JP2007250315A - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Abstract

【課題】発光量を改善させた有機EL素子の提供。
【解決手段】負極である金属電極基板上に、少なくとも、発光層と正極である透明電極とを、この順に設けてなる有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記金属電極基板の前記発光層を設ける側の表面の比表面積が、200以上である有機エレクトロルミネッセンス素子。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL」という。)に関する。
金属および半導体の薄膜、細線、ドット等の技術領域では、ある特徴的な長さより小さいサイズにおいて自由電子の動きが閉じ込められることにより、電気的、光学的および化学的に特異な現象が見られることが知られている。このような現象は「量子力学的サイズ効果(量子サイズ効果)」と呼ばれている。このような特異な現象を応用した機能性材料の研究開発が、現在、盛んに行なわれている。具体的には、数百nmより微細な構造を有する材料が、「微細構造体」または「ナノ構造体」と称されており、材料開発の対象の一つとされている。
こうした微細構造体の作製方法としては、例えば、フォトリソグラフィ、電子線露光、X線露光等の微細パターン形成技術を初めとする半導体加工技術によって直接的にナノ構造体を作製する方法が挙げられる。
中でも、規則的な微細構造を有する微細構造体を作製する方法についての研究が注目され、多く行われている。
例えば、自己規制的に規則的な構造が形成される方法として、電解液中でアルミニウムに陽極酸化処理を施して得られる陽極酸化アルミナ膜(陽極酸化皮膜)が挙げられる。陽極酸化皮膜には、数nm程度から数百nm程度の直径を有する複数の微細孔(マイクロポア)が規則的に形成されることが知られている。この陽極酸化皮膜の自己規則化を用い、完全に規則的な配列を得ると、理論的には、マイクロポアを中心に底面が正六角形である六角柱のセルが形成され、隣接するマイクロポアを結ぶ線が正三角形を成すことが知られている。
例えば、非特許文献1には、マイクロポアのポア径のばらつきが3%以下である陽極酸化皮膜が記載されている。また、非特許文献2には、陽極酸化皮膜には、酸化の進行に伴って、細孔が自然形成されることが記載されている。また、非特許文献3では、多孔質酸化皮膜をマスクとしてSi基板上にAuドットアレイを形成することも提案されている。
陽極酸化皮膜の材料としての最大の特徴は、複数のマイクロポアが、基板表面に対してほぼ垂直方向に、ほぼ等間隔に平行に形成されたハニカム構造を採る点にあるとされている。これに加え、ポア径、ポア間隔およびポア深さを比較的自由に制御することができる点もほかの材料にない特徴であるとされている(非特許文献3参照。)。
陽極酸化皮膜の応用例としては、光機能デバイス、触媒担持用のナノデバイス、磁気デバイス、発光体等の種々のデバイス類が知られている。
特に、光機能デバイスを用いた白色光発光性の有機EL素子は近年注目されている分野である(例えば、特許文献1等参照。)。
この有機EL素子は、有機物中に注入された電子と正孔(ホール)の再結合によって生じた励起子(エキシトン)によって発光する現象を利用した発光素子であり、発光原理は、無機ELよりむしろLED(Light−Emitting Diode)に似ており、主にディスクプレイや照明としての活用が期待されている。
また、この有機EL素子は、携帯電話のサブディスプレイ等小型のディスプレイには実用化されつつあるが、テレビやパソコンのディスプレイ等の大型のディスプレイには、発光量、耐久性、生産コスト、大型化等の問題から、未だ試作段階であり、実用化に向けた研究が進められている。
特開2005−32629号公報 H.Masuda et.Al.,Jpn.J.Appl.Phys.,Vol.37(1998),pp.L1340−1342,Part2,No.11A,1 November 1998(Fig.2.) 「表面技術便覧」、(社)表面技術協会編(1998)、日刊工業新聞社、p.490−553 益田秀樹,「陽極酸化アルミナにもとづく高規則性メタルナノホールアレー」,固体物理,1996年,第31巻,第5号,p.493−499
そこで、本発明は、このような問題点の1つである発光量を改善させた有機EL素子を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、発光層と接する金属電極基板の表面を所定の構造とすることにより、発光性に優れた有機EL素子を得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下の(i)〜(iv)を提供する。
(i)負極である金属電極基板上に、少なくとも、発光層と正極である透明電極とを、この順に設けてなる有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
上記金属電極基板の上記発光層を設ける側の表面の比表面積が、200以上である有機エレクトロルミネッセンス素子。
(ii)上記金属電極基板が、アルミニウム基板と、上記アルミニウム基板の表面に存在する、マイクロポアを有する陽極酸化皮膜とを有するアルミニウム部材である、上記(i)に記載の有機EL素子。
(iii)上記マイクロポアについて下記式(1)により定義される規則化度が50%以上である、上記(ii)に記載の有機EL素子。
規則化度(%)=B/A×100 (1)
(上記式(1)中、Aは、測定範囲におけるマイクロポアの全数を表す。Bは、一のマイクロポアの重心を中心とし、他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円を描いた場合に、その円の内部に上記一のマイクロポア以外のマイクロポアの重心を6個含むことになる上記一のマイクロポアの測定範囲における数を表す。)
(iv)上記透明電極が、酸化スズをドープした酸化インジウムを用いて形成される上記(i)〜(iii)のいずれかに記載の有機EL素子。
本発明によれば、発光性に優れ、発光量を改善させた有機EL素子を提供することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の有機EL素子は、負極である金属電極基板上に、少なくとも、発光層と正極である透明電極とを、この順に設けてなる有機EL素子であって、該金属電極基板の上記発光層を設ける側の表面の比表面積が、200以上である有機EL素子である。
また、本発明の有機EL素子は、その層構成は特に限定されないが、負極である金属電極基板上に、発光層を兼ねた電子輸送層(以下、「電子輸送層(発光層)」という。)、ホール輸送層および正極である透明電極を、この順に設けてなる有機EL素子であるのが好ましい。
本発明の有機EL素子の層構成の好適な実施態様の一例を示す模式図を図1に示すが、本発明はこれに限定されない。
図1に示すように、有機EL素子10は、金属電極基板(負極)11上に、電子輸送層(発光層)12、ホール輸送層13、および、透明電極(正極)14をこの順に積層させたものである。
次に、本発明の有機EL素子に用いる金属電極基板、発光層および透明電極ならびに所望により設けていてもよい電子輸送層(発光層)およびホール輸送層について詳述する。
[金属電極基板]
上記金属電極基板は、本発明の有機EL素子の負極を構成するものであり、導電性を有し、仕事関数の小さい金属材料または合金材料を用いて形成されるものである。
このような金属材料または合金材料としては、具体的には、例えば、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、マグネシウム(Mg)−銀(Ag)合金、Al−リチウム(Li)合金等が挙げられる。
本発明においては、上記金属電極基板は、後述する発光層を設ける側の表面の比表面積が200以上である。
このような金属電極基板を用いると、得られる本発明の有機EL素子の発光量が向上する。これは、上記比表面積が200以上であると、上記金属電極基板上に設ける発光層の塗布量が多くるため、発光色素が多くなり、その結果、発光量が増えるためであると考えられる。
そのため、発光量の観点から、上記比表面積は、200〜100000であるのが好ましく、1000〜50000であるのがより好ましい。
ここで、比表面積は、BET1点法装置(フローソーブIII2310、島津製作所製)を用いて測定した値をいう。
また、本発明においては、上記金属電極基板は、上記比表面積を容易に担保でき、発光量もより良好となる理由から、アルミニウム基板と、上記アルミニウム基板の表面に存在する、マイクロポアを有する陽極酸化皮膜とを有するアルミニウム部材であるのが好ましい。
〔アルミニウム部材〕
上記アルミニウム部材は、アルミニウム基板と、該アルミニウム基板の表面に存在する、マイクロポアを有する陽極酸化皮膜とを有する。
本発明においては、このようなアルミニウム部材は、アルミニウム基板の少なくとも一方の表面に、後述する陽極酸化処理を施して得ることができる。
<アルミニウム基板>
上記アルミニウム基板は、特に限定されず、その具体例としては、純アルミニウム板;アルミニウムを主成分とし微量の異元素を含む合金板;低純度のアルミニウム(例えば、リサイクル材料)に高純度アルミニウムを蒸着させた基板;シリコンウエハー、石英、ガラス等の表面に蒸着、スパッタ等の方法により高純度アルミニウムを被覆させた基板;アルミニウムをラミネートした樹脂基板;等が挙げられる。
本発明においては、アルミニウム基板のうち後述する陽極酸化処理により陽極酸化皮膜を設ける表面は、アルミニウム純度が、99.5質量%以上であるのが好ましく、99.9質量%以上であるのがより好ましく、99.99質量%以上であるのが更に好ましい。アルミニウム純度が上記範囲であると、マイクロポアの配列(以下、「ポア配列」ともいう。)の規則性が十分となる。
また、本発明においては、アルミニウム基板のうち後述する陽極酸化処理により陽極酸化皮膜を設ける表面は、あらかじめ脱脂処理および鏡面仕上げ処理が施されるのが好ましい。特に、本発明の有機EL素子は光透過性であることを利用するため、ポア配列の規則性が高い領域を広くする観点から、あらかじめ熱処理が施されるのが好ましい。
(熱処理)
熱処理は、200〜350℃で30秒〜2分程度施すのが好ましい。具体的には、例えば、アルミニウム基板を加熱オーブンに入れる方法等が挙げられる。
このような熱処理を施すことにより、後述する陽極酸化処理により生成するポア配列の規則性が高い領域が広くなる。
また、熱処理後のアルミニウム基板は、急速に冷却するのが好ましい。冷却する方法としては、例えば、水等に直接投入する方法が挙げられる。
(脱脂処理)
脱脂処理は、酸、アルカリ、有機溶剤等を用いて、アルミニウム基板表面に付着した、ほこり、脂、樹脂等の有機成分等を溶解させて除去し、有機成分を原因とする後述の各処理における欠陥の発生を防止することを目的として行われる。
脱脂処理としては、具体的には、例えば、各種アルコール(例えば、メタノール等)、各種ケトン(例えば、メチルエチルケトン等)、ベンジン、揮発油等の有機溶剤を常温でアルミニウム基板表面に接触させる方法(有機溶剤法);石けん、中性洗剤等の界面活性剤を含有する液を常温から80℃までの温度でアルミニウム基板表面に接触させ、その後、水洗する方法(界面活性剤法);濃度10〜200g/Lの硫酸水溶液を常温から70℃までの温度でアルミニウム基板表面に30〜80秒間接触させ、その後、水洗する方法;濃度5〜20g/Lの水酸化ナトリウム水溶液を常温でアルミニウム基板表面に30秒間程度接触させつつ、アルミニウム基板表面を陰極にして電流密度1〜10A/dm2の直流電流を流して電解し、その後、濃度100〜500g/Lの硝酸水溶液を接触させて中和する方法;各種公知の陽極酸化処理用電解液を常温でアルミニウム基板表面に接触させつつ、アルミニウム基板表面を陰極にして電流密度1〜10A/dm2の直流電流を流して、または、交流電流を流して電解する方法;濃度10〜200g/Lのアルカリ水溶液を40〜50℃でアルミニウム基板表面に15〜60秒間接触させ、その後、濃度100〜500g/Lの硝酸水溶液を接触させて中和する方法;軽油、灯油等に界面活性剤、水等を混合させた乳化液を常温から50℃までの温度でアルミニウム基板表面に接触させ、その後、水洗する方法(乳化脱脂法);炭酸ナトリウム、リン酸塩類、界面活性剤等の混合液を常温から50℃までの温度でアルミニウム基板表面に30〜180秒間接触させ、その後、水洗する方法(リン酸塩法);等が挙げられる。
これらのうち、アルミニウム表面の脂分を除去しうる一方で、アルミニウムの溶解がほとんど起こらない観点から、有機溶剤法、界面活性剤法、乳化脱脂法、リン酸塩法が好ましい。
また、脱脂処理には、従来公知の脱脂剤を用いることができる。具体的には、例えば、市販されている各種脱脂剤を所定の方法で用いることにより行うことができる。
(鏡面仕上げ処理)
鏡面仕上げ処理は、アルミニウム基板の表面の凹凸、例えば、アルミニウム基板の圧延時に発生した圧延筋等をなくして、電着法等による封孔処理の均一性や再現性を向上させるために行われる。
本発明において、鏡面仕上げ処理は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、機械研磨、化学研磨、電解研磨が挙げられる。
機械研磨としては、例えば、各種市販の研磨布で研磨する方法、市販の各種研磨剤(例えば、ダイヤ、アルミナ)とバフとを組み合わせた方法等が挙げられる。具体的には、研磨剤を用いる場合、使用する研磨剤を粗い粒子から細かい粒子へと経時的に変更して行う方法が好適に例示される。この場合、最終的に用いる研磨剤としては、#1500のものが好ましい。これにより、光沢度を50%以上(圧延アルミニウムである場合、その圧延方向および幅方向ともに50%以上)とすることができる。
化学研磨としては、例えば、「アルミニウムハンドブック」,第6版,(社)日本アルミニウム協会編,2001年,p.164−165に記載されている各種の方法等が挙げられる。
また、リン酸−硝酸法、Alupol I法、Alupol V法、Alcoa R5法、H3PO4−CH3COOH−Cu法、H3PO4−HNO3−CH3COOH法が好適に例示される。中でも、リン酸−硝酸法、H3PO4−CH3COOH−Cu法、H3PO4−HNO3−CH3COOH法が好ましい。
化学研磨により、光沢度を70%以上(圧延アルミニウムである場合、その圧延方向および幅方向ともに70%以上)とすることができる。
電解研磨としては、例えば、「アルミニウムハンドブック」,第6版,(社)日本アルミニウム協会編,2001年,p.164−165に記載されている各種の方法;米国特許第2708655号明細書に記載されている方法;「実務表面技術」,vol.33,No.3,1986年,p.32−38に記載されている方法;等が好適に挙げられる。
電解研磨により、光沢度を70%以上(圧延アルミニウムである場合、その圧延方向および幅方向ともに70%以上)とすることができる。
これらの方法は、適宜組み合わせて用いることができる。具体的には、例えば、研磨剤を粗い粒子から細かい粒子へと経時的に変更する機械研磨を施し、その後、電解研磨を施す方法が好適に挙げられる。
鏡面仕上げ処理により、例えば、平均表面粗さRa0.1μm以下、光沢度50%以上の表面を得ることができる。平均表面粗さRaは、0.03μm以下であるのが好ましく、0.02μm以下であるのがより好ましい。また、光沢度は70%以上であるのが好ましく、80%以上であるのがより好ましい。
なお、光沢度は、圧延方向に垂直な方向において、JIS Z8741−1997の「方法3 60度鏡面光沢」の規定に準じて求められる正反射率である。具体的には、変角光沢度計(例えば、VG−1D、日本電色工業社製)を用いて、正反射率70%以下の場合には入反射角度60度で、正反射率70%を超える場合には入反射角度20度で、測定する。
<陽極酸化処理>
陽極酸化処理は、上記アルミニウム基板の表面に陽極酸化皮膜を形成する処理である。
本発明においては、アルミニウム基板の表面に陽極酸化処理を施す方法として、マイクロポアを有する陽極酸化皮膜を形成させる陽極酸化処理(以下、「本陽極酸化処理」ともいう。)の前に、本陽極酸化処理のマイクロポアの生成の起点となる窪みを形成させておくのが好ましい。
(窪みの形成)
窪みを形成させる方法は、特に限定されず、例えば、陽極酸化皮膜の自己規則性を利用した自己規則化法が挙げられる。
自己規則化法は、陽極酸化皮膜のマイクロポアが規則的に配列する性質を利用し、規則的な配列をかく乱する要因を取り除くことで、規則性を向上させる方法である。具体的には、高純度のアルミニウムを使用し、電解液の種類に応じた電圧で、長時間(例えば、数時間から十数時間)かけて、低速で陽極酸化皮膜を形成させ、その後、脱膜処理を行う。
この方法においては、ポア径は電圧に依存するので、電圧を制御することにより、ある程度所望のポア径を得ることができる。
自己規則化法による陽極酸化皮膜の形成(以下、「自己規則化陽極酸化処理」という。)は、例えば、酸濃度1〜10質量%の溶液中で、アルミニウム基板を陽極として通電して行うことができる。自己規則化陽極酸化処理に用いられる溶液としては、酸溶液であるのが好ましく、具体的には、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、アミドスルホン酸等が挙げれ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、硫酸、リン酸、シュウ酸を用いるのが好ましい。
自己規則化陽極酸化処理における電解液の平均流速は、0.5〜20.0m/minであるのが好ましく、1.0〜15.0m/minであるのがより好ましく、2.0〜10.0m/minであるのが特に好ましい。電解液の平均流速が上記範囲内にあると、後述する本陽極酸化処理においてマイクロポアの規則性をより向上させることができる。
また、自己規則化陽極酸化処理において電解液を上記条件で流動させる方法は特に限定されないが、その具体例としては、スターラーのような一般的なかくはん装置を使用する方法等が挙げられる。特に、かくはん速度をデジタル表示でコントロールできるようなスターラーを用いると、平均流速が制御できるため好ましい。このようなかくはん装置としては、例えば「マグネティックスターラーHS−50D(AS ONE製)」等が挙げられる。
自己規則化陽極酸化処理の条件は、使用される電解液によって種々変化するので一概に決定され得ないが、一般的には、電解液濃度0.1〜20質量%、液温−10〜30℃、電流密度0.01〜20A/dm2、電圧3〜300V、電解時間0.5〜30時間であるのが好ましく、電解液濃度0.5〜15質量%、液温−5〜25℃、電流密度0.05〜15A/dm2、電圧5〜250V、電解時間1〜25時間であるのがより好ましく、電解液濃度1〜10質量%、液温0〜20℃、電流密度0.1〜10A/dm2、電圧10〜200V、電解時間2〜20時間であるのが特に好ましい。
自己規則化法により形成される陽極酸化皮膜の膜厚は、1〜300μmであることが好ましく、5〜150μmであることがより好ましく、10〜100μmであることが特に好ましい。
本発明においては、自己規則化陽極酸化処理は、1〜16時間であるのが好ましく、2〜12時間であるのがより好ましく、2〜7時間であるのが更に好ましい。
また、脱膜処理は、0.5〜10時間であるのが好ましく、2〜10時間であるのがより好ましく、4〜10時間であるのが更に好ましい。
自己規則化法により形成される陽極酸化皮膜は、アルミニウム部分に近くなるほど規則性が高くなってくるので、一度脱膜して、アルミニウム部分に残存した陽極酸化皮膜の底部分を表面に出して、規則的な窪みを得ることができる。
そのため、脱膜処理においては、アルミニウムは溶解させず、酸化アルミニウムである陽極酸化皮膜のみを溶解させるアルミナ溶解液を用いる。
アルミナ溶解液としては、具体的には、硝酸、無水クロム酸、水酸化クロム、リン酸、ジルコニウム化合物、チタン化合物、リチウム塩、セリウム塩、マグネシウム塩、ケイフッ化ナトリウム、フッ化亜鉛、マンガン化合物、モリブデン化合物、マグネシウム化合物およびハロゲン単体からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する水溶液等が好適に例示され、中でも、リン酸と硝酸の混合水溶液、リン酸と無水クロム酸の混合水溶液がより好ましい。
また、アルミナ溶解液に含まれる酸の濃度は、0.01〜10mol/Lが好ましく、0.05〜5mol/Lがより好ましく、0.1〜1mol/Lが特に好ましい。
更に、アルミナ溶解液を用いた処理温度は、0℃以上であるのが好ましく、20℃以上であるのがより好ましく、40℃以上であるのが更に好ましい。また、処理時間は、30分以上であるのが好ましく、1時間以上であるのがより好ましく、3時間以上であるのが更に好ましい。なお、沸騰したアルミナ溶解液を用いて処理すると、規則化の起点が破壊され、乱れるので、沸騰させないで用いるのが好ましい。
このような自己規則化法により、陽極酸化皮膜を形成させた後、これを溶解させて除去し、再度、同一の条件で後述する本陽極酸化処理を行うと、ほぼ真っ直ぐなマイクロポアが、膜面に対してほぼ垂直に形成される。
形成される窪みは、深さが約10nm以上であるのが好ましい。また、幅は、所望とするポア径の幅以下であるのが好ましい。
(本陽極酸化処理)
本陽極酸化処理は、上記アルミニウム基板または所望により窪みを形成させたアルミニウム基板の表面に、マイクロポアを有する陽極酸化皮膜を形成させる処理である。
また、本陽極酸化処理は、従来公知の方法を用いることができるが、処理時間等の以下に示す条件以外は、上述した自己規則化陽極酸化処理と同一の条件で行うのが好ましい。
本発明においては、本陽極酸化処理としては、直流電圧を一定としつつ、断続的に電流のオンおよびオフを繰り返す方法;直流電圧を断続的に変化させつつ、電流のオンおよびオフを繰り返す方法;等が好適に例示される。これらの方法によれば、陽極酸化皮膜に形成されるマイクロポアの規則化度がより向上するため好ましい。
上述した電圧を断続的に変化させる方法においては、電圧を順次低くしていくのが好ましい。これにより、陽極酸化皮膜の抵抗を下げることが可能になる。
また、本発明においては、本陽極酸化皮膜を低温で行うと、マイクロポアの配列が規則的になり、また、ポア径が均一になる。
本発明においては、このような本陽極酸化処理により形成される陽極酸化皮膜の膜厚は、ポア径の102倍以上であるのが好ましく、105倍以上であるのがより好ましく、107倍以上であるのが特に好ましい。そのため、本陽極酸化処理は、5時間以上であるのが好ましく、50時間以上であるのがより好ましく、300時間以上であるのが更に好ましい。
また、マイクロポアの平均ポア密度は50〜1500個/μm2であるのが好ましい。
更に、マイクロポアの占める面積率は、20〜50%であるのが好ましい。
マイクロポアの占める面積率は、アルミニウム表面の面積に対するマイクロポアの開口部の面積の合計の割合である。マイクロポアの占める面積率の算出においては、マイクロポアには、金属により充填されているものもいないものも含まれる。具体的には、封孔処理前に表面空隙率を測定して求められる。
本発明においては、上記アルミニウム基板の少なくとも一方の表面に、このような陽極酸化処理等を施して得られる上記アルミニウム部材は、陽極酸化皮膜に有するマイクロポアについて、下記式(1)により定義される規則化度が50%以上であるのが好ましい。
規則化度が50%以上であると、得られる有機EL素子の発光性がより良好となり、発光量がより向上するため好ましい。
規則化度(%)=B/A×100 (1)
上記式(1)中、Aは、測定範囲におけるマイクロポアの全数を表す。Bは、一のマイクロポアの重心を中心とし、他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円を描いた場合に、その円の内部に上記一のマイクロポア以外のマイクロポアの重心を6個含むことになる上記一のマイクロポアの測定範囲における数を表す。
図2は、ポアの規則化度を算出する方法の説明図である。図2を用いて、上記式(1)をより具体的に説明する。
図2(A)に示されるマイクロポア1は、マイクロポア1の重心を中心とし、他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円3(マイクロポア2に内接している。)を描いた場合に、円3の内部にマイクロポア1以外のマイクロポアの重心を6個含んでいる。したがって、マイクロポア1は、Bに算入される。
図2(B)に示されるマイクロポア4は、マイクロポア4の重心を中心とし、他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円6(マイクロポア5に内接している。)を描いた場合に、円6の内部にマイクロポア4以外のマイクロポアの重心を5個含んでいる。したがって、マイクロポア4は、Bに算入されない。また、図2(B)に示されるマイクロポア7は、マイクロポア7の重心を中心とし、他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円9(マイクロポア8に内接している。)を描いた場合に、円9の内部にマイクロポア7以外のマイクロポアの重心を7個含んでいる。したがって、マイクロポア7は、Bに算入されない。
また、本発明においては、上記アルミニウム部材は、後述するポアワイド処理を施すのが好ましい。
(ポアワイド処理)
ポアワイド処理は、上記本陽極酸化処理後のアルミニウム部材を酸水溶液またはアルカリ水溶液に浸せきさせることにより、陽極酸化皮膜を溶解させ、マイクロポアのポア径を拡大する処理である。
これにより、マイクロポアの配列の規則性およびポア径のばらつきを制御することが容易となる。また、陽極酸化皮膜のマイクロポアの底部分のバリヤー皮膜を溶解させることにより、マイクロポア内部に選択的に電着させることおよびポア径のばらつきをやや大きくすることが可能となる。
ポアワイド処理に酸水溶液を用いる場合は、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等の無機酸またはこれらの混合物の水溶液を用いることが好ましい。
また、酸水溶液の濃度は、1〜10質量%であるのが好ましく、酸水溶液の温度は、25〜40℃であるのが好ましい。
一方、ポアワイド処理にアルカリ水溶液を用いる場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリの水溶液を用いることが好ましい。
また、アルカリ水溶液の濃度は、0.1〜5質量%であるのが好ましく、アルカリ水溶液の温度は、20〜35℃であるのが好ましい。
具体的には、例えば、50g/L、40℃のリン酸水溶液、0.5g/L、30℃の水酸化ナトリウム水溶液、0.5g/L、30℃の水酸化カリウム水溶液等が好適に用いられる。
酸水溶液またはアルカリ水溶液への浸せき時間は、8〜60分であるのが好ましく、10〜50分であるのがより好ましく、15〜30分であるのが更に好ましい。
[発光層]
上記発光層は、正極である透明電極から注入されるホールと、負極である金属電極基板から注入される電子との再結合により励起子が生起する層である。
本発明においては、上記発光層の材料(発光材)は、有機材料であって、ホールと電子との再結合により光を放射する発光分子であれば特に限定されず、従来公知の発光分子を用いることができる。
発光材としては、具体的には、例えば、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、スチリルアミン誘導体、芳香族ジメチリデン化合物、8−キノリノール誘導体の金属錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等の高分子化合物などの蛍光発光性化合物;オルトメタル化金属錯体、ポルフィリン金属錯体などの燐光発光性化合物;等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明においては、このような発光層を上述した金属電極基板上に積層(成膜)する方法は特に限定されず、例えば、適当な溶剤に溶解して塗布する方法、真空蒸着法等の従来公知の方法を用いて積層することができる。中でも、層厚の調整の容易さから、蒸着法を用いるのが好ましい。
また、発光層の厚さは、1nm〜10μmであるのが好ましく、10nm〜5μmであるのがより好ましく、50nm〜1μmであるのが特に好ましい。
[電子輸送層(発光層)]
上記電子輸送層(発光層)は、発光層を兼ね、注入される電子の発光層内での易動度を高める層である。
本発明においては、上記電子輸送層(発光層)の材料は特に限定されないが、有機材料であってエキシマー蛍光発光の波長領域がブロードであるものが好ましい。例えば、エキシマー蛍光全強度の90%が、波長領域として300〜800nmにあるものが好ましく、400〜700nmにあるものがより好ましく、450nm〜600nmにあるものが特に好ましい。
また、本発明においては、上記電子輸送層(発光層)は、用途に応じて、例えば、白色光を発光させるために、赤色発光する蛍光色素、緑色発光する蛍光色素および青色発光する蛍光色素の3種類の蛍光色素が分散した状態で成膜される。これらの蛍光色素の発光が合成され、白色光が得られるためである。
このような3種類の蛍光色素を有する化合物としては、具体的には、例えば、下記構造式で表されるピレン誘導体が好適に挙げられる。
Figure 2007250315
上記構造式中、Rは、水素原子またはケイ素基、ハロゲン基、置換基を有してもよい1〜30の直鎖状、分枝状もしくは環状構造の炭化水素基等の官能基を表す。
また、その他の例として、比較的高いガラス転移温度(約170℃)を有するとともに、高い発光輝度と高い発光効率とを有する化合物も挙げられる。具体的には、下記構造式で表されるトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(以下、「Alq3」ともいう。)が好適に例示される。
Figure 2007250315
本発明においては、上記で挙げた化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、本発明においては、このような電子輸送層(発光層)を上述した金属電極基板上に積層(成膜)する方法は特に限定されず、例えば、適当な溶剤に溶解して塗布する方法、真空蒸着法等の従来公知の方法を用いて積層することができる。中でも、層厚の調整の容易さから、蒸着法を用いるのが好ましい。
また、電子輸送層(発光層)の厚さは、1nm〜10μmであるのが好ましく、10nm〜5μmであるのがより好ましく、50nm〜1μmであるのが特に好ましい。
[ホール輸送層]
上記ホール輸送層は、注入されるホールの発光層内での易動度を高める層である。
本発明においては、上記ホール輸送層の材料は特に限定されないが、例えば、トリフェニルアミン誘導体、カルバゾール誘導体などのガラス転位温度の高いアモルファス性分子;銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン;等が挙げられる。
ガラス転位温度の高いトリフェニルアミン誘導体、カルバゾール誘導体アモルファス性分子としては、具体的には、例えば、それぞれ下記構造式で表される、TPAC、DI、TPD、α−NPD、TBPB、DNDPFL、TNFL、TFLFL、TDATA、o−PTDATA、p−PMTDATA、o−、m−、p−BPD、2−TNATA、TCTA、t−Bu−TBATA、Spiro−1−TAD、Spiro−1−NPD、スピロビフェナザシリン等が挙げられる。
Figure 2007250315
Figure 2007250315
Figure 2007250315
Figure 2007250315
Figure 2007250315
本発明においては、上記で挙げた化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、本発明においては、このようなホール輸送層を上述した発光層または電子輸送層(発光層)上に積層(成膜)する方法は特に限定されず、例えば、適当な溶剤に溶解して塗布する方法、真空蒸着法等の従来公知の方法を用いて積層することができる。中でも、層厚の調整の容易さから、蒸着法を用いるのが好ましい。
また、ホール輸送層の厚さは、1nm〜10μmであるのが好ましく、10nm〜5μmであるのがより好ましく、50nm〜1μmであるのが特に好ましい。
[透明電極]
上記透明電極としては、従来公知の金属電極を用いることができ、具体的には、例えば、導電性および透明性の観点から、酸化インジウムスズ(ITO)を主成分として構成されている層が好適に用いられる。
本発明においては、透明電極を上述した発光層またはホール輸送層上に積層(成膜)する方法は特に限定されず、例えば、適当な溶剤に溶解して塗布する方法、真空蒸着法等の従来公知の方法を用いて積層することができる。中でも、透明電極の透明性向上の観点から、蒸着法を用いるのが好ましい。
また、透明電極の厚さとしては、0.01〜3.0cmであるのが好ましく、0.05〜2.0cmであるのがより好ましく、0.1〜1.0cmであるのが特に好ましい。
本発明の有機EL素子は、必要に応じて、上述した金属電極基板、発光層または電子輸送層(発光層)、ホール輸送層および透明電極の各層の間に中間層を設けることもできる。例えば、ホール輸送層と透明電極との間を導電性ポリマー等を有する中間層を設け、電気ロスを防ぐことが可能である。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。
(実施例1〜20、比較例1および2)
1.金属電極基板としてのアルミニウム部材の作製
第1表に示されるように、基板に、鏡面仕上げ処理、窪み形成処理(自己規則化陽極酸化処理)、本陽極酸化処理およびポアワイド処理を順次施して、実施例1〜20、比較例1および2で用いる各金属電極基板を得た。なお、第1表中、「−」は該当する処理を施していないことを示す。
Figure 2007250315
以下、基板および各処理について説明する。
(1)基板
構造体の作製に用いた基板は、以下のとおりである。これらを10cm四方の面積で陽極酸化処理できるようカットして使用した。
・基板1:高純度アルミニウム、和光純薬工業社製、純度99.99質量%、厚さ0.4mm
・基板2:表面層Aを設けたアルミニウムJIS A1050材、日本軽金属社製、純度99.5質量%、厚さ0.24mm
・基板3:表面層Bを設けたアルミニウムJIS A1050材、日本軽金属社製、純度99.5質量%、厚さ0.24mm
・基板4:アルミニウムJIS A1050材、日本軽金属社製、純度99.5質量%、厚さ0.30mm
・基板5:表面層Cを設けたアルミニウムJIS A1050材、日本軽金属社製、純度99.5質量%、厚さ0.30mm
・基板6:表面層Dを設けたアルミニウムJIS A1050材、日本軽金属社製、純度99.5質量%、厚さ0.30mm
・基板7:アルミニウム蒸着フィルム、トレファンAT80、東レ社製、純度99.9質量%、厚さ0.02mm
・基板8:表面層Aを設けたアルミニウムXL無処理材、住友軽金属工業社製、純度99.3質量%、厚さ0.30mm
・基板9:表面層Eを設けたガラス、アズワン社製、純度99.9質量%、厚さ5mm
・基板10:表面層Eを設けたシリコンウエハー、信越化学工業社製、純度99.99質量%以上
・基板11:表面層Eを設けた合成石英、VIOSIL−SG−2B、信越化学工業社製、純度99.99質量%以上、厚さ0.6mm
・基板12:表面層Eを設けた銅張積層板(RAS33S42、信越化学工業社製、純度不明、厚さ0.08mm)の表面にAl−Cu合金膜をスパッタリング法により設けたもの
なお、上記アルミニウムJIS A1050材は、縦方向の正反射率40%(標準偏差10%)、横方向の正反射率15%(標準偏差10%)、純度99.5質量%(標準偏差0.1質量%)であった。
また、上記アルミニウムXL無処理材は、縦方向の正反射率85%(標準偏差5%)、横方向の正反射率83%(標準偏差5%)、純度99.3質量%(標準偏差0.1質量%)であった。
また、上記表面層A〜Eは、以下のように設けた。
表面層Aは、到達圧力:4×10-6Pa、蒸着電流:40A、基板:150℃加熱、蒸着材料:純度99.9質量%のアルミニウム線(ニラコ社製)の条件で、真空蒸着法により、基板上に形成された。表面層Aの厚さは、0.2μmであった。
表面層Bは、蒸着材料として純度99.99質量%のアルミニウム線(ニラコ社製)を用いた以外は、表面層Aと同様の方法により形成された。表面層Bの厚さは、0.2μmであった。
表面層Cは、到達圧力:4×10-6Pa、スパッタ圧力:10-2Pa、アルゴン流量:20sccm、基板:150℃制御(冷却有り)、バイアス:なし、スパッタ電源:RC、スパッタ電力:RF400W、スパッタ材料:純度99.9質量%の3Nバッキングプレート(協同インターナショナル社製)の条件で、スパッタリング法により、基板上に形成された。表面層Cの厚さは、0.5μmであった。
表面層Dは、スパッタ材料として純度99.99質量%の4Nバッキングプレート(協同インターナショナル社製)を用いた以外は、表面層Cと同様の方法により形成された。表面層Dの厚さは、0.5μmであった。
表面層Eは、厚さを1μmとした以外は、表面層Aと同様の方法により形成された。
なお、表面層の厚さは、PET基板にマスキングを施して、上記と同様の条件で、真空蒸着法およびスパッタリング法を時間を変化させて行い、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)でそれぞれの膜厚を測定することにより得られた時間と膜厚との相関検量線を用い、時間を調整することにより、調整した。
また、表面層の純度は、走査型X線光電子分光分析装置(Quantum 2000、アルバック・ファイ社製)を用いて、エッチング用イオン銃で深さ方向に掘りながら全定量分析を行い、異種金属元素の含有率を検量線法によって定量して求めた。その結果、いずれの表面層も、蒸着材料またはスパッタ材料の純度とほぼ同一の純度であった。
(2)鏡面仕上げ処理
上記基板1〜12のうち、基板1〜6については、以下の鏡面仕上げ処理を施した。
<鏡面仕上げ処理>
研磨布を用いた研磨、バフ研磨および電解研磨をこの順に行うことにより、鏡面仕上げ処理を施した。バフ研磨後には水洗を行った。
研磨布を用いた研磨は、研磨盤(Struers Abramin、丸本工業社製)および耐水研磨布(市販品)を用い、耐水研磨布の番手を#200、#500、#800、#1000および#1500の順に変更しつつ行った。
バフ研磨は、スラリー状研磨剤(FM No.3(平均粒径1μm)およびFM No.4(平均粒径0.3μm)、いずれもフジミインコーポレーテッド社製)を用いて行った。
電解研磨は、下記組成の電解液(温度70℃)を用いて、陽極を基板、陰極をカーボン電極とし、130mA/cm2の定電流で、2分間行った。電源としては、GP0110−30R(高砂製作所社製)を用いた。
<電解液組成>
・85質量%リン酸(和光純薬社製試薬) 660mL
・純水 160mL
・硫酸 150mL
・エチレングリコール 30mL
(3)窪み形成処理
鏡面仕上げを施した基板1〜6および鏡面仕上げを施していない基板7〜12の表面に、下記方法により、マイクロポア形成の開始点となる窪みを形成させた。
まず、第2表に示される電解液の種類、濃度および電解液の流速、温度、電圧、電流密度ならびに処理時間で、自己規則化陽極酸化処理を行い、第2表に示される膜厚の陽極酸化皮膜を形成させた。自己規則化陽極酸化処理においては、冷却装置としてNeoCool BD36(ヤマト科学社製)、かくはん加温装置としてペアスターラー PS−100(EYELA社製)、電源としてGP0650−2R(高砂製作所社製)を用いた。また電解液の流速は渦式フローモニターFLM22−10PCW(AS ONE製)を用いて計測した。一方、膜厚は、渦電流式膜厚計(EDY−1000、(株)サンコウ電子研究所製)を用いて測定した。
Figure 2007250315
第2表中、リン酸、シュウ酸および硫酸は、いずれも関東化学社製の試薬を用いた。電流密度は安定時の値を示した。
次いで、第3表に示される条件で、陽極酸化皮膜が形成された基板を処理液に浸せきさせて、陽極酸化皮膜を溶解させる脱膜処理を行った。
Figure 2007250315
第3表中、85質量%リン酸および無水クロム酸は、いずれも関東化学社製の試薬を用いた。なお、条件53および56に用いた処理液は、JIS H8688(1998)−H8688に規定されている組成である。
(4)本陽極酸化処理
窪みを形成させた基板に本陽極酸化処理を施した。本陽極酸化処理は、電解液中に基板を浸漬させ、第4表に示される電解液の種類、濃度および電解液の流速、温度、電圧、電流密度ならびに処理時間で、陽極酸化処理を行い、第4表に示される膜厚の陽極酸化皮膜を形成させた。膜厚は、窪み形成処理と同様、渦電流式膜厚計(EDY−1000、(株)サンコウ電子研究所製)を用いて測定した。
Figure 2007250315
(5)ポアワイド処理
ポアワイド処理は、基板を、第5表に示される種類、濃度および温度の処理液中に、第1表に示される時間浸せきさせることにより行った。
Figure 2007250315
2.電子輸送層(発光層)の積層
上記で得られた各金属電極基板上に、第6表に示す化合物を電子輸送層(発光層)として積層した。ここで、第6表中、ピレンAは、下記構造式で表されるピレン誘導体のRがフッ素原子で表されるものであり、同様に、ピレンBは、Rがケイ素原子で表されるものであり、ピレンCは、Rが水素原子で表されるものである。
Figure 2007250315
積層は、トッキ(株)製の真空蒸着機「CM−90」を用い、2×10-5Torr条件下で、第6表に示す化合物を蒸着させて行った。また、蒸着後サンプルの一片をFE−SEMで観察し膜厚を測定した。結果を表6に示す。
3.ホール輸送層の積層
電子輸送層(発光層)を積層させた後、該電子輸送層(発光層)上に、第6表に示す化合物をホール輸送層として積層した。なお、積層は、上述した電子輸送層(発光層)の積層方法と同様の方法で行った。
ここで、電子輸送層(発光層)とホール輸送層の積層に関し、実施例1〜18および20ならびに比較例1および2については、上述したように、電子輸送層(発光層)およびホール輸送層の順で積層したが、実施例19については、金属電極基板上にホール輸送層を積層した後に、電子輸送層(発光層)を積層した。
Figure 2007250315
4.中間層
上記で得られた各積層体のホール輸送層上(実施例19については電子輸送層(発光層)上)に、導電性ポリマーであるエチレンジオキシチオフェンを、スピンコーターを用い、7000rpm/60秒の条件で製膜し、110℃の条件下で20分間乾燥させることにより中間層を形成させた。なお、層厚をFE−SEMにより観察したところ50nmであった。
5.透明電極
中間層を形成した後の各積層体の該中間層上に、ITOを、電子ビーム蒸着により、膜厚が1mmになるまで積層し、実施例1〜20、比較例1および2の有機EL素子を製造した。
6.各種の性状
(1)比表面積
上記で得られた各金属電極基板について、BET1点法装置(フローソーブIII2310、島津製作所製)を用いて比表面積を測定した。結果を第7表に示す。なお、比較例1および2は、金属電極基板として基板1そのものを用いており、非表面積は200未満であることは明らかであるため、測定しなかった。
(2)規則化度
上記で得られた各金属電極基板について、FE−SEMにより表面写真(倍率20000倍)を撮影し、100nm×100nmの視野で、マイクロポアについて上記式(1)により定義される規則化度を測定した。規則化度の測定は、10箇所において行い、平均値を算出した。結果を第7表に示す。
(3)蛍光強度
上記で得られた各有機EL素子の発光性を確認するため、各有機EL素子に18Vおよび25Vの電圧をかけた時の蛍光スペクトルを、製蛍光分光光度計(Fluorolog3、Jobin Yvon Inc.)を用いて測定し、ブロードなエキシマー蛍光のピーク部の蛍光強度を計測した。このとき、比較例1で得られた有機EL素子の18Vにおける蛍光強度を1.00として相対比較を行った。結果を第7表に示す。
Figure 2007250315
第7表から明らかなように、用いる金属電極基板の発光層を設ける側の比表面積がいずれも200以上となる実施例1〜20で得られた有機EL素子は、比較例1および2で得られた有機EL素子に比べ、蛍光強度が優れることから、いずれも発光性に優れていることが分かった。特に、規則化度が50%以上となる実施例1〜19で得られた有機EL素子は、蛍光強度がより改善され、発光性がより優れていることが分かった。
本発明の有機EL素子の層構成の好適な実施態様の一例を示す模式図である。 ポアの規則化度を算出する方法の説明図である。
符号の説明
1、2、4、5、7、8 マイクロポア
3、6、9 円
10 有機EL素子
11 金属電極基板(負極)
12 電子輸送層(発光層)
13 ホール輸送層
14 透明電極(正極)

Claims (4)

  1. 負極である金属電極基板上に、少なくとも、発光層と正極である透明電極とを、この順に設けてなる有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
    前記金属電極基板の前記発光層を設ける側の表面の比表面積が、200以上である有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記金属電極基板が、アルミニウム基板と、前記アルミニウム基板の表面に存在する、マイクロポアを有する陽極酸化皮膜とを有するアルミニウム部材である、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記マイクロポアについて下記式(1)により定義される規則化度が50%以上である、請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    規則化度(%)=B/A×100 (1)
    (前記式(1)中、Aは、測定範囲におけるマイクロポアの全数を表す。Bは、一のマイクロポアの重心を中心とし、他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円を描いた場合に、その円の内部に前記一のマイクロポア以外のマイクロポアの重心を6個含むことになる前記一のマイクロポアの測定範囲における数を表す。)
  4. 前記透明電極が、酸化スズをドープした酸化インジウムを用いて形成される請求項1〜3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
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