JP2007255529A - 動力伝達チェーンの設計方法、動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 - Google Patents

動力伝達チェーンの設計方法、動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 リンクの設計変更の際、少ない工数で応力レベルの最適化を可能とする動力伝達チェーンの設計方法、動力伝達チェーンおよび動力伝達装置を提供する。
【解決手段】 動力伝達チェーン1は、ピッチが異なる2種類のリンク11,31を含んでいる。ピッチ長が異なるリンク11,31について、前後挿通部12,13,32,33形状が同一形状で、前側柱部16,36および後側柱部17,37の前後長さが同じであり、中間柱部18,38の前後長さがピッチ変更量に応じて変更されている。
【選択図】 図4

Description

この発明は、動力伝達チェーン、さらに詳しくは、自動車等の車両用無段変速機(CVT)に好適な動力伝達チェーンの設計方法、動力伝達チェーンおよび動力伝達装置に関する。
自動車用無段変速機として、図7に示すように、固定シーブ(2a)および可動シーブ(2b)を有しエンジン側に設けられたドライブプーリ(2)と、固定シーブ(3b)および可動シーブ(3a)を有し駆動輪側に設けられたドリブンプーリ(3)と、両者間に架け渡された無端状動力伝達チェーン(1)とからなり、油圧アクチュエータによって可動シーブ(2b)(3a)を固定シーブ(2a)(3b)に対して接近・離隔させることにより、油圧でチェーン(1)をクランプし、このクランプ力によりプーリ(2)(3)とチェーン(1)との間に接触荷重を生じさせ、この接触部の摩擦力によりトルクを伝達するものが知られている。
動力伝達チェーンとしては、特許文献1に、ピンが挿通される前後挿通部を有する複数のリンクと、一のリンクの前挿通部と他のリンクの後挿通部とが対応するようにチェーン幅方向に並ぶリンク同士を長さ方向に屈曲可能に連結する複数の第1ピンおよび複数の第2ピンとを備え、一のリンクの前挿通部に固定されかつ他のリンクの後挿通部に移動可能に嵌め入れられた第1ピンと一のリンクの前挿通部に移動可能に嵌め入れられかつ他のリンクの後挿通部に固定された第2ピンとが相対的に転がり接触移動することにより、リンク同士の長さ方向の屈曲が可能とされているものが提案されている。
特開2004−301257号公報
この種の動力伝達チェーンでは、リンクの耐久性が特に重要なものとなっており、その耐久性のより一層の向上が課題となっている。そこで、リンクについては、多数の形状を検討することにより、その応力レベルの最適化が図られている。しかしながら、リンクを設計変更する都度、多数の形状についてFEM解析を行うことには、多大な工数がかかるという問題がある。
この発明の目的は、リンクの設計変更の際、少ない工数で応力レベルの最適化を可能とする動力伝達チェーンの設計方法、動力伝達チェーンおよび動力伝達装置を提供することにある。
この発明による動力伝達チェーンの設計方法は、ピンが挿通される前後挿通部を有する複数のリンクと、一のリンクの前挿通部と他のリンクの後挿通部とが対応するようにチェーン幅方向に並ぶリンク同士を連結する前後に並ぶ複数の第1ピンおよび複数の第2ピンとを備え、第1ピンと第2ピンとが相対的に転がり接触移動することにより、リンク同士の長さ方向の屈曲が可能とされている動力伝達チェーンの設計方法であって、リンクの基本輪郭形状および前後挿通部形状を決定する基本形状決定ステップと、リンクの前後挿通部を形成している前側柱部、後側柱部および中間柱部の各前後長さを調整する前後長さ調整ステップと、ピッチが異なるリンクを得るピッチ変更ステップとを備えており、基本形状決定ステップおよび前後長さ調整ステップは、FEM解析により行い、ピッチ変更ステップにおいては、FEM解析を行わないで、前後挿通部形状を同一形状とし、各柱部の前後長さをピッチ変更量に応じて調整することを特徴とするものである。
各リンクは、前挿通部の前面形状を形成するための前側柱部と、後挿通部の後面形状を形成するための後側柱部と、前挿通部と後挿通部との間の中間柱部と、前側柱部と中間柱部の上下部同士を連結する前側上下連結部と、後側柱部と中間柱部の上下部同士を連結する後側上下連結部とからなるものとされる。
ピッチは、前挿通部内における第1ピンと第2ピンとの接触位置から後挿通部内における第1ピンと第2ピンとの接触位置までの距離であり、ピッチ長=中間柱部の前後長さ+中間柱部の前面から前側ピン接触位置までの距離+中間柱部の後面から後側ピン接触位置までの距離となる。
基本形状決定ステップにおいて、リンクの基本輪郭形状および前後挿通部形状が設定され、前後長さ調整ステップにおいて、リンクの前側柱部前後長さ、後側柱部前後長さおよび中間柱部前後長さが決定される。これらのステップはFEM解析を使用して行われ、FEM解析時には、応力レベルが適正かどうかが判定される。こうして、基本形状決定ステップおよび前後長さ調整ステップを経ることにより、リンクの基本輪郭形状、前後挿通部形状、前側柱部前後長さ、後側柱部前後長さおよび中間柱部前後長さが決定され、基準となるリンク形状が決定する。異なるピッチ長のリンクが必要な場合には、基本形状決定ステップに戻るのではなく、ピッチ変更ステップにおいて、前後挿通部形状を同一形状とし、各柱部の前後長さをピッチ変更量に応じて調整するだけとされ、これにより、多くの時間が必要なFEM解析の工数を省略して、ピッチが異なるリンクが得られる。
ピッチ変更ステップにおいては、さらに、前側柱部および後側柱部の前後長さを同じとし、中間柱部前後長さをピッチ変更量に応じて変更することが好ましい。
耐久性に与える影響が大きい応力レベルに関し、前後長さについては、前側柱部前後長さおよび後側柱部前後長さの寄与が大きいのに対し、中間柱部の寄与は小さいものとなっている。したがって、リンク強度を左右する主たる寸法であるピン挿通部形状、前側柱部前後長さおよび後側柱部前後長さを同じとすることにより、設計要素の統一・標準化が図られ、基準リンクに対して中間柱部の長さだけを変更することにより、基準リンクで行った応力計算結果を生かすことができ、適正な応力レベルにあるピッチ違いのリンクを得ることができる。
この設計方法は、同じ動力伝達チェーンで使用されるピッチ違いのリンクを設計する際にはもちろんのこと、既に所定サイズの動力伝達チェーンが設計完了状態にあり、これよりサイズが大きいかまたは小さい動力伝達チェーンを得る場合にも適用することができる。
この発明による動力伝達チェーンは、ピンが挿通される前後挿通部を有する複数のリンクと、一のリンクの前挿通部と他のリンクの後挿通部とが対応するようにチェーン幅方向に並ぶリンク同士を連結する前後に並ぶ複数の第1ピンおよび複数の第2ピンとを備え、第1ピンと第2ピンとが相対的に転がり接触移動することにより、リンク同士の長さ方向の屈曲が可能とされている動力伝達チェーンにおいて、複数のリンクは、ピッチが異なる少なくとも2種類のリンクを含んでおり、各リンクは、前挿通部の前面形状を形成するための前側柱部と、後挿通部の後面形状を形成するための後側柱部と、前挿通部と後挿通部との間の中間柱部と、前側柱部と中間柱部の上下部同士を連結する前側上下連結部と、後側柱部と中間柱部の上下部同士を連結する後側上下連結部とを有し、各上連結部の上面および各下連結部の下面に、それぞれ最小曲率部が設けられており、ピッチ長が異なるリンクについて、中間柱部および最小曲率部の各前後長さのみが変更されるとともに、中間柱部の上面および下面の形状が同一とされていることを特徴とするものである。
最小曲率部は、リンクの輪郭形状を形成する曲線のうち最小の曲率で描かれている部分を意味し、曲率が0である直線であってもよい。
この動力伝達チェーンによると、ピッチ違いのリンクを備えたチェーンを容易に得ることができる。上記設計方法を用いて、リンクの中間柱部前後長さをピッチ変更量に応じて変更するに際しては、前後柱部を同一形状とするとともに、中間柱部の上面および下面の形状を前後長さが長くなることに応じて変更してももちろんよいが、柱部同士を連結する連結部の上面および下面に最小曲率部が設けられているリンクを使用することにより、ピッチ長が異なるリンクについて、中間柱部および最小曲率部の各前後長さのみが変更され、中間柱部の上面および下面の形状を同一のものにすることができる。このようにすることで、基準リンクにおいてなされた応力計算結果を用いてピッチ長違いのリンクの応力レベルを推定する精度が向上する。
ピッチが異なる2種類以上のリンクは、ランダムに配列され、これにより、ピンとプーリ間の衝撃力のエネルギーの集中を避けることができ、騒音を大幅に低減することができる。
この発明による動力伝達チェーンでは、第1ピンおよび第2ピンの少なくとも一方がプーリと接触して摩擦力により動力伝達する。いずれか一方のピンがプーリと接触するチェーンにおいては、第1ピンおよび第2ピンのうちのいずれか一方は、このチェーンが無段変速機で使用される際にプーリに接触する方のピン(以下では、「第1ピン」または「ピン」と称す)とされ、他方は、プーリに接触しない方のピン(インターピースまたはストリップと称されており、以下では、「第2ピン」または「インターピース」と称す)とされる。
第1ピンおよび第2ピンは、いずれか一方がリンクの前後挿通部に圧入固定されていることがあり、両方とも固定されていない(移動可能に嵌め入れられている)ことがある。また、第1ピンおよび第2ピンは、異なる断面形状であってもよく、同一形状であってもよい。さらにまた、第1ピンおよび第2ピンは、同じ長さとされて、両方ともがシーブ面に接触させられてもよく、異なる長さとされて、長い方だけがシーブ面に接触させられるようにしてもよい。
好ましくは、第1ピンおよび第2ピンのうちの一方は、一のリンクの前挿通部に固定されかつ他のリンクの後挿通部に移動可能に嵌め入れられ、同他方は、一のリンクの前挿通部に移動可能に嵌め入れられかつ他のリンクの後挿通部に固定されているものとされる。
なお、この明細書において、リンクの長さ方向の一端側を前、同他端側を後とし、また、リンクを側面から見た場合(図3)の上下を上下としているが、この前後および上下は便宜的なものであり、リンクの長さ方向が前後方向と常に一致することを意味するものではない。
リンクは、例えば、ばね鋼や炭素工具鋼製とされる。リンクの材質は、ばね鋼や炭素工具鋼に限られるものではなく、軸受鋼などの他の鋼でももちろんよい。ピンの材質としては、軸受鋼などの適宜な鋼が使用される。
ピンが前後挿通部に固定される場合の前後挿通部へのピンの固定は、例えば、機械的圧入による挿通部内縁とピン外周面との嵌合固定とされるが、これに代えて、焼き嵌めまたは冷やし嵌めによってもよい。1つの挿通部には、第1ピンと第2ピンとがチェーンの長さ方向に対向するように嵌め合わせられ、このうちのいずれか一方がリンクの挿通部の周面に嵌合固定される。嵌合固定は、挿通部の長さ方向に対して直交する部分の縁(上下の縁)で行われるのが好ましい。この嵌合固定の後、予張力付与工程において予張力が付与されることにより、リンクのピン固定部(ピン圧入部)に均等にかつ適正な残留圧縮応力が高精度に付与される。
第1ピンおよび第2ピンは、例えば、いずれか一方の接触面が平坦面とされ、他方の接触面が相対的に転がり接触移動可能なインボリュート曲面に形成される。また、第1ピンおよび第2ピンは、それぞれの接触面が所要の曲面に形成されるようにしてもよい。
上記の動力伝達チェーンは、いずれか一方のピン(インターピース)が他方のピン(ピン)よりも短くされ、長い方のピンの端面が無段変速機のプーリの円錐状シーブ面に接触し、この接触による摩擦力により動力を伝達するものであることが好ましい。各プーリは、円錐状のシーブ面を有する固定シーブと、固定シーブのシーブ面に対向する円錐状のシーブ面を有する可動シーブとからなり、両シーブのシーブ面間にチェーンを挟持し、可動シーブを油圧アクチュエータによって移動させることにより、無段変速機のシーブ面間距離したがってチェーンの巻き掛け半径が変化し、スムーズな動きで無段の変速を行うことができる。
この発明による動力伝達装置は、円錐面状のシーブ面を有する第1のプーリと、円錐面状のシーブ面を有する第2のプーリと、これら第1および第2のプーリに掛け渡される動力伝達チェーンとを備えたもので、動力伝達チェーンが上記いずれかに記載のものとされる。
この動力伝達装置は、自動車の無段変速機としての使用に好適なものとなる。
この発明の動力伝達チェーンの設計方法によると、基本形状決定ステップおよび前後長さ調整ステップを経ることにより、リンクの基本輪郭形状、前後挿通部形状、前側柱部前後長さ、後側柱部前後長さおよび中間柱部前後長さが決定されると、その後は、中間柱部前後長さのみを変更するだけで、ピッチ長違いの適正なリンクを得ることができる。したがって、ピッチ長違いのリンクを得るための解析工数を大幅に削減することができ、コストダウンに寄与することができる。
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。以下の説明において、上下は、図3の上下をいうものとする。
図1および図2は、この発明による設計方法が対象としている動力伝達チェーンの一部を示しており、動力伝達チェーン(1)は、チェーン長さ方向に所定間隔をおいて設けられた前後挿通部(12)(13)を有する複数のリンク(11)と、チェーン幅方向に並ぶリンク(11)同士を長さ方向に屈曲可能に連結する複数のピン(第1ピン)(14)およびインターピース(第2ピン)(15)とを備えている。
図3に示すように、前挿通部(12)は、ピン(14)(実線で示す)が固定されるピン固定部(12a)およびインターピース(15)(二点鎖線で示す)が移動可能に嵌め合わせられるインターピース可動部(12b)からなり、後挿通部(13)は、ピン(14)(二点鎖線で示す)が移動可能に嵌め合わせられるピン可動部(13a)およびインターピース(15)(実線で示す)が固定されるインターピース固定部(13b)からなる。そして、チェーン幅方向に並ぶリンク(11)を連結するに際しては、一のリンク(11)の前挿通部(12)と他のリンク(11)の後挿通部(13)とが対応するようにリンク(11)同士が重ねられ、ピン(14)が一のリンク(11)の前挿通部(12)に固定されかつ他のリンク(11)の後挿通部(13)に移動可能に嵌め合わせられ、インターピース(15)が一のリンク(11)の前挿通部(12)に移動可能に嵌め合わせられかつ他のリンク(11)の後挿通部(13)に固定される。そして、このピン(14)とインターピース(15)とが相対的に転がり接触移動することにより、リンク(11)同士の長さ方向(前後方向)の屈曲が可能とされる。
ピン(14)を基準としたピン(14)とインターピース(15)との接触位置の軌跡は、円のインボリュートとされており、この実施形態では、ピン(14)の接触面(14a)が、断面において半径Rb、中心Mの基礎円を持つインボリュート形状を有し、インターピース(15)の接触面(15a)が平坦面(断面形状が直線)とされている。これにより、各リンク(11)がチェーン(1)の直線部分から円弧部分へまたは円弧部分から直線部分へと移行する際、前挿通部(12)においては、インターピース(15)がインターピース可動部(12b)内を固定状態のピン(14)に対してその接触面(15a)がピン(14)の接触面(14a)に転がり接触(若干のすべり接触を含む)しながら移動し、後挿通部(13)においては、ピン(14)が固定状態のインターピース(15)に対してその接触面(14a)がインターピース(15)の接触面(15a)に転がり接触(若干のすべり接触を含む)しながらピン可動部(13a)内を移動する。なお、図3において、符号AおよびBで示す箇所は、チェーン(1)の直線部分においてピン(14)とインターピース(15)とが接触している線(断面では点)であり、AB間の距離がピッチである。
図4(a)に詳しく示すように、各リンク(11)は、前挿通部(12)の前面形状を形成するための前側柱部(16)と、後挿通部(13)の後面形状を形成するための後側柱部(17)と、前挿通部(12)と後挿通部(13)との間の中間柱部(18)と、前側柱部(16)と中間柱部(18)との上下部同士を連結する前側上連結部(19)および前側下連結部(20)と、後側柱部(17)と中間柱部(18)との上下部同士を連結する後側上連結部(21)および後側下連結部(22)とを有している。各上連結部(19)(21)の上面および各下連結部(20)(22)の下面には、それぞれ直線またはほぼ直線とされた最小曲率部(19a)(21a)(20a)(22a)が設けられている。また、中間柱部(18)の上下面(18a)(18b)は、最小曲率部(19a)(21a)(20a)(22a)よりも大きい曲率の(曲率変形としては小さい)曲線状とされている。
図4(b)には、同図(a)に示した基準リンク(11)に比べてピッチ長が相対的に長いリンク(31)が示されている。この相対的に長いリンク(31)は、基準リンク(11)と同様に、前挿通部(32)の前面形状を形成するための前側柱部(36)と、後挿通部(33)の後面形状を形成するための後側柱部(37)と、前挿通部(32)と後挿通部(33)との間の中間柱部(38)と、前側柱部(36)と中間柱部(38)との上下部同士を連結する前側上連結部(39)および前側下連結部(40)と、後側柱部(37)と中間柱部(38)との上下部同士を連結する後側上連結部(41)および後側下連結部(42)と、各上連結部(19)(21)の上面および各下連結部(20)(22)の下面にそれぞれ設けられた直線またはほぼ直線の最小曲率部(39a)(41a)(40a)(42a)とを有している。そして、その寸法については、中間柱部(38)の長さC’がピッチ長の増加分ΔPだけ基準リンク(11)の中間柱部(18)の長さCより長くされており(C’=C+ΔP)、前側柱部(36)および後側柱部(37)が基準リンク(11)の前側柱部(16)および後側柱部(17)と同じ長さとされている。また、各連結部(39)(41)(40)(42)における最小曲率部(39a)(41a)(40a)(42a)の長さL’がピッチ長の増加分の半分ΔP/2だけ基準リンク(11)の各連結部(19)(20)(21)(22)の最小曲率部(19a)(21a)(20a)(22a)の長さLより長くされており(L’=L+ΔP/2)、中間柱部(38)の上面(38a)および下面(38b)の曲線部の形状が基準リンク(11)と同一とされている。
上記のリンクの形状は、図5に示すように、次のような順序で設計されている。
まず、リンク(11)の基本輪郭形状および前後挿通部(12)(13)形状を設定する(S1)。さらに、リンク(11)の各柱部(16)(17)(18)の長さを1または複数種類設定する(S2)。次いで、FEM(有限要素法)を使用してこのリンク(11)の応力計算を実施し(S3)、応力レベルが要求レベルに適合しているかどうかを判定する(S4)。動力伝達チェーン(1)の耐久評価試験においては、リンク(11)に繰り返し応力(応力振幅)が作用することによってリンク(11)の寿命が低下することが分かっており、予めFEM解析を実施して応力レベルを確認しておくことにより、耐久性の目途付けを行うことができる。ステップS4において、応力レベルが適正でないと判定された場合には、ステップS1に戻って、ステップS4までが繰り返される。応力レベルが適正である場合には、このリンク(11)が基準リンクとされる(S5)。
基準リンク(11)に対してピッチ長が異なるリンク(31)が必要な場合、ステップS1に戻って、基本形状から設定し直すのではなく、ピッチ違い設計ステップ(S6)に移行する。この際には、リンク(31)の基本輪郭形状および挿通部(32)(33)形状を基準リンク(11)と同じとするだけでなく、前側柱部(36)前後長さおよび後側柱部(37)前後長さも同じとし、中間柱部(38)の前後長さだけを変更する(S7)。耐久性に与える影響が大きい応力レベルに関し、前後長さについては、前側柱部(16)(36)前後長さおよび後側柱部(17)(37)前後長さの寄与が大きいのに対し、中間柱部(18)(38)の寄与は小さいものとなっている。したがって、リンク(11)(31)強度を左右する主たる寸法である挿通部(12)(13)(32)(33)形状、前側柱部(16)(36)前後長さおよび後側柱部(17)(37)前後長さを固定して設計要素の統一・標準化を図り、基準リンク(11)に対して中間柱部(18)の前後長さだけを変更することにより、基準リンク(11)で行った応力計算結果を生かすことができる。これにより、時間を多く必要とするFEM解析をさらに行うこと無しに、ピッチ違いのリンク(31)を得ることができる(S8)。ピッチ違いのリンクをさらに設計する場合には、ステップS6に戻ればよい。
この動力伝達チェーン(1)は、必要な数のピン(14)およびインターピース(15)を台上に垂直状に保持した後、リンク(11)を1つずつあるいは数枚まとめて圧入していくことにより製造される。この圧入は、ピン(14)およびインターピース(15)の上下縁部とピン固定部(12a)およびインターピース固定部(13b)の上下縁部との間において行われており、その圧入代は0.005mm〜0.1mmとされている。こうして、組み立てられたチェーン(1)には張力が付与(予張)される。
上記の動力伝達チェーンは、図7に示したCVTで使用されるが、この際、図6に示すように、インターピース(15)がピン(14)よりも短くされ、インターピース(15)の端面がプーリ(2)の固定シーブ(2a)および可動シーブ(2b)の各円錐状シーブ面(2c)(2d)に接触しない状態で、ピン(14)の端面がプーリ(2)の円錐状シーブ面(2c)(2d)に接触し、この接触による摩擦力により動力が伝達される。ピン(14)とインターピース(15)とは、上述のように、転がり接触移動するので、プーリ(2)のシーブ面(2c)(2d)に対してピン(14)はほとんど回転しないことになり、摩擦損失が低減し、高い動力伝達率が確保される。
また、上記のチェーン式動力伝達チェーン(1)では、ピンの上下移動の繰り返しにより、多角形振動が生じ、これが騒音の要因となるが、ピン(14)とインターピース(15)とが相対的に転がり接触移動しかつピン(14)を基準としたピン(14)とインターピース(15)との接触位置の軌跡が円のインボリュートとされていることにより、ピンおよびインターピースの接触面がともに円弧面である場合などと比べて、振動を小さくすることができ、騒音を低減することができる。そして、ピッチが異なる2種類以上のリンク(11)(31)をランダムに配列することにより、ピン(14)およびインターピース(15)とプーリ(2)(3)間の衝撃力のエネルギーの集中を避けることができ、騒音を大幅に低減することができる。
なお、図5に示した設計方法は、第1ピンおよび第2ピンの長さが略等しく、両方ともがシーブ面に接触するチェーンにも適用することができ、さらに、第1ピンおよび第2ピンの両方が前後挿通部に対し移動可能に嵌め入れられるチェーンやその他各種タイプの動力伝達チェーンに適用可能である。
図1は、この発明による動力伝達チェーンの1実施形態の一部を示す平面図である。 図2は、同拡大斜視図である。 図3は、リンクの拡大側面図である。 図4は、ピッチ長が異なる2種類のリンクを比較するための図である。 図5は、この発明による動力伝達チェーンの設計方法の特徴部分を示すフローチャートである。 図6は、動力伝達チェーンがプーリに取り付けられた状態を示す正面図である。 図7は、無段変速機を示す斜視図である。
符号の説明
(1) 動力伝達チェーン
(2)(3) プーリ
(2a)(3b) 固定シーブ
(2b)(3a) 可動シーブ
(2c)(2d) 円錐状シーブ面
(11)(31) リンク
(12)(32) 前挿通部
(13)(33) 後挿通部
(14) ピン(第1ピン)
(15) インターピース(第2ピン)
(16)(36) 前側柱部
(17)(37) 後側柱部
(18)(38) 中間柱部
(19)(39) 前側上連結部
(20)(40) 前側下連結部
(21)(41) 後側上連結部
(22)(42) 後側下連結部
(19a)(20a)(21a)(22a)(39a)(40a)(41a)(42a) 最小曲率部

Claims (5)

  1. ピンが挿通される前後挿通部を有する複数のリンクと、一のリンクの前挿通部と他のリンクの後挿通部とが対応するようにチェーン幅方向に並ぶリンク同士を連結する前後に並ぶ複数の第1ピンおよび複数の第2ピンとを備え、第1ピンと第2ピンとが相対的に転がり接触移動することにより、リンク同士の長さ方向の屈曲が可能とされている動力伝達チェーンの設計方法であって、
    リンクの基本輪郭形状および前後挿通部形状を決定する基本形状決定ステップと、リンクの前後挿通部を形成している前側柱部、後側柱部および中間柱部の各前後長さを調整する前後長さ調整ステップと、ピッチが異なるリンクを得るピッチ変更ステップとを備えており、基本形状決定ステップおよび前後長さ調整ステップは、FEM解析により行い、ピッチ変更ステップにおいては、FEM解析を行わないで、前後挿通部形状を同一形状とし、各柱部の前後長さをピッチ変更量に応じて調整することを特徴とする動力伝達チェーンの設計方法。
  2. ピッチ変更ステップにおいては、さらに、前側柱部および後側柱部の前後長さを同じとし、中間柱部の前後長さをピッチ変更量に応じて変更することを特徴とする請求項1の動力伝達チェーンの設計方法。
  3. 請求項1または2の設計方法により設計された動力伝達チェーン。
  4. ピンが挿通される前後挿通部を有する複数のリンクと、一のリンクの前挿通部と他のリンクの後挿通部とが対応するようにチェーン幅方向に並ぶリンク同士を連結する前後に並ぶ複数の第1ピンおよび複数の第2ピンとを備え、第1ピンと第2ピンとが相対的に転がり接触移動することにより、リンク同士の長さ方向の屈曲が可能とされている動力伝達チェーンにおいて、
    複数のリンクは、ピッチが異なる少なくとも2種類のリンクを含んでおり、各リンクは、前挿通部の前面形状を形成するための前側柱部と、後挿通部の後面形状を形成するための後側柱部と、前挿通部と後挿通部との間の中間柱部と、前側柱部と中間柱部の上下部同士を連結する前側上下連結部と、後側柱部と中間柱部の上下部同士を連結する後側上下連結部とを有し、各上連結部の上面および各下連結部の下面に、それぞれ最小曲率部が設けられており、ピッチ長が異なるリンクについて、中間柱部および最小曲率部の各前後長さのみが変更されるとともに、中間柱部の上面および下面の形状が同一とされていることを特徴とする動力伝達チェーン。
  5. 円錐面状のシーブ面を有する第1のプーリと、円錐面状のシーブ面を有する第2のプーリと、これら第1および第2のプーリに掛け渡される動力伝達チェーンとを備え、動力伝達チェーンが請求項2から4までのいずれかのものである動力伝達装置。
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