JP3560828B2 - 画像形成装置を設計する方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザプリンタ、デジタル複写機およびレーザファクシミリ装置などに適用される画像形成装置を設計する方法に関し、特にトナーを複数回順次的に転写して、たとえばカラー画像を形成する画像形成装置を設計する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、像担持体上に形成された静電潜像にトナーを付着させて現像し、該トナーを転写材または中間転写体に転写して画像を形成する画像形成装置および方法が知られている。カラー画像を形成する場合、Y(イエロ)、M(マゼンタ)、C(シアン)およびB(ブラック)の各トナーを像担持体に順次的に付着させ、また転写材または中間転写体に順次的に転写する。
【0003】
図9は、タンデム転写方式を採用した従来技術である画像形成装置を示す図である。Y,M,C,B毎のドラム状の像担持体1a,1b,1c,1dが互いに並列に配置される。各像担持体1a,1b,1c,1dが担持する静電潜像は、現像部4a,4b,4c,4dで、現像器10a,10b,10c,10dによってそれぞれ現像される。また、各像担持体1a,1b,1c,1dの周囲には、該像担持体1a,1b,1c,1dを帯電する帯電器11a,11b,11c,11dおよび余分なトナーを除去するクリーニング器12a,12b,12c,12dがそれぞれ配置される。
【0004】
各像担持体1a,1b,1c,1dには、一対のローラ23a,23bに張架された転写のための単一の誘電体ベルトである転写ベルト7が対向して配置される。また、転写ベルト7を介して、各像担持体1a,1b,1c,1dには転写ローラ6a,6b,6c,6dがそれぞれ対向して配置される。各転写ローラ6a,6b,6c,6dを電極として、像担持体1a,1b,1c,1dとの間にトナーの転写のための電界が形成される。
【0005】
給紙部2に収容された転写材である転写紙Pであって、給紙ローラ17によって給紙された転写紙Pは、静電吸着ローラ8によって帯電されて転写ベルト7に静電吸着されて搬送される。転写紙Pには、像担持体1aと転写ローラ6aとの間の転写部3aを通過するときにYのトナーが転写され、像担持体1bと転写ローラ6bとの間の転写部3bを通過するときにMのトナーが転写され、像担持体1cと転写ローラ6cとの間の転写部3cを通過するときにCのトナーが転写され、像担持体1dと転写ローラ6dとの間の転写部3dを通過するときにBのトナーが転写される。各色のトナー転写後、転写紙Pは剥離爪9によって転写ベルト7から剥離され、搬送ローラ13によって定着ユニット5に搬入される。定着ユニット5では、転写されたトナーが転写紙Pに定着される。定着後の転写紙Pは、搬送ローラ14によって定着ユニットから排紙される。
【0006】
像担持体1a,1b,1c,1dと転写ローラ6a,6b,6c,6dとの間を通過した転写ベルト7は、除電器16によって除電され、またクリーニング器15によって清掃される。その後、像担持体1a,1b,1c,1dと転写ローラ6a,6b,6c,6dとの間を通過して次の画像形成が実施される。
【0007】
図10は、従来技術である他の画像形成装置を示す図である。該画像形成装置は、図9の画像形成装置の転写ベルト7に代わって誘電体ドラムである転写ドラム22を用いたものである。ドラム状の像担持体1の表面には各色の静電潜像が順次的に形成される。また、該像担持体1の周囲には各色の現像器18a,18b,18c,18dから成る現像部18が配置される。各現像器18a,18b,18c,18dは各静電潜像を順次的に現像する。付着したトナーは、像担持体1の回転に従って転写ドラム22と接する転写領域へ搬送される。
【0008】
転写ドラム22と像担持体1との間には、電圧印加装置20によってトナーの転写のための電界が形成される。転写ドラム22は、給紙ローラ17によって給紙された転写紙Pを、電圧印加装置21から電圧が供給される静電吸着ローラ8によって静電吸着する。静電吸着された転写紙Pは、転写ドラム22の回転に従って、転写領域へ搬送される。
【0009】
転写領域では、トナーが転写紙Pに転写される。像担持体1および転写ドラム22の1回転毎に各色のトナーが転写され、4色のトナーがすべて転写された転写紙Pは、剥離爪9aおよび剥離チャージャ9bによって転写ドラム22から剥離されて、定着ユニット5へ搬送される。除電器16は、転写領域の転写紙搬送方向下流側で転写ドラム22を除電する。
【0010】
特開平8−137174号公報には、図9に示されるようなタンデム転写方式を採用した画像形成装置が開示されている。タンデム転写方式では、転写紙Pの上に一旦形成された未定着のトナー上に新たに次色のトナーを転写する。したがって、トナーが飛散する現象や前色のトナーが次色のトナー転写の際に像担持体に戻る現象が生じ、画質が著しく劣化する。該公報では、トナー転写をY,M,Cの順番に行って、トナー同士の混色による色度変化を小さくしている。つまり、トナーが飛散したりトナーが像担持体に戻ったりしても、トナーの混色による画質劣化を人の視覚特性を考慮して最低限に抑えるようにしている。
【0011】
また、特開平6−289730号公報では、図10の転写ドラム22に代わって転写フィルムを用い、該転写フィルムに転写紙Pを巻付けている。このような方式では、転写材の種類によらず転写を複数回行う毎に、転写材上のトナーが像担持体に戻る。該公報では、トナー転写の前に転写材と転写フィルムとを挟んで一対の導電体を配置し、転写材(転写材上のトナー)および転写フィルムから放電させてこれらの電位を安定させ、転写材上のトナーが像担持体に戻らないようにしている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
トナーと像担持体とが複数回接することによってトナーが像担持体に戻る現象に対して、像担持体上の清掃を転写直後に行うことによって少なくとも次の画像形成に悪影響を及ぼさないようにする対策がある。しかし、前色のトナーが像担持体に戻るので、この色のトナー画像では画像濃度が部分的に低下したり、廃トナーが大量に発生したりする。また、像担持体に戻る量を考慮して、初期に大量のトナーを転写材に転写する手法もあるが、トナー使用効率が悪く、製造コストが上昇し、またより多くの廃トナーが生じる恐れがある。
【0013】
特開平8−137174号公報の技術は、現像器の位置を工夫して人の視覚特性を考慮した設計であり、戻りトナーが次の画像形成時に転写材の上に再度転写されても目立たない。しかし、トナーの飛散をなくすことや像担持体へ戻るトナーをなくすことは考慮されておらず、異なる色のトナーが転写されるので、高画質および高域色再現の画像を形成することはできない。
【0014】
また、特開平6−289730号公報の技術では、転写前に転写材上のトナーから余分な電荷を放電させて、転写前の画像電位を安定的に保持している。しかし、未定着のトナー形成領域で放電を発生させているので、放電によってトナー画像が乱れ、優れた画質の画像を形成することができない。
【0015】
本発明の目的は、像担持体へのトナーの戻りを抑制して、転写材上のトナー画像の乱れを低減することができる画像形成装置を設計する方法を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、帯電されたトナーを複数回順次的に担持する像担持体と、
像担持体と対向して配置され、担持されたトナーが複数回順次的に転写される転写材であって、誘電体部材によって支持されて搬送される転写材と、
写材を介して像担持体と対向して配置され、像担持体との間にトナーの転写のための電界を形成する電圧印加手段と、を備える多重転写を行う画像形成装置を設計する方法において、
前記転写材の体積抵抗率が、109 Ω・cm以上1012Ω・cm以下の範囲のとき、
前記電圧印加手段によって像担持体上のトナー層内部に形成される電界強度が0(零)を超え、
界強度の増加の傾向が、電圧印加手段に与えられる印加電圧800〜3000Vに対して単調に増加し、
前記印加電圧の変化量に対する転写材上のトナー層内部に形成される電界強度の変化量の割合である電界強度の増加率(単位は1/m)を、9×103 以下とし、
前記印加電圧に対する電界強度を表すグラフの接線の傾きの最大値(単位は1/m)を、104 以下とすることを特徴とする画像形成装置を設計する方法である。
【0017】
本発明に従えば、1回目の転写工程では、像担持体に担持されたトナーが、電圧印加手段によって形成された電界によって、転写材に転写される。2回目以降の転写工程でも、1回目の転写工程と同様にしてトナーが転写される。従来技術では、2回目以降の転写工程において生じるトナーの戻り現象によって、以前の転写工程ですでに転写されたトナーが像担持体上のトナーが担持されていない領域に戻るので、以前の転写工程で正常に転写されたトナーの濃度が低下してしまう。
【0018】
本発明では、転写材の体積抵抗率が109 Ω・cm以上1012Ω・cm以下の範囲のとき、たとえば転写材が紙のとき、電圧印加手段によって像担持体上のトナー層内部に形成される電界強度が0を超え、電界強度の増加の傾向が、電圧印加手段に与えられる印加電圧に対して単調に増加し、前記印加電圧の変化量に対する転写材上のトナー層の内部に形成される電界強度の変化量の割合である電界強度の増加率(単位は1/m)を、9×103 以下とし、前記印加電圧に対する電界強度を表すグラフの接線の傾きの最大値(単位は1/m)を、104 以下とするので、後述のように転写材の体積抵抗率の変動によらずに、トナーの戻り現象を抑制することができ、以前の転写工程で正常に転写されたトナーの濃度低下による画像の乱れを防止することができる。
【0019】
また本発明は、帯電されたトナーを複数回順次的に担持する像担持体と、
像担持体と対向して配置され、担持されたトナーが複数回順次的に転写される転写材であって、誘電体部材によって支持されて搬送される転写材と、
写材を介して像担持体と対向して配置され、像担持体との間にトナーの転写のための電界を形成する電圧印加手段と、を備える多重転写を行う画像形成装置を設計する方法において、
前記転写材の体積抵抗率が、1012Ω・cmを超えるとき、
前記電圧印加手段によって像担持体上のトナー層内部に形成される電界強度が0(零)を超え、
界強度の増加の傾向が、電圧印加手段に与えられる印加電圧800〜3000Vに対して単調に増加し、
前記印加電圧の変化量に対する転写材上のトナー層内部に形成される電界強度の変化量の割合である電界強度の増加率(単位は1/m)を、104 以下とし、
前記印加電圧に対する電界強度を表すグラフの接線の傾きの最大値(単位は1/m)を、14×103 以下とすることを特徴とする画像形成装置を設計する方法である。
【0020】
本発明に従えば、転写材の体積抵抗率が1012Ω・cmを超えるとき、たとえば転写材がOHP(オーバヘッドプロジェクタ)シートのとき、電圧印加手段によって像担持体上のトナー層内部に形成される電界強度が0を超え、電界強度の増加の傾向が、電圧印加手段に与えられる印加電圧に対して単調に増加し、前記印加電圧の変化量に対する転写材上のトナー層の内部に形成される電界強度の変化量の割合である電界強度の増加率(単位は1/m)を、104 以下とし、前記印加電圧に対する電界強度を表すグラフの接線の傾きの最大値(単位は1/m)を、14×103 以下とするので、後述のように転写材の体積抵抗率の変動によらずに、トナーの戻り現象を抑制することができ、以前の転写工程で正常に転写されたトナーの濃度低下による画像の乱れを防止することができる。
【0022】
本発明に従えば、特に電圧印加手段の印加電圧が800V〜3000Vの範囲であるとき、トナーが戻ることはなく、以前の転写工程で正常に転写されたトナーの濃度低下による画像の乱れを防止することができる。
【0023】
また本発明は、前記像担持体は、厚み30μm、比誘電率3.0であり、
前記誘電体部材は、体積抵抗率1.0×1013Ω・cm、厚み75μm、比誘電率11であり、
前記トナー層は、体積抵抗率5.0×1012Ω・cm、厚み30μm、比誘電率1.8であることを特徴とする。
【0024】
本発明に従えば、(1)転写材の体積抵抗率が109 Ω・cm以上1012Ω・cm以下の範囲のときに、像担持体上のトナー層内部に形成される電界強度が0を超え、電界強度の増加の傾向が、電圧印加手段に与えられる印加電圧に対して単調に増加し、前記印加電圧の変化量に対する転写材上のトナー層の内部に形成される電界強度の変化量の割合である電界強度の増加率(単位は1/m)を、9×103 以下とし、前記印加電圧に対する電界強度を表すグラフの接線の傾きの最大値(単位は1/m)を、104 以下とする条件として、または、
(2)転写材の体積抵抗率が1012Ω・cmを超えるときに、像担持体上のトナー層内部に形成される電界強度が0を超え、電界強度の増加の傾向が、電圧印加手段に与えられる印加電圧に対して単調に増加し、前記印加電圧の変化量に対する転写材上のトナー層の内部に形成される電界強度の変化量の割合である電界強度の増加率(単位は1/m)を、104 以下とし、前記印加電圧に対する電界強度を表すグラフの接線の傾きの最大値(単位は1/m)を、14×103 以下とする条件として、
具体的には、像担持体の厚み30μm、比誘電率3.0とし、誘電体部材の体積抵抗率1.0×1013Ω・cm、厚み75μm、比誘電率11とし、トナー層の体積抵抗率5.0×1012Ω・cm、厚み30μm、比誘電率1.8とする。これによって、トナーの戻り現象を抑制することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態である画像形成装置の構成を簡略化して示す図である。該画像形成装置はタンデム転写方式を採用したものであり、像担持体上に形成された静電潜像にトナーを付着させて現像し、転写材に転写して画像を形成するものである。Y、M、CおよびBのトナーを像担持体に順次的にそれぞれ付着させ、転写材に転写して、カラー画像を形成する例を説明する。
【0034】
画像形成装置は、各色毎にドラム状の像担持体30a,30b,30c,30dを有する。像担持体30a,30b,30c,30dは、互いに並列に配置される。各像担持体30a,30b,30c,30dは、接地された導電性素管表面にOPC(有機光導電体)膜を形成して構成される。前記導電性素管は、たとえばアルミニウム製である。各像担持体30a,30b,30c,30dの表面には、レーザ光などを用いた露光によって各色の静電潜像が形成される。各像担持体30a,30b,30c,30dは、互いに同じ方向S1に回転可能である。
【0035】
また、画像形成装置は、各像担持体30a,30b,30c,30dの周囲に、現像器49a,49b,49c,49dをそれぞれ有する。像担持体30a,30b,30c,30dの表面に形成された静電潜像は、対応する現像器49a,49b,49c,49dのトナーによってそれぞれ現像される。各像担持体30a,30b,30c,30dと各現像器49a,49b,49c,49dとが対向する領域を現像部32a,32b,32c,32dとする。
【0036】
また、画像形成装置は、各像担持体30a,30b,30c,30dの周囲に、該像担持体30a,30b,30c,30dの表面を帯電する帯電器31a,31b,31c,31dと、該像担持体30a,30b,30c,30dの表面に残留する余分なトナーを除去するクリーニングブレード33a,33b,33c,33dとをそれぞれ有する。
【0037】
また、画像形成装置は、像担持体30a,30b,30c,30dに対向して一対のローラ41a,41bに張架された転写のための単一の転写ベルト40を有する。転写ベルト40は、誘電体から成るエンドレスのベルトである誘電体部材である。
【0038】
また、各像担持体30a,30b,30c,30dには、転写ベルト40を介して転写ローラ34a,34b,34c,34dがそれぞれ対向して配置される。各転写ローラ34a,34b,34c,34dは、弾性体から成り、像担持体30a,30b,30c,30dの回転方向S1に沿った方向S2に回転可能である。各転写ローラ34a,34b,34c,34dを電極として、像担持体30a,30b,30c,30dとの間にトナーの転写のための電界が形成される。すなわち、転写ローラ34a,34b,34c,34dは電圧印加手段の機能を備える。転写ベルト40を介して、各像担持体30a,30b,30c,30dと各転写ローラ34a,34b,34c,34dとが対向する領域を転写部47a,47b,47c,47dとする。
【0039】
このような像担持体30a,30b,30c,30dによれば、各色毎に、帯電、露光、現像、転写およびクリーニング工程が繰返される。
【0040】
なお、前記電圧印加手段としては、転写ローラ34a,34b,34c,34dのようなローラの他に、ブラシ、帯電器、ベルトおよびブレードなどを用いることができ、電圧を印加できる手段であればどのような手段を用いても構わない。
【0041】
給紙部37に収容された紙やOHPシートで実現される転写材Pは、給紙ローラ36によって給紙され、ローラ41aに所定の電圧を印加し、接地された電極部材である静電吸着ローラ35によって帯電されて転写ベルト40に静電吸着される。転写ベルト40によって方向S3に搬送される転写材Pには、転写部47aを通過するときにYのトナーが転写され、転写部47bを通過するときにMのトナーが転写され、転写部47cを通過するときにCのトナーが転写され、転写部47dを通過するときにBのトナーが転写される。この実施の形態の転写工程ではカラー画像形成の順序をY,M,C,Bとしたが、この配置以外でも実現可能なことは言うまでもない。
【0042】
各色のトナーが転写された転写材Pは剥離爪42によって転写ベルト40から強制的に剥離され、定着ガイド48によって定着ユニットに搬入される。剥離爪42は、転写ベルト40の表面に対して近接もしくは離反自在に設けられる。定着ユニットでは、定着ローラ43によって転写されたトナーが転写材Pに定着される。定着ローラ43は、所定の温度および圧力によってトナーを融着して転写材Pに定着する。定着後の転写材Pは定着ユニットから排紙される。
【0043】
転写後の転写ベルト40は除電器39によって除電され、またクリーニング器38によって清掃される。その後、再び転写材Pを静電吸着して転写部47a,47b,47c,47dに搬送し、次のトナー画像が転写される。
【0044】
このように、該画像形成装置では、転写ベルト40に静電吸着された転写材Pには各転写部47a,47b,47c,47dを通過する毎に一色ずつトナーが転写され、すべての転写部47a,47b,47c,47dを通過すると1つのカラー画像が得られる。
【0045】
2は、本発明の実施の一形態の他の例である画像形成装置の構成を簡略化して示す図である。該画像形成装置は、転写ドラム45に転写材Pを巻付けて転写ドラム45を方向S2に回転させることによって転写材Pを方向S3に搬送し、方向S1に回転可能な単一の像担持体30eと複数回接触してカラー画像を形成する装置である。
【0046】
ドラム状の像担持体30eの表面には、露光によって各色毎の静電潜像が順次的に形成される。また、像担持体30eの周囲には各色毎の現像器32a,32b,32c,32dがそれぞれ配置され、各静電潜像を順次的に現像する。現像によって像担持体30eに付着したトナーは、該像担持体30eの回転に従って転写ドラム45と接する転写部へ搬送される。転写部において、転写ドラム45と像担持体30eとの間には、転写ドラム45を電極としてトナーの転写のための電界が形成される。すなわち、転写ドラム45は電圧印加手段の機能を備える。また、転写ドラム45は、転写材Pを静電吸着して転写部へ搬送する、誘電体部材である。転写部では、トナーが転写材Pに転写される。像担持体30eおよび転写ドラム45の1回転毎に各色のトナーが転写され、4回転によって4色のトナーがすべて転写された転写材Pは、転写ドラム45から剥離されて定着ユニットで定着される。
【0051】
図3は、2回目以降の転写工程で生じるトナーの戻り現象を説明するための図である。ここでは、マイナスに帯電したトナーTを用いる場合を例に説明する。図3(A)に示されるように、像担持体30に担持されたn+1回目のトナーTn+1は、転写工程において、n回目の転写工程ですでに転写されたトナーTnを有する転写材Pに転写される。正常な転写時には、図3(B)に示されるように、像担持体30に担持されたすべてのトナーTn+1が、すでに転写されているトナーTnに悪影響を与えずに転写材Pに転写される。
【0052】
しかし実際には図3(C)に示されるように、トナーTn+1が転写されるとき、すでに転写されているトナーTnのうちのトナーTxが像担持体30に戻ってしまい、転写不良が生じる。像担持体30に戻るトナーTxは、像担持体30のトナーTn+1が担持されていない領域に戻ることが実験的に判明している。したがって、このようなトナーの戻り現象が発生すると、n回目の転写工程で転写材Pに転写されたトナー画像の濃度が低下してしまう。なお、像担持体30は図1の像担持体30a,30b,30c,30dである
【0053】
本発明に基づく図1および図2の画像形成装置は、トナー層内部の電界強度に着目して、像担持体30a〜30fの比誘電率および厚み、誘電体部材である転写ベルト40および転写ドラム45の体積抵抗率、比誘電率および厚み、像担持体上に形成されるトナー層の体積抵抗率、比誘電率および厚みを最適に設計し、これによってトナーの戻り現象を抑制したものである。なお、本発明に基づく画像形成装置は上述の3種類の画像形成装置に限るものではなく、像担持体に担持されたトナーを転写材に転写し、これを繰返して画像を形成する装置であれば、どのような構成の装置に適用しても構わない。
【0054】
まず、転写材Pとして厚みの異なる紙を用いたときの戻りトナー量について説明する。ここでは、図1の画像形成装置の第2番目の転写部47bでの評価結果を説明する。像担持体30bに関して、厚みを30μmとし、比誘電率を3.0とした。また、誘電体部材である転写ベルト40に関して、体積抵抗率を1.0×1013Ω・cmとし、厚みを75μmとし、比誘電率を11とした。さらに、像担持体30bの上に形成されるトナー層に関して、体積抵抗率を5.0×1012Ω・cmとし、厚みを30μmとし、比誘電率を1.8とした。
【0055】
像担持体の厚みとは導電性素管表面のOPC膜の厚みであり、また像担持体の比誘電率とはOPC膜の比誘電率である。
【0056】
図4は、電圧印加手段である転写ローラ34bへの印加電圧と、像担持体30bへの戻りトナーの濃度との関係を、転写材P毎に評価した結果を示すグラフである。ここで、横軸は印加電圧(V)を示し、縦軸は光学濃度を示す。光学濃度が高い程、戻りトナー量が多いことを示す。また、ラインL1は最も薄い紙の結果を示し、ラインL2は中間の厚みの紙の結果を示し、ラインL3は最も厚い紙の結果を示す。
【0057】
転写ローラ34bへの印加電圧が高くなるにつれて光学濃度が高くなっており、像担持体30bへの戻りトナー量が多くなっていることが判る。また、薄紙ほどトナーの戻り量が多いことが判る。つまり、厚みが薄い程、転写時にトナー層内部に生じる電界が強くなり、多量のトナーが像担持体30bに戻ると考えられる。
【0058】
また、戻りトナー量は転写材Pの厚みによって大きく異なるが、いずれの転写材Pにおいても、像担持体30bからマイナス帯電したトナーを転写材Pの上に転写する通常転写時における転写効率は95%以上という非常に高い値であり、トナーの戻り現象が生じても画像品位は比較的良好であることが確認された。また、厚みの異なる転写材Pのうち、トナーの戻り量が最も少ない転写材Pは、ラインL3で示される厚紙であった。
【0059】
前記転写効率とは像担持体上のトナーが転写材に移動する割合のことであり、転写効率100%とは像担持体上のすべてのトナーが転写材に移動したときであり、転写効率0%とはトナーが全く移動しなかったときである。転写効率が高い程、画像品位は良好である。
【0060】
図5は、トナーの帯電量分布を示すグラフである。ラインC1は像担持体30bの上に戻っているトナーの帯電特性を示し、ラインC2は転写材Pの上のトナーの帯電特性を示す。このグラフから、転写材Pの上のプラスに帯電しているトナーが選択的に像担持体30bの上に戻っていると考えられる。また、上述したようにトナー層内部に生じる電界が強い程、戻りトナー量が多くなると考えられる。
【0061】
次に、トナーの戻り現象の機構を説明する。ここでは、転写時にトナー層内部に生じる電界強度を転写材P毎に理論計算し、また実験的に確認されている、像担持体30bの上のトナー画像が形成されていない領域に選択的にトナーが戻る場合について説明する。
【0062】
図6は、本発明に基づく画像形成装置の接触転写方式を説明するための模式図である。転写ベルト40に静電吸着された転写材Pが第2転写部47bに搬送されてくると、転写ローラ34bへの印加電圧の大きさに応じて、像担持体30bと転写材Pとの間の領域R1で放電が起きる。この放電電位を初期値として、次に像担持体30bと転写材Pとが、領域R1に対して転写材搬送方向下流側の領域R2で接触し、転写ローラ34bへの印加電圧によって、像担持体30bの上のトナーTが転写材Pに転写される。このように、接触転写は、転写前の微小な空隙(領域R1)で起こるパッシェン放電と、転写時のトナー層と転写材Pとの接触部(領域R2)で起こる電荷注入とから得られる電荷によって形成された電位差によって行われる。
【0063】
パッシェン放電は、像担持体30bおよび転写材P間の距離が接近してゆき、トナー層および像担持体30b間の微小空隙にかかる電界強度が強くなるに連れて、空中絶縁破壊が起きて生じる。転写ローラ34bにはプラスの電圧が印加されているので、放電が起きると、転写材Pの上に既に形成されているトナー層にマイナスの電荷が蓄積する。転写ローラ34bは弾性体から成るので、転写時の接触圧によって変形し、転写ニップR4が形成される。
【0064】
このとき、トナー層と像担持体30bとの間および転写ローラ34bと転写ベルト40との間の2カ所に、微小な空隙である領域R1および領域R3が形成される。領域R1よりも領域R3の方が転写材搬送方向上流側に形成されるが、領域R3の像担持体30bの側にはトナー層と像担持体30bと空気層とが存在し、領域R3と像担持体30bとの距離が比較的大きく、領域R3に分配される電圧は小さくなる。このため、領域R3ではパッシェン放電は起こらず、領域R1のみで起こる。放電終了後、さらに、領域R2で電荷注入が起き、転写材Pの上のトナー層に電圧が印加される。
【0065】
図7は、電荷注入時の等価回路図である。図7中、V1〜V5は、像担持体30b、領域R2、トナー層、転写材Pおよび転写ベルト40にかかる電圧をそれぞれ示す。V6は、転写ローラ34bへの印加電圧を示す。r2〜r5は、領域R2、トナー層、転写材Pおよび転写ベルト40の抵抗をそれぞれ示す。c1〜c5は、像担持体30b、領域R2、トナー層、転写材Pおよび転写ベルト40の静電容量をそれぞれ示す。
【0066】
パッシェン放電によって帯電した電荷量(放電電位)を初期値として、図7の等価回路をトナー層にかかる電圧V3について解くと、トナー層内部の帯電電位はパッシェン放電時の帯電電位および電荷注入時の帯電電位の合計値となる。トナー層と転写材Pとの接触時間tに対する最終帯電電位V3eは、
V3e = A×(b′×exp(Bt)−c′×exp(Ct))
となる。式中、A,B,C,b′およびc′は、図7の等価回路に依存した定数、すなわち各抵抗値および各静電容量などに依存した定数である。したがって、最終帯電電位V3eは、接触時間tとともに変化する指数関数の和として表され、領域2の接触時間tによって帯電電位が変化することが判る。
【0067】
このようにして得られたトナー層上に蓄積された電荷(電位)をトナー層の厚みで除算すると、接触転写方式におけるトナー層内部に形成される電界強度が得られる。
【0068】
図8は、転写ローラ34bへの印加電圧と、トナー層内部に形成される電界強度との関係を、転写材P毎に求め示すグラフである。ここで、横軸は印加電圧(V)を示し、縦軸は電界強度(10V/m)を示す。また、ラインL11は最も薄い紙の結果を示し、ラインL12は中間の厚みの紙の結果を示し、ラインL13は最も厚い紙の結果を示す。像担持体30b、転写ベルト40およびトナー層に関して、体積抵抗率、厚みおよび比誘電率は上述したのと同様とし、さらに領域R1に関して、体積抵抗率を2.3×10 Ω・cmとし、厚みを1μmとし、比誘電率を1とした。印加電圧が同じとき、厚みが薄い程トナー層内部に形成される電界が強いことが判る。これは、図4の評価結果に基づく推定と一致する。
【0069】
図5から転写材Pの上にすでに形成されているトナー層内部には逆帯電トナー(プラス帯電トナー)が存在し、この逆帯電トナーは転写時の電界が強い程像担持体30bへ戻る傾向が大きい。転写時には、転写材Pから像担持体30bへ向かう向きの電界が必要であるが、転写材Pの上のプラスに帯電したトナーは前記向きの電界がかかると像担持体30bへ戻ってしまい、トナーの戻り現象が生じる。
【0070】
一般に、トナーに働く静電的な力Fは、F=qEで表される。ここで、qはトナーの帯電電荷量を示し、Eはトナーにかかる電界強度を示す。すなわち、帯電量の弱いトナーであっても、電界Eが強ければ、トナーに働く力Fは大きくなる。したがって、転写材Pの上のトナーが像担持体30bへ戻る。
【0071】
転写時にトナー層内部に形成される電界を転写材Pの種類によらずに低電界で維持できれば、トナーの戻り量は少なくなると推定できる。また、トナーの転写効率は95%以上であることが確認されているので、トナー層内部の必要以上の電界は不要であると考えられる。上述した厚みの異なる転写材Pは、体積抵抗率が1010Ω・cmの紙である。3種類の厚みの紙において、転写時にかかる電圧は薄紙ほど低い。したがって、抵抗の低い転写材Pを用いる程、転写時にトナー層内部に形成される電界強度が強くなる。
【0072】
一般に、光学濃度が0.1以下であれば視覚的な認識は困難であり、そのような低濃度であれば転写材Pの上のトナーが像担持体30bに戻ったとしても、画質や画像形成環境にはほとんど悪影響を及ぼさない。すなわち、転写材Pの種類によらず、トナー層の内部に形成される電界が図8のラインL13のような傾向を示せば、トナーの戻り量を低減することができる。
【0073】
(実施例1)
転写材Pとして、体積抵抗率が109 Ω・cm以上1012Ω・cm以下の範囲の紙を用いた例について説明する。転写ベルト40の体積抵抗率を1.0×1014Ω・cmとした以外は、像担持体30b、転写ベルト40、トナー層および領域R1の体積抵抗率、厚みおよび比誘電率を上述したのと同様とした。そして、トナー層内部の電界強度を計算したところ、転写材Pの体積抵抗率にかかわらず、すべて図8のラインL13とほぼ同様の挙動を示した。また、図2に関連して前述した評価時には転写ベルト40の体積抵抗率を1.0×1013Ω・cmとしたが、本実施例で体積抵抗率を1桁上げることによって、紙の種類による体積抵抗率の変動要因を削除して、トナー層内部の電界強度の変動を抑えることができた。
【0074】
さらに、像担持体30bへのトナーの戻り量を評価したところ、図4のラインL3とほぼ同じ挙動を示し、転写材Pの種類によらず、トナー戻り量は大きく低減し、高い転写効率が得られた。つまり、転写ローラ34bへの印加電圧V6が800V〜3000Vの範囲のとき、電界強度が0(零)以上で、トナー層内部に形成される電界強度の増加率が9×103 (単位は1/m、以後の説明では、単位を省略することがある)以下であり、印加電圧と電界強度との関係における接線の傾きが104 (単位は1/m、以後の説明では、単位を省略することがある)以下であり、トナーの戻り現象が生じることなく、良好な転写が行えることが判る。なお、電界強度が0を超えなければ、転写を行うことができない。
【0075】
なお、実施例1では、各部材を上述したように設計したが、トナー層内部に形成される電界強度の増加率が9×10 以下であり、印加電圧と電界強度との関係における接線の傾きが10 以下であり、電界強度の増加の傾向が印加電圧に対して単調に増加すればよく、設計条件は上述したものに限らない。また、転写材Pを使用しない場合であっても、トナー層内部に形成される電界強度の増加率および前記接線の傾きが上述した数値を満たすよう、各部材を設計することによって、同様の効果を得ることができる。
【0076】
トナー層内部に形成される電界強度の増加率とは、転写ローラ34bへの印加電圧が800Vから3000Vまで変化する際に、トナー層の内部に形成される電界強度の変化の割合である。図8のラインL13を参照して、この場合の増加率は、│(点A2の電界強度(V/m)−点A1の電界強度(V/m))│/│(点A2の印加電圧(V)−点A1の印加電圧(V))│=(19×10 −0.5×10 )/(3000−800)=8.4×10 となる。つまり、印加電圧と電界強度との関係において、増加傾向が小さい程、トナーの戻り量が少なくなる。
【0077】
また、印加電圧と電界強度との関係における接線の傾きとは、各印加電圧に対して得られる電界強度のグラフの接線の傾きである。図8のラインL13を参照して、この場合、印加電圧が3000Vのときの接線L15の傾きが最も大きく、印加電圧3000Vでの傾きを104 以下にすればよいことが判る。なお、前述の数値は、電界強度の単位をV/mとし、印加電圧の単位をVとしたが、増加率や接線の傾きはこれらの電界強度および印加電圧の単位の変動に対応して変わる。
【0078】
一般に使用されている紙の体積抵抗率は10 Ω・cm以上1012Ω・cm以下の範囲のものである。また、あらゆる使用環境での転写を考慮して、良好な転写を行うには、転写ローラ34bへの印加電圧を800V〜3000Vの範囲内とすることが好ましい。印加電圧が800Vよりも小さいと、トナー層内部の電界が0(零)となって転写が不可能となり、印加電圧が3000Vよりも大きくなると、転写前にトナー層と像担持体30bとの間で放電が起こって画質が劣化するので好ましくない。
【0079】
(実施例2)
転写材Pとして、体積抵抗率が1012Ω・cmを超えるOHPシートを用いた場合について説明する。まず、転写材PとしてOHPシートを用いたときのトナーの戻り量について説明する。ここでは、図1の画像形成装置の第2番目の転写部47bでの評価結果を説明する。電圧印加手段である転写ローラ34bへの印加電圧と、像担持体30bへの戻りトナーの濃度との関係を図4のラインL4に示す。
【0080】
転写ローラ34bへの印加電圧が変化しても、光学濃度は一定であり、像担持体30bへのトナーの戻り量はほとんど依存しないことが判る。また、戻りトナーの濃度は0.1と比較的低く、視覚的な認識はほとんど困難である。このような低濃度であれば、トナーが戻ったとしても画質や画像形成環境にはほとんど悪影響は及ぼさない。また、このときの転写効率は、95%以上という非常に高い値であった。
【0081】
転写ローラ34bへの印加電圧と、トナー層内部に形成される電界強度との関係を図8のラインL14に示す。トナー層の内部に形成される電界が図8のラインL14のような傾向を示せば、トナーの戻り量を低減することができる。
【0082】
OHPシートで実現される転写材Pに関して、体積抵抗率を1013Ω・cm、1014Ω・cmおよび7.0×1014Ω・cmとした。また、像担持体30b、転写ベルト40、トナー層および領域R1の体積抵抗率、厚みおよび比誘電率を実施例1と同様とした。そして、トナー層内部の電界強度を計算したところ、転写材Pの体積抵抗率にかかわらず、すべて図8のラインL14とほぼ同様の挙動を示した。
【0083】
また、像担持体30bへのトナーの戻り量を評価したところ、図4のラインL4とほぼ同じ挙動を示し、トナーの戻り量は大きく低減し、高い転写効率が得られた。つまり、転写ローラ34bへの印加電圧V6が800V〜3000Vの範囲のとき、電界強度が0(零)を超え、トナー層内部に形成される電界強度の増加率が104 以下であり、印加電圧と電界強度との関係における接線の傾きが14×103 以下であり、トナーの戻り現象が生じることなく、良好な転写が行えることが判る。なお、電界強度が0を超えなければ、転写を行うことができない。
【0084】
なお、実施例2では、各部材を上述したように設計したが、トナー層内部に形成される電界強度の増加率が10 以下であり、印加電圧と電界強度との関係における接線の傾きが14×10 以下であり、電界強度の増加の傾向が印加電圧に対して単調に増加すればよく、設計条件は上述したものに限らない。また、転写材Pを使用しない場合であっても、トナー層内部に形成される電界強度の増加率および前記接線の傾きが上述した数値を満たすよう、各部材を設計することによって、同様の効果を得ることができる。
【0085】
図8のラインL14を参照して、この場合の増加率は、│(点B2の電界強度(V/m)−点B1の電界強度(V/m))│/│(点B2の印加電圧(V)−点B1の印加電圧(V))│=(21500×103 −0)/(3000−800)=9.8×103 となる。つまり、印加電圧と電界強度との関係において、増加傾向が小さい程、トナーの戻り量が少なくなる。また、図8のラインL14を参照して、この場合、印加電圧が3000Vのときの接線L16の傾きが最も大きく、印加電圧3000Vでの傾きを14×103 以下にすればよいことが判る。なお、前述の数値は、電界強度の単位をV/mとし、印加電圧の単位をVとしたが、増加率や接線の傾きはこれらの電界強度および印加電圧の単位の変動に対応して変わる。
【0086】
一般に使用されているOHPシートの体積抵抗率は1012Ω・cmを超えるものである。また、実施例1で説明したのと同じ理由から、あらゆる使用環境での転写を考慮して、良好な転写を行うには、転写ローラ34bへの印加電圧を800V〜3000Vの範囲内とすることが好ましい。
【0087】
なお、実施例1および2では、図1のタンデム方式の画像形成装置における転写に関して説明したが、本実施例で説明した傾向は、たとえば図2(A)および図2(B)の画像形成装置における転写に関しても同じであり、図7の等価回路は方式に応じて変更されるが、設定条件の計算方法や算出される値は本実施例と同じ範囲内に入るものである。
【0088】
また、以上の実施形態で説明したようにして画像を形成する方法も本発明の範囲に属するものである。
【0089】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、転写材の体積抵抗率が109 Ω・cm以上1012Ω・cm以下の範囲のとき、電圧印加手段によって像担持体上のトナー層内部に形成される電界強度が0を超え、電界強度の増加の傾向が、電圧印加手段に与えられる印加電圧に対して単調に増加し、前記印加電圧の変化量に対する転写材上のトナー層の内部に形成される電界強度の変化量の割合である電界強度の増加率(単位は1/m)を、9×103 以下とし、前記印加電圧に対する電界強度を表すグラフの接線の傾きの最大値(単位は1/m)を、104 以下とするので、前述のように転写材の体積抵抗率の変動によらずに、トナーの戻り現象を抑制することができ、以前の転写工程で正常に転写されたトナーの濃度低下による画像の乱れを防止することができる。
【0090】
また本発明によれば、転写材の体積抵抗率が1012Ω・cmを超えるとき、電圧印加手段によって像担持体上のトナー層内部に形成される電界強度が0を超え、電界強度の増加の傾向が、電圧印加手段に与えられる印加電圧に対して単調に増加し、前記印加電圧の変化量に対する転写材上のトナー層の内部に形成される電界強度の変化量の割合である電界強度の増加率(単位は1/m)を、104 以下とし、前記印加電圧に対する電界強度を表すグラフの接線の傾きの最大値(単位は1/m)を、14×103 以下とするので、前述のように転写材の体積抵抗率の変動によらずに、トナーの戻り現象を抑制することができ、以前の転写工程で正常に転写されたトナーの濃度低下による画像の乱れを防止することができる。
【0091】
また本発明によれば、特に電圧印加手段の印加電圧が800V〜3000Vの範囲であるとき、トナーが戻ることはなく、以前の転写工程で正常に転写されたトナーの濃度低下による画像の乱れを防止することができる。
【0092】
また本発明によれば、転写材の体積抵抗率が109 Ω・cm以上1012Ω・cm以下の範囲のときにおよび1012Ω・cmを超えるときに、具体的に、像担持体の厚み30μm、比誘電率3.0とし、誘電体部材の体積抵抗率1.0×1013Ω・cm、厚み75μm、比誘電率11とし、トナー層の体積抵抗率5.0×1012Ω・cm、厚み30μm、比誘電率1.8とすることによって、トナーの戻り現象を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である画像形成装置を簡略化して示す図である。
【図2】発明の実施の一形態のさらに他の例である画像形成装置を簡略化して示す図である
【図3】2回目以降の転写工程で生じるトナーの戻り現象を説明するための図である。
【図4】電圧印加手段である転写ローラ34bへの印加電圧と、像担持体30bへの戻りトナーの濃度との関係を、転写材P毎に調べた結果を示すグラフである。
【図5】トナーの帯電量分布を示すグラフである。
【図6】本発明に基づく画像形成装置の接触転写方式を説明するための模式図である。
【図7】電荷注入時の等価回路図である。
【図8】転写ローラ34bへの印加電圧と、トナー層内部に形成される電界強度との関係を、転写材P毎に示すグラフである。
【図9】タンデム転写方式を採用した従来技術である画像形成装置を示す図である。
【図10】従来技術である他の画像形成装置を示す図である。
【符号の説明】
30,30a〜30 像担持体
31a〜31d 帯電器
32a〜32d 現像部
33a〜33d クリーニングブレード
34a〜34d 転写ローラ
35 静電吸着ローラ
36 給紙ローラ
37 給紙部
38 クリーニング器
39 除電器
40 転写ベルト
41a,41b ローラ
42 剥離爪
43 定着ローラ
45 転写ドラム
47a〜47d 転写部
48 定着ガイド
49a〜49d 現像器
P 転写材
S1 像担持体回転方向
S2 転写部材回転方向
S3 転写材搬送方向
T,Tn,Tn+1,Tx トナー

Claims (3)

  1. 帯電されたトナーを複数回順次的に担持する像担持体と、
    像担持体と対向して配置され、担持されたトナーが複数回順次的に転写される転写材であって、誘電体部材によって支持されて搬送される転写材と、
    写材を介して像担持体と対向して配置され、像担持体との間にトナーの転写のための電界を形成する電圧印加手段と、を備える多重転写を行う画像形成装置を設計する方法において、
    前記転写材の体積抵抗率が、109 Ω・cm以上1012Ω・cm以下の範囲のとき、
    前記電圧印加手段によって像担持体上のトナー層内部に形成される電界強度が0(零)を超え、
    界強度の増加の傾向が、電圧印加手段に与えられる印加電圧800〜3000Vに対して単調に増加し、
    前記印加電圧の変化量に対する転写材上のトナー層内部に形成される電界強度の変化量の割合である電界強度の増加率(単位は1/m)を、9×103 以下とし、
    前記印加電圧に対する電界強度を表すグラフの接線の傾きの最大値(単位は1/m)を、104 以下とすることを特徴とする画像形成装置を設計する方法
  2. 帯電されたトナーを複数回順次的に担持する像担持体と、
    像担持体と対向して配置され、担持されたトナーが複数回順次的に転写される転写材であって、誘電体部材によって支持されて搬送される転写材と、
    写材を介して像担持体と対向して配置され、像担持体との間にトナーの転写のための電界を形成する電圧印加手段と、を備える多重転写を行う画像形成装置を設計する方法において、
    前記転写材の体積抵抗率が、1012Ω・cmを超えるとき、
    前記電圧印加手段によって像担持体上のトナー層内部に形成される電界強度が0(零)を超え、
    界強度の増加の傾向が、電圧印加手段に与えられる印加電圧800〜3000Vに対して単調に増加し、
    前記印加電圧の変化量に対する転写材上のトナー層内部に形成される電界強度の変化量の割合である電界強度の増加率(単位は1/m)を、104 以下とし、
    前記印加電圧に対する電界強度を表すグラフの接線の傾きの最大値(単位は1/m)を、14×103 以下とすることを特徴とする画像形成装置を設計する方法
  3. 前記像担持体は、厚み30μm、比誘電率3.0であり、
    前記誘電体部材は、体積抵抗率1.0×1013Ω・cm、厚み75μm、比誘電率11であり、
    前記トナー層は、体積抵抗率5.0×1012Ω・cm、厚み30μm、比誘電率1.8であることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置を設計する方法
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