JP5232075B2 - 延伸熱可塑性樹脂シートの製造方法 - Google Patents

延伸熱可塑性樹脂シートの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、引抜延伸による延伸熱可塑性樹脂シートの製造方法に関する。
従来から、引抜成形により、平滑な表面を持つ、透明で、強度と弾性率の高い結晶性高分子シートを製造する方法が検討されており、例えば、特許文献1には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール樹脂、ナイロン等の結晶性高分子原反シートを、そのシートに10MPaの荷重をかけて1℃/分の昇温速度で昇温した時の変形開始温度以上で示差走査熱量測定融解曲線の立ち上がり温度を超えない温度に加熱した一対のローラーを通じて、少なくとも延伸比2.5倍以上に引き抜くことを特徴とする結晶性高分子シートの製造方法が提案されている。
この引抜延伸方法では、延伸に伴う結晶性高分子原反シートの断面の変化が主に厚み方向に現れ、幅方向のネッキングが小さく、高倍率で広幅な一軸延伸シートを容易に作ることが出来るものの、熱可塑性樹脂シートの自重が下側のローラーに掛かるために、上下ローラーと熱可塑性樹脂シートとの間の摩擦力や摩擦による発熱量が、熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの上下面において相違し、その結果、延伸熱可塑性樹脂シートの延伸倍率が上下面間において相違し、延伸熱可塑性樹脂シートに凹凸が生じるといった問題を生じている。
特開昭60−15120号公報
本発明は、延伸倍率が厚み方向において略均一で且つ凹凸のない延伸熱可塑性樹脂シートを製造することができる延伸熱可塑性樹脂シートの製造方法を提供する。
本発明の延伸熱可塑性樹脂シートの製造方法は、熱可塑性樹脂シートを一対の引抜ロール間に通して引抜延伸する延伸熱可塑性樹脂シートの製造方法であって、上記引抜ロールの前方に前側支持部材を配設すると共に上記引抜ロールの後方に後側支持部材を配設し、上記引抜ロールに接触してから上記引抜ロール間を通過する間において、上記熱可塑性樹脂シートの厚み方向の中間面が、上記一対の引抜ロールの軸芯を含む平面に対して直交するように、上記熱可塑性樹脂シートを前後支持部材によって支持することを特徴とする。
本発明では原反として熱可塑性樹脂シートが用いられる。この熱可塑性樹脂シートを構成している熱可塑性樹脂としては、例えば、熱可塑性ポリエステル系樹脂、熱可塑性アミド系樹脂、熱可塑性ポリオレフィン系樹脂などが挙げられ、熱可塑性ポリエステル系樹脂が好ましい。
上記熱可塑性ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリグリコール酸、ポリ(L−乳酸)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート/ヒドロキシバリレート)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネート/乳酸、ポリブチレンサクシネート/カーボネート、ポリブチレンサクシネート/テレフタレート、ポリブチレンアジペート/テレフタレート、ポリテトラメチレナジペート/テレフタレート、ポリブチレンサクシネート/アジペート/テレフタレート等が挙げられ、耐熱性の優れたポリエチレンテレフタレートが好ましい。
上記熱可塑性ポリエステル系樹脂の極限粘度は、低すぎると、シート作成時にドローダウンを起こしやすく、高すぎると、延伸しても機械的強度(特に弾性率)が上昇しないので、0.6〜1.0が好ましい。なお、熱可塑性ポリエステル系樹脂の極限粘度は、JIS K7367−1に準拠して測定されたものをいう。
原反となる熱可塑性樹脂シートの厚みは特に限定されないが、0.5〜4mmが好ましい。熱可塑性樹脂シートの厚みが0.5mm未満では、延伸後のシート厚みが薄くなりすぎ、取扱いに際しての強度が十分な大きさとならないことがあり、4mmを超えると延伸が困難となることがあるからである。
非晶状態の熱可塑性ポリエステル系樹脂シートが原反として用いられることが好ましく、その結晶化度は特に限定されるものではないが、示差走査熱量計で測定した結晶化度が10%未満であることが好ましく、5%未満がより好ましい。非晶状態の熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの結晶化度は、密度法により測定されたものをいう。
本発明の延伸熱可塑性樹脂シートの製造方法では、熱可塑性樹脂シートを一対の引抜きロール1a、1b間に通して引抜延伸することによって延伸熱可塑性樹脂シートを製造する。具体的には、図1に示したように、所定間隔を存して配設された一対の引抜ロール1a、1bの前方には、一対の前側支持ロール2a、2bが配設されていると共に、一対の引抜ロール1a、1bの後方には、一対の後側支持ロール3a、3bが配設されている。なお、引抜ロール1a、1bは、それらの軸芯が互いに平行となるように調整されている。又、引抜ロール1a、1bは同一の直径を有していることが好ましい。
一対の前側支持ロール2a、2bは上下方向に一定の間隔を存して配設されており、前側支持ロール2a、2bの対向面間の間隔が原反となる熱可塑性樹脂シートAの厚みに合致するように調整されている。更に、一対の前側支持ロール2a、2bは、図示しない汎用の駆動装置によって、上側の前側支持ロール2aと、下側の前側支持ロール2bとの対向面間の間隔を一定に保持しながら同調して引抜ロール1a、1bに対して相対的に上下方向に移動可能に構成されている。
後側支持ロール3a、3bは上下方向に一定の間隔を存して配設されており、後側支持ロール3a、3bの対向面間の間隔が、引抜延伸された熱可塑性樹脂シートAの厚みに合致するように調整されている。更に、一対の後側支持ロール3a、3bは、図示しない汎用の駆動装置によって、上側の後側支持ロール3aと、下側の後側支持ロール3bとの対向面間の間隔を一定に保持しながら同調して引抜ロール1a、1bに対して相対的に上下方向に移動可能に構成されている。
本発明では、熱可塑性樹脂シートAを一対の前側支持ロール2a、2b間に供給、支持させつつ、熱可塑性樹脂シートAを一対の引抜ロール1a、1b間に供給して引抜延伸し、引抜ロール1a、1b間から引き抜かれた熱可塑性樹脂シートAを後側支持ロール3a、3b間に供給、支持させている。
上記引抜延伸に際して、引抜ロール1a、1bの前後に上述のように前後支持ロール2a、2b、3a、3bを配設し、熱可塑性樹脂シートAが引抜ロール1a、1bにはじめて接触してから引抜ロール1a、1b間を通過するまでの間において、熱可塑性樹脂シートAの厚み方向の中間面A1が、引抜ロール1a、1bの軸芯を含む平面に対して直交するように、前後支持ロール2a、2b、3a、3bによって熱可塑性樹脂シートAを支持している。
ここで、熱可塑性樹脂シートAの厚み方向の中間面A1とは、熱可塑性樹脂シートAの表面上の任意の点から表面に対して直交する方向に熱可塑性樹脂シートAの厚みの1/2の深さにある点を中間点とし、この中間点が集合して形成される面をいう。
又、「引抜ロール1a、1b間を通過する間」とは、熱可塑性樹脂シートAが引抜ロール1a、1bにはじめて接触してから後における引抜ロール1a、1bの対向面間にある空間部のうち、後述する平面Pをその法線方向に平行移動させた際に平面Pが引抜ロール1a、1bの少なくとも何れか一方と交差する範囲にある空間部をいい、図2において、斜線で示した空間部をいう。
詳細には、上記引抜ロール1a、1bは、これらの回転軸がロールの全幅に亘って互いに平行に保持されており、一対の引抜ロール1a、1b間の隙間は、ロールの全幅に亘って一定に保持されている。図3に示したように、一対の引抜ロール1a、1bの回転軸における双方の軸芯R11、R12を含む平面Pに対して直交し、且つ、平面Pが一対の引抜ロール1a、1bの外周面と交差する点をP1、P2としたときに、点P1、点P2のそれぞれから等距離にある点を通る平面を基準面Tとする。引抜ロール1a、1bに接触してから上記引抜ロール1a、1b間を通過する間において、基準面Tと上記熱可塑性樹脂シートAの中間面A1とが合致するように、前後支持ロール2a、2b、3a、3bによって熱可塑性樹脂シートAを支持している。
このように、前後支持ロール2a、2b、3a、3bによって熱可塑性樹脂シートAを支持することによって、下側引抜ロール1bに熱可塑性樹脂シートAの自重が加わるのを概ね防止して、上側引抜ロール1aの周面とこれに接触する熱可塑性樹脂シートAの上面との間の摩擦力と、下側引抜ロール1bの周面とこれに接触する熱可塑性樹脂シートAの下面との間の摩擦力とが略等しくなるように調整している。
従って、熱可塑性樹脂シートAの引抜延伸による延伸倍率がその厚み方向において略均一となり、熱可塑性樹脂シートを引抜延伸して得られる延伸熱可塑性樹脂シートはその表面に凹凸が生じることはなく表面平滑性に優れ外観の良好な延伸熱可塑性樹脂シートBを得ることができる。
引抜延伸する際の熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの温度は、低温であると、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートが白化し、或いは、硬すぎて裂けて引き抜くことができないことがあるので、引抜延伸する前に予め(熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを構成している熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度−20)℃以上で且つ(熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを構成している熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度+20)℃以下に予熱することが好ましい。なお、熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを構成している熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度は、JIS K7121−1987に準拠して測定されたものをいう。
上記引抜延伸する際の一対の引抜ロール1a、1bの温度は、低温すぎると、延伸に必要な柔軟性を得ることができず、延伸時に熱可塑性ポリエステル系樹脂シート中にボイドが発生して強度が低下し、高温すぎると、分子配向が緩和して高弾性の延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを得ることができないので、(熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを構成している熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度−20)℃以上で且つ熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを構成している熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度未満であることが好ましい。
又、熱可塑性樹脂シートを引き抜く際に、一対のロールをこれらの対向面が共に引抜方向となるように回転させることで引抜の際の抵抗を低減して延伸熱可塑性樹脂シートの波うちの発生を抑えることができ好ましい。
前側支持ロール2a、2bの温度は、熱可塑性樹脂シートの温度に影響を与えないように、(熱可塑性樹脂シートの予熱温度−5)℃以上で且つ(熱可塑性樹脂シートの予熱温度+15)℃以下にすることが好ましい。又、後側支持ロール3a、3bの温度は、高いと、得られる延伸熱可塑性樹脂シートの配向が緩和して物性が低下するので、熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを構成している熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度未満であることが好ましい。
熱可塑性ポリエステル系樹脂シートAの引抜延伸の延伸倍率は、特に限定されるものではないが、延伸倍率が低いと、引張強度、引張弾性率に優れた延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートが得られず、高くなると、延伸時に熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの破断が生じやすくなるので、3〜8倍が好ましく、4〜8倍がより好ましい。なお、引抜延伸の延伸倍率は、引抜延伸方向において、延伸後のシートの長さを延伸前のシートの長さで除したものをいう。
本発明において、熱可塑性樹脂シートAを引抜延伸することによって得られた延伸熱可塑性樹脂シートBを、引張強度、引張弾性率、耐熱性などの物性を向上させるために、一対の引抜ロール1a、1bの温度よりも高い温度で一軸延伸してもよい。
特に、引抜延伸された延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートのポリエステル系樹脂は、延伸の阻害要因となる熱による等方的な結晶化及び配向が抑えられた状態で分子鎖は高度に配向しており強度及び弾性率が優れているが結晶化度は低いので、加熱されると配向は容易に緩和されて弾性率が低下してしまうという欠点を有している。
そこで、延伸熱熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを、一対の引抜ロール1a、1bの温度より高い温度で一軸延伸することにより配向が緩和されることなく結晶化度が上昇し、加熱されても配向が容易に緩和されない耐熱性の優れた延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを得ることができる。
上記一軸延伸する方法としてはロール延伸法が好適に用いられる。なお、ロール延伸法とは、一対のロールを所定間隔を存して配設してなるロール対を二組用意し、この二組のロール対を所定間隔を存して配設し、二組のロール対間に延伸熱可塑性樹脂シートを配設すると共に、各ロール対のロール間に延伸熱可塑性樹脂シートを挟持させ、一方のロール対の回転速度(周速度)と、他方のロール対の回転速度(周速度)とを相違させて、加熱状態の延伸熱可塑性樹脂シートに引張力を加えて延伸熱可塑性樹脂シートを引っ張る方法であり一軸方向のみに強く分子配向させることができる。なお、ロール対間の速度比が延伸倍率となる。
延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを一軸延伸する際の温度は、引抜延伸する際の一対の引抜ロール1a、1bの温度より高い温度であればよいが、高すぎると、引抜延伸された延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートが溶融して切断されるので、非晶状態の熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを構成している熱可塑性ポリエステル系樹脂を昇温速度10℃/分の条件で示差走査熱量分析によって測定して得られる示差走査熱量曲線において、熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化ピーク温度の立ち上がり温度以上で且つ融解ピークの立ち上がり温度以下が好ましい。
なお、ポリエチレンテレフタレートの結晶化ピークの立ち上がり温度は約120℃であり、融解ピークの立ち上がり温度は約230℃である。従って、ポリエチレンテレフタレートシートを一軸延伸する際は約120〜約230℃で一軸延伸するのが好ましい。
延伸熱可塑性樹脂シートの一軸延伸の延伸倍率は、特に限定されるものではないが、延伸倍率が低いと、引張強度、引張弾性率に優れた延伸熱可塑性樹脂シートが得られず、高くなると、延伸時に延伸熱可塑性樹脂シートの破断が生じやすくなるので、1.05〜3倍が好ましく、1.1〜2倍がより好ましい。そして、引抜延伸の延伸倍率と一軸延伸の延伸倍率の合計は、同様の理由で、5〜9倍が好ましい。
更に、一軸延伸された延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートは、その耐熱性を向上させるために熱固定されるのが好ましい。
一軸延伸された延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの熱固定温度は、一軸延伸温度より低いと、熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化が進まず耐熱性が向上しないので、一軸延伸温度以上が好ましいが、非晶状態の熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを構成している熱可塑性ポリエステル系樹脂を昇温速度10℃/分の条件で示差走査熱量分析によって測定して得られる示差走査熱量曲線における融解ピークの立ち上がり温度より高くなると、熱可塑性ポリエステル系樹脂が溶解して延伸(配向)が消滅し、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの引張弾性率、引張強度等が低下するので、一軸延伸温度以上で且つ非晶状態の熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを構成している熱可塑性ポリエステル系樹脂を昇温速度10℃/分の条件で示差走査熱量分析によって測定して得られた示差走査熱量曲線における融解ピークの立ち上がり温度以下がより好ましい。
又、一軸延伸された延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを熱固定する際に、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートに負荷がかかっていると延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートが延伸され、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートがフリーの状態では延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートに収縮が生じるので、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートに負荷はかかっていないが熱により収縮しないように固定した状態で行うことが好ましく、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートに圧力もかかっていないことが好ましい。例えば、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの両端をピンチロールなどで負荷がかからないように保持した状態で、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの熱固定を行なうのが好ましい。なお、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの加熱は、熱風、ヒーター等で行うのが好ましい。
延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを熱固定する時間は、特に限定されず、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの厚さや熱固定温度により異なるが、10秒〜5分が好ましい。
本発明の延伸熱可塑性樹脂シートの製造方法で製造された延伸熱可塑性樹脂シートは、引張強度、引張弾性率、耐熱性が優れており、これらの性能が要求される建材などに好適に使用される。
又、上記延伸熱可塑性樹脂シートは、積層されて使用されてもよいし、熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AS樹脂、アクリレート系樹脂などの未延伸熱可塑性樹脂シートと積層されてもよい。
上記では、前後支持部材として、前後支持ロール2a、2b、3a、3bを用いた場合を説明したが、前後支持ロール2a、2b、3a、3bの代わりに前後無端ベルト4a、4b、5a、5bが用いられてもよい。
図4に示したように、所定間隔を存して配設された一対の引抜ロール1a、1bの前側に、一対の前側無端ベルト4a、4bが配設されていると共に、一対の引抜ロール1a、1bの後側に、一対の後側無端ベルト5a、5bが配設されていてもよい。
一対の前側無端ベルト4a、4bは上下方向に一定の間隔を存して配設されており、前側無端ベルト4a、4bの対向面間の間隔が熱可塑性樹脂シートAの厚みに合致するように調整されている。更に、一対の前側無端ベルト4a、4bは、図示しない汎用の駆動装置によって、上側の前側無端ベルト4aと、下側の前側無端ベルト4bとの対向面間の間隔を一定に保持しながら同調して引抜延伸1a、1bに対して相対的に上下方向に移動可能に構成されている。
後側無端ベルト5a、5bは上下方向に一定の間隔を存して配設されており、後側無端ベルト5a、5bの対向面間の間隔が、引抜延伸された熱可塑性樹脂シートAの厚みに合致するように調整されている。
本発明の延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの製造方法の構成は上述の通りであり、上記引抜ロールに接触してから上記引抜ロール間を通過する間において、上記熱可塑性樹脂シートの厚み方向の中間面が、上記一対の引抜ロールの軸芯を含む平面に対して直交するように、上記熱可塑性樹脂シートを前後支持部材によって支持しているので、下側引抜ロールに熱可塑性樹脂シートの自重が殆ど加わらない。
従って、上側引抜ロールとこれに接触する熱可塑性樹脂シートとの間の摩擦力と、下側引抜ロールとこれに接触する熱可塑性樹脂シートとの間の摩擦力とを略同一とし、引抜ロール間に熱可塑性樹脂シートを通して引抜延伸するにあたって、熱可塑性樹脂シートの延伸倍率が厚み方向において変動するのを防止している。
よって、本発明の延伸熱可塑性樹脂シートの製造方法によれば、得られる延伸熱可塑性樹脂シートには凹凸が発生せず、表面平滑性に優れた延伸熱可塑性樹脂シートを製造することができる。
そして、得られた延伸熱可塑性樹脂シートは高倍率の一軸延伸物で弾性率などの機械物性が優れている。
更に、延伸熱可塑性樹脂シートを引抜ロールの温度よりも高い温度で一軸延伸した場合には、得られる延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートは更に耐熱性が優れており、更に、一軸延伸後に熱固定して得られる延伸熱可塑性樹脂シートは更に耐熱性に優れている。
本発明の延伸熱可塑性樹脂シートの製造方法を示した模式図である。 「引抜ロールに接触してから上記引抜ロール間を通過する間」を示した模式図である。 基準面を示した図である。 本発明の延伸熱可塑性樹脂シートの他の製造方法を示した模式図である。
次に本発明の実施例を説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ポリエチレンテレフタレート(ユニチカ社製 商品名「NEH2070」、極限粘度:0.88)を押出機に供給して溶融混練しTダイから押出すことによって厚さ2mmで且つ幅600mmの非晶状態のポリエチレンテレフタレートシートを得た。なお、ポリエチレンテレフタレートシートの結晶化度は2.5%であった。
なお、ポリエチレンテレフタレートのガラス転移温度は76.7℃、非晶状態のポリエチレンテレフタレートシートを構成しているポリエチレンテレフタレートを昇温速度10℃/分の条件で示差走査熱量分析によって測定して得られた示差走査熱量曲線において、ポリエチレンテレフタレートの結晶化ピークの立ち上がり温度は139.8℃で、融解ピークの立ち上がり温度は234℃であった。
一対の直径が500mmの引抜ロール1a、1bを用意し、この引抜ロール1a、1bをその対向面間の距離(隙間)が0.7mmとなるように配設した。この引抜ロール1a、1bの前方に前側支持ロール2a、2bを配設した。この前側支持ロール2a、2bは、直径100mmの鉄製のロールであり、上下の前側支持ロール2a、2bの対向面間の距離(隙間)は、2mmであった。
又、引抜ロール1a、1bの後方に後側支持ロール3a、3bを配設した。この後側支持ロール3a、3bは、直径100mmの鉄製のロールであり、上下の後側支持ロール3a、3bの対向面間の距離(隙間)は、0.5mmであった。
そして、ポリエチレンテレフタレートシートAに温風を吹き付けて60℃に予熱した後、このポリエチレンテレフタレートシートAを70℃に保持された前側支持ロール2a、2b間に供給して前側支持ロール2a、2b間で挟持、支持しながら、ポリエチレンテレフタレートシートAを65℃に保持された引抜ロール1a、1b間に通した後、ポリエチレンテレフタレートシートを60℃に保持された後側支持ロール3a、3b間に供給して後側支持ロール3a、3b間で挟持、支持して6m/分の速度で引き抜いて引抜延伸を行って延伸ポリエチレンテレフタレートシートBを得た。延伸ポリエチレンテレフタレートシートの延伸倍率は5.5倍であった。
なお、前側支持ロール2a、2bは、引抜ロール1a、1bの前方350mmの位置に、後側支持ロール3a、3bは、引抜ロール1a、1bの後方350mmの位置に配設されており、引抜ロール1a、1bにはじめて接触してから引抜ロール1a、1b間を通過する間において、ポリエチレンテレフタレートシートAの厚み方向の中間面A1が、一対の引抜ロール1a、1bの軸芯R11、R12を含む平面Pに対して直交するように、前後支持ロール2a、2b、3a、3bの位置が調整されていた。
又、引抜ロール1a、1bは、これら引抜ロール1a、1bの対向面が共に引抜方向となるように回転速度1.32m/分にて回転しており、前後支持ロール2a、2b、3a、3bは、ポリエチレンテレフタレートシートとの摩擦力によって自由回転していた。
次に、190℃に保持された5m長の熱風槽の前後それぞれに、一対のロールを0.5mmの間隔を存して上下に配設してなるロール対を配設し、二組のロール対間に延伸ポリエチレンテレフタレートシートを配設すると共に、各ロール対のロール間に延伸熱可塑性樹脂シートを挟持させ、入口側のロール対の回転速度(周速度)を6m/分、出口側のロール対の回転速度(周速度)を6.6m/分とすることによって、加熱状態の延伸ポリエチレンテレフタレートシートに引張力を加えて延伸ポリエチレンテレフタレートシートを一軸延伸した。
得られた延伸ポリエチレンテレフタレートシートは凹凸が発生しておらず表面平滑性に優れていた。
A 熱可塑性樹脂シート
A1 中間面
B 延伸熱可塑性樹脂シート
1a、1b 引抜ロール
2a,2b 前側支持ロール
3a,3b 後側支持ロール
4a,4b 前後無端ベルト
5a,5b 後側無端ベルト

Claims (10)

  1. 熱可塑性樹脂シートを一対の引抜ロール間に通して引抜延伸する延伸熱可塑性樹脂シートの製造方法であって、上記引抜ロールの前方に前側支持部材を配設すると共に上記引抜ロールの後方に後側支持部材を配設し、上記引抜ロールに接触してから上記引抜ロール間を通過する間において、上記熱可塑性樹脂シートの厚み方向の中間面が、上記一対の引抜ロールの軸芯を含む平面に対して直交するように、上記熱可塑性樹脂シートを前後支持部材によって支持することを特徴とする延伸熱可塑性樹脂シートの製造方法。
  2. 前後支持部材は、一対の支持ロール又は無端ベルトであることを特徴とする請求項1に記載の延伸熱可塑性樹脂シートの製造方法。
  3. 前側支持部材が引抜ロールに対して相対的に上下方向に移動可能に配設されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の延伸熱可塑性樹脂シートの製造方法。
  4. 熱可塑性樹脂シートが非晶状態の熱可塑性ポリエステル系樹脂シートであることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の延伸熱可塑性樹脂シートの製造方法。
  5. 延伸熱可塑性樹脂シートの延伸倍率が3〜8倍であることを特徴とする請求項4に記載の延伸熱可塑性樹脂シートの製造方法。
  6. 非晶状態の熱可塑性ポリエステル系樹脂シートをこの熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを構成している熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度以上に予熱した後、上記熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを構成している熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度よりも20℃低い温度以上で且つ上記熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを構成している熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度未満に維持された一対の引抜ロール間に上記熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを供給して引抜延伸することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の延伸熱可塑性樹脂シートの製造方法。
  7. 引抜延伸された熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを更に引抜ロールの温度よりも高い温度で一軸延伸することを特徴とする請求項6に記載の延伸熱可塑性樹脂シートの製造方法。
  8. 非晶状態の熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを構成している熱可塑性ポリエステル系樹脂を昇温速度10℃/分にて測定して得られる示差走査熱量曲線における結晶化ピーク温度の立ち上がり温度以上で且つ融解ピークの立ち上がり温度以下において延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを一軸延伸することを特徴とする請求項7に記載の延伸熱可塑性樹脂シートの製造方法。
  9. 一軸延伸された延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを一軸延伸温度以上において熱固定することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の延伸熱可塑性樹脂シートの製造方法。
  10. 一軸延伸された延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートが熱収縮しないように固定させた状態で上記延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの熱固定を行うことを特徴とする請求項9に記載の延伸熱可塑性樹脂シートの製造方法。
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