JP2007260806A - 切削工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】切削寿命が長い切削工具の提供
【解決手段】超硬材料で構成された工具母材に、AlTiNで構成される下地層、TiNで構成される中間層およびAl23で構成される最外層から構成されるコーティング層を形成させた切削工具。この切削工具は、逃げ面におけるコーティング層の合計厚さが2〜80μmであることが望ましく、さらに、逃げ面における下地層、中間層および最外層の厚さがそれぞれ0.5〜35μm、1.0〜40μmおよび0.5〜5μmであることが望ましい。また、すくい面におけるコーティング層の合計厚さは、2〜40μmであることが望ましく、さらに、すくい面における下地層、中間層および最外層の厚さはそれぞれ0.01〜2μm、1〜20μmおよび1〜20μmであることが望ましい。
【選択図】なし

Description

この発明は、切削工具に係り、特に、高硬度鋼材の高速切削に用いるのに適した切削工具に関する。
高硬度鋼材の高速切削においては、切削工具の刃面と被削体との界面温度が1000℃近くまで上昇し、被削体成分が切削工具に焼き付き、凝着が発生する場合がある。被削体成分の切削工具への凝着が発生すると、切削工具の刃面が損傷し、切削機能が著しく低下する。
このような厳しい熱履歴を受ける切削工具としては、従来、炭化タングステン等の超硬合金、炭窒化チタンなどのサーメットを基材とし、その表面をコーティングしたものが用いられてきた。
たとえば、特許文献1には「炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体の表面に、(a)いずれも蒸着形成されたTiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層、および炭窒酸化物層のうちの1層または2層以上の積層からなるTi化合物層で構成され、かつ3〜20μmの平均層厚を有する下部層、(b)蒸着形成した状態でκ型またはθ型の結晶構造を有する酸化アルミニウムに加熱変態処理を施して結晶構造をα型結晶構造とし、加熱変態生成クラックが分散分布した組織を有する加熱変態α型酸化アルミニウム層で構成され、かつ3〜15μmの平均層厚を有する上部層、(c)蒸着形成した状態でκ型の結晶構造を有する蒸着κ型酸化アルミニウム層で構成され、かつ0.5〜2μmの平均層厚を有する表面層、以上(a)〜(c)で構成された硬質被覆層を形成してなる、硬質被覆層がすぐれた耐熱衝撃性を有する表面被覆サーメット製切削工具」が提案されている。
また、特許文献2には「炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体の表面に、(a)蒸着形成されたTiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層、および炭窒酸化物層のうちの1層または2層以上の積層で構成され、かつ3〜20μmの平均層厚を有するTi化合物層からなる下部層、(b)蒸着形成された状態でκ型結晶構造を有する酸化アルミニウムに加熱変態処理を施してα型結晶構造とし、前記加熱変態処理で発生した変態クラックが分散分布した組織を有し、かつ3〜15μmの平均層厚を有する加熱変態α型酸化アルミニウム層の下側層と、0.5〜2μmの平均層厚を有する蒸着形成されたα型結晶構造の蒸着α型酸化アルミニウム層の上側層で構成された複合2重α型酸化アルミニウム層からなる上部層、以上(a)の下部層と(b)の上部層で構成された硬質被覆層を形成したことを特徴とする硬質被覆層がすぐれた耐熱衝撃性を有する表面被覆サーメット製切削工具」が提案されている。
特許文献3には「炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体の表面に、(a)いずれも化学蒸着形成されたTiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層、および炭窒酸化物層のうちの1層または2層以上からなり、かつ3〜20μmの合計平均層厚を有するTi化合物層で構成された下部層、(b)化学蒸着形成した状態でκ型の結晶構造を有する酸化アルミニウムに加熱処理を施してα型結晶構造に変態してなると共に、前記加熱処理で発生した変態クラックが分散分布した組織および1〜15μmの平均層厚を有する加熱変態α型酸化アルミニウム層の下側層と、化学蒸着形成した状態でα型の結晶構造を有し、かつ0.1〜2μmの平均層厚を有する蒸着α型酸化アルミニウム層の上側層からなる複合2重α型酸化アルミニウム層で構成された上部層、以上(a)の下部層と(b)の上部層で構成された硬質被覆層を形成してなることを特徴とする硬質被覆層がすぐれた耐熱衝撃性を有する表面被覆サーメット製切削工具。」が提案されている。
特許文献4には「炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン系サーメットからなるサーメット基体の表面に、(a)上側層として、0.2〜3μmの平均層厚を有する酸化アルミニウム層、(b)下側層として、0.8〜8μmの平均層厚を有するAlとTiの複合窒化物層、以上(a)および(b)からなる硬質被覆層を物理蒸着してなる表面被覆サーメット製切削工具にして、上記下側層を、層厚方向にそって、Al最高含有点とAl最低含有点とが所定間隔をおいて交互に繰り返し存在し、かつ前記Al最高含有点から前記Al最低含有点、前記Al最低含有点から前記Al最高含有点へAlおよびTiの含有割合がそれぞれ連続的に変化する成分濃度分布構造を有し、さらに、上記Al最低含有点が、組成式:(Al1-X TiX )N(ただし、原子比で、Xは0.35〜0.60を示す)、上記Al最高含有点が、組成式:(Al1-Y TiY )N(ただし、原子比で、Yは0.05〜0.30を示す)、をそれぞれ満足し、かつ隣り合う上記Al最低含有点とAl最高含有点の間隔が、0.01〜0.1μmである、AlとTiの複合窒化物層で構成したこと、を特徴とする高速切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐摩耗性を発揮する表面被覆サーメット製切削工具。」が提案されている。
特開2004−188502 特開2004−188500 特開2004−188575 特開2004−351540
上記特許文献1〜3に提案されている表面被覆サーメット製切削工具は、それぞれ特定の化学組成を有するコーティング層を設けることにより耐チッピング性を改善できるとしている。しかし、これらの切削工具は、耐熱性は向上しているものの、切削時の衝撃など機械的要因により膜が剥離してしまうと、途端に性能が低下する。また、コーティング層の厚さを部位毎に規定しておらず、耐熱効果が不十分となるおそれがある。
上記特許文献4に提案されている表面被覆サーメット製切削工具は、最表面に酸化アルミニウム層を有するが、酸化アルミニウムは線熱膨張率が大きく、800℃以上の高温域に於いて膜界面の密着力が著しく劣化する等の致命的欠陥がある。高温切削時、高速切削時に膜界面温度が上昇した場合は十分な密着力が保証されず、耐摩耗性が急激に劣化し、切削機能を維持出来ない等の問題を生じる。
本発明者らは、このような問題を解決するために鋭意研究を行い、物理的にも化学的にも耐熱衝撃性および剥離強度に優れるコーティング層を有する切削工具を完成させた。本発明は、優れた工具寿命を有する切削工具を提供することを目的とする。
本発明は、「超硬材料で構成される工具母材に、AlTiNで構成される下地層、TiNで構成される中間層およびAl23で構成される最外層で構成されるコーティング層を形成させたことを特徴とする切削工具。」を要旨とする。このように、Al23で構成される最外層とAlTiNで構成される下地層の界面に高密着性のTiNで構成される中間層を介在させることにより、Al23で構成される最外層の耐摩耗性と密着力を強化することができる。
上記の切削工具は、逃げ面におけるコーティング層の合計厚さが2〜80μmであることが望ましく、さらに、逃げ面における下地層、中間層および最外層の厚さがそれぞれ0.5〜35μm、1.0〜40μmおよび0.5〜5μmであることが望ましい。また、すくい面におけるコーティング層の合計厚さは、2〜40μmであることが望ましく、さらに、すくい面における下地層、中間層および最外層の厚さはそれぞれ0.01〜2μm、1〜20μmおよび1〜20μmであることが望ましい。
本発明によれば、下地層中のAlが切削中に解離、外向拡散してコーティング層の表面付近でAl23を形成し、最外層を補うので、安定して優れた耐熱性および耐摩耗性を得ることができ、工具寿命の長い切削工具を提供することができる。
図1は、本発明に係る切削工具の一例を示す模式図である。図1に示すように、例えば、本発明に係る切削工具1は、相対的に図1(a)の左方向に移動して、被削体2の表面を削る。切削工具には、このような旋削加工工具のほか、転削加工工具、穴あけ加工工具などが含まれる。なお、以下の説明において、逃げ面とは、切削工具において被削体と主として接触する面であり、例えば、図1(b)に示す旋削加工工具では面3のことである。また、すくい面とは、被削体の切り屑をすくい上げる面であり、例えば、図1(b)に示す旋削加工工具では面4のことである。
1.基材およびコーティング層の化学組成について
本発明の切削工具は、超硬材料で構成された工具母材に以下の3層のコーティング層を形成させてなるものである。
工具母材を構成する超硬材料としては、特に限定はないが、WC-TiC-5%Coなどに代表される超硬合金、TiC-20%TiN-15%WC-10%Mo2C-5%Niなどに代表されるサーメット等が挙げられる。この中、熱伝導率の観点および切削時のコーティング層との界面熱ストレスを緩和させる観点から、超硬合金を用いるのが望ましい。
コーティング層は、AlTiNで構成される下地層、TiNで構成される中間層およびAl23で構成される最外層から構成されるものである。
下地層を構成するAlTiNは、耐熱性および耐摩耗性に優れ、これらの性能は1000℃までは安定であり、しかも、基材との密着性にも優れる。また、切削中の温度上昇により下地層中のAlが解離し、外向拡散して、これが外気中の酸素と反応して、コーティングの表層(最外層)においてAl23で構成される保護膜を形成する。従って、下地層はAlTiNで構成することとした。なお、下地層は、AlTiNを主体とし、若干の不純物が含まれていてもよい。
中間層を構成するTiNは、酸化温度が700℃と低いため、本来は、比較的発熱の少ない低速または中速における切削に適する材料である。しかし、密着性に優れ、機械的な剥離に対して有効な物質であるので、中間層として構成することとした。中間層は、TiNを主体とし、若干の不純物が含まれていてもよい。
最外層を構成するAl23は、機械的な剥離に弱い反面、耐熱性および耐摩耗性に優れ、この性能は2000℃まで安定である。したがって、最外層はAl23で構成することとした。なお、最外層は、Al23を主体とし、若干の不純物が含まれていてもよい。
以上のように、本発明の切削工具におけるコーティング層は、最外層を耐熱性および耐摩耗性が最も高い材料で構成し、中間層を密着性が最も優れる材料で構成し、下地層を密着性、耐熱性および耐摩耗性がある程度優れ、しかも、切削時の熱によってAlが解離、外向拡散する材料で構成している。このため、最外層および中間層が剥離しても、すぐに、下地層から解離したAlがコーティングの表層で酸素と反応して、最外層の保護膜を補うので、安定して高い耐熱性および耐摩耗性が得られるのである。
2.コーティング層の厚さについて
2−1.逃げ面のコーティング層の厚さについて
本発明の切削工具は、逃げ面におけるコーティング層の合計厚さが2〜80μmであることが望ましい。逃げ面は、切削時にもっとも負荷がかかり、発熱が大きい箇所であるため、逃げ面のコーティング層はできる限り厚くするのがよい。
特に、逃げ面のコーティング層は、合計厚さで2μm以上とするのが望ましい。しかし、逃げ面におけるコーティング層の合計厚さが80μmを超えると、剥離しやすくなり、機械的な衝撃に弱くなる。また、成膜に要する時間が長くなる。このため、逃げ面のコーティング層の合計厚さは、2〜80μmとするのが望ましい。
切削工具の逃げ面における下地層(AlTiN)、中間層(TiN)および最外層(Al23)の厚さは、それぞれ0.5〜35μm、1.0〜40μmおよび0.5〜5μmであることが望ましい。
逃げ面における下地層(AlTiN)の厚さが0.5μm未満の場合、十分な耐熱性が得られないおそれがある。しかし、逃げ面における下地層(AlTiN)の厚さが35μmを超えると、剥離しやすくなり、成膜に要する時間が長くなるだけである。よって、逃げ面における下地層(AlTiN)の厚さは、0.5〜35μmであることが望ましい。
逃げ面における中間層(TiN)の厚さが1.0μm未満の場合、耐熱性が不十分となるおそれがある。しかし、逃げ面における中間層(TiN)の厚さが40μmを超えると、剥離しやすくなり、成膜に要する時間が長くなるだけである。よって、逃げ面における中間層(TiN)の厚さは、1.0〜40μmであることが望ましい。
逃げ面における最外層(Al23)の厚さは、十分な耐熱性を得るためには、0.5μm以上とするのが望ましい。しかし、逃げ面における最外層(Al23)の厚さが50μmを超えると、剥離しやすくなり、成膜に要する時間が長くなるだけである。よって、逃げ面における最外層(Al23)の厚さは、0.5〜5μmであることが望ましい。
2−2.すくい面のコーティング層の厚さについて
本発明の切削工具は、すくい面におけるコーティング層の合計厚さが2〜40μmであることが望ましい。すくい面は、切削時の発熱は小さいが、切削後の切り屑が接触する箇所であるため、表面粗さは小さいほうがよい。このため、コーティング層はできる限り薄くするのがよい。
特に、すくい面におけるコーティング層は、合計厚さで40μm以下とするのが望ましい。しかし、すくい面のコーティング層の合計厚さが2μm未満では、切削中に早期に摩耗するため、十分な耐熱性が得られなくなるおそれがある。このため、すくい面のコーティング層の合計厚さは、2〜40μmとするのが望ましい。
切削工具のすくい面における下地層(AlTiN)、中間層(TiN)および最外層(Al23)の厚さは、それぞれ0.01〜2μm、1〜20μmおよび1〜20μmであることが望ましい。
すくい面における下地層(AlTiN)の厚さが0.01μm未満の場合、十分な耐熱性および密着性が得られなくなるおそれがある。しかし、すくい面における下地層(AlTiN)の厚さが2μmを超えると、剥離しやすくなるばかりか、成膜に長時間を要する。よって、すくい面における下地層(AlTiN)の厚さは、0.01〜2μmであることが望ましい。
すくい面における中間層(TiN)の厚さが1μm未満の場合、十分な耐熱性および密着性が得られなくなるおそれがある。しかし、すくい面における中間層(TiN)の厚さが20μmを超えると、剥離しやすくなるばかりか、成膜に長時間を要する。よって、すくい面における中間層(TiN)の厚さは、1〜20μmであることが望ましい。
すくい面における最外層(Al23)の厚さが1μm未満の場合、十分な耐熱性および密着性が得られなくなるおそれがある。しかし、すくい面における最外層(Al23)の厚さが20μmを超えると、剥離しやすくなるばかりか、成膜に長時間を要する。よって、すくい面における最外層(Al23)の厚さは、1〜20μmであることが望ましい。
3.本発明に係る切削工具の製造方法について
3−1.工具母材の製造方法
工具母材としての超硬合金またはサーメットの製造方法は、特に限定しないが、例えば、原料の各金属粉末を整粒・混合した後、これを所定形状の金型で加圧成形・打ち抜きし、得られた成形体を真空中で焼成することにより作製できる。
3−2.コーティング層の製造方法
コーティング層の製造方法には制限はないが、例えば、以下の方法を採用できる。すなわち、コーティング層を構成する金属元素のみ用いた混合粉末を所定円板形状に加圧成形し、真空焼結後、ターゲットとし、スパッタ法、アークイオンプレーテイング法等に代表される物理蒸着法(PVD法)を用いて、ターゲット成分を電気的に気相励起させる。その後、装置気相中に窒素ガス等を充填させ、気相励起させたターゲット成分と被膜体表面上にて化学結合させる。その結果、被膜体表面に所定コーティング成分が堆積し、これを熱処理することにより堆積成分が化学的に安定組成となり、被膜体に密着、所期コーティング層となる方法で形成することができる。
コーティング層の下地層(AlTiN)は、以下の方法により形成することができる。すなわち、例えば、AlおよびTiの粉末を原料とした混合粉末を所定形状に加圧成形し、真空焼結後、ターゲットとし、PVD装置内に窒素ガスを充填させ、放電励起させた金属成分と窒素を反応させることにより形成させることができる。コーティング層の中間層(TiN)は、上記混合粉末の代わりにTi粉末を用い、PVD装置内を窒素ガスで充填させた状態でTiおよび窒素を反応させればよい。また、コーティング層の最外層(Al23)は、Al粉末を用い、PVD装置内を酸素ガスで充填させた状態でAlおよび酸素を反応させればよい。
逃げ面とすくい面とで厚さを変える場合には、被膜体の縦方向/横方向位置を機械的に制御するか、ターゲット/被膜基材の対抗電極間に形成される磁力線を非平衡電界により歪曲化することにより、被膜体の膜付き回り性を制御して調整すればよい。
まず、工具母材の原料となる各金属粉末を整粒・混合した後、これを所定形状金型で加圧成形・打ち抜きし、得られた成形体を真空中で1,450℃×1.0時間焼成し、工具母材を作製した。
(本発明例)
PVD装置内に工具母材を置き、AlおよびTiの混合焼結体をターゲットとして窒素ガス充填させて放電励起した各金属と窒素とを反応させ、工具母材にAlTiNで構成される下地層を形成させた。その後、PVD装置内で、Tiターゲットを窒素ガス雰囲気化で放電励起させ、TiNで構成される中間層を、さらに、Alターゲットを酸素ガス雰囲気下で放電励起させ、Al23で構成される最外層を形成させた。
なお、各層の逃げ面、すくい面それぞれの厚さは、このとき、ターゲット/被膜基材の対抗電極間に形成される磁力線を非平衡電界により歪曲化し、被膜体の膜付き回り性を意図的に変えることにより調整した。
一方、比較例についても、同様にPVD装置を用い、ターゲットおよび雰囲気ガスを調整して、工具母材の表面にTiCNで構成される下地層、Al23で構成される中間層およびTiNで構成される最外層を形成させた。
このようにして作製した切削工具について、表面粗さ、摩擦係数および密着性の各性能を分析するとともに、外径85mm×長さ500mmの5%Ni含有合金(S13Cr)を800℃以上の温度で、70m/minの切削速度で切削したときの工具寿命を比較した。
なお、表面粗さは、触針(ダイアモンド製針;外径25μm)で成膜後の任意表面を10mm長で走査し、JIS規格B0601-1994に定める「算術平均粗さ;Ra」を測定した。
摩擦係数は、バウデン式滑り試験機を使用し、荷重5N、室温、速度4mm/秒、鋼球;直径5mmのSUS製を摺動の条件下で測定した。
密着性は、スクラッチ式試験機を使用し、ダイアモンド製触針;外径200μmを荷重;0N〜100N間で、走査速度10mm/分、荷重速度100N/分で走査させ、異常振動信号が検出された荷重値を以て、膜破壊されたものと定義し、当該荷重値を密着力として測定した。
切削寿命は、下記(1)〜(3)のいずれかの状況となるまでに切削できた個数を意味する。 (1)切削工具本体の破損(刃先の割れ、欠けなど)
(2)切削工具表面の硬質保護膜(コーティング層)の剥離
(3)硬質保護膜への被削体成分の凝着
これらの性能を表1に示す。
Figure 2007260806
表1に示すように、比較例では密着力が低く抑えられるため、切削寿命本数が58本に留まった。 一方、本発明例では密着力が改善された結果、切削寿命本数が195本と、切削寿命が著しく向上した。
本発明によれば、下地層中のAlが切削中に解離、外向拡散してコーティング層の表面付近でAl23を形成し、最外層を補うので、安定して優れた耐熱性および耐摩耗性を得ることができ、工具寿命の長い切削工具を提供することができる。
本発明に係る切削工具の一例を示す模式図
符号の説明
1.切削工具
2.被削体
3.逃げ面
4.すくい面

Claims (5)

  1. 超硬材料で構成される工具母材に、AlTiNで構成される下地層、TiNで構成される中間層およびAl23で構成される最外層で構成されるコーティング層を形成させたことを特徴とする切削工具。
  2. 逃げ面におけるコーティング層の合計厚さが2〜80μmであることを特徴とする請求項1に記載の切削工具。
  3. 逃げ面における下地層、中間層および最外層の厚さがそれぞれ0.5〜35μm、1.0〜40μmおよび0.5〜5μmであることを特徴とする請求項2に記載の切削工具。
  4. すくい面におけるコーティング層の合計厚さが2〜40μmであることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の切削工具。
  5. すくい面における下地層、中間層および最外層の厚さがそれぞれ0.01〜2μm、1〜20μmおよび1〜20μmであることを特徴とする請求項4に記載の切削工具。
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