JP2007248373A - 免疫測定用ブロッキング剤組成物およびそれを用いたブロッキング方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】抗原抗体反応を利用した免疫測定において、非特異的反応を防止し、かつ測定の妨げとならないブロッキング効果を示すものであって、かつ、検出感度を向上させ、しかも人体に対する安全性が高い、ブロッキング剤およびブロッキング方法を提供することにある。
【解決手段】本発明によるブロッキング剤組成物は、セリシン、その加水分解物、その同等物、およびそれらの組合せからなる群より選択されるセリシン成分を有効成分として含んでなる、免疫測定法において非特異的な反応を抑制するブロッキング剤組成物である。
【選択図】なし

Description

発明の背景
発明の分野
本発明は、免疫測定用ブロッキング剤組成物およびそれを用いたブロッキング方法に関する。より詳しくは、本発明は、生体材料中の微量物質測定法である免疫測定において、非特異的反応を抑制するブロッキング剤組成物およびそれを用いたブロッキング方法に関する。
背景技術
抗原抗体反応を利用した免疫測定では、その測定精度を高めるため、抗原−抗体による特異的な反応を確実にさせる一方で、目的以外の物質と抗原もしくは抗体との間で起こりうる非特異的反応を防止することが重要である。この非特異的反応を抑制する手段として、例えば、測定器材の吸着座に特異的でない抗体等が吸着することを防止するために、そのような非特異的結合を起こしうる吸着座をブロック(封止)可能な物質(例えばブロッキング剤)によってブロッキングすることが挙げられる。
ブロッキング剤としては、例えば、スキムミルクやウシ血清アルブミン(BSA)が用いられている(新生化学実験講座12 分子免疫学III、東京化学同人(非特許文献1))。これらの他にも、ブロッキング剤として、血液タンパク質または植物タンパク質を有効成分とする非特異吸着防止剤(特開平7−270413号公報(特許文献1))、兎血液成分またはその変性物を粒子に被覆する方法(特開平5−322895号公報(特許文献2))、さらにはフィッシュゼラチン等、様々なブロッキング剤および方法が開発されている。
この内、スキムミルクは、強いブロッキング作用がある一方で、抗原抗体反応の阻害作用(抗原のマスク作用)がある点が問題点として挙げられる。また、スキムミルクには、ビオチンやリン酸化タンパクが含まれるため、アビジンやリン酸化抗体による検出系の場合には、ブロッキング剤として使用するのは困難であった。ゼラチンは、BSAに比べてブロッキング作用が強く、コスト的にも優れているものの、ゼラチンを1%を超える濃度で使用すると抗原をマスクしてしまうという問題があった。また、ウシ血清アルブミン(BSA)は、ヒト血清アルブミン(HSA)の測定系で使用する場合には、目的物質の検出範囲が狭くなるという問題があった。さらにBSAには、コスト的に高価であり、牛海綿状脳症(BSE)への感染リスクの懸念もある。
このため、広範囲の免疫測定法において使用でき、かつ安全性の高いブロッキング剤およびブロッキング方法が依然として望まれていると言える。
特開平7−270413号公報 特開平5−322895号公報 新生化学実験講座12 分子免疫学III、東京化学同人
発明の概要
本発明者らは今般、予想外にも、セリシンに、免疫測定における非特異的反応を、抑制もしくは防止する効果があることを見い出した。セリシンによるブロッキング効果は、従来のものに比べて優れたものであった。本発明はこれら知見に基づくものである。
本発明の目的は、抗原抗体反応を利用した免疫測定において、非特異的反応を防止し、かつ測定の妨げとならない優れたブロッキング効果を示すものであって、かつ、検出感度を向上させ、しかも人体に対する安全性が高い、ブロッキング剤およびブロッキング方法を提供することにある。
本発明によるブロッキング剤組成物は、セリシン、その加水分解物、その同等物、およびそれらの組合せからなる群より選択されるセリシン成分を有効成分として含んでなる、免疫測定法において非特異的な反応を抑制するブロッキング剤組成物である。
本発明の一つの好ましい態様によれば、前記ブロッキング剤組成物は、緩衝剤成分をさらに含んでなる。
本発明の別の態様によれば、本発明によるブロッキング剤組成物を使用することを含んでなる、免疫測定法において抗原抗体反応以外の非特異的な反応を抑制するブロッキング方法が提供される。
本発明の別の好ましい態様によれば、前記ブロッキング方法は、測定器材の吸着座に抗原または抗体を吸着させた後、ブロッキング剤組成物を被覆することによって、非特異的な反応を抑制することを含んでなる。
本発明によれば、免疫測定法において、従来よりも広範囲の測定対象の場合の非特異的反応をブロッキングすることができる。すなわち、従来のブロッキング剤または方法では、目的物質の測定が妨害されるような場合であっても、セリシンを用いたブロッキングによれば、充分なブロッキング効果が得られ、そのような目的とする測定が阻害されることなく実施することができる。さらに、セリシンは、ウシ由来成分であるBSAの使用に伴うBSE発病リスクの懸念もなく、きわめて安全性の高いものである。したがって、本発明によれば、安全性の高いブロッキングおよび免疫測定を実施することが可能となる。
さらに本発明によるブロッキング剤は、従来よりも免疫測定法における非特異的反応をブロッキングする性能に優れている。このため、本発明によれば、免疫測定法におけるブロッキング効果を向上させることができ、より汎用性のある生体材料中の微量物質の免疫学的測定が可能となる。本発明は、測定の妨げとならないブロッキング法を提供でき、また上記のように汎用性、安全性、ブロッキング性能に優れていることから、効率的な免疫測定に役立つと考えられる。本発明は、例えば、基礎研究における分析や臨床診断として用いられる検査と、環境保全分野や食品の品質管理分野で用いられる検査方法の性能向上に役立つものであり、国民の健康福祉および産業界に大いに寄与することが期待できる。
発明の具体的説明
ブロッキング剤組成物
本発明によるブロッキング剤組成物は、前記したように、免疫測定法において非特異的な反応を抑制するものであって、セリシン成分を有効成分として含んでなるものである。
ここで、「免疫測定法」とは、抗原抗体間の結合の高い特異性を利用して、夾雑物の多い生体材料から目的とする微量物質を測定する方法をいう。従来法としては、抗原抗体結合量の直接的または間接的測定法があり、その測定手段として沈降反応、凝集反応、溶血反応などが用いられてきた。最近は、このような従来の免疫測定法に、放射性化合物、酵素、蛍光または発光物質、金属といった標識を組み合わせることで検出感度が大幅に向上させた測定法が主流となっている。このような測定法としては、例えば、放射免疫測定法(RIA)、免疫蛍光測定法、免疫発光測定法、酵素免疫測定法(ELISA)、酵素免疫蛍光測定法などが挙げられる。さらに、免疫測定法には、電気泳動によるタンパク質分離と抗原抗体反応とを組み合わせたウェスタンブロット法も含まれる。
したがって本発明の好ましい態様によれば、「免疫測定法」は、ウェスタンブロット法、放射免疫測定法、免疫蛍光測定法、免疫発光測定法、酵素免疫測定法、または、酵素免疫蛍光測定法である。
免疫測定法に使用し得る抗体は、免疫学的測定法に使用可能なものであれば特に制限はなく、例えば、マウス、ラット、ウサギなどに由来するモノクローナル抗体、および、ウサギ、ヒツジ、ラクダなどの動物やニワトリなどに由来するポリクローナル抗体などが挙げられる。また、該抗体は、それが西洋ワサビ由来ペロキシダーゼやアルカリフォスファターゼなどの酵素や、ビオチンまたはアビジンなどによって、化学的または物理的修飾を受けているものであっても良い。
本明細書において「ブロッキング」とは、上述の免疫測定法において、非特異的な反応を抑制するために、測定器材(または固相)の吸着座を、測定に無関係な物質で覆うことを意味する。なおここで測定器材とは、免疫測定法に用いられるマイクロプレートなどのプレートやニトロセルロース膜などのメンブレン等を言う。
ここで「非特異的な反応」とは、免疫測定法において、目的とする物質が抗体または抗原と、抗原抗体反応による特異的な結合をさせる場合に、標識抗体、抗原、抗体、さらには共存している夾雑物等が、抗原抗体間の特異的結合性に反して結合し、本来の特異的反応を阻害する反応を言う。したがって、このような非特異的反応が起こると、抗原抗体反応による特異的結合量が低下し、免疫測定法における検出精度も低下することとなる。
したがって、「非特異的な反応の抑制」とは、抗原を測定器材に吸着させた場合には、ブロッキングにより、その抗原と特異的でない抗体や、標識抗体が、直接的に測定器材に吸着するのを防止することを意味する。または、抗体を測定器材に吸着させた場合には、「非特異的な反応の抑制」は、ブロッキングにより、その抗体と特異的でない抗原や、標識抗原(または標識抗体)が、直接的に測定器材に吸着するのを防止することを意味する。このような非特異的な反応の抑制により、抗原−抗体間の特異的な反応を選択的にかつ確実に行わせることが可能となる。
セリシン成分
前記したように、本発明によるブロッキング剤組成物は、セリシン、その加水分解物、その同等物、およびそれらの組合せからなる群より選択されるセリシン成分を有効成分として含んでなる。
本発明において、セリシンは、WO2002/086133号公報に開示されるアミノ酸配列を有する蛋白質であり、38アミノ酸(配列番号1)からなる機能性ペプチドの繰り返し配列で構成されてなるものである。より具体的に説明すれば下記のとおりである。
本発明においてセリシンは、天然物由来のものとして、または合成物として、セリシンタンパク質の全部または一部が公知のものであればいずれのものも包含される。セリシンが天然物由来のものである場合には、後述する方法により得られるものであることが好ましい。
一般的に、セリシンの遺伝子は2.6kbp〜10.6kbpの大きさで複数種確認されており、それらは例えば、The Journal of Biological Chemistry 257 15192-15199(1982)に記載されている。本発明の一つの好ましい態様によれば、セリシンはこのような遺伝子配列をコードしてなるものである。本発明の好ましい態様によれば、セリシンは、その全長配列が、配列番号2に記載のアミノ酸配列から実質的になるものである。典型的には、このアミノ酸配列は、38アミノ酸(配列番号1)からなる本質的領域と、それ以外の非本質的領域とからなる。好ましくは、セリシンは前記本質的領域を繰り返し配列として含んでなるものである。例えば配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるセリシンでは、38アミノ酸(配列番号1)からなる本質的領域が、12回繰り返し存在している。
天然物由来のセリシンは、例えば、繭糸または生糸から抽出して得られることができる。なおここで繭とは蚕繭のことをいい、また生糸とは所謂蚕糸のことである。天然物由来であると、人体への安全性が高く、また比較的安価であるため、有利である。
天然物由来のセリシン、特に非加水分解物であるものは、繭糸または生糸から慣用の抽出方法により得ることができる。具体的には例えば、以下のようにして純度90%以上の高精製度単一タンパク質の状態で抽出して得ることができる。
まず繭糸または生糸を、水、好ましくは80〜100℃程度の熱水内で処理することにより、繭糸または生糸に含まれるセリシンを、該水中に溶出させ、セリシン水溶液を得る。さらに、得られたセリシン水溶液について、例えば次の(1)〜(3)のいずれかの方法を適用することにより、分離精製処理を行って、目的とするセリシン非加水分解物を回収することができる:
(1) 前記セリシン水溶液のpHを、有機酸もしくは無機酸によってpH3〜5に調整した後、そこに有機凝集剤または無機凝集剤を添加してセリシンを析出させ、これをさらに濾過後、乾燥させて固体セリシンを得ることができる。
(2) 前記セリシン水溶液と、メタノール、エタノールまたはジオキサンなどの水溶性溶媒と混合し、これによりセリシンを析出させた後、濾別乾燥して固体セリシンを得ることができる。
(3) 特開平4−202435号公報に記載のように、前記セリシン水溶液を限外濾過膜または逆浸透膜に付し、所定の濾過処理を行った後、乾燥させてセリシン粉体を得ることができる。
本発明において、天然物由来のセリシンは、分子量分布が500〜500,000であって、アミノ酸としてセリンを20〜40モル%含有するものが好ましい。
セリシンの加水分解物は、前記したセリシンを、慣用の手段、例えば酸、アルカリ、または酵素等を利用することにより、加水分解を施すことにより得ることができる。例えば、セリシンの加水分解物は、機能性ペプチドを含む天然物由来セリシンを酸やアルカリによって加水分解することによって得ることができる。、セリシンの加水分解物の分子量は、好ましくは、1〜100kDa、より好ましくは3〜70kDaである。
ここで、「同等物」とは、セリシンやその加水分解物を、少なくとも1以上の機能性ペプチドを含むように化学合成されるものや、遺伝子工学的手法により微生物などを用いて製造されるものをいう。
また、同等物は、本発明のブロッキング作用を損なわない範囲内で、またはその特性を改善する目的で、38アミノ酸からなる機能性ペプチドのアミノ酸配列に対して、WO2002/086133号公報に開示される方法で改変が施されたものであることができる。好ましくは、同等物は、本発明のブロッキング作用を損なわない範囲内で、38アミノ酸からなる機能性ペプチドのアミノ酸配列に対して80%以上(好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上)の相同性を有するものであったも良く、または、前記配列中の1または複数個(例えば1〜5個程度、好ましくは1〜3個程度))のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入、付加されたものであっても良い。
なお、本明細書において示した相同性の数値はいずれも、当業者に公知の相同性検索プログラムを用いて算出される数値であればよく、例えばFASTA、BLAST(Basic Local Alignment Search Tool)等においてデフォルト(初期設定)のパラメータを用いることにより、容易に算出することができる。
本発明において、セリシン、その加水分解物、およびその同等物は、WO2002/086133号公報に開示される公知の方法に従って得ることができる。
補助成分
ここで「有効成分として含んでなる」とは、本発明による組成物が、免疫測定法において非特異的な反応を抑制するブロッキング性能を発揮するのに充分な量(すなわち、有効量)のセリシン成分を含有することをいう。したがって、このような量で、有効成分を含んでなる限りにおいて、本発明による組成物は、他の補助成分を含んでなることができる。このような補助成分としては、例えば、緩衝剤、塩類、アルコール類、ポリオール類、界面活性剤、抗生物質、防腐剤、安定剤、着色剤、分散剤等が挙げられる。
したがって、本発明によるブロッキング剤組成物は、緩衝剤成分をさらに含んでなることができる。緩衝剤成分としては、慣用のものであれば特に制限はなく、例えば、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、クエン酸緩衝液、トリス緩衝液、PIPES,MES,TES,MOPS,HEPESなどのGood緩衝液の緩衝液を調製できる緩衝剤成分が挙げられる。
緩衝剤成分は、ブロッキング剤組成物を溶液状態とした場合に、その液のpHが室温(例えば約20℃)において好ましくは4〜12、より好ましくは6〜10となるように選択される。
ブロッキング剤組成物を溶液状態とした場合、そこに含まれうる緩衝剤成分の濃度は、0.1〜1000mMであることが好ましく、より好ましくは0.2〜800mM、さらに好ましくは0.5〜500mM、さらにより好ましくは1〜100mMである。緩衝剤成分の濃度が前記範囲内であると、ブロッキング溶液において緩衝効果を得ることができると同時に、好適なブロッキング効果を得ることができる。
本発明によるブロッキング剤組成物が含んでいても良い塩類としては、例えば、硫安、燐安、食塩、塩化カリウムなどが挙げられる。
アルコール類としては、例えば、エタノールやメタノール、プロパノールなどが挙げられる。
ポリオール類としては、例えば、グリセロール、エチレングリコールなどが挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、アルキルグルコシド、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、脂肪酸アルコールエステルなどが挙げられる。
抗生物質としては、例えば、ペニシリン系、セフェム系、アミノ配糖体系、マイクロライド系、テトラサイクリン系、ニュー・キノロン系等の抗生物質が挙げられる。
また防腐剤としては、例えば、アジ化物、1,1’−メチレン−ビス[3−(1−ヒドロキシメチル−2,4−ジオキシイミダゾリジン−5−イル)−ウレア](1,1'-Methylen-bis[3-(1-hydroxymethyl-2,4-dioximidazolidin-5-yl)-urea])、2−メチル−3(2H)−イソチアゾン−ヒドロクロリド(2-Methyl-3(2H)-isothiazolone-hydrochloride)、5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン(5-Bromo-5-nitro-1,3-dioxane)、2−ヒドロキシピリジン−N−オキシド(2-Hydroxypyridine-N-oxide)、2−クロロアセタミド(2-Chloroacetamide)などが挙げられる。
本発明によるブロッキング剤組成物は、水を主溶媒として、通常、溶液状態(ブロッキング溶液)として利用される。このとき、本発明によるブロッキング剤組成物は、セリシン成分を、例えば0.1〜50g/L、好ましくは5〜50g/L、より好ましくは10〜20g/Lの濃度で含むことができる。
本発明によるブロッキング剤組成物を溶液状態とし、これにさらに滅菌操作がされてなることが必要な場合には、該ブロッキング溶液を、使用前に約121℃、15分程度の条件で高温加圧処理または滅菌フィルターによるろ過を行ってもよい。
なお、本発明によるブロッキング剤組成物は、前記したように滅菌した上で適当な滅菌容器に充填して溶液状態で提供されてもよいが、有効成分を含む各成分を固体状態で混和した粉末、ブロッキング剤組成物による溶液を凍結乾燥した粉末、さらには、該溶液を噴霧乾燥した粉末などの固体状態として使用時に溶解して用いるような形態にしたもので提供されてもよい。
ブロッキング方法
前記したように、本発明の別の態様によれば、本発明によるブロッキング剤組成物を使用することを含んでなる、免疫測定法において非特異的な反応を抑制するブロッキング方法が提供される。ここで、ブロッキング剤組成物は、典型的には、溶液状態とされて使用される。
具体例を挙げて該ブロッキング方法を説明すると、まず、測定器材を用意し、この吸着座に目的とする物質、抗原または抗体を吸着させた後、この測定器材の吸着座にブロッキング剤組成物を溶液状態としたブロッキング溶液を加えて覆い、吸着座をブロッキングする。
このとき、ブロッキング条件は、ブロッキング液を加えた状態で所定の時間保持することにより調整できる。例えば、加えられたブロッキング溶液の液温が約37℃の場合は30分〜2時間、室温(例えば約20℃)の場合は1時間〜3時間、約4℃の場合は2時間〜12時間に保持するのが一般的な処理時間である。
よって本発明の一つの好ましい態様によれば、本発明によるブロッキング方法は、測定器材の吸着座に抗原または抗体を吸着させた後、ブロッキング剤組成物を被覆することによって、非特異的な反応を抑制することを含んでなる。
免疫測定法においては、さらに前記ブロッキング処理の後、対応する抗原、抗体、または目的とする物質を加えて、抗原抗体反応の特異的反応を進行させる。その後、標識を慣用の方法により測定して、免疫測定による結果を取得することができる。
本発明を以下の例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ブロッキング溶液の調製
セリシン濃度が1%(w/v)になるよう緩衝剤にセリシンを溶解し、ブロッキング溶液を調製した。ここで、緩衝剤にはPBS溶液(リン酸濃度9.5mM)を使用した。また、セリシンとしては、セーレン株式会社製(分子量3〜70kDa)のものを使用した。
実施例1
ヒトエリスロポエチンを検出するウェスタンブロット法を用いて、セリシンによるブロッキング効果を確認した。
具体的には、下記のとおりの手順で試験を行った。
ヒトエリスロポエチン産生細胞(BHK21-pcDNA3.1-HC、American Type Culture Collection)の培養上清を、SDS−PAGE電気泳動により分離し、泳動したタンパクをメンブレン(Hybond−P、GEヘルスケアバイオサイエンス社製)上に転写した。調製したブロッキング溶液に前記メンブレンを浸して4℃で一晩振とうした。なお対照のブロッキング溶液として、スキムミルクをその濃度が5%(w/v)になるよう緩衝剤に溶解させたものを使用した。ここで使用した緩衝液は、上記セリシンを含むブロッキング溶液の場合と同様であった。
次に、メンブレンを一次抗体液に浸し、室温で90分間振とうした。ここで一次抗体液には、PBS緩衝剤で溶解した1μg/mlウサギ由来抗エリスロポエチンポリクローナル抗体(R&D Systems社製)を使用した。
その後、1μg/mlとなるように緩衝剤に溶解した西洋ワサビペロキシダーゼ(HRPO)酵素標識したヤギ由来抗ラビットIgG抗体(Cappel社製)を二次抗体液とし、この溶液にメンフレンを浸して室温で90分間振とうした。最後に発色試薬(ECL Western Blotting Detection、GEヘルスケアバイオサイエンス社製)とメンブレンを反応させ、暗室内でフィルムに感光させ、常法に従い現像した。
結果は図1に示されるとおりであった。
図1に示すように、セリシンまたは5%(w/v)スキムミルクでブロッキングすることによって、ヒトエリスロポエチンが特異的に検出された。セリシン濃度はスキムミルク濃度の1/5であるにもかかわらず、ヒトエリスロポエチン以外の物質は検出されなかった。このことから、セリシンのブロッキング効果は、スキムミルクによるブロッキング効果よりも優れていることが示された。
実施例2
ヒト血清アルブミン(HSA)と特異的に反応する抗HSA抗体は、ブロッキングに使用するウシ血清アルブミン(BSA)と非特異的に反応して、HSA測定に影響を与える場合がある。このことを利用して、本発明によるブロッキング溶液が、非特異的な反応を抑制するか否かを確認した。この試験では、HSA測定のための酵素免疫測定法を利用し、比較として1%BSAによるブロッキングを行った。
具体的には、下記のとおりの手順で試験を行った。
ヤギ由来抗HSAポリクローナル抗体(Cappel社製)をPBS緩衝液に溶解し、96穴アッセイプレート(Becton Dickinson社製)に添加して30℃で2時間反応させ、プレートに吸着させた。次にブロッキング溶液を添加して4℃で一晩反応させた。つづいて、ブロッキング溶液で調製した標準HSA(ナカライテスク社製)溶液を添加して30℃で2時間反応させた。
なおここで対照となるブロッキング溶液としては、PBS緩衝液で溶解した1%(w/v)BSA(ナカライテスク社製)溶液を用いた。
次に、HRPO標識ラビット由来抗HSAポリクローナル抗体(Rockland社製)をPBS緩衝液に溶解し、アッセイプレートに添加し30℃で2時間反応させた。その後プレートの洗浄を経て、基質として2塩酸オルトフェニレンジアミンを添加し、反応生成物の吸光度測定によりHSAの濃度を定量した。
結果は図2に示されるとおりであった。
図2に示すように、BSAによるブロッキングでは抗HSA抗体と非特異的に反応したため、HSA濃度に依存した吸光値を得ることができなかった。一方、セリシンによるブロッキングではHSA濃度に依存した吸光値が得られた。このため、セリシンによるブロッキングは、HSA定量系における抗HSA抗体の非特異的反応の抑制に効果があることが示された。
実施例3
酵素免疫測定法でのセリシンのブロッキングによる検出感度範囲を測定した。試験には、マウスモノクローナル抗体測定を利用し、マウスモノクローナル抗体の濃度を種々変化させて、それぞれの濃度における検出の可否を調べた。比較ブロッキング溶液として、1%(w/v)BSA、および5%(w/v)スキムミルク(ナカライテスク社製)を用いた。
具体的には、下記のとおりの手順で試験を行った。
一次抗体にはラビット由来抗マウスIgGポリクローナル抗体(Cappel社製)を使用し、二次抗体にはHRPO標識ヤギ由来抗マウスIgGポリクローナル抗体(Cappel社製)を使用した。また、標準となるマウスモノクローナル抗体は、マウス抗体産生細胞の培養上清からプロテインGカラム(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を用いて精製した抗体を使用し、これをブロッキング溶液に溶解した。他の条件は実施例2と同様にして行った。
結果は表1に示されるとおりであった。
セリシンによるブロッキングは、BSAまたはスキムミルクによるブロッキングよりも、マウスモノクローナル抗体を検出できる濃度範囲が広いことが示された。
実施例1の結果を示す図である。図は、ウェスタンブロット法を用いてヒトエリスロポエチンを検出する場合における、スキムミルク(図左(a))と、セリシン(図右(b))によるそれぞれの場合のブロッキング効果の結果を示す。 実施例2の結果を示す図である。図は、酵素免疫測定法におけるBSAとセリシンのぞれぞれのブロッキング効果の結果を示す。

Claims (7)

  1. セリシン、その加水分解物、その同等物、およびそれらの組合せからなる群より選択されるセリシン成分を有効成分として含んでなる、免疫測定法において非特異的な反応を抑制するブロッキング剤組成物。
  2. セリシンおよび/またはその加水分解物が、繭糸または生糸から抽出した天然セリシンに由来するものである、請求項1に記載のブロッキング剤組成物。
  3. 同等物が、化学合成または遺伝子工学的手法により得られたものである、請求項1に記載のブロッキング剤組成物。
  4. 緩衝剤成分をさらに含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のブロッキング剤組成物。
  5. 組成物が溶液形態であって、セリシン成分を0.1〜50g/L含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のブロッキング剤組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のブロッキング剤組成物を使用することを含んでなる、免疫測定法において非特異的な反応を抑制するブロッキング方法。
  7. 測定器材の吸着座に抗原または抗体を吸着させた後、ブロッキング剤組成物を被覆することによって、非特異的な反応を抑制することを含んでなる、請求項6に記載の方法。
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