JP2007247521A - スクリュロータの調整方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】事後の寸法変化を考慮することなく行うことができる,摺り合わせによるスクリュロータの調整方法を提供する。
【解決手段】水噴射式コンプレッサに使用するスクリュロータのように,水との接触状態で使用される,歯部を樹脂材料によって形成したオス,メス一対のスクリュロータを対象とし,金型等によって所定の寸法及び形状に形成された調整前の前記オス,メス一対のスクリュロータの前記歯部を,先ず,水に浸漬して膨潤させる。次いで,前記膨潤処理が完了した一対のスクリュロータを噛み合わせた状態で回転自在に支承し,いずれか一方のスクリュロータを回転させると共に,他方のスクリュロータを噛み合いによって従動回転させ,回転時の噛み合い接触により両スクリュロータの歯部に摩耗を生じさせながら両スクリュロータの芯間距離を所定の仕上げ芯間距離となる迄徐々に狭める。
【選択図】なし

Description

本発明は,樹脂材料で形成した歯部を有するスクリュロータの調整方法に関し,より詳細には,ロータ室内に水を噴射しつつ気体を吸入して圧縮又は膨張する圧縮機や膨張器等の流体機械に使用する,水との接触状態で使用される前記構成のスクリュロータの調整方法に関する。
油分を含む圧縮空気の供給を嫌う空気作業機や,油分を含む圧縮空気を使用できない例えば食品製造等の分野において使用する圧縮気体を得るために,冷却,密封,潤滑のために一般に使用される油に代えて,ロータ室内に水を噴射しつつ空気等の気体を吸入して圧縮を行う水噴射式のスクリュコンプレッサが使用されている。
このような水噴射式のスクリュコンプレッサでは,スクリュロータの軽量化を図ると共に,前述のように噴射された水との接触によりロータが錆びることを防止するために,金属製のロータ軸に,樹脂材料で形成された歯部を設けた,所謂「樹脂ロータ」がスクリュロータとして使用されている(特許文献1〜3参照)。
このように樹脂材料によって形成された歯部を備えたスクリュロータは,一例としてロータ軸を収容した金型内に溶融状態の樹脂材料を充填することで,所定の形状,寸法を有するスクリュロータを得ているが,このようなスクリュロータは金型等より取り出されたそのままの状態でコンプレッサ等の流体機械に組み込める程の精度を有していない。
そのため,金型等による成型で一旦製造されたスクリュロータは,これをコンプレッサに組み込む前に摺り合わせと呼ばれる方法等によって調整している。
なお,水噴射式のスクリュコンプレッサにおけるスクリュロータに関するものではないが,摺り合わせに関する技術を開示する先行技術文献として特開昭57−5589号公報があり,同公報にはスクリュロータに合成樹脂,固体潤滑剤,塗料等のコーティング層が形成された乾式スクリュー圧縮機のスクリュロータの摺り合わせ方法として,オス,メスロータを略平行軸線上に噛み合わせて回転自在に支持すると共に,両ロータに付与すべきバックラッシュと同等のバックラッシュを有する同期歯車を両ロータのシャフトに固定し,この状態で一方のロータにブレーキトルクをかけた状態で他方のロータを正転及び逆転して駆動しながら両ロータの芯間距離を徐々に狭めることで,この駆動の際の乾摩擦によりロータのコーティング層に摩耗を生じさせて調整することが開示されている(特許文献4参照)。
この発明の先行技術文献情報としては次のものがある。
特許第2645261号公報 特開平9−264276号公報 特開2000−246771号公報 特開昭57−5589号公報
ところで,一般に樹脂材料は,これを長時間水と接触させると水により膨潤して寸法変化を起こす。特に接触している水の温度が高まると,このような膨潤は促進され易い。
そのため,前述したように樹脂材料によって形成された歯部を有するスクリュロータを,ロータ室内に水を噴射しつつ気体を吸入して圧縮又は膨張する流体機械に使用すると,このスクリュロータの歯部は常に水と接触した状態で使用されるために次第に膨潤して寸法変化を起こす。
特に,このようなスクリュロータを水噴射式のコンプレッサに使用する場合には,ロータ室内に噴射した水が吸入された気体を圧縮する際に発生した圧縮熱により温水となることから,水による膨潤が生じやすい。
また,このようなスクリュロータは,熱によっても寸法変化を生じ,前述した水噴射式コンプレッサにあっては被圧縮気体を圧縮する際に生じた圧縮熱によって加熱,膨張して同様の寸法変化を生じる。
このような樹脂材料の水による膨潤や,熱によるスクリュロータの寸法変化が生じると,オス,メスのスクリュロータ間に設けた隙間が変化して,最適な隙間を維持できない。一例として,前述のような膨潤や熱膨張による寸法の拡大は,スクリュロータの歯部がロータ室の内壁と接触したり,又はオス,メスロータが相互に干渉して回転が妨げられる等,コンプレッサの作動不良や破損の原因となる。
そこで,前述の摺り合わせでは,このようなスクリュロータが水による膨潤や熱による寸法変化を起こすものであることを前提とし,水による膨潤や,熱により寸法が変化した後の状態で,両ロータ間の隙間が最適となるように調整される。
このようにして調整されたスクリュロータでは,水による膨潤に関して言えば,スクリュロータの寸法が膨潤により拡大する前の状態では,両ロータの歯間に過剰とも言える隙間が形成されている。そのため,水による膨潤によってスクリュロータの寸法が拡大するまでの間,この過剰な隙間によって圧縮又は膨張のための作用空間を十分に密封することができず,流体機械は所期の性能を発揮しない。
そして,スクリュロータの歯部が水によって膨潤するに従い徐々に性能が向上するために,流体機械の性能が安定せずに変化する。そのため,このような変化に合わせて流体機械の設定を微調整する必要が生じる等,煩雑である。
また,流体機械の性能を向上させるためには,スクリュロータ間の隙間は可及的に狭く形成することが好ましいが,予め水による膨潤や熱による寸法変化を考慮して寸法変化後のロータの形状を予測することが難しく,従って,この形状に適合するように正確に調整を行うこともまた難しい。そして,この隙間が不十分である場合には,スクリュロータ相互の干渉やスクリュロータとロータ室内壁との接触による作動不良や破損という重大な不利益を受けることから,これを回避するために,調整時,スクリュロータ間に必要以上の隙間が設けられることになる。
さらに,流体機械において,ロータ室内の温度は均一ではなく,低圧側に対して高圧側では温度が高くなる。例えば,圧縮機の場合では,吸入側は相対的に低圧であり温度も相対的に低く,吐出側では相対的に高圧であり温度も相対的に高くなる。一方,膨張器ではこれとは逆となる。
そのため,前述の調整を,高圧側におけるロータ室の温度を基準として行うと,低圧側におけるロータ間の隙間が過大となり作業効率が低下する。一方,低圧側におけるロータ室内の温度を基準にすると,高圧側における隙間が不足する。そのため,このようなロータ室内の温度の相違に対応して,スクリュロータの軸線方向に調整量を簡単に変化させることができれば,流体機械の性能をより一層向上させることが可能となる。
そこで本発明は,上記従来技術が有する欠点を解消するために成されたものであり,事後の寸法変化を考慮することなく行うことができる,摺り合わせによるスクリュロータの調整方法を提供することにより,オス,メスのスクリュロータ間の隙間を最適化して,このようにして調整されたスクリュロータが組み込まれた流体機械の性能を向上すると共に,事後的に生じるスクリュロータの寸法変化に基づく流体機械の性能変化を無くし,使用開始の当初より性能の安定した流体機械を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために,本発明のスクリュロータの調整方法は,例えば水噴射式コンプレッサ等のように,ロータ室内に水を噴射しつつ気体を吸入して圧縮又は膨張する流体機械に使用され,樹脂材料によって形成された歯部を備えるオス,メス一対のスクリュロータ10,20を対象とし,
所定の寸法及び形状に形成された調整前の前記オス,メス一対のスクリュロータ10,20の前記歯部11,21を水に浸漬して膨潤させる膨潤処理を施した後,
前記膨潤処理が施された前記オス,メス一対のスクリュロータ10,20を噛み合わせた状態で回転自在に支承し,オス,メスいずれか一方のスクリュロータ(一例として実施形態ではオスロータ20)に回転力を付与して回転させると共に,他方のスクリュロータ(一例として実施形態ではメスロータ10)を前記一方のスクリュロータとの噛み合いによって従動回転させて,前記回転時の噛み合い接触により両スクリュロータ10,20の歯部11,21に摩耗を生じさせながら両スクリュロータ10,20の芯間距離W1,W2を所定の仕上げ芯間距離となる迄徐々に狭める摺り合わせを行うことを特徴とする(請求項1)。
前述のスクリュロータ10,20の調整方法において,前記オス,メス一対のスクリュロータ10,20の前記歯部11,21を,前記スクリュロータ10,20を組み込む流体機械の作動時におけるロータ室内の温度と同程度の温度に調整して前記摺り合わせを行うことが好ましい(請求項2)。
さらに,前述の摺り合わせは,前記仕上げ芯間距離が,前記スクリュロータ10,20の低圧側に対し,高圧側において相対的に狭くなるよう行うことが好ましい(請求項3)。
なお,前記摺り合わせは,前記オス,メス一対のスクリュロータ10,20の歯部11,21の全部又は一部を水没させた状態で行うこともできる(請求項4)。
以上説明した本発明の構成より,本発明のスクリュロータの調整方法によれば,スクリュロータ10,20の,樹脂材料によって形成された歯部11,21を予め水により膨潤させた後に摺り合わせを行うことにより,水による膨潤により生じる寸法変化を考慮することなく,調整をスクリュロータ10,20の実寸に基づいて行うことが可能となった。
また,従来の方法で調整されたスクリュロータ10,20を組み込んだ流体機械では,スクリュロータ10,20が水により膨潤してその寸法が変化するに伴い性能が変化し,膨潤が完了して寸法が安定する迄この変化が続くものとなっていたが,本発明の方法で調整したスクリュロータ10,20を組み込むことで,流体機械の使用開始時より所期の性能を安定して発揮させることができ,水による膨潤に伴う性能の変化が生じることを防止できた。
さらに,摺り合わせを行う際に,スクリュロータ10,20の歯部11,21の温度を運転時における流体機械のロータ室内の温度と同程度の温度に調整することで,スクリュロータ10,20の寸法を使用時における熱膨張等を生じた状態の寸法に変化させて調整を行ったため,調整をスクリュロータ10,20の実寸に基づいて正確に行うことができた。
その結果,流体機械に組み込んだ際のスクリュロータ10,20間の隙間を最小にすることができ,これにより流体機械の性能を向上させることができた。
特に,このような摺り合わせを水中において行うことで,この水の温度管理によりスクリュロータ10,20の歯部の温度を正確かつ容易に運転時における流体機械のロータ室内の温度に調整することができた。また,スクリュロータ10,20の全体を,均一に運転時における流体機械のロータ室内温度に調整することができ,調整の精度を向上させることができた。
さらに,摺り合わせによる仕上げ芯間距離を,低圧側において相対的に広く,高圧側において相対的に狭くすることにより,ロータ室内における温度の相違に対応して,スクリュロータ10,20の形状を容易に変化させることが可能であった。
本発明のスクリュロータの調整方法は,樹脂材料によって形成した歯部11,21を備えると共に,水との接触状態で使用されるスクリュロータ10,20を調整対象とし,この調整対象であるスクリュロータ10,20を,先ず,水により膨潤させる膨潤処理を行い,その後,この膨潤処理が施されたスクリュロータ10,20を摺り合わせにより調整することを特徴とする。
以下に,本発明の方法の実施形態につき添付図面を参照しながら詳細に説明する。
〔調整対象〕
本発明の方法により調整対象とするスクリュロータ10,20は,前述したように,樹脂材料によって形成した歯部11,21を備えた,所謂「樹脂ロータ」と呼ばれるもので,例えば金属製のロータ軸12,22に,樹脂材料製の歯部11,21が形成されたスクリュロータ10,20を対象とする。
なお,前述のようなスクリュロータ10,20であっても,水との接触状態で使用されないもの,例えば,被圧縮気体を圧縮する際に,水も油も吸入しない,所謂「オイルフリーコンプレッサ」のように乾式で使用する流体機械に用いるスクリュロータは本発明の調整対象とならず,上記構成を備えたスクリュロータのうち,例えば前述した水噴射式コンプレッサに使用するスクリュロータのように,水との接触状態で使用するものが,本発明による調整対象である。
調整対象とするスクリュロータ10,20としては,既知の如何なる方法で製造したものであっても良く,その製造方法は特に限定されない。一例として,前記構成のスクリュロータ10,20は,ロータ軸12,22となるシャフトが配置された金型内に,歯部11,21となる溶融した樹脂材料を射出する等して製造されており,このようにして製造されたスクリュロータ10,20を処理対象とすることができる。
スクリュロータ10,20に使用されている樹脂材料の種類についても特に限定されず,前記構成のスクリュロータ10,20に使用する材質として既知の,各種樹脂材料によって形成されたものを本発明の調整方法による対象とすることができる。
前記構成のスクリュロータに使用する樹脂材料として,本実施形態では一例としてフェノール樹脂製の歯部を備えたスクリュロータ10,20を調整の対象とした。
〔膨潤処理〕
前述の調整対象であるスクリュロータ10,20の歯部11,21は,後述する摺り合わせを行う前に,水に浸漬して膨潤する,膨潤処理が施される。
膨潤に使用する水の温度は,対象とするスクリュロータ10,20の歯部11,21に使用した樹脂材料の物性等に応じて適当な温度に設定することが可能であるが,一般に水温が高い程,樹脂の膨潤を促進させることができ,好ましくは,温水を使用する。本実施形態にあっては,一例として80℃の温水を使用した。
また,浸漬時間についても同様に処理対象とするスクリュロータ10,20の歯部11,21に使用されている樹脂材料の物性に応じて適当な時間に設定することが可能である。
樹脂材料は,水に浸漬する時間が長くなるに従い寸法が増大するが,一定時間の浸漬により変化量が減少し,やがて殆ど変化が生じなくなる。そして,一旦膨潤が完了すると,その後,水と接触しても膨潤せず,寸法形状が安定する。従って,好ましくはこのような寸法変化が緩やかとなる迄浸漬を行い,より好ましくは,寸法変化が殆ど生じなくなる迄,浸漬を行う。
一例として,本実施形態で対象としたスクリュロータ10,20の歯部11,21を構成する樹脂材料は,図1に示すように80℃の温水による浸漬で,寸法変化率(寸法の増加分/変化前の寸法)が約0.3%以上になると寸法変化率の増加が緩やかとなり,約0.33%で殆ど変化が生じなくなった。従って,この例では,寸法変化率が約0.3%となる約500時間,より好ましくは,寸法変化率が約0.33%となる約1000時間を浸漬時間とすることが好ましい。
さらに,水による樹脂の膨潤を促進するために,加圧下で上記浸漬を行うこともでき,この場合には,膨潤の促進状態に応じて前記浸漬時間を短縮することができる。
本実施形態で膨潤に使用した実験装置を一例として示せば,図2に示す通りである。
図2に示すように,本実施形態にあってはロータ軸12を挿入可能な開口31が形成された円筒容器30内にスクリュロータ10の歯部11を収容すると共に,この円筒容器30内に水を充填して,スクリュロータ10の歯部11全体が水中に没するようにして膨潤を行った。
なお,図2では,説明のために前述の容器30を半割りにした状態を示したが,実際の実験装置として使用した容器30には,その上側半分も同様に容器30によって覆われており,スクリュロータ10の歯部11全体が水と共に容器によって包囲されている。
必要に応じて前記容器30は,内部を加圧可能に構成して,加圧下での膨潤を行うことができるように構成しても良く,または,この構成に代え,スクリュロータ10を収容した容器30自体を加圧された空間内に収容するよう構成しても良い。
また,図中32は,シールであり,前記開口31の周縁とロータ軸12外周間をシールして,容器30内の水が漏出することを防止している。
温水により膨潤処理を行う場合には,前記容器30に内部の水を加熱するヒータ等(図示せず)を設ける構成としても良いが,本実施形態にあっては,以上のようにして容器30に収容したスクリュロータ10を容器30と共に所定の温度(本実施形態では80℃)に調整された恒温室40内に収容し,これを約500時間放置して,寸法変化率が約0.3%となる迄膨潤させた。
〔摺り合わせ〕
以上のようにして膨潤処理が行われたスクリュロータ10に対し,摺り合わせによる調整を行う。
この摺り合わせは,図3に示すようにオスロータ20とメスロータ10とを噛み合い状態に配置して,いずれか一方のロータ(本実施形態にあってはオスロータ)20に回転力を与えて回転させ,他方のロータ(本実施形態にあってはメスロータ)10を,この一方のロータ20との噛み合いによって従動回転させ,このようにして回転させた際の両ロータ10,20の摩擦接触により,スクリュロータ10,20の歯部11,21を摩耗させ,スクリュロータ10,20間の隙間を拡大させると共に,この隙間の拡大に伴って徐々に両ロータ10,20の芯間距離W1,W2を狭め,所定の仕上げ芯間距離となる迄この作業を行うことにより,スクリュロータ10,20を所定の形状に調整する。
このような摩擦接触による摩耗を促進させるために,本実施形態にあってはオス,メス両スクリュロータ10,20間の接触部分に研磨材粒子を導入し,この研磨材粒子を介した両ロータ10,20の摩擦接触により摩耗を生じさせるものとした。
この摺り合わせは,好ましくは,スクリュロータ10,20の歯部11,21の温度を,調整後に組み込む流体機械のロータ室内の温度(作動時)と同程度の温度に調整して行う。このようにロータ室内の温度と同程度の温度に歯部11,21を調整することで,スクリュロータ10,20は使用状態と同様の温度,従って,使用状態と同様の寸法変化を生じ,このような寸法変化を生じた状態で摺り合わせを行うことで,変形後のスクリュロータ10,20の形状に正確に対応した調整を行うことができ,流体機械に組み込んだ際のスクリュロータ10,20間の隙間を可及的に狭めることが可能となる。
このように,摺り合わせの際の歯部11,21の温度をロータ室内の温度と同程度の温度とするために,この摺り合わせを,前述の水による膨潤と同様,所定の温度に設定された恒温室内において行うようにしても良い。
本実施形態にあっては,図3に示すように,この摺り合わせを行うスクリュロータ10,20の歯部11,21の全部又は一部を,研磨材粒子が入った水を充填した水槽50内に没した状態で回転させると共に,この水槽50中の水の温度を,シリンダ室内の温度,本実施形態にあっては80℃となるように管理することで,スクリュロータ10,20の歯部11,21の温度をロータ室内の温度と同程度に加熱した状態で摺り合わせを行っている。
なお,このような研磨材粒子の入った水を充填した水槽50と共に,スクリュロータ10,20を前述したような恒温室内に配置し,ここで前記擦り合わせを行うものとして,スクリュロータ10,20の歯部11,21の温度を前記所定の温度として摺り合わせを行うように構成することもできる。
このように,研磨材粒子が入った水を充填した水槽50内において,両スクリュロータ10,20を回転すると,オス,メスのスクリュロータ10,20間には水槽内の水と共に研磨材粒子Pが導入され,この研磨材粒子Pによって両スクリュロータ10,20の歯部11,21における接触部分が摩耗して,隙間が拡大する(図4参照)。
そして,このような摩耗による隙間の拡大に従い,両スクリュロータの芯間距離W1,W2を,所定の仕上げ芯間距離まで徐々に狭めていくことで調整が完了する。
以上のような摺り合わせにおいて,調整後のスクリュロータ10,20の形状が,低圧側から高圧側に向かって徐々に小さく変化するように調整することが好ましい。
水噴射式コンプレッサのスクリュロータ10,20を調整の対象とした本実施形態にあっては,このスクリュロータ10,20の組み込みを行うコンプレッサのロータ室内の温度は,低圧側である吸入側に比較して,高圧側である吐出側においてより高温となり,使用条件によっても異なるが,一例としてロータ室内の温度は,高圧側である吐出側で80℃程度となり,低圧側である吸入側の温度(約30℃)とは,50℃程度の温度差が生じる。
そのため,高圧側である吐出側におけるロータ室内の温度を基準とし,この温度に対応した熱膨張を考慮してスクリュロータ10,20の調整を行うと,低圧側である吸入側においてスクリュロータ10,20間の隙間が広くなり,このようにして調整されたスクリュロータ10,20をコンプレッサに組み込むと,コンプレッサの性能が低下する。
そこで,低圧側である吸入側に対してより高温となり,膨張による寸法の変化が大きい高圧側である吐出側の形状が小さくなるように調整することで,熱膨張による寸法変化が生じた際にオス,メスロータ10,20間に全体として均一かつ最適な隙間が形成されるように構成した。
調整後のスクリュロータ10,20をこのような形状とするために,前記摺り合わせによる仕上げ芯間距離において,低圧側である吸入側の芯間距離W1を相対的に広く,高圧側である吐出側の芯間距離W2を相対的に狭くなるように,前述の摺り合わせを行う。
このような摺り合わせの方法としては,摺り合わせの当初より,低圧側である吸入側の芯間距離W1を,高圧側である吐出側の芯間距離W2に対して広く配置しておき,吸入側,吐出側共に芯間距離を等距離狭めても良く,又は,両スクリュロータ10,20のロータ軸12,22を当初平行に配置しておき,芯間距離を狭める際に,吸気側の芯間距離W1に対し,吐出側の芯間距離W2を狭める割合を大きくとり,仕上げ芯間距離において吸気側の芯間距離W1に対して吐出側の芯間距離W2が狭くなるように構成しても良い。
〔組み込み等〕
以上のようにして調整されたスクリュロータは,これを流体機械のケーシング内に形成されたロータ室内に収容して,流体機械に組み付ける。
この際,本発明の方法によって調整されたスクリュロータは,既に水による膨潤が完了しているために,組み付け時におけるスクリュロータ間の隙間およびスクリュロータとロータ室の内壁との隙間を,従来の方法によって調整されたロータ間の隙間に対して狭くすることが可能である。
一例として,水噴射式コンプレッサ用の,外径100mmのスクリュロータを調整対象とした本実施形態にあっては,スクリュロータ間の隙間を約0.1mm、スクリュロータとロータ室の内壁との隙間を約0.15mmにすることができ、従来同径のスクリュロータの隙間に対して半分以下の値にすることができた。
その結果,本発明の調整方法によって調整されたスクリュロータが組み込まれた水噴射式コンプレッサにあっては,スクリュロータ間の距離を可及的に狭めることができ,該コンプレッサの性能を向上させることができ,また,使用開始の当初より,所期の性能を発揮することが可能となり,水による膨潤による性能の変化は生じないものとなった。
実施形態で使用したスクリュロータの歯部樹脂材料の水に対する浸漬時間−寸法変化率特性を示すグラフ。 実施形態における膨潤処理に使用した実験装置の概略説明図。 実施形態における摺り合わせの概略説明図。 スクリュロータの噛み合い状態を示す説明図。
符号の説明
10 スクリュロータ(メス)
11 歯部
12 ロータ軸
20 スクリュロータ(オス)
21 歯部
22 ロータ軸
30 容器
31 開口
32 シール
40 恒温室
50 水槽
W1 芯間距離[低圧(吸入)側]
W2 芯間距離[高圧(吐出)側]
P 研磨材粒子

Claims (4)

  1. ロータ室内に水を噴射しつつ気体を吸入して圧縮又は膨張する流体機械に使用され,樹脂材料によって形成された歯部を備えるオス,メス一対のスクリュロータを対象とし,
    所定の寸法及び形状に形成された調整前の前記オス,メス一対のスクリュロータの前記歯部を水に浸漬して膨潤させる膨潤処理を施した後,
    前記膨潤処理が施された前記オス,メス一対のスクリュロータを噛み合わせた状態で回転自在に支承し,オス,メスいずれか一方のスクリュロータに回転力を付与して回転させると共に,他方のスクリュロータを前記一方のスクリュロータとの噛み合いによって従動回転させて,前記回転時の噛み合い接触により両スクリュロータの歯部に摩耗を生じさせながら両スクリュロータの芯間距離を所定の仕上げ芯間距離となる迄徐々に狭める摺り合わせを行うことを特徴とするスクリュロータの調整方法。
  2. 前記オス,メス一対のスクリュロータの前記歯部を,前記スクリュロータを組み込む流体機械の作動時におけるロータ室内の温度と同程度の温度に調整して前記摺り合わせを行うことを特徴とする請求項1記載のスクリュロータの調整方法。
  3. 前記仕上げ芯間距離が,前記スクリュロータの低圧側に対し,高圧側において相対的に狭くなるよう前記摺り合わせを行うことを特徴とする請求項1又は2記載のスクリュロータの調整方法。
  4. 前記オス,メス一対のスクリュロータの歯部の全部又は一部を水没した状態で前記摺り合わせを行うことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載のスクリュロータの調整方法。
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