JP2007239058A - 高炉への合成樹脂材の吹き込み方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】合成樹脂材を多量に炉に吹込む場合でも、炉の通気性を悪化させることの無い、微粉炭と合成樹脂材を同時に羽口から吹き込む際にも微粉炭の燃焼性が低下しない、合成樹脂材として廃プラスチックを用いた場合であっても安定した燃焼性を有する合成樹脂材の炉吹き込み方法を提供すること。そして、これらにより合成樹脂材のコークスに対する置換率を増加させた炉の操業を可能とすること。
【解決手段】高炉の羽口より炉内へ合成樹脂材を吹き込む際に、粒径1mm以上の合成樹脂材と、塩素を含有する合成樹脂材を加熱溶融して脱塩素処理し、冷却固化後に微粉砕処理して製造した粒径1mm未満の合成樹脂材とを同時に吹き込むことを特徴とする高炉への合成樹脂材の吹き込み方法を用いる。粒径1mm以上の合成樹脂材と、粒径1mm未満の合成樹脂材と、微粉炭とを同時に吹き込むこと、合成樹脂材として廃プラスチックを用いることが好ましい。
【選択図】図5

Description

本発明は、高炉へ合成樹脂材を微粉炭と共に吹き込む技術に関し、特に合成樹脂材として一般廃棄物や産業廃棄物として廃棄されるプラスチックである廃プラスチックを高炉へ吹き込む技術に関する。
従来、高炉では鉄鉱石還元剤として主にコークスを使用してきたが、近年では高価なコークスの使用量を削減すべく、羽口より微粉炭、重油、天然ガス等の補助還元剤の吹き込みが行われている。その中でも特に、石炭を単純に粉砕した微粉炭(粒度75μm以下が80%以上程度のものを用いている。)は高価なコークスの使用量低減に寄与すると共に、コークス炉の稼働率減少によるコークス炉の寿命延長につながるため、所定高炉における月間の微粉炭吹込み比が、266kg/tを記録するという、超多量微粉炭吹込み高炉も出現している(例えば、非特許文献1参照。)。
天然ガスは微粉炭に比較して高発熱量であり、水素含有率が高いことから、コークス削減を目的とする以外に炭酸ガス排出量削減の観点からも用いられている。
一方、上記以外の高炉の補助還元剤として、合成樹脂材等の可燃性固体を用いることができる。特に、これまで焼却あるいは埋立て廃棄されてきた都市ごみ、あるいは産業廃棄物中に混在する使用済みプラスチック(廃プラスチック)の燃料化が可能となれば、省エネルギーやリサイクル及び環境保護の見地からも望ましい。
廃プラスチックの高炉原料化については、廃プラスチックを高炉等の竪型炉に羽口から吹き込む技術が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。廃プラスチックを羽口から吹込むことで、廃プラスチックをコークス代替品として有効にリサイクル利用することが可能である。特許文献1によれば、炉のレースウエイ内における燃焼率を向上させるために、炉に吹き込むプラスチック粒状物の強度や粒径の制御が重要であり、粒径数mm程度の廃プラスチック粒状物が製造され、炉への吹き込みが行なわれている。また、特許文献2には合成樹脂材である粒状プラスチックの燃焼性を向上させるために、微粉炭を粒状プラスチックの表面に付着させ、微粉炭が表面に付着した粒状プラスチックを、羽口部に連接する送風支管の内部ないし羽口の内部に先端が位置する、補助燃料用の吹込みランスから噴射させ、羽口を通して、高炉の炉内へ吹き込む技術が開示されている。
特開平2001−220589号公報 特開2002−146416号公報 「材料とプロセス11」1998年、p.834
廃プラスチックをより多量に高炉等でリサイクル利用するためには、廃プラスチックの燃焼性を確保するだけでなく、炉の安定操業を維持した上で、廃プラスチックのコークスに対する置換率を高めることが重要である。しかし、本発明者らは、廃プラスチックの高炉への吹き込み量を増やすと、燃焼性の問題の他に炉の通気性が悪化するという問題点を見出した。すなわち、炉の通気性が悪化して送風圧が上昇するので、通気性確保のためにコークス比を増加させる操業を行う必要が生じ、結局はコークスに対する廃プラスチックの置換率が低下する。コークス比を増加させる操業を行うと、燃料原単位が増加して、生産性も低下する。したがって、このような条件下で廃プラスチックの高炉への吹き込み量を増加させることは、高炉の操業上は好ましくない。
特許文献1および特許文献2に記載の技術は燃焼性の悪い廃プラスチックの燃焼性を改善し、高燃焼率を達成する方法であるが、以下の問題点がある。
特許文献1:
炉に吹き込む廃プラスチックを、造粒機(圧縮押出し機)により円柱状の塊状物に成型することは可能であるが、廃プラスチックは多種類のプラスチックの混合物であるため造粒機の運転条件を一定とした場合、常に一定条件(強度)の塊状物を製造することは困難である。
常に一定条件の塊状物を製造するためには、供給される廃プラスチックの性状(プラ種類、組成、水分等)を適宜測定し、その結果を製造条件にフィードバックさせる必要があるが、製造条件の頻繁な変更は困難である。
局所的にみた場合、製造された造粒物毎に性状(強度)が変動し、高炉に吹き込んだ場合の変動も懸念される。
廃プラスチックの粒状物を高炉に吹きこむ際には、気流輸送により高炉下部に吹き込まれ、1000℃以上の熱風とともに羽口よりレースウェイ内に進入し、高速で燃焼・ガス化し、還元ガスを生成する。羽口先の熱風のガス流速は200m/s以上のため、吹き込まれた粒状物の滞留時間は0.01秒程度と極めて短時間であり、高効率の燃焼・ガス化が重要である。しかし、廃プラスチックの高炉への吹き込み量が増大した場合には、燃焼・ガス化率が低下し、未燃のプラスチック由来のチャーが生成し、高炉内の通気性を阻害し、高炉操業上支障をきたす場合もある。したがって、廃プラスチックをより多量に高炉等でリサイクル利用するためには、従来以上に廃プラスチックの燃焼性を高める必要がある。
特許文献2:
微粉炭の燃焼は、第1ステップの微粉炭中揮発分の放出(ガス化)、燃焼、第2ステップの固定炭素の燃焼の2つのステップからなるが、高炉レースウェイ内の粉体の滞留時間は極めて短時間(20ms未満)であることから、燃焼率は微粉炭中揮発分量に依存し、燃焼率は50〜70%である。また、微粉炭からの揮発分の発生のためには周囲からの分解熱(約200kcal/kg)の供給が必要となる。一方、緻密な高分子組織である合成樹脂材の燃焼は、粒子表面に高分子化合物の分解(ガス化)に必要な熱(約380kcal/kg)が供給され、揮発分が発生し、燃焼する。従って、合成樹脂材の表面に着火の速い微粉炭を付着させて外装化させると、微粉炭の燃焼熱により、合成樹脂材の燃焼性は改善されるが、逆に微粉炭の燃焼率は低下することが懸念される。
特許文献2に記載の方法は微粉炭と合成樹脂材の搬送ガス速度の差を利用して合成樹脂材表面に微粉炭を外装する方法であるが、どちらかの搬送ガス速度が低下した場合逆流の可能性がある、安全上問題となる。
上記のように、従来の技術を用いては廃プラスチックを強度一定の造粒物として高炉吹込みに用いることは困難であり、安定操業のためにはプラスチック粒状物の燃焼性を高める必要がある。また、合成樹脂材を多量に炉に吹き込む際に、炉の通気性悪化を防止するためにもプラスチック粒状物の燃焼性を高める必要がある。また、微粉炭と合成樹脂材を同時に羽口から吹き込む際には微粉炭の燃焼率が低下し、安全上の問題が発生する懸念もある。
本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、合成樹脂材を多量に炉に吹込む場合でも、高炉の通気性を悪化させることの無い、合成樹脂材の高炉吹き込み方法を提供することにある。また、微粉炭と合成樹脂材を同時に羽口から吹き込む際にも微粉炭の燃焼性が低下しない、合成樹脂材の高炉吹き込み方法を提供することにある。さらに、合成樹脂材として廃プラスチックを用いた場合であっても安定した燃焼性を有する合成樹脂材の高炉吹き込み方法を提供することにある。そして、これらにより合成樹脂材のコークスに対する置換率を増加させた高炉の操業を可能とすることにある。
このような課題を解決するための本発明の特徴は以下の通りである。
(1)高炉の羽口より炉内へ合成樹脂材を吹き込む際に、粒径1mm以上の合成樹脂材と、塩素を含有する合成樹脂材を加熱溶融して脱塩素処理し、冷却固化後に微粉砕処理して製造した粒径1mm未満の合成樹脂材とを同時に吹き込むことを特徴とする高炉への合成樹脂材の吹き込み方法。
(2)粒径1mm以上の合成樹脂材100質量部に対して、粒径1mm未満の合成樹脂材を33〜300質量部の割合で吹き込むことを特徴とする(1)に記載の高炉への合成樹脂材の吹き込み方法。
(3)粒径1mm以上の合成樹脂材と、粒径1mm未満の合成樹脂材と、微粉炭とを同時に吹き込むことを特徴とする(1)または(2)に記載の高炉への合成樹脂材の吹き込み方法。
(4)合成樹脂材として廃プラスチックを用いることを特徴とする(1)ないし(3)のいずれかに記載の高炉への合成樹脂材の吹き込み方法。
本発明によれば、微粉砕された合成樹脂材を粒径の大きい合成樹脂材と同時に高炉に吹き込むことにより、炉の通気性を改善し、造粒プラスチックの燃焼性を改善することができる。また、微粉炭の燃焼性も改善することができる。このため、合成樹脂材のコークスに対する置換率を増加させて、多量の廃プラスチックを高炉原料として有効に利用することができる。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った。合成樹脂材(粒径1mm以上)の燃焼性を向上させるためには、微粉炭より着火が速く、合成樹脂材および微粉炭より分解熱が低く、レースウェイ内での燃焼率が高いものを合成樹脂材と同時に炉に吹き込むことが好ましいと考えた。そして、塩素を含有する合成樹脂材を加熱溶融、脱塩素、冷却固化後に微粉砕処理したもの(粒径1mm未満)が好適であることを見出して、本発明を完成した。
塩素を含有する合成樹脂材を加熱溶融・脱塩素・冷却固化処理することにより、元の合成樹脂材を低分子化することで、分解熱を低減することができる。さらに得られた前記の加熱溶融・脱塩素・冷却固化処理された合成樹脂材は低分子化されていることから微粉砕処理が容易である。微粉砕された合成樹脂材の燃焼性は向上する。
塩素を含有する合成樹脂材としては、PVC(ポリ塩化ビニル)及びPVDC(ポリ塩化ビニリデン)等の塩素含有プラスチック、およびこれらの混合物を用いることができる。全体としての塩素含有量が2.5mass%以上程度であれば、塩素を含有しない合成樹脂材と塩素を含有する合成樹脂材との混合物も用いることが可能である。
加熱溶融、脱塩素処理は、塩素を含有する合成樹脂材を加熱して、脱塩素処理を行いながら溶融混練するものである。冷却固化では、加熱溶融・脱塩素処理で得られた溶融合成樹脂材を、水冷等により冷却して固化させる。微粉砕処理では、前記の処理により粉砕性が向上した合成樹脂材を粉砕して、微粉砕された粒径1mm未満の合成樹脂材を製造する。
合成樹脂材として、廃プラスチック(使用済みプラスチック)を用いることが好ましい。廃プラスチックは多量に発生する廃棄物であり、リサイクル量の増加が望まれている。廃プラスチックは、通常複数種類のプラスチックの混合状態からなるものである。塩素含有廃プラスチックとして、廃プラスチックのうち特に塩素含有量の高いものを用いることが望ましい。例えばPVC(ポリ塩化ビニル)及びPVDC(ポリ塩化ビニリデン)等の塩素含有プラスチックや、これらの含有割合が高い廃プラスチック等である。産業廃棄物としてのPVC、PVDC等を用いることが特に望ましい。また、廃プラスチックに比重分離等の処理を行い、高比重分として分離された高塩素濃度のものを用いることも望ましい。廃プラスチックが加熱溶融されて充分に混合されることで異種プラスチック界面が増加して冷却時に応力が発生し、粉砕性も向上し、微粉化が容易となり、粉砕性もより向上する。
図1に示す装置を用いて微粉炭ならびに上記のようにして微粉砕された廃プラスチックの着火特性を評価した。図1は縦型電気炉1で、1200℃の空気をガス速度4m/sで予熱機2を介して炉上部より送風することで、高炉と同様の送風温度(1200℃)に加熱された電気炉内に上部より、粉体供給装置3から粉体を供給し、粉体の着火特性を評価する装置である。炉長L1は2400mm、粉体燃焼部分の長さL2は上部の粉体吹き込み配管を上下して変更でき100〜500mmである。4は排ガス排出通路、5は未燃粉サンプリング部分である。粉体として各粒度に粉砕・分級した石炭あるいは廃プラスチックを用い、それぞれの着火開始時間を測定した。廃プラスチックとしては、塩素含有濃度が1mass%以下のものを用いた。結果を図2に示す。図2には参考のため、造粒した粒径1mm以上の廃プラスチックである造粒プラ(粒径5mm)の着火開始時間も示している。図2によれば、粒子径1mm未満に微粉砕した廃プラスチックは微粉炭よりも着火開始時間が短く、微粉炭よりも燃焼性が良好であることが分かる。また、平均粒子径約300μmの微粉砕処理した廃プラスチックは、通常補助還元剤として使用される粒径程度(50μm)の微粉炭と同等の着火開始時間を示す。また、粒径1mm以上の廃プラスチックの着火開始時間は微粉炭よりも長くなり、通常炉吹込みに用いられている造粒プラの燃焼性はあまりよくないことが示されている。
次に、微粉炭ならびに上記のようにして微粉砕された廃プラスチックの燃焼率を評価した。燃焼率の評価は、図3に示す高炉下部を模擬した燃焼装置を用いて行なった。図3において、燃焼試験装置6は吹き込み方向長さが600mmであり、羽口7の径が65mm、ブローパイプ8の径が90mmのものを用いた。9はレースウェイ内温度、ガス組成を計測、採取するプローブである。廃プラスチック粉砕物10等は、ランス11を介して羽口7より燃焼試験装置内に吹きこまれ、羽口前方に形成されるレースウェイ12内で燃焼させた。13はコークス供給装置である。微粉炭と、加熱溶融、脱塩素、冷却固化、微粉砕処理された廃プラスチック各種篩い目の篩いを用いて篩い分けしたものを、羽口7より燃焼試験装置内に吹きこんで燃焼率を測定した。燃焼率は、プラスチック等の吹込みを行わない時のコークス消費速度(kg/h):GC-A、プラスチック等の吹込み時のコークス消費速度(kg/h):GC-P、コークス中炭素含有率(−):CC、プラスチック等の吹き込み速度(kg/h):GP、プラスチック等中の炭素含有率(−):CP、とした際に、燃焼率=(GC-A−GC-P)×CC/(GP×CP)×100で定義した。結果を図4に示す。なお、微粉炭および粉砕後の廃プラスチックの粒径は、マイクロトラック測定により行い、D50の値を用いた。図4の粒子径と燃焼率の関係によれば、廃プラスチックの粒径が1mm未満程度であれば微粉炭と同程度の燃焼率を有し、700μm程度以下であれば微粉炭と同程度以上の燃焼率を有することが分かる。
従って、加熱溶融・脱塩素・冷却固化・微粉砕処理された平均粒子径1mm未満の廃プラスチックを、平均粒子径1mm以上の造粒プラスチックと同時に吹き込むことで燃焼性を大幅に改善できる。特に平均粒子径700μm以下であれば、燃焼率が微粉炭以上となるので好ましく、平均粒子径が300μm以下であると、着火開始時間も微粉炭より短時間となるので、より好ましい。
したがって、高炉の羽口より炉内へ合成樹脂材を吹き込む際には、通常用いている粒径1mm以上の合成樹脂材と、微粉炭の替わりに塩素を含有する合成樹脂材を加熱溶融して脱塩素処理し、冷却固化後に微粉砕処理して製造した粒径1mm未満の合成樹脂材とを同時に吹き込むことが効果的である。粒径1mm以上の合成樹脂材100質量部に対して、粒径1mm未満の合成樹脂材を33〜300質量部の割合で吹き込むことが好ましい。33質量部未満であると、80%以上の燃焼率を確保できず、高炉内での通気抵抗が上昇する。300質量部を超えて吹き込むことは、燃焼率を上昇させる効果としては大差ないので、廃プラスチックを大量に処理するという観点からは必要がない。また、粒径1mm以上の合成樹脂材と微粉炭とを高炉へ吹き込み操業を行なっている場合に、微粉炭の一部を上記の平均粒子径1mm未満の合成樹脂材とすることも効果的である。この場合は、粒径1mm以上の合成樹脂材と、粒径1mm未満の合成樹脂材と、微粉炭とを同時に吹き込むものである。このようにすると、微粉炭の燃焼熱が造粒プラの燃焼性の向上に寄与するために、好ましい。微粉炭を同時に吹き込むにあたり、合成樹脂材に対する微粉炭の量については特に規定する必要はない。使用できる合成樹脂材の量に応じて、微粉炭の量を適宜決めることができる。したがって、例えば、合成樹脂材と微粉炭の総量を一定にして高炉吹込みを行うようにすれば、炉頂から装入するコークス量を調整することなく、一定の条件で高炉操業を継続することができ、安定した高炉操業が可能である。
次に、本発明の一実施形態を図面を用いて詳しく説明する。
図5は廃プラスチックを造粒工程により造粒して造粒プラとする工程1と、加熱溶融・脱塩素・微粉砕工程により得られた微粉砕プラを得る工程2とからなる、造粒プラと微粉砕プラとを同時に炉に吹込む本発明の一実施形態の説明図である。
図5において、工程1では、廃プラスチックは、まず前処理工程20により予め磁選、風選等を用いた異物除去と水による洗浄等を行ない、プラスチック以外の異物を可能な限り除去する。次に造粒工程21に供給され、造粒プラに加工される。工程2においては、まず簡易前処理工程24によりプラスチック以外の異物を除去するが、洗浄は不要である。次に加熱溶融・脱塩素工程25で370℃程度で加熱して、脱塩素処理を行いながら溶融混練する。加熱溶融・脱塩素工程25から得られたプラスチックは冷却工程26において水冷等により冷却して固化させ、所定の長さに切断してペレット化する。製造したペレットを粗粉砕工程27・微粉砕工程28で微粉砕プラとする。このようにして得られた造粒プラおよび粉砕プラを、吹込み手段22、29により高炉23に吹込み、高炉吹込み原料とする。
造粒工程21は通常廃プラスチック(使用済みプラスチック)を造粒する際に用いる公知の方法を用いれば良く、例えば以下の圧縮成型造粒方法のような造粒方法を用いることができ、特にフィルム状の廃プラスチックの造粒に好適である。事前に廃プラスチックを造粒処理に適当なサイズに破砕することが望ましい。
圧縮成型造粒方法:廃プラスチックを、全周に複数のダイス孔が貫設されたリングダイの孔から圧縮押出しして造粒する。たとえば、全周に複数のダイス孔が貫設されたリングダイと、このリングダイの内側にリングダイ内周面と接するようにして回転自在に配置された転動ローラとを備えた圧縮成型装置を用いるものであり、リングダイの内部に投入された廃プラスチックを、転動ローラによってリングダイ内周面との間で圧縮・圧潰しつつリングダイのダイス孔に押し込み、ダイス孔内を通過してリングダイ外面側に押し出されたプラスチック成型物を切断又はリングダイ外面から掻き落とすことにより、高炉吹き込み原料となる粒状プラスチック成型物を得るものである。主としてダイス孔内において廃プラスチックの少なくとも一部が摩擦熱によって半溶融又は溶融化し、その後固化することによりプラスチック成型物(粒状物)が得られる。
圧縮成型造粒方法で用いる造粒装置としては、たとえば、全周に複数のダイス孔が貫設され、装置本体に回転可能に支持されるとともに駆動装置により回転駆動するリングダイと、装置本体に回転自在に支持されるとともに、前記リングダイの内側にリングダイ内周面と接するようにして配置される1又は2以上の転動ローラとを備えたものが知られており、廃プラスチックを、前記転動ローラによってリングダイ内周面との間で圧縮・圧潰しつつリングダイのダイス孔内に押し込み造粒する。
圧縮成型造粒方法で用いる造粒装置の一例の概略図を図6に示す。このプラスチック圧縮成型装置は、全周に複数のダイス孔30が貫設されたリングダイ31と、このリングダイ31の内側にリングダイ内周面と接するようにして回転自在に配置された転動ローラ32a、32bと、リングダイ31の外側に配置されたカッター33とを備えている。
リングダイ31は適当な幅を有するリング体により構成され、図示しない装置本体に回転可能に支持されるとともに、同じく図示しない駆動装置により回転駆動する。このリングダイ31の周方向及び幅方向には複数のダイス孔30が設けられている。これらのダイス孔30は、リングダイ31の径方向に沿ってリングダイ31の内側(内周面)と外側(外周面)間を貫通して設けられている。ダイス孔30の孔径(直径)は造粒すべき粒状プラスチック成型物の大きさ(径)に応じて決められるが、通常3〜15mm程度である。また、ダイス孔30の長さ(リングタイ31の厚さ)は通常30〜150mm程度である。
転動ローラ32a、32bは装置本体に回転自在に支持されるとともに、リングダイ31の内側に180°対向した状態に配置されている。これら転動ローラ32a、32bは無駆動のフリーのローラ体であり、リングダイ31の内周面と接しているためその内周面との摩擦によりリングダイ31の回転に伴って回転する。なお、この転動ローラ32の数は任意であり、1個又は3個以上設けてもよい。
カッター33は、その刃先がリングダイ31の外周面に接するか又は外周面の近傍に位置するように設けられ、ダイス孔30からリングダイ31の外側に棒状に押し出されるプラスチック成型物を適当な長さに切断する(又はリングダイ外周面から掻き落す)ものである。
以上のようなプラスチック圧縮成型装置では、リングダイ31が図中矢印方向に回転駆動し、これに随伴して転動ローラ32a、32bも回転している状態で、投入口34からリングダイ31内部に廃プラスチックが投入され、この投入された廃プラスチックはリングダイ31内で混合され、転動ローラ32a、32bによってリングダイ31内周面との間で圧縮・圧潰されつつリングダイ31のダイス孔30内に押し込まれる。ダイス孔30内に押し込まれた廃プラスチックは、ダイス孔内を通過してリングダイ31の外面側に棒状に成型された状態で順次押し出され、このプラスチック成型物がカッター33により適当な長さに切断されることにより、粒状プラスチック成型物35が得られる。36は排出口である。
加熱溶融・脱塩素処理工程25においては、廃プラスチックを加熱溶融して溶融混練し、脱塩素処理を行う際に、押出し機を用いて行なうことが好ましい。加熱溶融・脱塩素処理工程25で用いる押出し機の一例を、図7に示す。
押出し機とは、図7に示すようにシリンダ40内に押出しスクリュー41を有し、プラスチックを加熱しながらシリンダ内移送することで溶融混練する装置である。押出し機のスクリューの動力は大きく、狭いシリンダ内を廃プラスチックが移動しながら溶融混練されるため、充分な攪拌力により、良好な混合状態を得ることができる。また、スクリューの径や回転数を変更することで押出し機内の滞留時間を容易に調整できるので制御性が高く、所定の操業条件を実施しやすい。また、押出し機を複数台配置するなど、製造ライン設計の自由度も大きい。押出し機のスクリューは任意の数のものを用いることができるが、処理効率の点からは2本以上のスクリューを有する押出し機を用いることが望ましい。
また、押出し機を用いることで、攪拌と同時に搬送も行なうことができ、効率的に処理できる。従って、連続プロセスに容易に対応することができ、熱効率が良く、高い生産性を有する廃プラスチックの処理を行なうことができる。
廃プラスチックは、通常複数種類のプラスチックの混合状態からなるものである。廃プラスチックが充分に混合されることで異種プラスチック界面が増加して冷却時に応力が発生し、粉砕性も向上する。廃プラスチックのうち特に塩素含有量の高いものを用いることにより粉砕性がより向上する。
押出し機が、図7に示すように、廃プラスチックから水分を除去する第一の押出し部分43と、塩化水素を除去する第二の押出し部分44とを備えることが望ましい。
廃棄物であることに由来して、廃プラスチックは水分等を含んでおり、また、本発明においては塩素を含有するものである。塩素を含有するプラスチックは加熱処理により塩素ガスが発生して、炉や配管等を腐食させるため、脱塩化水素処理をした後に高炉等に吹込むことが望ましい。したがって、廃プラスチックを押出し機を用いて加熱する際に脱塩素処理を行うことが望ましいが、水分と塩化水素とを同時に除去すると塩酸が生成するため腐食の問題が発生して望ましくないため、水分を除去した後に、脱塩素処理を行うことが望ましい。
第一の押出し部分43では、廃プラスチックを加熱して溶融させる際に水分を蒸発させて除去する。加熱温度は高いほど次工程での熱損失が少なくなるが、塩素が発生する温度未満とする必要があり、160〜200℃程度とすることが望ましい。水蒸気を放出する配管に耐腐食性の材質のものを用いれば、より高温での処理も可能である。この処理は脱水と溶融とが目的であり、第二の押出し部分44に比較して短時間で処理することが可能である。
第二の押出し部分44では、第一の押出し部分43で溶融しないで残存したプラスチックを溶融させて、充分に混合し、プラスチックに含有されている塩素成分を除去する。脱塩素処理は300℃以上で行なうことが効率的であり、高温ほど処理効率が高いが、高温であるほどプラスチックの分解が進み、気化して粉砕物として回収できる割合が低下するため、加熱温度は350〜390℃程度とすることが望ましい。この処理は脱塩素が目的であり、第一の押出し部分43に比較すると長時間を要する。
このような脱ガス処理を行なう際には、溶融プラスチックと外気との界面の面積が大きいことが望ましいが、押出し機内で充分に溶融プラスチックの液面が形成されるように廃プラスチックの投入量を調整するか、押出し機のシリンダ上部に凸部45を設けて気液界面を形成させることで、充分に脱ガスを行なうことが可能となる。また、スクリューの回転により気液界面が随時更新され、発生する塩化水素等の気体の離脱がいっそう容易となる効果もある。
したがって、第二の押出し部分44に用いる押出し機は押出し機シリンダの上部に脱ガス空間45を有し、該脱ガス空間45から廃プラスチックから発生した塩化水素ガスを除去するための配管46を有することが望ましい。脱ガス空間45の存在により溶融プラスチックと外気との界面を形成して、脱塩素効率を向上させることができる。また、脱ガス空間に窒素等の不活性ガスを供給し、積極的に塩化水素を系外に排出させることも可能である。配管46は押出し機の加熱温度と同程度かそれ以上に加熱することが望ましい。
冷却工程26では、押出し機からダイス等を用いて押出されたプラスチックを冷却して固化する。図7に示すような水槽47による直接水冷等、あるいはスチールベルトクーラーのような間接冷却等の公知の方法を用いて冷却すればよい。冷却後の処理プラスチックは適宜切断して、ペレット化してもよく、板状にしてもよい。
粗粉砕工程27・微粉砕工程28で、冷却後の処理プラスチックを微粉砕プラとする。粉砕は通常の粉砕機を用いて行なえばよい。微粉化の程度によっては、粉砕工程を一工程で行なうことも可能である。
上記の処理方法を用いることで、工程2において、廃プラスチックを粒径1mm未満に微粉化することができる。粉砕物の粒度分布を粒径500μm以下が80mass%以上とすることで、特に優れた燃焼性を有するものとなる。
工程1ならびに工程2より得られた造粒プラならびに微粉砕プラは吹込み手段22、29により高炉23に気送されるが、気送のための配管途中で混合してもよく、1つの貯留槽に混合して貯留した後に、高炉に吹き込むこともできる。
図5のフローに従い造粒プラならびに微粉砕プラを製造した。加熱溶融・脱塩素処理は図7に示す第一の押出し部分と、第二の押出し部分を有する押出し機を用いて行なった。第一の押出し部分での加熱温度を180℃、第二の押出し部分での加熱温度を335℃ととした。得られた粒径1mm以上の造粒プラ(直径7mm、長さ10〜15mm)、粒径1mm未満の微粉砕プラ(粒径0.5mm以下)、さらに、使用した微粉炭(75μm以下、80mass%以上)の性状を表1に示す。
Figure 2007239058
上記の粒径1mm以上の造粒プラ、粒径1mm未満の微粉砕プラ、微粉炭を用いて高炉吹き込み試験(操業No.1〜6)を行ない、燃焼性と高炉下部通気抵抗指数を測定した。試験は、内容積5000m3の実用高炉において表2の条件にて、吹き込み方法を変化させて行った。造粒プラと微粉砕プラ、微粉炭の吹込み方法を図8に示す。図8において、50は高炉の炉壁であり、炉壁50の紙面に向かって右側が高炉内である。図8(a)は造粒プラを配管51から、微粉砕プラを配管52から吹き込み、造粒プラと微粉砕プラを配管51内で混合した後、別の配管53から吹き込む微粉炭とともに高炉の羽口54から吹き込む場合である。55は熱風である。図8(b)は予め混合した造粒プラと微粉砕プラとを配管51から吹き込み、別の配管53から吹き込む微粉炭とともに高炉の羽口54から吹き込む場合である。図8(c)は造粒プラを配管51から、微粉砕プラを配管52から吹き込み、造粒プラと微粉砕プラを配管51内で混合した後、微粉炭と混合することなく高炉の羽口54から吹き込む場合である。図8(d)は造粒プラを配管51から、別の配管53から吹き込む微粉炭とともに高炉の羽口54から吹き込む場合である。造粒プラおよび微粉砕プラの搬送ガス速度は20m/s、微粉炭の搬送ガス速度は15m/sとした。
Figure 2007239058
高炉下部通気抵抗指数は高炉下部の圧損を示す指標であり、高炉下部通気抵抗指数が大であるほど圧力損失が大であることを示す。高炉下部通気抵抗指数(K)は以下の式(e)より算出する。
=(Pblast 2−P4 2)×106/Vbosh・・・(e)
ここでPblast、P4はそれぞれ送風圧、シャフト4段圧力(Kg/cm2)、Vboshはボッシュガス量(Nm3/min)である。
燃焼性は造粒プラ、微粉砕プラ、微粉炭の総量のコークスとの置換率を、燃焼率として評価した。
操業No.1〜3は、図8(a)の吹き込み方法であり、造粒プラと微粉砕プラの比率を変更し、配管途中で混合した場合、操業No.4は、図8(b)の吹き込み方法であり、造粒プラと微粉砕プラを同じ貯層に装入し、吹き込んだ場合、操業No.5は、図8(c)の吹き込み方法であり、造粒プラと微粉炭を配管途中で混合した場合、操業No.6は、図8(d)の吹き込み方法であり、造粒プラと微粉炭を別々のランスから吹き込んだ場合である。各操業における燃焼率と高炉下部通気抵抗指数(K)の測定結果を表2に併せて示す。
造粒プラと微粉炭を混合して高炉吹込みを行なった操業No.5、6に比較して、造粒プラに微粉砕プラを混合した後に微粉炭とともに高炉吹込みを行なった操業No.1〜4では、燃焼率が増加し、高炉下部通気抵抗指数(K)が低下した。本結果より、微粉砕プラを利用することで造粒プラの燃焼性、通気性が改善されることが分かった。
着火特性を評価する試験装置の概略図。 着火開始時間の測定結果を示すグラフ。 燃焼率の評価を行なう燃焼試験装置の概略図。 燃焼率の測定結果を示すグラフ。 本発明の一実施形態の説明図。 圧縮成型造粒方法で用いる造粒装置の一例の概略図(リングダイ造粒装置)。 加熱溶融・脱塩素処理工程で用いる押出し機の一例を示す概略図。 実施例における造粒プラと微粉砕プラ、微粉炭の吹込み方法を示す説明図。
符号の説明
1 縦型電気炉
2 予熱機
3 粉体供給装置
4 排ガス排出通路
5 未燃粉サンプリング部分
6 燃焼試験装置
7 羽口
8 ブローパイプ
9 プローブ
10 廃プラスチック粉砕物
11 ランス
12 レースウェイ
13 コークス供給装置
20 前処理工程
21 造粒工程
22 吹込み手段
23 高炉
24 簡易前処理工程
25 加熱溶融・脱塩素工程
26 冷却工程
27 粗粉砕工程
28 微粉砕工程
29 吹込み手段
30 ダイス孔
31 リングダイ
32a、32b 転動ローラ
33 カッター
34 投入口
35 粒状プラスチック成型物
36 排出口
40 シリンダ
41 押出しスクリュー
43 第一の押出し部分
44 第二の押出し部分
45 凸部(脱ガス空間)
46 配管
47 水槽
50 高炉の炉壁
51 配管
52 配管
53 配管
54 羽口
55 熱風
1 炉長
2 粉体燃焼部分の長さ

Claims (4)

  1. 高炉の羽口より炉内へ合成樹脂材を吹き込む際に、粒径1mm以上の合成樹脂材と、塩素を含有する合成樹脂材を加熱溶融して脱塩素処理し、冷却固化後に微粉砕処理して製造した粒径1mm未満の合成樹脂材とを同時に吹き込むことを特徴とする高炉への合成樹脂材の吹き込み方法。
  2. 粒径1mm以上の合成樹脂材100質量部に対して、粒径1mm未満の合成樹脂材を33〜300質量部の割合で吹き込むことを特徴とする請求項1に記載の高炉への合成樹脂材の吹き込み方法。
  3. 粒径1mm以上の合成樹脂材と、粒径1mm未満の合成樹脂材と、微粉炭とを同時に吹き込むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の高炉への合成樹脂材の吹き込み方法。
  4. 合成樹脂材として廃プラスチックを用いることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の高炉への合成樹脂材の吹き込み方法。
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