JP2007253199A - 熱間圧延時の耐表面割れ性に優れた薄鋼板及びその製造方法 - Google Patents

熱間圧延時の耐表面割れ性に優れた薄鋼板及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】鋼片の直送圧延もしくはホットチャージ圧延において、溶融・凝固に引き続く冷却過程で鋼片をAr1以下に下げることなく、そのまま、又は再加熱し熱延を施す工程において、表面割れの発生しにくい薄鋼板とその製造方法を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.06〜0.30%、Si:2.0%以下、Mn:0.1〜3.0%、P:0.1%以下、S:0.0005〜0.01%、Al:0.004以上で0.025%未満、N:0.0005〜0.010%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、円相当径が50nm以下の粒界窒化物が、粒界1μm当たり140個以下とした薄鋼板とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、表面性状に優れた鋼板に関し、特に鋼片の直送圧延もしくはホットチャージ圧延時において、溶融、凝固に引き続いて、そのまま、又は、再加熱し熱延を施す工程において、熱間圧延時の耐表面割れ性に優れた熱延鋼板及びその製造方法、及びこの熱延鋼板を素材として製造される冷延鋼板及び表面処理鋼板及び鋼管に関する。
鋼板の製造工程では、連続鋳造後直ちに熱間圧延する直送圧延や、連続鋳造後、加熱炉へのスラブ装入温度をオーステナイト温度域とし、その後熱間圧延をするいわゆるホットチャージ圧延を行うことにより、スラブに蓄えられた熱エネルギーを有効利用する方法が盛んに利用されている。
スラブが鋳造後室温まで冷却されてγ相からα相へ変態後に再加熱圧延される通常の圧延に対して、上述の如き直送圧延やホットチャージ圧延では、スラブ表面がα相への変態を経ることなく鋳造時に粗大なγ粒のまま加熱され、圧延される。このため、熱間圧延の初期にγ粒界に沿って割れが発生し、この割れが進展することにより大きな割れに至るいわゆる鋼板表面割れが発生する場合がある。
このような、直送圧延やホットチャージ圧延の鋼板表面割れの防止方法として、特許文献1では鋳片スラブ表面から10mm以内の範囲をAr3−100℃以下と、1000℃以上1250℃以下の温度に2回以上加熱冷却を繰り返した後に熱間圧延をする方法が記載されている。この特許文献1に示す開示技術では、上述の温度範囲において加熱と冷却を繰り返すことにより、γ粒の微細化が起こるとともに、冷却中に粒界に析出した炭窒化物は、旧粒界の位置に残存することから新たに生成した粒界に存在しなくなることを見出し、また加熱冷却を少なくとも2回以上繰り返すことにより、表面欠陥を抑制することが可能なことを見出して上述の条件を提案している。
特許文献2には、連続鋳造したスラブを一旦、Ac1点以下まで冷却した後、再度加熱して圧延を行う方法が提案されている。また特許文献3には、スラブの表層部を冷却し350℃〜500℃の温度に1分以上保持した後、表層部を変態させた上で再加熱して圧延する方法が記載されている。これらの技術は、変態を目的として一旦冷却した後に再加熱する必要があり、本来の高温での装入を目的とした直送圧延、ホットチャージ圧延の利点が損なわれ、熱エネルギー的に不利なばかりでなく、目標とする温度までスラブを放冷する必要から生産性を著しく損なうという問題がある。また、特許文献4には、析出物の形態制御のため、1300℃から1150℃の温度範囲で1パス15%以上の圧下率で2回以上圧延を行うことによる表面割れの防止方法が開示されている。この特許文献4の開示技術では、高温での圧延を達成するためにはスラブ抽出温度を非常に高くする設定する必要があり、同じく、熱エネルギー的に不利となり、高温抽出による生産性の低下が問題となる。特許文献5は熱延用加熱炉に使用する燃料の硫化水素濃度を50ppm以下とする方法を記載しているが、使用燃料の自由度を著しく阻害すること、硫化物起因の割れ以外には効果が発揮できないという問題がある。特許文献6では、(Fe、Mn)Sの粒界析出起因の表面割れを抑制するために、MnよりもSとの結合力の強いTi、Mg、Ca、Ce、La、Ba、Liのうち1種または2種以上添加し、硫化物を作ることで、(Fe、Mn)Sの生成を抑制する手法を提案しているが、硫化物起因の割れ以外には効果が発揮できない。また、溶鋼中の粗大硫化物は製品の加工性を低下させるため、加工性の求められる鋼板には適用できないという問題がある。
特開平7−290101号公報 特開昭55−84202号公報 特公平7−112563号公報 特開昭55−77901号公報 特開2001−25801号公報 特開2002−178007号公報
そこで本発明は、上述した従来の問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、鋼片の直送圧延もしくはホットチャージ圧延において、可能な限り高温で熱延加熱炉に装入し、そのまま又は再加熱し熱延を施す工程において、表面割れの発生しにくい、熱間圧延時の耐表面割れ性に優れた薄鋼板及びその製造方法を提供することにある。
本発明は、窒化物の列状析出が熱延割れの主原因であることを見出し、その列状析出の無害化のため、円相当径が50nm以下の粒界窒化物を、粒界1μm当たり140個以下とすることで熱延での割れが抑制できることに着目して案出されたものである。
即ち、請求項1に係る発明は、質量%で、C:0.06〜0.30%、Si:2.0%以下、Mn:0.1〜3.0%、P:0.1%以下、S:0.0005〜0.01%、Al:0.004以上で0.025%未満、N:0.0005〜0.010%、を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、円相当径が50nm以下の粒界窒化物が、粒界1μm当たり140個以下であることを特徴とする。
また、請求項2に係る発明は、更に質量%で、Ti:0.01〜0.20%を含有し、Nの含有量[N]、Tiの含有量[Ti]が下記の式(A)を満たすことを特徴とする請求項1の薄鋼板である。
[Ti]−3.4×[N]>0(A)
また、請求項3に係る発明は、更に質量%で、Nb:0.01〜0.10%、V:0.005〜0.05%、B:0.0003〜0.010%、Ca:0.0005〜0.02%、Mg:0.0005〜0.02%、Zr:0.0005〜0.02%、REM:0.0005〜0.02%、Cu:0.04〜1.4%、Ni:0.02〜0.8%、Mo:0.02〜0.5%、Cr:0.02〜1.0%の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の薄鋼板である。
また、請求項4に係る発明は、円相当径が50nm以下の粒界窒化物が、AlN、NbN、AlとNbの複合窒化物の1種又は2種以上を含むことを特徴とする請求項1〜3のうち何れか1項記載の薄鋼板である。
また、請求項5に係る発明は、請求項1〜4のうち何れか1項記載の薄鋼板の製造方法において、直送圧延もしくはホットチャージ圧延する際において、溶融、凝固に引き続く冷却過程で鋼片をAr1以下の温度まで下げることなく、そのまま又は再加熱し熱延を施すことを特徴とする薄鋼板の製造方法である。
また、請求項6に係る発明は、さらに連続鋳造から熱間圧延の加熱炉で加熱されるまでの時間が2〜10時間であることを特徴とする請求項5記載の薄鋼板の製造方法である。
また、請求項7に係る発明は、さらに900〜1200℃の温度範囲で1パス当たり10%以上の圧下率、ひずみ速度1/s以上で3回以上の粗圧延を行うことを特徴とする請求項5又は6記載の薄鋼板の製造方法である。
本発明によれば、鋼片の直送圧延もしくはホットチャージ圧延において、熱間圧延で表面割れの生じない、表面性状に優れた薄鋼板を提供することができる。また、本発明では、スラブに蓄えられた熱エネルギーを有効利用し、製造コストの低減を図るとともに、冷却、再加熱時間の短縮による生産性の向上ができるものとして工業的価値を向上させることが可能となる。。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、熱間圧延時の耐表面割れ性に優れた薄鋼板を例にとり詳細に説明する。以下、組成における重量%は、単に%と記載する。
一般に、1150℃〜1000℃付近で発生する割れはII領域脆性で割れることが知られており、中炭鋼は包晶温度が高いためにγ粒径が大きく応力集中しやすいこと、γ粒界に析出する硫化物、酸化物が粒界強度を低下させることが原因といわれている。
本発明者等は、従来技術では極めて困難であった熱間圧延時の耐表面割れ性を有し、且つ製造コスト性、生産性に優れた薄鋼板を得るため、熱延工程の1150℃〜1000℃の粗圧延時に割れが発生したコイル、スラブを詳細に調査した。その結果、割れの発生するスラブにおいて、図1に示すようなAl窒化物、Nb窒化物、あるいはAlとNbの複合窒化物が旧γ粒界上に列状に析出していることを見出し、γ粒界への前記窒化物の列状析出が熱延割れの主原因であることを見出した。そして、その列状析出の無害化のため析出物のサイズ、密度の影響について鋭意検討し、円相当径が50nm以下の前記粒界窒化物を、粒界1μm当たり140個以下とすることで熱延での割れが抑制できることを見出した。そして、これを達成する手段として、Al添加量を低減し、AlNの析出の駆動力を低くし、連続鋳造から熱延の加熱炉にて加熱されるまでの時間と温度の条件を規定することで、粒界上の前記窒化物析出物密度を低減させることが有効であることを見出し、本発明を案出するに至った。
以下、本発明を適用した薄鋼板を構成する各成分の添加理由及び数値限定理由について説明する。
C :0.06〜0.30%
Cは、0.12%のときに包晶温度が最も高く、γ粒径が大きくなるため熱延時の表面割れが発生しやすいが、高強度鋼板においては、パーライトやベイナイトなどによる組織強化や微細なNbCを生成し、析出強化を得るために添加が必須な元素である。これら効果を安定して得るためには0.06%以上の添加が必要である。しかし、0.30%を超えると溶接性が低下する。このため、本発明では溶接性をも維持する観点から、Cの含有量の上限を0.3%とする。
Si:2.0%以下
Siは、有害な炭化物の生成を抑えフェライト分率を増加させることにより伸び性を向上させるために有効な元素であり、固溶強化により材料強度確保のためにも有効な元素であることから、0.01%以上の添加が望ましい。但し、過剰な添加で化成処理性を悪化させ、特にSiの含有量が2.0%を超えると熱延時のデスケーリング性が著しく低下し、Siスケールも発生する。このため、Siの含有量の上限を2.0%とした。特に、表層品位が問題となる鋼板おいて、このSiの含有量は、1.0%以下が望ましい。
Mn:0.1〜3.0%
このMnは、強度の確保に必要な元素であり、0.1%以上の添加を必要とする。しかし、3.0%を超えて多量に添加するとミクロ偏析、マクロ偏析が起こりやすくなり、材料の加工性を劣化させる他、化成処理性も劣化してしまう。このため、このMnの含有量は、0.1〜3.0%とした。
P :0.1%以下
Pはフェライトに固溶してその延性を低下させるので、その含有量は0.1%以下とする。
S :0.0005〜0.01%
Sは、硫化物を形成して鋼の脆性を著しく低下させ、表面割れの発生の原因となる。即ち、このSの含有量は低い方が望ましいため、上限を0.01%とする。またSは、MnSなどの硫化物系介在物を形成し、割れの起点となって加工性を劣化させるため、加工性の必要な場合には0.005%以下とすることが望ましい。ただし、0.0005%未満まで低下させても、含有量低減による加工性の向上の効果は飽和しており、生産コストも増大するため、下限を0.0005%とした。
Al:0.004以上で0.025%未満
Alは、本発明で最も重要な元素の一つである。Alは脱酸に必要な元素であり、添加量が少ないと鋼中の酸化物が増大し、脆性を劣化させ、熱延時の表面割れを促進する。十分な脱酸を行うためには、0.004%以上の添加が必要である。一方、AlはNと結合して、AlNとして粒界析出し、Nbの添加されている鋼板では、NbとAlの複合窒化物として粒界析出するため、添加量が多いと、鋼の脆性を低減させ、表面割れの原因となる。この抑制のためにはAlを0.025%未満とする必要がある。特に、表面性状に厳しい鋼板では、このAlの含有量を0.02%以下とすることが望ましい。
N :0.0005〜0.010%
Nを添加し過ぎると、Alと結合して、γ粒界へのAl窒化物、Nb窒化物、あるいはAlとNbの複合窒化物の列状析出し、脆性を低下させ、熱延時の表面割れの原因を作り出す。このため、Nの含有量の上限を0.010%以下とした。一方、Nの濃度を0.0005%未満とするには製造コストが高くなるので0.0005%を下限とする。
Ti:0.01〜0.20%
Tiは本発明における重要な元素の一つである。TiはNbと同様、炭化物の微細な析出による析出強化により、鋼板の高強度化を可能とする。またTiは、Nとの親和力が強く、Ar1超の温度で円相当径100nm超の比較的大きなTiNを形成し、Nを固定することでγ粒界へのAl窒化物、Nb窒化物、あるいはAlとNbの複合窒化物の列状析出を抑制し、熱間圧延時の表面割れを抑制する効果がある。これらの結果を有効に発揮させるためには少なくとも0.01%の添加が必要である。しかし、これらの添加が過度になると析出強化により延性が劣化するため、上限としてTiは0.20%以下とする。TiNの円相当径は100nm超、5μm以下が好ましい。また、このTiNの円相当径は、100nm未満ではNを固定しきれず前記粒界窒化物の析出を抑え切れないこと、TiNの粒界析出物が逆に割れの原因となるため100nm超が望ましい。このTiNの円相当径が5μm超では大きくなり過ぎ、穴拡げ性などの加工性が劣化するため5μm以下が好ましい。さらに好ましくは100nm超、1μm以下である。
また、Tiの含有量はNの含有量に対して、式(A)を満たす必要がある。
[Ti]−3.4×[N]>0(A)
式(A)を満たさないと、TiNの析出が十分に起こらず、Nを固定しきれず前記粒界窒化物の析出を抑え切れないため、熱延での表面割れを抑制できない。また、本発明は前記窒化物の抑制を目的とするため、特にSの含有量が高い場合も、式(A)を変化させるものではない。
Nb:0.01〜0.10%
Nbは炭化物の微細な析出による析出強化により、鋼板の高強度化を可能とする。また、γの加工再結晶を抑制することで鋼板の結晶粒を微細化し、疲労強度を上昇させる。この目的のためにはNbを0.01以上添加することが必要である。一方、多量の添加は析出強化能が頭打ちとなること、更にAlと同様Nb窒化物、NbとAlの複合窒化物を形成し、熱延での表面割れの原因となることから、0.10%以下とする。
V :0.005〜0.05%、B:0.0003〜0.010%
V、Bは共に窒化物形成元素でありNb、Alと同様、脆性を低下させ、熱延時の表面割れの原因となるため添加されないことが望ましい。但し、Vは微細炭化物を形成することで鋼を強化し、Bは鋼の焼入れ性を高めることで鋼を強化するために添加される。この効果を得るためにはVで0.005%以上、Bで0.0003%以上の添加が必要である。ただし、Vで0.05%超、Bで0.01%超添加しても、効果は飽和するためこれを上限とする。
Ca:0.0005〜0.02%、Mg:0.0005〜0.02%、Zr:0.0005〜0.02%、REM:0.0005〜0.02%
Ca、Mg、Zr、REMは硫化物系介在物の形態を制御し、局部延性を改善するために有効である。この形態制御効果を有効ならしめるためにはCa、Zr、Mg、REMの1種または2種を0.0005%以上の添加するのが望ましい。一方、多量の添加は硫化物系介在物の粗大化を招き、清浄度を悪化させて延性を低下させるのみならず、コストの上昇を招くので、CaとZr、Mg、REMの上限を0.02%とする。なお、REMとしては、例えば、元素番号21、39、57〜71の元素である。
Cu:0.04〜1.4%、Ni:0.02〜0.8%、Mo:0.02〜0.5%、Cr:0.02〜1.0%
Cu、Ni、Mo、Crはミクロ組織および強度の制御に用いられるもので、添加量が少ないと強度上昇の効果がなく、過剰の添加では、延性を劣化させる。従って、Cuは0.04〜1.4%、Niは0.02〜0.8%、Moは0.02〜0.5%、Crは0.02〜1.0%の1種または2種以上を添加することが必要である。
γ粒界の析出状態は本発明において最も重要な因子のひとつである。本発明者らは熱延時の表面割れ発生の有無とγ粒界上の析出状態の関係について、鋭意検討を行った。そして、γ粒界上に50nm以下のAl窒化物が列状に析出し、この総数が粒界1μmあたり140個以下となるとき、前記粒界析出物は無害化され、熱延での表面割れが抑制できることを見出した。またNb添加鋼においてはAl窒化物、Nb窒化物、AlとNbの複合窒化物が列状に析出しており、同様にこれを合わせた総数が粒界1μmあたり140個以下となるとき、前記粒界析出物は無害化され、熱延での表面割れが抑制できることを見出した。前記粒界析出物は、Alが含まれていれば、Nb、B、Vの複合窒化物であっても本発明の効果は変わらない。
次に本発明を適用した薄鋼板の製造方法について説明する。
鋼片の圧延は直送圧延もしくはホットチャージ圧延にて実施される。溶融、凝固後の冷却過程で鋼片をAr1以下の温度に落とすと、熱延時の表面割れは抑制できるが、熱延を行うために、加熱炉で多量の熱エネルギーが必要であり、製造コストが増大することに加え、Ar1までの冷却とその後の加熱のために生産性が著しく低下する。このため、本発明では冷却過程において鋼片はAr1以上に保持し、そのまま又は再加熱して熱間圧延を行うこととする。
連続鋳造後、Ar1超の温度のままで熱延の加熱炉に装入され加熱されるまでの時間は本発明で重要な因子であり、2〜10時間とする。そのメカニズムは明確ではないが、2時間以下では、Ti添加系ではTiNの析出成長が十分でないことに加え、粒界に析出するAl窒化物、Nb窒化物、あるいはAlとNbの複合窒化物の成長も十分でないことから、円相当径50nm以下の前記粒界析出物密度が増加する。一方、Tiの添加されていない系では、粒界に析出する前記窒化物のオストワルド成長が十分に起こらないために円相当径50nm以下の前記粒界析出物密度が増加し、ひいては熱延時の表面割れが発生するためである。一方、上記時間が10時間を越えると、スラブの熱が大気に放出され、鋼片がAr1以下の温度となり、製造コストが増大してしまうためである。
加熱後の熱延工程の粗圧延をII領域脆化温度から外すことで熱延時の表面割れはさらに防止できる。しかしながら、これを高温側で回避するためにはスラブの抽出温度を高くする必要があり、加熱による製造コストが増大することに加え、その後の仕上圧延終了温度を所定の温度とするためには、仕上圧延前に温度待ちする必要が生じ、生産性を阻害する。一方、低温側に回避するためには、仕上げ圧延終了温度を確保することができず、強度、伸びの劣化が起こる。従って本発明では、粗圧延を900〜1200℃で実施する。なお、仕上げ温度を安定して保つには、粗圧延を1000℃以上で実施することが好ましい。
粗圧延は上述した温度範囲で少なくとも10%以上の圧下率で3回以上行う必要がある。その理由として、1パス当たりの圧下率が低いと所定の板厚を得るための圧下回数が多くなり、生産性の低下と仕上温度の確保が困難となるためである。また、圧延回数を3回以下とすると、1パス当たりの圧延率が高くなり、板形状の劣化や、端部割れが発生しやすくなる。また、各圧延におけるひずみ速度は1/s以上とする。その理由として、ひずみ速度が小さいと、生産性が低下する上、加工発熱量の低下から板温度の確保が困難となるためである。
本発明は、熱間圧延中の表面割れを抑制するものであり、圧延以降の仕上げ圧延温度、ROT冷却、巻取り温度に制約を与えるものではない。また、この熱延鋼板を素材として冷延鋼板および表面処理鋼板および鋼管を製造する場合にも本発明の効果は失われるものではない。
次に本発明を実施例について説明する。
表1に示す成分の鋼を溶製し、常法に従い連続鋳造でスラブとした。その後の加熱炉で加熱されるまでの時間、装入温度等を表2に示す。加熱炉装入温度は輻射温度計にて測定した。粗圧延は全て1000℃から1200℃の温度で6パスの圧延を各パスとも圧下率10%以上、ひずみ速度1/s(sは、秒を意味する)以上で実施した。
また、これらの鋼中に存在する粒界窒化物を形成している元素の種類、50nm以下の窒化物の1μm当たりの個数、並びに鋼板の表面割れ発生状況を表2に示す。本試験では、析出物は抽出レプリカ法(第3版 鉄鋼便覧IV 鉄鋼材料、試験・分析、P397参照)に基づいて作製したサンプルをEDS元素分析機能が実装された透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、析出物の観察及び、元素分析、回折点から析出物の同定および円相当径、析出物個数の測定を行った。析出物密度はTEMで析出物の列の幅と長さと個数を測定し、(析出物密度)=(個数)/{(長さ)×(幅)}にて求めた。
表1に示す鋼A〜Oが本発明において成分を限定した鋼(以下、発明鋼という。)である。これに対して、鋼p〜vは、本発明において限定した成分から逸脱させた比較鋼であり、鋼pはNbの添加量を、鋼qはNの添加量を、鋼u、vはAlの添加量を、本発明において規定した当該成分の上限範囲から逸脱させており、また窒化物密度が本発明の範囲外となっている。また、鋼r、tはAlの添加量が本発明において規定した成分の範囲から逸脱させている。
表2のうち、A3、C3は鋳造後、加熱までの時間が本発明の範囲外にあり、窒化物密度が本発明の範囲外となっている。
このようにして得られた熱延鋼板について熱間圧延後に表面割れ観察試験を行った。×は表面割れが確認されたもの、○は表面割れが確認されなかったものを示す。
発明鋼では表面割れが見られないのに対し、比較鋼はいずれも表面割れが発生していることがわかる。
γ粒界に見られる列状窒化物

Claims (7)

  1. 質量%で、
    C :0.06〜0.30%、
    Si:2.0%以下、
    Mn:0.1〜3.0%、
    P :0.1%以下、
    S :0.0005〜0.01%、
    Al:0.004以上で0.025%未満、
    N :0.0005〜0.010%、
    を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、円相当径が50nm以下の粒界窒化物が、粒界1μm当たり140個以下であることを特徴とする熱間圧延時の耐表面割れ性に優れた薄鋼板。
  2. 更に質量%で、
    Ti:0.01〜0.20%を含有し、Nの含有量[N]、Tiの含有量[Ti]が下記の式(A)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の熱間圧延時の耐表面割れ性に優れた薄鋼板。
    [Ti]−3.4×[N]>0(A)
  3. 更に質量%で、
    Nb:0.01〜0.10%、
    V :0.005〜0.05%、
    B :0.0003〜0.010%、
    Ca:0.0005〜0.02%、
    Mg:0.0005〜0.02%、
    Zr:0.0005〜0.02%、
    REM:0.0005〜0.02%、
    Cu:0.04〜1.4%、
    Ni:0.02〜0.8%、
    Mo:0.02〜0.5%、
    Cr:0.02〜1.0%、
    の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の熱間圧延時の耐表面割れ性に優れた薄鋼板。
  4. 円相当径が50nm以下の粒界窒化物が、AlN、NbN、AlとNbの複合窒化物の1種又は2種以上を含むことを特徴とする請求項1〜3のうち何れか1項記載の熱間圧延時の耐表面割れ性に優れた薄鋼板。
  5. 請求項1〜4のうち何れか1項記載の薄鋼板の製造方法において、直送圧延もしくはホットチャージ圧延する際において、溶融、凝固に引き続く冷却過程で鋼片をAr1以下の温度まで下げることなく、そのまま又は再加熱し熱延を施すことを特徴とする熱間圧延時の耐表面割れ性に優れた薄鋼板の製造方法。
  6. さらに連続鋳造から熱間圧延の加熱炉で加熱されるまでの時間が2〜10時間であることを特徴とする請求項5記載の熱間圧延時の耐表面割れ性に優れた薄鋼板の製造方法。
  7. さらに900〜1200℃の温度範囲で1パス当たり10%以上の圧下率、ひずみ速度1/s以上で3回以上の粗圧延を行うことを特徴とする請求項5又は6記載の熱間圧延時の耐表面割れ性に優れた薄鋼板の製造方法。
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