JP2007255707A - 等速ジョイント - Google Patents

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和之 市川
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Abstract

【課題】アウタボール溝12bとボール14との接触角θを変化させつつ、アンダーカットを生じないアウタボール溝12bを形成することができる等速ジョイント10を提供する。
【解決手段】アウタレース12の軸心Xからアウタボール溝12bの溝底までの距離は、前記アウタレース12の開口側からアウタレース12の底面側に向かって小さくなるように形成される。さらに、アウタボール溝12bとボール14との接触角θは、アウタレース12の軸方向の所定位置から底面側への所定範囲H(mm)において所定位置から底面側へ向かって大きくなるように変化する。
【選択図】図2

Description

本発明は、等速ジョイントに関するものである。
特許文献1には、等速ジョイントに連結される両シャフト間の角度を大きくするために、等速ジョイントのアウタレースに形成されるアウタボール溝とボールとの接触角を変化させることが開示されている。すなわち、アウタボール溝とボールとの接触角が、アウタボール溝の軸方向の中央部よりその前後部、すなわち開口側及び底面側の方が小さくされている。
特開昭58−214019号公報
ここで、アウタボール溝の中央部からアウタレースの開口側の間に着目した場合には、当該中央部から当該開口側に向かって接触角が小さくされている。そのため、アウタレースの軸心からアウタボール溝の中央部の溝底までの距離が、アウタレースの軸心からアウタボール溝の開口側の溝底までの距離よりも大きくなる。つまり、アウタレースの開口側からアウタレースを見た場合に、アウタボール溝の中央部が開口側よりも径方向に大きな溝形状、いわゆるアンダーカット形状となる。
このようなアンダーカット形状の場合には、アウタボール溝を鍛造加工又は機械加工することが容易ではない。その結果、アウタボール溝の加工コストが増大する。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、アウタボール溝とボールとの接触角を変化させつつ、アンダーカットを生じないアウタボール溝を形成することができる等速ジョイントを提供することを目的とする。
本発明の等速ジョイントは、有底筒状からなり、内周面に軸方向に延在し径方向断面が円弧状からなるアウタボール溝を複数形成するアウタレースと、アウタレースの内側に配置され、アウタボール溝に対向するようにインナボール溝を複数形成するインナレースと、アウタボール溝及びインナボール溝に嵌め入れられる複数のボールとを備える。
そして、アウタレースの軸心からアウタボール溝の溝底までの距離は、アウタレースの開口側からアウタレースの底面側に向かって小さくなるように形成され、アウタボール溝とボールとの接触角は、アウタレースの軸方向の所定位置(開口側)から底面側への所定範囲H(mm)において前記所定位置から底面側へ向かって大きくなるように変化するようにしている。
これにより、アウタボール溝は、アンダーカット形状とならないようにすることができる。従って、アウタボール溝を鍛造加工又は機械加工することが容易にできる。その結果、アウタボール溝の加工コストを低減することができる。
さらに、アウタレースの開口側において、アウタボール溝とボールとの接触角が小さくなっている。これにより、アウタレースの開口側内周面に面取りが形成されている場合であって、等速ジョイントに連結される両シャフト間の屈曲角度を大きくしたときに、アウタボール溝とボールとが接触する状態を維持できる。つまり、屈曲角度を大きくしたとしても、ボールがアウタボール溝から離脱することを防止できる。従って、等速ジョイントに連結される両シャフト間の屈曲角度を十分に大きくすることができる。
また、本発明の等速ジョイントにおいて、さらに、所定範囲H(mm)においてアウタボール溝にボールが接する場合のボールの中心とアウタレースの軸心との離間距離は、所定位置から底面側へ向かって小さくなるように、且つ、直線状に変化するとよい。これにより、より確実に、アウタボール溝が、アンダーカット形状とならないようにすることができる。
また、本発明の等速ジョイントにおいて、さらに、所定範囲H(mm)の両端それぞれにてアウタボール溝にボールが接する場合のボールの中心を結ぶ直線とアウタレースの軸心とのなす角度のうち90度未満の側の角度γ(deg)と、所定範囲H(mm)との関係は、下記の式1の関係を有するようにするとよい。
Figure 2007255707
ここで、本発明の等速ジョイントは、アウタボール溝の筒軸方向の所定位置から底面側への所定範囲H(mm)において、アウタボール溝とボールとの接触角が前記所定位置(開口側)から底面側に向かって大きくなるように変化させている。この場合に、上記式1を満たすようにすることで、アウタレースの軸心からアウタボール溝の溝底までの距離は、前記所定範囲H(mm)の所定位置(開口側)から底面側に向かって小さくなるようにすることができる。つまり、確実に、アウタボール溝は、アンダーカット形状とならないようにすることができる。
さらに、角度γ(deg)と所定範囲H(mm)との関係は、下記の式2の関係を有するようにするとよい。
Figure 2007255707
ここで、角度γ(deg)が同じ値の場合に、式1の所定範囲H(mm)の下限値と式2の所定範囲H(mm)の下限値とを比較すると、式2の所定範囲H(mm)の下限値の方が大きくなる。すなわち、式2を満たす所定範囲H(mm)は、式1を満たす所定範囲H(mm)よりも狭い範囲となる。これにより、さらに確実に、アウタボール溝がアンダーカット形状とならないようにすることができる。
さらに、式2を満たすようにすることで、所定範囲H(mm)の所定位置(開口側)におけるアウタボール溝とボールとの接触角と、所定範囲H(mm)の底面側の端部におけるアウタボール溝とボールとの接触角との差が、例えば、10度以上と十分に大きく確保できる。これにより、等速ジョイントに連結される両シャフト間の屈曲角度を十分に大きくすることができる。
本発明の等速ジョイントによれば、アウタボール溝とボールとの接触角を変化させつつ、アンダーカットを生じないアウタボール溝を形成することができる。
次に、実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。
(1)等速ジョイント10の全体構成
本実施形態の等速ジョイント10の全体構成について、図1を参照して説明する。図1は、等速ジョイント10の軸方向断面図を示す。
図1に示すように、等速ジョイント10は、固定式ボールジョイントからなる。この等速ジョイント10は、インナレース11と、アウタレース12と、ケージ13と、ボール14とから構成される。以下、各構成部品について詳細に説明する。
インナレース11は、円筒状からなり、例えば動力伝達シャフトの中間シャフト30に連結される。このインナレース11の最外周面11aは、軸方向断面で見た場合に一様な円弧、つまり部分球面状に形成されている。さらに、インナレース11の外周面には、径方向断面で見た場合に等間隔に複数の円弧凹状からなるインナボール溝11bがインナレース11の軸方向に平行に形成されている。このインナボール溝11bは、後述するアウタレース12のアウタボール溝12bに対向するように配置形成されている。さらに、インナレース11の内周面には、セレーション11cが形成されている。このインナレース11のセレーション11cは、中間シャフト30のセレーションに噛合する。
アウタレース12は、有底筒状からなり、筒底部の外方が例えばタイヤ側の動力伝達部(図示せず)に連結される。アウタレース12の最内周面12aは、軸方向断面で見た場合に一様な円弧、つまり部分球面状に形成されている。さらに、アウタレース12の内周面には、径方向断面で見た場合に等間隔に複数且つインナボール溝と同数の円弧凹状からなるアウタボール溝12bが、アウタレース12の軸方向(以下、「アウタ軸方向」という)に平行に形成されている。ここで、アウタ軸方向とは、アウタレース12の軸心X(以下、「アウタ軸心」という)に平行な方向を意味する。そして、アウタボール溝12bは、アウタ軸方向の中央付近から底面側に向かって、徐々にアウタ軸心Xに近接するように湾曲している。
さらに、アウタレース12の開口側内周面に面取り12cが形成されている。この面取り12cは、中間シャフト30が、アウタレース12に接触することなく、中間シャフト30がアウタレース12に対して大きく屈曲することができるようにするために、形成されている。すなわち、面取り12cがない場合には、比較的小さな屈曲角度で中間シャフト30がアウタレース12の開口端部(口元部)に干渉し、最大屈曲角度が制限されてしまうが、面取り12cを形成することで、より大きな屈曲角度をとることができるようになっている。
ケージ13は、略円筒状からなり、インナレース11とアウタレース12との間に配置されている。このケージ13の内周面13aは、インナレース11の最外周面11aに対応する部分球面状に形成されている。また、ケージ13の外周面13bは、アウタレース12の最内周面12aに対応する部分球面状に形成されている。すなわち、ケージ13は、インナレース11及びアウタレース12に対して相対的に回転できるようになっている。さらに、ケージ13には、等間隔に複数且つインナボール溝と同数の略矩形孔13cが形成されている。
ボール14は、インナレース11のインナボール溝11b及びアウタレース12のアウタボール溝12bに転動自在で周方向に係合している。さらに、ボール14は、ケージ13の略矩形孔13cに挿通されている。つまり、ボール14により、インナレース11とアウタレース12とが相互に回転伝達される。
(2)アウタボール溝12bの詳細構成
次に、アウタボール溝12bの詳細構成について、図2及び図3を参照して説明する。図2(a)は、アウタボール溝12bのアウタ軸方向の中央よりも開口側部分の模式図を示す。図2(b)は、図2(a)のA−A断面図、すなわち、ボール14の中心がO1に位置する場合において、当該ボール中心O1と、当該ボール14aがアウタボール溝12bに接触する点P11、P12とを通る平面上の断面図を示す。なお、ボール14のボール中心がO1に位置する場合のボールを14aとする。
図2(c)は、図2(a)のB−B断面図、すなわち、ボール14の中心がO2に位置する場合において、ボール中心O2と、当該ボール14bがアウタボール溝12bに接触する点P21、P22とを通る平面上の断面図を示す。なお、ボール14のボール中心がO2に位置する場合のボールを14bとする。
また、以下、図2(a)におけるボール14aの位置をA部位といい、図2(a)におけるボール14bの位置をB部位という。なお、図2(a)〜(c)は、説明を容易化するために、模式図として示しており、図1の大きさとは異なるように図示している。
図3は、図2(a)のC−C断面及びD−D断面のアウタボール溝12bを重ね合わせた状態の図を示す。ここで、図2(a)のC−C断面とは、アウタ軸心Xに直交し、且つ、A−A断面におけるアウタボール溝12bの溝底P13を通る断面である。また、図2(a)のD−D断面とは、アウタ軸心Xに直交し、且つ、B−B断面におけるアウタボール溝12bの溝底P23を通る断面である。
アウタボール溝12bは、上述したように、径方向断面で見た場合に等間隔に円弧凹状からなる。そして、アウタボール溝12bは、ボール14がA部位とB部位(本発明における所定位置)との区間H(mm)(本発明における所定範囲)に位置する範囲において、ボール14との接触角θ(deg)を変化させている。
具体的には、図2(a)に示すように、A部位におけるボール14aのボール中心O1とアウタ軸心Xとの離間距離La1は、B部位におけるボール14bのボール中心O2とアウタ軸心Xとの離間距離La2よりも小さくしている。さらに、区間H(mm)におけるボール14のボール中心Oは、A部位のボール中心O1とB部位のボール中心O2とを結ぶ直線上を移動する。ここで、A部位のボール中心O1とB部位のボール中心O2とを結ぶ直線Yとアウタ軸心Xとのなす角度のうち90度未満の側の角度(以下、「ボール溝テーパ角」という)は、γ(deg)である。
そして、ボール溝テーパ角γ(deg)と区間H(mm)との関係は、下記の式1、好ましくは下記の式2の関係を有するようにしている。なお、式2を満たす区間H(mm)の範囲は、式1を満たす区間H(mm)の範囲に包含される。
Figure 2007255707
さらに、アウタボール溝12bは、図2(b)及び図2(c)に示すように、アウタ軸心Xとアウタボール溝12bの溝中心O(O1、O2)とを結ぶ面Fに対して、対称な円弧形状からなる。
詳細には、図2(b)に示すように、A部位におけるアウタボール溝12b1は、一般的にゴシックアーチや楕円形状であるが、それらの近似形状として、ボール14aのボール中心O1及び点P11を通る直線上の一点を中心とした曲率半径R1の円弧状と、ボール中心O1及び点P12を通る直線上の一点を中心とした曲率半径R1の円弧状とにより形成される形状からなる。そして、A部位のアウタボール溝12b1の溝底がP13となる。
ここで、点P11及び点P12が、A部位におけるアウタボール溝12b1とボール14aとの接触点である。このとき、中心をO1とした場合において、面Fから中心O1と接触点P11とを結ぶ直線までの角度のうち90度未満の側の角度、又は、面Fから中心O1と接触点P12とを結ぶ直線までの角度のうち90度未満の側の角度が、A部位におけるアウタボール溝12b1とボール14aとの接触角θ1(deg)である。
そして、図2(a)に示すように、A部位におけるボール中心O1とアウタボール溝12b1の溝底P13とのアウタ軸心Xに直交する方向の距離は、Lb1となる。以下、A部位におけるボール中心O1とアウタボール溝12b1の溝底P13とのアウタ軸心Xに直交する方向の距離Lb1を、「A部位におけるボール中心O1とアウタボール溝12b1の溝底P13の離間距離Lb1」という。
また、図2(c)に示すように、B部位におけるアウタボール溝12b2は、一般的にゴシックアーチや楕円形状であるが、それらの近似形状として、ボール14bのボール中心O2及び点P21を通る直線上の一点を中心とした曲率半径R2の円弧状と、ボール中心O2及び点P22を通る直線上の一点を中心とした曲率半径R2の円弧状とにより形成される形状からなる。そして、B部位のアウタボール溝12b2の溝底がP23となる。
ここで、点P21及び点P22が、B部位におけるアウタボール溝12b2とボール14bとの接触点である。このとき、中心をO2とした場合において、面Fから中心O2と接触点P21とを結ぶ直線までの角度のうち90度未満の側の角度、又は、面Fから中心O2と接触点P22とを結ぶ直線までの角度のうち90度未満の側の角度が、B部位におけるアウタボール溝12b2のボール14bとの接触角θ2(deg)である。
そして、図2(a)に示すように、B部位におけるボール中心O2とアウタボール溝12b2の溝底P23との距離は、Lb2となる。以下、B部位におけるボール中心O2とアウタボール溝12b2の溝底P23とのアウタ軸心Xに直交する方向の距離Lb2を、「B部位におけるボール中心O2とアウタボール溝12b2の溝底P23の離間距離Lb2」という。
そして、図2(b)(c)に示すように、A部位における接触角θ1(deg)は、B部位における接触角θ2(deg)よりも大きくされている。さらに、B部位からA部位に向かって、接触角θ(deg)は、徐々に大きくなるように変化している。また、A部位における接触角θ1(deg)は、B部位における接触角θ2(deg)よりも大きいので、A部位におけるボール中心O1とアウタボール溝12b1の溝底P13とのアウタ軸心Xに直交する方向の距離Lb1は、B部位におけるボール中心O2とアウタボール溝12b2の溝底P23とのアウタ軸心Xに直交する方向の距離Lb2よりも大きくなる。つまり、C−C断面におけるアウタボール溝12b1の溝深さが、D−D断面におけるアウタボール溝12b2の溝深さよりも深いことになる。さらに、B部位からA部位に向かって、アウタボール溝12bの溝深さは、徐々に深くなるように変化している。
以上のような構成により、図3に示すように、A部位におけるアウタ軸心Xとアウタボール溝12b1の溝底P13との離間距離Lc1は、B部位におけるアウタ軸心Xとアウタボール溝12b2の溝底P23との離間距離Lc2よりも小さくなる。さらに、B部位からA部位に向かって、アウタ軸心Xからアウタボール溝12bの溝底との離間距離Lcは、徐々に小さくなっている。つまり、アウタボール溝12bをアウタレース12の開口側から見た場合に、アウタボール溝12bの開口側であるB部位から底面側であるA部位に向かって、径方向に小さくなっている。従って、アウタボール溝12bは、いわゆるアンダーカット形状ではない。このようにアウタボール溝12bがアンダーカット形状でないため、安価な鍛造加工又は機械加工が可能となるとともに、形状精度も向上する。
(3)アンダーカットの発生解析
次に、上述したように、区間H(mm)において、A部位からB部位に向かって接触角θ(deg)を小さくなるように変化させ、種々の条件値を変化させた場合に、アウタボール溝12bがアンダーカット形状とならない場合についての解析を行った。
下記の表1〜表3に示す各条件について、一様乱数を発生させて解析を行った。表1〜表3において、ボール直径とは、ボール14の直径である。A部位のボール溝曲率比とは、ボール14の半径に対するA部位のアウタボール溝12b1の曲率半径R1の比である。B部位のボール溝曲率比とは、ボール14の半径に対するB部位のアウタボール溝12b2の曲率半径R2の比である。
Figure 2007255707
Figure 2007255707
Figure 2007255707
そして、上記解析結果のうち、区間H(mm)を分割した全ての微小区間ΔHにおいて、微小区間ΔHのアウタレース12の底面側におけるアウタ軸心Xからアウタボール溝12bの溝底までの離間距離Lcが、微小区間ΔHのアウタレース12の開口側のアウタ軸心Xからアウタボール溝12bの溝底までの離間距離Lcが大きい場合に、アンダーカットではないと判断した。つまり、何れかの微小区間ΔHの一つでも、微小区間ΔHのアウタレース12の底面側の離間距離Lcが、微小区間ΔHのアウタレース12の開口側の離間距離Lcよりも小さいものが存在すると、その条件ではアンダーカットが生じると判断した。
この結果を図4に示す。図4は、上記解析結果について、横軸をボール溝テーパ角γ(deg)とし、縦軸を区間H(mm)とした。ここで、図4において、当該解析結果のうちアウタボール溝12bがアンダーカット形状とならない場合について、それぞれのボール溝テーパ角γ(deg)における区間H(mm)の最小値を菱形印にて示す。つまり、解析結果のうち、アウタボール溝12bがアンダーカット形状とならないのは、図4の菱形印にて示す挙動の上方側の領域である。
さらに、図4には、上記解析のうち、アンダーカット形状とならないものであって、特にA部位の接触角θ1(deg)とB部位の接触角θ2(deg)との差が10(deg)となる場合について白丸印にて示す。つまり、白丸印より上方側の領域であれば、アンダーカット形状とならず、さらに、A部位の接触角θ1(deg)とB部位の接触角θ2(deg)との差が10(deg)以上となる。
また、図4には、上述した式1における区間H(mm)の下限値、及び、式2における区間H(mm)の下限値を示す。つまり、図4に示すように、式1を満たすようにすることで、接触角θ(deg)を変化させつつ、アウタボール溝12bがアンダーカット形状とならないようにすることができる。さらに、式2を満たすようにすることで、より確実に、アウタボール溝12bがアンダーカット形状とならないようにすることができる。
ここで、アウタレース12の開口側において、アウタボール溝12bとボール14との接触角θが小さくなっている。これにより、アウタレース12の開口側内周面に面取り12cが形成されている場合であっても、等速ジョイント10に連結される両シャフト間の屈曲角度を大きくしたときに、アウタボール溝12bとボール14とが接触する状態を維持できる。つまり、屈曲角度を大きくしたとしても、ボール14がアウタボール溝12bから離脱することを防止できる。従って、等速ジョイント10に連結される両シャフト間の屈曲角度を大きくすることができる。
さらに、図4に示すように、式2における区間H(mm)の下限値は、白丸印に近似している。つまり、式2を満たすようにすることで、所定範囲H(mm)の所定位置(開口側)におけるアウタボール溝とボールとの接触角と、所定範囲H(mm)の底面側の端部におけるアウタボール溝とボールとの接触角との差が、例えば、10(deg)以上と十分に大きく確保できる。これにより、等速ジョイント10に連結される両シャフト間の屈曲角度を十分に大きくすることができる。
等速ジョイント10の軸方向断面図を示す。 アウタボール溝12bについて説明する図である。 アウタボール溝12bについて説明する図である。 解析結果を示す。
符号の説明
10:等速ジョイント、 11:インナレース、
12:アウタレース、 12b:アウタボール溝、 12c:面取り、
13:ケージ、
14:ボール、 14a:A部位におけるボール、 14b:B部位におけるボール、
X:アウタ軸心

Claims (4)

  1. 有底筒状からなり、内周面に軸方向に延在し径方向断面が円弧状からなるアウタボール溝を複数形成するアウタレースと、
    前記アウタレースの内側に配置され、前記アウタボール溝に対向するようにインナボール溝を複数形成するインナレースと、
    前記アウタボール溝及び前記インナボール溝に嵌め入れられる複数のボールと、
    を備える等速ジョイントであって、
    前記アウタレースの軸心から前記アウタボール溝の溝底までの距離は、前記アウタレースの開口側から前記アウタレースの底面側に向かって小さくなるように形成され、
    前記アウタボール溝と前記ボールとの接触角は、前記アウタレースの前記軸方向の所定位置から底面側への所定範囲H(mm)において前記所定位置から前記底面側へ向かって大きくなるように変化することを特徴とする等速ジョイント。
  2. 前記所定範囲H(mm)において前記アウタボール溝に前記ボールが接する場合の前記ボールの中心と前記アウタレースの軸心との離間距離は、前記所定位置から前記底面側へ向かって小さくなるように、且つ、直線状に変化する請求項1記載の等速ジョイント。
  3. 前記所定範囲H(mm)の両端それぞれにて前記アウタボール溝に前記ボールが接する場合の前記ボールの中心を結ぶ直線と前記アウタレースの軸心とのなす角度のうち90度未満の側の角度γ(deg)と、前記所定範囲H(mm)との関係は、下記の式1の関係を有する請求項1または2に記載の等速ジョイント。
    Figure 2007255707
  4. 前記角度γ(deg)と前記所定範囲H(mm)との関係は、下記の式2の関係を有する請求項3記載の等速ジョイント。
    Figure 2007255707
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