JP2007238400A - マーキング方法及びインク - Google Patents

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Abstract

【課題】セラミックス製品に対して、高温下でも消失・退色しにくいマークを付与することができ、複雑なマークや多種類のマークであっても、簡易に短時間でマーキング可能なマーキング方法、及び該方法に適したインクを提供する。
【解決手段】マーキング方法は、1000℃以上1700℃以下の焼成により発色する無機顔料を全組成物量に対し15wt%以上34wt%以下含有し、無機顔料に対し有機分として0.1wt%以上1.6wt%以下の分散剤が添加されたインクを調製するインク調製工程と、文字、数字、記号、図柄、識別コードの少なくとも何れか一つを含むマークをデジタル画像として作成する画像作成工程と、デジタル画像に基づきインクを吐出してセラミックス体にマークをインクジェット印刷するインクジェット印刷工程と、マークがインクジェット印刷されたセラミックス体を1000℃以上1700℃以下で焼成する焼成工程とを具備する。
【選択図】なし

Description

本発明は、マーキング方法及びインクに関するものであり、特に、高温下で使用・製造されるセラミックス製品を対象としたマーキング方法、及び該方法に適したインクに関するものである。
一般的に、工業製品には、製造番号、型番号、ロット番号、社印や社名ロゴ等がマーキングされることが多い。そして、高温下で使用・製造される各種のセラミックス製品に対しても、このようなマーキングを行うことが、従来より試みられている。ここで、高温下で使用・製造されるセラミックス製品としては、匣鉢・棚板等の焼成用耐火物、炉心管や保護管等として使用されるセラミック管、高温集塵用のセラミックフィルタ、IC回路用のアルミナ基板等のセラミック電子材料を例示することができる。なお、匣鉢・棚板等の焼成用耐火物とは、陶磁器・建材・電子部品等を焼成する際に、焼成対象物を保護すると共に、焼成炉内に効率良く積み上げるために使用される冶具である。
そして、このようなセラミックス製品に対するマーキング方法としては、一般的に、ゴム型に高粘度のインクを付け、対象物に押印するスタンプ印刷法が用いられている。また、アルミナの基板上にガラス質材料のペーストによりマークをスクリーン印刷し、対象物にこの基板を取付ける方法(特許文献1参照)、貴金属粉末にガラスフリットを添加したマーキング材料によって標識用基板の表面上にマークを印刷し、これを対象物に貼付する方法(特許文献2参照)、無機化合物及びガラスフリットを含むインクにより印字用リボン又はシートを形成し、対象物に熱転写又は押印印字する方法(特許文献3参照)、セラミックス焼結体により構成される電子部品にレーザ光を照射してマークを形成し、その後熱処理する方法(特許文献4参照)が提案されている。
実開昭62−142083号公報 特開平6−58679号公報 特公平7−45258号公報 特開2005−150636号公報
しかしながら、スタンプ印刷法では、社印や社名ロゴ等の単純で単一のマークを大量に印刷するのには適しているが、ゴム型を形成する必要があることから、複雑なマークや多種類のマークの印刷には適していないという問題があった。また、対象物に応じて多種類のマークをスタンプ印刷する場合は、ゴム型を取替えながら手作業で印刷されているのが現状であり、労力の負担が大きく、生産コストも嵩むという問題があった。また、作業に時間を要することから、印刷対象の製品の製造ライン上ではマーキングができないという問題もあった。
また、スクリーン印刷による方法(特許文献1)では、ある程度複雑なマークを印刷することができるものの、製版の工程が必要であり、多種類のマークに対応するためには多数の製版をしなくてはならないことから、労力負担や所要時間が増大することに加え、コストが嵩むという問題があった。
更に、ガラス質の材料を用いてマーキングする方法(特許文献1乃至特許文献3)では、一般的に1000℃以上に加熱するとガラス成分が溶融し、マークが消失してしまう問題があった。加えて、ガラスに含まれるアルカリ金属成分や鉛などの重金属成分の蒸発により、焼成する製品が汚染されて特性が劣化したり、焼成炉が傷んだりするという問題もあった。特に、上記のような焼成用耐火物、炉材、高温集塵フィルタ等は、高温下で繰り返し使用されるものであり、かかる問題は大きなものであった。
加えて、基板にマーキングして製品に貼付する方法(特許文献1及び特許文献2)や印字用リボン・シートを介してマーキングする方法(特許文献3)では、間接的な印刷となり、基板を貼付する工程やリボン等を作製する工程など、マーキングのための工程数が増え、手間や時間がかかるという問題があった。更に、レーザ光によるマーキング方法(特許文献4)では、対象物に直接的にマーキングできるものの、レーザ光照射装置を必要とすることから、設備が大掛かりとなり、生産コストも嵩むという問題があった。
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、セラミックス製品に対して、高温下でも消失・退色しにくいマークを付与することができ、複雑なマークや多種類のマークであっても、簡易に短時間でマーキング可能なマーキング方法、及び該方法に適したインクの提供を課題とするものである。
本発明にかかるマーキング方法は、「1000℃以上1700℃以下の温度での焼成により発色する無機顔料を、全組成物量に対し15wt%以上34wt%以下含有し、該無機顔料に対し有機分として0.1wt%以上1.6wt%以下の分散剤が添加されたインクを調製するインク調製工程と、文字、数字、記号、図柄、識別コードの少なくとも何れか一つを含むマークをデジタル画像として作成する画像作成工程と、該デジタル画像に基づき、前記インクを吐出してセラミックス体に前記マークをインクジェット印刷するインクジェット印刷工程と、前記マークがインクジェット印刷された前記セラミックス体を、1000℃以上1700℃以下の温度で焼成する焼成工程とを」具備して構成されている。
「セラミックス体」は、未加熱の成形体、成形体を焼成温度より低温で仮焼した仮焼体、成形体または仮焼体を本焼成した焼結体を例示することができる。成形体の成形方法は特に限定されず、加圧成形、押出成形、射出成形、鋳込成形等を例示することができる。このセラミックス体を焼成して製造されるセラミックス製品としては、陶磁器や電子部品等を焼成する際に、焼成対象物を保護したり焼成炉内に効率良く積み上げたりする目的で使用される匣鉢・棚板・サヤ・ボート・るつぼ等の焼成用耐火物、炉壁や炉床等に使用される耐火煉瓦等の炉材、炉心管や保護管として使用されるセラミック管、IC回路用基板などのセラミック電子材料、フェライトコア等の磁気材料、高温集塵用のセラミックフィルタ等を例示することができる。
「文字、数字、記号、図柄、識別コードの少なくとも何れか一つを含むマーク」としては、製造番号、型番号、ロット番号、社印や社名ロゴ、バーコードや二次元シンボル等の識別コード、写真や意匠的な図柄を例示することができる。
「インクジェット印刷」に用いる印刷機は、特に限定されるものではなく、例えば、インクを吐出するヘッドの方式として、圧電素子を利用したピエゾ方式、発熱素子を利用したサーマル方式を用いた印刷機を使用することができる。また、印刷対象物は、印刷される面が平面のものに限定されない。例えば、印刷対象物が管状や円柱状などであっても、吐出されるインクに対して対象物を回転させる制御を行うことにより、直接的にインクジェット印刷することが可能である。
また、通常のインクジェット印刷では、有機顔料インクや有機染料インクが用いられるが、本発明では、一般的に高い耐熱性を有する「無機顔料」がインクの色材として使用される。ここで、「1000℃以上1700℃以下の温度での焼成により発色する無機顔料」は、青色・黒色・茶色系統に発色する顔料として、コバルト、コバルト−アルミニウム、コバルト−鉄−アルミニウム、アンチモン−錫、クロム−鉄、クロム−コバルト−鉄、鉄などの酸化物を例示することができ、白色・黄色系に発色する顔料として、チタン、アルミニウム、錫、亜鉛、などの酸化物を例示することができる。また、後述のように、有色希土類酸化物であるネオジム、プラセオジム、ホルミウム、エルビウムなどの酸化物も使用可能である。なお、セラミックス製品の素地が淡色系の場合は、青色・黒色・茶色系統の顔料を使用し、濃色系の場合は、白色や黄色系統の顔料を使用すると好適である。
印刷されたマークが消失・退色しにくいものとなるためには、マークが濃色で印刷される必要がある。ここで、インクの無機顔料濃度が低濃度であっても、例えば、ヘッドを同じ位置で数多く往復させ、重ね印刷することによりマークの濃色化を図ることができるが、その場合は印刷の所要時間が増加してしまう。また、水系のインクの場合、無機顔料濃度が低濃度であると、インク中に多く含まれる溶媒が印刷後に乾燥しきれず、インクが印刷対象物の表面に滲み広がってマークが不鮮明なものとなる。そのため、複雑なバーコード等の識別コードでは読み取りが困難となるなど、高精細であることが求められるマークを付すには、低濃度のインクは適していない。加えて、低濃度のインクは、粘度が低いために比重の大きな無機顔料の粒子が沈降し易く、沈降安定性が低下し、長期保存性の悪いものとなる。
一方、マークを濃色にするために無機顔料の濃度を高めると、無機顔料の粒子が凝集し易く、インク中に良好に分散させにくくなり、凝集粒子によるノズル詰まりも生じ易くなる。また、インクの粘度の増大により、ノズルからのインクの吐出が困難となる。更に、分散剤の添加により、分散性を良好なものに維持しつつある程度までは無機顔料の濃度を高めことができるが、分散剤の量が多すぎれば逆に凝集が生じ易くなる。
そこで、無機顔料の粒子の分散性が良好で凝集しにくく、インクジェット印刷機のノズルから良好に吐出可能な状態を保ちながら、無機顔料の濃度を高めたインクとすることについて鋭意研究の結果、0.1wt%以上1.6wt%以下の分散剤を添加することにより、無機顔料濃度を15wt%以上34wt%以下まで高めることができることを知見した。ここで、分散剤の添加量は、溶媒分を除き、焼成によって消失する有機分の無機顔料に対する質量百分率で表している。
「分散剤」は、無機顔料やセラミックス粉体に対して使用される周知の有機系分散剤が使用可能であり、アニオン系、カチオン系、ノニオン系の分散剤の中から、一種類または複数種類を適宜選択することができる。具体的には、ステアリン酸塩、アルギン酸塩、カルボン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンソルビタンモオノレート、ポリカルボン酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリオキシエチレン脂肪酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等の有機塩類、メチルセルロース、エチルセルロースなどの有機類、しゅう酸、酢酸などの酸類を使用することができる。
「焼成工程」は、インク中の無機顔料を焼成する工程であり、セラミックス体が成形体や仮焼体である場合は、セラミックス体を焼成する工程を兼ねることもできる。ここで、焼成温度は、1000℃以上1700℃以下の範囲で、無機顔料とセラミックス体の焼成に適した温度に設定される。そして、1000℃以上1700℃以下の高温での焼成工程を経ることにより、付されたマークは、焼成温度までの高温に耐え得る耐熱性を有することとなる。なお、焼成雰囲気は特に限定されず、酸化雰囲気、還元雰囲気、真空雰囲気など、焼成対象物に応じて適宜設定することができる。
なお、インク調製工程、画像作成工程、インクジェット印刷工程、及び焼成工程は、一連の工程として連続的に行われる必要はなく、既に調製済みのインクを長期保存して印刷に使用する場合や、既に作成済みのデジタル画像を利用して印刷する場合など、各工程間に長期的な時間経過があっても良い。また、インク調製工程及び画像作成工程に先後関係はなく、且つ、両工程が同時に行われるものであっても構わない。
従って、本発明によれば、一般的に高い耐熱性を有する無機顔料をインクの色材として用い、1000℃以上1700℃以下の高温で焼成することにより、焼成用耐火物、炉材、高温集塵用フィルタ等のように、高温下で繰り返して使用されるセラミックス製品に対して、高温下で消失・退色しにくい安定なマークを付与することが可能となる。また、無機顔料は、一般的に耐食性にも優れることから、IC回路用のセラミックス基板のように、製造工程でプラズマ照射や紫外線照射のような過酷な環境を経るものであっても、付与されたマークが消失・退色しにくい安定なものとなる。
また、無機顔料に対し有機分として0.1wt%以上1.6wt%以下の分散剤を添加することにより、凝集粒子が生じにくく、沈降安定性に優れ、ノズル詰まりの生じにくいインクとしつつ、無機顔料の濃度を15wt%以上34wt%以下という、ある程度の高濃度まで高めることができる。これにより、無機顔料系のインクにインクジェット印刷技術を適用して、セラミックス体に濃色のマークを付すことが可能となる。
このように、セラミックス体へのマーキングに、インクジェット印刷技術を適用できることにより、スタンプ印刷やスクリーン印刷のように、マークの原型を作成する必要がなく、工程数を減らし労力や経費を軽減して、効率の良いマーキングすることが可能となる。加えて、大掛かりな設備を必要とすることなく、簡易な構成であるインクジェット印刷機を用いて、マーキングすることができる。
また、インクジェット印刷においては、コンピュータ上でワードプロセッサソフト、CADソフト、画像編集ソフトなどを用いて処理したデジタル画像に基づいて印刷する技術が既に確立されているため、マーキングのための新規なマークを容易に作成することができる。特に、複雑なデジタル画像であっても、コンピュータ上で簡易に作成することができるため、セラミックス体に複雑なマークを付与することが可能となり、例えば、バーコード、二次元シンボルなど、複雑で情報量の多い識別コードを印刷することができる。
加えて、コンピュータ上でのデジタル処理により、既製のマークの修正・変更を、極めて容易に行うことができるため、セラミックス製品の仕様の変更にも迅速に対応して、マークを変更することができる。また、インクジェット印刷工程においても、コンピュータ制御により、印刷するマークの種類、印刷数、印刷の順番などを容易に設定・変更することが可能となるため、同一ラインに多種類の印刷対象物を混在させ、多種類のマークを付与することができる。
また、インクの濃度(無機顔料濃度)を15wt%以上34wt%以下という、ある程度の高濃度とすることができるため、重ね印刷の際にヘッドを同位置で往復させる回数を減らしても、濃く鮮明な印刷をすることができる。これにより、マーキングの所要時間を短縮することが可能となる。
更に、印刷の工程を、コンピュータで容易に制御可能なインクジェット印刷工程とすることにより、マーキングの工程を自動化し、セラミックス製品の製造ラインに組込むことができる。特に、本発明は、上記のように、インクを高濃度としたことによりマーキングの所要時間が短いため、一般の加圧成形や押出し成形で数秒〜十数秒程度という短時間で成形されるセラミックス体の製造工程に、マーキングの工程を組み込むことが可能となる。
また、本発明にかかるマーキング方法は、「前記無機顔料は、平均粒子径が10nm以上100nm以下である」ものとすることができる。ここで、平均粒子径は動的光散乱法によるものである。
従って、本発明によれば、比重の大きな無機顔料であっても、平均粒子径が10nm以上100nm以下という微小な粒子を使用することにより、インク中の無機顔料の粒子の分散性がより良好なものとなる。また、沈降安定性に優れ、組成がより均一なインクを用いて、再現性(品質安定性)の高いマーキングをすることができる。また、長期保存中にも無機顔料の沈殿や凝集が生じにくいインクを使用することにより、インクジェット印刷の際にノズル詰まりがより生じにくく、より良好にインクを吐出することが可能となる。なお、無機顔料の平均粒子径は80nm以下であれば、更に好適である。
次に、本発明にかかるインクは、「1000℃以上1700℃以下の温度での焼成により発色する無機顔料を、全組成物量に対し15wt%以上34wt%以下含有し、該無機顔料に対し有機分として0.1wt%以上1.6wt%以下の分散剤が添加される」ものである。
従って、本発明によれば、1000℃以上1700℃以下の高温で焼成されるセラミックス体に対して、マーキングや加飾を行うために適したインクとなる。また、このインクが適用されたセラミックス体が焼成されたセラミックス製品が、高温下で繰り返し使用され、あるいは、プラズマ照射等の過酷な環境下で製造・使用される場合であっても、消失・退色しにくい、安定なマークを施すことができるインクとなる。
更に、無機顔料濃度を高めつつ、インクジェット印刷に適したインクに調製されるため、上述の本発明のマーキング方法に適したものとなる。なお、絵筆や刷毛を使用し、セラミックス体に直接描画する等、インクジェット印刷以外の他の印刷方法に本発明のインクを適用することもできる。なお、印刷対象物がセラミックス体以外の物であっても構わない。
本発明の効果として、セラミックス製品に対して、高温下でも消失・退色しにくいマークを付与することができ、複雑なマークや多種類のマークであっても、簡易に短時間でマーキング可能なマーキング方法、及び該方法に適したインクを提供することができる。
以下、本発明の一実施形態であるマーキング方法、及びインクについて、図1乃至図4に基づいて説明する。図1は本実施形態のマーキング方法における工程を示すフローチャートであり、図2は図1のマーキング方法の概要を模式的に示す説明図であり、図3は本実施形態のインクの無機顔料濃度と見掛け粘度との関係の一例を示すグラフであり、図4は本実施形態のインクの分散剤濃度と見掛け粘度との関係の一例を示すグラフである。なお、本実施形態では、セラミックス体として、多孔質のセラミックス成形体を用いた場合を例示する。
本実施形態のマーキング方法1は、主に図2に示すように、インク2と、マーキング対象の多孔質のセラミックス成形体10と、ワードプロセッサソフトや画像処理ソフトがインストールされ、文字、数字、記号、図柄、識別コードの少なくとも何れか一つを含むマーク21の基となるデジタル画像11を作成可能なコンピュータ5と、コンピュータ5と電気的に接続され、デジタル画像11に基づいて、ノズル7を有するヘッド6からインク2を吐出するインクジェット印刷機(図示しない)と、マーク21が印刷されたセラミックス成形体10を焼成する焼成炉(図示しない)とを、主に用いて実施される。
本実施形態のマーキング方法1における各工程について、主に図1に基づいて説明する。まず、1000℃以上1700℃以下で発色する無機顔料を全組成物量に対し15wt%以上34wt%以下とし、分散剤を無機顔料に対し有機分として0.1wt%以上1.6wt%以下添加し、ボールミリング等の適宜の混合方法で混合してインク2を調製する(インク調製工程S1)。本実施形態では、平均粒子径が10nm以上100nm以下の無機顔料を使用している。なお、ノズル7から良好に吐出できるインク2として、見掛け粘度をある程度の指標とすることができ、見掛け粘度が5mPa・s以上10mPa・s以下とされると望ましい。ここで、見掛け粘度は、回転粘度計を用い、温度25℃、ずり速度1000〜3000/sで測定する値を示している。
このとき、溶媒は、水系溶媒であっても非水系溶媒であってもよいが、本実施形態では作業環境を考慮し、水系溶媒を使用している。ここで、水系溶媒を用いる場合、ノズル先端部での乾燥を防止する目的で乾燥防止剤を添加することができる。この乾燥防止剤は、水と混合可能な親水性を有すると共に、粘度に与える影響の小さいものが望ましく、エチルアルコール、エチレングリコール等のアルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、グリセリン、ジアセトンアルコール、2−ピロリドンを例示することができる。更に、無機顔料粒子の沈降性や表面張力の大きさを調整する目的等により、湿潤剤、界面活性剤、沈降防止剤等の他の添加剤を添加してもよい。但し、これらの添加剤の過剰な添加は、インクの粘度の増加や、表面張力の大幅な低下の原因となり、インクジェット印刷に適さないインクとなる恐れがあるため、インクに対して1wt%以下、更に望ましくは、0.5wt%以下の添加量とすることが望ましい。
一方、コンピュータ5を使用し、セラミックス成形体10に印刷するマーク21の基となる、デジタル画像11を作成する(画像作成工程S2)。ここで、マーク21は、例えば、製造番号、型番号、ロット番号、社印や社名ロゴ、バーコードや二次元シンボル等の識別コード、意匠的な図柄であり、デジタル画像11は、ワードプロセッサソフトや画像処理ソフトによって新規に作成することができる。あるいは、既成のデジタル画像11やデジタルカメラやスキャナ等の外部機器から読み込んだデジタルデータを利用し、これを加工・編集してデジタル画像11とすることができる。なお、インク調製工程S1及び画像作成工程S2の先後は、必ずしも上記の順である必要はなく、逆順であっても、両工程が同時に進行されるものであってもよい。
そして、作成されたデジタル画像11に基づいて、インクジェット印刷機のヘッド6のノズル7からインク2を吐出し、セラミックス成形体10にマーク21をインクジェット印刷する(インクジェット印刷工程S3)。このとき、コンピュータ制御により、予めコンピュータ5に記憶されたプログラムに基づき、あるいは、作業者の入力に基づき、セラミックス成形体10の種類や数に応じて、印刷するマーク21の種類、印刷数、印刷の順番などを設定することができる。これにより、例えば、同一ラインに型番号の異なる製品を混在させて自動的にマーキングしたり、製品ごとに個別の識別コードをマーキングしたりすることができる。
なお、本実施形態では、複数のノズルから同時にインクを吐出し高速で印刷可能なピエゾ式のインクジェット印刷機を使用している。特に、圧電素子の剪断変形によってインクを吐出し、インクの粘度が比較的高くても吐出が可能なシェアタイプのピエゾ方式が好適である。また、印刷の際にヘッド6を同一位置で複数回往復させることにより、印刷されるマーク21を濃色化することができるが、本実施形態では無機顔料の濃度を15wt%以上に高めているため、数回程度の少ない往復回数で濃色のマーク21を印刷することができる。
なお、本実施形態では、ノズル7とノズル7へのインク導入部(図示しない)との間に、直径5〜10μmのメッシュ状のフィルタが設けられている。これにより、インク2に粗い粒子が万一混在していてもノズル7へ導入されず、ノズル7の詰まりを防止することができる。
また、セラミックス成形体10におけるマーキング箇所は、セラミックス成形体10が焼成されたセラミックス焼結体20が実際に使用される際に、使用に影響しない箇所が選ばれることが望ましい。例えば、角形の匣鉢や棚板などでは、側面や下面の平面部分にマーキングすることができる。なお、高温集塵フィルタやセラミック管など、平面的ではない部分を印刷対象とする場合、ノズル7から吐出されるインクの経路に対してセラミックス成形体10を回転させたり、ノズル7或いはアクチュエータ等の制御によって、インク2の吐出方向に対してセラミックス成形体10を相対的に変位させたりすることにより、直接的にインクジェット印刷することが可能である。
次に、インクジェット印刷されたセラミックス成形体10を焼成炉に導入し、1000℃以上1700℃以下の温度で焼成する(焼成工程S4)。これにより、インク2中の無機顔料が焼成され、高温下でも安定なマーク21が形成される。また、本実施形態の焼成工程S4は、セラミックス成形体10を焼成してセラミックス焼結体20とする工程を兼ねている。この場合、焼成温度はセラミックス成形体10に応じて設定され、例えば、匣鉢や棚板などの焼用耐火物では1300℃以上、アルミナ成形体の場合は1500℃以上とすることができる。
なお、上記の各工程は、セラミックス製品の製造ラインに組み込むことができる。例えば、セラミックス成形体10を作製する成形工程と焼成工程S4との間に、インクジェット印刷工程S3を設けることができる。これにより、製造された段階で、既にマーク21が施されたセラミックス製品となり、製造後にマーキングする場合に比べて効率の良いものとなる。
従って、本実施形態のマーキング方法1及びインク2によれば、高い耐熱性を有する無機顔料をインク2の色材として用い、1000℃以上1700℃以下の高温で焼成することにより、高温下で使用されるセラミックス製品に対して、高温下で消失・退色しにくい安定なマーク21を付与することが可能となる。
また、インク調製工程S1において、従来は比重が大きいためにインクジェット印刷に適用することが困難であった無機顔料を使用して、無機顔料粒子が凝集しにくく、沈降安定性に優れ、ノズル7の詰まりの生じにくいインク2が調製されるため、インクジェット印刷技術を適用して、無機顔料系のインクによってセラミックス成形体10をマーキングすることが可能となる。なお、本実施形態では、平均粒子径が10nm以上100nm以下の微小粒子の無機顔料を使用しているため、より分散性が良好で沈降安定性に優れ、ノズル7の詰まりの生じにくいインク2が調製される。
更に、デジタル画像作成工程S2においては、新規なマーク21を容易に作成することができ、既製のマーク21に修正・変更を加えることも容易に行うことができる。これにより、セラミックス成形体10の種類に応じて、多種類のマーク21を付与することが可能となる。また、複雑なマーク21の基となるデジタル画像11も容易に作成することができ、例えば、バーコード、二次元シンボルなど、情報量の多い複雑な識別コードをマーク21とすることができる。
加えて、インクジェット印刷工程S3において、コンピュータ制御により、印刷するマーク21の種類、印刷数、印刷の順番などを容易に設定することができるため、同一のインクジェット印刷工程S3で、多種類のセラミックス成形体10に対応し、多種類のマーク21をマーキングすることができる。
また、セラミックス成形体10へのマーキングにインクジェット印刷を適用できることにより、マークの原型を作成する工程が必要なく、マーキングの工程を簡易な構成とし、効率良くマーキングすることができる。また、印刷のための設備が簡易なものとなる。
次に、無機顔料濃度とインクの見掛け粘度との関係の一例を図3に、分散剤添加量とインクの見掛け粘度との関係の一例を図4にグラフ化して示す。ここでは、無機顔料として平均粒子径50nmのコバルト−アルミニウム酸化物を用い、水と乾燥防止剤が80:20の溶媒に、所定量の無機顔料と、無機顔料に対し有機分として所定量の分散剤とを添加し、3日間ボールミルにより混合して調製したインクについて、回転粘度計(HAKKE製VT−550:NVローター、ずり速度2000/s)で測定した見掛け粘度を示している。また、図3においては、分散剤添加量を無機顔料に対する有機分として1.1wt%の一定値とし、図4においては無機顔料濃度を20wt%の一定値としている。
加えて、インクジェット印刷機のノズル7とインク導入部との間に設けられているフィルタと同程度の孔径である、直径5μmのメンブランフィルタを使用して、各濃度に調製されたインクの濾過を行い、フィルタを通過できない凝集粒子の有無を確認した。この濾過試験の結果も併せて図3及び図4に示している。ここで、Aはインクがフィルタを良好に通過しフィルタ上に残存物がない場合、Bはフィルタ上にフィルタを通過しない残存物が確認された場合、Cはインクがフィルタをほとんど通過できなかった場合を示している。
図3に示されるように、見掛け粘度はインクの無機顔料濃度の増大に伴って上昇し、無機顔料濃度が26wt%以上になると、フィルタ上に残存物が確認され、インク中で粒子の凝集が生じ始めていると考えられた。また、図4に示されるように、分散剤の添加量を1.1wt%から1.65wt%に増加させた際の見掛け粘度の上昇はわずかであったが、分散剤の添加量が1.65wt%を超えると見掛け粘度が大きく上昇した。また、分散剤添加量が1.65wt%では、フィルタ上にわずかに残存物が確認された程度であったが、2・1wt%の添加量ではフィルタが目詰まりしてインクを濾過することが不可能となった。これにより、分散剤の添加量は多すぎても無機顔料粒子が凝集する原因となり、添加量は1.6wt%以下が適していると考えられた。
以下に、本実施形態のマーキング方法及びインクを適用したマーキングの具体例について、実施例1乃至実施例4に基づいて説明する。
<インクの調製条件>
無機顔料 コバルト−アルミニウム酸化物
無機顔料の平均粒子径 50nm
無機顔料濃度 20.3wt%
分散剤添加量 1.1wt%
溶媒 水:乾燥防止剤=80:20
混合条件 ボールミル、3day
<インクの特性>
見掛け粘度 7.5mPa・s(HAKKE製回転粘度計VT−550:NVローター、ずり速度2000/s)
表面張力 35mN/m(協和科学製表面張力計ESB−V、ウェルヘルミー法)
調製されたインクは、長期間保管しても沈殿や相分離を生ずることはなかった。また、上記と同様の濾過試験の結果、インクはフィルタを良好に通過し、無機顔料粒子の凝集は生じていないと考えられた。このインクを使用し、分解能360dpiのシェアタイプのピエゾ式インクジェット印刷機(アフィット製KEGON)により、コーディエライト質の棚板(焼成用耐火物)の成形体(セラミックス成形体に相当)に、マークとしての製造番号を直接印刷した。このときの印刷速度は100mm/sであり、6回の印刷を行い、一回の印刷の所要時間は約2秒であった。印刷時にノズル詰まりが生じることはなく、良好にインクジェット印刷を行うことができた。マークが印刷された棚板の成形体を、1350℃で1時間焼成することにより、青色に発色したマークが得られた。また、焼成された棚板(セラミックス焼結体に相当)を1250℃で使用しても、マークが消失するなどの不具合は生じなかった。
<インクの調製条件>
無機顔料 コバルト−鉄−アルミニウム酸化物
無機顔料の平均粒子径 50nm
無機顔料濃度 22wt%
分散剤添加量 0.7wt%
溶媒 水:乾燥防止剤=80:20
混合条件 ボールミル、3day
<インクの特性>
見掛け粘度 13.5mPa・s(HAKKE製回転粘度計VT−550:NVローター、ずり速度2000/s)
表面張力 34mN/m(協和科学製表面張力計ESB−V、ウェルヘルミー法)
調製されたインクは、長期間保管しても沈殿や相分離を生ずることはなかった。また、上記と同様の濾過試験の結果、インクはフィルタを良好に通過し、無機顔料粒子の凝集は生じていないと考えられた。このインクを使用し、実施例1と同一のインクジェット印刷機により、コーディエライト質の棚板の成形体に、マークとしての製造番号を直接印刷した。このときの印刷速度は200mm/sであり、8回の印刷を行い、一回の印刷の所要時間は約1.5秒であった。印刷時にノズル詰まりが生じることはなく、良好にインクジェット印刷を行うことができた。マークが印刷された棚板の成形体を、1350℃で1時間焼成することにより、やや茶色がかった黒色に発色したマークが得られた。また、焼成された棚板を1250℃で使用しても、マークが消失するなどの不具合は生じなかった。
実施例2と同一のインクを使用し、実施例1と同一のインクジェット印刷機により、アルミナ成形体(セラミックス成形体に相当)に、マークとしてのバーコード及び二次元シンボルを直接印刷した。このときの印刷速度は100mm/sであり、6回の印刷を行い、一回の印刷の所要時間は約2秒であった。印刷時にノズル7に詰まりが生じることはなく、良好にインクジェット印刷を行うことができた。マークが印刷されたアルミナ成形体を、1550℃で1時間焼成することにより、拡散による青色の滲みが若干が見られたが、青味がかった黒色に発色した濃色のバーコード及び二次元シンボルが得られた。このアルミナ焼結体(セラミックス焼結体に相当)を1500℃で使用しても、マークが消失するなどの不具合は生じなかった。
<インクの調製条件>
無機顔料 酸化ホルミウム
無機顔料の平均粒子径 60nm
無機顔料濃度 26wt%
分散剤添加量 0.6wt%
溶媒 水:乾燥防止剤=87:13
混合条件 ボールミル、3day
<インクの特性>
見掛け粘度 5.7mPa・s(HAKKE製回転粘度計VT−550:NVローター、ずり速度2000/s)
表面張力 34mN/m(協和科学製表面張力計ESB−V、ウェルヘルミー法)
調製されたインクは、長期間保管しても沈殿や相分離を生ずることはなかった。また、上記と同様の濾過試験の結果、インクはフィルタを良好に通過し、無機顔料粒子の凝集は確認されなかった。このインクを使用し、実施例1と同一のインクジェット印刷機により、アルミナ成形体にバーコード及び二次元シンボルを直接印刷した。このときの印刷速度は100mm/sであり、6回の印刷を行い、一回の印刷の所要時間は約2秒であった。印刷時にノズル詰まりが生じることはなく、良好にインクジェット印刷を行うことができた。マークが印刷されたアルミナ成形体を、1550℃で1時間焼成することにより、黄色に発色したバーコード及び二次元シンボルが得られた。このとき、拡散による色の滲みは観察されなかった。得られたアルミナ焼結体を1500℃で使用しても、マークが消失するなどの不具合は生じなかった。なお、本実施例のマークは、太陽光や白熱電灯の下では黄色を呈し、三波長蛍光灯の下では鮮明なピンク色を呈した。
上記の実施形態では、多孔質のセラミックス成形体10を印刷対象物とした場合を例示したが、緻密質のセラミックス成形体やセラミックス焼結体を印刷対象物とすることもできる。この場合、水系溶媒を使用したインクを適用する際には、緻密な素地は吸水性に乏しく、印刷されたマークが滲み易くなる。そのため、予め素地の表面にシリカゲルやPVA等の吸水性のある材料をコーティングすることにより、印刷されたインクが吸収され、高速で印刷しても滲みの生じにくいものとなる。このようにすることにより、例えば、セラミックス体の焼成温度より低い温度で発色する無機顔料を用いたインクにより、セラミックス体にマーキングすることができる。以下に、セラミックス焼結体にマーキングを行う具体例について、実施例5に基づいて説明する。
<インクの調製条件>
無機顔料 アンチモン−錫酸化物
無機顔料の平均粒子径 30nm
無機顔料濃度 34.0wt%
分散剤添加量 0.1wt%
溶媒 水:乾燥防止剤=85:15
混合条件 ボールミル、3day
<インクの特性>
見掛け粘度 8.8mPa・s(HAKKE製回転粘度計VT−550:NVローター、ずり速度2000/s)
表面張力 35mN/m(協和科学製表面張力計ESB−V、ウェルヘルミー法)
調製されたインクは、長期保管しても沈殿や相分離を生じることはなかった。また、上記と同様の濾過試験の結果、インクはフィルタを良好に通過し、無機顔料粒子の凝集は生じていないと考えられた。このインクを使用し、実施例1と同一のインクジェット印刷機により、緻密なアルミナ基板(セラミックス焼結体)に、マークとしてのバーコードを直接印刷した。この際、インクがアルミナ基板の表面に滲むことがないよう、予めアルミナ基板の表面をPVAでコーティング処理した。このときの印刷速度は100mm/sであり、4回の印刷を行い、一回の印刷時間は約2秒であった。印刷時にノズル詰まりが生じることはなく、良好にインクジェット印刷を行うことができた。マークが印刷されたアルミナ基板を1200℃で1時間焼成することにより、黒色に発色したマークが得られた。このアルミナ基板を1200℃で使用しても、マークが消失するなどの不具合は生じなかった。なお、本実施例のマークは導電性を有しており、通電することが可能であった。
上記の実施例1乃至実施例5に示したように、何れのインクも、インクジェット印刷機のノズルから良好に吐出することができ、コーディエライト質の焼成用耐火物、アルミナ成形体或いはアルミナ基板に、マークを直接的にインクジェット印刷することができた。そして、その後に1200℃〜1550℃という高温で焼成することにより、マークは鮮明に発色し、その後の高温下での使用においても、消失・退色しない安定なマークとなった。
実施例3においては、上述のように、マークの滲みが若干観察された。これは、アルミナ成形体が1550℃という極めて高温で焼成されたことにより、無機顔料を構成する元素の原子がアルミナ中に拡散したためと考えられる。これに対し、実施例4に示したように、酸化ホルミウムを無機顔料として使用した場合には、実施例3と同様にアルミナ成形体を印刷対象物として1550℃で焼成しているにも関わらず、拡散による滲みのない鮮明なマークが得られた。これは、希土類元素のイオン半径が大きいために、アルミナ中に拡散・固溶しにくいことに起因すると考えられた。なお、酸化プラセオジム、酸化エルビウム、酸化ネオジム等の他の有色希土類酸化物も、同様に使用可能であると考えられる。
加えて、酸化ホルミウムを無機顔料として使用した実施例4では、焼成後のマークは、波長の異なる光源下で異なる発色をする演色性を示した。これは、三波長蛍光灯が540nm付近に発光ピークを持つのに対し、酸化ホルミウムがその波長付近に大きな吸収ピークを持つことにより、緑色が吸収され赤味を帯びた発色となったものと考えられる。このように、太陽光や白色光の下では視認しにくい黄色を呈するマークが、蛍光灯を照射することにより鮮明なピンク色に浮かび上がるため、ステルス的な機能を有するマークとして有用であると考えられる。
また、実施例5においては、通常は1500℃以上の高温で焼成されるアルミナの焼結体に対し、発色温度がそれより低温の1250℃までであるアンチモン−錫酸化物を、インクの無機顔料として用いてマーキングすることができた。更に、得られたマークは導電性を有するため、電気絶縁性を有するセラミックス体にマーキングすることにより、新たな用途への展開が期待される。加えて、実施例5では、0.1wt%という低濃度の分散剤の添加で、無機顔料濃度が34.0wt%に高められた。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
例えば、インクを調製する溶媒は、本実施形態で示した水系溶媒に限定されず、非水系の有機溶媒も使用可能である。このような有機溶媒としては、トルエン、キシレン、ベンゼンなどの芳香族類やブチルアルコールなどの多価アルコール、アセトンを例示することができる。また、紫外線吸収剤や光重合開始剤などで構成されるUV硬化樹脂溶媒を使用することも可能である。この場合は、紫外線照射により短時間でインクが硬化するため、マーキングを高速化することができる。また、印刷されたインクを乾燥させる必要がないため、緻密質のセラミックス体に対しても、インクを直接吐出してマーキングすることが可能となる。なお、UV硬化樹脂成分は、焼成工程で消失するため、焼成後のセラミックス製品に対して影響を及ぼす心配はない。
更に、無機顔料は本実施形態で例示したものに限定されない。例えば、酸化鉄は、コバルト、クロム、マンガンなどの重金属元素を含む無機顔料に比べ、環境に与える影響についての問題が少ない点で望ましい。なお、酸化鉄を用いた無機顔料は、酸化雰囲気下では茶色系に発色し、還元雰囲気下では黒色系に発色し、淡色のセラミックス製品へのマーキングに適している。
本発明の一実施形態のマーキング方法における工程を示すフローチャートである。 図1のマーキング方法の概要を模式的に示す説明図である。 本実施形態のインクの無機顔料濃度と見掛け粘度との関係の一例を示すグラフである。 本実施形態のインクの分散剤濃度と見掛け粘度との関係の一例を示すグラフである。
符号の説明
1 マーキング方法
2 インク
5 コンピュータ
6 ヘッド
7 ノズル
10 セラミックス成形体(セラミックス体)
11 デジタル画像
20 セラミックス焼結体
21 マーク

Claims (3)

  1. 1000℃以上1700℃以下の温度での焼成により発色する無機顔料を、全組成物量に対し15wt%以上34wt%以下含有し、該無機顔料に対し有機分として0.1wt%以上1.6wt%以下の分散剤が添加されたインクを調製するインク調製工程と、
    文字、数字、記号、図柄、識別コードの少なくとも何れか一つを含むマークをデジタル画像として作成する画像作成工程と、
    該デジタル画像に基づき、前記インクを吐出してセラミックス体に前記マークをインクジェット印刷するインクジェット印刷工程と、
    前記マークがインクジェット印刷された前記セラミックス体を、1000℃以上1700℃以下の温度で焼成する焼成工程と
    を具備することを特徴とするマーキング方法。
  2. 前記無機顔料は、平均粒子径が10nm以上100nm以下であることを特徴とする請求項1に記載のマーキング方法。
  3. 1000℃以上1700℃以下の温度での焼成により発色する無機顔料を、全組成物量に対し15wt%以上34wt%以下含有し、
    該無機顔料に対し固形分として0.1wt%以上1.6wt%以下の分散剤が添加されることを特徴とするインク。
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