JP2007259228A - 電圧制御フィルタ - Google Patents

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Abstract

【課題】通過帯域近傍の減衰特性を変化させずに、通過中心周波数から一定の周波数離れた周波数の信号を減衰できる電圧制御フィルタを提供する。
【解決手段】一対のマイクロストリップラインMLS1、MSL2は、結合器を構成する。バラクタダイオードX1、X2は、制御電圧V1に応じて容量が変化し、結合器の結合量を制御して通過中心周波数を制御する。帯域阻止調整部11、12は、それぞれバラクタダイオードX3、X4を有し、バラクタダイオードX3、X4に印加される制御電圧V2、V3に応じた周波数の信号を減衰させる。帯域阻止調整部11、12は、制御電圧V2を変化させて帯域阻止周波数を変化させても、結合器の結合量を変化させず、通過周波数帯域近傍の減衰特性を変化させない。
【選択図】図1

Description

本発明は、電圧制御フィルタに関し、更に詳しくは、無線装置や計測器等において、送受信信号間の干渉防止や、ミキサにおけるLO信号等のスプリアス信号の抑圧のために必要となる帯域通過型フィルタ(BPF)又は帯域阻止型フィルタ(BEF)に使用できる電圧制御フィルタに関する。
印加電圧を制御することによって、通過帯域を制御可能な電圧制御フィルタ(以下、VCF(Voltage Controlled Filter)とも呼ぶ)がある。一般に、VCFは、マイクロストリップラインや誘電共振器から構成される結合器と、可変容量素子とを備えており、可変容量素子に印加するバイアス電圧を変化させることで、通過帯域や減衰帯域を制御する。VCFでは、所望の通過帯域を得るために、通過中心周波数から一定周波数位置の周波数帯の通過を阻止する帯域阻止機能が付加されることも多い。
帯域阻止機能を有するVCFとしては、制御電圧によって結合器の結合量を変化させるものがある(例えば、特許文献1参照)。図11は、従来の帯域阻止機能を有するVCF回路の構成を示している。VCF回路20では、制御電圧(バイアス電圧)V21を変化させることで、バラクタダイオードX21、X22の容量を変化させ、結合器を構成するマイクロストリップラインMSL21、MSL22間の結合量を変化させることで、通過中心周波数が制御される。また、制御電圧V22を変化させてバラクタダイオードX23、X24の容量を変化させ、結合器の結合量を変化させて帯域阻止周波数を調整している。
特開2005−341279号公報
従来のVCFでは、帯域阻止周波数を変化させる際に、結合器の結合量を変化させているため、帯域阻止周波数を変化させると、通過帯域近傍の減衰特性も変化するという問題がある。この様子を図12に示す。図12では、帯域阻止周波数設定前のVCFの減衰量の周波数特性をグラフ(a)で示し、設定後のVCFの減衰量の周波数特性をグラフ(b)で示す。従来のVCF20(図11)では、制御電圧V21を調整して、図12にグラフ(a)で示すように、通過中心周波数が1.5GHzになるようにした後に、制御電圧V22を調整して、通過中心周波数から離れた周波数帯に阻止周波数(2GHz)を設定すると、通過帯域近傍の減衰特性は、グラフ(b)に示すように変化し、通過帯域の近傍、特に通過中心周波数よりも高い側で減衰特性が劣化する。また、帯域阻止周波数よりも高い周波数領域では、大きな減衰量が得られないという問題もある。
本発明は、通過帯域近傍の減衰特性を大きく変化させることなく、通過中心周波数から一定周波数離れた位置に帯域阻止特性を持たせることができる電圧制御フィルタを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の電圧制御フィルタは、誘導性結合器を有し、該結合器の結合量を制御することで通過中心周波数が制御される電圧制御フィルタにおいて、RF信号の入力端子と前記結合器との間、及び、RF信号の出力端子と前記結合器との間の少なくとも一方に、前記結合器の結合量を変化させずに、特定の帯域阻止周波数の信号を減衰させる帯域阻止部を備えたことを特徴とする。
本発明の電圧制御フィルタでは、入力端子と結合器の間、及び、出力端子と結合器の間の少なくとも一方に、結合器の結合量を変化させずに特定の帯域阻止周波数の信号を減衰させる帯域阻止部を設ける。帯域阻止部は、結合器の結合量を変化させないため、帯域阻止周波数が所望の周波数となるように調整した場合でも、通過帯域近傍の減衰特性は変化しない。従って、通過帯域近傍の減衰特性を変化させることなく、通過中心周波数から一定周波数離れた位置に帯域阻止特性を持たせることができる。
本発明の電圧制御フィルタでは、前記帯域阻止周波数が、前記通過中心周波数から所定の周波数離れた周波数である構成を採用できる。通過中心周波数が複数あるときには、通過中心周波数の変化に連動して、帯域阻止周波数を変化させ、通過中心周波数から所定の周波数離れた周波数に帯域阻止特性を持たせればよい。
本発明の電圧制御フィルタでは、前記帯域阻止部が、制御電圧に応じて共振周波数が変化する共振器を有する構成を採用できる。この場合、制御電圧を制御して共振周波数を調整することで、その共振周波数に対応する帯域阻止周波数の信号を減衰できる。
本発明の電圧制御フィルタでは、前記帯域阻止部が、前記制御電圧に応じて容量が変化するバラクタダイオードと、所定のインダクタンス成分を有するインダクタとを含む構成を採用できる。この場合、バラクタダイオードの容量を制御することで、共振周波数を調整することができる。
本発明の電圧制御フィルタでは、前記帯域阻止部が、前記バラクタダイオードのアノードを直流的に接地する抵抗を有する構成を採用できる。この場合、バラクタのカソードに制御電圧(バイアス電圧)を印加することで、バラクタダイオードにDC逆バイアスを印加することができ、バラクタダイオードの容量を、印加する制御電圧に応じて調整することができる。
本発明の電圧制御フィルタでは、前記帯域阻止部が、前記バラクタダイオードのカソードに接続されたオープンスタブを有する構成を採用できる。この場合、帯域阻止周波数近傍を、広く減衰させることができる。特に、帯域阻止周波数が通過中心周波数よりも高い場合には、帯域阻止周波数近傍の周波数帯域を広く減衰することが好ましく、オープンスタブを有する構成が好ましい。
本発明の電圧制御フィルタは、前記結合器の入力側及び出力側の双方に前記帯域阻止部を有する構成を採用できる。この場合、入力側と、出力側との双方で、帯域阻止周波数の信号を減衰することができ、減衰効果を高めることができる。
本発明の電圧制御フィルタでは、前記入力端子と前記結合器との間の帯域阻止部の帯域阻止周波数と、前記出力端子と前記結合器と間の帯域阻止部の帯域阻止周波数とが、同じ周波数である構成を採用できる。この場合、帯域阻止周波数近傍を、局所的に減衰させることができる。
本発明の電圧制御フィルタでは、前記入力端子と前記結合器との間の帯域阻止部の帯域阻止周波数と、前記出力端子と前記結合器と間の帯域阻止部の帯域阻止周波数とが、異なる周波数である構成を採用できる。例えば、入力側と出力側とで、帯域阻止周波数を少しずらすことで、減衰される周波数帯域を拡大できる。
本発明の電圧制御フィルタでは、前記入力端子と前記結合器との間の帯域阻止部の帯域阻止周波数、及び、前記出力端子と前記結合器と間の帯域阻止部の帯域阻止周波数の何れか一方が前記通過中心周波数よりも低い周波数であり、他方が前記通過中心周波数よりも高い周波数である構成を採用できる。この場合、通過帯域よりも低い周波数と、高い周波数との双方に、帯域阻止特性を付加できる。
本発明の電圧制御フィルタでは、前記結合器が、一対のマイクロストリップライン又は誘電体共振器から成る構成を採用できる。誘電性結合器としては、このようなものを用いることができる。
本発明の電圧制御フィルタでは、帯域阻止部は、結合器の結合量を変化させずに特定の帯域阻止周波数の信号を減衰させる。このため、帯域阻止周波数が所望の周波数となるように調整した場合でも、通過帯域近傍の減衰特性を変化させずに、通過中心周波数から一定周波数離れた位置に帯域阻止特性を持たせることができる。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態の電圧制御フィルタの構成を示している。このVCF10は、結合器を構成する一対のマイクロストリップラインMSL1、MSL2と、結合器の結合量を制御するバラクタダイオードX1、X2と、入力端子J1から入力される信号(RF信号)のうちの特定の周波数の信号成分を減衰させる第1の帯域阻止調整部11と、結合器から出力された信号のうちの特定の周波数成分を減衰させる第2の帯域阻止調整部12とを備える。
バラクタダイオードX1、X2は、それぞれ、マイクロストリップラインMSL1、MSL2の一端に、コンデンサC1、C2を介して接続される。マイクロストリップラインMSL1、MSL2の他端は、コンデンサC3、C4に接続される。コンデンサC3の入力端子J1側、及び、コンデンサC4の出力端子J2側には、それぞれコンデンサC5、C6の一端が接続される。コンデンサC5、C6の他端は、グランドに接続されており、これにより、バラクタダイオードX1、X2の容量に応じた結合量で通過中心周波数が定まるVCFが構成される。
制御電圧V1を入力するノードは、コンデンサC8を介してグランドに接続される。バラクタダイオードX1には、マイクロストリップラインMSL7、及び、抵抗R1を介して制御電圧V1が印加され、バラクタダイオードX1の容量は、この制御電圧V1に応じた値に制御される。マイクロストリップラインMSL7の端部の抵抗R1側は、コンデンサC7を介してグランドに接続されており、制御電圧V1の入力側の端部には、マイクロストリップラインMSL8(オープンスタブ)が接続される。
バラクタダイオードX2には、マイクロストリップラインMSL9、及び、抵抗R2を介して制御電圧V1が印加され、バラクタダイオードX2の容量は、この制御電圧V1に応じた値に制御される。マイクロストリップラインMSL9の抵抗R2側の端部は、コンデンサC9を介してグランドに接続されており、制御電圧V1の入力側の端部には、マイクロストリップラインMSL10が接続される。コンデンサC7〜C9、及び、マイクロストリップラインMSL7〜MSL10は、RF信号がバイアス方向(制御電圧V1の印加端子側)に漏れることを防ぐ役割を有する。バラクタダイオードX1とマイクロストリップラインMSL1との間のコンデンサC1、及び、バラクタダイオードX2とマイクロストリップラインMSL2との間のコンデンサC2は、それぞれ制御電圧V1をブロックする役割を有する。
入力端子J1とコンデンサC3、C5の接続ノードとの間には、第1の帯域阻止調整部11及びコンデンサC12が挿入される。第1の帯域阻止調整部11は、バラクタダイオードX3、マイクロストリップラインMSL3、MSL5、コンデンサC10、及び、抵抗R3を有する。バラクタダイオードX3のカソードは、コンデンサC12を介して入力端子J1に接続される。また、バラクタダイオードX3のカソードには、抵抗R5、マイクロストリップラインMSL11を介して制御電圧V2が印加される。マイクロストリップラインMSL11の抵抗R5側の端部はコンデンサC14を介してグランドに接続され、制御電圧V2の入力側の端部は、マイクロストリップラインMSL12が接続される。コンデンサC14、マイクロストリップラインMSL11、12は、RF信号がバイアス方向に漏れることを防ぐ役割を有する。また、入力端子J1と第1の帯域阻止調整部11との間のコンデンサC12は、制御電圧V2をブロックする役割を有する。
第1の帯域阻止調整部11では、バラクタダイオードX3とマイクロストリップラインMSL3とが直列に接続されており、バラクタダイオードX3とマイクロストリップラインMLS3とに対して、コンデンサC10が並列に接続されている。また、マイクロストリップラインMSL3のバラクタダイオードX3と反対側は、抵抗R3を介してグランドに接続されており、バラクタダイオードX3のアノードは、直流的にグランドに接続される。
第1の帯域阻止調整部11は、マイクロストリップラインMSL3によるインダクタンス成分と、コンデンサC10及びバラクタダイオードX3によるキャパシタンス成分とで定まる周波数の信号を減衰し、通過を阻止する。以下では、この周波数を、帯域阻止周波数とも呼ぶ。バラクタダイオードX3のカソードには、マイクロストリップラインMSL5が接続されており、マイクロストリップラインMSL5は、阻止周波数帯域を広げる働きを有する。
出力端子J2とコンデンサC4、C6の接続ノードとの間には、第2の帯域阻止調整部12及びコンデンサC13が挿入される。第2の帯域阻止調整部12は、第1の帯域阻止調整部11と同様な構成であり、バラクタダイオードX4、マイクロストリップラインMSL4、MSL6、コンデンサC11、抵抗R4を有する。バラクタダイオードX4のカソードには、抵抗R6と、RF信号がバイアス方向に漏れることを防ぐマイクロストリップラインMSL13、MSL14及びコンデンサC15とを介して制御電圧V3が印加される。出力端子J2と第2の帯域阻止調整部12との間のコンデンサC13は、制御電圧V3をブロックする役割を有する。
第2の帯域阻止調整部12は、マイクロストリップラインMSL4によるインダクタンス成分と、コンデンサC11及びバラクタダイオードX4によるキャパシタンス成分とで定まる周波数の信号を減衰し、通過を阻止する。バラクタダイオードX4のカソードには、マイクロストリップラインMSL6が接続されており、マイクロストリップラインMSL6は、阻止周波数帯域を広げる働きを有する。
上記構成のVCF10では、まず、制御電圧V1を変化させてバラクタダイオードX1、X2の容量を変化させ、マイクロストリップラインMSL1とMSL2との間の結合量を変化させて、所望の通過帯域が得られるように調整する。次いで、制御電圧V2、V3をそれぞれ変化させ、バラクタダイオードX3、X4の容量を調整して、VCFの通過中心周波数よりも高い周波数帯において、一定周波数離れた周波数帯の帯域阻止特性を調整する。制御電圧V2、V3の調整では、制御電圧V2、V3を、V2=V3とすることができる。或いは、個別に制御して、V2≠V3としてもよい。
図2(a)及び(b)は、それぞれ帯域阻止調整部における周波数と減衰量との関係を示している。同図(a)は、帯域阻止調整部11、12の単体の特性をしている。制御電圧V2、V3を変化させ、バラクタダイオードX3、X4の容量を変化させると、帯域阻止周波数は、グラフ(A)〜(C)に示すように変化する。このように、制御電圧V2、V3を調整することにより、帯域阻止調整部11、12で、所望の周波数成分を減衰させることができる。
図2(b)は、帯域阻止調整部11、12を直列に接続したときの周波数と減衰量との関係を示している。同図では、制御電圧V2≠V3として、第1の帯域阻止調整部11と第2の帯域阻止調整部12とで、帯域阻止周波数を異なる周波数としている。同図に示すように、制御電圧V2とV3とを異なる値に調整し、第1の帯域阻止調整部11と第2の帯域阻止調整部12とで、帯域阻止周波数を少しずらすことで、帯域阻止調整部11、12の組み合わせで減衰させる周波数帯の幅を広げることができる。
VCF10の通過中心周波数が複数ある場合には、そのそれぞれについて、制御電圧V1〜V3の調整を行い、通過中心周波数の変化に合わせて、帯域阻止調整部11、12により、その通過中心周波数と一定周波数離れた所望の周波数帯を減衰させるようにする。或いは、ある通過中心周波数に対して制御電圧V1〜V3の調整を行い、他の中心周波数に対しては、制御電圧V1の変化の比率に基づいて制御電圧V2、V3を増減し、帯域阻止周波数を中心周波数の変化に追随させても良い。
ここで、図3は、比較例に用いるVCFの構成を示している。比較例のVCF50は、図1に示す本実施形態のVCF10の構成から、帯域阻止調整部11、12、及び、帯域阻止調整部11、12に制御電圧V2、V3を印加する部分を除いた構成となっている。このVCF50における減衰量の周波数特性を図4に示す。この例では、VCF50の通過中心周波数は、5GHzに設定されている。
図5(a)及び(b)は、本実施形態のVCF10の減衰量の周波数特性を示している。同図(a)では、VCF10の通過中心周波数は5GHzに設定されており、帯域阻止調整部11、12の帯域阻止周波数は、それぞれ通過中心周波数から+2GHz離れた位置(7GHz)に設定されている。図4に示す比較例のVCF50の減衰特性と、図5(a)に示す本実施形態のVCF10の減衰特性とを比較すると、本実施形態のVCF10では、通過帯域近傍の減衰特性を維持したまま、所望の周波数帯を減衰させることができる。また、制御電圧V2、V3を同じ値に調整し、第1の帯域阻止調整部11と第2の帯域阻止調整部12との帯域阻止周波数を同じ周波数とすることで、所望の周波数位置を、局所的に減衰させることができることがわかる。
図5(b)では、通過中心周波数は同図(a)と同様に5GHzに設定されている。帯域阻止調整部11、12の帯域阻止周波数については、制御電圧V2とV3とを個別に調整し、それぞれ通過中心周波数から+2GHz、3GHz離れた位置(7GHz、8GHz)としている。この場合でも、同図(a)と同様に、通過帯域近傍の減衰特性を維持したまま、所望の周波数帯を減衰させることができる。また、第1の帯域阻止調整部11と第2の帯域阻止調整部12とで、帯域阻止周波数を少しずらすことで、同図(a)に比して、減衰量が大きい周波数帯の幅を広げることができる。
本実施形態では、帯域阻止調整部11、12により、結合器を構成するマイクロストリップラインMSL1、MSL2の結合量を変化させずに、通過中心周波数よりも所定の周波数だけ高い周波数の信号成分を減衰させる。このため、図11に示す構成を有する、結合器の結合量を変化させることで帯域阻止周波数を設定する従来のVCF20の特性(図12)とは異なり、通過帯域近傍の減衰特性には影響を与えずに、特定の周波数帯に減衰特性を付加できる。また、第1の帯域阻止調整部11と第2の帯域阻止調整部12とで、帯域阻止周波数を同じにする場合には、その帯域阻止周波数を局所的に減衰でき、異なる帯域阻止周波数とする場合には、減衰される周波数の幅を広げることができる。
図6は、本発明の第2実施形態のVCFの構成を示している。本実施形態のVCF10aは、図1に示すVCF10とは、帯域阻止調整部11a、12aが、マイクロストリップラインMSL5、MSL6を有しない点で異なる。第1実施形態では、通過中心周波数よりも高い周波数を減衰させたが、本実施形態では、帯域阻止調整部11a、12aにより、通過中心周波数よりも低い周波数を減衰させる。通過中心周波数を定める制御電圧V1の調整の仕方は、第1実施形態と同様である。また、帯域阻止調整部11a、12aの帯域阻止周波数を定める制御電圧V2、V3の調整の仕方は、帯域阻止周波数を通過中心周波数よりも低くする点を除いて、第1実施形態と同様である。
図7は、帯域阻止調整部11a、12aにおける周波数と減衰量との関係を示している。同図は、帯域阻止調整部11a、12aの単体の特性をしている。制御電圧V2、V3を変化させ、バラクタダイオードX3、X4の容量を変化させると、帯域阻止周波数は、グラフ(A)〜(C)に示すように変化する。図2(a)に示す第1実施形態の帯域阻止調整部11、12の単体の特性と比較すると、減衰させる周波数が異なっており、また、図2(a)に比して、帯域阻止周波数付近での周波数の変化に対する減衰量の変化が急峻となっている。これは、本実施形態における帯域阻止調整部11a、12aが、阻止周波数帯域を広げる働きを有するマイクロストリップラインMSL5、MSL6を有していないためである。
図8は、VCF10aの減衰量の周波数特性を示している。この例では、通過中心周波数を5GHzとし、帯域阻止調整部11a、12aの帯域阻止周波数を、通過中心周波数に対して−2.5GHzとしている。図4に示す比較例のVCF50の特性と比較すると、本実施形態のVCF10aでは、第1実施形態と同様に、通過帯域近傍の減衰特性を維持したままで、通過中心周波数5GHzよりも2.5GHz低い周波数を、局所的に減衰できることがわかる。また、本実施形態においても、第1の帯域阻止調整部11aと、第2の帯域阻止調整部12aとで、帯域阻止周波数を異なる周波数とすることで、減衰させる周波数の幅を広げることができる。
図9は、本発明の第3実施形態のVCFの構成を示している。本実施形態のVCF10bでは、通過中心周波数よりも高い周波数と低い周波数との双方を減衰させる。同図では、信号入力側の帯域阻止調整部を、第2実施形態で用いた、低い周波数を減衰させるための帯域阻止調整部11aで構成し、信号出力側の帯域阻止調整部を、第1実施形態で用いた、高い周波数を減衰させるための帯域阻止調整部12で構成している。これらは逆であってもよい。本実施形態では、制御電圧V2、V3を、V2≠V3として制御する。
図10は、VCF10bの減衰量の周波数特性を示している。この例では、通過中心周波数を5GHzとし、第1の帯域阻止調整部11aの帯域阻止周波数を、通過中心周波数よりも2.5GHz低い周波数(2.5GHz)としている。また、第2の帯域阻止調整部12の帯域阻止周波数を、通過中心周波数よりも2GHz高い周波数(7GHz)としている。図4に示す比較例のVCF50の特性と比較すると、本実施形態のVCF10bでは、通過帯域近傍の減衰特性を維持したままで、通過中心周波数5GHzよりも高い周波数と低い周波数との双方の周波数を減衰できることがわかる。
なお、上記実施形態では、2つの帯域阻止調整部を結合器の入力側と出力側とに設けたが、何れか一方とすることもできる。また、第1実施形態における帯域阻止調整部11、12はマイクロストリップラインMSL5、MSL6を有する構成とし、第2実施形態における帯域阻止調整部11a、12aはマイクロストリップラインMSL5、MSL6に相当するマイクロストリップラインを有しない構成としたが、これには限定されない。マイクロストリップラインMSL5、MSL6は、帯域阻止周波数近傍での周波数変化に対する減衰量の変化の程度を決めるものであり、得たい減衰特性に応じて、その使用の有無を選択すればよい。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明のVCFは、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
本発明の第1実施形態の電圧制御フィルタの構成を示す回路図。 (a)及び(b)は、それぞれ帯域阻止調整部における周波数と減衰量との関係を示すグラフ。 比較例に用いるVCFの構成を示す回路図。 比較例のVCFおける減衰量の周波数特性を示すグラフ。 (a)及び(b)は、それぞれ本実施形態のVCF10の減衰量の周波数特性を示すグラフ。 本発明の第2実施形態のVCFの構成を示す回路図。 第2実施形態の帯域阻止調整部における周波数と減衰量との関係を示すグラフ。 第2実施形態のVCFの減衰量の周波数特性を示すグラフ。 本発明の第3実施形態のVCFの構成を示す回路図。 第3実施形態のVCFの減衰量の周波数特性を示すグラフ。 従来の帯域阻止機能を有するVCFの構成を示す回路図。 従来のVCFの減衰量の周波数特性を示すグラフ。
符号の説明
10:電圧制御フィルタ(VCF)
11、12:帯域阻止調整部
C1〜C15:コンデンサ
MSL1〜MSL14:マイクロストリップライン
R1〜R6:抵抗
X1〜X4:バラクタダイオード

Claims (11)

  1. 誘導性結合器を有し、該結合器の結合量を制御することで通過中心周波数が制御される電圧制御フィルタにおいて、
    RF信号の入力端子と前記結合器との間、及び、RF信号の出力端子と前記結合器との間の少なくとも一方に、前記結合器の結合量を変化させずに、特定の帯域阻止周波数の信号を減衰させる帯域阻止部を備えたことを特徴とする電圧制御フィルタ。
  2. 前記帯域阻止周波数が、前記通過中心周波数から所定の周波数離れた周波数である、請求項1に記載の電圧制御フィルタ。
  3. 前記帯域阻止部が、制御電圧に応じて共振周波数が変化する共振器を有する、請求項1又は2に記載の電圧制御フィルタ。
  4. 前記帯域阻止部が、前記制御電圧に応じて容量が変化するバラクタダイオードと、所定のインダクタンス成分を有するインダクタとを含む、請求項3に記載の電圧制御フィルタ。
  5. 前記帯域阻止部が、前記バラクタダイオードのアノードを直流的に接地する抵抗を有する、請求項4に記載の電圧制御フィルタ。
  6. 前記帯域阻止部が、前記バラクタダイオードのカソードに接続されたオープンスタブを有する、請求項4又は5に記載の電圧制御フィルタ。
  7. 前記結合器の入力側及び出力側の双方に前記帯域阻止部を有する、請求項1〜6の何れか一に記載の電圧制御フィルタ。
  8. 前記入力端子と前記結合器との間の帯域阻止部の帯域阻止周波数と、前記出力端子と前記結合器と間の帯域阻止部の帯域阻止周波数とが、同じ周波数である、請求項7に記載の電圧制御フィルタ。
  9. 前記入力端子と前記結合器との間の帯域阻止部の帯域阻止周波数と、前記出力端子と前記結合器と間の帯域阻止部の帯域阻止周波数とが、異なる周波数である、請求項7に記載の電圧制御フィルタ。
  10. 前記入力端子と前記結合器との間の帯域阻止部の帯域阻止周波数、及び、前記出力端子と前記結合器と間の帯域阻止部の帯域阻止周波数の何れか一方が前記通過中心周波数よりも低い周波数であり、他方が前記通過中心周波数よりも高い周波数である、請求項9に記載の電圧制御フィルタ。
  11. 前記結合器が、一対のマイクロストリップライン又は誘電体共振器から成る、請求項1〜10の何れか一に記載の電圧制御フィルタ。
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