JP2007259663A - 積層型静電アクチュエータ - Google Patents
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Abstract
【課題】 全体形状が安定化し、入力と出力の関係について高い再現性を得ることができ、大きな静電力と大きな変位が得られる静電アクチュエータを提供する。
【解決手段】 互いに対向する複数の平板状の電極に、側壁に連続する空間を含むことにより弾性率を小さくした平板状の誘電体を介在させて積層一体化し、積層された電極は第1電位と第2電位が互い違いに加えられるように電気的に接続し、電極間の電位に応じて電極間の距離が変化するようにした積層型静電アクチュエータ。
【選択図】 図1
【解決手段】 互いに対向する複数の平板状の電極に、側壁に連続する空間を含むことにより弾性率を小さくした平板状の誘電体を介在させて積層一体化し、積層された電極は第1電位と第2電位が互い違いに加えられるように電気的に接続し、電極間の電位に応じて電極間の距離が変化するようにした積層型静電アクチュエータ。
【選択図】 図1
Description
本発明は静電力によって駆動される静電アクチュエータの技術分野に属する。特に、複数の平板状の電極の間に弾性を有する平板状の誘電体を介在させた積層型静電アクチュエータに関する。
ロボットにおいては電磁力によって駆動される電磁アクチュエータが使用されることが多い。電磁アクチュエータは、一般的には、変位量と発生力がともに大きいという特徴がある。しかし、電磁コイル、強磁性体コア、永久磁石、伝達系、制御系、等の多数のパーツを必要とし、さらに、それらの多数のパーツを組合わせた複雑で精密な構造となっている。そのため、マイクロロボットのように微小化するほどに電磁アクチュエータを使用することが技術的に困難となっている。また人間サイズのロボットであっても、介護ロボットのような用途では、人間の柔らかな筋肉と同様な性質がアクチュエータに求められており、電磁アクチュエータに替わるアクチュエータの出現が待望されている。
電磁力を駆動原理としないアクチュエータとしては、たとえば、静電力によって駆動される静電アクチュエータ、圧電素子に電圧を加えたときの幾何歪によって駆動される圧電アクチュエータ、超音波振動素子(圧電素子)で発生した固体表面の振動を接触面の摩擦力を利用して回転または直線運動に変換する超音波アクチュエータ、形状記憶合金の加熱により記憶形状に戻る力によって駆動される形状記憶アクチュエータ、電解液に浸漬した高分子が加える電圧の極性によりイオンを吸収放出することで伸び縮みする導電性高分子アクチュエータ、等が知られている。中でも、静電アクチュエータについては、発生力が小さいものの小型化、軽量化、高速応答性、柔軟性、等において有利であるとの認識がある。また、発生力についても、静電力を発生する要素の大個数化や大面積化により解決できるとの見方がある。
静電アクチュエータとしては、たとえば、二枚のベースフィルムを略コイル状に巻き付けてアクチュエータ本体を構成し、二枚のベースフィルムにはその対向面にそれぞれ導電部が設けてあり、この対向する導電部に電圧を加えることにより、対向する導電部に静電力が発生し、この静電力の軸方向成分でアクチュエータ本体を収縮させる発明が知られている(特許文献1)。
また、絶縁層と電極を設けた複数の積層板を板厚方向に積層してなる積層体と、積層板の各々に板厚方向の引張力を与えて複数の積層板の各々を所定の空間を隔てて保持する可撓性の保持部と、複数の積層板の板厚方向に隣接する各電極間に電圧を印加する配線部とを備えた積層静電アクチュエータの発明がある(特許文献2)。
特開平1−185177
特開平6−284750
また、絶縁層と電極を設けた複数の積層板を板厚方向に積層してなる積層体と、積層板の各々に板厚方向の引張力を与えて複数の積層板の各々を所定の空間を隔てて保持する可撓性の保持部と、複数の積層板の板厚方向に隣接する各電極間に電圧を印加する配線部とを備えた積層静電アクチュエータの発明がある(特許文献2)。
しかしながら、この従来の方法においては、電極間に滑性を与えるために流体または滑性を有する保護膜を必要とするか電極間が空隙となっており、そのままでは電極間の配置を保持する力が働かないため静電アクチュエータの全体形状が不安定である。また、電極間に働く静電力が小さいという問題がある。
本発明は上記の問題を解決するために成されたものである。その目的は、全体形状が安定化し、入力と出力の関係について高い再現性を得ることができ、大きな静電力と大きな変位が得られる静電アクチュエータを提供することにある。
本発明の請求項1に係る積層型静電アクチュエータは、互いに対向する複数の平板状の電極に弾性を有する平板状の誘電体を介在させて積層一体化し、前記電極間の電位に応じて前記電極間の距離が変化するようにしたものである。
また本発明の請求項2に係る積層型静電アクチュエータは、請求項1に係る積層型静電アクチュエータにおいて、前記積層された電極は第1電位と第2電位が互い違いに加えられるように電気的に接続されているようにしたものである。
また本発明の請求項3に係る積層型静電アクチュエータは、請求項1または2に係る積層型静電アクチュエータにおいて、前記電極のすべては面形状が同一であるようにしたものである。
また本発明の請求項4に係る積層型静電アクチュエータは、請求項1〜3のいずれかに係る積層型静電アクチュエータにおいて、前記誘電体は空間を含むことにより弾性率を小さくした誘電体であるようにしたものである。
また本発明の請求項5に係る積層型静電アクチュエータは、請求項1〜4のいずれかに係る積層型静電アクチュエータにおいて、前記誘電体の空間は前記誘電体の側壁に連続する空間であり、その側壁を通じて気体を流入流出することにより弾性率を小さくした誘電体であるようにしたものである。
また本発明の請求項2に係る積層型静電アクチュエータは、請求項1に係る積層型静電アクチュエータにおいて、前記積層された電極は第1電位と第2電位が互い違いに加えられるように電気的に接続されているようにしたものである。
また本発明の請求項3に係る積層型静電アクチュエータは、請求項1または2に係る積層型静電アクチュエータにおいて、前記電極のすべては面形状が同一であるようにしたものである。
また本発明の請求項4に係る積層型静電アクチュエータは、請求項1〜3のいずれかに係る積層型静電アクチュエータにおいて、前記誘電体は空間を含むことにより弾性率を小さくした誘電体であるようにしたものである。
また本発明の請求項5に係る積層型静電アクチュエータは、請求項1〜4のいずれかに係る積層型静電アクチュエータにおいて、前記誘電体の空間は前記誘電体の側壁に連続する空間であり、その側壁を通じて気体を流入流出することにより弾性率を小さくした誘電体であるようにしたものである。
本発明の請求項1に係る積層型静電アクチュエータによれば、互いに対向する複数の平板状の電極に弾性を有する平板状の誘電体(誘電体または強誘電体)を介在させて積層一体化しているから、全体形状が安定化し、入力と出力の関係について高い再現性を得ることができ、大きな静電力と大きな変位が得られる静電アクチュエータが提供される。
また本発明の請求項2に係る積層型静電アクチュエータによれば、積層された電極は第1電位と第2電位が互い違いに加えられるように電気的に接続されているから、積層型静電アクチュエータを駆動するための電源制御部は第1電位と第2電位の電位差を発生すればよく簡略化される。
また本発明の請求項3に係る積層型静電アクチュエータによれば、電極のすべては面形状が同一であるから、積層型静電アクチュエータにおける各断面の応力が均一となり耐久性が得られるとともに製造が容易である。
また本発明の請求項4に係る積層型静電アクチュエータによれば、誘電体は空間を含むことにより弾性率を小さくしたから、積層型静電アクチュエータについて大きな柔軟性と大きな変位が得られる。
また本発明の請求項5に係る積層型静電アクチュエータによれば、誘電体の空間は誘電体の側壁に連続する空間であり、その側壁を通じて気体を流入流出することにより弾性率を小さくした誘電体であるから、積層型静電アクチュエータについて大きな柔軟性と大きな変位が得られる。
また本発明の請求項2に係る積層型静電アクチュエータによれば、積層された電極は第1電位と第2電位が互い違いに加えられるように電気的に接続されているから、積層型静電アクチュエータを駆動するための電源制御部は第1電位と第2電位の電位差を発生すればよく簡略化される。
また本発明の請求項3に係る積層型静電アクチュエータによれば、電極のすべては面形状が同一であるから、積層型静電アクチュエータにおける各断面の応力が均一となり耐久性が得られるとともに製造が容易である。
また本発明の請求項4に係る積層型静電アクチュエータによれば、誘電体は空間を含むことにより弾性率を小さくしたから、積層型静電アクチュエータについて大きな柔軟性と大きな変位が得られる。
また本発明の請求項5に係る積層型静電アクチュエータによれば、誘電体の空間は誘電体の側壁に連続する空間であり、その側壁を通じて気体を流入流出することにより弾性率を小さくした誘電体であるから、積層型静電アクチュエータについて大きな柔軟性と大きな変位が得られる。
次に、本発明の実施の形態について図を参照しながら説明する。本発明の積層型静電アクチュエータにおける構成の一例を図1に示す。図1において、1,2は電極、3,4は誘電体、5,6はリード線、7,8は配線である。
電極1と電極2の各々は平板状の複数の電極であり、それら複数の電極1と電極2は互いに対向するように間隔を置いて積層する形態で配置されている。その対向する電極1と電極2の間には誘電体3と誘電体4のいずれか1つが介在している。電極1と電極2には導電性の良い材料、たとえば、銅、アルミニウム、銀、金、等の金属材料が用いられる。電極1と電極2に加える電位は同一とすることも相違するものとすることもできる。ただし、図1に示す一例において、電極1に属する平板状の複数の電極は配線7によって同一電位となっており、電極2に属する平板状の複数の電極は配線8によって同一電位となっている。
電極1と電極2の各々は平板状の複数の電極であり、それら複数の電極1と電極2は互いに対向するように間隔を置いて積層する形態で配置されている。その対向する電極1と電極2の間には誘電体3と誘電体4のいずれか1つが介在している。電極1と電極2には導電性の良い材料、たとえば、銅、アルミニウム、銀、金、等の金属材料が用いられる。電極1と電極2に加える電位は同一とすることも相違するものとすることもできる。ただし、図1に示す一例において、電極1に属する平板状の複数の電極は配線7によって同一電位となっており、電極2に属する平板状の複数の電極は配線8によって同一電位となっている。
ここで、電極1と電極2の形状が平板状というのは面積の大きさに比較して厚さが小さいということであり、絶対値としての面積、厚さとは関係ない。たとえば、平板状の縦横寸法はm単位の寸法であってもよいしμm単位の寸法であってもよい。厚さは縦横寸法の1/10であってもよいし1/10000であってもよい。厚さ方向の変位をアクチュエータ出力として利用する積層型静電アクチュエータにおいては、静電力を受けても厚さ方向の変化が小さい部分、すなわち電極1と電極2は薄くしたほうが、大きな伸縮率を得る上で有利である。
誘電体3と誘電体4の各々は弾性を有する平板状の複数の誘電体であり、それら複数の誘電体3と誘電体4のいずれか1つが電極1と電極2に挟まれ、電極1、誘電体3、電極2、誘電体4の順番に積層する形態で配置されている。電極1、誘電体3、電極2、誘電体4の4つによって積層体としての1つの周期を形成することから、誘電体3と誘電体4の符号を区別している。また、製造上、電極1と誘電体3を一体化し、電極2と誘電体4を一体化し、次に全体を積層することも有り得る。しかし、誘電体3と誘電体4は機械的、電気的、等において同一の物性を有する誘電体であってもよいし、異なった物性の誘電体であってもよい。
誘電体3と誘電体4としては高い誘電率を有する誘電体(高誘電体)が好ましい。誘電体3と誘電体4として高い誘電率を有する誘電体を使用することにより電極間に加える電圧に対して電極間に作用する力を大きくすることができる。また、誘電体3と誘電体4としては、弾性限界における変形量の大きく弾性率の小さな誘電体が好ましい。誘電体3と誘電体4として弾性率が小さく弾性限界における変形量が大きく誘電体を使用することにより電極間に作用する力に対して電極間距離の回復可能な変化量を大きくすることができる。
誘電体3と誘電体4の材料としては単一の材料(たとえば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニール)を使用することもできるが、所望の好適な弾性を与えるために気泡を含ませる等により機械的な特性を改良したものを使用することができる。作用する力を大きくする上では高誘電体である物質を密に充填した誘電体の方が有利である。しかし、弾性限界における変形量を大きくする上では空間を含むことにより弾性率を小さくした誘電体の方が有利である。したがって、誘電体3と誘電体4としては、単一の材料として高い誘電率を有する誘電体(高誘電体)物質を使用し、空間(気泡、等)を含むことにより所望の弾性率が得られるようにした誘電体を使用する。
さらに、その空間が誘電体3と誘電体4の側壁に連続する空間(連続気泡、等)であるような誘電体とする。空間が誘電体3と誘電体4の側壁に連続していると、その側壁を通じて気体を流入流出することによって空間内の気体が圧縮されることがなくなるから、実質的な弾性率が小さくなる。
さらに、その空間が誘電体3と誘電体4の側壁に連続する空間(連続気泡、等)であるような誘電体とする。空間が誘電体3と誘電体4の側壁に連続していると、その側壁を通じて気体を流入流出することによって空間内の気体が圧縮されることがなくなるから、実質的な弾性率が小さくなる。
誘電体3と誘電体4に使用することのできる材料としては、高分子材料(プラスチック、ゴム、等)が好適である。たとえば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニール(PVC)、ナイロン(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアリレート(PAR)、ABS樹脂(ABS)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ニトリルゴム(NBR)、ふっ素ゴム(FKM、FFKM)、アクリルゴム(ACM)、シリコーンゴム(VMQ,FVMQ)、フッ素化シリコーンゴム(フロロシリコーンゴム FVMQ)、ウレタンゴム(AU,EU)、エチレンプロピレンゴム(EPM,EPDM)、等である。これらには、誘電体3と誘電体4の材料として伸縮と曲げの両方に変形を受けるように構成できるものと、外力に対する伸縮が小さいため曲げだけの変形を受けるように構成したほうがよいものとが含まれている。
配線7,8は積層された電極1と電極2を電気的に接続する配線である。配線7によって電極1に属する平板状の複数の電極には同一電位となる。また、配線8によって電極2に属する平板状の複数の電極には同一電位となる。
リード線5とリード線6は電極1と電極2および配線7,8と直接的または間接的に電気的に接続されている。すなわち、積層型静電アクチュエータを駆動する電源を接続するためのリード線である。
リード線5とリード線6は電極1と電極2および配線7,8と直接的または間接的に電気的に接続されている。すなわち、積層型静電アクチュエータを駆動する電源を接続するためのリード線である。
以上、構成について説明した。次に、本発明の積層型静電アクチュエータにおける動作について説明する。
本発明の積層型静電アクチュエータにおけるリード線5とリード線6の両方を接地したときの状態を図2に示す。リード線5とリード線6の両方を接地したときにおいては、電極1(に属する複数の電極)と電極2(に属する複数の電極)は接地電位となっており電極1と電極2の各々において電荷の過不足は存在しない(電極1と電極2の各々は帯電していない)。すなわち、電極1と電極2との間には静電力は作用しない。したがって、誘電体3と誘電体4(に属する複数の誘電体)においては静電力の作用しない状態における他の力(弾性力、重力、等)が均衡しており全体としてのアクチュエータ出力はいわゆる基準の全長となる。
本発明の積層型静電アクチュエータにおけるリード線5とリード線6の両方を接地したときの状態を図2に示す。リード線5とリード線6の両方を接地したときにおいては、電極1(に属する複数の電極)と電極2(に属する複数の電極)は接地電位となっており電極1と電極2の各々において電荷の過不足は存在しない(電極1と電極2の各々は帯電していない)。すなわち、電極1と電極2との間には静電力は作用しない。したがって、誘電体3と誘電体4(に属する複数の誘電体)においては静電力の作用しない状態における他の力(弾性力、重力、等)が均衡しており全体としてのアクチュエータ出力はいわゆる基準の全長となる。
本発明の積層型静電アクチュエータにおけるリード線5とリード線6が異なる電位となるように電圧を加えたときの状態を図3に示す。図2に示すような接地に続いてリード線5とリード線6の間に電圧を加えたときにおいては、電極1と電極2は異なる電位となっており電極1と電極2の各々において電荷の過不足が生じている(電極1と電極2の各々は帯電している)。すなわち、電極1と電極2との間には静電力が作用する。このとき(接地に続いて電圧を加えたとき)には電極1と電極2の極性が反対となるからこのときの静電力は引力である。誘電体3と誘電体4においては静電力によってその厚さ方向に圧縮する力が作用し、誘電体3と誘電体4はその弾性率に従って厚さを短縮する(薄くなる)変位を起こす。したがって、誘電体3と誘電体4に属する複数の誘電体におけるその変位の総和として拡大した変位、すなわち基準から全長を短縮するアクチュエータ出力が得られる。
本発明の積層型静電アクチュエータにおけるリード線5とリード線6が接地電位とは異なる同一電位となるように電圧を加えたときの状態を図4に示す。図2に示すような接地に続いて短絡したリード線5とリード線6に接地電位とは異なる電圧を加えたときにおいては、電極1と電極2は同一電位となっているが接地電位でないため電極1と電極2の各々において電荷の過不足が生じている(電極1と電極2の各々は帯電している)。すなわち、電極1と電極2との間には静電力が作用する。このとき(接地に続いて電圧を加えたとき)には電極1と電極2の極性が同一となるからこのときの静電力は斥力である。したがって、誘電体3と誘電体4においては静電力によってその厚さ方向に伸長する力が作用し、誘電体3と誘電体4はその弾性率に従って厚さを伸長する(厚くなる)変位を起こす。誘電体3と誘電体4に属する複数の誘電体におけるその変位の総和として拡大した変位、すなわち基準から全長を伸長するアクチュエータ出力が得られる。
以上、動作について説明した。次に、本発明の多孔質高分子材料について実施例(変形例)を挙げて説明する。
(実施例1)
本発明の積層型静電アクチュエータにおける誘電体3,4として多孔質高分子材料を使用した一例を図5に示す。多孔質高分子材料は、たとえば、発泡剤を含むモノマーを加熱したときに発泡しながら反応して気泡を多量に含んだポリマーを得る、等の方法で製造される。気泡については、製造条件によって、その量(割合)、大きさ、連続性、等を変化させることができ、多様な特性のものを得ることができる。誘電体3,4として多孔質高分子材料を使用することにより、入力電圧とアクチュエータ出力の関係、等について広範囲な設計自由度を得ることができる。
(実施例1)
本発明の積層型静電アクチュエータにおける誘電体3,4として多孔質高分子材料を使用した一例を図5に示す。多孔質高分子材料は、たとえば、発泡剤を含むモノマーを加熱したときに発泡しながら反応して気泡を多量に含んだポリマーを得る、等の方法で製造される。気泡については、製造条件によって、その量(割合)、大きさ、連続性、等を変化させることができ、多様な特性のものを得ることができる。誘電体3,4として多孔質高分子材料を使用することにより、入力電圧とアクチュエータ出力の関係、等について広範囲な設計自由度を得ることができる。
(実施例2)
本発明の積層型静電アクチュエータにおける誘電体3,4としてくの字断面高分子材料シートを使用した一例を図6に示す。くの字断面高分子材料シートは、プラスチックフィルムやゴムシートを断面がくの字となるように成型する、等の方法で製造される。誘電体3,4に静電力が作用したときに、くの字断面高分子材料シートのくの字に折り曲げられた部位に曲げる変形が生じる。たて弾性率(ヤング率)と比較して曲げ弾性率は一般的に小さい。したがって、誘電体3,4に静電力が作用したときの変形量を大きくすることができる。
本発明の積層型静電アクチュエータにおける誘電体3,4としてくの字断面高分子材料シートを使用した一例を図6に示す。くの字断面高分子材料シートは、プラスチックフィルムやゴムシートを断面がくの字となるように成型する、等の方法で製造される。誘電体3,4に静電力が作用したときに、くの字断面高分子材料シートのくの字に折り曲げられた部位に曲げる変形が生じる。たて弾性率(ヤング率)と比較して曲げ弾性率は一般的に小さい。したがって、誘電体3,4に静電力が作用したときの変形量を大きくすることができる。
図6に示す一例においては、多層に積層された誘電体3,4は、くの字断面高分子材料シートの長手方向の向きが各層において交互に入れ替わっている構成となっている。くの字断面によって支持された電極1,2は、くの字断面高分子材料シートの長手方向の機械的特性(変形し易さ)と、その長手方向に対して直角方向の機械的物性はことなっている。図6に示すように、くの字断面高分子材料シートの長手方向の向きを各層において交互に入れ替えることによって、どの方向においても機械的物性を均等化することができる。
(実施例3)
本発明の積層型静電アクチュエータにおける誘電体3,4として高分子材料チューブを使用した一例を図7に示す。高分子材料チューブはそのものの製造が容易であり均質かつ高精度のものを得やすい。また、電極1,2の間に配置するときにも軸中心に対称形状を有するため配置することが容易である。電極1,2に静電力が作用したときに、高分子材料チューブはその断面が円形から扁平して楕円形となるが、そのときの変形は、実施例2と同様に、曲げる変形である。たて弾性率(ヤング率)と比較して曲げ弾性率は一般的に小さい。したがって、誘電体3,4に静電力が作用したときの変形量を大きくすることができる。
本発明の積層型静電アクチュエータにおける誘電体3,4として高分子材料チューブを使用した一例を図7に示す。高分子材料チューブはそのものの製造が容易であり均質かつ高精度のものを得やすい。また、電極1,2の間に配置するときにも軸中心に対称形状を有するため配置することが容易である。電極1,2に静電力が作用したときに、高分子材料チューブはその断面が円形から扁平して楕円形となるが、そのときの変形は、実施例2と同様に、曲げる変形である。たて弾性率(ヤング率)と比較して曲げ弾性率は一般的に小さい。したがって、誘電体3,4に静電力が作用したときの変形量を大きくすることができる。
1,2 電極
3,4 誘電体
5,6 リード線
7,8 配線
3,4 誘電体
5,6 リード線
7,8 配線
Claims (5)
- 互いに対向する複数の平板状の電極に弾性を有する平板状の誘電体を介在させて積層一体化し、前記電極間の電位に応じて前記電極間の距離が変化するようにしたことを特徴とする積層型静電アクチュエータ。
- 請求項1記載の積層型静電アクチュエータにおいて、前記積層された電極は第1電位と第2電位が互い違いに加えられるように電気的に接続されていることを特徴とする積層型静電アクチュエータ。
- 請求項1または2に記載の積層型静電アクチュエータにおいて、前記電極のすべては面形状が同一であることを特徴とする積層型静電アクチュエータ。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の積層型静電アクチュエータにおいて、前記誘電体は空間を含むことにより弾性率を小さくした誘電体であることを特徴とする積層型静電アクチュエータ。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の積層型静電アクチュエータにおいて、前記誘電体の空間は前記誘電体の側壁に連続する空間であり、その側壁を通じて気体を流入流出することにより弾性率を小さくした誘電体であることを特徴とする積層型静電アクチュエータ。
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