JP2007255049A - カッタヘッド - Google Patents

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Abstract

【課題】地中障害物としての松杭が切削途中で万一折損された場合でもその折損部分が小分割されるような切削処理をかかる松杭に施すことができるカッタヘッドを提供する。
【解決手段】例えば複数の先行ビット20の先端の回転軌跡をつなぐビット包絡面33の形状を、切羽側に突出される複数の凸部33a〜33fがカッタヘッド本体5aの中央部から外側に向かう方向Zに配置されたような形状とする。ここで、前記凸部33a〜33fは掘進機本体側に傾斜させて切羽に臨ませた傾斜面を有してなるものであり、また前記凸部33a〜33fの先端をつなぐ包絡面34は掘削機本体の掘削方向に対し直角を成す垂直面を呈し、前記ビット包絡面33の形状が側方視略鋸歯形状とされる。
【選択図】図9

Description

本発明は、主としてシールド掘進機に装備されて切羽を掘削するカッタヘッドに関するものである。
近時、特に都市部においては、シールド掘進機を用いた地中掘削工事がしばしば行われている。かかる地中掘削工事の計画路線をシールド掘進機にて掘進中に、鉄筋コンクリート製の杭や鋼矢板等の地中障害物に遭遇する場合がある。このような場合において、その地中障害物を円滑に排出処理できる程度の破片とすることのできるシールド掘進機の障害物切削装置が、例えば特許文献1にて提案されている。
特開平8−319798号公報
前記特許文献1に係るシールド掘進機の障害物切削装置において、シールド掘進機は、掘進機本体の前部に回転自在に支承されるカッタヘッドと、このカッタヘッドと掘進機本体との間に区画形成されるチャンバーと、このチャンバーに土砂取込口を臨ませて掘進機本体内に配備されるスクリューコンベヤ等よりなる排土装置とを備え、前記カッタヘッドにより切羽を切削し、切削された土砂等を前記チャンバーおよび排土装置を介して掘進機本体の後方側に排出するように構成されている。
この特許文献1に係る障害物切削装置においては、図12に示されるように、カッタヘッド回転中心線回りに回転駆動されるカッタヘッド101に半径方向に間隔を存して複数の切削ビット102が配置され、これら切削ビット102により、鉄筋コンクリート製の杭や鋼矢板等の地中障害物103に複数の溝(切り込み)103aを刻み付けることができるようになっている。ここで、前記複数の切削ビット102の先端位置は同一高さとされているため、言い換えれば前記複数の切削ビット102の先端の回転軌跡をつなぐ包絡面は掘進方向に対し直角を成して切羽と対向する垂直面を呈するようにされているため、それら切削ビット102によって地中障害物103に刻み付けられる複数の切り込み103aの深さは全て同じである。なお、カッタヘッド101には、前記複数の切削ビット102の他に、掘削ビットおよび保護ビットがそれぞれ複数配置されているが、説明の都合上、図12においてそれらビットは図示省略されている。
この特許文献1に係る障害物切削装置によれば、複数の切削ビット102によって地中障害物103に複数の切り込み103aが刻み付けられるので、かかる地中障害物103を小さい破片に破断することが可能となり、排土装置による排出処理が円滑に行われて地中掘削工事の安定的な施工に寄与するという効果を奏する。
今、前記地中障害物103が軟弱地盤の基礎工事でしばしば用いられる松杭である場合において、この松杭103に対して、例えば図12に示されるようにカッタヘッド101の上側部分による切削処理が施されると、松杭103には先端部(下端部)から基端部側(上端部側)に向かって複数の切削ビット102による複数の切り込み103aがそれら切削ビット102の配置ピッチに応じた間隔で刻み付けられることになる。なお、松杭103が埋設されている地盤は、薬液注入工法により、予めその強度が増大されているものとする。
前述したように複数の切削ビット102の先端位置は同一高さとされているために、松杭103に刻み付けられる複数の切り込み103aの切込み深さは全て同一となる。また、松杭103は鉄筋コンクリート製の杭や鋼矢板と比べて靭性が乏しく折れ易い。さらに、カッタヘッド101による切削動作が進むにつれて松杭103を支持する地盤が削ぎ落とされるため、かかる地盤による松杭103への支持力が切削動作の進行に伴い弱くなる。これらのことから、複数の切削ビット102によって松杭103に刻み付けられる複数の切り込み103aの切込み深さがある深さ位置(例えば、松杭103の直径が約200mmである場合、切込み深さが150mm)まで進行した際に、松杭103に刻み付けられた複数の切り込み103aのうち応力が最も集中する最上位(図12中記号A矢印部分)あるいはその近傍に位置する切り込み部分で松杭103が折れてしまい、大きな破片の状態で地盤から剥がれ落ちてしまうことになる。大きな破片の状態では排土装置内に取り込むことができないため、排出処理を円滑に行うことができない。したがって、前記特許文献1に係るシールド掘進機の障害物切削装置では、地中障害物が松杭である場合に、地中掘削工事を安定的に施工することができないという問題点がある。
本発明は、このような問題点を解消するためになされたもので、地中障害物としての松杭が切削途中で万一折損された場合でもその折損部分が小分割されるような切削処理をかかる松杭に施すことのできるカッタヘッドを提供することを目的とするものである。
前記目的を達成するために、本発明によるカッタヘッドは、
掘進機本体の前部に揺動自在または回転自在に支承されるカッタヘッド本体と、このカッタヘッド本体の揺動運動または回転運動に伴う揺動軌跡または回転軌跡の半径が異なるようにそのカッタヘッド本体に配置されて切羽を切削する複数のビットとを備えるカッタヘッドにおいて、
前記複数のビットの先端の揺動軌跡または回転軌跡をつなぐビット包絡面は、切羽側に突出される複数の凸部を有し、前記各凸部の先端をつなぐ包絡面が前記掘進機本体の掘進方向に対し直角を成す形状であることを特徴とするものである(第1発明)。
本発明において、前記複数の凸部のそれぞれは、前記カッタヘッド本体の中央部から外側に向かう方向に進むにつれ前記掘進機本体側に傾斜させて切羽に臨ませた傾斜面を有してなるものであるのが好ましい(第2発明)。
本発明によれば、複数のビットの先端の揺動軌跡または回転軌跡をつなぐビット包絡面は、切羽側に突出される複数の凸部を有し、前記各凸部の先端をつなぐ包絡面が掘進機本体の掘進方向に対し直角を成す形状とされるので、地中障害物としての松杭に対しそれらビットによる切削動作が行われると、ビット包絡面における複数の凸部の先端に対応する複数のビットによってそれら凸部の先端の間隔に応じた間隔で松杭に切り込みがその他のビットによる切り込みに先行して刻み付けられることになる。このため、松杭にはそれら凸部の先端の間隔に応じた間隔で従来よりも深い切り込みが刻み付けられるので、万一松杭が切削途中で折損されてその折損部分が地盤から剥がれ落ちてしまった場合でも、切羽とカッタヘッドとの間で揉まれているうちに、かかる折損部分がそれら深い切り込み部分を境に小分割されて円滑に排出処理されるという効果を奏する。
また、第2発明の構成を採用することにより、複数のビットにて構築されるカッタヘッド刃先を松杭に対し断続的に斜めにあてがって切削が行われるので、切り込み時の切削抵抗を抑えることができて、切削動作が円滑に行われるという効果がある。さらに、かかる切削動作の際において、松杭における切削対象部分の地盤に保持される領域をビット包絡面における各凸に対応させて小分けして考察してみると、先端側(下端側)の部位に比して基端側(上端側)の部位を常に広く保った状態で切削動作が行われるので、切削対象部分を地盤に安定的に保持させた状態で切削動作を実施することができるという効果もある。
次に、本発明によるカッタヘッドの具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、シールド掘進機に装備されて切羽を掘削するカッタヘッドに本発明が適用された例である。
〔第1の実施形態〕
図1には、本発明の第1の実施形態に係るシールド掘進機の縦断面図が示されている。また、図2には、同シールド掘進機の正面図(a)および(a)におけるA−A矢視図(b)がそれぞれ示されている。
図1に示されるシールド掘進機1においては、掘進機本体2としての胴部が前胴3と後胴4とに分割形成され、前胴3の前部にカッタヘッド5が回転駆動機構6により回転可能に取り付けられている。前記前胴3と後胴4との嵌合部は複数個のアーティキュレートジャッキ7にて連結され、このアーティキュレートジャッキ7を選択的に伸縮させることで、後胴4に対して前胴3が屈曲できるようにされている。前記後胴4の外周部には複数個のシールドジャッキ8が設けられ、これらシールドジャッキ8を伸長させてその先端部をセグメント9の前端面に当接させることで掘進機本体2が前進されるようになっている。また、前記前胴3にはバルクヘッド10により仕切られた土砂取り込み空間としてのチャンバー11が設けられ、カッタヘッド5の回転により掘削された土砂等がそのチャンバー11内に取り込まれるようにされ、このチャンバー11内に取り込まれた土砂等はそのチャンバー11に土砂取込口を臨ませて掘進機本体2内に配備されるスクリューコンベヤ12にて後方へ搬出されるようになっている。なお、ここで、スクリューコンベヤ12としては、例えば、スクリュー径×スクリューピッチがφ720mm×p750mmの仕様のものが用いられる。
前記カッタヘッド5は、前胴3の前部に支承されるカッタヘッド本体5aを備え、このカッタヘッド本体5aは、図2に示されるように、互いに隣接するスポーク同士の成す角度が直角になるように配置される4本のスポーク15,16,17,18が外周輪19にて接続されてなり、各スポーク15,16,17,18の前面は掘進方向に対し略直角を成して切羽と対向する垂直面を呈するようにされている。ここで、各スポーク15,16,17,18の前面には先行ビット20およびティースビット(「ツールビット」とも称される。)21がそれぞれ所要個数だけ設けられ、また外周輪19には外周ビット22が所要個数だけ設けられ、更にカッタヘッド本体5aの中央部にはセンタビット23が設けられ、これら各ビット20,21,22,23により切羽が掘削されるようになっている。
次に、カッタヘッド5に装備される先行ビット20およびティースビット21の詳細配置について説明する。
前記各スポーク15,16,17,18においては、図3(a)〜(d)に示されるように、その中央部に所要個数(本例では6個)の先行ビット20が長手方向(カッタヘッド5の半径方向、図3において上下方向)に所定間隔を存して配置されるとともに、その両側部に所要個数(本例では2×6個で計12個)のティースビット21がやはり長手方向に所定間隔を存して配置されている。
これらスポーク15,16,17,18に配置される全ての先行ビット20およびティースビット21を側方視で重ね合わせた状態を表わす図3(e)において、先行ビット20は、図4に示されるように、所定ピッチP1(例えば、100mm)で配置されている。また、図3(e)において、例えば、先行ビット20およびティースビット21が配置される領域を等間隔(例えば、400mmピッチ)で図に示されるように、第1区間27、第2区間28、第3区間29、第4区間30、第5区間31および第6区間32の計6区間に分けた場合、代表として第1区間27においては、図4に示されるように、カッタヘッド本体中央部側に最も近い先行ビット20の先端位置に対し、残りの3つの先行ビット20の先端位置が掘進機本体2側に後退するように配されて、前者の先端位置と後者の先端位置との間に所定の段差D1(例えば、60mm)が設けられている(第2区間28〜第6区間32の各区間についても同様)。また、図3(e)において、第1区間27〜第6区間32のそれぞれの区間における先行ビット20の最先端位置はカッタヘッド本体5aの前面から切羽側に向けて同一の高さ位置に配されている。さらに、図3(e)において、隣り合う先行ビット20の間を塞ぐようにティースビット21が配置されており、第1区間27〜第6区間32の各区間におけるカッタヘッド本体中央部側に最も近い先行ビット20の先端位置および残りの3つの先行ビット20の先端位置のそれぞれに対して、当該ティースビット21の先端位置が掘進機本体2側に後退するように配されて、図4に示されるように、前者の先端位置と当該ティースビット21の先端位置との間には所定の段差D2(例えば、110mm)が、後者の先端位置と当該ティースビット21の先端位置との間には所定の段差D3(例えば、50mm)がそれぞれ設けられている。
ここで、前記第1区間27〜第6区間32において、隣接する区間の先行ビット最先端位置の間隔P2(図4参照)は400mmとされ、前記スクリューコンベヤ12の特にスクリューピッチ(本例では750mm)よりも十分に小さく設定されている。こうすると、第1区間27〜第6区間32の各区間において刃先が最前線に位置する先行ビット20(例えば、図6中A,B,Cの各記号が付された各矢印にて示される先行ビット20を参照)によって地中障害物としての松杭26に400mmピッチでより深い切り込みが刻み付けられるので、万一松杭26が切削途中で折損されてその折損部分が地盤から剥がれ落ちてしまった場合でも、切羽とカッタヘッド5との間で揉まれているうちに、かかる折損部分が、スクリューコンベヤ12により機内に取込可能な大きさに小分割されて円滑に排出処理されることになる。
このような配置とされるカッタヘッド5においては、カッタヘッド本体5aが回転駆動された際に、4本のスポーク15,16,17,18に配置される全ての先行ビット20およびティースビット21の回転軌跡の半径は異なるものとなる。そして、4本のスポーク15,16,17,18に配置される全ての先行ビット20の先端の回転軌跡をつなぐビット包絡面24の形状は、図5に示されるように、切羽側に突出される複数の凸部24a〜24fがカッタヘッド本体5aの中央部から外側に向かう方向Zに配置されたような形状となる。また、それら凸部24a〜24fの先端をつなぐ包絡面25は、掘進方向に対し直角を成して切羽と対向する垂直面を呈するものとなる。
次に、以上に述べたように構成されるシールド掘進機1にて地中掘削工事の計画路線を掘進中に地中障害物として松杭26に遭遇した場合において、この松杭26に対し例えば図6に示されるようにカッタヘッド5の上側部分による切削処理が施される際の切削動作について以下に説明する。なお、松杭26が埋設されている地盤は、薬液注入工法により、予めその強度が増大されているものとする。また、松杭26の直径は約200mmである。
地中障害物としての松杭26に対して、カッタヘッド本体5aに配置される複数の先行ビット20およびティースビット21による切削動作が行われると、松杭26には先端部(下端部)から基端部側(上端部側)に向かって複数の先行ビット20による複数の切り込みがそれら先行ビット20の配置ピッチに応じた間隔で刻み付けられることになる。また、隣り合う先行ビット20の回転軌跡間をティースビット21が通過するようにされているので、隣り合う先行ビット20によって松杭26に刻み付けられた切り込みの間の凸状部分26aがティースビット21によって剥ぎ取られることなる。かかる切削動作の際、ビット包絡面24における複数の凸部24a〜24fの先端に対応する複数の先行ビット20(本例では図6中A,B,Cの各記号が付された各矢印にて示される先行ビット20)によってそれら凸部24a〜24fの先端の間隔に応じた間隔(本例では400mmピッチ)で松杭26に切り込みがその他の先行ビット20による切り込みに先行して刻み付けられるので、万一松杭26が切削途中で折損されてその折損部分が地盤から剥がれ落ちてしまった場合でも、切羽とカッタヘッド5との間で揉まれているうちに、かかる折損部分がそれら深い切り込み部分を境に400mm長さ程度に小分割されてスクリュー径×スクリューピッチがφ720mm×p750mmの仕様のスクリューコンベヤ12にて円滑に排出処理されるという効果を奏する。
〔第2の実施形態〕
図7には、本発明の第2の実施形態に係るカッタヘッドのビット配置説明図が示されている。なお、本実施形態は、前記第1の実施形態に対し、カッタヘッドに装備される先行ビットおよびティースビットの配置が異なるのみでその他の点については同様である。したがって、前記第1の実施形態と同一または同様のものについては図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明を省略することとし、以下においては前記第1の実施形態と異なる点を中心に説明することとする。
本実施形態のカッタヘッド5Aでは、カッタヘッド本体5aにおける4本のスポーク15,16,17,18に配置される全ての先行ビット20およびティースビット21を側方視で重ね合わせた状態を表わす図7(e)において、先行ビット20は、図8に示されるように、所定ピッチP3(例えば、100mm)で配置されている。また、図7(e)において、代表として第1区間27においては、図8に示されるように、カッタヘッド本体5aの中央部から外側に向かう方向Zに進むに従って先行ビット20の先端位置が掘進機本体2側に後退するように配されて、隣り合う先行ビット20の間に所定の段差D4(例えば、20mm)が設けられ、先行ビット20のカッタヘッド5aからの最高突出長さ寸法と最低突出長さ寸法との差D5が所定値(本例では60mm)になるようにされている(第2区間28〜第6区間32の各区間についても同様)。また、図7(e)において、第1区間27〜第6区間32のそれぞれの区間における先行ビット20の最先端位置はカッタヘッド本体5aの前面から切羽側に向けて同一の高さ位置に配されている。さらに、図7(e)において、隣り合う先行ビット20の間を塞ぐようにティースビット21が配置されており、その隣り合う先行ビット20のうちカッタヘッド本体中央部側の先行ビット20の先端位置に対して、当該ティースビット21の先端位置が、図8に示されように、掘進機本体2側に後退するように配されて、前者の先端位置と後者の先端位置との間に所定の段差D6(例えば、50mm)が設けられている。
ここで、本実施形態においても、第1区間27〜第6区間32における隣接する区間の先行ビット最先端位置の間隔P4(図8参照)が前記第1の実施形態におけるそれと同じく400mmとされており、松杭26に400mmピッチでより深い切り込みを刻み付けることができるようにされている。
以上に述べたようなビット配置とされるカッタヘッド5Aにおいては、カッタヘッド本体5aが回転駆動された際に、4本のスポーク15,16,17,18に配置される全ての先行ビット20およびティースビット21の回転軌跡の半径は異なるものとなる。そして、4本のスポーク15,16,17,18に配置される全ての先行ビット20の先端の回転軌跡をつなぐビット包絡面33の形状は、図9(a)に示されるように、掘進機本体2側に傾斜させて切羽に臨ませた傾斜面を有する複数の凸部33a〜33fがカッタヘッド本体5aの中央部から外側に向かう方向Zに配置されたような側方視略鋸歯形状となる。一方、4本のスポーク15,16,17,18に配置される全てのティースビット21の先端の回転軌跡をつなぐビット包絡面35の形状も、図9(b)に示されるように、掘進機本体2側に傾斜させて切羽に臨ませた傾斜面を有する複数の凸部35a〜35fがカッタヘッド本体5aの中央部から外側に向かう方向Zに配置されたような側方視略鋸歯形状となる。また、前記凸部33a〜33fの先端をつなぐ包絡面34は、掘進方向に対し直角を成して切羽と対向する垂直面を呈するものとなる(前記凸部35a〜35fの先端をつなぐ包絡面36についても同様)。
次に、以上に述べたようなカッタヘッド5Aにより、地中障害物として松杭26に前記第1の実施形態と同様の条件にて図10に示されるように当該カッタヘッド5Aの上側部分による切削処理が施される際の切削動作について以下に説明することとする。
地中障害物としての松杭26に対して、カッタヘッド本体5aに配置される複数の先行ビット20およびティースビット21による切削動作が行われると、松杭26には先端部(下端部)から基端部側(上端部側)に向かって複数の先行ビット20による複数の切り込みがそれら先行ビット20の配置ピッチに応じた間隔で刻み付けられることになる。また、隣り合う先行ビット20の回転軌跡間をティースビット21が通過するようにされているので、隣り合う先行ビット20によって松杭26に刻み付けられた切り込みの間の凸状部分26aがティースビット21によって剥ぎ取られることなる。かかる切削動作の際、ビット包絡面33における複数の凸部33a〜33fの先端に対応する複数の先行ビット20(本例では図10中A,B,Cの各記号が付された各矢印にて示される先行ビット20)によってそれら凸部33a〜24fの先端の間隔に応じた間隔(本例では400mmピッチ)で松杭26に切り込みがその他の先行ビット20による切り込みに先行して刻み付けられるので、万一松杭26が切削途中で折損されてその折損部分が地盤から剥がれ落ちてしまった場合でも、切羽とカッタヘッド5との間で揉まれているうちに、かかる折損部分がそれら深い切り込み部分を境に400mm長さ程度に小分割されてスクリュー径×スクリューピッチがφ720mm×p750mmの仕様のスクリューコンベヤ12にて円滑に排出処理されるという効果を奏する。
なお、前述の切削動作の際において、松杭26における切削対象部分の地盤に保持される領域をビット包絡面33,35における各凸33a〜33f;35a〜35fに対応させて小分けして考察してみると、先端側(下端側)の部位に比して基端側(上端側)の部位を常に広く保った状態で切削動作が行われるので、切削対象部分を地盤に安定的に保持させた状態で切削動作を実施することができる。また、ビット包絡面33,35における各凸部33a〜33f;35a〜35fの切羽に臨ませた面が掘進機本体2側に傾斜されているため、複数の先行ビット20およびティースビット21により構築されるカッタヘッド刃先を松杭26に対し断続的に斜めにあてがって切削が行われるので、切り込み時の切削抵抗を抑えることができて、切削動作が円滑に行われるという効果がある。
前記各実施形態においては、スポーク数が4本のカッタヘッド本体5aを備えてなるカッタヘッド5,5Aに本発明が適用された例を示したが、これに限定されるものではなく、それよりもスポーク数が多いカッタヘッド本体あるいはスポーク数が3本のカッタヘッド本体を備えてなるカッタヘッドに本発明を適用し得るのは言うまでもない。また、前記各実施形態においては、スポーク形式のカッタヘッドに本発明が適用された例を示したが、面板形式のカッタヘッドに本発明を適用することもできる。
前記各実施形態においては、回転駆動式のカッタヘッド5,5Aに本発明が適用された例を示したが、揺動駆動式のカッタヘッドに本発明を適用することもできる。この場合、前記第1の実施形態と同様の作用効果を得るためには、4本のスポーク15,16,17,18に配置される全ての先行ビット20の先端の揺動軌跡をつなぐ包絡面の形状が、ビット包絡面24(図5参照)と同様の形状となるようにされる。一方、前記第2の実施形態と同様の作用効果を得るためには、4本のスポーク15,16,17,18に配置される全ての先行ビット20/ティースビット21の先端の揺動軌跡をつなぐ包絡面の形状が、ビット包絡面33(図9(a)参照)/ビット包絡面35(図9(b)参照)と同様の形状となるようにされる。
前記各実施形態においては、排土装置として土圧式のスクリューコンベヤ12が用いられる態様例を示したが、これに限定されず、かかる排土装置として泥水式の送排泥配管によるものが用いられる態様もあり得る。
また、図11に示される異形断面シールド掘進機に装備される各カッタヘッドに本発明を適用することもできる(前記各実施形態と同一または同様のものについては図に同一符号が付されている。)。この図11に示される異形断面シールド掘進機においては、略矩形断面形状のスキンプレート40が設けられ、このスキンプレート40の前方には、図示されない揺動機構により揺動可能な2個のカッタヘッド5B,5B′が配されている。前記カッタヘッド5B,5B′には4本(これに限定されない)のスポーク15B,16B,17B,18B;15B′,16B′,17B′,18B′が、互いに隣接するスポーク同士の成す角度が直角になるように配置されるとともに、内側のスポーク(隣接カッタヘッド側のスポーク)18B,18B′の長さが他の3本のスポーク15B〜17B;15B′〜17B′の長さより短くされ、かつそれら長さの短いスポーク18B,18B′の先端部同士が互いに干渉しないように配置されている。また、内側のスポーク18B,18B′を除く他の3本のスポーク15B〜17B;15B′〜17B′にはオーバカッタ装置が内蔵され、このオーバカッタ装置の先端部に設けられるオーバカッタ41がそれらスポーク15B〜17B;15B′〜17B′の先端部から外方へ突出することで、外周部の地山が掘削できるようにされている。そして、前記第1の実施形態と同様の作用効果を得るためには、カッタヘッド5B,5B′における4本のスポーク15B,16B,17B,18B;15B′,16B′,17B′,18B′に配置される全ての先行ビット20の先端の揺動軌跡をつなぐ包絡面の形状が、ビット包絡面24(図5参照)と同様の形状となるようにされる。一方、前記第2の実施形態と同様の作用効果を得るためには、カッタヘッド5B,5B′における4本のスポーク15B,16B,17B,18B;15B′,16B′,17B′,18B′に配置される全ての先行ビット20/ティースビット21の先端の揺動軌跡をつなぐ包絡面の形状が、ビット包絡面33(図9(a)参照)/ビット包絡面35(図9(b)参照)と同様の形状となるようにされる。
本発明の第1の実施形態に係るシールド掘進機の縦断面図 第1の実施形態に係るシールド掘進機の正面図(a)および(a)におけるA−A矢視図(b) 第1の実施形態のカッタヘッドのビット配置説明図 図3におけるA部拡大図 先行ビットの包絡面形状説明図 松杭の切削動作説明図 第2の実施形態のカッタヘッドのビット配置説明図 図7におけるA部拡大図 先行ビットの包絡面形状説明図(a)およびティースビットの包絡面形状説明図(b) 松杭の切削動作説明図 本発明の他の適用例に係る異形断面シールド掘進機の正面図 先行技術の説明図
符号の説明
1 シールド掘進機
2 掘進機本体
5,5A,5B,5B′ カッタヘッド
5a カッタヘッド本体
20 先行ビット
21 ティースビット
24 ビット包絡面(第1の実施形態)
26 松杭
33,35 ビット包絡面(第2の実施形態)

Claims (2)

  1. 掘進機本体の前部に揺動自在または回転自在に支承されるカッタヘッド本体と、このカッタヘッド本体の揺動運動または回転運動に伴う揺動軌跡または回転軌跡の半径が異なるようにそのカッタヘッド本体に配置されて切羽を切削する複数のビットとを備えるカッタヘッドにおいて、
    前記複数のビットの先端の揺動軌跡または回転軌跡をつなぐビット包絡面は、切羽側に突出される複数の凸部を有し、前記各凸部の先端をつなぐ包絡面が前記掘進機本体の掘進方向に対し直角を成す形状であることを特徴とするカッタヘッド。
  2. 前記複数の凸部のそれぞれは、前記カッタヘッド本体の中央部から外側に向かう方向に進むにつれ前記掘進機本体側に傾斜させて切羽に臨ませた傾斜面を有してなるものである請求項1に記載のカッタヘッド。
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