JP2007259665A - 捩折型静電アクチュエータ - Google Patents
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Abstract
【課題】 電極どうしを電気的に結合するための配線工程を別途必要とせず、その配線はアクチュエータの動作に対して可撓性と耐久性を有し、積層する層が多数となっても製造が容易な捩折型静電アクチュエータの提供。
【解決手段】 電極と誘電体とを多層とした電極シートが複数の対向電極となる複数の略円形部分と複数の可捩折部(カレイセツブ)となる複数の略線形部分とを有し、それらの略円形部分と略線形部分は互い違いに結合して一次元配列しており、その可捩折部においてはすくなくとも半回転の捩りにより表裏面を反転して折畳む捩折が可能であり、その捩折を繰返すことによって多層化した捩折型静電アクチュエータ。
【選択図】 図1
【解決手段】 電極と誘電体とを多層とした電極シートが複数の対向電極となる複数の略円形部分と複数の可捩折部(カレイセツブ)となる複数の略線形部分とを有し、それらの略円形部分と略線形部分は互い違いに結合して一次元配列しており、その可捩折部においてはすくなくとも半回転の捩りにより表裏面を反転して折畳む捩折が可能であり、その捩折を繰返すことによって多層化した捩折型静電アクチュエータ。
【選択図】 図1
Description
本発明は静電力によって駆動される静電アクチュエータの技術分野に属する。特に、電極と誘電体とを層構成とした電極シートを可捩折部(カレイセツブ)において捩折することにより積層した捩折型静電アクチュエータに関する。
ロボットにおいては電磁力によって駆動される電磁アクチュエータが使用されることが多い。電磁アクチュエータは、一般的には、変位量と発生力がともに大きいという特徴がある。しかし、電磁コイル、強磁性体コア、永久磁石、伝達系、制御系、等の多数のパーツを必要とし、さらに、それらの多数のパーツを組合わせた複雑で精密な構造となっている。そのため、マイクロロボットのように微小化するほどに電磁アクチュエータを使用することが技術的に困難となっている。また人間サイズのロボットであっても、介護ロボットのような用途では、人間の柔らかな筋肉と同様な性質がアクチュエータに求められており、電磁アクチュエータに替わるアクチュエータの出現が待望されている。
電磁力を駆動原理としないアクチュエータとしては、たとえば、静電力によって駆動される静電アクチュエータ、圧電素子に電圧を加えたときの幾何歪によって駆動される圧電アクチュエータ、超音波振動素子(圧電素子)で発生した固体表面の振動を接触面の摩擦力を利用して回転または直線運動に変換する超音波アクチュエータ、形状記憶合金の加熱により記憶形状に戻る力によって駆動される形状記憶アクチュエータ、電解液に浸漬した高分子が加える電圧の極性によりイオンを吸収放出することで伸び縮みする導電性高分子アクチュエータ、等が知られている。中でも、静電アクチュエータについては、発生力が小さいものの小型化、軽量化、高速応答性、柔軟性、等において有利であるとの認識がある。また、発生力についても、静電力を発生する要素の大個数化や大面積化により解決できるとの見方がある。
静電アクチュエータとしては、たとえば、絶縁層と電極を設けた複数の積層板を板厚方向に積層してなる積層体と、積層板の各々に板厚方向の引張力を与えて複数の積層板の各々を所定の空間を隔てて保持する可撓性の保持部と、複数の積層板の板厚方向に隣接する各電極間に電圧を印加する配線部とを備えた積層静電アクチュエータの発明がある(特許文献1)。
特開平6−284750
しかしながら、この従来の方法においては、積層した層ごとに電極が分離しており、同電位とする電極どうしを電気的に結合するための配線を必要とする。しかもアクチュエータであるからその動作に対して可撓性と耐久性を有する配線を必要とする。積層する層が多数となればなるほどその配線箇所も多数となり負荷も難度も増加し、実際には製造することができなくなるという問題がある。
本発明は上記の問題を解決するために成されたものである。その目的は、電極どうしを電気的に結合するための配線工程を別途必要とせず、その配線はアクチュエータの動作に対して可撓性と耐久性を有し、積層する層が多数となっても製造が容易な捩折型静電アクチュエータを提供することにある。
本発明の請求項1に係る捩折型静電アクチュエータは、第1電極と、第1誘電体と、第2電極をその順に3層とした電極シートにおいて、すくなくとも半回転の捩りにより表裏面を反転して折畳むことが可能な可捩折部を設け、その可捩折部において前記電極シートを捩折して前記電極シートの第1電極と第2電極が対向する対向電極とし、その対向電極の間に弾性を有する第2誘電体が配置する構成を有し、電極間電圧に応じて電極間距離が変化するようにしたものである。
また本発明の請求項2に係る捩折型静電アクチュエータは、第1電極と、弾性を有する第1誘電体と、第2電極と、弾性を有する第2誘電体をその順に4層とした電極シートにおいて、すくなくとも半回転の捩りにより表裏面を反転して折畳むことが可能な可捩折部を設け、その可捩折部において前記電極シートを捩折して前記電極シートの第1電極と第2電極が前記第2誘電体を介在して対向する対向電極とし、電極間電圧に応じて電極間距離が変化するようにしたものである。
また本発明の請求項3に係る捩折型静電アクチュエータは、請求項1または2に係る捩折型静電アクチュエータにおいて、前記電極シートが複数の対向電極となる複数の略円形部分と、複数の可捩折部となる複数の略線形部分とを有し、前記略円形部分と前記略線形部分は互い違いに結合して配列する電極シートであって、その電極シートに対して前記捩折を繰返すことにより多層化したものである。
また本発明の請求項2に係る捩折型静電アクチュエータは、第1電極と、弾性を有する第1誘電体と、第2電極と、弾性を有する第2誘電体をその順に4層とした電極シートにおいて、すくなくとも半回転の捩りにより表裏面を反転して折畳むことが可能な可捩折部を設け、その可捩折部において前記電極シートを捩折して前記電極シートの第1電極と第2電極が前記第2誘電体を介在して対向する対向電極とし、電極間電圧に応じて電極間距離が変化するようにしたものである。
また本発明の請求項3に係る捩折型静電アクチュエータは、請求項1または2に係る捩折型静電アクチュエータにおいて、前記電極シートが複数の対向電極となる複数の略円形部分と、複数の可捩折部となる複数の略線形部分とを有し、前記略円形部分と前記略線形部分は互い違いに結合して配列する電極シートであって、その電極シートに対して前記捩折を繰返すことにより多層化したものである。
本発明の請求項1に係る捩折型静電アクチュエータによれば、電極と誘電体を3層とした電極シートをその可捩折部において捩折して対向電極をなした間に弾性を有する誘電体が配置されるから、電極どうしを電気的に結合するための配線工程を別途必要とせず、その配線はアクチュエータの動作に対して可撓性と耐久性を有し、積層する層が多数となっても製造が容易な捩折型静電アクチュエータが提供される。
また本発明の請求項2に係る捩折型静電アクチュエータによれば、電極と弾性を有する誘電体を4層とした電極シートを、その可捩折部において捩折して誘電体を介在して対向する対向電極としなしたから、電極どうしを電気的に結合するための配線工程を別途必要とせず、その配線はアクチュエータの動作に対して可撓性と耐久性を有し、積層する層が多数となっても製造が容易な捩折型静電アクチュエータが提供される。
また本発明の請求項3に係る捩折型静電アクチュエータによれば、電極シートが複数の対向電極となる複数の略円形部分と、複数の可捩折部となる複数の略線形部分とを有し、略円形部分と略線形部分は互い違いに結合して配列する電極シートであって、その電極シートに対して捩折を繰返すことにより多層化したから、電極どうしを電気的に結合するための配線工程を別途必要とせず、その配線はアクチュエータの動作に対して可撓性と耐久性を有し、積層する層が多数であるにもかかわらず製造が容易な捩折型静電アクチュエータが提供される。
また本発明の請求項2に係る捩折型静電アクチュエータによれば、電極と弾性を有する誘電体を4層とした電極シートを、その可捩折部において捩折して誘電体を介在して対向する対向電極としなしたから、電極どうしを電気的に結合するための配線工程を別途必要とせず、その配線はアクチュエータの動作に対して可撓性と耐久性を有し、積層する層が多数となっても製造が容易な捩折型静電アクチュエータが提供される。
また本発明の請求項3に係る捩折型静電アクチュエータによれば、電極シートが複数の対向電極となる複数の略円形部分と、複数の可捩折部となる複数の略線形部分とを有し、略円形部分と略線形部分は互い違いに結合して配列する電極シートであって、その電極シートに対して捩折を繰返すことにより多層化したから、電極どうしを電気的に結合するための配線工程を別途必要とせず、その配線はアクチュエータの動作に対して可撓性と耐久性を有し、積層する層が多数であるにもかかわらず製造が容易な捩折型静電アクチュエータが提供される。
次に、本発明の実施の形態について図を参照しながら説明する。本発明の捩折型静電アクチュエータにおける構成の一例を図1に示す。図1において、1,2は電極、3,4は誘電体、、5,6はリード線、7は可捩折部(カレイセツブ)である。
電極1(第1電極)と電極2(第2電極)はその間に誘電体3(第1誘電体)を挟んだ構造であり、電極1と電極2が表裏面となっている電極シートである。その電極シートは、たとえば、電極1と誘電体3と電極2がその順番となるように、それぞれのシートをラミネートし(貼合せし)、そのラミネートしたシートを所定の形状に切出すことにより、図1に一例を示すような電極シートを製造することができる。
電極1(第1電極)と電極2(第2電極)はその間に誘電体3(第1誘電体)を挟んだ構造であり、電極1と電極2が表裏面となっている電極シートである。その電極シートは、たとえば、電極1と誘電体3と電極2がその順番となるように、それぞれのシートをラミネートし(貼合せし)、そのラミネートしたシートを所定の形状に切出すことにより、図1に一例を示すような電極シートを製造することができる。
ラミネートしたシートを所定の形状に切り出すときに、静電アクチュエータを駆動する静電力を発生する電極部分とともに可捩折部7を設ける。図1に示す捩折型静電アクチュエータの一例は最小の積層単位(誘電体4(第2誘電体)が一層)であり、電極部分は対向電極とする2つの部分からなり、可捩折部7はその2つの部分を結合する細い略線形の1つの部分からなる。図1に示す一例は、その可捩折部7において電極シートを捩折して電極シートの電極1と電極2が対向する対向電極とし、その対向電極の間に誘電体4を配置した構造の捩折型静電アクチュエータである。ここに捩折とは、電極シートにおける2つの電極部分の表裏が入替わるように180度の捩じりを行い、さらに電極1と電極2が対向するように2つの電極部分を折り返すことである。そのときに、可捩折部7は破壊せずに捩じられ折られる。
電極1と電極2は、図1に示す一例では最小の積層単位であるが、その間に挟む誘電体4が多層となるように、複数の対向電極が間隔を置いて積層する構成とすることができる(図2参照)。その多層構成においても、電極1と電極2の各々は1枚の電極シートから切出して捩折により多層に積層することができる。
また、電極シートの構成に最初から誘電体4を含めておくことができる。すなわち、図1に示す一例において電極シートは電極1と誘電体2と電極3をその順番に積層した3層構造の電極シートであるが、電極1と誘電体2と電極3と誘電体4をその順番に積層した4層構造の電極シートとすることができる。4層構造の電極シートは、電極1と誘電体2と電極3と誘電体4がその順番となるように、それぞれのシートをラミネートし(貼合せし)、そのラミネートしたシートを所定の形状に切出すことにより製造することができる。
3層構造の電極シートにおいては誘電体4は可捩折部7に含まれないから誘電体4の材質や寸法(特に厚さ)について設計自由度が高い。一方、4層構造の電極シートにおいては、捩折した後に誘電体4を設ける別工程を必要とせず、捩折を繰返すだけで多層の積層が済むという利点がある。
また、電極シートの構成に最初から誘電体4を含めておくことができる。すなわち、図1に示す一例において電極シートは電極1と誘電体2と電極3をその順番に積層した3層構造の電極シートであるが、電極1と誘電体2と電極3と誘電体4をその順番に積層した4層構造の電極シートとすることができる。4層構造の電極シートは、電極1と誘電体2と電極3と誘電体4がその順番となるように、それぞれのシートをラミネートし(貼合せし)、そのラミネートしたシートを所定の形状に切出すことにより製造することができる。
3層構造の電極シートにおいては誘電体4は可捩折部7に含まれないから誘電体4の材質や寸法(特に厚さ)について設計自由度が高い。一方、4層構造の電極シートにおいては、捩折した後に誘電体4を設ける別工程を必要とせず、捩折を繰返すだけで多層の積層が済むという利点がある。
電極1と電極2には導電性の良い材料、たとえば、銅、アルミニウム、銀、金、等の金属材料が用いられる。電極1と電極2に加える電位は同一とすることも相違するものとすることもできる。ただし、電極1と電極2の各々に属するシート状の複数の電極は可捩折部7において電気的に接続されていて同一電位となっている。
ここで、電極1と電極2の形状がシート状というのは面積の大きさに比較して厚さが小さいということであり、絶対値としての面積、厚さとは関係ない。たとえば、シート状の縦横寸法はm単位の寸法であってもよいしμm単位の寸法であってもよい。厚さは縦横寸法の1/10であってもよいし1/10000であってもよい。厚さ方向の変位をアクチュエータ出力として利用する捩折型静電アクチュエータにおいては、静電力を受けても厚さ方向の変化が小さい部分、すなわち第1電極と第2電極は薄くしたほうが、大きな伸縮率を得る上で有利である。
ここで、電極1と電極2の形状がシート状というのは面積の大きさに比較して厚さが小さいということであり、絶対値としての面積、厚さとは関係ない。たとえば、シート状の縦横寸法はm単位の寸法であってもよいしμm単位の寸法であってもよい。厚さは縦横寸法の1/10であってもよいし1/10000であってもよい。厚さ方向の変位をアクチュエータ出力として利用する捩折型静電アクチュエータにおいては、静電力を受けても厚さ方向の変化が小さい部分、すなわち第1電極と第2電極は薄くしたほうが、大きな伸縮率を得る上で有利である。
誘電体3と誘電体4のすくなくとも一方は弾性を有するシート状の複数の誘電体であり、それら複数の誘電体3と誘電体4は電極1と電極2に挟まれ、1電極1、誘電体3、電極2、誘電体4の順番に積層する形態で配置されている。電極1、誘電体3、電極2、誘電体4の4つによって積層体としての1つの周期を形成する。誘電体3と誘電体4は機械的、電気的、等において同一の物性を有する誘電体であってもよいし、異なった物性の誘電体であってもよい。
誘電体3と誘電体4としては高い誘電率を有する誘電体(高誘電体)が好ましい。誘電体3と誘電体4として高い誘電率を有する誘電体を使用することにより電極間に加える電圧に対して電極間に作用する力を大きくすることができる。また、誘電体3と誘電体4としては、弾性率が小さく弾性限界における変形量が大きな誘電体が好ましい。誘電体3と誘電体4として弾性率が小さく弾性限界における変形量が大きな誘電体を使用することにより電極間に作用する力に対して電極間距離の回復可能な変化量を大きくすることができる。
誘電体3と誘電体4の材料としては単一の材料(たとえば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニール)を使用することもできるが、所望の好適な弾性を与えるために気泡を含ませる等により機械的な特性を改良したものを使用することができる。作用する力を大きくする上では高誘電体である物質を密に充填した誘電体の方が有利である。しかし、弾性限界における変形量を大きくする上では空間を含むことにより弾性率を小さくした誘電体の方が有利である。したがって、誘電体3,4としては、単一の材料として高い誘電率を有する誘電体(高誘電体)物質を使用し、空間(気泡、等)を含むことにより所望の弾性率が得られるようにした誘電体を使用する。さらに、その空間が誘電体3,4の側壁に連続する空間(連続気泡、等)であるような誘電体とする。空間が誘電体3,4の側壁に連続していると、その側壁を通じて気体を流入流出することによって空間内の気体が圧縮されることがなくなるから、実質的な弾性率が小さくなる。
誘電体3と誘電体4に使用することのできる材料としては、高分子材料(プラスチック、ゴム、等)が好適である。たとえば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニール(PVC)、ナイロン(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアリレート(PAR)、ABS樹脂(ABS)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ニトリルゴム(NBR)、ふっ素ゴム(FKM、FFKM)、アクリルゴム(ACM)、シリコーンゴム(VMQ,FVMQ)、フッ素化シリコーンゴム(フロロシリコーンゴム FVMQ)、ウレタンゴム(AU,EU)、エチレンプロピレンゴム(EPM,EPDM)、等である。これらには、誘電体3と誘電体4の材料として伸縮と曲げの両方に変形を受けるように構成できるものと、外力に対する伸縮が小さいため曲げだけの変形を受けるように構成したほうがよいものとが含まれている。
リード線5とリード線6は捩折型静電アクチュエータを駆動する電源を接続するためのリード線である。図1に示す捩折型静電アクチュエータの一例において、リード線5は第1電極1と電気的に接続されており、リード線6は第2電極2と電気的に接続されている。
以上の構成について説明した。次に、本発明の捩折型静電アクチュエータの動作について説明する。
本発明の捩折型静電アクチュエータにおけるリード線5とリード線6の両方を接地したときの状態を図2に示す。リード線5とリード線6の両方を接地したときにおいては、電極1(に電気的に接続する複数の電極)と電極2(に電気的に接続する複数の電極)は接地電位となっており電極1と電極2の各々において電荷の過不足は存在しない(電極1と電極2の各々は帯電していない)。すなわち、電極1と電極2との間には静電力は作用しない。したがって、誘電体3と誘電体4においては静電力の作用しない状態における他の力(弾性力、重力、等)が均衡しており全体としてのアクチュエータ出力はいわゆる基準の全長となる。
本発明の捩折型静電アクチュエータにおけるリード線5とリード線6の両方を接地したときの状態を図2に示す。リード線5とリード線6の両方を接地したときにおいては、電極1(に電気的に接続する複数の電極)と電極2(に電気的に接続する複数の電極)は接地電位となっており電極1と電極2の各々において電荷の過不足は存在しない(電極1と電極2の各々は帯電していない)。すなわち、電極1と電極2との間には静電力は作用しない。したがって、誘電体3と誘電体4においては静電力の作用しない状態における他の力(弾性力、重力、等)が均衡しており全体としてのアクチュエータ出力はいわゆる基準の全長となる。
本発明の捩折型静電アクチュエータにおけるリード線5とリード線6が異なる電位となるように電圧を加えたときの状態を図3に示す。図2に示すような接地に続いてリード線5とリード線6の間に電圧を加えたときにおいては、電極1と電極2は異なる電位となっており電極1と電極2の各々において電荷の過不足が生じている(電極1と電極2の各々は帯電している)。すなわち、電極1と電極2との間には静電力が作用する。このとき(接地に続いて電圧を加えたとき)には電極1と電極2の極性が反対となるからこのときの静電力は引力である。誘電体3と誘電体4においては静電力によってその厚さ方向に圧縮する力が作用し、誘電体3と誘電体4はその弾性率に従って厚さを縮める(薄くなる)変位を起こす。したがって、誘電体3,4に属する複数の誘電体におけるその変位の総和として拡大した変位、すなわち基準から全長を縮めるアクチュエータ出力が得られる。
本発明の捩折型静電アクチュエータにおけるリード線5とリード線6が接地電位とは異なる同一電位となるように電圧を加えたときの状態を図4に示す。図2に示すような接地に続いて短絡したリード線5とリード線6に接地電位とは異なる電圧を加えたときにおいては、電極1と電極2は同一電位となっているが接地電位でないため電極1と電極2の各々において電荷の過不足が生じている(電極1と電極2の各々は帯電している)。すなわち、電極1と電極2との間には静電力が作用する。このとき(接地に続いて電圧を加えたとき)には電極1と電極2の極性が同一となるからこのときの静電力は斥力である。したがって、誘電体3と誘電体4においては静電力によってその厚さ方向に伸長する力が作用し、誘電体3と誘電体4はその弾性率に従って厚さを伸ばす(厚くなる)変位を起こす。誘電体3と誘電体4に属する複数の誘電体におけるその変位の総和として拡大した変位、すなわち基準から全長を伸ばすアクチュエータ出力が得られる。
以上、動作について説明した。次に、本発明の捩折型静電アクチュエータについて実施例を挙げて説明する。
(実施例1)
電極1(第1電極)と、誘電体3(第1誘電体)と、電極2(第2電極)をその順に3層とした前述の電極シートの断面図を図5(A)に示す。この3層の電極シートにおいては電極1と電極2の間に誘電体3が介在している。これに対して、実施例1では4層の電極シートを使用する捩折型静電アクチュエータについて説明する。すなわち、電極1(第1電極)と、弾性を有する誘電体3(第1誘電体)と、電極2(第2電極)と、弾性を有する誘電体4(第2誘電体)をその順に4層とした電極シートである。この4層の電極シートの断面図を図5(B)示す。この4層にした電極シートにおいても、電極1と電極2の間に弾性を有する第1誘電体が介在している。また、このままでは、弾性を有する誘電体3は一方の面が電極2となっているが他方の面には電極がなく開放されている。
(実施例1)
電極1(第1電極)と、誘電体3(第1誘電体)と、電極2(第2電極)をその順に3層とした前述の電極シートの断面図を図5(A)に示す。この3層の電極シートにおいては電極1と電極2の間に誘電体3が介在している。これに対して、実施例1では4層の電極シートを使用する捩折型静電アクチュエータについて説明する。すなわち、電極1(第1電極)と、弾性を有する誘電体3(第1誘電体)と、電極2(第2電極)と、弾性を有する誘電体4(第2誘電体)をその順に4層とした電極シートである。この4層の電極シートの断面図を図5(B)示す。この4層にした電極シートにおいても、電極1と電極2の間に弾性を有する第1誘電体が介在している。また、このままでは、弾性を有する誘電体3は一方の面が電極2となっているが他方の面には電極がなく開放されている。
可捩折部7を設けるように4層の電極シートを切出す。その切出した一例の上面図を図5(C)に示す。図5(C)に示すように、可捩折部7は細く線状となっているため、すくなくとも半回転の捩りにより表裏面を反転して折畳むことが可能である。その可捩折部7において4層の電極シートを捩折することにより、電極シートの電極1と電極2が誘電体4を介在して対向する対向電極となるように構成することができる。捩折を繰返して多層に積層した捩折型静電アクチュエータを斜視図として図5(D)に示す。この構造の捩折型静電アクチュエータは、前述したような動作を行い、電極間電圧に応じて電極間距離が変化する。
(実施例2)
3層または4層の電極シートにおいて複数の対向電極となる部分を略円形にすると可捩折部7における捩折を無理なく行うことができる。複数の対向電極となる複数の略円形部分と、複数の可捩折部となる複数の略線形部分とを有するように切出した電極シートの一例の上面図を図6(A)に示す。この切出した電極シートは、図6(A)に示すように、円形部分(上面が電極1)と略線形部分(可捩折部7)が互い違いに結合して配列している。
3層または4層の電極シートにおいて複数の対向電極となる部分を略円形にすると可捩折部7における捩折を無理なく行うことができる。複数の対向電極となる複数の略円形部分と、複数の可捩折部となる複数の略線形部分とを有するように切出した電極シートの一例の上面図を図6(A)に示す。この切出した電極シートは、図6(A)に示すように、円形部分(上面が電極1)と略線形部分(可捩折部7)が互い違いに結合して配列している。
その電極シートに対して捩折を繰返すが、そのとき図6(B)に示すように、捩折を行うたびに、対向電極となる略円形の部分について、その中心の回りに所定の回転角θの回転を行う。これにより捩折を無理なく行うことができ、可捩折部について高い信頼性、耐久性を得ることができる。この捩折を繰返すことにより多層化する。この方法で多層化した捩折型静電アクチュエータの一例の斜視図を図6(C)に示す。この構造の捩折型静電アクチュエータは、前述したような動作を行い、電極間電圧に応じて電極間距離が変化する。
1,2 電極
3,4 誘電体
5,6 リード線
7 可捩折部
3,4 誘電体
5,6 リード線
7 可捩折部
Claims (3)
- 第1電極と、第1誘電体と、第2電極をその順に3層とした電極シートにおいて、すくなくとも半回転の捩りにより表裏面を反転して折畳むことが可能な可捩折部を設け、その可捩折部において前記電極シートを捩折して前記電極シートの第1電極と第2電極が対向する対向電極とし、その対向電極の間に弾性を有する第2誘電体が配置する構成を有し、電極間電圧に応じて電極間距離が変化するようにしたことを特徴とする捩折型静電アクチュエータ。
- 第1電極と、弾性を有する第1誘電体と、第2電極と、弾性を有する第2誘電体をその順に4層とした電極シートにおいて、すくなくとも半回転の捩りにより表裏面を反転して折畳むことが可能な可捩折部を設け、その可捩折部において前記電極シートを捩折して前記電極シートの第1電極と第2電極が前記第2誘電体を介在して対向する対向電極とし、電極間電圧に応じて電極間距離が変化するようにしたことを特徴とする捩折型静電アクチュエータ。
- 請求項1または2記載の捩折型静電アクチュエータにおいて、前記電極シートが複数の対向電極となる複数の略円形部分と、複数の可捩折部となる複数の略線形部分とを有し、前記略円形部分と前記略線形部分は互い違いに結合して配列する電極シートであって、その電極シートに対して前記捩折を繰返すことにより多層化したことを特徴とする捩折型静電アクチュエータ。
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