JP3676156B2 - 二軸延伸ポリエステルフィルムの熱処理方法 - Google Patents

二軸延伸ポリエステルフィルムの熱処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は二軸延伸されたポリエステルフィルムの弛緩熱処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
二軸延伸ポリエステルフィルムは耐熱性、機械特性、耐薬品性等にバランスの良い性能を示し、種々の用途で使用されている。特に二次加工の行程やユーザの使用段階で加熱を受ける用途、例えば,メンブレンスイッチ、FPC、熱現像方式の写真感光材料用途などでは、低熱収縮のフィルムが要望されている。
【0003】
これらの要請に対して、二軸延伸ポリエステルフィルムの製造工程中で熱固定温度を高く設定することで結晶化度を上げたり、縦および横方向に弛緩熱処理を施すことが行われている。しかし、オンラインの処理だけでは充分に低熱収縮化することができないため、二軸延伸ポリエステルフィルムを製造後さらにオフラインで弛緩熱処理することが行われてきた。
【0004】
弛緩熱処理には種々の方法があり、例えば懸垂状態で連続的に走行させたフィルムを特定の温度条件下で弛緩することで熱収縮率を0.1%以下にする方法が提案されている(特許1891172号公報)。しかしこの方法では熱処理速度を増加させようとすると、フィルムの冷却が追いつかず平面性が損なわれる問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は平面性が良好で、熱寸法安定性に優れた二軸延伸ポリエステルフィルムを効率よく得るための弛緩熱処理方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、ポリエステルフィルムを弛緩熱処理する方法において、ポリエステルフィルムの走行域の上部に加熱ゾーン、その下部に冷却ゾーンが形成され且つ熱風を吹き出さないオーブン内で二軸延伸ポリエステルフィルムを懸垂した状態で式(1)に示される最高温度Tmaxに到達させ、該フィルムをオーブン内に過供給することによって弛緩させ、オーブン出口でのフィルム温度Tfを式(2)を満足する範囲とすると共に、オーブン内部の前記冷却ゾーンから前記加熱ゾーンへ向かって流れこむ空気の温度Taiと、その流速Vaiが式(3)および式(4)を満足することを特徴とする二軸延伸ポリエステルフィルムの熱処理方法により達成できる。
【0007】
【数4】
Tg+50≦Tmax≦Tg+150・・・式(1)
Tg−30≦Tf≦Tg+70・・・・・・式(2)
Tg−50≦Tai≦Tg+50・・・・・・式(3)
0.02≦Vai≦5.0・・・・・・・・・式(4)
(式(1)および式(2)で、Tmaxはオーブン内のフィルム最高温度(℃)、Tgは二軸延伸フィルムを構成するポリエステルのガラス転移温度(℃)、Tfはオーブン出口でのフィルム温度(℃)を表わし、式(3)および式(4)で、Taiは冷却ゾーンから加熱ゾーンへ向かって流れこむ空気の温度(℃)、Vaiは冷却ゾーンから加熱ゾーンへ向かって流れこむ空気の流速(m/s)、Tgは二軸延伸フィルムを構成するポリエステルのガラス転移温度(℃)をそれぞれ表わす。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
図1は本発明の1つの実施形態を表す弛緩熱処理装置の1例である。図1で、1は予熱ロール、2は二軸延伸ポリエステルフィルム、3は熱処理オーブン、4〜6は冷却ロール、7は赤外線ヒーター、8は放射温度計、9は温度測定用穴、10は張力検出用ロール、11は加熱ゾーン、12は冷却ゾーン、13は仕切り板、14は空気排出スリット、Tfはオーブン出口でのフィルム温度である。
【0009】
図2は懸垂状態のフィルムと、水平状態のフィルムの張力のかかり方の比較説明図である。図2で、21a、21b、22a、22bはガイドロールである。Tvは懸垂状態のフィルムのスパン上端での張力、Wはフィルムの自重、Thは水平状態のスパン両端での張力である。
【0010】
図3はエアフロート法による水平フィルムの搬送状態の説明図である。図3で、31はエアフロートノズルである。
【0011】
本発明で言う懸垂した状態でフィルムを走行させるというのは、図1に示したように予熱ロールから冷却ロールに向かって、重力方向に走行させることである。重力方向に走行させることで、実質的にはフィルム自重の処理張力への影響を小さくすることができる。例えば、ある一定スパンのフィルムの重量をWとすると、懸垂状態のフィルムのスパン上端での張力Tv=Wであり、水平状態のスパン両端での張力Th=W/(2・sinθ)である。ここでθはスパン端部でのフィルムの水平からの角度である。θ>30°なら水平状態のほうが張力が小さくなるが、大きく垂れ下がった状態ではフィルムを安定走行させることは困難なため、エアフロートノズル等によって僅かに上下に波打った状態で走行させるのが現実的である(図3)。その場合θは大きくとも10°以下であり、張力的には懸垂状態が有利である。またエアフロート法は低張力下では走行フィルムが蛇行し、安定な熱処理が困難である。これに対し懸垂状態の走行は、重力と走行方向が同一のため低張力下でも安定してフィルムを搬送することが可能である。
【0012】
弛緩熱処理時のフィルムの最高温度(Tmax)は、Tg+50〜Tg+150の範囲である。この温度範囲以下では低熱収縮率化が困難となり、これより高い温度では平面性を乱しやすく、ともに発明の目的が達成できない。
【0013】
このTmaxの温度範囲で、その上限はTg+130℃であることが好ましく、Tg+110℃であることがさらに好ましい。また、Tmaxの下限はTg+65℃であることが好ましく、Tg+80℃であることがさらに好ましい。ポリエステルがポリエチレンテレフタレートの場合は、上記フィルムの最高温度(Tmax)は、通常120℃以上220℃以下の範囲であり、好ましい上限は200℃、特に好ましい上限180℃、好ましい下限は135℃、特に好ましい下限は150℃である。
【0014】
フィルムの加熱はフィルムに熱風を吹き付ける方法は、フィルムのバタツキを誘発し好ましくないため、赤外線ヒーターのような輻射熱によって加熱するのが好ましい。熱収縮の幅方向分布を小さくするため、幅方向に複数のヒーターを並べて幅方向の温度分布を制御することが好ましい。
【0015】
フィルムの平面性を乱す最大の要因は、フィルムに波シワが入った状態で急激に冷却されることでシワが固定されることである。この急冷を防ぐために冷却ロールと冷却ロールに触れる直前のフィルムの温度差を小さくすること必要であり、さらに高い速度で熱処理をするためにはオーブン内の冷却効率を上げ、オーブン出口のフィルム温度Tfを式(2)の範囲に収めるのが有効である。TfはポリエステルフィルムのTg−30℃からTg+70℃の温度ならば、オーブン以降の工程で熱収縮率が増加したり平面性が悪化することを抑えることができる。この範囲を下回らせるためには冷却過程に非常に長い時間を要し生産性が上がらないし、この範囲を上回ると前述のように製品の平面性を悪化させる原因となる。Tfの温度範囲で、その上限はTg+50℃であることが好ましく、Tg+30℃であることがさらに好ましい。また、Tfの下限はTg−10℃であることが好ましく、Tgであることがさらに好ましい。
【0016】
懸垂状態のフィルムを走らせる縦向きのオーブンには加熱空気の上昇気流が生じるとともに、フィルムの随伴流によって加熱ゾーンで高温空気が冷却ゾーンに運ばれる。オーブン内の冷却効率を上げるには、オーブンの下端から吸い込まれる低温の空気を加熱ゾーンへ通過させずに、冷却ゾーン内に循環させること、加熱ゾーンからのフィルム随伴流をカットすることが有効である。加熱ゾーンから冷却ゾーンに向ってながれる空気の温度Taiを式(3)の範囲内とし、加熱ゾーンから冷却ゾーンにみ向ってながれる空気の流速Vaiを式(4)の範囲内に収めることによって、オーブン出口のフィルム温度を式(2)の範囲内にすることができる。Taiの温度範囲で、その上限はTg+30℃であることが好ましく、Tg+10℃であることがさらに好ましい。また、Taiの下限はTg−30℃であることが好ましく、Tg−10℃であることがさらに好ましい。更にVaiの範囲で、その上限は3.0m/sであることが好ましく、1.5m/sであることがさらに好ましい。また、Vaiの下限は0.1m/sであることが好ましく、0.2m/sであることがさらに好ましい。
【0017】
これらTai、Vaiを得るための具体策として、加熱ゾーンと冷却ゾーン間に仕切り板を設けること、加熱ゾーンと冷却ゾーンの間から加熱された空気を排出すること、またはこれらを併用するのが有効である。
【0018】
低熱収のフィルムを得る条件は、張力Fが式(7)の範囲内であることが好ましい。この範囲を下回るとロール搬送系でフィルムが蛇行し安定に処理ができないことがあり、この範囲を上回ると低熱収のフィルムを得ることができないことがある。フィルム単位断面積当たりの熱処理張力は通常、0.04〜0.60Mpaであればよい。この熱処理張力の範囲で、その上限は0.40MPaであることが好ましく、0.20MPaであることがさらに好ましい。また、熱処理張力の下限は0.08MPaであることが好ましく、0.10Mpaであることがさらに好ましい。
【0019】
上記のような張力を得るために、フィルムを過供給し弛緩させることが必要である。フィルムを弛緩熱処理する際の過供給率(D)とは、引き取り速度に対する供給速度の比であり、次式で示される。
【0020】
【数6】
D=(供給速度−引き取り速度)/供給速度×100(%)
【0021】
フィルムの張力をオンラインで測定し制御しても良いが、低張力域でのフィルム張力制御は安定させるのが難しいため、過供給率を設定し張力をモニターするのが実用的である。低熱収フィルムを得るには、D>0でかつ、S−0.3≦D≦S+0.3であればよく、S−0.1≦D≦S+0.1であればより好ましい。ここでSは熱処理前のフィルムの最高温度Tmaxでの縦方向の熱収縮率である。
【0022】
二軸延伸ポリエステルフィルムを熱処理する際には温度、張力とともに、熱処理の時間も熱収縮に影響を及ぼす。熱処理時間は、熱処理時のフィルム最高温度Tmax−20℃〜Tmaxの範囲に1〜60秒間保持すれば良く、好ましくは2〜30秒、さらに好ましくは4〜10秒がよい。
【0023】
本発明におけるポリエステルとは、芳香族二塩基酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルである。ポリエステルの具体例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等が例示でき、これらの共重合またはこれらと小割合の他樹脂とのブレンド物等も含まれる。
【0024】
ポリエステルには、フイルムの滑り性、加工性などの点から滑剤例えば炭酸カルシウム、カオリン、シリカ、酸化チタン、アルミナ、架橋ポリスチレン粒子、シリコン樹脂粒子などの添加微粒子及び(または)触媒残渣の析出微粒子等を含有させることが好ましい。また、他の添加剤例えば顔料、安定剤、紫外線吸収剤等を必要に応じて含有させることができる。
【0025】
本発明で用いる二軸延伸・熱固定したポリエステルフイルムは、従来から知られている方法で製造することができる。例えば、上記ポリエステルを乾燥後ポリマー融点(Tm℃)ないし(Tm+70)℃の温度で溶融し、ダイ(例えばT―ダイ、I―ダイ等)から冷却ドラムに押出し、急冷して固有粘度0.35〜0.9dl/gの未延伸フイルムを得、該未延伸フイルムを縦方向に(Tg−10)〜(Tg+70)℃の温度(ただし、Tgはポリエステルのガラス転移温度である)で2.5〜5.0倍の倍率で延伸し、次いでステンターにて横方向にTg〜(Tg+70)℃の温度で2.5〜5.0倍の倍率で延伸し、更に(Tg+70)℃〜Tm℃の温度で熱固定することで製造することができる。また、ポリエチレンテレフタレートフイルムについては190〜240℃で熱固定するのが好ましい。熱固定時間は1〜60秒が好ましい。
【0026】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに説明する。尚、特性値は以下の方法により測定した。
【0027】
(1)120℃熱収縮率
低張力熱処理後の支持体を、測定方向250mm×幅50mmに裁断する。これに200mm間隔に孔を2点開け、25℃60%RHで12時間以上調湿後ピンゲージを用いて測定する(この長さをL1 とする)。この後120℃に加熱した厚み10mmの平滑なステンレス板に15秒間押しつける。この後25℃60%RHで12時間以上調湿後再びピンゲージを用いて測長する(この長さをL2 とする)。下記式に基づき熱寸法変化率を求める。
【0028】
【数7】
120℃熱収縮率(%)=100×(L2 −L1 )/L1
これを支持体の幅方向に5等分した点において測定する。この平均値をMD方向の120℃熱収縮率とし、5点の最大値と最小値の差の絶対値を120℃熱収縮量率のレンジとする。
【0029】
(2)150℃熱収縮率
測定方向350mm、幅50mmのサンプルを切り出し、該サンプルの長手方向の両端近傍300mm間隔に標点を付け、150℃の温度に調整されたオーブンに自由端で30分放置する。これを取り出し室温で調整後、標点間距離を測長(この長さをL3 (mm)とする)し、下記式にて熱収縮率を求める。
【0030】
【数8】
150℃熱収縮率(%)=100×(300−L3 )/300
【0031】
(3) フイルムの平面性
幅1000mm、長さ2500mmのサンプルを切り出し、このサンプルを平板上に広げて波打ち、盛り上がりの状態を限度見本と照らし合わせて目視により評価した。
【0032】
(4) オーブン内のフィルム温度
オーブンの壁面に内部のヒーターの影響を受けない位置に測定用の穴を概略0.5mピッチにあけ,そこから内部フィルムの温度を放射温度計で測定した。測定時以外は穴に蓋をすることでオーブン内の温度が冷えないようにした。
【0033】
(5) フィルム張力
オーブンをでてから冷却ロールまでの位置にロードセル付きのガイドロールを設置し、張力を測定した。該ガイドロールは張力測定時のみフィルムに接触させ、不使用時は退避する構造とした。
【0034】
(6) ガラス転移温度(Tg)
試料10mgをパーキンエルマー社製のDSC装置(示差走査熱量計)にセットし、試料を300℃の温度で5分間溶融した後、液体窒素中で急冷し、この急冷試料を10℃/分で昇温してガラス転移点Tgを測定した。
【0035】
[実施例1]
固有粘度(o−クロロフェノール溶液にて35℃で測定)0.65dl/gのポリエチレンテレフタレート(Tg:70℃)のペレットを180℃で5時間乾燥した後に、270〜300℃に加熱された押出機に供給し、押し出し成形ダイによりシート状に成形した。さらにこのフィルムを表面温度25℃の冷却ドラム上に静電気で密着固化させ、未延伸フィルムを得た。次いで未延伸フィルムを、80〜100℃の加熱ロール群で加熱し縦方向に3.4倍一段階で縦延伸し、20〜50℃のロール群で冷却し、続いて、テンタへ導き、該フィルムの両端をクリップで把持しながら、90℃に加熱された熱風雰囲気中で予熱し、95℃の熱風雰囲気中で横方向に3.6倍に横延伸した。
【0036】
こうして二軸延伸されたフィルムをそのまま、テンタ中で引続き、235℃の熱処理を行い、熱処理後一旦180℃まで冷却後、熱風を吹き出さないゾーンにて熱固定されたフィルムのエッジ部を切り放した後、引き取り速度を1.5%減じて弛緩し、180℃から110℃までの徐冷しテンタから取出し、室温で自然に90℃まで冷えたフィルムを75℃の引き取りロールで引き取り、室温〜50℃の領域まで冷えたフィルムを巻き取った。得られた厚さ100μmの二軸延伸フィルムの150℃熱収縮率は縦方向が0.4%,横方向が0.1%であった。また150℃熱収縮率測定と同様の方法で120℃の熱収縮率を測定すると、縦方向が0.20%、横方向が0.10%であった。
【0037】
得られた二軸延伸フィルムを1500mm幅にスリットし、図1に示した本発明の方法によって弛緩熱処理を行った。オーブン3の長さが4m、フィルム2の搬送速度20m/min、予熱ロール温度を調整することで、予熱ロール1から離れた直後のフィルム温度を120℃とし、オーブン内に設けた赤外線ヒーター7の温度を調整することで、オーブン3内でフィルムの最高温度を150℃とした。オーブンの加熱ゾーンと冷却ゾーンの間に仕切り板13を設け、冷却ゾーンから加熱ゾーンへ向かって流れこむ空気の温度を80℃、冷却ゾーンから加熱ゾーンへ向かって流れこむ空気の流速を1.0m/sとし、オーブン3出口でのフィルム温度を110℃とした。仕切り板の先端とフィルムとの距離は20mmにセットした。空気排出スリットは出口を塞いでおいた。放射温度計8によってオーブン外から温度測定用穴9を通してフィルム温度を測定すると、オーブン内でフィルムが130〜150℃の範囲になっている時間は3.0秒であった。フィルムの過供給率D=0.46%とし、その時の冷却ロール直前でのフィルム縦方向張力は0.10MPaであった。フィルム自重を加味すると最高温度での張力Fは0.16MPaであった。その後フィルムを表面温度95℃の冷却ロール4、表面温度80℃の冷却ロール5、表面温度65℃の冷却ロール6に順次接触させ、多段階に冷却した。冷却ロール5直前のフィルム表面温度は93℃、冷却ロール6直前のフィルム表面温度は78℃であった。
【0038】
得られた熱処理フィルムの150℃熱収は縦方向が0.06%,横方向が0.04%、120℃熱収は縦方向が0.020%、横方向が−0.027%と良好であり、平面性も良好レベルであった。
【0039】
[実施例2]
オーブンの加熱ゾーンと冷却ゾーンの間に実施例1と同様な仕切板13を設けるとともに、仕切板の下部にオーブン全幅にわたる幅10mmの空気排出スリット14から加熱空気を排出することで、冷却ゾーンから加熱ゾーンへ向かって流れこむ空気の温度を80℃、冷却ゾーンから加熱ゾーンへ向かって流れこむ空気の流速を0.4m/sとし、オーブン3出口でのフィルム温度を105℃とした。それ以外は実施例1と同様な条件で弛緩熱処理を行った。
【0040】
得られた熱処理フィルムの150℃熱収は縦方向が0.07%,横方向が0.04%、120℃熱収は縦方向が0.025%、横方向が−0.025%と良好であり、平面性も良好レベルであった。
【0041】
[比較例1]
オーブンの加熱ゾーンと冷却ゾーンの間の仕切り板を取り外し、冷却ゾーンから加熱ゾーンへ向かって流れこむ空気の温度が150℃、冷却ゾーンから加熱ゾーンへ向かって流れこむ空気の流速が6m/sであり、オーブン3出口でのフィルム温度が145℃であった。それ以外は実施例1と同様な条件で弛緩熱処理を行った。冷却ロール4の直前のフィルム温度は135℃になっており、冷却ロール4上で急冷による波シワが発生し固定された。
【0042】
得られた熱処理フィルムの150℃熱収は縦方向が0.09%、横方向が0.02%、120℃熱収は縦方向が0.070%、横方向が−0.037%であり、サンプリング位置によって熱収値にばらつきが見られ、製品として出荷できないものであった。また熱処理後の製品には縦方向の波シワが固定されており、平面性は出荷不可レベルであった。
【0043】
【発明の効果】
本発明の二軸延伸ポリエステルフィルム製造方法によれば、平面性が良好で、熱寸法安定性に優れた二軸延伸ポリエステルフィルムを効率よく得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1つの実施形態を表す弛緩熱処理装置の1例である。
【図2】懸垂状態のフィルムと、水平状態のフィルムの張力のかかり方の比較説明図である。
【図3】エアフロート法による水平フィルムの搬送状態の説明図である。
【符号の説明】
1:予熱ロール
2:二軸延伸ポリエステルフィルム
3:熱処理オーブン
4〜6:冷却ロール
7:赤外線ヒーター
8:放射温度計
9:温度測定用穴
10:張力検出用ロール
11:加熱ゾーン
12:冷却ゾーン
13:仕切り板
14:空気排出スリット
Tf:オーブン出口でのフィルム温度
21a、21b、22a、22b:ガイドロール
Tv:懸垂状態のフィルムのスパン上端での張力
Th:水平状態のスパン両端での張力
W:フィルムの自重
31:エアフロートノズル

Claims (6)

  1. ポリエステルフィルムを弛緩熱処理する方法において、ポリエステルフィルムの走行域の上部に加熱ゾーン、その下部に冷却ゾーンが形成され且つ熱風を吹き出さないオーブン内で二軸延伸ポリエステルフィルムを懸垂した状態で式(1)に示される最高温度Tmaxに到達させ、該フィルムをオーブン内に過供給することによって弛緩させ、オーブン出口でのフィルム温度Tfを式(2)を満足する範囲とすると共に、オーブン内部の前記冷却ゾーンから前記加熱ゾーンへ向かって流れこむ空気の温度Taiと、その流速Vaiとを式(3)および式(4)を満足させることを特徴とする二軸延伸ポリエステルフィルムの熱処理方法。
    Figure 0003676156
    (式(1)および式(2)で、Tmaxはオーブン内のフィルム最高温度(℃)、Tgは二軸延伸フィルムを構成するポリエステルのガラス転移温度(℃)、Tfはオーブン出口でのフィルム温度(℃)を表わし、式(3)および式(4)で、Taiは冷却ゾーンから加熱ゾーンへ向かって流れこむ空気の温度(℃)、Vaiは冷却ゾーンから加熱ゾーンへ向かって流れこむ空気の流速(m/s)、Tgは二軸延伸フィルムを構成するポリエステルのガラス転移温度(℃)をそれぞれ表わす。
  2. 加熱ゾーンと冷却ゾーンの間に仕切り板を設ける請求項1に記載の二軸延伸ポリエステルフィルムの熱処理方法。
  3. 前記加熱ゾーンと前記冷却ゾーンの間からオーブン内を上昇する加熱空気を排出することを特徴とする請求項1または2に記載の二軸延伸ポリエステルフィルムの熱処理方法。
  4. 走行する二軸延伸ポリエステルフィルムを弛緩熱処理する際の過供給率が式(5)および式(6)を満足する請求項1乃至のいずれかに記載の二軸延伸ポリエステルフィルムの熱処理方法。
    Figure 0003676156
    (式(5)および式(6)で、Sは熱処理前のフィルムの温度Tmax(℃)での縦方向の熱収縮率(%)、Dは過供給率(%)を表わす。)
  5. 走行する二軸延伸ポリエステルフィルムを弛緩熱処理する際の、フィルムが最高温度に達した位置での単位断面積当たりのフィルム縦方向張力が、式(7)を満足する請求項1乃至のいずれかに記載の二軸延伸ポリエステルフィルム熱処理方法。
    Figure 0003676156
    (式(7)で、Fはフィルムが最高温度に達した位置での単位断面積当たりフィルム縦方向張力(Mpa)を表わす。)
  6. 走行する二軸延伸ポリエステルフィルムを弛緩熱処理する際、フィルムの温度がTmax−20(℃)からTmax(℃)の範囲に、1〜60秒間保持される請求項1乃至のいずれかに記載の二軸延伸ポリエステルフィルム熱処理方法。
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