JP2007240750A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 複数の張架ローラで張架支持された中間転写ベルト上のトナー像が、該張架ローラと接触・分離するとき、乱れることを防止する。
【解決手段】 少なくとも1次転写手段通過後初めて中間転写ベルトに接触する張架ローラとその近傍の中間転写ベルトに関し、張架ローラの外径をRとすると、少なくとも、張架ローラと接触する位置から中間転写搬送方向上流へ√2 x Rの位置にある中間転写ベルトを、ギャップ (√2 x πR)÷4以下で覆う。少なくとも、張架ローラと分離する位置から中間転写搬送方向下流へ√2 x Rの位置にある中間転写ベルトを、ギャップ (√2 x πR)÷4以下で覆う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電子写真複写機やレーザプリンタ等の画像形成装置に関し、詳しくは中間転写ベルトを介して感光体ドラム等の像担持体に形成されたトナー像を用紙等の転写材に転写して得る画像の画質向上に関する。
従来における画像形成装置としては、例えば、感光体ドラム等の像担持体の周囲に例えばブラック(Bk)、イエロ(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の各色成分の現像器を備え、前記像担持体に対し転写ドラムを対向配置すると共に、前記転写ドラムに転写材としての用紙を予め保持しておき、像担持体一回転毎に当該像担持体上に形成された各色成分のトナー像を用紙上に順次静電転写するようにしたものが知られている。しかしながら、用紙の厚さや表面特性等の要因によって転写ドラムへの用紙の保持が不安定になり、用紙上に形成されるカラー画像が乱れるという問題があった。
このような問題を解決する手段として、中間転写体を用いた画像形成装置が既に知られている。これは、感光体ドラム等の像担持体の周囲に例えばブラック(Bk)、イエロ(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の各色成分の現像器を備えると共に、前記像担持体に対し例えばベルト状の中間転写体(中間転写ベルト)を対向配置し、像担持体の一回転毎にその像担持体上に形成された各色成分の未定着トナー像を中間転写ベルトに順次静電的に一次転写し、中間転写ベルト上に重ね合わされた4色のフルカラー画像を転写材としての用紙へ静電的に二次転写して用紙上にフルカラー画像を形成するようにしたものである。このタイプによれば、中間転写ベルト上に既に多重転写された4色のトナー像を転写材に一括転写しているので、上述の不安定な要因を排除することができ、多重転写時における画像の乱れや色ずれの発生を効果的に防止することができる。
しかしながら、上述の画像形成装置において、一次転写後に中間転写ベルト上のトナー像が飛び散り、特にそのトナー像が線の場合はぼやけた線の画像になってしまう現象が発生するという問題があった。
また、この問題は、上述の画像形成装置だけでなく、例えば、複数の画像形成ユニットを並列配置すると共に、各画像形成ユニットの配列方向に沿って循環移動する中間転写ベルトを配設し、各画像形成ユニットで形成された各色成分、例えばブラック、シアン、マゼンタ、イエロの画像を中間転写ベルトに順次静電的に一次転写した後、中間転写ベルト上の4色フルカラー画像を転写材としての用紙に静電的に二次転写(一括転写)して用紙上に4色フルカラー画像を形成するようにしたタンデム型画像形成装置においても同様に生じるものである。
この問題の飛び散りは、1次転写後に中間転写ベルトが最初に接触する中間転写ベルトを張架する接地された第1張架ローラ付近で発生していた。これは以下のように説明される。
中間転写ベルトは、従来、体積抵抗率が1E+8〜1E+13[Ω・cm]で厚みが70〜500μmの中抵抗ものが使用される。この中間転写ベルトを用いた場合、図11が示すように、例えばトナーと逆極性の正バイアスが印加された1次転写ローラ15と感光ドラム1で挟持された1次転写部を通過した中間転写ベルト9の電位は、第1張架ローラ11までの間で、最初上昇して減衰する。
これは図12(a)が示すように、1次転写部を通過した直後の中間転写ベルト9が保有するマイナス電荷とポジ電荷が等量でなく余分なポジ電荷(以後余剰電荷と呼ぶ)が存在し中間転写ベルト9は見かけ上ポジに帯電している。この余剰電荷が中間転写ベルト9で搬送され1次転写ローラ15から遠ざかることにより、中間転写ベルト9の電位が上昇する。これは図12(b)が示すように、被帯電体をグラウンド電極から離していくと被帯電体の電位が上昇するのと同じ理由である。つまり、離間距離が大きくなると空気層というコンデンサーの容量が小さくなるので基準電位からの電位差(被帯電体の電位)が上昇する。これが、図11で第1張架ローラ11までの間で中間転写ベルト9の電位が最初に上昇する理由である。
しかし、電位の上昇後、図11のとおり第1張架ローラ11までの間で今度は中間転写ベルト9の電位は減衰する。これは、中間転写ベルトが保有する前述の余剰電荷が搬送されている間に減少するからである。例えば図13(a)のように余剰電荷が搬送されてきたときに搬送を停止するとその部分の中間転写ベルト9の電位は時間ともに図13(b)のように減衰する。1次転写ローラ15表面との距離が変化しないのに中間転写ベルト9の電位が減衰するのは中間転写ベルト9が保有する前述の余剰電荷が時間と共に減少していることを意味する。よってこれが、電位上昇後から第1張架ローラ11までの間で中間転写ベルト9の電位が減衰する主な理由である。
このような状況下、1次転写ローラ15と第1張架ローラ11の距離が短い・中間転写ベルト9の搬送速度が速いと、中間転写ベルト9の電位が高い状態で接地された第1張架ローラ11に近づくことになる。このとき、第1張架ローラ11との電位差が大きいと、第1張架ローラ11近傍の電界強度が大きくなり放電が発生し、帯電したトナー像を拘束しているトナーと逆極性の電荷も中間転写ベルト9から過度に除電してしまい、トナーは拘束力を失い、飛び散りが発生していた。これが、1次転写後に中間転写ベルト9が最初に接触する接地された第1張架ローラ11付近で発生している理由である。
この問題に対し、特許文献1のように、第1張架ローラ11付近の中間転写ベルト9との放電を抑制することを狙いとして第1張架ローラ11の電位と中間転写ベルト9の電位差を縮めるべく第1張架ローラにバイアスを印加するなどが考案されている。
特開2000-298408号公報
しかしながら、第1張架ローラ11にバイアスを印加すると、図14が示すように中間転写ベルト9の電位が上昇してしまい、第1張架ローラ11付近で中間転写ベルト9との電位差を十分に縮めることができなかった。これは、第1張架ローラ11付近の中間転写ベルト9の電位が、第1張架ローラ11の電位の影響を受けているからである。
これは以下のように説明できる。図15(b)が示すように、例えば電荷+Qを保有する電極に接地された容量Cのコンデンサーを接続すると電極の電位はΔVcになる。一方図15(a)が示すように同じ電荷+Q保有する電極にバイアスVtが印加された容量Cのコンデンサーを接続すると、電極の電位はVt+ΔVcになる。つまり、同じ電荷量を保有する電極と同じ容量のコンデンサ−で回路が構成されていてもコンデンサーにバイアスが印加されていると、その分だけ電極の電位は上昇する。ここで、図15の電極を前述の第1張架ローラ11付近の中間転写ベルト9に置き換える。同様に図15のコンデンサ−を前述の第1張架ローラ11と中間転写ベルト9に挟まれる空気層、図15の電荷+Qを前述の余剰電荷、図15の高圧を前述の第1張架ローラ11の電位に置き換えると、第1張架ローラ11にバイアスを印加するとそうでないときに比べ中間転写ベルト9の電位が上昇することが分かる。
これが、バイアスが印加された第1張架ローラ11の電位の影響を受けて中間転写ベルト9の電位が上昇してしまい第1張架ローラ11付近で第1張架ローラ11と中間転写ベルト9との電位差を十分に縮めることができなかった理由である。
よって、第1張架ローラ11と中華転写ベルト9の電位差を十分に下げられていないので、第1張架ローラ11近傍の電界強度を十分に抑えられずつまり放電を十分に抑制できず、帯電したトナー像を拘束しているトナーと逆極性の電荷も中間転写ベルト9から過度に除電してしまい、トナーが拘束力を失い、飛び散りが発生していた。
本発明は、前述の中間転写ベルト上に転写されたトナー像の飛び散りを簡単な構成で有効に防止できる画像形成装置を提供することを目的としている。
請求項1に記載の画像形成装置は、トナー像を担持する像担持体と、複数の張架ローラに回動可能に張架支持されかつ前記像担持体に対向配置される中間転写ベルトと、該中間転写ベルトを介して前記像担持体の対向に配置され前記中間転写ベルト裏面に前記トナーと逆極性の電荷を付与することにより前記像担持体上のトナー像を前記中間転写ベルト上に順次転写する一次転写手段と、転写材裏面に前記トナーと逆極性の電荷を付与することにより前記中間転写ベルト上のトナー像を該転写材に一括転写する二次転写手段を有する画像形成装置において、
少なくとも前記一次転写手段通過後の中間転写ベルト裏面が最初に接触する前記張架ローラに搬送されてくる前記中間転写ベルトに関し、該張架ローラの半径をRとすると、少なくとも、該張架ローラの回動中心から該張架ローラに搬送されてくる前記中間転写ベルトの搬送方向に対して垂線を下ろし該垂線と中間転写ベルトが交わる交点から中間転写ベルト搬送方向上流へ √2 x R の距離までにある前記中間転写ベルトの像担持面を電位が制御された電位規制電極で覆い、かつ、該電位規制電極と該中間転写ベルトの最大離間距離が (√2 x πR)÷4 以下であることを特徴とする。
請求項2に記載の画像形成装置は、帯電したトナー像を担持する像担持体と、複数の張架ローラに回動可能に張架支持されかつ前記像担持体に対向配置される中間転写ベルトと、該中間転写ベルトを介して前記像担持体の対向に配置され前記中間転写ベルト裏面に前記トナーと逆極性の電荷を付与することにより前記像担持体上のトナー像を前記中間転写ベルト上に順次転写する一次転写手段と、転写材裏面に前記トナーと逆極性の電荷を付与することにより前記中間転写ベルト上のトナー像を該転写材に一括転写する二次転写手段を有する画像形成装置において、
少なくとも、前記一次転写手段通過後の中間転写ベルト裏面が最初に接触する前記張架ローラに搬送されてくる前記中間転写ベルトと、前記一次転写手段通過後の中間転写ベルト裏面が最初に接触する該張架ローラに巻きついた後、搬送と共に該張架ローラから分離していく前記中間転写ベルトに関し、該張架ローラの半径をRとすると、
少なくとも、該張架ローラの回動中心から該張架ローラに搬送されてくる前記中間転写ベルトの搬送方向に対して垂線を下ろし該垂線と中間転写ベルトが交わる交点から中間転写ベルト搬送方向上流へ √2 x R の距離までにある前記中間転写ベルトの像担持面を電位が制御された電位規制電極で覆い、かつ、
少なくとも、該張架ローラの回動中心から該張架ローラから分離していく前記中間転写ベルトの搬送方向に対して垂線を下ろし該垂線と中間転写ベルトが交わる交点から中間転写ベルト搬送方向下流へ √2 x R の距離までにある前記中間転写ベルトの像担持面を電位が制御された電位規制電極で覆い、かつ、
前記電位規制電極と該中間転写ベルトの最大離間距離が (√2 x πR)÷4 以下であることを特徴とする。
請求項3に記載の画像形成装置は請求項1,2に関し、前記電位規制電極が近傍に配置された前記張架ローラにトナーと逆極性のバイアスを印加することを特徴とする。
請求項1に記載の画像形成装置によれば、少なくとも前記一次転写手段通過後の中間転写ベルト裏面が最初に接触する前記張架ローラに搬送されてくる前記中間転写ベルト表面の近傍に電位が制御された電極板を設けることで、張架ローラに近づく中間転写ベルトの電位が下がり、つまり、張架ローラとの電位差が縮まり、中間転写ベルトと張架ローラが接触するその付近の電界強度が小さくなり、放電が抑制され、帯電したトナー像を拘束しているトナーと逆極性の電荷を中間転写ベルトから過度に除電することがなくなり、トナーの中間転写ベルトへの拘束力を失うことがないので、飛び散りを防止できる。
請求項2に記載の画像形成装置によれば、少なくとも、1次転写手段を通過後、前記一次転写手段通過後の中間転写ベルト裏面が最初に接触する前記張架ローラに搬送されてくる前記中間転写ベルトと、前記一次転写手段通過後の中間転写ベルト裏面が最初に接触する該張架ローラに巻きついた後、搬送と共に該張架ローラから分離していく前記中間転写ベルトの近傍に電位が制御された電極板を設けることで、中間転写ベルトの張架ローラ近傍の電位が下がり、つまり、張架ローラとの電位差が縮まり、中間転写ベルトと張架ローラが接触するその付近の電界強度が小さくなり、放電が抑制され、帯電したトナー像を拘束しているトナーと逆極性の電荷を中間転写ベルトから過度に除電することがなくなり、トナーの中間転写ベルトへの拘束力を失うことがないので、飛び散りを防止できる。
請求項3に記載の画像形成装置によれば、前記電位規制電極が近傍に配置された前記張架ローラにトナーと逆極性のバイアスを印加することで、該張架ローラと該張架ローラ近傍の中間転写ベルトとの電位差が縮まり、中間転写ベルトと張架ローラが接触するその付近の電界強度がより小さくなり、放電がより抑制され、帯電したトナー像を拘束しているトナーと逆極性の電荷を中間転写ベルトから過度に除電することがなくなり、トナーの中間転写ベルトへの拘束力を失うことがないので、より飛び散りを防止できる。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図5は、本発明を適用したカラー画像形成装置の概略構成を示す。同図において、符号1は感光体ドラム(潜像担持体)であり、矢線A方向への回転に伴いその表面には帯電装置2、画像情報に基づいて露光する露光装置3等の周知の電子写真プロセスによって画像情報に応じた静電潜像が形成される。また、この感光体ドラム1の周囲にはイエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の各色に対応した現像器4〜7を含む現像器ユニット8が配設されており、感光体ドラム1上に形成された静電潜像を現像器のいずれかで現像してトナー像を形成するようになっている。本実施の形態では、感光体ドラム1が負極性に帯電するもので構成され、また、現像は反転現像方式にて行われる。従って、使用されるトナーはすべて負極性に帯電するタイプのものである。
また、符号9は感光体ドラム1の表面に当接されるよう配設された中間転写ベルトであり、複数の張架ローラ10〜14に張架されて矢印Bの方向へ回動するようになっている。本実施の形態では、張架ローラ10,11は1次転写位置の近傍に配置され中間転写ベルト9の平坦な一次転写面の形成に用いられる金属製の従動ローラ、張架ローラ12は中間転写ベルト9の張力を一定に制御するようにしたテンションローラ、張架ローラ14は中間転写ベルト9の駆動ローラ、張架ローラ13はトナーと同極姓のバイアスHV2が印加され中間転写ベルト9上のトナー像を転写材20に2次転写する2次転写内ローラ、16も2次転写するための接地された2次転写外ローラである。本実施の形態では、図5に示すように、張架ローラ10〜12と14は接地されている。
そして、本実施の形態では、中間転写ベルト9として、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリル、塩化ビニル等の樹脂または各種ゴム等に帯電防止剤としてカーボンブラックを適当量含有させ、その体積抵抗率を1E+8〜1E+13[Ω・cm]、厚みを0.07〜0.5[mm]としたものを用いている。
更に、中間転写ベルト9の感光体ドラム1に対向する一次転写位置において、中間転写ベルト9の裏面側には、一次転写ローラ15が配設されており、この一次転写ローラ15に、トナーの帯電極性と逆極性の正極性の一次転写バイアスHV1を印加することで、感光体ドラム1上のトナー像が中間転写ベルト9上に1次転写されるようになっている。符号19は一次転写後の感光体ドラム1上に残留したトナーを除去するドラムクリーナである。更に、2次転写位置の下流側には、2次転写後の中間転写ベルト9上に残留したトナーを除去するベルトクリーナ21が設けられている。尚、前記2次転写外ローラ16及びベルトクリーナ21は、中間転写ベルト9に対して接離可能に配設されており、複数色のカラー画像が形成される場合には、最終色前のトナー像が2次転写外ローラ16及びベルトクリーナ21を通過するまで中間転写ベルト9から離間するようになっている。
また、本実施の形態において、レジストローラ17で一旦位置決め停止させた後所定のタイミングで2次転写位置へと転写材20を送り込むようになっており2次転写内ローラ13,2次転写外ローラ16により転写材20に未定着トナー像を形成するようになっている。二次転写後の転写材20を不図示の搬送部材により不図示の定着器へ搬送し、転写材20にトナー像を溶融固着するようになっている。
次に、本実施の形態に係る画像形成装置の作像プロセスについて説明する。
まず、感光体ドラム1上に静電潜像の書き込みが行われ、この静電潜像に対応した現像器によって現像される。これは、例えば感光体ドラム1上に書き込まれた静電潜像がイエロの画像情報に対応したものであれば、この静電潜像はイエロのトナーを内包する現像器4で現像され、感光体ドラム1上にはイエロのトナー像が形成される。そして、感光体ドラム1上に形成されたトナー像は、感光体ドラム1と中間転写ベルト9とが接する一次転写位置で感光体ドラム1から中間転写ベルト9の表面に転写される。一方、一次転写後に感光体ドラム11上に残留したトナーはドラムクリーナ19によって除去される。
このとき、単色画像を形成する場合には、中間転写ベルト9に一次転写されたトナー像を直ちに転写材20に2次転写するのであるが、複数色のトナー像を重ね合わせたカラー画像を形成する場合には、感光体ドラム1上でのトナー像形成並びにこのトナー像の一次転写の工程が色数分だけ繰り返される。例えば、4色のトナー像を重ね合わせたフルカラー画像を形成する場合には、感光体ドラム1上にはその一回転毎にイエロ、マゼンタ、シアン及びブラックのトナー像が形成され、これらトナー像は順次中間転写ベルト9に一次転写される。一方、中間転写ベルト9は最初に一次転写されたトナー像を担持したまま感光体ドラム1と同一周期で回動し、中間転写ベルト9上にはその一回転毎にマゼンタ、シアン及びブラックのトナー像が転写される。
このようにして中間転写ベルト9に一次転写されたトナー像は、中間転写ベルト9の回動に伴って2次転写位置へと搬送される。一方、転写材20はレジストローラ17にて所定のタイミングで転写定着位置へと供給され、トナーと同極姓のバイアスHV2が印加された2次転写内ローラ13に対して接地された2次転写外ローラ16が転写材20を狭持する。つまり、2次転写位置で、2次転写内ローラ13と2次転写外ローラ16で形成された転写電界の中を転写材20を所定のタイミングで通過させることにより中間転写ベルト9上のトナー像を静電的に転写材20に転写する。一方、2次転写位置を通過した中間転写ベルト9の像担持面側は、ベルトクリーナ21によってクリーニングされる。
本実施例は図1に示すように、1次転写ローラ15を通過後、少なくとも中間転写ベルト9が初めて接触する張架ローラ11の近傍かつ中間転写ベルト9表面近傍に接地された電極板(以後電位規制板22と呼ぶ)を設けた。
近傍というのを以下に説明する。張架ローラ11の半径をRとする。張架ローラ11の回動中心から中間転写ベルト9に下ろした垂線をH1とする。垂線H1と中間転写ベルト9の交点Fから中間転写ベルト9の搬送方向上流の1次転写ローラ15までの間で、少なくとも交点Fから√2xRの距離の中間転写ベルト9の表面を、電位規制板22で覆う。かつ、その電位規制板22と中間転写ベルト9の最大離間距離が (√2xπR)/4 以下のDになるように配設する。
本実施例では、張架ローラ11の半径Rに10mm、電位規制板22を中間転写ベルト9の搬送方向と平行にし、中間転写ベルト9との離間距離を2〜4mm、交点Fから中間転写ベルト9の搬送方向上流20mmの距離内にある中間転写ベルト9の表面を電位規制板22で覆った。また、1次転写ローラ15には外径16mm、AskerC硬度(500gf荷重)で40±5°のものを用いた。また、1次転写ローラ15と中間転写ベルト9の接点から張架ローラ11と中間転写ベルト9との接点までの距離は40mmであった。
本件の特徴は、このように張架ローラ11近傍かつ中間転写ベルト9表面近傍に電位規制板22を設けることで、図4が示すように、中間転写ベルト9の張架ローラ11近傍の電位が下がり、つまり、張架ローラ11との電位差が縮まり、中間転写ベルト9と張架ローラ11が接触するその付近の電界強度が小さくなり、放電が抑制され、帯電したトナー像を拘束しているトナーと逆極性の電荷を中間転写ベルト9から過度に除電することがなくなり、トナーの中間転写ベルト9への拘束力を失うことがないので、飛び散りが発生しなくなった。
図4で中間転写ベルト9の電位が下がる理由は以下のように説明できる。例えば図3(a)が示すように、電荷+Qを保有する電極に接地電極1につながれた容量C1のコンデンサー1を接続する。そのとき電極の電位はQ÷C1になる。一方、図3(b)が示すように、同じ電荷+Qを保有する電極に図3(a)のコンデンサー1に加え、接地電極2がつながれたコンデンサー2を接続する。そのとき電極の電位はQ÷(C1+C2)になる。これは、コンデンサー2が加えられたことにより、被帯電体である電極から見て容量がC1から(C1+C2)に増加し、同じ電荷量+Qを保有するにしてもその電位は低くて良いことを意味している。つまり、図3(a)から図3(b)で電極の電位が下がる。ここで図3の電極を中間転写ベルト9に置き換える。同様に、図3の接地電極1を張架ローラ11のローラ表面、C1を張架ローラ11と中間転写ベルト9が接触する付近の空気層の容量、接地電極2を電位規制板22、C2を電位規制板22と中間転写ベルト9で挟まれる空気層の容量に置き換えると、電位規制板22を設けると中間転写ベルト9の電位が下がることが分かる。これが、図4のように中間転写ベルト9の電位が下がる理由である。
張架ローラ11の電位は接地の状態のまま変わらないので、張架ローラ11と中間転写ベルト9が接触する付近の中間転写ベルト9と張架ローラ11の電位差は縮まり、その付近の電界強度は小さくなる。よって前述の通り飛び散りを防止できる。
また、交点Fから中間転写ベルト9の搬送方向上流の1次転写ローラ15までの間で、少なくとも交点Fから√2xRの距離の中間転写ベルト9の表面を、電位規制板22で覆う理由として以下に説明する。
張架ローラ11と中間転写9の接触する付近の電気力線は等電位面に対し垂直に交わるから図2のようになる。電気力線に沿って張架ローラ11と中間転写ベルト9は放電による電荷の授受を行うので、中間転写ベルト9と電荷の授受を行う張架ローラ11の表面はほとんど位置xから位置Fまでの間になる。張架ローラ11からみて中間転写ベルト9の上流側の方が電位が高いので、位置xに入り込む電気力線は中間転写ベルト9の上流側へ引っ張られた状態になる。例えば位置Fを中心として位置xから中間転写ベルト9の方へ円を描いた軌跡より中間転写ベルト9の搬送方向上流側に、前述の位置xに入り込む電気力線がある状態になる。よって、位置xと電荷の授受をする中間転写ベルト9の位置は、少なくとも位置Fから中間転写ベルト9搬送方向上流 √2xR 以上の箇所にある。よって、張架ローラ11と中間転写ベルト9の電荷の授受を抑制するには少なくとも位置Fから中間転写ベルト9搬送方向に沿って上流√2xR以上の間までの中間転写ベルト9の電位を抑制する必要がある。これが交点Fから中間転写ベルト9の搬送方向上流の1次転写ローラ15までの間で、少なくとも交点Fから√2xRの距離の中間転写ベルト9の表面を、電位規制板22で覆う理由である。
また、電位規制板22と中間転写ベルト9の最大離間距離が (√2xπR)÷4 以下のDになるようする理由は以下である。前述の位置xに入り込む電気力線は、位置Fを中心として位置xから中間転写ベルト9にたどり着くまで描いた円の軌跡より中間転写ベルト9の搬送方向上流側にある状態になるので、中間転写ベルト9から出て張架ローラ11の位置xに入り込む電気力線の距離は、前述の円の軌跡の長さ以上になる。よって、張架ローラ11と中間転写ベルト9の間の放電を抑制すべく電位規制板22の中間転写ベルト9の電位降下への効果を十分に発揮するには、少なくとも電位規制板22と中間転写ベルト9の最大離間距離が (√2xπR)÷4 以下になるようにして張架ローラ11の中間転写ベルト9の電位への影響より電位規制板22の影響の方を大きくする必要がある。前述の構成で、Dを11mm以上にしてもほとんど飛び散り防止への効果が得られなかった。これが電位規制板22と中間転写ベルト9の最大離間距離が (√2xπR)÷4 以下のDになるようする理由である。
本実施例では以上のようにして簡単な構成で1次転写ローラ15を通過後、少なくとも中間転写ベルト9が初めて接触する張架ローラ11付近で発生する中間転写ベルト9上のトナー像の飛び散りを防止することができる。
本実施例では図6が示すように、図5の張架ローラ11が接地であったのに対し、張架ローラ11にトナーと逆極性のバイアス(HV3)+1〜+3kVが印加されている。張架ローラ11にバイアスが印加されると中間転写ベルト9の電位も上昇するが、電位規制板22があるので張架ローラ11と中間転写ベルト9の電位差はより縮まる。よって、中間転写ベルト9と張架ローラ11が接触する付近の電界強度がより下げられ飛び散り防止に効果的である。
電位規制板22があると張架ローラ11と中間転写ベルト9の電位差がより縮まる理由は以下である。例えば図7(b)で電荷+Qを持つ電極に接地された容量C1とC2のコンデンサー1,2を接続すると、コンデンサー1,2が持つ分担電圧ΔV1',ΔV2が等しくなるように電荷+Qは見かけ上コンデンサ1,2それぞれへ電荷+q1',+q2'に分配される。そこへ、図7(a)が示すように、電極が持つ電荷+Qを変えずにコンデンサー1にバイアス(HV)Vtを印加すると、コンデンサー1の分担電圧を図7(b)に比して下げかつコンデンサー2の分担電圧を図7(b)に比して上げて、接地電極1から見た電極の電位と接地電極2から見た電極の電位が等しくなる(ΔV2=ΔV1+Vt)ように、総電荷量+Qのコンデンサー1,2への電荷の再分配が起こる(+q1'→+q1,+q2'→+q2)。よって図7(b)の状態から電極の電荷量+Qを変えずにコンデンサ1にバイアスを印加するとコンデンサー1の分担電圧はΔV1'からΔV1に小さくなる。ここで、図7の接地電極1を張架ローラ11に置き換える。同様に、図7の電極を中間転写ベルト9、接地電極2を電位規制板22、容量C1を持つコンデンサー1を張架ローラ11と中間転写ベルト9に挟まれた空気層1、容量C2を持つコンデンサー2を電位規制板22と中間転写ベルト9に挟まれた空気層2に置き換えると、張架ローラ11と中間転写ベルト9の電位差が縮まることが分かる。よって電位規制板22がある状態で張架ローラ11にバイアスを印加すると、中間転写ベルト9と張架ローラ11が接触する張架ローラ付近の飛び散り防止に効果的である。
本実施例では以上のような構成で1次転写ローラ15を通過後、少なくとも中間転写ベルト9が初めて接触する張架ローラ11付近で発生する中間転写ベルト9上のトナー像の飛び散りを防止することができる。
本実施例は、1次転写通過後の張架ローラと中間転写ベルト9が接触する近傍と、一度接触した張架ローラが中間転写ベルト9と分離する近傍の中間転写ベルト9の像担持面側を非接触で電位規制板22で図8、9のように覆う。
近傍というのを以下に説明する。張架ローラの半径をRとする。張架ローラの回動中心から中間転写ベルト9が張架ローラに接触し始める中間転写ベルト9に下ろした垂線をH1とする。垂線H1と中間転写ベルト9の交点Fから中間転写ベルト9の搬送方向上流で、少なくとも交点Fから√2xRの距離までの中間転写ベルト9の表面を、電位規制板22で覆う。張架ローラの回動中心から中間転写ベルト9が張架ローラに分離し始める中間転写ベルト9に下ろした垂線をH2とする。垂線H2と中間転写ベルト9の交点Sから中間転写ベルト9の搬送方向下流で、少なくとも交点Sから√2xRの距離までの中間転写ベルト9の表面を、電位規制板22で覆う。かつ、その電位規制板22と中間転写ベルト9の最大離間距離が (√2xπR)/4 以下のDになるように配設する。
本実施例では、張架ローラ11の半径Rに10mm、張架ローラ12の半径に15mm、1次転写ローラ15には外径16mm、AskerC硬度(500gf荷重)で40±5°のものを用いた。電位規制板22を中間転写ベルト9の搬送方向と平行にし、図9の条件を満たすように図8のように張架ローラ11と12近傍の中間転写ベルト9の像担持体面を電位規制板22で覆った。
中間転写ベルト9との電位規制板22との離間距離を2〜4mmにした。
本実施例のように張架ローラと中間転写ベルト9が分離する近傍の中間転写ベルト9も覆うのは以下の理由からである。中間転写ベルト9が保有する余剰電荷が十分に減少せず、その状態で張架ローラと中間転写ベルト9が分離すると図12(b)の説明と同じ原理で中間転写ベルト9の電位が上昇し、その際、電位の上昇が大きいと張架ローラと放電が発生し、やはり飛び散ってしまう。よって、この分離部の中間転写ベルトの電位を下げる必要があり、本実施例図9のように張架ローラと中間転写ベルト9が分離する近傍の中間転写ベルト9も電位規制板22で覆う。また、図8が示すように張架ローラ11のみならず、張架ローラ12付近の中間転写ベルト9まで電位規制板22で覆っているのは、これも、張架ローラ12を通過する前までに中間転写ベルト9の余剰電荷が十分に減少せず中間転写ベルト9の電位が高く飛び散りが張架ローラ12付近で発生してしまったからである。
本実施例の特徴は、中間転写ベルト9の余剰電荷が十分に減少する前までに、中間転写ベルト9が通過せざるを得ない張架ローラ付近の中間転写ベルト9の電位を電位規制板22で下げることで、これにより、飛び散りを防止している。
本実施例では図10が示すように、図8の張架ローラ11,12が接地であったのに対し、張架ローラ11,12にトナーと逆極性のバイアス(HV3)+1〜+3kVが印加されている。張架ローラ11,12にバイアスが印加されると中間転写ベルト9の電位も上昇するが、電位規制板22があるので張架ローラ11,12と中間転写ベルト9の電位差はより縮まる。よって、中間転写ベルト9と張架ローラ11,12が接触・分離する付近の電界強度がより下げられその付近の飛び散り防止に効果的である。
実施例1を説明する図である。 実施例1を説明する図である。 実施例1を説明する図である。 実施例1を説明する図である。 実施例1を説明する図である。 実施例2を説明する図である。 実施例2を説明する図である。 実施例3を説明する図である。 実施例3を説明する図である。 実施例4を説明する図である。 技術背景を説明する図である。 技術背景を説明する図である。 技術背景を説明する図である。 課題を説明する図である。 課題を説明する図である。
符号の説明
1 感光ドラム
2 帯電装置
3 露光装置
4 現像器(Y)
5 現像器(M)
6 現像器(C)
7 現像器(Bk)
8 現像器ユニット
9 中間転写ベルト
10,11,12 張架ローラ
13 2次転写内ローラ
14 駆動ローラ
15 1次転写ローラ
16 2次転写外ローラ
19 ドラムクリーナ
20 転写材(用紙)
21 ベルトクリーナ
22 電位規制板

Claims (3)

  1. トナー像を担持する像担持体と、複数の張架ローラに回動可能に張架支持されかつ前記像担持体に対向配置される中間転写ベルトと、該中間転写ベルトを介して前記像担持体の対向に配置され前記中間転写ベルト裏面に前記トナーと逆極性の電荷を付与することにより前記像担持体上のトナー像を前記中間転写ベルト上に順次転写する一次転写手段と、転写材裏面に前記トナーと逆極性の電荷を付与することにより前記中間転写ベルト上のトナー像を該転写材に一括転写する二次転写手段を有する画像形成装置において、
    少なくとも前記一次転写手段通過後の中間転写ベルト裏面が最初に接触する前記張架ローラに搬送されてくる前記中間転写ベルトに関し、該張架ローラの半径をRとすると、少なくとも、該張架ローラの回動中心から該張架ローラに搬送されてくる前記中間転写ベルトの搬送方向に対して垂線を下ろし該垂線と中間転写ベルトが交わる交点から中間転写ベルト搬送方向上流へ √2 x R の距離までにある前記中間転写ベルトの像担持面を電位が制御された電位規制電極で覆い、かつ、該電位規制電極と該中間転写ベルトの最大離間距離が (√2 x πR)÷4 以下であることを特徴とする画像形成装置。
  2. 帯電したトナー像を担持する像担持体と、複数の張架ローラに回動可能に張架支持されかつ前記像担持体に対向配置される中間転写ベルトと、該中間転写ベルトを介して前記像担持体の対向に配置され前記中間転写ベルト裏面に前記トナーと逆極性の電荷を付与することにより前記像担持体上のトナー像を前記中間転写ベルト上に順次転写する一次転写手段と、転写材裏面に前記トナーと逆極性の電荷を付与することにより前記中間転写ベルト上のトナー像を該転写材に一括転写する二次転写手段を有する画像形成装置において、
    少なくとも、前記一次転写手段通過後の中間転写ベルト裏面が最初に接触する前記張架ローラに搬送されてくる前記中間転写ベルトと、前記一次転写手段通過後の中間転写ベルト裏面が最初に接触する該張架ローラに巻きついた後、搬送と共に該張架ローラから分離していく前記中間転写ベルトに関し、該張架ローラの半径をRとすると、
    少なくとも、該張架ローラの回動中心から該張架ローラに搬送されてくる前記中間転写ベルトの搬送方向に対して垂線を下ろし該垂線と中間転写ベルトが交わる交点から中間転写ベルト搬送方向上流へ √2 x R の距離までにある前記中間転写ベルトの像担持面を電位が制御された電位規制電極で覆い、かつ、
    少なくとも、該張架ローラの回動中心から該張架ローラから分離していく前記中間転写ベルトの搬送方向に対して垂線を下ろし該垂線と中間転写ベルトが交わる交点から中間転写ベルト搬送方向下流へ √2 x R の距離までにある前記中間転写ベルトの像担持面を電位が制御された電位規制電極で覆い、かつ、
    前記電位規制電極と該中間転写ベルトの最大離間距離が (√2 x πR)÷4 以下であることを特徴とする画像形成装置。
  3. 前記電位規制電極が近傍に配置された前記張架ローラにトナーと逆極性のバイアスを印加することを特徴とする請求項1、2に記載の画像形成装置。
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