JP2007244192A - モータ用制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】モータ1への電力供給ラインにおけるスイッチング素子を開閉するPWM制御信号のデューティ比が、電流検出許容域にあるか否かを判定する。デューティ比が電流検出許容域にある時は、電機子捲線を構成するコイルにおける電流、端子電圧、速度起電力、及びインピーダンスの間の予め定めた関係に基づき、インピーダンスを演算により時系列に求め、電流目標値と検出電流に対応する値との偏差を低減するようにモータ1の出力を制御する。デューティ比が電流検出許容域にない時は、電流目標値と最新の求めたインピーダンスに基づき演算により求められた電流に対応する値との偏差を低減するようにモータ1の出力を制御する。
【選択図】図2
Description
本発明のモータ用制御装置は、前記モータの電機子捲線を構成するコイルにおける電流、端子電圧、速度起電力、およびインピーダンスの間の予め定めた関係を記憶する関係記憶部と、前記コイルにおける端子電圧を求める電圧決定部と、前記コイルにおける電流を検出する電流検出部と、前記PWM制御信号のデューティ比が電流検出許容域にあるか否かを設定された基準値と比較することで判定する判定部とを備える。
これにより、PWM制御信号のデューティ比が電流検出許容域にある時は電流目標値と検出電流に対応する値との偏差を低減するように、モータの出力をフィードバック制御し、電流検出許容域にない時は電流目標値と電流演算部により求められた電流に対応する値との偏差を低減するように、モータ出力をフィードバック制御できる。よって、PWM制御信号のデューティ比の如何に係わらずモータ出力をフィードバック制御できるので、そのデューティ比すなわちコイルへの印加電圧を制限する必要がなく、電圧利用率を向上できる。
さらに、電流演算部は電流を、演算により求められる最新のインピーダンスに基づき求める。よって、インピーダンスがモータ状態に応じて時間の経過により変化しても、電流を正確に求めてモータ性能を向上することができる。
これにより、PWM制御信号のデューティ比が電流検出許容域にある時は電流目標値と検出電流に対応する値との偏差を低減するようにモータ出力をフィードバック制御し、電流検出許容域にない時は電流目標値と電流演算部により求められた電流に対応する値との偏差を低減するようにモータ出力をフィードバック制御できる。よって、PWM制御信号のデューティ比の如何に係わらずモータ出力をフィードバック制御できるので、そのデューティ比すなわちコイルへの印加電圧を制限する必要がなく、電圧利用率を向上できる。
さらに、電流演算部は電流を、求められた回転速度と演算により求められる最新の単位速度起電力との積である速度起電力に基づき求める。よって、単位速度起電力がモータ状態に応じて時間の経過により変化しても、電流を正確に求めてモータ性能を向上することができる。
これにより、モータ出力をオープンループ制御するための目標印加電圧を、PWM制御信号のデューティ比が電流検出許容域にある時もない時も、そのデューティ比が電流検出許容域にある時に求めた最新のインピーダンスに基づき求めることができる。よって、PWM制御信号のデューティ比の如何に係わらずモータ出力をオープンループ制御するための目標印加電圧を求めることができるので、そのデューティ比すなわちコイルへの印加電圧を制限する必要がなく、電圧利用率を向上できる。
さらに、目標印加電圧は演算により求められる最新のインピーダンスに基づき求められる。よって、インピーダンスがモータ状態に応じて時間の経過により変化しても、目標印加電圧を正確に求めてモータ性能を向上することができる。
これにより、モータ出力をオープンループ制御するための目標印加電圧を、PWM制御信号のデューティ比が電流検出許容域にある時もない時も、求められた回転速度とそのデューティ比が電流検出許容域にある時に求めた最新の単位速度起電力との積である速度起電力に基づき求めることができる。よって、PWM制御信号のデューティ比の如何に係わらずモータ出力をオープンループ制御するための目標印加電圧を求めることができるので、そのデューティ比すなわちコイルへの印加電圧を制限する必要がなく、電圧利用率を向上できる。
さらに、目標印加電圧は求められた回転速度と演算により求められる最新の単位速度起電力との積である速度起電力に基づき求められる。よって、単位速度起電力がモータ状態に応じて時間の経過により変化しても、目標印加電圧を正確に求めてモータ性能を向上することができる。
Iu=(Vu−Eu)/Zu…(1)
Iv=(Vv−Ev)/Zv…(2)
Iw=(Vw−Ew)/Zw…(3)
ここで、Iu、Iv、Iwは三相の前記コイルそれぞれにおける相電流、Vu、Vv、Vwは三相の前記コイルそれぞれにおける端子電圧、Eu、Ev、Ewは三相の前記コイルそれぞれにおける速度起電力、Zu、Zv、Zwは三相の前記コイルそれぞれにおけるインピーダンスであり、速度起電力は前記モータの回転速度に単位速度起電力を乗じることにより求められるのが好ましい。
これにより、モータ出力をフィードバック制御する場合、U相におけるPWM制御信号のデューティ比が電流検出許容域にある時はU相コイルを流れる検出相電流Iuに基づき(1)式によりU相コイルのインピーダンスZuあるいは単位速度起電力を演算し、U相におけるPWM制御信号のデューティ比が電流検出許容域にない時は演算されたインピーダンスZuあるいは単位速度起電力に基づき(1)式により相電流Iuを演算により求めることができる。同様に、V相コイルを流れる検出相電流Ivに基づき(2)式によりV相コイルのインピーダンスZvあるいは単位速度起電力を演算し、V相におけるPWM制御信号のデューティ比が電流検出許容域にない時は演算されたインピーダンスZvあるいは単位速度起電力に基づき(2)式により相電流Ivを演算により求めることができる。また、W相コイルを流れる検出相電流Iwに基づき(3)式によりW相コイルのインピーダンスZwあるいは単位速度起電力を演算し、W相におけるPWM制御信号のデューティ比が電流検出許容域にない時は演算されたインピーダンスZwあるいは単位速度起電力に基づき(3)式により相電流Iwを演算により求めることができる。
また、モータ出力をオープンループ制御する場合、各式における相電流Iu、Iv、Iwは電流目標値に対応し、端子電圧Vu、Vv、Vwは目標印加電圧に対応する。この場合、U相におけるPWM制御信号のデューティ比が電流検出許容域にある時は、U相コイルを流れる検出相電流Iuに基づき(1)式によりU相コイルのインピーダンスZuあるいは単位速度起電力を演算し、また、U相におけるPWM制御信号のデューティ比が電流検出許容域にある時もない時も、最新の演算されたインピーダンスZuあるいは単位速度起電力に基づき(1)式によりU相コイルにおける電流目標値を演算により求めることができる。同様に、V相におけるPWM制御信号のデューティ比が電流検出許容域にある時は、V相コイルを流れる検出相電流Ivに基づき(2)式によりV相コイルのインピーダンスZvあるいは単位速度起電力を演算し、また、V相におけるPWM制御信号のデューティ比が電流検出許容域にある時もない時も、最新の演算されたインピーダンスZvあるいは単位速度起電力に基づき(2)式によりV相コイルにおける電流目標値を演算により求めることができる。また、W相におけるPWM制御信号のデューティ比が電流検出許容域にある時は、W相コイルを流れる検出相電流Iwに基づき(3)式によりW相コイルのインピーダンスZwあるいは単位速度起電力を演算し、また、W相におけるPWM制御信号のデューティ比が電流検出許容域にある時もない時も、最新の演算されたインピーダンスZwあるいは単位速度起電力に基づき(3)式によりW相コイルにおける電流目標値を演算により求めることができる。
よって、インピーダンスや単位速度起電力がモータ状態に応じて時間の経過により変化しても、フィードバック電流あるいは目標印加電圧を正確に求めてモータ性能を向上することができる。
バッテリーEにより各相のコイルに印加される電圧が目標印加電圧Vu* 、Vv* 、Vw* になるように、駆動部13の、各FET13u1、13u2、13v1、13v2、13w1、13w2がPWM制御信号により開閉される。
すなわち、インバータ回路におけるU相の上アームFET13u1のゲートに入力されるPWM制御信号と下アームFET13u2のゲートに入力されるPWM制御信号は、一方がハイパルスである時は他方がローパルスとされ、一方の立ち下がり時と他方の立ち上がり時との間にデッドタイムが設定される。V相、W相においても同様である。
各相における上アームFET13u1、13v1、13w1のゲートに入力されるPWM制御信号のデューティ比は、デッドタイムを無視すれば、目標印加電圧Vu* 、Vv* 、Vw* が0である時は0.5、目標印加電圧Vu* 、Vv* 、Vw* がモータ1を回転させるための最大値である時は1、最小値である時は0とされる。
これにより、モータ1への電力供給ラインに配置される電力供給用スイッチング素子をPWM制御信号により開閉することで、モータ1の出力が三相のコイルそれぞれにおける相電流Iu、Iv、Iwに応じてフィードバック制御される。
また、電流検出部を構成する電流検出用抵抗の配置は、モータ1の電機子捲線を構成するコイルに流れる電流を検出できれば特に限定されない。例えば、U、V、W各相において電流検出用抵抗を上アームFET13u1、13v1、13w1の上流位置に配置してもよく、上流位置に配置する場合、上アームFET13u1、13v1、13w1のゲートに入力されるPWM制御信号のデューティ比が基準値を超える場合は電流検出許容域にあり、基準値以下であれば電流検出許容域にないと判定すればよい。さらに、上記実施形態のように三相のコイルそれぞれに対応して3つの電流検出器11u、11v、11wを設けるのに代えて、図2におけるα位置またはβ位置に単一の電流検出用抵抗を配置し、そこでの検出電流とFET13u1、13u2、13v1、13v2、13w1、13w2の開閉タイミングとから3相のコイルそれぞれにおける電流を求めるようにしてもよい。
なお、式(1)〜(3)の関係は、以下の式(4)と、以下の式(5)で示す三相ブラシレスモータについての公知の回路方程式とから求められる。
Iu+Iv+Iw=0…(4)
これにより、PWM制御信号のデューティ比が電流検出許容域にある時は電流検出部11による検出相電流Iu、Iv、Iwが目標印加電圧Vu* 、Vv* 、Vw* の演算のためにフィードバックされるため、目標相電流Iu* 、Iv* 、Iw* と検出相電流Iu、Iv、Iwとの偏差を低減するようにモータ1の出力が制御される。また、PWM制御信号のデューティ比が電流検出許容域にない時は電流演算部24により求められた相電流Iu、Iv、Iwが目標印加電圧Vu* 、Vv* 、Vw* の演算のためにフィードバックされるため、目標相電流Iu* 、Iv* 、Iw* と演算により求められた相電流Iu、Iv、Iwとの偏差を低減するようにモータ1の出力が制御される。
車両のイグニッションスイッチのオン等により制御が開始されると、初期設定が行われ(ステップS1)、各センサによる検出値が読み込まれ(ステップS2)、操舵トルクと車速に応じて基本目標電流I* が演算される(ステップS3)。その演算された目標電流I* とロータ1bの回転位置とに基づき目標相電流Iu* 、Iv* 、Iw* が演算され(ステップS4)、三相のコイルそれぞれにおける速度起電力Eu、Ev、Ewが演算される(ステップS5)。
次に、三相のコイルそれぞれにおける目標相電流Iu* 、Iv* 、Iw* と相電流Iu、Iv、Iwとの偏差δIu、δIv、δIwが演算される(ステップS6)。
すなわち図4に示すように、U相における下アームFET13u2のゲートに入力されるPWM制御信号のデューティ比Duが電流検出許容域にあるか否かが判定され(ステップS101)、デューティ比Duが電流検出許容域にある場合、検出相電流Iuと求められた端子電圧Vuと速度起電力Euから式(1)を用いてU相コイルにおけるインピーダンスZuが演算され(ステップS102)、最新の演算されたインピーダンスZuが記憶され(ステップS103)、検出相電流Iuが偏差演算用相電流とされ、U相コイルにおける目標相電流Iu* と相電流Iuとの偏差δIuが演算される(ステップS104)。ステップS101においてデューティ比Duが電流検出許容域にない場合、最新の記憶されたインピーダンスZuと求められた端子電圧Vuと速度起電力Euから式(1)を用いてU相コイルにおける相電流Iuが演算され(ステップS105)、演算された相電流Iuが偏差演算用相電流とされ、U相コイルにおける目標相電流Iu* と演算された相電流Iuとの偏差δIuが演算される(ステップS104)。
また、V相における下アームFET13v2のゲートに入力されるPWM制御信号のデューティ比Dvが電流検出許容域にあるか否かが判定され(ステップS106)、デューティ比Dvが電流検出許容域にある場合、検出相電流Ivと求められた端子電圧Vvと速度起電力Evから式(2)を用いてV相コイルにおけるインピーダンスZvが演算され(ステップS107)、最新の演算されたインピーダンスZvが記憶され(ステップS108)、検出相電流Ivが偏差演算用相電流とされ、V相コイルにおける目標相電流Iv* と相電流Ivとの偏差δIvが演算される(ステップS109)。ステップS106においてデューティ比Dvが電流検出許容域にない場合、最新の記憶されたインピーダンスZvと求められた端子電圧Vvと速度起電力Evから式(2)を用いてV相コイルにおける相電流Ivが演算され(ステップS110)、演算された相電流Ivが偏差演算用相電流とされ、V相コイルにおける目標相電流Iv* と演算された相電流Ivとの偏差δIvが演算される(ステップS109)。
さらに、W相における下アームFET13w2のゲートに入力されるPWM制御信号のデューティ比Dwが電流検出許容域にあるか否かが判定され(ステップS111)、デューティ比Dwが電流検出許容域にある場合、検出相電流Iwと求められた端子電圧Vwと速度起電力Ewから式(3)を用いてW相コイルにおけるインピーダンスZwが演算され(ステップS112)、最新の演算されたインピーダンスZwが記憶され(ステップS113)、検出相電流Iwが偏差演算用相電流とされ、W相コイルにおける目標相電流Iw* と相電流Iwとの偏差δIwが演算される(ステップS114)。ステップS111においてデューティ比Dwが電流検出許容域にない場合、最新の記憶されたインピーダンスZwと求められた端子電圧Vwと速度起電力Ewから式(3)を用いてW相コイルにおける相電流Iwが演算され(ステップS115)、演算された相電流Iwが偏差演算用相電流とされ、W相コイルにおける目標相電流Iw* と演算された相電流Iwとの偏差δIwが演算される(ステップS114)。なお、制御開始当初において演算に必要な端子電圧Vu、Vv、Vwとしては初期設定値を用いればよい。
次に、演算された偏差δIu、δIv、δIwに応じた目標印加電圧Vu* 、Vv* 、Vw* が演算される(ステップS7)。バッテリーEから各相のコイルに印加される電圧が目標印加電圧Vu* 、Vv* 、Vw* になるように、各FET13u1〜13w2がPWM制御信号により開閉されることでモータ1が駆動される(ステップS8)。次に、例えばイグニッションスイッチの開閉状態により制御が終了されるか否かが判断され(ステップS9)、終了しない場合はステップS2に戻る。
車両のイグニッションスイッチのオン等により制御が開始されると、初期設定が行われ(ステップS201)、各センサによる検出値が読み込まれ(ステップS202)、操舵トルクと車速に応じて基本目標電流I* が演算される(ステップS203)。その演算された目標電流I* とロータ1bの回転位置とに基づき目標相電流Iu* 、Iv* 、Iw* が演算され(ステップS204)、三相のコイルそれぞれにおける設定インピーダンスZu、Zv、Zwが読み出される(ステップS205)。
次に、三相のコイルそれぞれにおいて目標相電流Iu* 、Iv* 、Iw* と相電流Iu、Iv、Iwとの偏差δIu、δIv、δIwが演算される(ステップS206)。
すなわち図8に示すように、U相における下アームFET13u2のゲートに入力されるPWM制御信号のデューティ比Duが電流検出許容域にあるか否かが判定され(ステップS301)、デューティ比Duが電流検出許容域にある場合、検出相電流Iuと求められた端子電圧Vuと記憶された設定インピーダンスZuと求められた回転速度ωから式(1)を用いてU相コイルにおける単位速度起電力Keuが演算され(ステップS302)、最新の演算された単位速度起電力Keuが記憶され(ステップS303)、検出相電流Iuが偏差演算用相電流とされ、U相コイルにおける目標相電流Iu* と相電流Iuとの偏差δIuが演算される(ステップS304)。ステップS301においてデューティ比Duが電流検出許容域にない場合、求められた端子電圧Vuと記憶された設定インピーダンスZuと求められた回転速度ωと最新の記憶された単位速度起電力Keuから式(1)を用いてU相コイルにおける相電流Iuが演算され(ステップS305)、演算された相電流Iuが偏差演算用相電流とされ、U相コイルにおける目標相電流Iu* と演算された相電流Iuとの偏差δIuが演算される(ステップS304)。
また、V相における下アームFET13v2のゲートに入力されるPWM制御信号のデューティ比Dvが電流検出許容域にあるか否かが判定され(ステップS306)、デューティ比Dvが電流検出許容域にある場合、検出相電流Ivと求められた端子電圧Vvと記憶された設定インピーダンスZvと求められた回転速度ωから式(2)を用いてV相コイルにおける単位速度起電力Kevが演算され(ステップS307)、最新の演算された単位速度起電力Kevが記憶され(ステップS308)、検出相電流Ivが偏差演算用相電流とされ、V相コイルにおける目標相電流Iv* と相電流Ivとの偏差δIvが演算される(ステップS309)。ステップS306においてデューティ比Dvが電流検出許容域にない場合、求められた端子電圧Vvと記憶された設定インピーダンスZvと求められた回転速度ωと最新の記憶された単位速度起電力Kevから式(2)を用いてV相コイルにおける相電流Ivが演算され(ステップS310)、演算された相電流Ivが偏差演算用相電流とされ、V相コイルにおける目標相電流Iv* と演算された相電流Ivとの偏差δIvが演算される(ステップS309)。
さらに、W相における下アームFET13w2のゲートに入力されるPWM制御信号のデューティ比Dwが電流検出許容域にあるか否かが判定され(ステップS311)、デューティ比Dwが電流検出許容域にある場合、検出相電流Iwと求められた端子電圧Vwと記憶された設定インピーダンスZwと求められた回転速度ωから式(3)を用いてW相コイルにおける単位速度起電力Kewが演算され(ステップS312)、最新の演算された単位速度起電力Kewが記憶され(ステップS313)、検出相電流Iwが偏差演算用相電流とされ、W相コイルにおける目標相電流Iw* と相電流Iwとの偏差δIwが演算される(ステップS314)。ステップS311においてデューティ比Dwが電流検出許容域にない場合、求められた端子電圧Vwと記憶された設定インピーダンスZwと求められた回転速度ωと最新の記憶された単位速度起電力Kewから式(3)を用いてW相コイルにおける相電流Iwが演算され(ステップS315)、演算された相電流Iwが偏差演算用相電流とされ、W相コイルにおける目標相電流Iw* と演算された相電流Iwとの偏差δIwが演算される(ステップS314)。なお、制御開始当初において演算に必要な端子電圧Vu、Vv、Vwとして初期設定値を用いればよい。
次に、演算された偏差δIu、δIv、δIwに応じた目標印加電圧Vu* 、Vv* 、Vw* が演算される(ステップS207)。バッテリーEから各相のコイルに印加される電圧が目標印加電圧Vu* 、Vv* 、Vw* になるように、各FET13u1〜13w2がPWM制御信号により開閉されることでモータ1が駆動される(ステップS208)。次に、例えばイグニッションスイッチの開閉状態により制御が終了されるか否かが判断され(ステップS209)、終了しない場合はステップS202に戻る。
第4実施形態における制御装置10は、第1実施形態におけるPI演算部17u、17v、17w、偏差演算部19u、19v、19wおよび電流演算部24を備えておらず、それらに代わってU、V、W相それぞれにおける電圧演算部217u、217v、217wを有する。また、第4実施形態においては速度起電力決定部225が回転速度決定部として機能し、レゾルバ2から時系列に入力されるロータ1bの回転位置の変化からロータ1bの回転速度ωを求め、求めた回転速度ωに単位速度起電力Keを乗じた値Ke・ωとして三相のコイルそれぞれにおける速度起電力を求める。本実施形態の単位速度起電力Keは一定値とされ、予め定められて記憶部22に記憶され、速度起電力決定部225に読み出される。
車両のイグニッションスイッチのオン等により制御が開始されると、初期設定が行われ(ステップS401)、各センサによる検出値が読み込まれ(ステップS402)、操舵トルクと車速に応じて基本目標電流I* が演算される(ステップS403)。その演算された基本目標電流I* とロータ1bの回転位置とに基づき目標相電流Iu* 、Iv* 、Iw* が演算され(ステップS404)、三相のコイルそれぞれにおける速度起電力Eu、Ev、Ewが演算される(ステップS405)。
次に、三相のコイルそれぞれにおける目標印加電圧Vu* 、Vv* 、Vw* が演算される(ステップS406)。
すなわち図11に示すように、U相における下アームFET13u2のゲートに入力されるPWM制御信号のデューティ比Duが電流検出許容域にあるか否かが判定され(ステップS501)、デューティ比Duが電流検出許容域にある場合、検出相電流Iuと求められた端子電圧Vuと速度起電力Euから式(1)を用いてU相コイルにおけるインピーダンスZuが演算され(ステップS502)、最新の演算されたインピーダンスZuが記憶される(ステップS503)。次にU相コイルにおける目標印加電圧Vu* が演算される(ステップS504)。ステップS501においてデューティ比Duが電流検出許容域にない場合、ステップS504においてU相コイルにおける目標印加電圧Vu* が演算される。また、V相における下アームFET13v2のゲートに入力されるPWM制御信号のデューティ比Dvが電流検出許容域にあるか否かが判定され(ステップS505)、デューティ比Dvが電流検出許容域にある場合、検出相電流Ivと求められた端子電圧Vvと速度起電力Evから式(2)を用いてV相コイルにおけるインピーダンスZvが演算され(ステップS506)、最新の演算されたインピーダンスZvが記憶される(ステップS507)。次にV相コイルにおける目標印加電圧Vv* が演算される(ステップS508)。ステップS505においてデューティ比Dvが電流検出許容域にない場合、ステップS508においてV相コイルにおける目標印加電圧Vv* が演算される。さらに、W相における下アームFET13w2のゲートに入力されるPWM制御信号のデューティ比Dwが電流検出許容域にあるか否かが判定され(ステップS509)、デューティ比Dwが電流検出許容域にある場合、検出相電流Iwと求められた端子電圧Vwと速度起電力Ewから式(3)を用いてW相コイルにおけるインピーダンスZwが演算され(ステップS510)、最新の演算されたインピーダンスZwが記憶される(ステップS511)。次にW相コイルにおける目標印加電圧Vw* が演算される(ステップS512)。ステップS509においてデューティ比Dwが電流検出許容域にない場合、ステップS512においてW相コイルにおける目標印加電圧Vw* が演算される。なお、制御開始当初において演算に必要な端子電圧Vu、Vv、Vwとしては初期設定値を用いればよい。
次に、バッテリーEから各相のコイルに印加される電圧が目標印加電圧Vu* 、Vv* 、Vw* になるように、各FET13u1〜13w2がPWM制御信号により開閉されることでモータ1が駆動される(ステップS407)。次に、例えばイグニッションスイッチの開閉状態により制御が終了されるか否かが判断され(ステップS408)、終了しない場合はステップS402に戻る。
さらに、目標印加電圧Vu* 、Vv* 、Vw* は演算により時系列に求められるインピーダンスZu、Zv、Zwの中の最新のインピーダンスに基づき求められる。よって、インピーダンスZu、Zv、Zwがモータ1の状態に応じて時間の経過により変化しても、目標印加電圧Vu* 、Vv* 、Vw* を正確に求めてモータ性能を向上することができる。他は第1実施形態と同様とされる。
車両のイグニッションスイッチのオン等により制御が開始されると、初期設定が行われ(ステップS601)、各センサによる検出値が読み込まれ(ステップS602)、操舵トルクと車速に応じて基本目標電流I* が演算される(ステップS603)。その演算された基本目標電流I* とロータ1bの回転位置とに基づき目標相電流Iu* 、Iv* 、Iw* が演算され(ステップS604)、三相のコイルそれぞれにおける設定インピーダンスZu、Zv、Zwが読み出される(ステップS605)。
次に、三相のコイルそれぞれにおける目標印加電圧Vu* 、Vv* 、Vw* が演算される(ステップS606)。
すなわち図14に示すように、U相における下アームFET13u2のゲートに入力されるPWM制御信号のデューティ比Duが電流検出許容域にあるか否かが判定され(ステップS701)、デューティ比Duが電流検出許容域にある場合、検出相電流Iuと求められた端子電圧Vuと記憶された設定インピーダンスZuと求められた回転速度ωから式(1)を用いてU相コイルにおける単位速度起電力Keuが演算され(ステップS702)、最新の演算された単位速度起電力Keuが記憶される(ステップS703)。次にU相コイルにおける目標印加電圧Vu* が演算される(ステップS704)。ステップS701においてデューティ比Duが電流検出許容域にない場合、ステップS704においてU相コイルにおける目標印加電圧Vu* が演算される。また、V相における下アームFET13v2のゲートに入力されるPWM制御信号のデューティ比Dvが電流検出許容域にあるか否かが判定され(ステップS705)、デューティ比Dvが電流検出許容域にある場合、検出相電流Ivと求められた端子電圧Vvと記憶された設定インピーダンスZvと求められた回転速度ωから式(2)を用いてV相コイルにおける単位速度起電力Kevが演算され(ステップS706)、最新の演算された単位速度起電力Kevが記憶される(ステップS707)。次にV相コイルにおける目標印加電圧Vv* が演算される(ステップS708)。ステップS705においてデューティ比Dvが電流検出許容域にない場合、ステップS708においてV相コイルにおける目標印加電圧Vv* が演算される。さらに、W相における下アームFET13w2のゲートに入力されるPWM制御信号のデューティ比Dwが電流検出許容域にあるか否かが判定され(ステップS709)、デューティ比Dwが電流検出許容域にある場合、検出相電流Iwと求められた端子電圧Vwと記憶された設定インピーダンスZwと求められた回転速度ωから式(3)を用いてW相コイルにおける単位速度起電力Kewが演算され(ステップS710)、最新の演算された単位速度起電力Kewが記憶される(ステップS711)。次にW相コイルにおける目標印加電圧Vw* が演算される(ステップS712)。ステップS709においてデューティ比Dwが電流検出許容域にない場合、ステップS712においてW相コイルにおける目標印加電圧Vw* が演算される。なお、制御開始当初において演算に必要な端子電圧Vu、Vv、Vwとしては初期設定値を用いればよい。
次に、バッテリーEから各相のコイルに印加される電圧が目標印加電圧Vu* 、Vv* 、Vw* になるように、各FET13u1〜13w2がPWM制御信号により開閉されることでモータ1が駆動される(ステップS607)。次に、例えばイグニッションスイッチの開閉状態により制御が終了されるか否かが判断され(ステップS608)、終了しない場合はステップS602に戻る。
さらに、目標印加電圧Vu* 、Vv* 、Vw* は求められた回転速度ωと演算により求められる最新の単位速度起電力Keu、Kev、Kewとの積である速度起電力Eu、Ev、Ewに基づき求められる。よって、速度起電力Eu、Ev、Ewがモータ1の状態に応じて時間の経過により変化しても、目標印加電圧Vu* 、Vv* 、Vw* を正確に求めてモータ性能を向上することができる。他は第4実施形態と同様とされる。さらに、第5実施形態を第4実施形態と組み合わせることで、例えばモータ1の停止時は速度起電力は0であるので、デューティ比が電流検出許容域にある時にインピーダンスZu、Zv、Zwを求めておくことができ、これによりインピーダンスZu、Zv、Zwが実際はモータ1の状態に応じて時間の経過により変化した場合でも、電圧演算部217u、217v、217wにおいて目標印加電圧Vu* 、Vv* 、Vw* を正確に求めることができる。
Claims (5)
- モータへの電力供給ラインに配置されるスイッチング素子をPWM制御信号により開閉することで、前記モータの出力を制御するモータ用制御装置において、
前記モータの電機子捲線を構成するコイルにおける電流、端子電圧、速度起電力、およびインピーダンスの間の予め定めた関係を記憶する関係記憶部と、
前記コイルにおける端子電圧を求める電圧決定部と、
前記コイルにおける速度起電力を求める速度起電力決定部と、
前記コイルにおける電流を検出する電流検出部と、
前記PWM制御信号のデューティ比が電流検出許容域にあるか否かを設定された基準値と比較することで判定する判定部と、
前記PWM制御信号のデューティ比が電流検出許容域にある時、前記コイルにおけるインピーダンスを、記憶された関係、求められた端子電圧、求められた速度起電力、及び検出電流に基づき、演算により時系列に求めるインピーダンス演算部と、
前記インピーダンス演算部によって求められた最新のインピーダンスを記憶する最新インピーダンス記憶部と、
前記コイルにおける電流を、記憶された関係、求められた端子電圧、求められた速度起電力、及び記憶された最新のインピーダンスに基づき演算により求める電流演算部と、
電流目標値を演算により求める電流目標値演算部とを備え、
前記PWM制御信号のデューティ比が電流検出許容域にある時は、前記電流目標値演算部により求められる電流目標値と検出電流に対応する値との偏差を低減するように、前記モータの出力が制御され、
前記PWM制御信号のデューティ比が電流検出許容域にない時は、前記電流目標値演算部により求められる電流目標値と前記電流演算部により求められた電流に対応する値との偏差を低減するように、前記モータの出力が制御されることを特徴とするモータ用制御装置。 - モータへの電力供給ラインに配置されるスイッチング素子をPWM制御信号により開閉することで、前記モータの出力を制御するモータ用制御装置において、
前記モータの電機子捲線を構成するコイルにおける電流、端子電圧、速度起電力、およびインピーダンスの間の予め定めた関係を記憶する関係記憶部と、
前記コイルにおける端子電圧を求める電圧決定部と、
前記コイルにおける設定されたインピーダンスを記憶する設定インピーダンス記憶部と、前記コイルにおける電流を検出する電流検出部と、
前記モータの回転速度を求める回転速度決定部と、
前記PWM制御信号のデューティ比が電流検出許容域にあるか否かを設定された基準値と比較することで判定する判定部と、
前記PWM制御信号のデューティ比が電流検出許容域にある時、前記モータにおける単位回転速度当たりの速度起電力である単位速度起電力を、記憶された関係、求められた端子電圧、記憶されたインピーダンス、求められた回転速度、及び検出電流に基づき、演算により時系列に求める単位速度起電力演算部と、
前記単位速度起電力演算部によって求められた最新の単位速度起電力を記憶する最新単位速度起電力記憶部と、
前記コイルにおける電流を、記憶された関係、求められた端子電圧、記憶されたインピーダンス、求められた回転速度、及び記憶された最新の単位速度起電力に基づき演算により求める電流演算部と、
電流目標値を演算により求める電流目標値演算部とを備え、
前記PWM制御信号のデューティ比が電流検出許容域にある時は、前記電流目標値演算部により求められる電流目標値と検出電流に対応する値との偏差を低減するように、前記モータの出力が制御され、
前記PWM制御信号のデューティ比が電流検出許容域にない時は、前記電流目標値演算部により求められる電流目標値と前記電流演算部により求められた電流に対応する値との偏差を低減するように、前記モータの出力が制御されることを特徴とするモータ用制御装置。 - モータへの電力供給ラインに配置されるスイッチング素子をPWM制御信号により開閉することで、前記モータの出力を制御するモータ用制御装置において、
前記モータの電機子捲線を構成するコイルにおける電流、端子電圧、速度起電力、およびインピーダンスの間の予め定めた関係を記憶する関係記憶部と、
前記コイルにおける端子電圧を求める電圧決定部と、
前記コイルにおける速度起電力を求める速度起電力決定部と、
前記コイルにおける電流を検出する電流検出部と、
前記PWM制御信号のデューティ比が電流検出許容域にあるか否かを設定された基準値と比較することで判定する判定部と、
前記PWM制御信号のデューティ比が電流検出許容域にある時、前記コイルにおけるインピーダンスを、記憶された関係、求められた端子電圧、求められた速度起電力、及び検出電流に基づき、演算により時系列に求めるインピーダンス演算部と、
前記インピーダンス演算部によって求められた最新のインピーダンスを記憶する最新インピーダンス記憶部と、
電流目標値を演算により求める電流目標値演算部と、
電流目標値が前記コイルにおける電流に、目標印加電圧が前記コイルにおける端子電圧にそれぞれ対応するものとして、目標印加電圧を、記憶された関係、求められた電流目標値、求められた速度起電力、及び求められた最新のインピーダンスに基づき演算により求める電圧演算部とを備え、
前記電圧演算部により求められる目標印加電圧が前記コイルに印加されるように、前記モータの出力が制御されることを特徴とするモータ用制御装置。 - モータへの電力供給ラインに配置されるスイッチング素子をPWM制御信号により開閉することで、前記モータの出力を制御するモータ用制御装置において、
前記モータの電機子捲線を構成するコイルにおける電流、端子電圧、速度起電力、およびインピーダンスの間の予め定めた関係を記憶する関係記憶部と、
前記コイルにおける端子電圧を求める電圧決定部と、
前記コイルにおける設定されたインピーダンスを記憶する設定インピーダンス記憶部と、前記コイルにおける電流を検出する電流検出部と、
前記モータの回転速度を求める回転速度決定部と、
前記PWM制御信号のデューティ比が電流検出許容域にあるか否かを設定された基準値と比較することで判定する判定部と、
前記PWM制御信号のデューティ比が電流検出許容域にある時、前記モータにおける単位回転速度当たりの速度起電力である単位速度起電力を、記憶された関係、求められた端子電圧、記憶されたインピーダンス、求められた回転速度、及び検出電流に基づき、演算により時系列に求める単位速度起電力演算部と、
前記単位速度起電力演算部によって求められた最新の単位速度起電力を記憶する最新単位速度起電力記憶部と、
電流目標値を演算により求める電流目標値演算部と、
電流目標値が前記コイルにおける電流に、目標印加電圧が前記コイルにおける端子電圧にそれぞれ対応するものとして、前記コイルにおける目標印加電圧を、記憶された関係、求められた電流目標値、記憶されたインピーダンス、求められた回転速度、及び求められた最新の単位速度起電力に基づき演算により求める電圧演算部とを備え、
前記電圧演算部により求められる目標印加電圧が前記コイルに印加されるように、前記モータの出力が制御されることを特徴とするモータ用制御装置。 - 前記モータは、そのモータの電機子捲線を構成する三相のコイルそれぞれにおける相電流に応じてフィードバック制御される三相ブラシレスモータとされ、
前記コイルにおける電流、端子電圧、速度起電力、およびインピーダンスの間の予め定めた関係として、以下の式(1)〜(3)で表される関係が記憶され、
Iu=(Vu−Eu)/Zu…(1)
Iv=(Vv−Ev)/Zv…(2)
Iw=(Vw−Ew)/Zw…(3)
ここで、Iu、Iv、Iwは三相の前記コイルそれぞれにおける相電流、Vu、Vv、Vwは三相の前記コイルそれぞれにおける端子電圧、Eu、Ev、Ewは三相の前記コイルそれぞれにおける速度起電力、Zu、Zv、Zwは三相の前記コイルそれぞれにおけるインピーダンスであり、速度起電力は前記モータの回転速度に単位速度起電力を乗じることにより求められる請求項1〜4の中の何れか1項に記載のモータ用制御装置。
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