JP2007255312A - 摺動部材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板上に樹脂塗料を塗布して被覆層を形成する構成とした摺動部材において、被覆層に潤滑油を溜めることが可能な凹部を形成しながらも、被覆層の強度を向上できて、耐摩耗性及び非焼付性の向上を図る。
【解決手段】基材1上に、樹脂と溶剤と固体潤滑剤を混合した樹脂塗料を塗布し、乾燥後、プレス加工により複数の凹部3を形成し、焼成することにより、複数の凹部3を有する被覆層2を形成する。凹部3に潤滑油を溜めることができるようになり、摺動時に潤滑面に潤滑油を供給し易くでき、非焼付性を向上できる。凹部3は加圧することによって形成しているので、被覆層2における凹部3の周辺部は、その加圧により圧縮されて密度が高くなり、強度を向上できる。
【選択図】図1
【解決手段】基材1上に、樹脂と溶剤と固体潤滑剤を混合した樹脂塗料を塗布し、乾燥後、プレス加工により複数の凹部3を形成し、焼成することにより、複数の凹部3を有する被覆層2を形成する。凹部3に潤滑油を溜めることができるようになり、摺動時に潤滑面に潤滑油を供給し易くでき、非焼付性を向上できる。凹部3は加圧することによって形成しているので、被覆層2における凹部3の周辺部は、その加圧により圧縮されて密度が高くなり、強度を向上できる。
【選択図】図1
Description
本発明は、基材上に樹脂塗料を塗布して被覆層を形成する構成とした摺動部材及びその製造方法に関する。
例えば自動車の空調装置に用いられる斜板式コンプレッサは、回転する斜板に追従してシリンダ内を往復動するピストンによってシリンダ内の冷媒を圧縮するものであり、斜板とピストンとの間に介在するシューに対して、斜板が摺動するようになっている。そして、その斜板は、高速で回転するとともに、相手材であるシューから高い圧力を受けることになる。
この種の斜板においては、非焼付性の向上などを目的として、基材上に、合成樹脂をバインダとして、固体潤滑剤を含む被覆層を設けたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。その被覆層は、一般にバインダとなる樹脂と溶剤と固体潤滑剤を混合して樹脂塗料とし、この樹脂塗料を基材上にスプレー法等により塗布し、この後、その樹脂塗料を乾燥、焼成することによって形成するようにしている。
特開昭60−22080号公報
特開2005−344736号公報
ところで、上記したような斜板式コンプレッサにおいては、コンプレッサの駆動時には、冷媒と、潤滑油である冷凍機油とが混合されたものが斜板付近に供給されているが、長期にわたって使用されない場合がある。このような場合、摺動部材である斜板とシューの摺動面に冷媒・冷凍機油が存在しなくなって、ドライ状態になってしまうことがある。このような状態でコンプレッサが起動された場合、摺動面に冷媒・冷凍機油が供給されるまでの間はドライ状態での摺動となり、斜板に大きな負担がかかり、焼付が発生するおそれがある。
一方、特許文献2には、摺動部材における被覆層に、レーザー加工により複数の凹部を形成し、その凹部に潤滑油を溜めるようにすることで、起動時に潤滑油が摺動面に供給され易くしたものが提案されている。この技術を上記斜板に適用することが考えられる。
しかしながら、被覆層にレーザー加工により凹部を形成した場合、昨今の苛酷な使用状況に対する厳しい要求に対しては、その凹部の内面部分の強度が不十分となる。また、その凹部の部分では荷重を受けることができないため、凹部の周囲に荷重が加わった際に、凹部付近に歪が発生してこれが原因でクラックが発生し、被覆層が壊れ易くなり、ひいては焼付に至るというおそれがある。
本発明は上記した事情に鑑みてなされたもので、基板上に樹脂塗料を塗布して被覆層を形成する構成とした摺動部材において、被覆層に潤滑油を溜めることが可能な凹部を形成しながらも、被覆層の強度を向上できて、非焼付性の向上を図ることができる摺動部材及びその製造方法を提供することにある。
上記した目的を達成するために、請求項1の発明は、基材上に樹脂塗料を塗布して被覆層を形成する構成とした摺動部材において、前記被覆層に、加圧により凹部を形成したことを特徴とする。
被覆層に凹部を形成することで、その凹部に潤滑油を溜めることができるようになり、摺動時に潤滑面に潤滑油を供給し易くでき、非焼付性を向上できる。また、その凹部は、加圧することによって形成しているので、被覆層における凹部の周辺部は、その加圧により圧縮されて密度が高くなり、凹部をレーザー加工により形成する場合とは違い、凹部周辺部の強度を向上できる。これに伴い、凹部の占める割合を多くすることができて、潤滑油を保持できる量も多くすることが可能となる。
この場合、基材としては、鋼、ステンレス鋼、アルミニウム合金、銅合金、マグネシウム合金等、目的に応じて選択することができる。樹脂塗料に用いるベース樹脂としては、ポリアミドイミド(PAI)、エポキシ、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂や、ポリベンゾイミダゾール(PBI)などの熱可塑性樹脂を用いることができる。PBIは耐熱性に優れている。
被覆層は、固体潤滑剤を含む構成とすることが好ましい。固体潤滑剤としては、MoS2、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、グラファイト、WS2、BNなどの1種以上を用いることができる。固体潤滑剤は潤滑性を向上させるので、耐摩耗性及び非焼付性を一層向上させることが可能になる。
被覆層は、必要に応じて硬質粒子、軟質金属等を含む構成とすることもできる。硬質粒子としては、Si3N4等の窒化物、Al2O3、SiO2、TiO2等の酸化物、SiC等の炭化物を1種以上用いることができる。また、軟質金属としては、Cu、Ag、Au、Al、Sn、Zn等、及びこれらの合金を1種以上用いることができる。
被覆層は、必要に応じて硬質粒子、軟質金属等を含む構成とすることもできる。硬質粒子としては、Si3N4等の窒化物、Al2O3、SiO2、TiO2等の酸化物、SiC等の炭化物を1種以上用いることができる。また、軟質金属としては、Cu、Ag、Au、Al、Sn、Zn等、及びこれらの合金を1種以上用いることができる。
被覆層に形成する凹部は穴状とすることが好ましい(請求項2の発明)。凹部が穴状であると、凹部に溜められた潤滑油が外へ逃げ難い利点がある。
凹部は、被覆層の表面における径が10〜200μmであり、被覆層の表面における前記凹部の形成領域において当該凹部の占める割合が面積率で10〜50%であることが好ましい(請求項3の発明)。
凹部は、被覆層の表面における径が10〜200μmであり、被覆層の表面における前記凹部の形成領域において当該凹部の占める割合が面積率で10〜50%であることが好ましい(請求項3の発明)。
凹部の径が10μm以上では、貯油量の面から起動摩擦特性に有利である。また、凹部の径が200μm以下とすると、凹部間距離の面から、受圧部に潤滑油が供給され易く、やはり起動摩擦特性に有利である。従って、凹部は、被覆層の表面における径が10〜200μmの範囲が好ましい。
そして、凹部の占める割合である面積率が10%以上では、貯油量の面から同様に起動摩擦特性に有利である。また、50%以下とすると、受圧面積と面圧との関係から耐摩耗性に有利である。このため、凹部の面積率は、10〜50%の範囲が好ましい。ここで、凹部の面積率とは、凹部が被覆層の表面全体にわたって形成されている場合には、被覆層の摺動面全体に対する凹部の開口面積の割合をいい、凹部が特定の領域に限って形成されている場合には、その凹部を形成した領域の面積に対する凹部の開口面積の割合をいう。
以下、本発明の一実施形態について図1を参照して説明する。この実施形態では、斜板式コンプレッサの斜板に適用したものである。
摺動部材としての斜板は、次のような構成である。例えばアルミニウム合金からなる基材1上に、バインダとなる合成樹脂と溶剤と固体潤滑剤とを混合した液体状の樹脂塗料をエアースプレーにより吹き付けて塗布し、以下の各工程を行うことによって被覆層2を形成する。このときの膜厚tは、10〜40μm、好ましくは15〜20μmとする。合成樹脂としては、熱硬化性樹脂であるPAIまたは熱可塑性樹脂であるPBIを用いる。溶剤としては、例えばN−メチル−2−ピロリドンを用いる。固体潤滑剤としては、PTFEとMoS2を用いる。
摺動部材としての斜板は、次のような構成である。例えばアルミニウム合金からなる基材1上に、バインダとなる合成樹脂と溶剤と固体潤滑剤とを混合した液体状の樹脂塗料をエアースプレーにより吹き付けて塗布し、以下の各工程を行うことによって被覆層2を形成する。このときの膜厚tは、10〜40μm、好ましくは15〜20μmとする。合成樹脂としては、熱硬化性樹脂であるPAIまたは熱可塑性樹脂であるPBIを用いる。溶剤としては、例えばN−メチル−2−ピロリドンを用いる。固体潤滑剤としては、PTFEとMoS2を用いる。
樹脂塗料を塗布した後、その樹脂塗料を、80〜120℃、例えば100℃で30分間乾燥する。この乾燥により、前記樹脂塗料から溶剤が揮発する。この後、プレス加工(加圧処理)により被覆層2となる前記乾燥後の樹脂塗料に穴状をなす複数の凹部3を形成する。そのプレス加工は、例えば複数の凸部を有するプレス型を用い、そのプレス型を前記乾燥後の樹脂塗料の表面から押し付けることによって凹部3を形成する。このとき、凹部3は、被覆層2となる前記凹部形成後の樹脂塗料の表面側(摺動面側)から見ると円形の穴状となっており、前記表面における径(直径)dが10〜200μm、前記表面からの深さhが5〜15μmに形成されている。また、凹部3は、前記表面における凹部3を形成した領域において当該凹部3の占める割合が面積率で10〜50%となるように形成されている。なお、凹部3の深さhは、最大でも被覆層2の膜厚以下とする。
このような凹部3を形成した後、200〜400℃、例えば250℃で60分間焼成する。この焼成により、前記樹脂塗料の合成樹脂が硬化する。これにより、複数の凹部3を有する被覆層2を形成することができる。
このように構成された斜板を使用した斜板式コンプレッサにおいては、停止時において、斜板における被覆層2の凹部3に潤滑油(冷媒、冷凍機油)を溜めることができるようになる。そして、斜板式コンプレッサの起動に伴って、凹部3に貯留された潤滑油がその凹部3から摺動面へと速やかに供給されるようになることにより、起動時の摺動特性を向上できる。また、被覆層2における凹部3は、加圧することによって形成しているので、凹部3の周辺部は、その加圧により圧縮されて密度が高くなり、凹部をレーザー加工により形成する場合とは違い、凹部3周辺部の強度を向上でき、耐摩耗性及び非焼付性を向上できる。しかも、凹部3周辺部の強度を向上できるため、凹部3の占める割合を多くすることができて、潤滑油を保持できる量を多くすることも可能となる。
被覆層2に凹部3を形成する際に、被覆層2の表面全体も加圧処理することにより、被覆層2全体の密度が高くなり、強度が高くなる。これにより、耐摩耗性が一層向上し、ひいては非焼付性を一層向上できるようになる。
本発明者は、本発明の効果を確認するために、表1に示す実施例品1〜7及び比較例品1,2を製作し、後述する焼付試験を行った。
本発明者は、本発明の効果を確認するために、表1に示す実施例品1〜7及び比較例品1,2を製作し、後述する焼付試験を行った。
まず、実施例品及び比較例品に用いる試料の基材は次のようにして作成した。裏金層となる鋼板上に、アルミニウム合金からなる軸受合金を接合して複層材を作製し、この複層材を所定のすべり軸受形状に加工後、脱脂処理し、続いて軸受合金層の表面を表面処理し、粗面化する。粗面化する表面処理法としては、ショットブラスト、エッチング等がある。さらに酸洗いを行い、表面に付着した不純物を除去するとともに、軸受合金層の表面を活性化させる。
湯洗乾燥後、軸受合金層の表面に、被覆層を形成するための樹脂塗料を塗布する。樹脂塗料は、バインダとなる合成樹脂を有機溶剤(例えばN−メチル−2−ピロリドン)で希釈するとともに、そこに固体潤滑剤を混合することにより作成する。この場合、合成樹脂としては、熱硬化性樹脂であるPAIを選択し、固体潤滑剤としては、PTFEとMoS2を選択した。この樹脂塗料をエアースプレーにより、軸受合金層の表面に例えば20μmの厚さとなるように吹き付けて塗布し、100℃で30分間乾燥した。この乾燥により、塗布された樹脂塗料から溶剤が揮発する。
そして、実施例品1〜7のものは、この乾燥後、プレス加工(加圧処理)により当該樹脂塗料に複数の凹部を形成した。表1には、実施例品1〜7の凹部の径、深さ、凹部の占める面積率が示されている。この後、250℃で60分間焼成した。この焼成により、前記樹脂塗料の前記合成樹脂が硬化する。このようにして実施例品1〜7を得た。
比較例品1では、基材となる軸受合金層の表面に樹脂塗料を塗布し、100℃で60分間乾燥した後、プレス加工(加圧処理)は行なわず、250℃で60分間焼成することによって被覆層を形成した。従って、比較例品1の被覆層には凹部は形成されていない。
比較例品2では、比較例品1と同様に、基材となる軸受合金層の表面に樹脂塗料を塗布し、100℃で60分間乾燥した後、プレス加工(加圧処理)は行なわず、250℃で60分間焼成することによって被覆層を形成した。この後、レーザー加工により、被覆層の表面に複数の凹部を形成したものとした。このときの凹部の径、深さ、凹部の占める面積率も、表1に示されている。
比較例品2では、比較例品1と同様に、基材となる軸受合金層の表面に樹脂塗料を塗布し、100℃で60分間乾燥した後、プレス加工(加圧処理)は行なわず、250℃で60分間焼成することによって被覆層を形成した。この後、レーザー加工により、被覆層の表面に複数の凹部を形成したものとした。このときの凹部の径、深さ、凹部の占める面積率も、表1に示されている。
得られた試料の各実施例品1〜7及び比較例品1,2について、焼付試験を行なった。焼付試験は、スラスト型摩擦摩耗試験機を用い、表2に示す試験条件により行なった。この場合、面圧を30分ごとに3MPaずつアップし、試料の背面温度が140℃以上となった時、又は軸を駆動するモータの電流が異常値を示した時の面圧を焼付面圧とした。また、荷重負荷時(荷重を上げた瞬間)に摩擦トルクに変化が生じるが、その荷重負荷時に潤滑油の供給が充分であるほど発生トルクが少なくなる。その発生トルクが少ないほど、なじみ性が良好であることを示す。そこで、荷重負荷時に発生トルクを測定し、なじみ性として評価した。さらに、試験後、クラックの発生状態を目視により確認した。これらの結果も表1に示す。
表1から次のようなことがわかる。
まず、比較例品1と実施例品1〜7とを比較する。比較例品1は、被覆層に凹部を形成していないもので、荷重負荷時の発生トルクが4N・mである。これに対して、実施例品1〜7は、いずれも被覆層に凹部を形成したもので、荷重負荷時の発生トルクが2N・m以下であり、比較例品1に比べてなじみ性が優れていることがわかる。これは、実施例品1〜7は、凹部に潤滑油が溜められていて、荷重負荷時にその凹部から潤滑油が摺動面に供給されやすくなるため、荷重負荷時の発生トルクが小さくなると考えられる。
まず、比較例品1と実施例品1〜7とを比較する。比較例品1は、被覆層に凹部を形成していないもので、荷重負荷時の発生トルクが4N・mである。これに対して、実施例品1〜7は、いずれも被覆層に凹部を形成したもので、荷重負荷時の発生トルクが2N・m以下であり、比較例品1に比べてなじみ性が優れていることがわかる。これは、実施例品1〜7は、凹部に潤滑油が溜められていて、荷重負荷時にその凹部から潤滑油が摺動面に供給されやすくなるため、荷重負荷時の発生トルクが小さくなると考えられる。
比較例品2と実施例品1〜7とを比較する。比較例品2は、被覆層に凹部が形成されているため、荷重負荷時の発生トルクは低くなっている。しかしながら、試験後において、被覆層における凹部付近にクラックが発生していた。これに対して、実施例品1〜7は、試験後に被覆層を観察したがクラックの発生は確認できなかった。これは、比較例品1では、凹部をレーザー加工により形成したものであるため、凹部付近の強度が十分ではなく、クラックが発生したものと考えられる。これに対して、実施例品1〜7では、凹部をいずれもプレス加工により形成したものであるため、凹部付近の被覆層の密度が高くなって強度が高くなり、クラックの発生がなかったと考えられる。そのため、実施例品1〜7の被覆層は壊れにくく、それらは非焼付性に優れていることがわかる。
実施例品1〜7をさらに検討してみる。凹部の径が200μm以上の実施例品1,6,7については、荷重負荷時の発生トルクが0.5N・mとなっていて、凹部の径が10μmの実施例品2〜5の場合よりも低くなっている。また、実施例品1と6を比較すると、凹部の深さと面積率は同じで、凹部の径が異なっている。凹部の径が250μmの実施例品1の焼付面圧は15〜18MPaとなっているのに対し、凹部の径が200μmの実施例品6の焼付面圧は24〜27MPaとなっていて、実施例6の方が非焼付性に優れている。これらの傾向から、凹部の径は10〜250μmが好ましく、10〜200μmの範囲がより好ましいと考えられる。
実施例品2,4,5は、凹部の径及び面積率については同じであるが、深さが異なっている。これらの中では、凹部深さが15μmの実施例品5は、焼付面圧が高く、荷重負荷時の発生トルクは低くなっており、非焼付性及び初期なじみ性に優れている。凹部深さが10μmの実施例品4では、焼付面圧については実施例品5と同じであるが、荷重負荷時の発生トルクは実施例品5よりは高くなっている。そして、凹部深さが5μmの実施例品1,6でもなじみ性は良好である。これらの傾向からみると、凹部の深さについては、5〜18μmの範囲が好ましく、5〜15μmの範囲がより好ましいと考えられる。
凹部の面積率が50%の実施例品1,6,7は、荷重負荷時の発生トルクが共に0.5N・mと低くなっており、なじみ性に優れている。凹部の面積率が60%の実施例品3は、荷重負荷時の発生トルクが2N・mとなっていて、実施例品1,6,7に比べて高くなっている。凹部の面積率が25%の実施例品2,4,5でも、荷重負荷時の発生トルクは2以下となっていて、比較例品1に比べて低くなっている。なお、凹部の面積率は、10%以上あれば、なじみ性の効果が得られると考えられる。これらの傾向からみると、凹部の面積率については、10〜60%の範囲が好ましく、10〜50%の範囲がより好ましいと考えられる。
本発明は、上記した実施例にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張できる。
樹脂塗料を基材上に塗布する方法としては、エアースプレーによる塗布以外に、パッド印刷、スクリーン印刷、ロールコートなどでも可能である。
凹部の形状は、被覆層の表面(摺動面)から見て円形に限られず、楕円形や多角形であっても良い。また、凹部は、必ずしも被覆層の表面全体に形成しなくとも良い。例えば、相手材と主に接触して荷重を受ける領域に限って形成するようにしても良い。
摺動部材の用途としては、斜板式コンプレッサの斜板に限らず、すべり軸受などでも良い。
樹脂塗料を基材上に塗布する方法としては、エアースプレーによる塗布以外に、パッド印刷、スクリーン印刷、ロールコートなどでも可能である。
凹部の形状は、被覆層の表面(摺動面)から見て円形に限られず、楕円形や多角形であっても良い。また、凹部は、必ずしも被覆層の表面全体に形成しなくとも良い。例えば、相手材と主に接触して荷重を受ける領域に限って形成するようにしても良い。
摺動部材の用途としては、斜板式コンプレッサの斜板に限らず、すべり軸受などでも良い。
図面中、1は基材、2は被覆層、3は凹部を示す。
Claims (4)
- 基材上に樹脂塗料を塗布して被覆層を形成する構成とした摺動部材において、前記被覆層に、加圧により凹部を形成したことを特徴とする摺動部材。
- 前記凹部は穴状であることを特徴とする請求項1記載の摺動部材。
- 前記凹部は、前記被覆層の表面における径が10〜200μmであり、前記被覆層の表面における前記凹部の形成領域において当該凹部の占める割合が面積率で10〜50%であることを特徴とする請求項1または2記載の摺動部材。
- 請求項1記載の摺動部材を製造する方法であって、
基材上に樹脂塗料を塗布する工程と、
塗布された樹脂塗料を乾燥する工程と、
前記乾燥後の樹脂塗料に加圧により凹部を形成する工程と、
前記凹部形成後の樹脂塗料を焼成する工程とを順に行なうことにより、被覆層を形成するようにしたことを特徴とする摺動部材の製造方法。
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