JP2007246654A - 硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】分子内の少なくとも一部のイソシアネート基が第二級炭素、または芳香環を含まない第三級炭素に結合した構造を有するウレタンプレポリマー(A)と、融点が65℃以上のアミン化合物(B)と、ケチミン化合物(C)とを含有し、前記ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基の数に対する、前記アミン化合物(B)のアミノ基および前記ケチミン化合物(C)のケチミン結合の合計数の比が、0.5〜2である硬化性樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
ケチミン化合物は大気中の湿気等の水分により加水分解されてアミノ基を生じ、このアミノ基とウレタンプレポリマー中のイソシアネート基とが反応する。そのため、上記硬化性樹脂組成物は一液型とすることができ、同時に優れた硬化性を有する。
一方、硬化剤として高融点アミンを用いる場合は、一液型としたときの貯蔵安定性が十分ではない。また、完全に硬化させるためには数十分〜数時間程度の加熱時間が必要である。
したがって、製造ラインにおいてこれらの硬化性樹脂組成物を接着剤として用いる場合、接着発現までの時間が長い、または完全に硬化させるまで加熱する必要があるため、生産性を低下させる要因となっていた。
また、本発明者は、ウレタンプレポリマーとして、分子内の少なくとも一部のイソシアネート基が第二級炭素、または芳香環を含まない第三級炭素に結合した構造を有するウレタンプレポリマーを用いると、貯蔵安定性に優れる硬化性樹脂組成物となることを知見した。
また、本発明者は、更にエポキシ樹脂を含有すると、接着性により優れる硬化性樹脂組成物となることを知見した。
本発明者は、これらの知見に基づき本発明を完成させた。
(1)分子内の少なくとも一部のイソシアネート基が第二級炭素、または芳香環を含まない第三級炭素に結合した構造を有するウレタンプレポリマー(A)と、融点が65℃以上のアミン化合物(B)と、ケチミン化合物(C)とを含有し、
前記ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基の数に対する、前記アミン化合物(B)のアミノ基および前記ケチミン化合物(C)のケチミン結合の合計数の比が、0.5〜2である硬化性樹脂組成物。
(2)分子内の少なくとも一部のイソシアネート基が第二級炭素、または芳香環を含まない第三級炭素に結合した構造を有するウレタンプレポリマー(A)と、融点が65℃以上のアミン化合物(B)と、ケチミン化合物(C)と、エポキシ樹脂(D)とを含有し、
前記ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基および前記エポキシ樹脂(D)のエポキシ基の合計数に対する、前記アミン化合物(B)のアミノ基および前記ケチミン化合物(C)のケチミン結合の合計数の比が、0.5〜2である硬化性樹脂組成物。
(3)前記ウレタンプレポリマー(A)が、テトラメチルキシリレンジイソシアネートと、ポリオール化合物との反応により得られるものである上記(1)または(2)に記載の硬化性樹脂組成物。
本発明の硬化性樹脂組成物の第1態様(以下、「第1態様の組成物」という。)は、分子内の少なくとも一部のイソシアネート基が第二級炭素、または芳香環を含まない第三級炭素に結合した構造を有するウレタンプレポリマー(A)と、融点が65℃以上のアミン化合物(B)と、ケチミン化合物(C)とを含有し、上記ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基の数に対する、上記アミン化合物(B)のアミノ基および上記ケチミン化合物(C)のケチミン結合の合計数の比が、0.5〜2である硬化性樹脂組成物である。
第1態様の組成物に用いられるウレタンプレポリマー(A)は、分子内の少なくとも一部のイソシアネート基が第二級炭素、または芳香環を含まない第三級炭素に結合した構造を有するウレタンプレポリマーである。
ウレタンプレポリマー(A)は、分子内の少なくとも一部のNCO基が第二級炭素、または芳香環を含まない第三級炭素に結合した構造を有しているので、得られる硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性が良好となり、また、硬化後の耐熱性および耐水性も良好となる。これらの特性により優れる点から、分子内のNCO基の50モル%以上が第二級炭素、または芳香環を含まない第三級炭素に結合した構造を有していることが好ましく、分子内の全てのNCO基が第二級炭素、または芳香環を含まない第三級炭素に結合した構造を有していることがより好ましい。
ウレタンプレポリマー(A)としては、具体的には、例えば、好ましくは下記式(1)で表されるウレタンプレポリマーが挙げられ、より好ましくはテトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)と、ポリオール化合物との反応により得られるウレタンプレポリマーが挙げられる。
これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
中でも、得られる硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性により優れる点から、TMXDIがより好ましい。
多価アルコール類としては、具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、グリセリン、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
アミン類としては、具体的には、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
アルカノールアミン類としては、具体的には、例えば、エタノールアミン、プロパノールアミン等が挙げられる。
多価フェノール類としては、具体的には、例えば、レゾルシン、ビスフェノール類等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
第1態様の組成物に用いられるアミン化合物(B)は、融点が65℃以上のアミノ基を有する化合物である。アミン化合物(B)が有する「アミノ基」とは、アミノ基(−NH2)またはイミノ基(−NH−)を意味する。
本明細書中の「融点」は、1atmのもと、自動融点測定装置により測定された値である。
また、アミン化合物(B)は加熱により融解され、ウレタンプレポリマー(A)と反応する。この融解、反応に要する時間は、通常、大気中の湿気によりケチミン化合物が加水分解してウレタンプレポリマーと反応する時間よりも短く、短時間加熱することで所定の接着性を発現できる。
これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのアミン化合物の中でも、貯蔵安定性および接着性に優れる点から、アミキュアUDH、1,12−ジアミノドデカンが好ましい。
ケチミン化合物(C)としては、ケチミン結合(N=C)を有する化合物であれば特に限定されないが、具体的には、例えば、下記式(2)で表されるケトンおよび/または下記式(3)で表されるケトンと、ポリアミンとを反応させて得られうるケチミン化合物が好適に挙げられる。
また、上記式(3)で表されるケトンは、ケチミン炭素原子の両隣(α位)の炭素原子が、いずれも分岐炭素原子ではないが、いずれも炭素原子数1〜6のアルキル基と結合している。β位の炭素原子は分岐していることが好ましい。上記式(3)で表されるケトンは、このようにケチミン炭素原子が2個の炭素原子数2〜7のアルキル基を有するため、硬化性と可使時間とがいずれも好適範囲になる。
これに対し、ケチミン炭素原子に分岐炭素原子でない炭素原子と、メチル基とが結合している場合(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルイソブチルケトン)には、反応性が高すぎるため可使時間が短くなり、実用的でない。
上記式(3)で表されるケトンとしては、例えば、ジエチルケトン、エチルプロピルケトン、エチルブチルケトン、ジプロピルケトン、ジブチルケトン、ジイソブチルケトンが挙げられる。
上記加水分解触媒は、特に限定されず、その具体例としては、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸等のカルボン酸類;ポリリン酸、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート等のリン酸類;ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート等の有機金属類等が挙げられる。
このような加水分解触媒を含有していれば、ケチミン化合物の湿気(水)による加水分解が促進され、作業性および密着性のバランスが向上するため好ましい。
上記加水分解触媒の含有量は、ケチミン化合物(C)100質量部に対して0.01〜30質量部であるのが好ましく、0.1〜20質量部であるのがより好ましい。
上記硬化触媒は、特に限定されないが、具体的には、例えば、ジメチルスズジラウレート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテート、オクチル酸スズ、ナフテン酸スズ等のスズカルボン酸塩類、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン酸エステル類、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物類、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート等のキレート化合物類、オクタン酸鉛、オクタン酸ビスマス等のオクタン酸金属塩等の金属触媒が挙げられる。
硬化触媒の含有量は、ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して0.001〜1質量部が好ましい。
酸化防止剤としては、具体的には、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)等が挙げられる。
接着付与剤としては、具体的には、例えば、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。
帯電防止剤としては、一般的に、第四級アンモニウム塩;ポリグリコール、エチレンオキサイド誘導体等の親水性化合物等が挙げられる。
<実施例1〜13および比較例1〜12>
下記第1表の各成分を、第1表に示す組成で、かくはん機を用いて混合し、第1表に示される各組成物を得た。
なお、第1表に示す各ウレタンプレポリマーおよびエポキシ樹脂の配合量は、質量部で表される。また、第1表に示す各アミン化合物およびケチミン化合物の配合量は、各ウレタンプレポリマーのイソシアネート基およびエポキシ樹脂のエポキシ基の合計数(エポキシ樹脂を用いていない場合はイソシアネート基の数)に対する、各アミン化合物のアミノ基の数またはケチミン化合物のケチミン結合の数の比(当量)で表される。
得られた各組成物について、下記の方法により、貯蔵安定性、可使時間、初期硬化性、放置後硬化性および接着性を評価した。
結果を第1表に示す。
製造直後の各組成物について、23℃における粘度をE型粘度計で測定し、これを初期粘度とした。
また、得られた各組成物を製造直後に容器に充填して窒素置換した後、密閉し、23℃で2ヶ月放置した。その後、この組成物について、23℃における粘度をE型粘度計で測定し、これを放置後の粘度とした。
測定された各粘度から、初期粘度に対する放置後の粘度の増粘率(倍)を算出した。
得られた各組成物をビード状に塗布して、23℃、55%RHにて、表面のタックがなくなるまでの時間(タックフリータイム)を測定した。タックフリータイムが長い方が可使時間は長いと言える。
得られた各組成物を3mm厚に塗布して、オーブンにて80℃で10分間加熱した後、各組成物の硬化状態を評価した。
表面にタックがなく断面に未硬化部分がない場合を「○」、表面にタックがなく断面に未硬化部分がある場合を「△」、表面にタックがある場合または表面に皮膜が形成されていない場合を「×」とした。
得られた各組成物を3mm厚に塗布して、オーブンにて80℃で10分間加熱し、更に、23℃、55%RHで24時間放置した後、各組成物の硬化状態を評価した。
評価基準は、初期硬化性のものと同様である。
JIS K6850−1999に準じて、引張速度5mm/分で引張剪断強度を測定した。
被着材として、アルミ板(100×25×1.5mm)を、陽極酸化処理したもの2枚を用い、接合部の長さは12.5mmとした。
硬化は、80℃で10分間加熱し、更に、23℃、55%RHで24時間放置して行われた。接着後の組成物の厚さは1mmだった。
・TMXDIプレポリマー:ポリプロピレングリコール(エクセノール3020、旭硝子社製)と、ポリプロピレントリオール(エクセノール5030、旭硝子社製)とを質量比1/1で混合し、NCO/OH=2.0となる量のTMXDIを添加し、80℃で8時間かくはんして得られたウレタンプレポリマー(NCO%=2.2%)
・MDIプレポリマー:ポリプロピレングリコール(エクセノール3020、旭硝子社製)と、ポリプロピレントリオール(エクセノール5030、旭硝子社製)とを質量比1/1で混合し、NCO/OH=2.0となる量のMDIを添加し、80℃で2時間かくはんして得られたウレタンプレポリマー(NCO%=2.32%)
・エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂):YD−128、東都化成社製
・ヘキサメチレンジアミン:関東化学社製、融点40℃
・1,12−ジアミノドデカン:関東化学社製、融点70℃
・2,4−ジアミノトルエン:関東化学社製、融点100℃
・ヒドラジド系アミン(7,11−オクタデカジエン−1,18−ジカルボヒドラジド):アミキュアUDH、味の素社製、融点160℃
・ケチミン化合物:ヘキサメチレンジアミン(HMDA、関東化学社製)と、メチルイソプロピルケトン(MIPK、クラレ社製)とを1/4の当量比で混合し、生成する水を除去しながら、160℃で20時間加熱撹拌して得られたケチミン化合物
一方、実施例1〜13は、貯蔵安定性に優れ、初期硬化性が良好で接着発現が早く、室温で放置して完全に硬化でき、接着性にも優れていた。特に、エポキシ樹脂を含有するものは高い接着性を有していた。
Claims (3)
- 分子内の少なくとも一部のイソシアネート基が第二級炭素、または芳香環を含まない第三級炭素に結合した構造を有するウレタンプレポリマー(A)と、融点が65℃以上のアミン化合物(B)と、ケチミン化合物(C)とを含有し、
前記ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基の数に対する、前記アミン化合物(B)のアミノ基および前記ケチミン化合物(C)のケチミン結合の合計数の比が、0.5〜2である硬化性樹脂組成物。 - 分子内の少なくとも一部のイソシアネート基が第二級炭素、または芳香環を含まない第三級炭素に結合した構造を有するウレタンプレポリマー(A)と、融点が65℃以上のアミン化合物(B)と、ケチミン化合物(C)と、エポキシ樹脂(D)とを含有し、
前記ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基および前記エポキシ樹脂(D)のエポキシ基の合計数に対する、前記アミン化合物(B)のアミノ基および前記ケチミン化合物(C)のケチミン結合の合計数の比が、0.5〜2である硬化性樹脂組成物。 - 前記ウレタンプレポリマー(A)が、テトラメチルキシリレンジイソシアネートと、ポリオール化合物との反応により得られるものである請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物。
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