JP2007244107A - 電気車の接線力推定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】台車のピッチング振動の影響を殆ど受けることなく、車輪・レール間の接線力に対応した電動機トルクを推定できるようにすること。
【解決手段】係数器11〜18、係数器110,111,113,114,116、加算器120〜125、1次遅れ演算器19、積分器112,115で接線力推定装置を構成し、主電動機の回転角速度ωm 、主電動機発生トルクτm を入力として、接線力に対応したトルクの推定値τL ^、その時間微分値の推定値τL ' ^、その2階時間微分値の推定値τL " ^を求める。さらに、これらから接線力係数の推定値μ^、その時間微分値の推定値μ' ^、その2階時間微分値の推定値μ" ^を求める。台車のピッチング振動を考慮に入れた状態方程式をもとに高次の外乱オブザーバを構成しているので、接線力に対応したトルクの推定値には台車のピッチング振動周波数成分が殆ど除去される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電気車の良好な乗り心地を維持しつつ粘着力の有効利用を図った再粘着制御を実現するための、電気車の接線力推定方法に関するものである。
電気車は車輪・レール間の接線力(粘着力ともいう)によって加減速を行っているが、この接線力は、一般にすべり速度に対して図9に破線で示すような特性を有している。この接線力を軸重(車軸1軸当たりのレールに加わる垂直荷重)で割ったものを接線力係数、接線力係数の最大値を粘着係数という。
なお、図9は接線力係数あるいは接線力のすべり速度に対する一般的な特性を示す図であり、横軸はすべり速度、縦軸は接線力(接線力係数)を示し、破線はレール面乾燥時、実線はレール面湿潤時の接線力を示している。
図示の如く、接線力の最大値を超えないトルクを主電動機で発生している場合は、空転・滑走は発生せず、接線力の最大値より左側の微小なすべり速度の粘着領域で電気車は走行する。もし、最大値より大きなトルクを発生するとすべり速度は増大し、接線力が低下するので、ますますすべり速度が増大する空転・滑走状態になるが、車輪およびレールが乾燥状態では主電動機で発生するトルクは接線力の最大値を超えないように車両の性能が設定されるので、空転・滑走は発生しない。
しかし、実線で示すように、レール面が雨などによって湿潤状態にある場合は粘着係数が低下して、接線力の最大値が車両の設定性能に対応した主電動機の発生トルクより小さくなる。この場合、すべり速度が増大して空転・滑走状態になり、そのまま放置するとこれに対応して接線力が低下し、車両の加速・減速に必要な加減速力がますます低下してしまうので、迅速に空転・滑走を検出し、主電動機が発生するトルクを低減して再粘着させることが必要になる。このようにトルクの制御を行って再粘着させる場合、小さなすべり速度に維持しつつ、主電動機の発生トルクが極力接線力の最大値近傍の値になるように制御することが、電気車の加減速性能を高める上で必要である。
このような再粘着制御の実現を目的とした方法として、主電動機の回転速度を主電動機に印加される電圧・電流から推定し、この推定速度情報と主電動機発生トルクの演算値を入力情報として、最小次元外乱オブザーバを用いて車輪・レール間の接線力に対応した主電動機トルクを制御周期毎に推定して、空転・滑走検知時の推定トルクを用いて主電動機の発生トルクを制御する方式が、提案されている(特許文献1、特許文献2、非特許文献1参照)。
この制御方式によって、良好な乗り心地を保ちつつ、主電動機の発生トルクを極力接線力の最大値近傍に維持することができつつある。
特開平11−252716号公報 特開2000−125406号公報 門脇悟志、大石潔、宮下一郎、保川忍著:「外乱オブザーバと速度センサレスベクトル制御による電気車(2M1C)の空転再粘着制御の一方式」、電気学会論文誌D 、平成13年11月号、pp1192-1198
ところで、軽量ボルスタレス台車が用いられることの多い最近の電車においては、電車を加減速する接線力の発生場所(車輪・レール間)とこれが台車・車体へ伝達される着力点の違いによって、電車の加減速時に図8に示すように進行方向の平面内において台車枠が時計方向・反時計方向に交互に振動するピッチング振動が発生し易い傾向にある。
図8は台車のピッチング振動が電動機速度に与える影響を説明する図である。
図8(a)に示すように時計回りの台車枠の回転によって、同一台車内の前の動輪と後ろの動輪に同位相で電動機速度を増速させる方向の影響が出る。また、反対に図8(b)に示すように、反時計回りの台車枠の回転によって、同一台車内の前の動輪と後ろの動輪に同位相で電動機速度を減速させる方向の影響が出る。
この台車ピッチング振動の影響は、固有周波数で数Hz前後から20Hz近傍の固有周波数で発生することが多い。
このようなピッチング振動が顕著になると、最小次元外乱オブザーバによって車輪・レール間の接線力に対応した電動機トルクあるいは接線力係数を推定した場合、これらの推定結果に図6、図7に示すようなピッチング振動の影響が現れる。
図6は従来の最小次元外乱オブザーバを用いた接線力推定結果によって再粘着制御を行ったときの再粘着制御状態を示す図(その1)であり、図7は従来の最小次元外乱オブザーバを用いた接線力推定結果によって再粘着制御を行ったときの再粘着制御状態を示す図(その2)であり、図6、図7において、(a)はトルク指令値、(b)は接線力に対応したトルクの推定値、(c)は動輪速度、車両速度を示し、また、ts1は空転検知時点を示す。
図6(b)、図7(b)に示すように、空転検知に至る前においてピッチング振動に伴って、推定結果が振動することになる。
したがって、空転検知のタイミングによって、動輪が再粘着したときに指令するトルク算定の基礎となる空転検知時の接線力に対応した電動機トルクの推定値が、接線力に対応したトルクの真値(一点鎖線と点線で示す)に対して大きくなったり小さくなったりする。
空転検知時の接線力に対応した電動機トルクの推定値tau_hが、図6(b)に示すように真値に対して大きな値になった場合は、空転している動輪を再粘着させるためのトルクの指令値が大きくなって、図6(c)に示すように、なかなか再粘着させることができないとか、再粘着させることができても再粘着後に指令するトルクが、その時点における粘着係数に対応したトルクより大きめになってしまう。このため、すぐに空転状態になってしまうことが考えられ、接線力の低下を招き、粘着力の利用率が低くなる。
一方、空転検知時の接線力に対応した電動機トルクの推定値tau_lが、図7(b)に示すように真値に対して小さな値になった場合は、図7(c)に示すように確実に再粘着させることはできるが、再粘着後に指令するトルクがその時点における粘着係数に対応したトルクより小さくなってしまい、粘着力の有効利用の観点からは不十分な結果となることが考えられる。
なお、図6、図7の台車ピッチング振動による接線力に対応したトルクの推定値に含まれる振動成分をローパスフィルタに通して除去することも考えられるが、前述したようにピッチング振動の固有周波数が数Hzから20Hz近傍と低いため、フィルタを通した出力は大きく遅れてしまう。
このため、空転検知字の接線力に対応したトルクの推定値を用いて再粘着制御を行っても、この推定値は空転検知時点よりも遅れ時間分だけ遡った推定値となって、空転検知時の接線力の真値よりも大きな値となることから、図6に示した制御状態と同様な制御となり、やはり粘着力の有効利用が図れないことになってしまう。
このように台車ピッチング振動の影響は、近年の電車において常時起こる訳ではないが、しばしば経験するところである。このようなピッチング振動の影響を受けることなく接線力に対応した電動機トルクを推定して、これに基づいたより粘着力の有効利用可能な再粘着制御の実現が望まれる。
以上のように、再粘着制御の過程において台車のピッチング振動現象が発生して、接線力に対応した電動機トルクの推定値がピッチング振動周波数で振動してしまうと、空転検知時の接線力に対応した電動機トルクの推定値が真値に対して大きくなったり小さくなったりし、これに伴い、空転検知時点以降のトルク指令が真値に対応したトルク指令値より大きくなったり小さくなったりする。
このため、空転している動輪をなかなか再粘着させることができないか、あるいは再粘着させることはできてもすぐに空転状態に移行し、再粘着した時点の粘着係数に対応したトルクを指令することができず、粘着力の有効利用が図れなくなることになる。
本発明は上述した点に鑑み創案されたものであって、その目的とするところは、台車のピッチング振動の影響を殆ど受けることなく、車輪・レール間の接線力に対応した電動機トルクを推定できるようにした、電気車の接線力推定方法を提供することである。
上記課題を本発明においては、次のように解決する。
(1)電気車の主電動機軸の回転角速度と主電動機の発生トルクの演算値または計測値を入力情報として、台車の一つのピッチング振動固有角周波数を考慮に入れた以下の式(1−1)から式(1−4)に示す状態方程式に基づき、台車のピッチング振動の影響を受けないようにした、接線力に対応したトルクの推定値を求める。
Figure 2007244107
(2)電気車の主電動機軸の回転角速度と主電動機の発生トルクの演算値または計測値を入力情報として、台車の二つのピッチング振動固有角周波数を考慮に入れた以下の式(2−1)から式(2−6)に示す状態方程式に基づき、台車のピッチング振動の影響を受けないようにした、接線力に対応したトルクの推定値を求める。
Figure 2007244107
本発明においては、以下の効果を得ることができる。
(1)本発明の電気車の接線力推定装置では、台車の一つのピッチング振動固有周波数あるいは二つのピッチング振動固有周波数を考慮に入れて接線力の推定しているので、接線力の推定値に台車のピッチング振動周波数で振動する成分が重畳することがなくなる。
このため、常時車輪・レール間の接線力に対応したトルクを推定することができ、空転検知時の接線力に対応したトルクの推定値は真値に近い値となる。
この空転検知時の接線力に対応したトルクの推定値を用いて再粘着制御を行うことにより、台車振動の影響を受けることなく、粘着力の利用率の高い再粘着制御を実現することができ、どのような台車構造の電気車であっても、常に高い加速性能を得ることができる。
(2)再粘着制御に伴うトルク制御によってピッチング振動を発生しやすい台車が用いられた電気車であっても、台車ピッチング振動の影響を受けることなく車輪・レール間の接線力に対応したトルクの推定値を得ることができる。
本発明においては、以下の第1の実施例で説明するように台車の一つのピッチング振動固有周波数を考慮に入れた高次の外乱オブザーバ、あるいは第2の実施例で説明するように台車の二つのピッチング振動固有周波数を考慮に入れた高次の外乱オブザーバを構成し、再粘着制御に伴うトルク制御によってピッチング振動を発生しやすい台車が用いられた電気車であっても、台車ピッチング振動の影響を受けることなく車輪・レール間の接線力に対応したトルクの推定値を得ている。
以下、本発明の第1、第2の実施例について説明する。
本発明の第1の実施例では、台車の一つのピッチング振動固有角周波数を考慮に入れた前記式(1−1)〜式(1−4)に示す状態方程式に基づき、接線力に対応したトルクの推定値を求める。
図1は台車の一つのピッチング振動固有角周波数を考慮に入れた式(1−1)から式(1−4)に示す状態方程式をもとに、公知のGopinathの設計法を用いて実現した本発明の第1の実施例の接線力推定装置の構成を示すブロック図である。
同図に示すように、本実施例の接線力推定装置は、係数器11〜係数器18、係数器110,111,113,114,116、加算器120〜加算器125、1次遅れ演算器19、積分器112、積分器115で構成されている。
本実施例の接線力推定装置は、主電動機の回転角速度ωm 、主電動機発生トルクの演算値あるいは計測値τm を入力として、接線力に対応したトルクの推定値τL ^、接線力に対応したトルクの時間微分値の推定値τL ' ^、接線力に対応したトルクの2階時間微分値の推定値τL " ^を求めている。
なお、図中では時間微分値をドット一つ、2階時間微分値をドット2つで示すが、以下の文中では、表記上の都合から時間微分値を「’」、2階時間微分値を「”」を付して示す。また、「^」は推定値を表しており、図中ではτ等の上に付しているが、以下の文中では表記上の都合からτ等の後ろに付している。
以下の式(1−5)〜(1−16)は、式(1−1)〜式(1−4)に示す状態方程式から得られた、主電動機の回転角速度ωm 、主電動機発生トルクの演算値あるいは計測値τm と、接線力に対応したトルクの推定値τL ^、接線力に対応したトルクの時間微分値の推定値τL ' ^、接線力に対応したトルクの2階時間微分値の推定値τL " ^の関係を示す式である。
Figure 2007244107
すなわち、本実施例の接線力推定装置は、主電動機の回転角速度ωm 、主電動機発生トルクの演算値あるいは計測値τm と、中間演算結果であるz2 ,z3 から式(1−8)により中間演算結果であるz1 を求める第1の手段と、上記ωm ,τm と、中間演算結果であるz1 ,z3 から式(1−9 )により中間演算結果であるz2 を求める第2の手段と、上記回転角速度ωm ,τm と、中間演算結果であるz2 ,z3 から式(1−10)により中間演算結果であるz3 を求める第3の手段と、上記中間演算結果z3 ,z2 ,z1 から、式(1−5)〜(1−7)に示すように、それぞれ回転角速度ωm に係数cJm ,bJm ,aJm を乗じた値を減算する第4、第5、第6の手段から構成され、第4、第5、第6の手段の出力として、接線力に対応したトルクの推定値τL ^、接線力に対応したトルクの時間微分値の推定値τL ' ^、接線力に対応したトルクの2階時間微分値の推定値τL " ^を得ている。
また図1に示すように、接線力に対応したトルクの推定値τL ^、接線力に対応したトルクの時間微分値の推定値τL ' ^、接線力に対応したトルクの2階時間微分値の推定値τL " ^を、それぞれ係数器119、係数器118、係数器117に入力することによって、式(1−17)、式(1−18)、式(1−19)から、接線力係数の推定値μ^、接線力係数の時間微分値の推定値μ' ^、接線力係数の2階時間微分値の推定値μ" ^が得られる。
Figure 2007244107
このように台車のピッチング振動を考慮に入れた状態方程式をもとに高次の外乱オブザーバを構成することによって、車輪・レール間の接線力に対応したトルクの推定値には、台車のピッチング振動周波数成分が殆ど除去される。
すなわち、前記式(1−1)はピッチング振動固有角周波数ω0 で振動する成分を表し、式(1−3)は振動成分を含まない直流成分を表している。
そのため、τL " の推定値であるτL " ^はω0 で振動する成分の推定値を意味し、τL の推定値τL ^は振動成分を含まないことになる。したがって、接線力に対応したトルクの推定値τL ^を用いて再粘着制御を行えば、振動成分の影響を受けることが無くなる訳である。
図2は本実施例の接線力推定装置を用いて再粘着制御したときの再粘着制御状態を説明する図であり、(a)はトルク指令値、(b)は接線力に対応したトルクの推定値と真値、(c)は動輪速度、車両速度を示し、またts1,ts2は空転検知時点を示す。
図2に示す高次外乱オブザーバを用いて接線力に対応したトルクを推定する接線力推定装置を再粘着制御に組み込んで制御したときの制御状態の例から分かるように、接線力に対応したトルクの真値に非常に近い推定値が常時得られる。
すなわち、図2(b)に示すように接線力に対応したトルクの推定値は、ピッチング振動の影響を受けて脈動しているものの脈動は非常に小さく、空転検知時点でのトルクの推定値tau_h1,tau_h2は接線力の真値(一点鎖線で示す)に非常に近いので、トルク指令値が常に粘着限界トルクに近い値となる。
このため、その後、再粘着させるためのトルク引き下げ量が小さいにもかかわらず、図2(c)に示すように確実に再粘着させることができ、また、再粘着後に指令するトルクが粘着限界トルクに近いので、空転速度が小さくなり、粘着力の利用率が高くなる。
以上のように、本実施例の接線力推定装置を用いて再粘着制御をすることにより、空転検知したときの接線力の推定値をもとに、確実に再粘着させることのできる範囲内でトルクの絞込みを極力小さくすることができ、また再粘着後に指令するトルクは空転検知時の接線力に極めて近い値とすることができる。このため、台車振動の影響を受けることなく、粘着力の利用率の高い再粘着制御を実現できることになる。
図3は、電気車を1電動台車で表した台車モデルで、図1に示した高次外乱オブザーバを用いて接線力に対応したトルクを推定する推定装置を再粘着制御に組み込んで、電気車を加速したときの再粘着制御のシミュレーションを行った結果の例である。
また、図4は、特許文献1あるいは特許文献2に記載されている従来の最小次元外乱オブザーバを用いて接線力に対応したトルクを推定する推定装置を再粘着制御に組み込んで、電気車を1電動台車で表した台車モデルで、電気車を加速したときの再粘着制御のシミュレーションを行った結果の例である。
図3、図4において、横軸は時間(s)、縦軸のτcmd はトルク指令値、τL ^は接線力に対応したトルクの推定値、μ^は接線力係数の推定値、μ1-2 は動輪1、動輪2の接線力係数の真値、μ' ^は接線力係数の時間微分値の推定値、vt は車両速度、vd ' ^は動輪速度の時間微分値の推定値である。
図3、図4の接線力に対応したトルクの推定値τL ^を比較すると分かるが、図4のτL ^には台車ピッチング振動に伴う振動成分が重畳されていて、その大きさは図3の高次外乱オブザーバを用いた場合より大きいことが分かる。
特に、両図とも時刻5秒時点から一回、インパルス状の衝撃垂直荷重を軸距に相当する距離、台車が走行する時間差をおいて、各動輪軸に加えて台車振動を発生させているが、この時点におけるトルクの推定値τL ^を比較すると明らかに図3の方が小さく、高次外乱オブザーバを用いて接線力に対応したトルクを推定する方が、従来に比べて台車振動の影響を受けにくいことが分かる。
以上の説明では、空転する場合について説明してきたが、滑走現象の場合にも同様に適用できることはいうまでもない。
また以上では、状態方程式(1−1)から(1−4)をもとにGopinathの設計法を用いて接線力推定装置を構成した実施例について述べたが、この方法に限定する必要はなく、他の設計法を用いて接線力推定装置を構成してもよい。
次に、本発明の第2の実施例について説明する。
本発明の第2の実施例では、台車の二つのピッチング振動固有角周波数を考慮に入れた前記式(2−1)〜式(2−6)に示す状態方程式に基づき、接線力に対応したトルクの推定値を求める。
図5は、台車の二つのピッチング振動固有角周波数を考慮に入れた式(2−1)から式(2−6)に示す状態方程式をもとに、公知のGopinathの設計法を用いて実現した本発明の第2の実施例の接線力推定装置の構成を示すブロック図である。
同図に示すように、本実施例の接線力推定装置は、係数器21〜29,211〜223、1次遅れ演算器224、1次遅れ演算器228、積分器225〜積分器227、加算器229〜加算器242で構成されている。
本実施例の接線力推定装置は、前記第1の実施例と同様、主電動機の回転角速度ωm 、主電動機発生トルクの演算値あるいは計測値τm を入力として、接線力に対応したトルクの推定値τL ^、接線力に対応したトルクの時間微分値の推定値τL ' ^、接線力に対応したトルクの2階時間微分値の推定値τL " ^を求めている。
以下の式(2−7)〜(2−41)は、前記式(2−1)〜式(2−6)に示す状態方程式から得られた、主電動機の回転角速度ωm 、主電動機発生トルクの演算値あるいは計測値τm と、接線力に対応したトルクの推定値τL ^、接線力に対応したトルクの時間微分値の推定値τL ' ^、接線力に対応したトルクの2階時間微分値の推定値τL " ^の関係を示す式である。
Figure 2007244107
Figure 2007244107
Figure 2007244107
すなわち、本実施例の接線力推定装置は、主電動機の回転角速度ωm 、主電動機発生トルクの演算値あるいは計測値τm と中間演算結果であるz22,z23,z24から式(2−14)により中間演算結果であるz25を求める第1の手段と、上記ωm ,τm と中間演算結果であるz21,z25から式(2−13)により中間演算結果であるz24を求める第2の手段と、上記ωm ,τm と中間演算結果であるz21,z24から式(2−12)により中間演算結果であるz23を求める第3の手段と、上記ωm ,τm と、中間演算結果であるz21,z23から式(2−11)により中間演算結果であるz22を求める第4の手段と、上記回転角速度ωm ,τm と、中間演算結果であるz22から式(2−10)により中間演算結果であるz21を求める第5の手段と、式(2−7)〜(2−9)に示すように、上記中間演算結果z21,z22,z23から、それぞれ回転角速度ωm に係数d5 ,d4 ,d3 を乗じた値を加算する第6、第7、第8の手段から構成され、第6、第7、第8の手段の出力として、接線力に対応したトルクの推定値τL ^、接線力に対応したトルクの時間微分値の推定値τL ' ^、接線力に対応したトルクの2階時間微分値の推定値τL " ^を得ている。
また図5に示すように、接線力に対応したトルクの推定値τL ^、接線力に対応したトルクの時間微分値の推定値τL ' ^、接線力に対応したトルクの2階時間微分値の推定値τL " ^を、それぞれ係数器221、係数器222、係数器223に入力することによって、式(2−42)、式(2−43)、式(2−44)から、接線力係数の推定値μ^、接線力係数の時間微分値の推定値μ' ^、接線力係数の2階時間微分値の推定値μ" ^が得られる。
Figure 2007244107
このように台車の二つのピッチング振動固有角周波数を考慮に入れた式(2−1)から式(2−6)に示す状態方程式をもとに、高次外乱オブザーバを構成することによって、第1の実施例の接線力推定装置よりもさらに接線力の真値により近い推定値が得られる。 すなわち、前記式(2−1)はピッチング振動固有角周波数ω0 またはω1 で振動する成分を表し、式(2−5)は振動成分を含まない直流成分を表している。
そのため、τ(4) の推定値はω0 またはω1 で振動する成分の推定値を意味し、τL の推定値τL ^は振動成分を含まないことになる。したがって、接線力に対応したトルクの推定値τL ^を用いて再粘着制御を行えば、振動成分の影響を受けることが無くなる訳である。
そのため、空転検知時の接線力に対応したトルクの推定値を用いてその後の再粘着制御を行うので、さらなる再粘着制御性能の向上が実現できることになる。
しかし、その差は最小次元外乱オブザーバを用いた場合と第1の実施例の接線力推定装置を用いた場合の再粘着制御性能の差ほどは差が生じないので、これ以上の図を用いた説明は割愛する。
以上の説明では、空転する場合について説明してきたが、滑走現象の場合にも同様に適用できることはいうまでもない。また、本実施例の状態方程式(2−1)から(2−6)をもとにGopinathの設計法を用いて接線力推定装置を構成した実施例について述べたが、この方法に限定する必要はなく、他の設計法を用いて接線力推定装置を構成してもよい。
本発明で用いている、台車のピッチング振動を考慮に入れた高次外乱オブザーバによって、台車振動の影響を受けない接線力に対応したトルクを精度良く推定できる機能は、電気自動車のような同様の振動を受ける車両の粘着制御にも適用できる。
本発明の第1の実施例を公知のGopinathの設計法を用いて実現した接線力推定装置を示すブロック図である。 本発明の第1の実施例の接線力推定装置を用いて再粘着制御したときの再粘着制御状態を示す図である。 本発明の第1の実施例の接線力推定装置を用いて行った再粘着制御のシミュレーション結果の例である。 従来の最小次元外乱オブザーバを用いた接線力推定結果によって再粘着制御を行った再粘着制御のシミュレーション結果の例である。 本発明の第2の実施例を公知のGopinathの設計法を用いて実現した接線力推定装置を示すブロック図である。 従来の最小次元外乱オブザーバを用いた接線力推定結果によって再粘着制御を行ったときの再粘着制御状態を示す図(その1)である。 従来の最小次元外乱オブザーバを用いた接線力推定結果によって再粘着制御を行ったときの再粘着制御状態を示す図(その2)である。 台車のピッチング振動が電動機速度に与える影響を説明する図である。 接線力係数あるいは接線力のすべり速度に対する一般的な特性を示す図である。
符号の説明
11〜18 係数器
110,111,113,114,116 係数器
112,115 積分器
120〜125 加算器
19 1次遅れ演算器
117〜119 係数器
21〜29 係数器
211〜223 係数器
224,228 1次遅れ演算器
225〜227 積分器
229〜242 加算器



Claims (2)

  1. 電気車の主電動機軸の回転角速度と主電動機の発生トルクの演算値または計測値を入力情報として電気車の接線力に対応したトルクを推定する方法であって、
    台車の一つのピッチング振動固有角周波数を考慮に入れた以下の式(1−1)から式(1−4)に示す状態方程式に基づき、台車のピッチング振動の影響を受けないようにした、接線力に対応したトルクの推定値を求める
    ことを特徴とする電気車の接線力推定方法。
    Figure 2007244107
  2. 電気車の主電動機軸の回転角速度と主電動機の発生トルクの演算値または計測値を入力情報として電気車の接線力に対応したトルクを推定する方法であって、
    台車の二つのピッチング振動固有角周波数を考慮に入れた以下の式(2−1)から式(2−6)に示す状態方程式に基づき、台車のピッチング振動の影響を受けないようにした、接線力に対応したトルクの推定値を求める
    ことを特徴とする、電気車の接線力推定方法。
    Figure 2007244107
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