JP2007237699A - 引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、蛇行することなく引抜成形延伸して、引張強度、引張弾性率及び耐熱性の優れた延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを製造する方法を提供する。
【解決手段】 加熱槽において、非晶状態の熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを、加熱手段により加熱すると共に駆動ロールで引張り、一対の引抜ロール間を引抜く引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの製造方法であって、加熱手段が熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの送り方向に対し左右対称に少なくとも2個設けられていると共に一対の引抜ロールと駆動ロールの間にシート位置検知装置が設置されており、シート位置検知装置でシートの位置を検知し、検知データを制御装置に送り、そのデータに従って加熱手段からの熱供給量を制御することにより、引抜延伸された熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの蛇行を制御する引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの製造方法に関し、より詳細には、引抜かれた引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの蛇行が小さく、容易に引抜延伸することができる引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの製造方法に関する。
従来より、引抜成形により、平滑な表面を持つ、透明で、強度と弾性率の高い結晶性高分子シートを製造する方法が検討されており、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール樹脂、ナイロン等の結晶性高分子原反シートを、そのシートに10MPaの荷重をかけて10℃/分の昇温速度で昇温した時の変形開始温度以上で示差走査熱量測定融解曲線の立ち上がり温度を超えない温度に加熱した一対のローラーを通じて、少なくとも延伸比2.5倍以上に引き抜くことを特徴とする結晶性高分子シートの製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開昭60−15120号公報
しかしながら、上記結晶性高分子シートの製造方法でポリエステル系樹脂を延伸するには、ポリエステル系樹脂は低温では硬すぎて延伸に必要な柔軟性が不足し、高温では配向の緩和が支配的になるので、強度及び弾性率の優れた延伸シートを得るには、ポリエステル系樹脂のガラス転移温度−20℃〜ガラス転移温度+20℃の温度範囲で引抜成形する必要があるが、ポリエステル系樹脂はガラス転移温度以上に加熱されると弾性率が急激に低下する。
そのため、ポリエステル系樹脂シートの温度差により、温度の高い部分は弾性率が低くなって、延伸され易くなり、温度の低い部分は弾性率が高くなって、延伸されにくくなり、引抜成形された引抜延伸ポリエステル系樹脂シートは、ポリエステル系樹脂シートの幅方向に延伸倍率がばらつき、蛇行が発生してしまい、均一に引抜成形することはできなかった。
蛇行を防止する方法としては、例えば、延伸フイルムを案内する複数のガイドロールを設け、前記ガイドロールを回転駆動するロール回転駆動装置を設けるとともに、各ガイドロールの回転速度をそれぞれ調整可能な速度調整手段を設けた延伸フイルム製造設備(例えば、特許文献2参照。)、溶剤を含有する芳香族ポリアミドからなる重合体シートを縦軸方向に延伸する際、まず大気中で延伸し、次いで液浴中で延伸することを特徴とする芳香族ポリアミドフイルムの製造方法(例えば、特許文献3参照。)等が提案されている。
特開2003−71917号公報 特開平11−48334号公報
しかしながら、引抜延伸はポリエステル系樹脂シートの一端部を把握し駆動ロールで引張って一対の引抜ロール間を引抜くのであるから、上記の方法はポリエステル系樹脂シートの引抜延伸には適用することはできなかった。
本発明の目的は、上記欠点に鑑み、ポリエステル系樹脂シートを均一に加熱し、蛇行することなく引抜成形延伸して、引張強度、引張弾性率及び耐熱性の優れた延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを製造する方法を提供することにある。
本発明の引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの製造方法は、加熱槽において、非晶状態の熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを、加熱手段により加熱すると共に駆動ロールで引張り、一対の引抜ロール間を引抜く引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの製造方法であって、加熱手段が熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの送り方向に対し左右対称に少なくとも2個設けられていると共に一対の引抜ロールと駆動ロールの間にシート位置検知装置が設置されており、シート位置検知装置でシートの位置を検知し、検知データを制御装置に送り、そのデータに従って加熱手段からの熱供給量を制御することにより、引抜延伸された熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの蛇行を制御することを特徴とする。
本発明で使用される熱可塑性ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリグリコール酸、ポリ(L−乳酸)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート/ヒドロキシバリレート)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネート/乳酸、ポリブチレンサクシネート/カーボネート、ポリブチレンサクシネート/テレフタレート、ポリブチレンアジペート/テレフタレート、ポリテトラメチレナジペート/テレフタレート、ポリブチレンサクシネート/アジペート/テレフタレート等が挙げられ、耐熱性の優れたポリエチレンテレフタレートが好ましい。
熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの厚みは特に限定されないが、0.5〜5mmが好ましい。0.5mm未満では、引抜延伸後のシート厚みが薄くなりすぎ、取扱いに際しての強度が十分な大きさとならないことがあり、5mmを超えると延伸が困難となることがある。
本発明においては、加熱手段は、上記非晶状態の熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを、加熱槽において、予め同じ温度の熱風で上記シート加熱しておいて、引抜ロールの直前で所定の位置のみを加熱してシート温度を微調整してもよいが、非晶状態の熱可塑性ポリエステル系樹脂シートに、その上方及び/ 又は下方から熱風供給装置により熱風を吹付けて加熱すると共に駆動ロールで引張り、一対の引抜ロール間を引抜くことにより引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを製造するのが好ましい。
加熱された熱可塑性ポリエステル系樹脂シートに温度分布があると、温度の高い部分は弾性率が低くなって、延伸され易くなり、温度の低い部分は弾性率が高くなって、延伸されにくくなるので、引抜成形された引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートは、ポリエステル系樹脂シートの幅方向に延伸倍率がばらつき、蛇行が発生してしまい、均一に引抜成形することができなくなる。従って、加熱された熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの温度分布はなるべく小さいほうが好ましく、熱可塑性ポリエステル系樹脂シート全面の温度差が1℃以内、好ましくは0.5℃以内になるのが好ましい。
そのために、本発明においては、加熱槽内に熱風供給装置が熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの送り方向に対し左右対称に少なくとも2個設置されている。又、熱可塑性ポリエステル系樹脂シートに、その上方から又は下方から熱風供給装置により熱風を吹付けて加熱すればよいが、熱可塑性ポリエステル系樹脂シートをより均一に加熱するためには熱可塑性ポリエステル系樹脂シートに、その上方から及び下方から熱風供給装置により熱風を吹付けて加熱するのが好ましく、4個以上の熱風供給装置を設置して加熱するのが好ましい。又、熱風供給装置を熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの送り方向に対し左右対称及び上下対称に設置して加熱するのが好ましい。
熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの加熱温度は、特に限定されるものではないが、低温であると延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートが白化したり、硬すぎて引抜くことができず、高温になると配向緩和により強度が低下するので、熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度以上に加熱されるのが好ましく、又、ガラス転移温度+20℃以下の温度が好ましい。
本発明においては、上記加熱された熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを駆動ロールで引張り、一対の引抜ロール間を通して引き抜いて引抜延伸する。引抜く際のロール温度は、特に限定されないが、低温であると延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートが硬すぎて切断して引抜くことができず、高温になると熱可塑性ポリエステル系樹脂シートが柔らかくなりシートを引き抜く張力によりシートが切断されるので、加熱された熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを冷却しながら引抜くのが好ましく、該延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度未満、ガラス転移温度−20℃が好ましく、より好ましくは熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度未満、熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度−10℃以上の温度範囲である。
又、非晶状態の熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを引抜く際に、ロールは必ずしも回転する必要はないが、特に熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの厚みが厚い場合には、せん断発熱によるロールの蓄熱に起因するシートの温度上昇が生じやすいため、引抜方向に回転させるのが好ましい。
ロールの回転速度が遅いと、ロールと熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの接触時間が長くなり、摩擦熱が発生し、ロール温度が上昇して、加熱された熱可塑性ポリエステル系樹脂を冷却する効果が低下し、所定の引抜延伸温度を超えてしまい、逆にロールの回転速度が早くなると、熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの表面の熱可塑性ポリエステル系樹脂のみが流動し、均一に引抜延伸できなくなり、得られた引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの弾性率が低下する。
従って、ロールの回転速度は熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを同一条件の引抜速度でロールが回転していない状態で引き抜いた際の延伸前シートの送り速度と実質的に同一又はそれ以下の速度が好ましい。
又、熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの厚さが厚い(1.5mm以上)場合は、ロールとシートとのせん断による発熱が大きくなるため、ロールの回転速度は上記送り速度の50〜100%が好ましい。また、熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの厚さが薄い場合は、ロールによる冷却効果が大きいのでロールの回転速度は遅くてもよい。
又、一対の引抜ロールと駆動ロールの間にシート位置検知装置が設置されており、シート位置検知装置でシートの位置を検知し、検知データを制御装置に送り、そのデータに従って熱風供給装置の熱風噴出し量又は噴出し温度を制御することにより、引抜延伸された熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの蛇行を制御する。
即ち、シート位置検知装置でシートの位置を検知した際に、シートが寄ってきた側は、引抜延伸前の熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの温度が高くなっており、弾性率が低くなって、延伸され易くなっているので、寄ってきた側の熱風供給装置からの熱供給量を減少する。逆に、シートが離れた側は、引抜延伸前の熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの温度が低くなっており、弾性率が高くなって、延伸されにくくなっているので、離れていった側の熱風供給装置の熱供給量を増加する。
熱供給量の制御は、温度調節された加熱ロールを用いて行ってもよいが、熱風噴出し量又は噴出し温度を制御するのが好ましい。
上記引抜延伸の延伸倍率は、特に限定されるものではないが、延伸倍率が低いと、引張強度、引張弾性率に優れたシートが得られず、高くなると延伸時にシートの破断が生じやすくなるので、2〜9倍が好ましく、さらに好ましくは4〜8倍である。
本発明の引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの製造方法で製造された引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートは、引張強度、引張弾性率、耐熱性が優れており、これらの性能を要求される建材等に好適に使用される。
本発明の引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの製造方法の構成は上述の通りであり、熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを均一に加熱し蛇行することなく引抜延伸することができるので、引張強度、引張弾性率、耐熱性の優れた引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートが効率よく得られる。
次に本発明の実施例を図面を参照して説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
図1は、本発明の引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの製造方法の一例を示す側面模式図であり、図2はその平面模式図である。
図中1は熱可塑性ポリエステル系樹脂シート10の供給ロール、2は加熱槽、3は加熱槽2入口付近に設置されたブレーキロール、4は加熱槽2入口付近に設置された引抜ロール、5は引抜ロール4の後方に設置された駆動ロールである。加熱槽2内には、熱可塑性ポリエステル系樹脂シート10の上方に4個の熱風供給装置6、61、62、63が設置され、熱可塑性ポリエステル系樹脂シート10の下方に4個の熱風供給装置64、65、66、67が設置されている。
熱風供給装置6と61及び熱風供給装置62と63は熱可塑性ポリエステル系樹脂シート10の送り方向に平行に配置されており、且つ熱風供給装置6と62及び熱風供給装置61と63は熱可塑性ポリエステル系樹脂シート10の送り方向に対し左右対称に配置されている。
又、熱風供給装置64と65及び熱風供給装置66と67は熱可塑性ポリエステル系樹脂シート10の送り方向に平行に配置されており、且つ熱風供給装置64と66及び熱風供給装置65と67は熱可塑性ポリエステル系樹脂シート10の送り方向に対し左右対称に配置されている。
更に、熱風供給装置6は64の、熱風供給装置61は65の、熱風供給装置62は66の、そして熱風供給装置63は67の垂直上方に設置されている。
又、熱風供給装置6、61、62、63、64、65、66、67はそれぞれ異なる加熱装置7、7・・・に接続されており、加熱装置7、7・・・で加熱された空気を熱可塑性ポリエステル系樹脂シート10表面に吹付け可能になされている。
引抜ロール4の後方には、熱可塑性ポリエステル系樹脂シート10が引抜延伸された引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート11の両側端部の位置が測定できるように、引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート11の両側にシート位置検知装置8、8が設置されている。
又、図中9は制御装置であり、制御装置9はシート位置検知装置8、8及び加熱装置7、7・・・と電気的に接続されており、シート位置検知装置8、8で検知したシートの位置の検知データを制御装置9に送り、そのデータに従って熱風供給装置6、61、62、63、64、65、66、67の熱風噴出し量又は噴出し温度を制御可能になされている。
従って、供給ロール1に巻回されている熱可塑性ポリエステル系樹脂シート10を駆動ロール5により引張ることにより、熱可塑性ポリエステル系樹脂シート10はブレーキロール3を経由して加熱槽2に供給され、熱風供給装置6、61、62、63、64、65、66、67から吹付けられる熱風により加熱される。加熱された熱可塑性ポリエステル系樹脂シート10は駆動ロール5により更に引張られ一対の引抜ロール4の間を引抜かれて延伸され、引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート11が得られる。
この際に、一対の引抜ロール4と駆動ロール5の間にシート位置検知装置8が設置されており、シート位置検知装置8でシートの位置を検知し、検知データを制御装置9に送り、そのデータに従って熱風供給装置6、61、62、63、64、65、66、67の熱風噴出し量又は噴出し温度を制御することにより、引抜延伸された引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート11の蛇行を制御する。
即ち、シート位置検知装置8でシートの位置を検知した際に、シートが寄ってきた側は、引抜延伸前の熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの温度が高くなっており、弾性率が低くなって、延伸され易くなっているので、寄ってきた側の熱風供給装置の熱風噴出し量を減少する又は噴出し温度を低下する。逆に、シートが離れた側は、引抜延伸前の熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの温度が低くなっており、弾性率が高くなって、延伸されにくくなっているので、離れていった側の熱風供給装置の熱風噴出し量を増加する又は噴出し温度を上昇する。このように制御することにより、熱可塑性ポリエステル系樹脂シート10の温度分布は均一になり、引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート11の蛇行が抑制され、蛇行することなく引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート11が得られる。
(実施例1)
厚さ3mm、幅200mmのポリエチレンテレフタレートシート(帝人化成社製、商品名「A−PETシートFR」、結晶化度4%、ガラス転移温度72℃)10を上記引抜延伸装置に供給し、加熱槽2に75℃の熱風を30m3 /minの速度で供給し、70℃に加熱された一対の引抜ロール4(ロール間隔0.3mm)間を駆動ロール5の速度を2m/minの速度に設定して引抜延伸した。 又、シート位置検知装置8でシートの位置を検知し、その検知データを制御装置9に送り、そのデータに従って熱風供給装置6、61、62、63、64、65、66、67の熱風噴出し量を制御した。
30分間引抜延伸を行ったが、蛇行の幅は20mm以内で安定していた。又、引抜ロール8直前の延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの幅方向の表面温度を測定したところ75±0.5℃の範囲に入っていた。
得られた引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの線膨張係数をJIS K 7197に準拠して測定したところ、−0.4×10-5/℃であり、引張弾性率をJIS K 7113の引張試験方法に準拠して測定したところ10.0GPaであった。
(比較例1)
図3及び4に示した従来の引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの製造装置を使用し熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを引抜延伸した。図3は従来の引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの製造装置の一例を示す側面模式図であり、図4は図3の平面模式図である。
図中1’は熱可塑性ポリエステル系樹脂シート10’の供給ロール、2’は加熱槽、3’は加熱槽2’入口付近に設置されたブレーキロール、4’は加熱槽2’入口付近に設置された引抜ロール、5’は引抜ロール4’の後方に設置された駆動ロールである。加熱槽2’内には、熱可塑性ポリエステル系樹脂シート10’の上方に1個の熱風供給装置6’が設置され、熱可塑性ポリエステル系樹脂シート10’の下方にも熱風供給装置6’の直下に1個の熱風供給装置6”が設置されている。
又、熱風供給装置6’及び6”はそれぞれ異なる加熱装置7’及び7”に接続されており、加熱装置7’及び7”で加熱された空気を熱可塑性ポリエステル系樹脂シート10’表面に吹付け可能になされている。
厚さ1mm、幅200mmのポリエチレンテレフタレートシート(帝人化成社製、商品名「A−PETシートFR」、結晶化度4%、ガラス転移温度72℃)10’を上記引抜延伸装置に供給し、加熱槽2’に75℃の熱風を30m3 /minの速度で供給し、70℃に加熱された一対の引抜ロール4’(ロール間隔0.2mm)間を駆動ロール5’の速度を2m/minの速度に設定して引抜延伸した。
30分間引抜延伸を行ったが、蛇行の幅は120mm以内であり、引抜延伸は困難であった。又、引抜ロール8’直前の延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの幅方向の表面温度を測定したところ75±2.0℃の範囲に入っていた。
得られた引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート11’の線膨張係数をJIS K 7197に準拠して測定したところ、−0.8×10-5/℃であり、引張弾性率をJIS K 7113の引張試験方法に準拠して測定したところ10.5GPaであった。
本発明の引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの製造方法の一例を示す側面模式図である。 図1の平面模式図である。 従来の引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの製造装置の一例を示す側面模式図である。 図3の平面模式図である。
符号の説明
1 熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの供給ロール
2 加熱槽
3 ブレーキロール
4 引抜ロール
5 駆動ロール
6 熱風供給装置
7 加熱装置
8 シート位置検知装置
9 制御装置
10 熱可塑性ポリエステル系樹脂シート
11 引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シート

Claims (6)

  1. 加熱槽において、非晶状態の熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを、加熱手段により加熱すると共に駆動ロールで引張り、一対の引抜ロール間を引抜く引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの製造方法であって、加熱手段が熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの送り方向に対し左右対称に少なくとも2個設けられていると共に一対の引抜ロールと駆動ロールの間にシート位置検知装置が設置されており、シート位置検知装置でシートの位置を検知し、検知データを制御装置に送り、そのデータに従って加熱手段からの熱供給量を制御することにより、引抜延伸された熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの蛇行を制御することを特徴とする引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの製造方法。
  2. 加熱手段が、熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの上方及び/又は下方から熱風供給装置により熱風を吹付けてるものであり、加熱手段からの熱供給量の制御を、熱風供給装置の熱風噴出し量又は噴出し温度を制御することにより行うことを特徴とする請求項1記載の引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの製造方法。
  3. 非晶状態の熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度以上の温度に加熱することを特徴とする請求項1又は2記載の引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの製造方法。
  4. 一対の引抜ロールの温度が、熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度未満、ガラス転移温度−20℃以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の引抜延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの製造方法。
  5. 上記シートを、同一条件の引抜速度でロールが回転していない状態で引き抜いた際の送り速度と実質的に同一速度以下の速度で該ロールを引抜方向に回転させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの製造方法。
  6. 延伸倍率が2〜9倍であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの製造方法。
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