写真上の任意の箇所に熱可塑性樹脂発泡成形体の表面に対して垂直な直線を熱可塑性樹脂発泡成形体の厚み方向の全長に亘って描き、この直線上に位置する全気泡数N1 を数えた。なお、直線上に一部しか位置しない気泡や、形状が不明瞭で特定できない気泡についても測定対象とした。
次に、上記直線上に位置する気泡のうち、気泡壁の一部に山折れ状態に屈折変形した山折れ部21a と谷折れ状態に屈折変形した谷折れ部21b とを有する気泡の数N2 を数える。なお、直線上に一部しか位置しない気泡についても測定対象としたが、全気泡数N1 の測定の場合と異なり、形状が不明瞭で特定できない気泡については測定対象外とした。
しかる後、下記式に基づいて、気泡壁21の一部に山折れ状態に屈折変形した山折れ部と谷折れ状態に屈折変形した谷折れ部とを有する気泡2が全体の気泡に占める割合Rを算出することができる。
割合R(%)=100×N2 /N1
割合R(%)=100×N2 /N1
気泡2を構成している気泡壁21の一部を山折れ21a 状態及び谷折れ21b 状態に屈折変形させる形態としては、気泡壁21を任意の位置において谷折れ状態及び山折れ状態に屈折変形させた形態であっても、或いは、気泡壁21が熱可塑性樹脂発泡成形体の厚み方向に山折れと谷折れを繰り返して蛇腹状に折り重なった形態の何れであってもよく、これらの形態が混在していてもよい。
このように、気泡2を構成している気泡壁21の一部を山折れ21a 状態及び谷折れ21b 状態に屈折変形させることによって、気泡2を構成している気泡壁21のうち、光反射体Aに入射する光の入射方向に向いた気泡壁が増加し、この気泡壁において、気泡壁を構成している熱可塑性樹脂と気泡内との空気との界面にて光を屈折、反射させることによって、光反射体の光線全反射率を向上させている。
しかも、本発明の光反射体Aは、その気泡を構成している曲面状の気泡壁の一部を山折れ21a 状態及び谷折れ21b 状態に屈折させることによって気泡を変形させて扁平な状態としたものであって、原料となる熱可塑性樹脂発泡成形体を厚み方向に圧壊し厚みを薄くすることによって得られたものである。
又、熱可塑性樹脂発泡成形体が含有する気泡の数は、熱可塑性樹脂発泡成形体の厚みが厚くなればなる程、多くなるが、上述のように、光反射体の原料となる熱可塑性樹脂発泡成形体は光反射体の厚みよりも厚いので、光反射体Aが有する気泡の数は、光反射体と同一厚みを有する圧壊されていない熱可塑性樹脂発泡成形体の有する気泡の数よりも多くなっている。
つまり、本発明の光反射体は、光反射体をこの光反射体と同一の厚みを有する熱可塑性樹脂発泡成形体から製造する場合に比して、同一厚みであっても、より多くの気泡を含有しており、よって、本発明の光反射体Aは、気泡2を構成している気泡壁21の総表面積も大きく、即ち、気泡壁21を構成している熱可塑性樹脂と、気泡内に含まれている空気との界面の表面積も大きくなっており、この広い界面によって光反射体に入射した光を屈折、反射させることができる。
しかも、本発明の光反射体は、発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡させて得られた予備発泡粒子を金型のキャビティ内に充填して発泡成形させてなる熱可塑性樹脂発泡成形体からなり、この熱可塑性樹脂発泡成形体中の気泡は、押出発泡によって製造された熱可塑性樹脂発泡体と比較して微細なものとなっており、同一の発泡倍率である場合には気泡数も多い。
そして、気泡2は、上述のように厚み方向に圧壊されて圧縮前よりも扁平な状態とされていると共に、上述のように気泡2の気泡径も小さいことも相俟って、互いに隣接する気泡の中心間距離が極めて短くなっており、気泡2における光反射性に優れている。
このように、本発明の光反射体Aは、これを構成している熱可塑性樹脂発泡成形体の気泡数が多い上に、気泡2を構成している気泡壁21のうち、該気泡壁の垂線方向が光反射体Aに入射する光の入射方向に向いた気泡壁が多く存在していると共に、互いに隣接する気泡間における気泡中心の距離が極めて短いので、光反射体Aに入射した光をできるだけ透過させないようにしながら、気泡壁21を構成している熱可塑性樹脂と気泡中の空気との界面にて高い割合で反射させることができ、光反射体Aは、高い光線全反射率を有している。
ここで、圧縮前の熱可塑性樹脂発泡成形体の厚み方向の平均気泡径は、大きいと、熱可塑性樹脂発泡成形体中に含有される気泡数が減少し、気泡壁を構成している熱可塑性樹脂と気泡内との空気との界面にて屈折、反射される反射光が減少し、光反射体の光線全反射率が低下することがあるので、1mm以下が好ましく、0.5mm以下がより好ましい。
そして、熱可塑性樹脂発泡成形体をその厚み方向に圧縮させて得られた光反射体の厚み方向の平均気泡径は、大きいと、熱可塑性樹脂発泡成形体中において、気泡壁を山折れ状態に屈折変形させてなる山折れ部及び谷折れ状態に屈折変形させてなる谷折れ部の数が少なくなり、その結果、光反射体の光線全反射率が低下することがある一方、小さいと、気泡の圧壊が過度になり過ぎて、気泡壁を構成している熱可塑性樹脂と気泡内との空気との界面における光の屈折、反射が不充分となって反射光が減少し、光反射体の光線全反射率が低下することがあるので、0.1〜100μmが好ましく、1〜80μmがより好ましい。
ここで、熱可塑性樹脂発泡成形体1の厚み方向の平均気泡径は下記の要領で測定されたものをいう。先ず、熱可塑性樹脂発泡成形体1をその厚み方向の全長に亘って切断し、この切断面を走査型電子顕微鏡を用いて30〜1000倍の倍率で撮影する。
なお、熱可塑性樹脂発泡成形体1の気泡の形態を明瞭に確認できる倍率とすると、一枚の顕微鏡写真に熱可塑性樹脂発泡成形体1の厚み方向の全長が収まらない場合は、熱可塑性樹脂発泡成形体1をその厚み方向に複数に分割して撮影し、複数枚の顕微鏡写真を繋ぎ合わせることによって一枚の顕微鏡写真としてもよい。
得られた顕微鏡写真上の任意の箇所に熱可塑性樹脂発泡成形体1の厚み方向にその全長に亘って直線を一本描き、この直線上に位置する気泡数を数え、直線の長さを気泡数で除したものを熱可塑性樹脂発泡成形体1の厚み方向の平均気泡径とする。なお、気泡の数を数えるにあたって、直線上に一部でも位置している気泡や、形状が不明瞭で特定できない気泡についても測定対象とした。
又、本発明の光反射体を構成している熱可塑性樹脂発泡成形体1は、予備発泡粒子を発泡させて熱融着一体化させることによって得られたものであり、発泡性熱可塑性樹脂粒子を発泡させて得られた発泡粒子同士の熱融着界面には、図1,図3及び図4に示したように、非発泡或いは低発泡な熱融着部3が形成されている。この熱融着部3は、圧縮前の熱可塑性樹脂発泡成形体の断面において、図4に示したように、略直状或いは僅かに円弧状に湾曲した状態に形成された熱融着部3、3同士が互いに接合し合うことによって網目状(蜂の巣状)に形成されている。
本発明の光反射体は、熱可塑性樹脂発泡成形体1をその厚み方向に圧縮させることによって、熱融着部3、3がそれらの接合部31を中心にして屈折変形させられている。即ち、圧縮前の熱可塑性樹脂発泡成形体の任意の熱融着部3a、3b同士が図3に示したように当初、角度αでもって交差していたものが、圧縮後の熱可塑性樹脂発泡成形体、即ち、光反射体Aでは、図1に示したように角度αよりも小さな角度βでもって交差した状態となっており、熱融着部3a、3b同士が互いに近づいた状態となっている。
そして、熱融着部3a、3bで挟まれた部分にある気泡群2Aは、熱可塑性樹脂発泡成形体1の厚み方向の圧縮力によって熱融着部3a、3bによる挟圧力を介して圧縮されている。なお、図1において、上記では熱融着部3a、3bに着目して気泡の圧縮を説明したが、図1上において熱融着部3aの上部、熱融着部3bの下部及び熱融着部3cの左部にも別の融着部がそれぞれ連続して形成されており、熱融着部3aと熱融着部3cとで仕切られた気泡群2Bや、熱融着部3bと熱融着部3cとで仕切られた気泡群2Cも、熱可塑性樹脂発泡成形体Aの厚み方向の圧縮力によって熱融着部3a、3b、3cと、図1に記載されていない熱融着部とによる挟圧力を介して圧縮されている。
つまり、熱可塑性樹脂発泡成形体1内の気泡は、図4に示したように、非発泡或いは低発泡で気泡壁よりも剛直な熱融着部3、3・・・によって囲まれた状態となっており、この熱融着部3、3・・・がそれらの接合部31、31・・・を中心にして屈折変形させられていることによって、熱可塑性樹脂発泡成形体1内の気泡2が全体的に熱可塑性樹脂発泡成形体1の厚み方向に圧壊された状態となっている。
よって、本発明の光反射体Aは、その熱可塑性樹脂発泡成形体1内の気泡が全体的に厚み方向に圧壊されており、気泡壁の一部に山折れ状態に屈折変形した山折れ部21a と谷折れ状態に屈折変形した谷折れ部21b とを有する気泡2が全体的に略均一に存在した状態に形成されており、優れた光線全反射率を有している。
そして、本発明の光反射体Aの原料となる圧縮前の熱可塑性樹脂発泡成形体の熱融着部中には、予備発泡粒子同士が完全に隙間なく熱融着することができなかったことに起因する空隙部が形成されていることがあるが、本発明の光反射体Aでは、熱可塑性樹脂発泡成形体をその厚み方向に圧縮しており、この厚み方向への圧縮によって熱融着部中に形成された空隙部が殆ど消失している。従って、熱融着部によって光反射体Aに入射した光の光線透過率が低くなっており、光反射体Aは優れた光線反射性能を発揮している。
更に、上述のように、光反射体Aの熱融着部3には殆ど空隙部が形成されていないことから熱融着部3は優れた剛性を有していると共に、熱融着部3、3・・・は光反射体Aの全体に網目状に形成されていることから、光反射体Aは優れた機械的強度をも有している。
具体的には、光反射体Aの引張弾性率は、その見掛け密度が0.1g/cm3 未満では10MPa以上が好ましく、見掛け密度が0.1g/cm3 以上では50MPa以上が好ましい。
なお、光反射体Aの引張弾性率は、JIS K7162:1994に準拠して測定したものをいう。具体的には、オリエンテック社から商品名「UCT−10T」にて販売されているテンシロン万能試験機を用いて、試験片をダンベル状7号形とし、試験片のつまみ具間の距離200mm、試験速度1mm/分の条件下にて測定することができる。
上述のように、光反射体Aの光線全反射率を向上させるためには反射光を増加させることも重要であるが、光反射体Aに吸収される光の量を減少させることによって光反射体Aの光線全反射率を向上させることも効果的であり、光反射体Aに吸収される光の量を減少させるべく、光反射体Aを白色とすることが好ましい。
又、上記光反射体Aの光線全反射率は、95%以上が好ましく、96%以上がより好ましく、97%以上が特に好ましい。なお、光反射体の光線全反射率は、JIS K7105に記載の測定法Bに準拠して8°の入射条件下にて全反射光測定を行った場合における波長550nmの光線反射率をいい、標準反射板として硫酸バリウム板を用いた時の光線反射率を100とした時の相対値で示したものである。
光反射体の光線全反射率は、具体的には、島津製作所社から商品名「UV−2450」にて市販されている紫外可視分光光度計と、島津製作所社から商品名「ISR−2200」にて市販されている積分球付属装置(内径:φ60mm)とを組み合わせて測定することができる。
又、光反射体Aの見掛け密度は、小さいと、光反射体の機械的強度が低下し、光反射体の取扱性が低下することがある一方、大きいと、光反射体の軽量性が低下することがあるので、0.02〜0.7g/cm3 が好ましい。
なお、光反射体Aの見掛け密度は、JIS K7222:1999「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の測定」に記載の方法に準拠して測定されたものをいう。具体的には、製造直後から72時間に亘って23℃の雰囲気下にて放置された光反射体から50cm3 以上の試験片を切り出し、この試験片を更に21〜25℃、相対湿度45〜55%の雰囲気下にて16時間に亘って放置する。次に、試験片の重量及び見掛け体積を測定し、重量を体積で除することによって熱可塑性樹脂発泡成形体の見掛け密度を算出することができる。
そして、光反射体Aの厚みは、薄いと、光反射体の機械的強度が低下し、光反射体の取扱性が低下し、或いは、光反射体の光反射性能が低下することがある一方、厚いと、光反射体が用いられる製品の小型化を図ることができないことがあるので、0.1〜10mmが好ましい。
なお、光反射体Aの熱可塑性樹脂発泡成形体1の片面又は両面には、非発泡の熱可塑性樹脂フィルムが積層一体化されていてもよい。又、熱可塑性樹脂発泡成形体1及び非発泡の熱可塑性樹脂フィルムには、その物性を損なわない範囲内において、蛍光増白剤、架橋剤、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、無機微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤、気泡調整剤、染料、顔料、分散剤、カップリング剤などが添加されていてもよい。
次に、上記光反射体Aの製造方法について説明する。先ず、製造しようとする光反射体Aの厚さよりも厚い熱可塑性樹脂発泡成形体を原料として用意する。この熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法としては、上述したように汎用の方法で製造されたものが用いられる。熱可塑性樹脂発泡成形体の形態としては、シート状の他に、製造しようとする光反射体と厚さ以外が同一形状であるものであってもよい。
そして、原料として用いられる熱可塑性樹脂発泡成形体の光線全反射率は、70%以上が好ましく、75%以上がより好ましく、80%以上が特に好ましい。なお、熱可塑性樹脂発泡成形体の光線全反射率は、上述した光反射体の光線全反射率の測定と同様の要領であるのでその説明を省略する。
又、原料として用いられる熱可塑性樹脂発泡成形体の見掛け密度は、小さいと、光反射体の製造時に熱可塑性樹脂発泡成形体の気泡を構成している気泡壁が破れ、得られる光反射体の光線全反射率が低下することがある一方、大きいと、熱可塑性樹脂発泡成形体の気泡を構成している気泡壁が厚くなり、光反射体の製造時における熱可塑性樹脂発泡成形体の厚み方向の圧縮に特殊な装置が必要となり、或いは、得られる光反射体の光線全反射率が低下することがあるので、0.01〜0.6g/cm3 が好ましい。なお、熱可塑性樹脂発泡成形体の見掛け密度は、光反射体Aの見掛け密度の測定と同様の要領であるのでその説明を省略する。
更に、原料として用いられる熱可塑性樹脂発泡成形体の厚さは、薄いと、熱可塑性樹脂発泡成形体を充分に圧縮できず、得られる光反射体の光線全反射率が低下することがある一方、厚いと、光反射体の小型化を図ることができないことがあるので、0.5〜20mmが好ましい。
そして、上記熱可塑性樹脂発泡成形体をその厚み方向に熱可塑性樹脂発泡成形体を構成している熱可塑性樹脂のガラス転移温度未満の温度にて圧縮して、熱可塑性樹脂発泡成形体の気泡ができるだけ破れないように、好ましくは、気泡破れが発生しないようにしながら、熱可塑性樹脂発泡成形体の気泡を構成している気泡壁の一部を山折れ状態及び谷折れ状態に屈折変形させることによって、熱可塑性樹脂発泡成形体の厚みを復元不能に薄くする。
この際、熱可塑性樹脂発泡成形体内には全体的に、非発泡或いは低発泡な剛直な熱融着部3、3が接合部31、31を介して連続的に連なって網目状に形成されており、熱融着部3、3・・・がこれらの接合部31、31・・・を中心にして熱可塑性樹脂発泡成形体1の厚み方向に加えられる圧縮力によって屈折変形し、その結果、熱融着部3、3・・・間に存在する気泡2が熱融着部3、3に挟圧されて圧縮する。このように、熱可塑性樹脂発泡成形体に加えられた圧縮力は、熱可塑性樹脂発泡成形体1の表面部の気泡だけでなく、熱可塑性樹脂発泡成形体1の気泡全体に確実に加えられ、熱可塑性樹脂発泡成形体内の気泡が全体的にその厚み方向に圧縮される。
ここで、熱可塑性樹脂発泡成形体を該熱可塑性樹脂発泡成形体を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度未満で圧縮するのは、熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度を境にしてガラス状のかたい状態からゴム状(軟化状態)に変化するので、熱可塑性樹脂をガラス転移温度未満にてガラス状のかたい状態に維持したまま、熱可塑性樹脂発泡成形体をその厚み方向に圧縮することで、熱可塑性樹脂発泡成形体の気泡を構成している気泡壁を復元不能に山折れ状態及び谷折れ状態に屈折変形させることができるからである。
一方、熱可塑性樹脂発泡成形体をその厚み方向に熱可塑性樹脂発泡成形体を構成している熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上の温度にて圧縮すると、熱可塑性樹脂発泡成形体は軟化状態となっており、熱可塑性樹脂発泡成形体の気泡は球状或いはこれに類似した形態を保持したまま可逆的に変形を生じるのみで、気泡を構成している気泡壁は屈折変形され難く、又、気泡破れを生じて光反射体の表面性が低下する虞れもあり、光反射体の光線全反射率を向上させることができない。
熱可塑性樹脂発泡成形体をその厚み方向に圧縮する際、熱可塑性樹脂発泡成形体の温度は常温であることが好ましいが、熱可塑性樹脂発泡成形体を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度よりも20℃低い温度以下がより好ましく、熱可塑性樹脂発泡成形体を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度よりも30℃低い温度以下が特に好ましい。
又、熱可塑性樹脂発泡成形体をその厚み方向に圧縮する方法としては、特に限定されず、例えば、(1) 熱可塑性樹脂発泡成形体を上下一対の成形型のキャビティ内に供給し、成形型によって熱可塑性樹脂発泡成形体をその厚み方向に圧縮する方法、(2) 熱可塑性樹脂発泡成形体を上下一対の回転ロール間に供給して熱可塑性樹脂発泡成形体をその厚み方向に圧縮する方法などが挙げられる。
熱可塑性樹脂発泡成形体をその厚み方向に圧縮するにあたって、上記(1) の方法を採用する場合、キャビティ形状を製造しようとする光反射体の形状と同一形状とした金型を用いることが好ましい。
このような場合、成形型のキャビティ内に熱可塑性樹脂発泡シートを供給し、熱可塑性樹脂発泡シートをその厚み方向に圧縮すると同時に熱可塑性樹脂発泡シートを光反射体の形状に賦形することによって光反射体を製造してもよいし、或いは、厚さが厚い以外は光反射体の形状に合致した形態を有する熱可塑性樹脂発泡成形体を用意し、この熱可塑性樹脂発泡成形体を金型のキャビティ内に供給して熱可塑性樹脂発泡成形体をその厚み方向に圧縮して光反射体を製造してもよい。
特に、本発明の光反射体の製造方法は、発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡させて得られた予備発泡粒子を金型のキャビティ内に充填した上で、予備発泡粒子を発泡させて得られた熱可塑性樹脂発泡成形体を用いることから、予備発泡粒子を充填させる金型のキャビティ形状を、製造しようとする光反射体の厚みよりも厚さが厚い以外は光反射体と同一形状としておき、原料となる熱可塑性樹脂発泡成形体をその厚さが厚い以外は光反射体と同一形状を有するように形成しておくことにより、熱可塑性樹脂発泡成形体をその厚み方向に圧縮するだけで、複雑な形状の光反射体であっても精度良く且つ確実に製造することができる。
そして、熱可塑性樹脂発泡成形体にその厚み方向に圧縮力を加える時間は、短いと、熱可塑性樹脂発泡成形体の気泡を構成している気泡壁を完全に山折れ状態及び谷折れ状態に屈折変形させることができず、得られる光反射体の光反射性能が低下することがあるので、0.1秒以上が好ましいが、長すぎると光反射体の生産性が低下することがあるので、 1〜30秒がより好ましい。
又、熱可塑性樹脂発泡成形体を圧縮する際に常温にて行うことが生産性及びエネルギーコストの観点から好ましく、熱可塑性樹脂発泡成形体を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度は40℃以上が好ましい。
そして、熱可塑性樹脂発泡成形体の圧縮度合いは、小さいと、熱可塑性樹脂発泡成形体の気泡を構成している気泡壁を十分に山折れ状態及び谷折れ状態に屈折させることができず、得られる光反射体の光反射性能が低下する一方、大きいと、熱可塑性樹脂発泡成形体の気泡破れが発生し、かえって光反射体の光反射性能が低下し、或いは、得られる光反射体の表面性が低下し光反射性能に悪影響を及ぼすので、圧縮後の熱可塑性樹脂発泡成形体の厚みが圧縮前の熱可塑性樹脂発泡成形体の厚みの10〜90%となるように調整することが好ましく、15〜80%がより好ましく、20〜70%が特に好ましい。
本発明の光反射体は、発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡させて得られた予備発泡粒子を金型内に充填して発泡成形させてなる熱可塑性樹脂発泡成形体からなり、この熱可塑性樹脂発泡成形体の気泡が上記熱可塑性樹脂発泡成形体の厚み方向に圧壊されて、気泡壁の一部に山折れ状態に屈折変形した山折れ部と谷折れ状態に屈折変形した谷折れ部とを有する気泡を含有していることを特徴とするので、光反射体内に入射した光を気泡壁の屈折部において効果的に反射させることができ、よって、光反射体は、優れた光反射性能を有する。
そして、本発明の光反射体は、光反射体の有する厚みよりも厚い熱可塑性樹脂発泡成形体を原料とし、この熱可塑性樹脂発泡成形体を厚み方向に圧壊させていることから、光反射体は、この光反射体と同一厚みを有する熱可塑性樹脂発泡成形体から製造された場合に比して、より多くの気泡を含有している。
従って、本発明の光反射体は、その厚みが薄い場合にあっても、気泡数が多いことから、気泡壁の有する総表面積も多く、気泡壁を構成している熱可塑性樹脂と、気泡内の空気との界面にて光を効果的に屈折、反射させることができ、本発明の光反射体は優れた光反射性能を有する。
しかも、本発明の光反射体は、発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡させて得られた予備発泡粒子を金型内に充填して発泡成形させてなる熱可塑性樹脂発泡成形体からなり、熱可塑性樹脂発泡成形体中の気泡は、押出発泡によって得られた発泡体と比較して微細であり、気泡数も多い上に、気泡をその厚み方向に圧縮させることによって不可逆的に変形させていることから、互いに隣接する気泡間における気泡の中心間の距離が非常に短くなっており、これら気泡における光反射を効率的なものとすることができ、よって、光反射体は、優れた光反射性能を有している。
更に、本発明の光反射体は、これを構成している熱可塑性樹脂発泡成形体の気泡壁を屈折変形させ、この屈折部によって光反射性能の向上を図っており、熱可塑性樹脂発泡成形体を延伸する必要がないことから、熱成形性にも優れ、しかも、本発明の光反射体は、熱可塑性樹脂発泡成形体をその厚み方向に圧縮して製造したものであって、厚みを薄くすることができ、即ち、本発明の光反射体は、薄くて熱成形性に優れているので所望形状に正確に成形することができる。
更に、熱可塑性樹脂発泡成形体は、発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡させてなる予備発泡粒子を金型内に充填、発泡一体化させて得られたものであることから、押出発泡法によって製造された発泡体とは異なり、種々の形状のものを精度良く得ることができる。
従って、圧縮前の熱可塑性樹脂発泡成形体をその厚さが光反射体の厚さよりも厚いこと以外は光反射体と同一形態に形成しておけば、熱可塑性樹脂発泡成形体をその厚み方向に圧縮することによって、複雑な形状を有し且つ寸法精度の高い光反射体とすることができる。
そして、上記光反射体において、予備発泡粒子同士の熱融着部がこれら熱融着部同士が接合する接合部分を中心にして屈折変形されてなる場合には、複数個の熱融着部が気泡を挟圧することにより、熱可塑性樹脂発泡成形体の表面部だけでなく厚み方向の中央部に位置する気泡もその気泡壁に山折れ部と谷折れ部をより確実に有しており、光反射体にはその全体に、山折れ部と谷折れ部とを有する気泡が確実に形成されており、光反射体内に入射した光は、光反射体内に全体的に形成された気泡壁の屈折部において効果的に反射され、よって、光反射体は、優れた光反射性能を有する。
又、本発明の光反射体の製造方法は、発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡させて得られた予備発泡粒子を金型内に充填して発泡成形させて熱可塑性樹脂発泡成形体を製造し、この熱可塑性樹脂発泡成形体をその厚み方向に圧縮させることを特徴とし、熱可塑性樹脂発泡成形体の気泡を構成している気泡壁の一部を山折り及び谷折り状態に屈折させて気泡を扁平な状態としており、得られる光反射体は、この光反射体内に入射した光を気泡壁の屈折部分において効果的に反射させることができ優れた光反射性能を有している。
しかも、本発明の光反射体の製造方法によれば、光反射体の厚みよりも厚い熱可塑性樹脂発泡成形体を原料とし、この熱可塑性樹脂発泡成形体を厚み方向に圧縮させて厚みを薄くしていることから、光反射体は、この光反射体と同一厚みを有する熱可塑性樹脂発泡成形体から製造された光反射体と比較して、より多くの気泡数を含有している。
従って、本発明の光反射体の製造方法で製造された光反射体は、気泡壁の総表面積、即ち、気泡壁を構成する熱可塑性樹脂と、気泡内の空気との界面の総表面積が広く形成されており、この総表面積の広い界面において光を屈折、反射させることができ、よって、得られる光反射体は優れた光反射性能を有している。
そして、本発明の光反射体の製造方法によれば、厚みの厚い熱可塑性樹脂発泡成形体をその厚み方向に圧縮させて薄くして光反射体を製造しているので、光反射体を構成している熱可塑性樹脂発泡成形体内に含まれている気泡数を減少させることなく、光反射体の厚みを薄くすることができると同時に、光反射体に延伸工程や無機物などの添加を必要とせず、よって、得られる光反射体は、熱成形性に優れ所望形状に正確に成形することができると共に軽量性にも優れている。
更に、熱可塑性樹脂発泡成形体は、発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡させて得られる予備発泡粒子を金型内に充填、発泡一体化させて得られたものであることから、押出発泡法によって製造された発泡体とは異なり、種々の形状のものを精度良く得ることができる。
従って、圧縮前の熱可塑性樹脂発泡成形体をその厚さが光反射体の厚さよりも厚いこと以外は光反射体と同一形状に形成しておけば、熱可塑性樹脂発泡成形体をその厚み方向に圧縮することによって、複雑な形状を有する光反射体を精度良く且つ確実に得ることができる。
(実施例1)
内容量が100リットルの攪拌機付き重合容器内に、イオン交換水40000重量部、第三リン酸カルシウム100重量部及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム2.0重量部を供給した。
内容量が100リットルの攪拌機付き重合容器内に、イオン交換水40000重量部、第三リン酸カルシウム100重量部及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム2.0重量部を供給した。
続いて、重合容器内を攪拌しながら、重合容器内にスチレン40000重量部、ベンゾイルパーオキサイド100重量部及びt−ブチルパーオキシベンゾエート24重量部を供給した上で、重合容器内を90℃に昇温して6時間に亘って保持し、更に、125℃に昇温して2時間に亘って保持した後に冷却してポリスチレン粒子を得た。得られたポリスチレン粒子の重量平均分子量Mwは17万であった。
次に、内容量が5リットルの攪拌機付きの重合容器内に、イオン交換水2000重量部、上記ポリスチレン粒子500重量部、ピロリン酸マグネシウム6.0重量部及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム0.3重量部を供給し、重合容器内を攪拌しながら70℃に昇温した。
しかる後、ベンゾイルパーオキサイド4.5重量部及びt−ブチルパーオキシベンゾエート1.1重量部をスチレン200重量部に溶解させた上で、このスチレンを全て、重合容器内に供給して30分間に亘って攪拌した後、重合容器内を90℃に昇温した。
次に、ジビニルベンゼン0.35重量部をスチレン1300重量部に溶解させ、このスチレンを全量、重合容器内に2時間かけてポンプで一定量づつ供給した。スチレンの重合容器内への供給が完了した後、重合容器内を125℃に昇温して2時間に亘って保持した上で重合容器内を冷却して、粒子径が0.3〜0.5mmで且つ重量平均分子量が28万のポリスチレン種粒子を得た。
次に、攪拌装置を備えたステンレス製の100リットルのオートクレーブ内に、イオン交換水32000重量部、上記ポリスチレン種粒子20000重量部、ピロリン酸マグネシウム200重量部及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム8重量部を供給して攪拌し、分散液を作製した。
一方、イオン交換水6000重量部に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1重量部及びピロリン酸マグネシウム10重量部を分散させた後、ベンゾイルパーオキサイド70重量部及びt−ブチルパーオキシベンゾエート15重量部をスチレン5000重量部に溶解させたものをイオン交換水に更に加えて攪拌して乳濁させてスチレン乳濁液を作製した。
そして、上記分散液を85℃に加熱した上で該分散液中に上記スチレン乳濁液を供給し、上記分散液を85℃に40分間に亘って保持した直後に、この分散液を85℃に保持しつつ、分散液中にスチレン5000重量部を40分間に亘って連続的に終始、同一滴下温度にて滴下してシード重合を行った。
しかる後、上記分散液を引き続き85℃に保持しつつ、この分散液中に、ジビニルベンゼン25重量部をスチレン10000重量部に溶解させてなるスチレン溶液を80分かけて終始、同一滴下速度で連続的に滴下してシード重合を行った。
続いて、上記分散液を85℃に1時間に亘って保持した後、50分かけて125℃まで昇温し、分散液を125℃に2時間に亘って保持して重合を完了し、その後、上記分散液を90℃に冷却、保持した。
一方、ジラウリルチオジプロピオネート10重量部及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量部をイオン交換水500重量部に供給して攪拌、分散させてなるものを上記分散液中に供給した。
しかる後、上記分散液が入っているオートクレーブ内にノルマルペンタン2240重量部及びイソペンタン560重量部を圧入して30分間かけて115℃まで昇温して2時間に亘って保持した後に30℃に冷却して水を分離除去した上で乾燥させて、平均粒子径が450μmの発泡性ポリスチレン粒子を得た。
上記発泡性ポリスチレン粒子2000重量部及びステアリン酸亜鉛(粉砕品、平均最大長:20μm)4重量部をスーパーミキサーに供給して2分間に亘って攪拌した。次に、スーパーミキサー内にポリエチレングリコール(重量平均分子量:300)0.8重量部を供給して5分間に亘って攪拌して、発泡性ポリスチレン粒子の表面にステアリン酸亜鉛及びポリエチレングリコールを均一に付着させた。
しかる後、上記発泡性ポリスチレン粒子を予備発泡機に供給して水蒸気を用いて嵩密度0.1g/cm3 に予備発泡させて予備発泡粒子を得た。この予備発泡粒子を常温にて1日放置して乾燥させた。
次に、縦300mm×横400mm×高さ20mmの直方体形状のキャビティを有する金型を備えた成形機を用意した。この成形機の金型のキャビティ内に上記予備発泡粒子を充填し、キャビティ内に水蒸気を供給することによって予備発泡粒子を加熱、発泡させ、互いに熱融着一体化させて直方体形状のポリスチレン発泡板を得た。得られたポリスチレン発泡板を25℃にて60日間に亘って放置した後、ポリスチレン発泡板を3.0mmの厚みにスライスして見掛け密度が0.124g/cm3 のポリスチレン発泡シートを得た。なお、ポリスチレン発泡シートの光線全反射率は96%であり、ポリスチレン発泡シートを構成しているポリスチレンのガラス転移温度は104℃であった。
ポリスチレン発泡シートをその厚み方向に切断して電子顕微鏡にて観察したところ、図5に示したように、熱融着部が網目状に形成されており、この熱融着部で囲まれた部分には微細な気泡が無数に形成されていた。ポリスチレン発泡シートにおける厚み方向の平均気泡径は34μmであった。
得られたポリスチレン発泡シートを温度25℃、圧力5MPaの条件下にて5秒間に亘って厚み方向に圧縮して、厚さが0.75mmの光反射シートを得た。なお、圧縮後のポリスチレン発泡シートの厚みは、圧縮前のポリスチレン発泡シートの厚みの25%であった。
得られた光反射シートを構成しているポリスチレン発泡シート内の気泡は、図6に示したように、その殆どの気泡において、気泡壁が、山折れ状態に屈折変形された山折れ部と、谷折れ状態に屈折変形された谷折れ部の双方を有していた。又、熱融着部は全て、熱融着部同士の接合部分を中心にして屈折変形されていた。
(実施例2)
ポリスチレン発泡板を2.0mmの厚みにスライスしてポリスチレン発泡シートを製造したこと、ポリスチレン発泡シートを厚さが0.60mmとなるように圧縮したこと以外は実施例1と同様にして光反射シートを得た。なお、圧縮前のポリスチレン発泡シートの光線全反射率は93%であり、圧縮後のポリスチレン発泡シートの厚みは、圧縮前のポリスチレン発泡シートの厚みの30%であった。
ポリスチレン発泡板を2.0mmの厚みにスライスしてポリスチレン発泡シートを製造したこと、ポリスチレン発泡シートを厚さが0.60mmとなるように圧縮したこと以外は実施例1と同様にして光反射シートを得た。なお、圧縮前のポリスチレン発泡シートの光線全反射率は93%であり、圧縮後のポリスチレン発泡シートの厚みは、圧縮前のポリスチレン発泡シートの厚みの30%であった。
得られた光反射シートを構成しているポリスチレン発泡シート内の気泡は、その殆どの気泡において、気泡壁が、山折れ状態に屈折変形された山折れ部と、谷折れ状態に屈折変形された谷折れ部の双方を有していた。又、熱融着部は全て、熱融着部同士の接合部分を中心にして屈折変形されていた。
(実施例3)
攪拌機付きの重合容器内に、平均粒子径が1mmのポリスチレン系樹脂種粒子500重量部、イオン交換水2000重量部、ピロリン酸マグネシウム6重量部及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム0.3重量部を供給して攪拌しつつ70℃に加熱して分散液を作製した。なお、ポリスチレン系樹脂粒子を構成しているポリスチレン系樹脂は、そのスチレン換算重量平均分子量が20万であった。
攪拌機付きの重合容器内に、平均粒子径が1mmのポリスチレン系樹脂種粒子500重量部、イオン交換水2000重量部、ピロリン酸マグネシウム6重量部及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム0.3重量部を供給して攪拌しつつ70℃に加熱して分散液を作製した。なお、ポリスチレン系樹脂粒子を構成しているポリスチレン系樹脂は、そのスチレン換算重量平均分子量が20万であった。
次に、ベンゾイルパーオキサイド4.5重量部及びt−ブチルパーオキシベンゾエート1.1重量部をスチレン200重量部に溶解させ、このスチレンを全て上記分散液中に攪拌しつつ供給した。
そして、分散液中にスチレンを供給し終えてから30分経過後に分散液を90℃に加熱し、この分散液中に更にスチレン1300重量部を3時間かけて一定の供給速度で供給してシード重合を行った。全てのスチレンを供給し終えてから125℃に加熱して2時間に亘って放置した後に冷却してポリスチレン粒子を得た。
続いて、重合容器内を90℃に加熱した上で、重合容器内にブタン162重量部を圧入して6時間に亘って保持して、ポリスチレン粒子にブタンを含浸させた後、重合容器内を30℃に冷却して発泡性ポリスチレン粒子を得た。
得られた発泡性ポリスチレン粒子の表面にステアリン酸亜鉛及びヒドロキシステアリン酸トリグリセリドを塗布した後、発泡性ポリスチレン粒子を13℃の恒温室にて5日間に亘って放置した。なお、ステアリン酸亜鉛及びヒドロキシステアリン酸トリグリセリドはそれぞれ、発泡性ポリスチレン粒子中、0.05重量%となるように調整した。
しかる後、上記発泡性ポリスチレン粒子を予備発泡機に供給して水蒸気を用いて嵩密度0.0167g/cm3 に予備発泡させて予備発泡粒子を得た。この予備発泡粒子を20℃にて1日放置して乾燥させた。
次に、縦300mm×横400mm×高さ30mmの直方体形状のキャビティを有する金型を備えた成形機を用意した。この成形機の金型のキャビティ内に上記予備発泡粒子を充填し、キャビティ内に水蒸気を供給することによって予備発泡粒子を加熱、発泡させ、互いに熱融着一体化させて直方体形状のポリスチレン発泡板を得た。得られたポリスチレン発泡板を25℃にて60日間に亘って放置した後、ポリスチレン発泡板を4.8mmの厚みにスライスして、見掛け密度0.022g/cm3 のポリスチレン発泡シートを得た。なお、ポリスチレン発泡シートの光線全反射率は89%であり、ポリスチレン発泡シートを構成しているポリスチレンのガラス転移温度は103℃であった。
ポリスチレン発泡シートをその厚み方向に切断して電子顕微鏡にて観察したところ、熱融着部が網目状に形成されており、この熱融着部で囲まれた部分には微細な気泡が無数に形成されていた。ポリスチレン発泡シートにおける厚み方向の平均気泡径は80μmであった。
得られたポリスチレン発泡シートを温度25℃、圧力3MPaの条件下にて5秒間に亘って厚み方向に圧縮して、厚さが3.20mmの光反射シートを得た。なお、圧縮後のポリスチレン発泡シートの厚みは、圧縮前のポリスチレン発泡シートの厚みの67%であった。
得られた光反射シートを構成しているポリスチレン発泡シート内の気泡は、その殆どの気泡において、気泡壁が、山折れ状態に屈折変形された山折れ部と、谷折れ状態に屈折変形された谷折れ部の双方を有していた。又、熱融着部は全て、熱融着部同士の接合部分を中心にして屈折変形されていた。
(実施例4)
スチレン乳濁液の代わりに、スチレン10000重量部を分散液中に滴下したこと以外は実施例1と同様にしてポリスチレン発泡板を得た。得られたポリスチレン発泡板を25℃にて60日間に亘って放置した後、ポリスチレン発泡板を2.1mmの厚みにスライスして見掛け密度0.114g/cm3 のポリスチレン発泡シートを得た。なお、ポリスチレン発泡シートの光線全反射率は93%であり、ポリスチレン発泡シートを構成しているポリスチレンのガラス転移温度は104℃であった。
スチレン乳濁液の代わりに、スチレン10000重量部を分散液中に滴下したこと以外は実施例1と同様にしてポリスチレン発泡板を得た。得られたポリスチレン発泡板を25℃にて60日間に亘って放置した後、ポリスチレン発泡板を2.1mmの厚みにスライスして見掛け密度0.114g/cm3 のポリスチレン発泡シートを得た。なお、ポリスチレン発泡シートの光線全反射率は93%であり、ポリスチレン発泡シートを構成しているポリスチレンのガラス転移温度は104℃であった。
ポリスチレン発泡シートをその厚み方向に切断して電子顕微鏡にて観察したところ、熱融着部が網目状に形成されており、この熱融着部で囲まれた部分には微細な気泡が無数に形成されていた。ポリスチレン発泡シートにおける厚み方向の平均気泡径は42μmであった。
得られたポリスチレン発泡シートを温度25℃、圧力5MPaの条件下にて3秒間に亘って厚み方向に圧縮して、厚さが0.71mmの光反射シートを得た。なお、圧縮後のポリスチレン発泡シートの厚みは、圧縮前のポリスチレン発泡シートの厚みの34%であった。
得られた光反射シートを構成しているポリスチレン発泡シート内の気泡は、その殆どの気泡において、気泡壁が、山折れ状態に屈折変形された山折れ部と、谷折れ状態に屈折変形された谷折れ部の双方を有していた。又、熱融着部は全て、熱融着部同士の接合部分を中心にして屈折変形されていた。
(比較例1)
実施例3で得られたポリスチレン発泡板を4.8mmの厚みにスライスして得られたポリスチレン発泡シートを光反射シートとした。
実施例3で得られたポリスチレン発泡板を4.8mmの厚みにスライスして得られたポリスチレン発泡シートを光反射シートとした。
(比較例2)
実施例4で得られたポリスチレン発泡板を2.1mmの厚みにスライスして得られたポリスチレン発泡シートを光反射シートとした。
実施例4で得られたポリスチレン発泡板を2.1mmの厚みにスライスして得られたポリスチレン発泡シートを光反射シートとした。
得られた光反射シートの光線全反射率、見掛け密度、厚み方向の平均気泡径、引張弾性率、及び、気泡壁21の一部に山折れ状態に屈折変形した山折れ部と谷折れ状態に屈折変形した谷折れ部とを有する気泡2の全気泡に対する割合を測定し、その結果を表2に示した。なお、表1にポリスチレン発泡シートの圧縮条件(圧縮温度、圧縮時の圧力、圧縮時間)を示した。表2において、「気泡壁21の一部に山折れ状態に屈折変形した山折れ部と谷折れ状態に屈折変形した谷折れ部とを有する気泡2の全気泡に対する割合」を「屈折変形気泡割合」と、「光反射シートの厚み(圧縮後のポリスチレン発泡シートの厚み)を圧縮前のポリスチレン発泡シートの厚みで除した値に100を乗じた値」を「圧縮率」と表記した。
1 熱可塑性樹脂発泡成形体
2 気泡
21 気泡壁
21a 山折れ部
21b 谷折れ部
3 熱融着部
A 光反射体
2 気泡
21 気泡壁
21a 山折れ部
21b 谷折れ部
3 熱融着部
A 光反射体
Claims (6)
- 発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡させて得られた予備発泡粒子を金型内に充填して発泡成形させてなる熱可塑性樹脂発泡成形体からなり、この熱可塑性樹脂発泡成形体の気泡が上記熱可塑性樹脂発泡成形体の厚み方向に圧壊されて、気泡壁の一部に山折れ状態に屈折変形した山折れ部と谷折れ状態に屈折変形した谷折れ部とを有する気泡を含有していることを特徴とする光反射体。
- 予備発泡粒子同士の熱融着部がこれら熱融着部同士が接合する接合部分を中心にして屈折変形されてなることを特徴とする請求項1に記載の光反射体。
- 光線全反射率が95%以上で且つ引張弾性率が10MPa以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光反射体。
- 発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡させて得られた予備発泡粒子を金型内に充填して発泡成形させて熱可塑性樹脂発泡成形体を製造し、この熱可塑性樹脂発泡成形体をその厚み方向に圧縮させることを特徴とする光反射体の製造方法。
- 圧縮後の熱可塑性樹脂発泡成形体の厚みが、圧縮前の熱可塑性樹脂発泡成形体の厚みの10〜90%となるように圧縮することを特徴とする請求項4に記載の光反射体の製造方法。
- 熱可塑性樹脂発泡成形体を、該熱可塑性樹脂発泡成形体を構成している熱可塑性樹脂のガラス転移温度未満の温度にて圧縮することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の光反射体の製造方法。
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