JP2007253549A - 繊維強化樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

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Kunihiko Yoshida
邦彦 吉田
Takahiro Tochioka
孝宏 栃岡
Sukeyuki Matsuda
祐之 松田
Kenji Moriwaki
健二 森脇
Kazuo Okamoto
和夫 岡本
Mitsuharu Kaneko
満晴 金子
Junichi Ogawa
淳一 小川
Yohei Ichihara
洋平 一原
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Abstract

【課題】繊維強化樹脂成形品において、繊維が糸玉状になることを抑制し、繊維による補強効果を効果的に得ることができる繊維強化樹脂成形品の製造方法を提供する。
【解決手段】繊維Fと、第1の熱可塑性マトリックス樹脂M1と、該第1の熱可塑性マトリックス樹脂よりも最低成形可能温度が高い第2の熱可塑性マトリックス樹脂M2とを含有する繊維強化樹脂成形品Pの製造方法は、繊維を第2の熱可塑性マトリックス樹脂によりコーティングし、第2の熱可塑性マトリックス樹脂によりコーティングされた繊維と第1の熱可塑性マトリックス樹脂とを、第2の熱可塑性マトリックス樹脂の最低成形可能温度未満、かつ第1の熱可塑性マトリックス樹脂の最低成形可能温度以上の温度で混練し成形することを特徴とする。また、上記繊維強化樹脂成形品の製造方法では、複数の繊維からなる繊維束が第2の熱可塑性マトリックス樹脂によりコーティングされる。
【選択図】図1

Description

この発明は、母材樹脂の内部に強化材として繊維を含有させた繊維強化樹脂から成形されてなる繊維強化樹脂成形品の製造方法に関する。
例えば自動車用部品など種々の工業用部品において、繊維と樹脂とを組み合わせ樹脂を繊維で強化した繊維強化樹脂が広く使用されている。この繊維強化樹脂によって成形された繊維強化樹脂成形品では、使用される目的や用途に応じて、組み合わせられる繊維と樹脂とが好適に設定されている。
近年、環境保護の要請に応える一環として、天然繊維を使用した繊維強化樹脂成形品が知られており、例えば特許文献1には、合成ポリマーとバイオポリマーとからなる合成物質マトリクス内に天然繊維が埋め込まれた繊維強化合成物質成形部分を製造するための原料の製造方法が開示されている。
特表2000ー512928号公報
ところで、繊維強化樹脂成形品においては、繊維と樹脂とを組み合わせて成形する際に、繊維が糸玉状に丸くなる場合がある。特に、環境負荷の低減を図るために、繊維として、しなやかで屈曲しやすい、セルロース繊維等の天然繊維を用いる場合には、このような傾向がより顕著なものとなる。
図2は、セルロース繊維を含有する繊維強化樹脂を射出成形によって成形した繊維強化樹脂成形品についての顕微鏡写真を示す図である。図2に示すように、樹脂(黒色部分)とセルロース繊維(白色もしくは灰色部分)とからなる繊維強化樹脂成形品において、セルロース繊維は糸玉状に丸くなって存在している。
この射出成形によって成形された繊維強化樹脂成形品では、射出成形時に繊維と樹脂とが混練される際に繊維が糸玉のように丸くなり、かかる状態で繊維と樹脂とが成形型内に注入され成形されることにより繊維が糸玉状になっている。これに対し、繊維強化樹脂成形品の成形時に繊維が糸玉状になることを抑制することができれば、繊維強化樹脂成形品の力学的特性(つまり強度や耐衝撃性)において繊維による補強効果を更に向上させることができると考えられる。
そこで、この発明は、繊維により強化された繊維強化樹脂から成形されてなる繊維強化樹脂成形品において、繊維が糸玉状になることを抑制し、繊維による補強効果を効果的に得ることができる繊維強化樹脂成形品の製造方法を提供することを目的としてなされたものである。
このため、本願の請求項1に係る発明方法は、繊維と、第1の熱可塑性マトリックス樹脂と、該第1の熱可塑性マトリックス樹脂よりも最低成形可能温度が高い第2の熱可塑性マトリックス樹脂とを含有し前記繊維により強化された繊維強化樹脂から成形されてなる繊維強化樹脂成形品の製造方法であって、前記繊維を前記第2の熱可塑性マトリックス樹脂によりコーティングするコーティングステップと、前記コーティングステップの後に、前記第2の熱可塑性マトリックス樹脂によりコーティングされた前記繊維と前記第1の熱可塑性マトリックス樹脂とを、前記第2の熱可塑性マトリックス樹脂の最低成形可能温度未満、かつ前記第1の熱可塑性マトリックス樹脂の最低成形可能温度以上の温度で混練する混練ステップと、前記混練ステップの後に、前記第2の熱可塑性マトリックス樹脂によりコーティングされた前記繊維と前記第1の熱可塑性マトリックス樹脂とからなる繊維強化樹脂を所定の形状に成形する成形ステップとを備えていることを特徴としたものである。
また、本願の請求項2に係る発明方法は、請求項1に係る発明方法において、前記繊維が、天然繊維であることを特徴としたものである。
更に、本願の請求項3に係る発明方法は、請求項1又は2に係る発明方法において、前記コーティングステップにおいて、前記繊維が前記第2の熱可塑性マトリックス樹脂によりコーティングされるとともに、複数の前記繊維からなる繊維束が前記第2の熱可塑性マトリックス樹脂によりコーティングされていることを特徴としたものである。
また更に、本願の請求項4に係る発明方法は、請求項1〜3の何れか一に係る発明方法において、前記成形ステップが、射出成形によって行われていることを特徴としたものである。
本願の請求項1に係る繊維強化樹脂成形品の製造方法によれば、繊維と樹脂との混練時に繊維が第2の熱可塑性マトリックス樹脂によりコーティングされているので、繊維が糸玉状になることを抑制することができ、繊維による補強効果を効果的に得ることができる。
繊維強化樹脂成形品について、例えば別の樹脂を添加させることにより強度等の性能を更に向上させる場合には、添加樹脂を好適に選定したり添加樹脂の分散性を考慮したりする必要があるが、本発明の繊維強化樹脂成形品の製造方法によれば、別の樹脂を添加することなく、繊維強化樹脂成形品について強度等の性能を更に向上させることが可能である。
また、本願の請求項2の発明方法によれば、繊維が糸玉状になりやすい天然繊維を用いる場合においても、繊維が糸玉状になることを抑制することができ、上記作用効果をより有効に奏することができる。繊維として天然繊維を用いることにより、環境負荷の低減を図ることも可能である。
更に、本願の請求項3の発明方法によれば、複数の繊維からなる繊維束が第2の熱可塑性マトリックス樹脂によりコーティングされることにより、複数の繊維を第2の熱可塑性マトリックス樹脂で補強することができ、繊維が糸玉状になることをより有効に抑制することができるとともに、繊維による補強効果を更に向上させることができる。
また更に、本願の請求項4の発明方法によれば、第2の熱可塑性マトリックス樹脂によりコーティングされた繊維と第1の熱可塑性マトリックス樹脂とからなる繊維強化樹脂を射出成形によって成形することにより、高精度で生産性の高い射出成形を用いて、比較的容易に上記作用効果を奏することができる。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
まず、本発明の第1の実施例について説明する。
(1)第1の実施例
第1の実施例は、第1の熱可塑性マトリックス樹脂としてポリブチレンサクシネート樹脂(PBS樹脂)を用い、第2の熱可塑性マトリックス樹脂として植物由来樹脂であるポリ乳酸樹脂(PLA樹脂)を用い、繊維として天然繊維であるセルロース繊維を用いたものである。本実施例に係る繊維強化樹脂成形品を成形するに際して、第1及び第2の熱可塑性マトリックス樹脂並びに繊維として用いた材料を以下に示す。
a)第1の熱可塑性マトリックス樹脂
・材質名:ポリブチレンサクシネート樹脂(PBS樹脂)
・商品名:GS Pla(三菱化学株式会社製)
・最低成形可能温度:110℃
b)第2の熱可塑性マトリックス樹脂
・材質名:ポリ乳酸樹脂(PLA樹脂)
・商品名:テラマックTE−4000(ユニチカ株式会社製)
・最低成形可能温度:170℃
c)繊維
・材質名:セルロース繊維
・商品名:TerraCel(Rayonier社製)
上記第2の熱可塑性マトリックス樹脂と繊維とを配合比(第2の熱可塑性マトリクス樹脂:繊維=50:50)でドライブレンドし、一種の押出成形機としての溶融粘度測定装置により押出成形を行い、棒状の成形品を得た。そして、この棒状の成形品を切断してサブ複合体を得た。この押出成形に用いた装置及び成形条件等を以下に示す。
d)押出成形に用いた装置及び成形条件
・装置 :溶融粘度測定装置(商品名:キャピログラフ1C)
株式会社東洋精機製作所製、バレル径=9.55mm
・成形条件:樹脂温度=190℃、ダイ径=1.0mm
ピストン押出速度=50mm/分
ここに、上記押出成形における樹脂温度は、セルロース繊維の熱分解温度(約240℃)よりも低い温度で、かつ第2の熱可塑性マトリックス樹脂の最低成形可能温度(170℃)以上の温度として設定されたものである。
次に、繊維の重量割合が5%となるように、上記第1の熱可塑性マトリックス樹脂と上記サブ複合体とを配合比(第1の熱可塑性マトリクス樹脂:サブ複合体=90:10)でドライブレンドし、射出成形を行い、引張強度測定用の成形品(試験片)を得た。得られた成形品について、第1及び第2の熱可塑性マトリックス樹脂並びに繊維とは表1に示す配合比である。なお、サブ複合体は、第2の熱可塑性マトリックス樹脂と繊維とが配合比(第2の熱可塑性マトリクス樹脂:繊維=50:50)で配合されている。
本実施例(実施例1)において、射出成形に用いた装置及び成形条件等を以下に示す。
e)射出成形に用いた装置及び成形条件
・装置 :射出成形装置(東芝機械株式会社製)
・型締力 :220トン
・成形条件:バレル温度=160℃
・試験片 :ASTM D638 TYPE IV
ここに、上記射出成形におけるバレル温度は、セルロース繊維の熱分解温度(約240℃)及び第2の熱可塑性マトリックス樹脂の最低成形可能温度(170℃)よりも低い温度で、かつ第1の熱可塑性マトリックス樹脂の最低成形可能温度(110℃)以上の温度として設定されたものである。
また、比較例として、第1の熱可塑性マトリックス樹脂のみからなる成形品(比較例1)と、第1の熱可塑性マトリックス樹脂と繊維とからなる成形品(比較例2)とを作製した。比較例1については、第1の熱可塑性マトリックス樹脂のみを用いて射出成形を行い、比較例2については、第1の熱可塑性マトリックス樹脂と繊維とを配合比(第1の熱可塑性マトリクス樹脂:繊維=95:5)でドライブレンドして射出成形を行い、それぞれ引張強度測定用の成形品を得た。得られた比較例1及び比較例2の成形品について、第1の熱可塑性マトリックス樹脂と繊維との配合比を表1に示す。
以上のようにして得られた成形品について、その引張強度を測定する試験を行った。試験結果は、表1に示す通りであった。比較例1の成形品については引張強度が25MPaであり、比較例2の成形品については引張強度が25MPaであるのに対し、実施例1の成形品については引張強度が30MPaであり、繊維を第2の熱可塑性マトリックス樹脂でコーティングすることにより繊維強化樹脂成形品について引張強度が向上している。
次に、本発明の第2の実施例について説明する。
(2)第2の実施例
第2の実施例は、第1の熱可塑性マトリックス樹脂としてポリプロピレン樹脂(PP樹脂)を用い、第2の熱可塑性マトリックス樹脂としてポリアミド6とポリプロピレンとのポリマーアロイであるポリアミド6/ポリプロピレン樹脂アロイ(PA6/PP樹脂)を用い、繊維としてセルロース繊維を用いたものである。本実施例に係る繊維強化樹脂成形品を成形するに際して、第1及び第2の熱可塑性マトリックス樹脂並びに繊維として用いた材料を以下に示す。
a)第1の熱可塑性マトリックス樹脂
・材質名:ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)
・商品名:K9250A(チッソ株式会社製)
・最低成形可能温度:170℃
b)第2の熱可塑性マトリックス樹脂
・材質名:ポリアミド6/ポリプロピレン樹脂アロイ(PA6/PP樹脂)
・商品名:NAP1300(宇部興産株式会社製)
・最低成形可能温度:220℃
c)繊維
・材質名:セルロース繊維
・商品名:TerraCel(Rayonier社製)
上記第2の熱可塑性マトリックス樹脂と繊維とを配合比(第2の熱可塑性マトリクス樹脂:繊維=50:50)でドライブレンドし、一種の押出成形機としての溶融粘度測定装置により押出成形を行い、棒状の成形品を得た。そして、この棒状の成形品を切断してサブ複合体を得た。この押出成形に用いた装置及び成形条件等を以下に示す。
d)押出成形に用いた装置及び成形条件
・装置 :溶融粘度測定装置(商品名:キャピログラフ1C)
株式会社東洋精機製作所製、バレル径=9.55mm
・成形条件:樹脂温度=230℃、ダイ径=1.0mm
ピストン押出速度=50mm/分
ここに、上記押出成形における樹脂温度は、セルロース繊維の熱分解温度(約240℃)よりも低い温度で、かつ第2の熱可塑性マトリックス樹脂の最低成形可能温度(220℃)以上の温度として設定されたものである。
次に、繊維の重量割合が5%となるように、上記第1の熱可塑性マトリックス樹脂と上記サブ複合体とを配合比(第1の熱可塑性マトリクス樹脂:サブ複合体=90:10)でドライブレンドし、射出成形を行い、引張強度測定用の成形品(試験片)を得た。得られた成形品について、第1及び第2の熱可塑性マトリックス樹脂並びに繊維とは表1に示す配合比である。なお、サブ複合体は、第2の熱可塑性マトリックス樹脂と繊維とが配合比(第2の熱可塑性マトリクス樹脂:繊維=50:50)で配合されている。
本実施例(実施例2)において、射出成形に用いた装置及び成形条件等を以下に示す。
e)射出成形に用いた装置及び成形条件
・装置 :射出成形装置(東芝機械株式会社製)
・型締力 :220トン
・成形条件:バレル温度=190℃
・試験片 :ASTM D638 TYPE IV
ここに、上記射出成形におけるバレル温度は、セルロース繊維の熱分解温度(約240℃)及び第2の熱可塑性マトリックス樹脂の最低成形可能温度(220℃)よりも低い温度で、かつ第1の熱可塑性マトリックス樹脂の最低成形可能温度(170℃)以上の温度として設定されたものである。
また、比較例として、第1の熱可塑性マトリックス樹脂のみからなる成形品(比較例3)と、第1の熱可塑性マトリックス樹脂と繊維とからなる成形品(比較例4)とを作製した。比較例3については、第1の熱可塑性マトリックス樹脂のみを用いて射出成形を行い、比較例4については、第1の熱可塑性マトリックス樹脂と繊維とを配合比(第1の熱可塑性マトリクス樹脂:繊維=95:5)でドライブレンドして射出成形を行い、それぞれ引張強度測定用の成形品を得た。得られた比較例3及び比較例4の成形品について、第1の熱可塑性マトリックス樹脂と繊維との配合比を表2に示す。
以上のようにして得られた成形品について、その引張強度を測定する試験を行った。試験結果は、表2に示す通りであった。比較例3の成形品については引張強度が30MPaであり、比較例4の成形品については引張強度が30MPaであるのに対し、実施例2の成形品については引張強度が40MPaであり、繊維を第2の熱可塑性マトリックス樹脂でコーティングすることにより繊維強化樹脂成形品について引張強度が向上している。
このようにして得られた本実施形態に係る繊維強化樹脂成形品の断面構造をイメージ化して模式的に表した説明図を図1に示す。繊維強化樹脂成形品Pは、最低成形可能温度が高い方の第2の熱可塑性マトリックス樹脂M2中に繊維Fが分散してなるサブ複合体Sが、最低成形可能温度が低い方の第1の熱可塑性マトリックス樹脂M1中に分散して構成されている。
本実施形態では、上記繊維強化樹脂成形品は、繊維を第2の熱可塑性マトリックス樹脂によりコーティングし、該コーティングの後に、第2の熱可塑性マトリックス樹脂によりコーティングされた繊維、すなわち繊維と第2の熱可塑性マトリックス樹脂とからなるサブ複合体と第1の熱可塑性マトリックス樹脂とを、第2の熱可塑性マトリックス樹脂の最低成形可能温度未満、かつ第1の熱可塑性マトリックス樹脂の最低成形可能温度以上の温度で混練して所定の形状に成形することで得られ、この繊維強化樹脂成形品では、混練時に繊維が第2の熱可塑性マトリックス樹脂によりコーティングされているので、繊維が糸玉状になることが抑制され、繊維強化樹脂成形品について引張強度を向上させることができる。
なお、図1では、サブ複合体S内部には4本の繊維Fが分散して示されているが、サブ複合体Sに、このように複数の繊維を含むようにしてもよく、あるいは1本の繊維のみを含むようにしてもよい。また、第2の熱可塑性マトリックス樹脂による繊維へのコーティングについては、繊維を第2の熱可塑性マトリックス樹脂によりコーティングするとともに、複数の繊維からなる繊維束を第2の熱可塑性マトリックス樹脂によりコーティングするようにしてもよい。本実施形態では、図1に示すように、繊維Fの外周部に第2の熱可塑性マトリックス樹脂M2がコーティングされているが、繊維F内部に第2の熱可塑性マトリックス樹脂をコーティングすることも可能である。
このように、本発明に係る繊維強化樹脂成形品の製造方法によれば、繊維と樹脂との混練時に繊維が第2の熱可塑性マトリックス樹脂によりコーティングされているので、繊維が糸玉状になることを抑制することができ、繊維による補強効果を効果的に得ることができる。
繊維強化樹脂成形品について、例えば別の樹脂を添加させることにより強度等の性能を更に向上させる場合には、添加樹脂を好適に選定したり添加樹脂の分散性を考慮したりする必要があるが、本発明の繊維強化樹脂成形品の製造方法によれば、別の樹脂を添加することなく、繊維強化樹脂成形品について強度等の性能を更に向上させることが可能である。
また、繊維が糸玉状になりやすい天然繊維を用いる場合においても、繊維が糸玉状になることを抑制することができ、上記作用効果をより有効に奏することができる。繊維として天然繊維を用いることにより、環境負荷の低減を図ることも可能である。
更に、複数の繊維からなる繊維束が第2の熱可塑性マトリックス樹脂によりコーティングされることにより、複数の繊維を第2の熱可塑性マトリックス樹脂で補強することができ、繊維が糸玉状になることをより有効に抑制することができるとともに、繊維による補強効果を更に向上させることができる。
また更に、第2の熱可塑性マトリックス樹脂によりコーティングされた繊維と第1の熱可塑性マトリックス樹脂とからなる繊維強化樹脂を射出成形によって成形することにより、高精度で生産性の高い射出成形を用いて、比較的容易に上記作用効果を奏することができる。
本実施形態では、繊維としてセルロース繊維を用いているが、例えばマニラ麻、サイザル麻、ジュート麻、竹、わら、絹、木綿、ケナフ、ヤシ、ウールなど、その他の天然繊維を使用してもよく、あるいは、例えばアクリル、ポリエステル、ナイロン、アラミド、ポリウレタンなど、その他の合成繊維を適用することも可能である。かかる場合においてもセルロース繊維を用いた場合と同様の作用効果を奏することができる。特に、天然繊維を使用する場合には、合成繊維を使用する場合に比して環境負荷の低減を図ることができる。なお、繊維としては、熱分解が起こりにくい精製した繊維を用いることが好ましい。
また、本実施形態では、第1の熱可塑性マトリックス樹脂と第2の熱可塑性マトリックス樹脂との組み合わせとして、ポリブチレンサクシネートとポリ乳酸やポリプロピレンとポリアミド6/ポリプロピレンを用いているが、例えば、ポリ−L−乳酸(PLLA)とポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸との混合物であるPLAステレオコンプレックス、ポリアミド6(PA6)とポリアミド66(PA66)、ポリスチレン(PS)とアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、低密度ポリエチレン(LDPE)とマレイン酸変性ポリプロピレン、ポリプロピレンとポリアミド6など、その他の樹脂の組み合わせを適用することが可能である。
なお、第1の熱可塑性マトリックス樹脂と第2の熱可塑性マトリックス樹脂との組み合わせについては、第1の熱可塑性マトリックス樹脂の最低成形可能温度が第2の熱可塑性マトリックス樹脂の最低成形可能温度より低くなるように第1の熱可塑性マトリックス樹脂と第2の熱可塑性マトリックス樹脂とを好適に選択することで、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、繊維については、その熱分解温度が第2の熱可塑性マトリックス樹脂の最低成形可能温度より高い繊維を用いることが好ましい。
また、繊維強化樹脂成形品の成形に際し、組み合わせられる第1の熱可塑性マトリックス樹脂と第2の熱可塑性マトリックス樹脂とが相溶性を有していない場合には相溶化剤を添加するようにしてもよい。相溶化剤としては、例えばスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレンブテンゴム(EBR)又は無水マレイン酸変性EBRなどを用いることができ、第1の熱可塑性マトリックス樹脂と第2の熱可塑性マトリックス樹脂とに応じて好適な相溶化剤を適用することができる。
上述したように、本実施形態では、第2の熱可塑性マトリックス樹脂と繊維とを一種の押出成形機としての溶融粘度測定装置により押出成形することで、繊維が第2の熱可塑性マトリックス樹脂によりコーティングされたサブ複合体が形成されているが、第2の熱可塑性マトリックス樹脂による繊維へのコーティングについては、ガラス長繊維ペレットを調製する場合と同様の製造方法によって行うことも可能である。例えば、1つ若しくは複数の繊維を溶融状態にある樹脂を備えた樹脂槽に導入し、上記繊維が樹脂槽を通過する際に繊維の内部及び/又は外周部に樹脂をコーティングし、この樹脂がコーティングされた繊維を冷却槽に浸漬させ冷却し、その得られた成形品を切断して繊維と第2の熱可塑性マトリックス樹脂とからなるペレット状のサブ複合体を得るようにしてもよい。
また、第2の熱可塑性マトリックス樹脂による繊維へのコーティングについては、樹脂エマルジョンを用いて、フィラメントワインディング法によって繊維に樹脂を含浸させるようにすることも可能である。なお、第2の熱可塑性マトリックス樹脂によりコーティングされる繊維に、樹脂との接着性を良くするために、例えばアルカリ処理などの表面処理を予め施すようにしてもよい。
以上のように、本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能であることは言うまでもない。
本発明は、母材樹脂の内部に強化材として繊維を含有させた繊維強化樹脂成形品の製造方法であり、特に、繊維として天然繊維を用いる繊維強化樹脂成形品において有利に利用することができる。
本実施形態に係る繊維強化樹脂成形品の断面構造をイメージ化して模式的に表した説明図である。 セルロース繊維を含有する繊維強化樹脂を射出成形によって成形した繊維強化樹脂成形品についての顕微鏡写真を示す図である。
符号の説明
F 繊維
M1 第1の熱可塑性マトリックス樹脂
M2 第2の熱可塑性マトリックス樹脂
P 繊維強化樹脂成形品
S サブ複合体

Claims (4)

  1. 繊維と、第1の熱可塑性マトリックス樹脂と、該第1の熱可塑性マトリックス樹脂よりも最低成形可能温度が高い第2の熱可塑性マトリックス樹脂とを含有し前記繊維により強化された繊維強化樹脂から成形されてなる繊維強化樹脂成形品の製造方法であって、
    前記繊維を前記第2の熱可塑性マトリックス樹脂によりコーティングするコーティングステップと、
    前記コーティングステップの後に、前記第2の熱可塑性マトリックス樹脂によりコーティングされた前記繊維と前記第1の熱可塑性マトリックス樹脂とを、前記第2の熱可塑性マトリックス樹脂の最低成形可能温度未満、かつ前記第1の熱可塑性マトリックス樹脂の最低成形可能温度以上の温度で混練する混練ステップと、
    前記混練ステップの後に、前記第2の熱可塑性マトリックス樹脂によりコーティングされた前記繊維と前記第1の熱可塑性マトリックス樹脂とからなる繊維強化樹脂を所定の形状に成形する成形ステップと、
    を備えていることを特徴とする繊維強化樹脂成形品の製造方法。
  2. 前記繊維が、天然繊維であることを特徴とする請求項1記載の繊維強化樹脂成形品の製造方法。
  3. 前記コーティングステップにおいて、前記繊維が前記第2の熱可塑性マトリックス樹脂によりコーティングされるとともに、複数の前記繊維からなる繊維束が前記第2の熱可塑性マトリックス樹脂によりコーティングされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の繊維強化樹脂成形品の製造方法。
  4. 前記成形ステップが、射出成形によって行われていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一に記載の繊維強化樹脂成形品の製造方法。
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