JP2007250959A - 近接場光露光装置および近接場光露光用フォトマスク - Google Patents
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Abstract
【課題】装置コストを上げることなく、微細な回路パターンを鮮明に再現することができるようにすること。
【解決手段】ランプ11から出た光は光学系2中に設けられた波長選択フィルタ24を介してフォトマスク31へ照射される。波長選択フィルタ24は、感光波長領域の光を吸収または反射させ、露光面でのレジストの感光波長領域の光を、レジストの非感光波長領域の光より少なくする。フォトマスク31に上記光が照射されることにより、フォトマスク31の遮光膜33の開口部の近くに近接場光が発生し、この近接場光により被処理体41のレジスト43が露光する。また、開口部からは伝搬光も発生するが、上記波長選択フィルタ24によりレジスト感光波長領域の光は減衰しているので、レジストは感光せず露光されたパターンにだれは生じない。
【選択図】 図1
【解決手段】ランプ11から出た光は光学系2中に設けられた波長選択フィルタ24を介してフォトマスク31へ照射される。波長選択フィルタ24は、感光波長領域の光を吸収または反射させ、露光面でのレジストの感光波長領域の光を、レジストの非感光波長領域の光より少なくする。フォトマスク31に上記光が照射されることにより、フォトマスク31の遮光膜33の開口部の近くに近接場光が発生し、この近接場光により被処理体41のレジスト43が露光する。また、開口部からは伝搬光も発生するが、上記波長選択フィルタ24によりレジスト感光波長領域の光は減衰しているので、レジストは感光せず露光されたパターンにだれは生じない。
【選択図】 図1
Description
この発明は、半導体や液晶基板の露光、光学部品等の製造を行う露光装置であって、露光時に近接場光を用いる露光装置およびこの露光装置に使用されるフォトマスクに関し、更に詳しくは、レジストを近接場光で感光させ露光する近接場光露光装置に関するものである。
半導体の製造工程において、回路パターンなどをフォトマスクに形成し、この回路パターンをレジストに転写させて、半導体回路を形成する露光技術、いわゆるフォトリソグラフィ技術が広く用いられている。この露光技術には、フォトマスクと被処理体(例えば半導体ウエーハ)との間の距離によって、密着露光、近接露光、投影露光という種類に分けられる。これらの中で、フォトマスクの破損がなく、また、解像度を高めるのに有利という理由から投影露光法が用いられることが多い。
この投影露光法における解像度は、照射光の波長や、装置の光学系の開口数によって決められる。投影露光装置の原理的な解像度Rは以下の(1)式で表される。
R=mλ/NA・・・(1)
ここで、λは露光装置における光源の波長であり、NAはレンズの開口数であり、mはレジストプロセスに依存する定数である。
この投影露光法における解像度は、照射光の波長や、装置の光学系の開口数によって決められる。投影露光装置の原理的な解像度Rは以下の(1)式で表される。
R=mλ/NA・・・(1)
ここで、λは露光装置における光源の波長であり、NAはレンズの開口数であり、mはレジストプロセスに依存する定数である。
このような、(1)式から、解像度Rをより向上させるためには、mとλを小さくするとともに、NAの値を大きくする方法が考えられる。つまり、レジストプロセスに依存する定数mを小さくするとともに、露光装置の光源の短波長化を図り、さらにはレンズの高NA化を進めることにより、解像度Rをより向上させることができる。
ところが、レンズの高NA化は、光の焦点深度が浅くなり、却って解像度の低下を招くといった問題が生じる。そこで、今までの高解像度化は、主に光源の短波長化によって進められてきた。具体的には、水銀ランプのg線(436nm)からi線(365nm)へと変わり、さらにKrFエキシマレーザ(248nm)やArFエキシマレーザ(193nm)へと光源の短波長化が進められてきた。
しかしながら、この光源の短波長化に伴い、光源自身が複雑で高価なものになるのみならず、空気との屈折率の関係から露光部分全体を液体中で処理したり、真空紫外光領域の光では光路全体を真空または窒素置換雰囲気で露光する等、露光装置が非常に煩雑で高価になるという問題が大きくなってきている。
ところが、レンズの高NA化は、光の焦点深度が浅くなり、却って解像度の低下を招くといった問題が生じる。そこで、今までの高解像度化は、主に光源の短波長化によって進められてきた。具体的には、水銀ランプのg線(436nm)からi線(365nm)へと変わり、さらにKrFエキシマレーザ(248nm)やArFエキシマレーザ(193nm)へと光源の短波長化が進められてきた。
しかしながら、この光源の短波長化に伴い、光源自身が複雑で高価なものになるのみならず、空気との屈折率の関係から露光部分全体を液体中で処理したり、真空紫外光領域の光では光路全体を真空または窒素置換雰囲気で露光する等、露光装置が非常に煩雑で高価になるという問題が大きくなってきている。
一方、光源は従来と同じ水銀ランプであってもエキシマレーザと同等以上の高解像度を得ることができるリソグラフィ技術として、近接場光を用いたリソグラフィが提案され、様々な研究が行われている。
例えば、特許文献1には、レジスト膜を構成する分子間の共鳴エネルギーに相当する波長より長いいわゆる非共鳴光をレジストに照射してレジスト膜を感光させ、回路パターンをレジスト上に転写する近接場光によるレジストパターンの形成方法が開示されている。 特許文献1はレジストの非感光波長域以外の光をレジストに照射して、近接場光露光を行うことが可能であることを示唆したものと考えられるが、光源としてどのようなものを用いるのか、また、非感光波長域以外の光を照射することでどのような効果が得られるのかについては言及されていない。
また、近接場光露光において、レジストの感光波長領域の光を用いてパターン形成を行うもので、光源にランプを用いることは非特許文献1に記載されている。
特開2004−235574号公報
O plus E vol.25,No12(2003年12月号)PP.1336−1340
例えば、特許文献1には、レジスト膜を構成する分子間の共鳴エネルギーに相当する波長より長いいわゆる非共鳴光をレジストに照射してレジスト膜を感光させ、回路パターンをレジスト上に転写する近接場光によるレジストパターンの形成方法が開示されている。 特許文献1はレジストの非感光波長域以外の光をレジストに照射して、近接場光露光を行うことが可能であることを示唆したものと考えられるが、光源としてどのようなものを用いるのか、また、非感光波長域以外の光を照射することでどのような効果が得られるのかについては言及されていない。
また、近接場光露光において、レジストの感光波長領域の光を用いてパターン形成を行うもので、光源にランプを用いることは非特許文献1に記載されている。
従来として、非特許文献1に示したように、ランプを光源として感光波長領域の光を用いてパターン形成を行う場合、回折によりマスクパターンと異なる分布となる伝搬光が生ずる。この伝搬光にレジストが感光すると、レジストパターンがマスクパターンと異なることになり、半導体素子や光学素子の性能が低下する。
そのため、照射光の均一性を高め、レジストが感光するための時間が面内で一定になるようにして、伝搬光による感光を防ぐ必要がある。
しかし、高い均一性を実現するために、複雑な光学系を設計し、また、ランプも非常に安定した出力が求められ、コストが高くなるという問題もあった。
そのため、照射光の均一性を高め、レジストが感光するための時間が面内で一定になるようにして、伝搬光による感光を防ぐ必要がある。
しかし、高い均一性を実現するために、複雑な光学系を設計し、また、ランプも非常に安定した出力が求められ、コストが高くなるという問題もあった。
さらに、マスクパターンが複数の開口幅を有する場合、均一な光を照射しても開口幅によって発生する近接場光強度が異なることから、一部が露光不足あるいは露光過剰となり、正確なパターン転写が極めて困難となる。
そこで、パターン開口幅毎に分割し、多重露光を行うことも考えられるが、複数のマスクを必要とし、時間もマスクの数だけ長くなってしまう。さらに、近接場光リソグラフィは密着露光であることから、マスクとレジストの剥離を行うことでレジスト表面が荒れ、その後の密着に不具合をもたらすこともある。このため、マスクを分割することは難しく、一括で露光を行う必要があった。
一方、レーザを使った非感光波長域の近接場光リソグラフィが提案されているが、一括露光を行うためには、レーザの照射面積を広げるため、ビームエキスパンダーが必要となり、また、ビーム径を広げても充分な照度が得られるような大出力レーザも必要となる。
それため、コストが高くなるという問題もある。また、レーザはコヒーレント光であることから干渉しやすく、強度ムラが生じてしまい、露光パターンにムラができることがあった。
そこで、パターン開口幅毎に分割し、多重露光を行うことも考えられるが、複数のマスクを必要とし、時間もマスクの数だけ長くなってしまう。さらに、近接場光リソグラフィは密着露光であることから、マスクとレジストの剥離を行うことでレジスト表面が荒れ、その後の密着に不具合をもたらすこともある。このため、マスクを分割することは難しく、一括で露光を行う必要があった。
一方、レーザを使った非感光波長域の近接場光リソグラフィが提案されているが、一括露光を行うためには、レーザの照射面積を広げるため、ビームエキスパンダーが必要となり、また、ビーム径を広げても充分な照度が得られるような大出力レーザも必要となる。
それため、コストが高くなるという問題もある。また、レーザはコヒーレント光であることから干渉しやすく、強度ムラが生じてしまい、露光パターンにムラができることがあった。
以上のように、近接場光を用いた露光であっても、マスクパターンを正確に再現できない場合があり、高い均一性を実現するために、複雑な光学系を設計したり、安定した出力のランプを使用するなどの工夫をしていた。特に、マスクパターンが複数の開口幅を有する場合には、近接場光露光によりマスクパターンを正確に再現することは困難であった。
さらに、光源としてレーザを用いることも考えられるが、大出力のレーザを必要とするなど装置コストが高くなってしまうという問題もあった。
このため、安価なランプを用いたローコストな光学系を用いて、マスクパターンを正確に再現でき、かつ、開口幅の異なるパターンであっても正確な再現が可能な露光装置が強く望まれている。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、その目的は、近接場光露光において一括露光を行った場合であっても、マスクパターンに対して、微細な回路パターンを鮮明に再現することができ、さらには、フォトマスクに設けられた回路パターンに複数の開口幅が設けられていても、装置コストを上げることなく、一括露光で微細な回路パターンを鮮明に形成できるようにすることである。
さらに、光源としてレーザを用いることも考えられるが、大出力のレーザを必要とするなど装置コストが高くなってしまうという問題もあった。
このため、安価なランプを用いたローコストな光学系を用いて、マスクパターンを正確に再現でき、かつ、開口幅の異なるパターンであっても正確な再現が可能な露光装置が強く望まれている。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、その目的は、近接場光露光において一括露光を行った場合であっても、マスクパターンに対して、微細な回路パターンを鮮明に再現することができ、さらには、フォトマスクに設けられた回路パターンに複数の開口幅が設けられていても、装置コストを上げることなく、一括露光で微細な回路パターンを鮮明に形成できるようにすることである。
近接場光露光においても、前述したように、開口幅が大きくだれてしまいマスクパターンを正確に再現できない場合があった。本発明者が検討した結果、これは、レジストの感光波長領域の光を照射すると、伝搬光によりレジストが感光してしまうためであることを見出した。
そこで、ランプから生ずる光のうち、パターンだれを生じさせることがない非感光波長域の光をより多く使って露光することで、マスクパターンを正確に再現することが可能となるものと考えられる。
また、このようにすれば、パターンだれが生ずることがなくなるので、均一性に対する制限が緩和され、簡易な光学系で露光を行うことができる。さらに、パターン幅が異なる場合であっても、だれが生じないので、一括露光が可能となる。
特に、光源として比較的安価なランプを使用できるので、コストを低くすることができ、また、スペクトルが広いので、干渉も起こりにくくなる。
以上に基づき、本発明においては、前記課題を次のように解決する。
(1)光源として、レジストの感光波長を含む光を放射するランプを設け、該ランプから放射される光をレジストが塗布された被照射物に導く光学系に、上記光源から放射される光の内、上記レジストの非感光波長領域の光より感光波長領域の光を低減化させる手段を設ける。
そして、被照射物に転写するパターンを設けたフォトマスクを、該被照射物の近傍に配置し、上記ランプから放射される光をレジストが塗布された被照射物に導く。
(2)上記(1)において、ランプを構成するバルブ材、バルブ上に設けられたコーティング膜、ランプの光を反射する反射鏡、光学系を構成する光学部材、フォトマスクまたはフォトマスク上に設けられた波長選択膜、のうち、少なくとも一つに、非感光波長領域の光より、感光波長領域の光を低減化させる手段を設ける。
(3)上記(1)(2)において、被照射面に照射される光の内、赤外光を除去する。
そこで、ランプから生ずる光のうち、パターンだれを生じさせることがない非感光波長域の光をより多く使って露光することで、マスクパターンを正確に再現することが可能となるものと考えられる。
また、このようにすれば、パターンだれが生ずることがなくなるので、均一性に対する制限が緩和され、簡易な光学系で露光を行うことができる。さらに、パターン幅が異なる場合であっても、だれが生じないので、一括露光が可能となる。
特に、光源として比較的安価なランプを使用できるので、コストを低くすることができ、また、スペクトルが広いので、干渉も起こりにくくなる。
以上に基づき、本発明においては、前記課題を次のように解決する。
(1)光源として、レジストの感光波長を含む光を放射するランプを設け、該ランプから放射される光をレジストが塗布された被照射物に導く光学系に、上記光源から放射される光の内、上記レジストの非感光波長領域の光より感光波長領域の光を低減化させる手段を設ける。
そして、被照射物に転写するパターンを設けたフォトマスクを、該被照射物の近傍に配置し、上記ランプから放射される光をレジストが塗布された被照射物に導く。
(2)上記(1)において、ランプを構成するバルブ材、バルブ上に設けられたコーティング膜、ランプの光を反射する反射鏡、光学系を構成する光学部材、フォトマスクまたはフォトマスク上に設けられた波長選択膜、のうち、少なくとも一つに、非感光波長領域の光より、感光波長領域の光を低減化させる手段を設ける。
(3)上記(1)(2)において、被照射面に照射される光の内、赤外光を除去する。
本発明においては、以下の効果を得ることができる。
(1)パターンだれの原因となる感光波長領域の光を低減することにより、パターンだれを抑えると共に、だれを起こさない非感光波長領域の光を照射することで正確な転写を行うことができるようになる。
また、同一のフォトマスク上に配置されたマスクパターンが、異なる開口幅であるために、フォトマスク全体での最適露光時間がないようなフォトマスクであっても、正確な転写を行うことが可能となる。
(2)比較的安価なランプを用い、簡易な光学系で露光を行うことができ、装置コストを低くすることができる。また、スペクトルが広いランプを使用することができるので、干渉も起こりにくくなる。
(3)被照射面に照射される光の内、赤外光を除去することにより、赤外光によるレジスト加熱が抑えられる。このため、熱によるレジストの劣化を押え、かつパターンだれも抑え正確な転写を行うことができるようになる。
(4)光源から放射される光の内、レジストの非感光波長領域の光より感光波長領域の光を低減化させる手段を有するフォトマスクを用いれば、被照射体に上記レジストを塗布することで、既存の露光装置を用いて、近接場光露光によりパターンだれを抑えた正確な転写を行うことができる。
(1)パターンだれの原因となる感光波長領域の光を低減することにより、パターンだれを抑えると共に、だれを起こさない非感光波長領域の光を照射することで正確な転写を行うことができるようになる。
また、同一のフォトマスク上に配置されたマスクパターンが、異なる開口幅であるために、フォトマスク全体での最適露光時間がないようなフォトマスクであっても、正確な転写を行うことが可能となる。
(2)比較的安価なランプを用い、簡易な光学系で露光を行うことができ、装置コストを低くすることができる。また、スペクトルが広いランプを使用することができるので、干渉も起こりにくくなる。
(3)被照射面に照射される光の内、赤外光を除去することにより、赤外光によるレジスト加熱が抑えられる。このため、熱によるレジストの劣化を押え、かつパターンだれも抑え正確な転写を行うことができるようになる。
(4)光源から放射される光の内、レジストの非感光波長領域の光より感光波長領域の光を低減化させる手段を有するフォトマスクを用いれば、被照射体に上記レジストを塗布することで、既存の露光装置を用いて、近接場光露光によりパターンだれを抑えた正確な転写を行うことができる。
本発明の近接場光露光装置は、前記したように、光源としてレジストの感光波長を含む光を放射するランプを用い、該ランプから放射される光をレジストが塗布された被照射物に導く光学系に、上記光源から放射される光の内、上記レジストの非感光波長領域の光より感光波長領域の光を低減化させる手段を設けたものであり、この手段は、感光波長領域の光を反射、または透過することにより、非感光波長領域の光が多くなるようにする。
本発明においては、伝搬光、近接場光、感光波長領域、非感光波長領域という言葉を以下の意味で使用する。
本発明においては、伝搬光、近接場光、感光波長領域、非感光波長領域という言葉を以下の意味で使用する。
(1)伝搬光:
普通に人が感じている光。さえぎるものがなければどこまでも伝搬していく。点光源を出た光は距離の二乗で強度が弱まっていくが、平行光であれば距離に関係なく一定の強度で伝わる。一点にレンズを使うなどして集光しようとしても、波長程度までしか集光できない。
(2)近接場光:
波長よりも小さな開口や、物質に光(伝搬光でも近接場光でも可)を当てた時に、その周囲にだけ存在する光。発生源から離れると急激に弱くなるので、伝搬していかない。
近接場光の大きさは発生源となっている波長より小さな開口や物質のサイズによって決まり、照射する光の波長にはよらない。
普通に人が感じている光。さえぎるものがなければどこまでも伝搬していく。点光源を出た光は距離の二乗で強度が弱まっていくが、平行光であれば距離に関係なく一定の強度で伝わる。一点にレンズを使うなどして集光しようとしても、波長程度までしか集光できない。
(2)近接場光:
波長よりも小さな開口や、物質に光(伝搬光でも近接場光でも可)を当てた時に、その周囲にだけ存在する光。発生源から離れると急激に弱くなるので、伝搬していかない。
近接場光の大きさは発生源となっている波長より小さな開口や物質のサイズによって決まり、照射する光の波長にはよらない。
(3)感光波長領域:
伝搬光を照射することによってレジストが光を吸収し、現像液に対する溶解性を変えることができる波長領域。
例えば、ポジ型レジストに感光波長領域の光が照射されると、それまで不溶であったレジストが現像液に対して可溶に変化する。また、ネガ型レジストでは、感光波長領域の光が照射されると、可溶であったレジストが現像液に対して不溶に変化する。
(4)非感光波長領域:
伝搬光を照射しても、現像液に対する溶解性を変えることができない波長領域。この波長領域の光を照射しても、ポジ型レジストであれば現像液に対して不溶のまま、ネガ型レジストであれば可溶のままとなる。
伝搬光を照射することによってレジストが光を吸収し、現像液に対する溶解性を変えることができる波長領域。
例えば、ポジ型レジストに感光波長領域の光が照射されると、それまで不溶であったレジストが現像液に対して可溶に変化する。また、ネガ型レジストでは、感光波長領域の光が照射されると、可溶であったレジストが現像液に対して不溶に変化する。
(4)非感光波長領域:
伝搬光を照射しても、現像液に対する溶解性を変えることができない波長領域。この波長領域の光を照射しても、ポジ型レジストであれば現像液に対して不溶のまま、ネガ型レジストであれば可溶のままとなる。
以下、本発明の実施例の露光装置について説明する。
図1は本発明の第1の実施例の露光装置の構成を示す図である。
同図において、1はランプ11と反射鏡12から構成される光源であり、ランプとしては、例えば高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、フラッシュランプ、メタルハライドランプを用いることができる。
該ランプ11から放射された光をフォトマスク32まで導く光学系2としては、本実施例では、光路折り曲げ用の反射鏡21、インテグレータレンズ22、コリメータレンズ23、波長選択フィルタ24が設けられている。
フォトマスク31は、ガラス等から成るマスク基板32にCr等の遮光膜33を設け、該遮光膜33に回路パターンを形成する開口部を設けたものであり、マスクステージ3に真空吸着などにより取り付けられている。
上記フォトマスク31は、ワークステージ4上に載置された半導体等の基板42上にフォトレジスト43を塗布した被処理体41に近接、または接触するように配置される。
図1は本発明の第1の実施例の露光装置の構成を示す図である。
同図において、1はランプ11と反射鏡12から構成される光源であり、ランプとしては、例えば高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、フラッシュランプ、メタルハライドランプを用いることができる。
該ランプ11から放射された光をフォトマスク32まで導く光学系2としては、本実施例では、光路折り曲げ用の反射鏡21、インテグレータレンズ22、コリメータレンズ23、波長選択フィルタ24が設けられている。
フォトマスク31は、ガラス等から成るマスク基板32にCr等の遮光膜33を設け、該遮光膜33に回路パターンを形成する開口部を設けたものであり、マスクステージ3に真空吸着などにより取り付けられている。
上記フォトマスク31は、ワークステージ4上に載置された半導体等の基板42上にフォトレジスト43を塗布した被処理体41に近接、または接触するように配置される。
図1において、ランプ11から出た光は反射鏡12によって反射され、あるいは直接前方へ照射される。その後、光学系2によって均一な平行光になり、フォトマスク31へ照射される。光照射により、フォトマスク31の開口部には近接場光が発生し、この近接場光によりレジスト43が感光する。
ここで、本実施例では、光学系2に、波長選択フィルタ24が設けられ、感光波長領域の光を吸収または反射させ、露光面でのレジスト感光波長領域の光を非感光波長領域の光より少なくする。
ここで、本実施例では、光学系2に、波長選択フィルタ24が設けられ、感光波長領域の光を吸収または反射させ、露光面でのレジスト感光波長領域の光を非感光波長領域の光より少なくする。
上述の装置を用いて、色々な波長の光をカットして近接場光による露光実験を行った。 実験条件としては、半導体基板上にg線用レジスト(波長436nmの光で感光させる場合に使用されるレジスト)を塗布し、開口幅250nmのフォトマスクに対して、光を照射して試料を露光し、それぞれの該試料を現像して観察した。
図2に露光実験の結果として、原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)によって得られた像を示す。尚、AFMによる測定は、カンチレバーと呼ばれる微小な深針と試料表面に働く原子間力を検出し、その力が一定になるように試料表面を走査し、このときのカンチレバーの変位を検出することで試料表面の凹凸を検出するものである。
AFMで観察した試料の断面形状から、露光されたパターンのだれを検出した。
図2(a)は波長550nmの光を照射した場合の結果であり、L1が照射時開5分、L2が照射時間10分のものである。同図の縦軸は深さ方向の距離、横軸はパターン幅の距離を表しており、AFMのカンチレバーを原点に合わせ、その原点からカンチレバーを移動させた位置までの距離で示している。
また、図2(b)は波長400nmの光を照射した場合の結果である。
図2に露光実験の結果として、原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)によって得られた像を示す。尚、AFMによる測定は、カンチレバーと呼ばれる微小な深針と試料表面に働く原子間力を検出し、その力が一定になるように試料表面を走査し、このときのカンチレバーの変位を検出することで試料表面の凹凸を検出するものである。
AFMで観察した試料の断面形状から、露光されたパターンのだれを検出した。
図2(a)は波長550nmの光を照射した場合の結果であり、L1が照射時開5分、L2が照射時間10分のものである。同図の縦軸は深さ方向の距離、横軸はパターン幅の距離を表しており、AFMのカンチレバーを原点に合わせ、その原点からカンチレバーを移動させた位置までの距離で示している。
また、図2(b)は波長400nmの光を照射した場合の結果である。
図2(a)に示す波長550nmの光を照射した場合は、照射時間が5分、10分共にパターン幅に大きな変化はなく、開口幅250nmのフォトマスクのパターンを正確に再現している。
一方、図2(b)に示した波長400nmの光を照射した場合は、照射時間がわずか1分でも既にパターン幅に大きなだれが見られ、フォトマスクのパターンを正確に再現できていない。
これらの結果より、g線用レジストに対して感光波長領域の光である400nmの光(g線レジストにおける感光波長領域の光は波長460nm以下の光)を照射した場合、フォトマスクのパターンを正確に再現できなかった。これに対し、非感光波長領域の光である550nmの光(g線レジストにおける非感光波長領域の光は波長460nm以上の光)を照射した場合、照射時間が長くてもフォトマスクのパターンを正確に再現できた。
一方、図2(b)に示した波長400nmの光を照射した場合は、照射時間がわずか1分でも既にパターン幅に大きなだれが見られ、フォトマスクのパターンを正確に再現できていない。
これらの結果より、g線用レジストに対して感光波長領域の光である400nmの光(g線レジストにおける感光波長領域の光は波長460nm以下の光)を照射した場合、フォトマスクのパターンを正確に再現できなかった。これに対し、非感光波長領域の光である550nmの光(g線レジストにおける非感光波長領域の光は波長460nm以上の光)を照射した場合、照射時間が長くてもフォトマスクのパターンを正確に再現できた。
上記感光波長領域、非感光波長領域は、本発明では以下のように定義する。
図3は、レジストの感光波長と非感光波長を示す図であり、横軸は波長(nm)、縦軸は吸収係数であるlog(I0 /I)[I0 :透過光の強さ、I:照射光の強さ]であり、L1はg線用レジスト(OFPR−800)、L2はi線用レジスト(TDMR−AR87)の特性を示す。
上記レジストに色々な波長の光を照射して、そのとき、レジストが感光したかどうかを調査した。
まず、レジストが感光しなくなる波長を調べたところ、g線用レジスト(OFPR−800)では感光しなくなるのは460nm、i線用レジスト(TDMR−AR87)では440nmであった。
次に、図3に示すようにレジストの吸収スペクトルを測定し、感光しなくなる波長と吸収係数との関係を調べた。ここで、感光しなくなる波長は、上記したようにg線用レジストで460nm、i線用レジストで440nmであるから、図3のレジストの吸収スペクトルでは、吸収係数は0.3未満(図3の破線より下)となっていることが分かった。OFPR−800は膜厚d=3μmで測定したので、吸収係数αに直すと、以下のようになる。
log(I0 /I)=0.3 I≒0.5
α=(−1/d)ln(I0 /I)
d=3×10-6m
α≒2.3×105
よって、吸収係数が2.3×105 以上の波長域では、レジストが感光することが分かった。そこで、ここでは、レジストの吸収係数が2.3×105 以上となる波長領域を感光波長域と定義し、吸収係数が2.3×105 未満となる波長領域を非感光波長領域とする。
図3は、レジストの感光波長と非感光波長を示す図であり、横軸は波長(nm)、縦軸は吸収係数であるlog(I0 /I)[I0 :透過光の強さ、I:照射光の強さ]であり、L1はg線用レジスト(OFPR−800)、L2はi線用レジスト(TDMR−AR87)の特性を示す。
上記レジストに色々な波長の光を照射して、そのとき、レジストが感光したかどうかを調査した。
まず、レジストが感光しなくなる波長を調べたところ、g線用レジスト(OFPR−800)では感光しなくなるのは460nm、i線用レジスト(TDMR−AR87)では440nmであった。
次に、図3に示すようにレジストの吸収スペクトルを測定し、感光しなくなる波長と吸収係数との関係を調べた。ここで、感光しなくなる波長は、上記したようにg線用レジストで460nm、i線用レジストで440nmであるから、図3のレジストの吸収スペクトルでは、吸収係数は0.3未満(図3の破線より下)となっていることが分かった。OFPR−800は膜厚d=3μmで測定したので、吸収係数αに直すと、以下のようになる。
log(I0 /I)=0.3 I≒0.5
α=(−1/d)ln(I0 /I)
d=3×10-6m
α≒2.3×105
よって、吸収係数が2.3×105 以上の波長域では、レジストが感光することが分かった。そこで、ここでは、レジストの吸収係数が2.3×105 以上となる波長領域を感光波長域と定義し、吸収係数が2.3×105 未満となる波長領域を非感光波長領域とする。
モデルとして、だれの発生は図4のように考えられる。図4(a)はフォトマスクに感光波長領域の光が照射された場合に、該フォトマスクから半導体基板等の被処理物に照射される光を示す説明図であり、32はマスク基板、33は遮光膜である。
フォトマスクに感光波長領域の光が照射されると、マスクパターンの遮光膜33のエッジ部分等、開口部の近くにのみ近接場光が発生する。
また、感光波長領域の光も一部が伝搬光としてフォトマスクの開口部から放出される。 この伝搬光は開口部から広がって行く。この場合、被処理物側に照射される光は全て、レジストを感光するものである。
したがって、露光後の半導体基板に形成されるパターンは、図4(c)に示すように、照射時間t1では、開口幅の広い側が充分な深さにまで感光される。一方、開口幅の狭い側では充分な深さにまで感光されない。次に照射時間をt2まで延ばした場合、開口幅が狭い側は充分な深さまで感光できるが、開口幅が広い側はレジストを感光する伝搬光が広がって行く影響でマスクパターンの開口幅より広い領域まで感光してしまう。これが、露光パターンのだれとなるものと考えられる。
フォトマスクに感光波長領域の光が照射されると、マスクパターンの遮光膜33のエッジ部分等、開口部の近くにのみ近接場光が発生する。
また、感光波長領域の光も一部が伝搬光としてフォトマスクの開口部から放出される。 この伝搬光は開口部から広がって行く。この場合、被処理物側に照射される光は全て、レジストを感光するものである。
したがって、露光後の半導体基板に形成されるパターンは、図4(c)に示すように、照射時間t1では、開口幅の広い側が充分な深さにまで感光される。一方、開口幅の狭い側では充分な深さにまで感光されない。次に照射時間をt2まで延ばした場合、開口幅が狭い側は充分な深さまで感光できるが、開口幅が広い側はレジストを感光する伝搬光が広がって行く影響でマスクパターンの開口幅より広い領域まで感光してしまう。これが、露光パターンのだれとなるものと考えられる。
次に、図4(b)は、フォトマスクに非感光波長領域の光が照射された場合に、該フォトマスクから半導体基板等の被処理物に照射される光を示す説明面である。
フォトマスクに非感光波長領域の光が照射されると、フォトマスクパターンの遮光膜33のエッジ部分等、開口部の近くにのみ、図4(a)と同様に近接場光が発生する。
また、非感光波長領域の光もー部が伝搬光としてフォトマスクの開口部から放出される。
しかし、近接場光ではレジストを感光することができるが、伝搬光は、非感光波長領域の光であるためレジストを透過し、感光させることはない。よって、この場合、近接場光によってのみレジストが感光することになる。
フォトマスクに非感光波長領域の光が照射されると、フォトマスクパターンの遮光膜33のエッジ部分等、開口部の近くにのみ、図4(a)と同様に近接場光が発生する。
また、非感光波長領域の光もー部が伝搬光としてフォトマスクの開口部から放出される。
しかし、近接場光ではレジストを感光することができるが、伝搬光は、非感光波長領域の光であるためレジストを透過し、感光させることはない。よって、この場合、近接場光によってのみレジストが感光することになる。
この場合の露光後の半導体基板に形成されるパターンは図4(d)のようになる。
照射時間t3では、開口幅の広い側が充分な深さにまで感光される。一方、開口幅の狭い側では充分な深さにまで感光されない。これは、近接場光の強さは、開口の大きさによって変わるため、開口幅が異なれば近接場光強度が変わり、露光に必要な時間が異なるからである。
次に照射時間をt4まで延ばした場合、開口幅が狭い側も充分な深さまで感光できる。ここで、開口幅が広い側は非感光波長領域の伝搬光が放射されているが、この光はレジストを透過し、レジスト自身を感光させることがないため、フォトマスクパターンの開口幅より広い領域まで感光すること無く、近接場光の届く範囲のみが感光する。
そのため、露光パターンにだれが生じず、フォトマスクのパターンの開口幅を確実に再現できるものと考えられる。
照射時間t3では、開口幅の広い側が充分な深さにまで感光される。一方、開口幅の狭い側では充分な深さにまで感光されない。これは、近接場光の強さは、開口の大きさによって変わるため、開口幅が異なれば近接場光強度が変わり、露光に必要な時間が異なるからである。
次に照射時間をt4まで延ばした場合、開口幅が狭い側も充分な深さまで感光できる。ここで、開口幅が広い側は非感光波長領域の伝搬光が放射されているが、この光はレジストを透過し、レジスト自身を感光させることがないため、フォトマスクパターンの開口幅より広い領域まで感光すること無く、近接場光の届く範囲のみが感光する。
そのため、露光パターンにだれが生じず、フォトマスクのパターンの開口幅を確実に再現できるものと考えられる。
次に、フォトマスク31に照射される上記レジストの感光波長領域の光の照度をA、非感光波長領域の光の照度をBとしたとき、AとBがどのような関係にあればよいのかを調べた。すなわち、波長選択フィルタ24を交換して、AとB値を変化させてパターンのだれを評価した。
その結果、非感光波長領域の光の照度Bより感光波長領域の光の照度Aを低減化させることで、露光パターンにだれが生ずるのを防ぐことができることが確認できた。
さらに、複数の開口を有しその開口幅が異なるフォトマスクについて、上記のようにAとBの値を変化させて調べたところ、A/Bの値を充分小さくすることで開口幅の異なるフォトマスクであっても、パターンを正確に転写できることが確認された。
その結果、非感光波長領域の光の照度Bより感光波長領域の光の照度Aを低減化させることで、露光パターンにだれが生ずるのを防ぐことができることが確認できた。
さらに、複数の開口を有しその開口幅が異なるフォトマスクについて、上記のようにAとBの値を変化させて調べたところ、A/Bの値を充分小さくすることで開口幅の異なるフォトマスクであっても、パターンを正確に転写できることが確認された。
さらに、赤外光の影響を調べた。
光源としてキセノンランプ、レジストとしてg線用のOFPR−800(東京応化)、マスクは200nmのラインアンドスペースが形成されたものを使用して、以下のように赤外光の影響を調べた。
ここでは、上記感光波長領域の光の照度A、非感光波長領域の光の照度Bの比であるA/Bが充分小さくなるようにして、700nm以上の波長域をカットした場合と、カットしない場合のパターンを比較した。比較は前記した原子間力顕微鏡(AFM)を使用した。
図5は、上記観察結果であり、横軸は位置、縦軸は高さであり、L1は赤外光あり、L2は赤外光をカットした場合を示す。
赤外光がある場合、同図のL1に示すように200nmのマスクパターンに比べてパターンが広がってしまっている。一方、赤外線をカットすることで、同図のL2に示すように、パターンが正確に転写された。
この理由は、赤外線がレジストに入射すると、レジストを感光させるのではなく、レジスト自身の温度を高くしてしまい、レジストの反応性を変化させるためと考えられる。
光源としてキセノンランプ、レジストとしてg線用のOFPR−800(東京応化)、マスクは200nmのラインアンドスペースが形成されたものを使用して、以下のように赤外光の影響を調べた。
ここでは、上記感光波長領域の光の照度A、非感光波長領域の光の照度Bの比であるA/Bが充分小さくなるようにして、700nm以上の波長域をカットした場合と、カットしない場合のパターンを比較した。比較は前記した原子間力顕微鏡(AFM)を使用した。
図5は、上記観察結果であり、横軸は位置、縦軸は高さであり、L1は赤外光あり、L2は赤外光をカットした場合を示す。
赤外光がある場合、同図のL1に示すように200nmのマスクパターンに比べてパターンが広がってしまっている。一方、赤外線をカットすることで、同図のL2に示すように、パターンが正確に転写された。
この理由は、赤外線がレジストに入射すると、レジストを感光させるのではなく、レジスト自身の温度を高くしてしまい、レジストの反応性を変化させるためと考えられる。
前記図1に示した実施例では、非感光波長領域の光の照度Bより感光波長領域の光の照度Aを低減化させる手段として、波長選択フィルタ28を用いる場合について説明したが、上記手段としては、ランプにコーティング膜を設けたり、フォトマスクに波長選択膜を設けるなど、種々の手段を採用することができる。
図6は、本発明の第2の実施例の露光装置の構成を示す図であり、本実施例は、ランプ11のバルブ上に、波長選択特性膜11aをコーティングし、感光波長領域の光を吸収、または反射させ、露光面での感光波長領域の光を非感光波長領域の光より少なくする場合を示している。
その他の構成は、前記図1と同じであり、波長選択特性膜11aが設けられたランプ11から放射する感光波長領域の光を低減化させた光は反射鏡12によって反射され、あるいは直接前方へ照射される。そして、光学系2によって均一な平行光になり、フォトマスク31へ照射される。光照射により、フォトマスク31の開口部には近接場光が発生し、この近接場光によりレジスト43が感光する。
なお、上記では、ランプを構成するバルブ材上にコーティングを施す場合について説明したが、バルブ材そのものが、感光波長領域の光を吸収(もしくは反射)するように構成することで、露光面での感光波長領域の光を非感光波長領域の光より少なくするようにすることもできる。
図6は、本発明の第2の実施例の露光装置の構成を示す図であり、本実施例は、ランプ11のバルブ上に、波長選択特性膜11aをコーティングし、感光波長領域の光を吸収、または反射させ、露光面での感光波長領域の光を非感光波長領域の光より少なくする場合を示している。
その他の構成は、前記図1と同じであり、波長選択特性膜11aが設けられたランプ11から放射する感光波長領域の光を低減化させた光は反射鏡12によって反射され、あるいは直接前方へ照射される。そして、光学系2によって均一な平行光になり、フォトマスク31へ照射される。光照射により、フォトマスク31の開口部には近接場光が発生し、この近接場光によりレジスト43が感光する。
なお、上記では、ランプを構成するバルブ材上にコーティングを施す場合について説明したが、バルブ材そのものが、感光波長領域の光を吸収(もしくは反射)するように構成することで、露光面での感光波長領域の光を非感光波長領域の光より少なくするようにすることもできる。
また、その他、ランプ11の光を反射する反射鏡12に波長選択特性を持たせるとともに、反射鏡の前面に波長選択フィルタを取り付けたり、反射鏡21に波長選択特性を持たせたり、さらには、光学系のその他の光学部材に、波長選択特性を持たせてもよい。
具体的な方法としては、ランプを覆う反射鏡であれば、上記感光波長領域の光を後方へ透過させ、非感光波長領域の光のみ前面へ放射させるようにする。ただし、この場合は、上記のように反射鏡の前面に波長選択フィルタを取り付ける等して、ランプから直接放射される光が露光面に照射されないようにすることが望ましい。
また、反射鏡21の場合には、感光波長領域の光を透過させ、非感光波長領域の光のみ前面へ反射するように構成する。
さらに、光学系2のその他の光学部材の表面に上記のように反射、または吸収により該領域の光をカットする膜などをコーティングしてもよい。
具体的な方法としては、ランプを覆う反射鏡であれば、上記感光波長領域の光を後方へ透過させ、非感光波長領域の光のみ前面へ放射させるようにする。ただし、この場合は、上記のように反射鏡の前面に波長選択フィルタを取り付ける等して、ランプから直接放射される光が露光面に照射されないようにすることが望ましい。
また、反射鏡21の場合には、感光波長領域の光を透過させ、非感光波長領域の光のみ前面へ反射するように構成する。
さらに、光学系2のその他の光学部材の表面に上記のように反射、または吸収により該領域の光をカットする膜などをコーティングしてもよい。
感光波長領域の光を透過し、非感光波長領域の光を反射する反射鏡としては、例えばホウ珪酸ガラス上にSi O2 とTi O2 の多層膜からなる干渉フィルタを形成することにより実現される。
また、非感光波長領域の光を透過するフィルタとしては、色ガラスフィルタの組合せにより、短波長域と赤外域の光をカットすることで実現される。また、色ガラスフィルタと赤外カットフィルタとを組合せてもよい。
さらに、前記において、ランプ11に短波長域の光をカットする膜と、赤外域の光をカットする膜をコーティングすることにより、非感光波長領域のみを照射するようにすることもできる。
これらを単独、あるいは組み合わせて用いることにより、感光波長領域の光と赤外域の光をカットし、非感光波長領域の光による露光を実現することができる。
なお、感光波長領域の光を完全にカットすることができれば、前記したように、より正確にパターンを転写できるものと考えられる。
また、非感光波長領域の光を透過するフィルタとしては、色ガラスフィルタの組合せにより、短波長域と赤外域の光をカットすることで実現される。また、色ガラスフィルタと赤外カットフィルタとを組合せてもよい。
さらに、前記において、ランプ11に短波長域の光をカットする膜と、赤外域の光をカットする膜をコーティングすることにより、非感光波長領域のみを照射するようにすることもできる。
これらを単独、あるいは組み合わせて用いることにより、感光波長領域の光と赤外域の光をカットし、非感光波長領域の光による露光を実現することができる。
なお、感光波長領域の光を完全にカットすることができれば、前記したように、より正確にパターンを転写できるものと考えられる。
図7は、本発明の第3の実施例の露光装置の構成を示す図であり、本実施例は、フォトマスク31上に波長選択膜34を設けたり、フォトマスク31のマスク基板32に波長選択特性を持たせた場合を示している。
その他の構成は、前記図1と同じであり、ランプ11から出射する光は反射鏡12によって反射され、あるいは直接前方へ照射される。そして、光学系2によって均一な平行光になり、フォトマスク31へ照射される。
フォトマスク31には、例えば図7(a)に示すように、感光波長領域の光を低減化させる波長選択膜34が設けられ、感光波長領域の光を低減化させた光がマスク基板32を介して遮光膜33に達する。そして、遮光膜33の開口部に近接場光が発生し、この近接場光によりレジスト43が感光する。
また、上記のように波長選択膜34を設ける代わりに、同図(b)に示すように、マスク基板32に波長選択特性を持たせてもよい。
本実施例では、フォトマスク31としてレジストの感光波長領域の光をカットするフィルタ特性を有するものを用い、被処理体に塗布するレジストの特性とフォトマスク31の波長選択特性を合わせることで、既存の露光装置をそのまま利用して、正確なパターンの転写を可能とした本発明の近接場光露光を実現することができる。
その他の構成は、前記図1と同じであり、ランプ11から出射する光は反射鏡12によって反射され、あるいは直接前方へ照射される。そして、光学系2によって均一な平行光になり、フォトマスク31へ照射される。
フォトマスク31には、例えば図7(a)に示すように、感光波長領域の光を低減化させる波長選択膜34が設けられ、感光波長領域の光を低減化させた光がマスク基板32を介して遮光膜33に達する。そして、遮光膜33の開口部に近接場光が発生し、この近接場光によりレジスト43が感光する。
また、上記のように波長選択膜34を設ける代わりに、同図(b)に示すように、マスク基板32に波長選択特性を持たせてもよい。
本実施例では、フォトマスク31としてレジストの感光波長領域の光をカットするフィルタ特性を有するものを用い、被処理体に塗布するレジストの特性とフォトマスク31の波長選択特性を合わせることで、既存の露光装置をそのまま利用して、正確なパターンの転写を可能とした本発明の近接場光露光を実現することができる。
1 光源
11 ランプ
12 反射鏡
2 光学系
21 反射鏡
22 インテグレータレンズ
23 コリメータレンズ
24 波長選択フィルタ
3 マスクステージ
31 フォトマスク
32 マスク基板
33 遮光膜
34 波長選択膜
4 ワークステージ
41 被処理体
42 基板
43 レジスト
11 ランプ
12 反射鏡
2 光学系
21 反射鏡
22 インテグレータレンズ
23 コリメータレンズ
24 波長選択フィルタ
3 マスクステージ
31 フォトマスク
32 マスク基板
33 遮光膜
34 波長選択膜
4 ワークステージ
41 被処理体
42 基板
43 レジスト
Claims (4)
- 光源として、レジストの感光波長を含む光を放射するランプを具備し、該ランプから放射される光をレジストが塗布された被照射物に導く光学系が配置され、
上記被照射物に転写するパターンを設けたフォトマスクが、該被照射物の近傍に配置された近接場光露光装置であって、
該光源から放射される光の内、上記レジストの非感光波長領域の光より感光波長領域の光を低減化させる手段を備えた
ことを特徴とした近接場光露光装置。 - ランプを構成するバルブ材、バルブ上に設けられたコーティング膜、ランプの光を反射する反射鏡、光学系を構成する光学部材、フォトマスクまたはフォトマスク上に設けられた波長選択膜、のうち、少なくとも一つに、非感光波長領域の光より、感光波長領域の光を低減化させる手段が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の近接場光露光装置。 - 被照射面に照射される光の内、赤外光が除去されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の近接場光露光装置。 - 光源としてレジストの感光波長を含む光を放射するランプを具備し、該ランプから放射される光を、被照射物に転写するパターンを設けたフォトマスクを介してレジストが塗布された被照射物に導き、該被照射物を近接場光により露光する近接場光露光装置に使用されるフォトマスクであって、
上記フォトマスクは、上記光源から放射される光の内、上記レジストの非感光波長領域の光より感光波長領域の光を低減化させる手段を備えている
ことを特徴とした近接場光露光用フォトマスク。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006074255A JP2007250959A (ja) | 2006-03-17 | 2006-03-17 | 近接場光露光装置および近接場光露光用フォトマスク |
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- 2006-03-17 JP JP2006074255A patent/JP2007250959A/ja active Pending
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