JP2010057320A - 静電アクチュエータの製造方法 - Google Patents

静電アクチュエータの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】異なる極性の電極を交互に重ね合わせた積層電極構造を容易に形成可能な静電アクチュエータの製造方法を提供する。
【解決手段】金属薄膜を誘電体膜で覆って形成された2本の電極テープの一端を交差させて回転台に固定し、2本の電極テープをそれぞれ持ち上げて、電極テープの中心線を軸として電極テープを回転自在に保持し、2本の電極テープの一端が固定された回転台を回転させ、回転台の回転によって生じる電極テープそれぞれのねじれを解消するように電極テープの中心線を軸として回転させ、2本の電極テープが回転台において交差して固定された部分の上方で交互に交差するごとに折り畳むことで、2本の電極テープが交差している部分に対応する形状の電極を積層させた積層構造を形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、積層された電極間の電位差によって発生する静電引力に応じて伸縮する静電アクチュエータの製造方法に関する。
静電アクチュエータは、軽量でありながら大きな駆動力を得ることができるため、磁力を利用したモータなどに代わるものとして期待されている。
静電アクチュエータの一例としては、多数の電極スリットを備えた2枚の電極シートの一方を固定して他方を可動とし、これらの電極シートにそれぞれ位相の異なる交流電圧を印加することにより、電極スリットに垂直な方向に電極シートを移動させる構成が提案されている(非特許文献1参照)。また、らせん状の電極を用い、このらせん状の電極を保持する構造自体を蛇腹状に収縮させる構成も提案されている(非特許文献2参照)。
また、多数の電極を積層し、積層された電極と電極の間の空間を電界に応じて伸縮させる構成の積層型静電アクチュエータも提案されている。積層型静電アクチュエータは、積層する電極の数に応じて、可動範囲を拡大させることが可能であり、また、アクチュエータの動作方向に摩擦などの抵抗が働かないため、アクチュエータの動作により物を動かすなどの仕事をさせることが可能である。
T. Niio, S. Egawa and T. Higuchi "High-power and high-efficiency electrostatic actuator", Micro Electro Mechanical System (1992) 122 K. Minami, H. Morishita and M. Esashi "A bellows-shape electrostatic micro actuator", Sen. Actuators A (Phys) 72 (1999) 269-276
ところで、積層型静電アクチュエータでは、大きな動作範囲を実現するために、例えば、帯状の電極を誘電体フィルムで覆って形成された2本の電極テープを交差させ、交差した部分に電極テープを重ね合わせるように交互に折り畳んで、紙ばねのような構造を形成する作業を繰り返すことにより、多数の電極を積層する構造を形成する必要がある。このような構造を形成する工程の作業量は、積層数の増大とともに増大する。したがって、積層型静電アクチュエータを量産するためには、上述したような構造を容易に形成する製造技術が必要である。
本発明は、異なる極性の電極を交互に重ね合わせた積層電極構造を容易に形成可能な静電アクチュエータの製造方法を提供することを目的とする。
上述した目的は、以下に開示する静電アクチュエータの製造方法によって達成することができる。
この静電アクチュエータの製造方法の特徴は、金属薄膜を誘電体膜で覆って形成された2本の電極テープの一端を交差させて回転台に固定し、2本の電極テープをそれぞれ持ち上げて、電極テープの中心線を軸として電極テープを回転自在に保持し、2本の電極テープの一端が固定された回転台を回転させ、回転台の回転によって生じる電極テープそれぞれのねじれを解消するように電極テープの中心線を軸として回転させ、2本の電極テープが回転台において交差して固定された部分の上方で交互に交差するごとに折り畳むことで、2本の電極テープが交差している部分に対応する形状の電極を積層させた積層構造を形成する点にある。
このように構成された静電アクチュエータの製造方法では、回転台の上に一端を交差させて2本の電極テープが、この回転台を回転させることによって交互に回転台の上面を横切るように交差させられ、交差するごとに2本の電極テープが折り畳まれる。この操作を繰り返すことより、2本の電極テープが交差した部分の形状(例えば、正三角形あるいは正方形)を持つ平板上の電極が対向して重なり合った積層構造を自動的に形成することができる。なお、電極テープの一端が固定されている回転台を回転させることで生じる電極テープのねじれは、電極テープの中心線を軸とした回転によって除去されるので、2本の電極テープは表面あるいは裏面を回転台の上面と平行にして交互に重ねられる。
また、上述した目的は、以下に開示する静電アクチュエータの製造方法によっても達成することができる。
この静電アクチュエータの製造方法の特徴は、ウェハ上に静電モータと複数の静電モータの回転中心において所定の角度で交差する直線を静電モータの上面への射影とする回転軸を中心にそれぞれ回転可能な2つの保持機構とからなる複数セットの加工機構を形成し、複数の静電モータそれぞれの上面に一端が固定された所定幅の誘電体の薄膜と誘電体の薄膜の上に順次に重ねて形成された金属薄膜と別の誘電体の薄膜とからなる電極テープを生成し、各静電モータの上面に形成された電極テープに所定の角度で交差させて一端を固定した別の電極テープを形成し、複数セットの加工機構についてそれぞれ形成された2本の電極テープの固定されていない側の端をそれぞれ持ち上げるように、対応する加工機構の保持機構によって、電極テープの中心線を軸として電極テープを回転自在に支持し、各静電モータを回転させ、各静電モータの回転によって生じる電極テープそれぞれのねじれを解消するように対応する保持機構によってテープの中心線を軸として電極テープを回転させ、2本の電極テープが静電モータの上面に交差して固定された部分の直上で交互に交差するごとに折り畳むことで電極を積層させた積層構造を形成する点にある。
このように構成された静電アクチュエータの製造方法では、ウェハ上にマイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS:Micro Electro Mechanical Systems)技術を利用して形成された静電モータと保持機構とからなる複数のセットの加工機構により、微小な電極部分をそれぞれ積層させた複数の積層構造を並行して形成することができる。
上述した基本構成を持つ静電アクチュエータの製造方法によれば、2本の電極テープが交互に交差して折り畳まれ、この交差部分に対応する形状の電極を積層させた積層構造を回転台の回転に応じて形成することができるので、積層型の静電アクチュエータの製造工程を容易にし、静電アクチュエータの量産を実現することができる。
特に、MEMS技術を利用して形成された微細な加工機構を適用することにより、微小な電極部分を積層させた複数の積層構造を並行して形成することが可能となるので、手作業による加工が困難な微小な(ミクロンオーダー)の積層型静電アクチュエータの量産を実現することができる。
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1に、静電アクチュエータの製造方法の一実施形態を示す。
図1に、2本の電極テープ11a,11bを交互に交差して折り畳んで電極が積層する構造を形成するための積層構造形成機構の構成を示す。
図1に示した積層構造形成機構では、2本の電極テープ11a,11bそれぞれの一端は、交差部分が正三角形となるように交差させられ、回転台12の上面に固定されている。これらの電極テープ11a,11bの他端は、図1に示すように、回転台12の上面よりも上方に持ち上げられ、それぞれ対応する保持機構13により、電極テープ11a,11bの中心線を軸として回転自在に保持されている。
2本の電極テープ11a、11bは、それぞれ金属膜の両面を誘電体膜で覆って形成されており、この2本の電極テープ11a,11bを交差させて交互に折り畳むことにより、交差した部分において、2本の電極テープ11a,11bが交互に重ねあわされた積層電極を形成することができる。
また、この2本の電極テープ11a、11bには、互いに極性の異なる電圧が印加されており、互いの表面あるいは裏面が対向している部分はそれぞれ異なる極性の電圧が印加された電極として機能し、この対向する電極間に静電気力が作用する。
以下、図1に示した積層構造形成機構によって、2本の電極テープ11a、11bを交差させて交互に折り畳む方法について詳細に説明する。
図2、図3に、折り畳みプロセスを説明する図を示す。
図2に示すように、電極テープ11a,11bは、一端が回転台12に正三角形ABCの部分で交差して固定されている。図2において、電極テープ11aは、上述した正三角形ABCの辺BCで折り曲げられ、上方に持ち上げられて保持機構13によって保持されており、電極テープ11bは、上述した正三角形ABCの辺ABで折り曲げられ、上方に持ち上げられて保持機構13によって保持されている。
これらの電極テープ11a,11bは、図2において矢印で示すような回転台12の回転に応じて、図2(b)においてそれぞれ太い矢印で示すように、電極テープ11a,11bのねじれを解消するように、電極テープ11a,11bの中心線を軸として回転する。
例えば、上述した正三角形ABCの頂点Bが頂点Cの位置まで回転するのに伴って、図2(b)に示すように、電極テープ11aの頂点C側が中心線を軸とした回転によって、図2において網掛けを付して示す裏面を見せるように持ち上がる。逆に、電極テープ11bの頂点B側は中心線を軸とする回転に伴って、表面を回転台12の上面に近づけるように押し下げられる。このため、電極テープ11bは、上述した正三角形ABCの辺ABで折り曲げられ、回転台12の上面に固定された電極テープ11aの部分に重なり、更に、この部分に電極テープ11aが覆いかぶさっていく(図2(b)、(c)参照)。
上述したように、電極テープ11a,11bにそれぞれ極性の異なる電圧が印加されているので、回転台12の回転に伴って電極テープ11bが折り曲げられたことによって、図2(b)に示したように、電極テープ11aに対向するように近づいた電極テープ11bの部分に静電気力を作用させることができる。これにより、この部分を回転台12の上面に更に近づけるようにひきつけ、更に、その近傍の電極テープ11bをひきつけて、電極テープ11bを電極テープ11aに重ねて折り畳む操作を促進することができる。
図3(a)に、上述したようにして、電極テープ11bが辺ABで折り畳まれ、電極テープ11aの上に重ねられた状態を示す。なお、図3においては、図2において網掛けを付して示した面を白抜きで示す。
図3(a)に示したように、電極テープ11a,11bは、それぞれ辺BCと辺ACで折り曲げられ上方に持ち上げられている状態から更に回転台12が回転すると、図3(b)に示すように、電極テープ11aの頂点C側が中心線を軸とした回転によって押し下げられ、逆に、頂点B側は図3において網掛けを付して示す表面を見せるように持ち上げられる。これに伴って、電極テープ11aは、辺BCで折り曲げられ、この辺BCを底辺とする三角形の部分が、図2に示したプロセスで折り畳まれた電極テープ11bに対向するように近づけられる。このとき、電極テープ11aには、図3(b)に白抜きの矢印で示したように、電極テープ11bと対向する部分に静電気力が作用して下側に押し付けられていき、これに伴って、電極テープ11aは、頂点C側が三角形ABCの辺ACに重なるように折れ曲がり、図3(c)に示すように、電極テープ11bに重なって折り畳まれる。
このようなプロセスを繰り返すことにより、電極テープ11a、11bは、回転台12の回転に応じて交互に互いに他方の電極テープに覆いかぶさるように自動的に折り畳まれる。これにより、最初に回転台12の上面に固定された正三角形の部分と同等の形状を持つ2本の電極テープ11a,11bの部分が互い違いに積み重なった積層構造が形成される。すなわち、互いに異なる極性の電圧が印加される正三角形の電極を交互に対向させて積層させた積層電極構造の自動的な形成を実現し、積層型の静電アクチュエータの製造に要する作業量を大幅に削減することができるので、積層型静電アクチュエータを安価にかつ大量に製造することが可能となる。
なお、図4に示すように、回転台12の上面に、2本の電極テープ11a,11bを直交させて固定し、これらの電極テープ11a,11bをそれぞれ保持機構13に取り付け、回転台12を回転させることにより、個々の電極の形状が正方形である積層電極を自動的に形成することもできる。
また、上述した積層電極構造の形成過程において、回転台12を回転させる速度は一様でも良いし、折り畳みの段階に応じて制御することもできる。また、折り畳みの過程にある電極テープの電極となる部分(例えば、図3(b)の電極テープ11aの辺BCを底辺とする三角形の部分)とこれに対向する電極として直前に折り畳まれた部分(図3(b)に示した電極テープ11bの三角形ABCの部分)との距離に応じて、2本の電極テープに印加する電圧を制御して、折り畳み操作を促進することも可能である。
また、図5(a)に示すように、各電極テープ11に、他方の電極テープと交差して重なり合う電極部分(図5(a)において白抜きの三角形で示す)と、折り畳むために屈曲させられるヒンジ部分(図5(a)において網掛けを付して示す)とをそれぞれ形成することもできる。例えば、ヒンジ部分に、予め、電極部分が他方の電極テープに形成された電極部分と交差しやすい方向に屈曲しやすい傾向をつけておくことで、いわば、電極テープ11a,11bに予め折癖をつけ、スムーズな折り畳みを保障することができる。
また一方、図5(b)に示すように、電極テープを構成する誘電体と同等の誘電率をもつ誘電体であって所定の厚みを持ち、電極部分に相当する形状(たとえば、正三角形)を有する保持部材14を所定の間隔Dで電極テープの両面に配置し、電極テープに、これらの保持部材14で挟まれた電極部分と、これらの電極部分を結合するヒンジ部とを形成することもできる。
このように、電極部分に保持部材を配置して電極部分の剛性を部分的に高めたことにより、相対的にヒンジ部が屈曲しやすくなるので、電極部分を他方の電極テープに形成された電極部分に重ねて積層させた構造の形成を促進することができる。
また、上述したようにして電極部分の剛性を高めた構成では、剛性の高い電極部分を積層させて積層電極構造が形成されるので、積層型静電アクチュエータの形状の安定性を高めることができる。更に、保持部材を配置する間隔Dを例えば保持部材を含めた電極部分の厚みtの2.5倍から3倍となるように調整することにより、外力が働く場合でも、対向する電極部分の間に、電極部分の厚みと同等あるいは半分の間隙を確保して、安定な動作範囲を実現することが可能となる。
なお、上述した保持部材は、形成された電極テープに剛性の高い誘電体(例えば、シリカ:SiO)を接合させることで実現することができる。また、電極テープを保持部材の厚みを見込んだ厚みを持つ誘電フィルムを用いて構成し、図5(b)に示した保持部材をプラトー部として残すように、この誘電フィルムに溝部を形成することで、電極テープを構成する誘電体(PET:ポリエチレンテレフタレートなど)で形成された保持部材を配置した構成を実現することもできる。
ここで、静電気力は、電極面積に比例し、電極間の距離の2乗に反比例するので、個々の電極間の距離が小さい積層型静電アクチュエータにおいて、積層数を多くして対向する電極面積の総和を増大させることにより、動作範囲の拡大とともに作用力の増大を図ることができる。つまり、微小サイズの積層型静電アクチュエータは、小型化した故に大きな作用力を実現可能である点で、磁力素子や圧電素子を用いたアクチュエータによっては実現が困難であった分野への適用が期待できる。
以下、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS:Micro Electro Mechanical Systems)技術を適用して、微小サイズ(ミクロンオーダー)の静電アクチュエータを量産するための手法について説明する。
例えば、図6に示すように、ウェハ上に、複数の静電モータ21を形成し、これらの静電モータ21それぞれの回転面上に2本の電極テープ11a,11bを交差させて形成するとともに、例えば、この電極テープ11a,11bの中心線の延長方向に、これらの電極テープ11a,11bの中心線を軸として回転自在に保持する保持機構(図示せず)およびこれらの保持機構を持ち上げて支える支持機構(図示せず)を形成することにより、静電アクチュエータ製造用のプロセスを実現することができる。
なお、図6においては、ウェハ上に加工機構として形成された複数セットの微細機構のi番目とi+1番目の微細機構を代表させて示し、これらの微細機構の構成要素は、対応するセットを示す番号i,i+1を添え字で示した符号を付して示した。
図7に、静電アクチュエータ製造用の微細機構の詳細構成例を示す。
各微細機構の静電モータ21の回転面上に固定される電極テープ11a,11bは、気相成長技術を利用して形成することができる。
例えば、まず、静電モータ21の回転面の高さに合わせて犠牲層1を形成し、回転面およびこの犠牲層の上に、所定の幅(例えば、電極テープの幅)の誘電体テープをその中心線が回転面の中心を通るように気相成長技術によって形成し、この誘電体テープの上に、電極となる帯状の金属膜(例えば、銅薄膜)と別の誘電体テープとを順次に形成することにより、帯状の金属膜を誘電体テープで挟み込んだ電極テープ11bを形成することができる。なお、電極テープの幅を予め電極の幅に所定のマージンを加えて決めておき、先に形成された誘電体膜の上に上述した電極の幅の帯状金属膜を形成することにより、電極テープ11の断面部分についても絶縁性を確保することができる。
このようにして形成された電極テープ11bの上面に合わせて別の犠牲層2を形成し、同様の手順により、誘電体テープで帯状の金属膜を挟んだ所定の幅の構造(電極テープ11a)を、その中心線が回転面の中心で上述した電極テープ11bと交差するように気相成長技術によって形成する。その後、上述した犠牲層1,2を除去することにより、図7に示したように、2本の電極テープ11a、11bを静電モータ21の回転面上に重なったそれぞれの一端を除いてウェハ面から分離し、回転面に一端が交差して固定された2本の電極テープ11a、11bを形成することができる。なお、図7においては、誘電体と金属膜とが重なり合った構造を示すために、電極テープ11a,11bの断面に金属膜が現れているように図示した。
また、上述した構造の電極テープ11は、以下に述べるような方法によって形成することもできる。
静電モータ21の回転面および上述したような犠牲層の上に、最終的に必要とされる電極テープの幅よりも広い幅で誘電体膜を形成した後に、この誘電体膜に重ねて上述した電極の幅の帯状の金属膜を中心線が回転面の中心を通るように形成し、これらを覆うように誘電体膜を形成する。このようにして形成された誘電体膜で帯状の金属膜が挟まれた電極テープ部分を周囲の誘電体膜から分離し、更に、犠牲層を除去することにより、静電モータ21の回転面上に固定された部分を除いてウェハ面から遊離した電極テープを形成することができる。
このようにして形成された各セットの電極テープ11a,11bを対応する保持機構に取り付け、この保持機構を支持機構によってウェハ面の上方に持ち上げることで、電極テープ11a,11bを静電モータ21の回転面の上方に持ち上げ、保持機構により、電極テープ11a,11bの中心線を軸として自在に回転させることができる。
また、MEMS技術により、上述した電極テープ11と対応する保持機構を一体に形成し、保持機構をウェハ面の上方に持ち上げる過程で、対応する電極テープ11を一緒にウェハ面から持ち上げるように構成することもできる。
このように構成された微細機構により、図1の回転台12に相当する静電モータ21の回転面に一端が固定された電極テープ11a,11bについて、図1に示したアライメントと同等のアライメントを実現することができる。
上述したアライメントが実現された各セットの微細機構に備えられた静電モータ21を動作させ、回転面を回転させることにより、図2、図3を用いて説明したようにして、各セットに含まれる2本の電極テープ11a、11bを互い違いに交差させて折り畳むプロセスを並行して実行させることができる。
このようにして、ウェハ上に集積された複数セットの微細機構により、互いに異なる極性の電圧が印加される正三角形の電極を交互に対向させて積層させた積層電極構造の形成を並行して実現することができる。これにより、微小サイズの積層型静電アクチュエータの製造に要する作業量を大幅に削減することができるので、微小サイズの積層型静電アクチュエータを安価にかつ大量に製造することが可能となる。
なお、上述したようにして、気相成長技術を利用して電極テープ11a,11bを形成する際に、図5(a),(b)に示したような構造を形成することにより、これらの電極テープ11a,11bを折り畳むプロセスにおいて、期待される折り畳み位置で電極テープ11a,11bを確実に折り畳むことができる。
上述したようにして製造されたミクロンオーダーの積層型静電アクチュエータは、サイズと比較して大きな動作範囲と大きな作用力とを兼ね備えているので、様々な機器の微小な可動部位の駆動用素子として幅広く利用することができる。
例えば、カテーテルの先端部や内視鏡の可動部位を駆動するアクチュエータとして、上述したミクロンオーダーの積層型静電アクチュエータを利用することができる。磁力などを用いた従来のアクチュエータでは、微細化に伴って自身の体積が小さくなるために作用力の低下が避けられないのに対して、静電アクチュエータでは、上述したように、単位長さ当たりの積層数を増大させて電極間隔を狭くすることにより、このような分野で必要とされる大きな作用力を提供することができる。
また、多数の微小なミラーを制御して投影する方式のプロジェクターに、上述したようにして製造されたミクロンオーダーの静電アクチュエータを搭載し、これらの静電アクチュエータを上述した微小なミラーの駆動に利用することもできる。
また一方、積層されている対向する電極間の静電容量と電極間隔との関係を利用して、静電アクチュエータを変位センサとして利用することもできる
以上に説明した静電アクチュエータの製造方法によれば、積層型の静電アクチュエータの製造を大幅に省力化することができるので、小型で作用力の大きい静電アクチュエータを安価に提供することができる。これにより、磁力を利用したモータなどの素子に代わる駆動素子として静電アクチュエータを利用することが可能となる。つまり、静電アクチュエータの適用分野を、家庭用電化製品に備えられた様々な可動部分をはじめ、ロボットの関節部分など、多種多様な可動部分を駆動する用途に広げることができる。
特に、MEMSを利用した製造方法によって製造される微小なアクチュエータは、磁力を利用した小型の素子では実現が困難な大きな作用力を実現することができるので、血管カテーテルや内視鏡などの可動部を駆動するアクチュエータのように、サイズの微小化と作用力の大きさとの両立が必要とされる分野において極めて有用である。
静電アクチュエータ製造方法の一実施形態を示す図である。 折り畳みプロセスを説明する図である。 折り畳みプロセスを説明する図である。 静電アクチュエータの製造方法の別実施形態を示す図である。 電極テープの詳細構成例を示す図である。 静電アクチュエータ製造方法の別実施形態を示す図である。 静電アクチュエータ製造用の微細機構の詳細構成例を示す図である。 静電アクチュエータ製造方法の別実施形態を示す図である。
符号の説明
11a,11b 電極テープ
12 回転台
13 保持機構
14 保持部材
21 静電モータ

Claims (5)

  1. 金属薄膜を絶縁体膜で覆って形成された2本の電極テープの一端を交差させて回転台に固定し、
    前記2本の電極テープをそれぞれ持ち上げて、前記電極テープの中心線を軸として前記電極テープを回転自在に保持し、
    前記2本の電極テープの一端が固定された回転台を回転させ、
    前記回転台の回転によって生じる前記電極テープそれぞれのねじれを解消するようにテープの中心線を軸として回転させ、
    前記2本の電極テープが前記回転台において交差して固定された部分の上方で交互に交差するごとに折り畳むことで、前記2本の電極テープが交差している部分に対応する形状の電極を積層させた積層構造を形成する
    ことを特徴とする静電アクチュエータの製造方法。
  2. ウェハ上に静電モータと前記複数の静電モータの回転中心において所定の角度で交差する直線を前記静電モータの上面への射影とする回転軸を中心にそれぞれ回転可能な2つの保持機構とからなる複数セットの加工機構を形成し、
    前記複数の静電モータそれぞれの上面に一端が固定された所定幅の誘電体の薄膜と前記誘電体の薄膜の上に順次に重ねて形成された金属薄膜と別の誘電体の薄膜とからなる電極テープを生成し、
    前記各静電モータの上面に形成された電極テープに前記所定の角度で交差させて一端を固定した別の電極テープを形成し、
    前記複数セットの加工機構についてそれぞれ形成された2本の電極テープの固定されていない側の端をそれぞれ持ち上げるように、対応する前記加工機構の前記保持機構によって、前記電極テープの中心線を軸として前記電極テープを回転自在に支持し、
    前記各静電モータを回転させ、
    前記各静電モータの回転によって生じる前記電極テープそれぞれのねじれを解消するように前記対応する保持機構によって前記電極テープの中心線を軸として前記電極テープを回転させ、
    前記2本の電極テープが前記静電モータの上面に交差して固定された部分の直上で交互に交差するごとに折り畳むことで、前記2本の電極テープが交差している部分に対応する形状の電極を積層させた積層構造を形成する
    ことを特徴とする静電アクチュエータの製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の静電アクチュエータの製造方法において、
    前記2本の電極テープが前記回転台に交差させて固定される部分の形状に対応して、前記電極テープに折曲げを促す折癖をつけた後に、前記積層構造の形成手順に供する
    ことを特徴とする静電アクチュエータの製造方法。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の静電アクチュエータの製造方法において、
    前記2本の電極テープを前記積層構造の形成手順に供する前に、
    前記2本の電極テープが前記回転台に交差させて固定される部分の形状と同等の形状を持ち、前記電極テープよりも大きな剛性を持つ複数の絶縁部材を所定の間隔で前記各電極テープに配置する
    ことを特徴とする静電アクチュエータの製造方法。
  5. 請求項1又は請求項2に記載の静電アクチュエータの製造方法において、
    前記積層構造を形成する際に、前記2本の電極テープに互いに異なる極性の電圧を印加する
    ことを特徴とする静電アクチュエータの製造方法。
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