JP2007244955A - 紫外線硬化装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ランプの灯数を少なく効率的な紫外線硬化が行えて高スピード化が実現でき、ワークの径の変化に対応でき、かつ、熱がこもり難くランプの短寿命化を防ぎ、また複数ラインとしたときに省スペースが実現できる紫外線硬化装置を提供するものである。
【解決手段】紫外線照射ユニット13A〜13Dと、照射光をワークWに反射する第1反射鏡133および第2反射鏡134とを備え、前記紫外線照射ユニットは、紫外線放電灯131と、曲面反射鏡132と、を有し、前記紫外線照射ユニットと、第1反射鏡および第2反射鏡とは、ワークの前記中心における四分円の第1象限エリアから第4象限エリア内にそれぞれ前記ワークの長軸線方向に沿って配置され、前記第3象限エリアおよび前記第4象限エリアを、前記第1象限エリアおよび前記第2象限エリアよりも前記ワークの搬送方向上流側として設定したものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、紫外線硬化塗料を塗布した鋼管、シームレス管などの管材あるいは角材などの長尺材に、紫外線を照射して紫外線硬化塗料を乾燥させるための紫外線硬化装置に関するものである。
一般に、石油田開発、ガス田開発などに使用するシームレス管、鋼管は倉庫での保管または工事現場での仮置き、移送の際の発錆を防止するために防錆塗装を行っている。その防錆塗料として紫外線で乾燥硬化する紫外線硬化塗料が広く採用されている。なお、この処理で得られる防錆塗膜の硬度の目安としては、JIS K5600−5−4による鉛筆硬度が管の全周でHB以上あればよい。紫外線硬化塗料を乾燥させるUV硬化技術では、材料に対して必要十分なUVエネルギーが均一に照射されることが安定した製品を作り出す前提条件であり、また、紫外線硬化塗料は、熱乾燥塗料に比べて、高スピード乾燥、VOC(揮発性有機化合物)対策、作業環境、耐候性の点において優れており、外観性状が良好であることが知られている。
従来、鋼管等の円筒状の長尺棒状体であるワークの表面に紫外線硬化塗料を塗布して防錆塗膜を形成し、この防錆塗膜に対して紫外線放電灯から所定波長の紫外線を含む照射光を照射して乾燥硬化する紫外線硬化装置および紫外線硬化設備が提案されている(例えば特許文献1ないし特許文献4参照)。
特許文献1の紫外線硬化装置は、円形体1本に対し8〜12本のランプを周囲に配置し、隣接した紫外線照射ランプ同志の各照射面を互いに重複させることにより、管棒状体外面に塗布した紫外線硬化塗料を均一に硬化させるように構成されている。
特許文献2の円形体外面の紫外線硬化型塗料の塗装装置は、ワークを3列に処理し、各列のワークに対し6〜8本の紫外線ランプを円周等配置ではなくて対向位置に集中して配置した構成である。
特許文献3の防錆処理装置は、閉じられた空間を形成するフレーム内の1箇所に集中して光が照射できるように、8つの紫外線ランプが設けられ、そのフレームがシリンダ装置により上下に移動しワークの大きさに対応して照射中心を移動できるように構成されている。
特許文献4の紫外線硬化装置は、閉じられた空間の1箇所に集中して光を照射できるように、3つの紫外線ランプが設けられた構成であり、各紫外線ランプの間を反射鏡で連続させ閉じた空間を形成するように構成されている。
特公平2−11313号公報 特許第3220734号公報 特開昭60−114374号公報 特公昭55−8229号公報
しかし、従来の紫外線硬化装置では、以下に示すような問題点が存在していた。
特許文献1、特許文献3および特許文献4では、ランプハウスが対向しているので集光、冷却風の乱れなどにより熱が滞留しランプ寿命が短縮、性能低下するという問題がある。また、ワークを複数のラインにより同時に乾燥させるような設備とした場合に、ワークを搬送する搬送方向に直交する方向における設置面積が大きくなってしまった。また、特許文献3のようにフレームを移動することで、直径が異なるワークに対応する構成とすると装置が複雑となってしまった。
特許文献2では、ワークの周面に紫外線を照射するため、複数のランプを配置するゾーンを一つのユニットとして複数設置することになり、使用するランプの数が多くなり、ランプハウスが対向して設置されているので、熱が滞留しランプ寿命が短縮、性能低下するという問題がある。また、複数のランプを使用することと、直径が異なるワークに対応させる必要があることから、ワークからのランプの距離が大きくなり、装置が大型になってしまった。
本発明は、前記した問題点を解決すべく創案されたもので、ランプの灯数を少なく効率的な紫外線硬化が行えて高スピード化が実現でき、ワークの径の変化に対応でき、かつ、熱がこもり難くランプの短寿命化を防ぎ、また複数ラインとしたときに省スペースが実現できる紫外線硬化装置を提供するものである。
上記課題を解決するために、本発明に係る紫外線硬化装置は、紫外線硬化塗料を吹付けられた長尺棒状体であるワークを搬送ローラにより長軸線方向に搬送する際に、前記ワークに紫外線を照射して、前記紫外線硬化塗料を硬化させる紫外線硬化装置であって、前記ワークの長軸線に沿って設置される複数の紫外線照射ユニットと、この紫外線照射ユニットからの所定波長の紫外線を含む照射光の少なくとも一部を前記ワークに向けて反射する第1反射鏡および第2反射鏡とを備え、前記紫外線照射ユニットは、所定波長の紫外線を含む照射光を照射する紫外線放電灯と、この紫外線放電灯を囲むように設置され前記ワークに向かって開口を向けた曲面反射鏡と、を有し、前記第1反射鏡および前記第2反射鏡は、予め設定される基準となる大きさのワークの長軸線方向に直交する断面の中心(と紫外線放電灯の中心を結ぶ線)に対して対称となる位置に設置され、前記第1反射鏡の一端が、前記曲面反射鏡の開口端部の一端に近接する位置で、前記第1反射鏡の他端が、少なくとも前記ワークの一部を覆う位置に配置され、前記第2反射鏡の一端が、前記曲面反射鏡の開口端部の他端に近接する位置で、前記第2反射鏡の他端が、少なくとも前記ワークの一部を覆う位置に配置され、前記紫外線照射ユニットと、第1反射鏡および第2反射鏡とは、前記ワークの前記中心における四分円の第1象限エリアから第4象限エリア内にそれぞれ前記ワークの長軸線方向に沿って配置され、前記ワークの下面側となる前記第3象限エリアおよび前記第4象限エリアを、前記ワークの上面側となる前記第1象限エリアおよび前記第2象限エリアよりも前記ワークの搬送方向上流側として設定したものである。
この構成にすると、紫外線硬化装置は、所定波長の紫外線を含む照射光を紫外線照射ユニットの紫外線放電灯から照射すると、ワークを挟んで対向する位置に紫外線照射ユニットがないため、互いに加熱することがない。また、第1象限エリアから第4象限エリアにワークの長軸線方向に沿って設置される紫外線照射ユニットと、第1反射鏡および第2反射鏡とから、紫外線硬化塗料を硬化させることができる直射光および反射光を、ワークの周面に照射することにより、ワークの半周面以上の大きな面をほぼ平均化した照度で照射することになる。さらに、搬送ローラにより搬送されるワークの下側である第3象限エリアおよび第4象限エリアから紫外線硬化塗料に照射光を先に照射しているため、ワークの未硬化部分が搬送ローラに接することがないので、紫外線硬化塗料の搬送ローラへの転写・剥がれが生じない。
前記紫外線硬化装置は、ワークの複数を並列させ、それぞれの前記搬送ローラで長軸線方向に搬送されるように設定したときに、前記ワークの長軸線方向に直交する方向に、同じ区分の前記各象限エリアを対応させた構成とした。
このように構成した紫外線硬化装置は、集光、冷却風の乱れなどにより熱が滞留しランプ寿命が短縮、性能低下することを解消でき、併せて、各象限エリアを対応しているため、隣り合う位置のワークとの距離が、紫外線照射ユニットが重なる分において、小さくできる。
本発明に係る紫外線硬化装置は以下の優れた効果を奏するものである。
紫外線硬化装置は、紫外線放電灯の灯数を少なくして、かつ、効率的な紫外線硬化が行えると共に、高スピード化が実現でき、また、ワークの径が変わっても効率的に紫外線硬化を行うことができる。さらに、紫外線硬化装置は、紫外線放電灯同士が対向して配置されないので、熱がこもり難く紫外線放電灯の使用寿命を長くすることができる。
また、紫外線硬化装置は、ワークを複数ラインとしたときに、前記した紫外線硬化における性能を維持して、かつ、設置スペースに対して省スペース化が実現できる。
以下、本発明に係る紫外線硬化装置を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。図1は、紫外線硬化装置を模式的に示す斜視図、図2は、第1紫外線照射ユニットとワークとの位置関係について、模式的に示す断面図である。
図1に示すように、紫外線硬化設備Aは、長尺体である1本のワークWを支持して長軸線方向に搬送する複数の搬送ローラ(ここでは搬送ローラ11a、11bを示す)と、この搬送ローラ11a、11bで搬送されるワークWに紫外線硬化塗料を吹付ける吹付手段(ここでは噴霧ノズル12a、12bのみを示す)と、紫外線硬化装置1と、を備えている。
紫外線硬化装置1は、第1ないし第4紫外線照射ユニット13A、13B、13C、13Dと、この第1ないし第4紫外線照射ユニット13A、13B、13C、13Dにそれぞれ付設した第1反射鏡133および第2反射鏡134と、を備えており、ここでは筐体1A,1B内に収納されて設置されている。この紫外線硬化装置1は、第1ないし第4紫外線照射ユニット13A、13B、13C、13Dと、各ユニットのそれぞれ付設した第1反射鏡133および第2反射鏡134と、が共同してワークWに塗布された紫外線硬化塗料(ここでは、一例の防錆塗膜Pとして説明する)に紫外線を照射して乾燥硬化するものである。
長尺体のワークWは、具体的には石油田開発、ガス田開発などに使用するシームレス管、鋼管、板、角板等が対象であり、ここでは、例えば、直径が25mmから120mmで、かつ、長さが例えば4m〜15mである円筒管を一例として説明する。この実施形態の紫外線硬化装置1は、所定範囲におけるサイズのワークWに対して汎用性を有するように構成されている。
搬送ローラ11a、11bは、その設置間隔(図1に示す寸法L)が、最小長さ(例えば4m)のワークWが下流側の搬送ローラへ次々に円滑に乗り移れるよう設置され、ワークWを長軸線方向に搬送するものであれば、特にその構成に限定されるものではなく、ここでは、紫外線硬化装置1の外部に配置される構成として説明するが、筐体1A,1B内に設置されている構成であっても構わない。この搬送ローラ11aは、ここでは、周方向にV溝或いはU溝が形成された溝付きローラであり、そのV溝あるいはU溝にワークWを載置すると位置規制することができ、モータ(図示しない)により回転して、ワークWを長軸線方向に搬送するように構成されている。
吹付手段12は、ワークWを挟んだ位置に設置される一対の噴霧ノズル12a、12bと、コンプレッサ(図示しない)と、紫外線硬化塗料を貯留する塗料貯留タンク(図示しない)と、塗料貯留タンク内に設けられ紫外線硬化塗料をパイプ(図示しない)と電磁開閉弁(図示しない)とを介して噴霧ノズル12a、12bに給送する塗料給送ポンプ(図示しない)とを備え、塗料給送ポンプにより噴霧ノズル12a、12bに給送されている紫外線硬化塗料を、電磁開閉弁が開いたときにコンプレッサの高圧エアが噴霧ノズル12a、12bのエゼクタ部で真空吸引して噴霧するように構成されている。
一対の噴霧ノズル12a、12bは、ワークWの先端が搬送ローラ11aを通過する直前に、センサ(図示しない)がワークWの先端を検知するようになっており、コントローラ(図示しない)が電磁開閉弁を開くように構成され、紫外線硬化塗料をワークWに自動的に噴霧している。また、ワークWの後端が搬送ローラ11aを通過して一対の噴霧ノズル12a、12bの間に位置する直前になると、センサ(図示しない)がワークWの後端を検知するようになっていて、コントローラ(図示しない)が所要時定数だけ遅らせて電磁開閉弁を閉じるように構成されている。
図1および図2に示すように、紫外線硬化装置1の第1ないし第4紫外線照射ユニット13A、13B、13C、13Dは、予め設定された基準となる直径のワークWの中心CPを仮想の四分円の中心とした第1象限エリアから第4象限エリアに順配列に、かつ、前記ワークWの長軸線方向に沿って異なる位置に配置されている。
第1ないし第4紫外線照射ユニット13A、13B、13C、13Dは、紫外線放電灯131と、この紫外線放電灯131の後部側からワークW側に向かって覆い、かつ、ワークWに向かって開口する曲面反射鏡132とを備えている。そして、第1ないし第4紫外線照射ユニット13A、13B、13C、13Dは、それぞれ第1反射鏡133,第2反射鏡134を、曲面反射鏡132の開口端に隙間を設けて隣接した位置に設置している。
紫外線硬化装置1は、ここでは、搬送ローラ11bを境に筐体1A,1Bが設置され、第1および第2紫外線照射ユニット13A、13Bが筐体1A側に設置され、また、第3および第4紫外線照射ユニット13C、13Dが筐体1B側に設置されている。
そして、紫外線硬化装置1は、ワークWの下面側となる第3象限エリアと第4象限エリアに第1紫外線照射ユニット13Aと第2紫外線照射ユニット13Bが設置され、また、ワークWの上面側となる第2象限エリアと第1象限エリアに、第3紫外線照射ユニット13Cと第4紫外線照射ユニット13Dとが設置されている。
ここでは、第1紫外線照射ユニット13Aは、基準としたワークWの中心CPを仮想する四分円の中央としたとき、第3象限エリアとなる左斜め下45度から照射光をワークWに照射するように設けられている。第2紫外線照射ユニット13Bは、基準としたワークWの中心CPを円の中央としたときに、第4象限エリアとなる右斜め下45度から照射光をワークWに照射するように設けられ、また、同様に、第3紫外線照射ユニット13Cは、第1象限エリアとなる右斜め上45度からの照射光をワークWに照射するように設けられ、第4紫外線照射ユニット13Dは、第2象限エリアとなる左斜め上45度からの照射光をワークWに照射するように設けられている。
なお、第1紫外線照射ユニット13Aと第2紫外線照射ユニット13Bの傾斜が逆でも良い。また、第3紫外線照射ユニット13Cと第4紫外線照射ユニット13Dの傾斜が逆でも良い。また、ワークWに形成された防錆塗膜Pは、液状で未乾燥な状態なので搬送ローラに接触する前に硬化させる必要があり、塗布後は迅速に乾燥硬化する必要がある。そのため、ここでは、紫外線硬化装置1は、第1および第2紫外線照射ユニット13A、13Bを、第3および第4紫外線照射ユニット13C,13Dより上流側に配置して、防錆塗膜Pの塗布直後に紫外線照射を行なって迅速に乾燥硬化するようにしている。
なお、第1ないし第4紫外線照射ユニット13A、13B、13C、13D、および、それぞれの第1反射鏡133,第2反射鏡134は、設置される向きは異なるものの、同じ構成であるため、第1紫外線照射ユニット13Aおよびその第1紫外線照射ユニット13Aに対応する第1反射鏡133,第2反射鏡134の構成を代表して説明する。
紫外線放電灯131は、ここでは、マイクロ波励起方式の無電極紫外線放電灯が使用されている。この紫外線放電灯131は、ワークWの長軸線方向に沿ってその長手方向が平行となる向きに配置されている。なお、一例として、紫外線放電灯131からワークWまでのギャップ(間隔)は、100mmとするのが好ましい。
曲面反射鏡132は、紫外線放電灯131からの光を拡散光として反射する所定の曲率に形成された曲面を備えており、開口部分に無電極紫外線放電灯であるときに、マイクロ波(電磁波)が外部に漏れないように、マイクロ波遮断網135を当該曲面反射鏡132の開口にわたって設置している。なお、曲面反射鏡132は、紫外線放電灯131を強制的に空冷するための空冷機構(図示せず)が設けられている。なお、ランプ冷却後の空気は排気ダクト15から排気する構成としている(図4参照)。
紫外線放電灯131を無電極紫外線放電灯として使用することで、入力電力が、有電極の紫外線ランプでは120W/cm〜160W/cmであるのに対して約2倍の250W/cmとして使用することができる。このように、この無電極紫外線放電灯を紫外線放電灯131として使用するときには、従来の有電極の紫外線ランプに比較し、ランプの単位長さ当たりの入力電力が大きく、これに加えて、ランプ径が小さく、瞬時点滅が可能で、長寿命であるなどの特長があるため、省スペース、高速の紫外線乾燥硬化処理が可能でかつ灯数も少なくするためには有効である。さらに、この無電極紫外線放電灯の分光特性は、タイプを変えることで、分光感度特性が異なる紫外線硬化塗料にも、適性のあった分光特性を有するランプ選択が可能である。
第1反射鏡133および第2反射鏡134は、ここでは平面反射鏡が使用されており、予め設定される基準となる大きさのワークWの長軸線方向に直交する断面の中心CPと紫外線放電灯131の中心を結ぶ線に対して対称となる同距離の位置で、予め設定した基準となるワークWに対して効率よく、曲面反射鏡132および前記紫外線放電灯131からの光を反射する位置(少なくとも紫外線放電灯131および曲面反射鏡132からの光の一部をワークWに反射する位置)に設置されている。
そして、第1反射鏡133は、当該第1反射鏡133の一端が、曲面反射鏡132の開口端部の一端に隙間を有して近接する位置となり、かつ、当該第1反射鏡133の他端が、少なくともワークWの一部を覆う位置(ここでは全部を覆う位置)となるように設置されている。また、第2反射鏡134は、当該第2反射鏡134の一端が、曲面反射鏡132の開口端部の他端に隙間を有して近接する位置となり、かつ、当該第2反射鏡134の他端が、少なくともワークWの一部を覆う位置(ここでは全部を覆う位置)に設置されている。
このように曲面反射鏡132と、第1反射鏡133および第2反射鏡134との間をあけて配置されること、および、対面する位置に紫外線放電灯131が設置されていないことにより、紫外線放電灯131からの熱が滞留する原因が最小限となり都合がよい。
さらに、第1および第2紫外線照射ユニット13A、13Bは、互いの曲面反射鏡132,132の側端が長軸線方向において隣接する位置に配置されている。また、第3および第4紫外線照射ユニット13C、13Dは、互いの曲面反射鏡132,132が長軸線方向において隣接する位置に配置されている(図1参照)。そのため、長軸線方向においても設置スペースを最小限とする配置となる。
図2において、予め設定される基準のワークWは、ここでは、搬送ローラ11a,11bで搬送される最大のものとしての外径が、例えば、114mmφであるものを基準としている。また、基準のワークWに対して、搬送ローラ11a,11bで送られる符号W2で示すワークは、外径が例えば60mmφであり、さらに符号W3のワークは、外径が例えば25mmφであるものを示しており、搬送ローラ11a,11bに支持して搬送されるワークの直径が異なる場合がある。
図2に示すように、60mmφであるワークW2および25mmφであるワークW3を搬送ローラ11a,11bに別々に支持してそれぞれ処理するときには、ワークW2、W3の長軸線(中心)がワークWの長軸線よりも低くなり、設定された第1反射鏡133および第2反射鏡134からの距離が対称ではなくなる。このように、紫外線硬化装置1では、第1反射鏡133および第2反射鏡134からの距離が対称ではない状態となっても、第1ないし第4紫外線照射ユニット13A〜13Dからの直接および反射する照射光、ならびに、第1反射鏡133および第2反射鏡134からの反射する照射光により、ワークW2,W3の周面全体を照射することができる。そのため、紫外線硬化装置1では、第1反射鏡11および第2反射鏡134からの距離等を、各長軸線を中央とするように移動調整することなしに、適切にワークW2,W3の周面に照射光を照射することができる。
このような構成により、紫外線硬化装置1は、ワークの径が変化しても、第1ないし第4紫外線照射ユニット13A〜13Dの位置を変化させることなく紫外線を照射して紫外線硬化塗料としての防錆塗膜Pを乾燥、硬化処理することができるので、紫外線硬化装置1の構成の簡素化とともに可動部品がなく、装置自体の故障が少なくなり安定性の向上が期待できる。
次に、紫外線硬化装置1の作用を説明する。
紫外線硬化装置1にワークWを挿入していくと、このワークWを搬送ローラが支持して長軸線方向に搬送する。このワークWの先端が上下一対の噴霧ノズル12a、12b間に位置すると、噴霧ノズル12a、12bが紫外線硬化塗料を噴霧して、この紫外線硬化塗料をワークWに吹付けて防錆塗膜Pを形成する。噴霧ノズル12a、12bによる紫外線硬化塗料のワークWへの吹付けは、ワークWの後端が噴霧ノズル12a、12b間を通過した時点で間欠停止する。
第1ないし第4紫外線照射ユニット13A〜13Dは、それぞれ、紫外線放電灯131より所定波長の紫外線を含む照射光によりワークWの対向面を照射する。曲面反射鏡132は、紫外線放電灯131の照射光を反射してワークの対向面に重ねて照射する。また、紫外線放電灯131が無電極紫外線放電灯であった場合には、マイクロ波(電磁波)をマイクロ波遮断網135が遮蔽して外部に流出させないようにしている。ワークWの紫外線が照射されない側部分は、第1反射鏡133および第2反射鏡134が、紫外線放電灯131からの照射光および曲面反射鏡の反射光を反射することで照射する(図2参照)か、または、つぎに設置される第2ないし第4紫外線照射ユニット13B〜13Dにより照射される。
噴霧ノズル12a、12bの下流側に隣接して設けられた第1および第2紫外線照射ユニット13A、13Bは、ワークWに吹付け形成されたばかりの防錆塗膜Pに対して、左斜め下45°の方向と右斜め下45°の方向からそれぞれ照射光を照射して、ワークWの下半面を含み上面側の側面部にわたる大きな面積の防錆塗膜Pを乾燥硬化させる。このため、紫外線硬化装置1では、未硬化の防錆塗膜Pが搬送ローラ11bに付着しない。
さらに、搬送ローラ11bの下流側に隣接して設けられた第3および第4紫外線照射ユニット13C、13Dは、それぞれ所定波長の紫外線を含む照射光を、ワークWに吹付け形成された防錆塗膜Pに対して、右斜め上45°の方向と左斜め上45°の方向からそれぞれ照射して、ワークWの上半面を含み下面側の側面部にわたる大きな面積の防錆塗膜Pを乾燥硬化させる。
このようにして、第1ないし第4紫外線照射ユニット13A〜13DがワークWに沿って90度異なる方向(第1象限エリア〜第4象限エリア)で、かつ、ワークWの長軸線方向にずらした位置から紫外線照射を行うように複数配置されているので、ワークの走行と相俟ってワークの全面に吹付け形成した防錆塗膜Pを速い処理スピードで強力に全面的に硬化させることができる。
そして、第1ないし第4紫外線照射ユニット13A〜13Dは、対面する位置になく、また、ワークWを中央にして取り囲んで、かつ、ワークWに沿って複数配置された構成であるため、集光、冷却風の乱れなどにより熱が滞留しランプ寿命が短縮、性能低下するという、従来において生じていた問題を解消できる。
図3は、第2の実施の形態に係る紫外線硬化装置を概略して示す平面図、図4は、図3のIV−IV矢視における一部を省略して示す断面図、図5は、図3のV−V矢視における一部を省略して示す断面図である。
紫外線硬化装置10は、3本のワークWを3列処理するためのものであり、図1を用いて示した第1の実施形態の紫外線硬化装置1を3列に並べたものであり、第1の実施形態の紫外線硬化装置1の構成と相違しないので、同一の構成は、同一の符号を付けて説明は省略する。
この紫外線硬化装置10は、第1ないし第4紫外線照射ユニット13A、13B、13C、13Dがそれぞれ、予め設定された基準となるワークWの中心を仮想する四分円の中心とした第1象限エリア〜第4象限エリアに設置され、ここでは、各45°の傾斜角度をもって設けられている。そして、ワークWの長軸線方向に直交する方向に、同じ区分の前記各象限エリアを対応させて設定し(例えば、第1象限エリア同士、第2象限エリア同士、第3象限エリア同士、第4象限エリア同士)、前記第4象限エリアの第2紫外線照射ユニット13Bと、隣り合うワークWにおける前記第3象限エリアの第1紫外線照射ユニット13Aとが、前記長軸線方向に平行な直線上において、吹付手段12側から見たとき、見かけ上重なる位置に設置されている。
そのため、紫外線硬化装置10は、隣り合う第1紫外線照射ユニット13A同士、隣り合う第2紫外線照射ユニット13B同士、隣り合う第3紫外線照射ユニット13C同士、隣り合う第4紫外線照射ユニット13D同士を重なった状態で設置できるため、3本のワークWの間隔を狭くすることができ、装置の小型化、省スペース化が実現できる。
また、第1ないし第4紫外線照射ユニット13A〜13Dは、それぞれケース14a、14b、14c、14dに囲まれていて、埃が付かないようになっていると共に、各ケース14a、14b、14c、14d内に連通するダクト15を介して第1ないし第4紫外線照射ユニット13A〜13Dを空冷する。なお、後段側のケース14c,14dは、支持台に支持され、所定高さとなるように設置されている。第1ないし第4紫外線照射ユニット13A〜13Dは、それぞれケース14a〜14dに収納されていることで、各ユニットごとにメンテナンスが可能になり取り扱いがし易くなる。
図3、図4に示す第2実施形態の紫外線硬化装置10を使用し、鋼管(ワークW)の搬送スピードとランプ(紫外線放電灯131)の出力を変化させるようにして、直径が25mm、60mm、114mmの3種類の鋼管について、紫外線硬化塗料を塗布して防錆塗膜を形成し(静電塗装)、防錆塗膜に対して紫外線を照射して乾燥硬化するテストを実施し、防錆塗膜の乾燥の度合と硬化の度合を調べ、表1の結果を得た。
なお、防錆塗膜の厚さは、25μm±10μmの厚さ(乾燥後の膜厚)になるように調整した。
無電極ランプの出力は6kW(ランプ発光長24cm、250W/cm、水銀タイプのランプ使用)を使用した。
また、ワークWの搬送スピードは、25mmφの鋼管を80m/minの搬送速度、114mmφの鋼管を80m/minの搬送速度、114mmφの鋼管を60m/minの搬送速度とした。
さらに、紫外線硬化塗料として、アルカリ脱脂可能な一般的な一次防錆塗膜を使用した{例えば、(A)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと酸無水物との付加反応化合物が20〜40重量%と、(B)一分子中にアクリロイル基を少なくとも1個有する架橋重合性不飽和化合物が30〜80重量%と、(C)ビニルピロリドンが1〜6重量%と、(D)変性シリコン0.01〜1.0重量%と、(E)高沸点極性溶剤1〜6重量%と、(F)光開始剤2〜7重量%とが含有されていて、その体積固有抵抗値が15〜70MΩ・cm(25℃)且つ粘度が15〜40cps(25℃)で、表面張力が30dyne/cm(25℃)以下である被覆組成物}。
Figure 2007244955
表1の結果から分かるように、直径が25mmφ、60mmφ、114mmφの3種類の鋼管(ワークW)に塗布形成する紫外線硬化塗料である防錆塗膜を高スピードでも良好に乾燥し硬化することができる。
また、直径が60mmφと114mmφの鋼管ではランプの出力が50%でも良好に乾燥し硬化することができる。直径が25mmφの鋼管ではランプの出力が70%で良好に乾燥し硬化することができ、ランプの出力が50%でも良好に乾燥し防錆塗膜硬度は鉛筆硬度(JIS K5600―5−4)でHB以上になり高度は基準を満たしている。したがって、ランプの径時的な劣化およびゴミなどによる照度平均化反射鏡の劣化に余裕を持って対応できる。
以上、説明したように、紫外線硬化装置10は、4つの紫外線照射ユニットを、最大径のワークに対して90°異なる4方向から紫外線照射する位置に配設したが、各象限エリア内で、かつ、全体としてワークWの周面に照射光を照射できれば、均等な角度ごとでなくても構わない。
また、ここでは、四分円の各象限エリアに第1ないし第4紫外線照射ユニット13A〜13Dを配置する構成として説明したが、省スペース化を達成できることを考慮すれば、他の構成の紫外線硬化装置として、円を均等に三分割した三分円の各象限エリアに3つの紫外線照射ユニットを、最大径のワークに対して120°ごとに異なる3方向から紫外線照射する位置に配設しても構わない。
以上、図面を参照して本発明に係る紫外線照射装置を詳述してきたが、本発明は、前記実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の設計変更をした形態を含むものである。例えば、第1反射鏡および第2反射鏡は、平面反射鏡ではなく、曲面反射鏡であっても構わない。
本発明における第1の実施の形態に係る紫外線硬化装置を模式的に示す斜視図である。 本発明の第1紫外線照射ユニットとワークとの位置関係について、模式的に示す断面図である。 本発明における第2の実施の形態に係る紫外線硬化装置を概略して示す平面図である。 図3のIV−IV矢視における一部を省略して示す断面図である。 図3のV−V矢視における一部を省略して示す断面図である。
符号の説明
W ワーク
1 紫外線硬化装置
11a、11b 搬送ローラ
12 吹付手段
12a、12b 噴霧ノズル
13A〜13D 第1ないし第4紫外線照射ユニット
131 紫外線放電灯
132 曲面反射鏡
133 第1反射鏡
134 第2反射鏡
10 紫外線硬化装置

Claims (2)

  1. 紫外線硬化塗料が塗布された長尺体であるワークを搬送ローラにより長軸線方向に搬送する際に、前記ワークに紫外線を照射して前記紫外線硬化塗料を硬化させる紫外線硬化装置であって、
    前記ワークの長軸線方向に沿って設置される複数の紫外線照射ユニットと、この紫外線ユニットからの所定波長の紫外線を含む照射光の少なくとも一部を前記ワークに向けて反射する第1反射鏡および第2反射鏡とを備え、
    前記紫外線照射ユニットは、所定波長の紫外線を含む照射光を照射する紫外線放電灯と、この紫外線放電灯を囲むように設置され前記ワークに向かって開口を向けた曲面反射鏡と、を有し、
    前記第1反射鏡および前記第2反射鏡は、予め設定される基準となる大きさのワークの長軸線方向に直交する断面の中心から対称となる位置に設定され、
    前記第1反射鏡の一端が、前記曲面反射鏡の開口端部の一端に近接する位置で、前記第1反射鏡の他端が、少なくとも前記ワークの一部を覆う位置に配置され、
    前記第2反射鏡の一端が、前記曲面反射鏡の開口端部の他端に近接する位置で、前記第2反射鏡の他端が、少なくとも前記ワークの一部を覆う位置に配置され、
    前記紫外線放電灯は、前記ワークの前記中心における四分円の第1象限エリアから第4象限エリア内にそれぞれ前記ワークの長軸線方向に沿って配置され、
    前記ワークの下面側となる前記第三象限エリアおよび前記第四象限エリアを、前記ワークの上面側となる前記第一象限エリアおよび前記第二象限エリアより前記ワークの搬送上流側として設定したことを特徴とする紫外線硬化装置。
  2. 前記ワークの複数を並列させ、それぞれの前記搬送ローラで前記長軸線方向に搬送されるように設定したときに、前記ワークの軸線方向に直交する方向に、前記各象限エリアを対応させたことを特徴とする請求項1に記載の紫外線硬化装置。
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