JP2007237461A - 印刷方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ノズルが整列されたノズル群を、整列方向と傾き角θだけ傾いて搬送方向にずれた状態になっている印刷ヘッドを用いて、画像を印刷する印刷方法において、空白スキップを適正に実行可能にする。
【解決手段】ノズルからインクを吐出するドット形成動作と、媒体を下流側へ搬送する搬送動作とを交互に実行するサイクルを複数回行うことによって移動方向に沿うドット列が、インク色毎に形成される。最上流に位置するノズル群を第1基準ノズル群とし、第1基準ノズル群に対して搬送方向に相互ずれ量だけずれているノズル群を他ノズル群とした場合に、第1基準ノズル群でドット列を形成可能な領域の範囲が、他ノズル群によってドット列が形成されない他ノズル群空白領域に属するか否かを判定する。他ノズル群の全てについて前記範囲が他ノズル群空白領域に属すると判定された場合に、全ノズル群空白領域の大きさを算定し、k回目の搬送動作の搬送量を決定する。
【選択図】図14B

Description

本発明は、媒体に画像を印刷する印刷方法に関する。
インクジェットプリンタでは、移動方向に移動する印刷ヘッドのノズルからインクを吐出して紙にドットを形成するドット形成動作と、紙を搬送方向に搬送する搬送動作とを交互に繰り返し、前記移動方向に沿ったドット列(ラスタライン)を紙上の搬送方向に複数並べることによって画像を印刷している。
印刷ヘッドには、整列方向にノズルが整列してなるノズル群がインクの色毎に設けられていて、通常、この整列方向は、紙の搬送方向と一致させるべく調整されている。しかし、印刷ヘッドの組み付け精度の問題等により印刷ヘッドが傾いて組み付けられた場合には、ノズルの整列方向が紙の搬送方向から傾いてしまう。そして、その状態で印刷を行うと、印刷された画像中に色ずれという移動方向に沿った筋状の画像欠陥が生じてしまう。
これは、印刷ヘッドの傾きによって、互いのノズル群の位置が搬送方向にずれた状態となり、その結果、本来、搬送方向の同位置にラスタラインを形成すべきノズル同士のラスタラインの形成位置が、ノズル群同士の間で搬送方向にずれてしまうためである。
そこで、この色ずれを防ぐ方法として、例えば、前記傾きに伴うラスタラインの形成位置のずれ分だけ、ドット形成動作に用いるデータを、画像データ上でずらして取得する方法が提案されている(特許文献1及び2を参照)。
特開2005−96369号公報 特開2005−96371号公報
ところで、上述のように印刷ヘッドが傾いた状態でも色ずれを抑制して綺麗に画像を印刷したいという要望がある一方で、画像を短時間で印刷したいという要望もある。そして、印刷時間の短縮方法としては、所謂「空白スキップ」という方法が挙げられる。この空白スキップとは、一枚の紙上に印刷領域と空白領域とが搬送方向に並んで印刷される場合に、空白領域を飛ばすように大きな搬送量で搬送動作を行うものである。
しかしながら、上記特許文献1には、空白スキップ方法については何等開示されておらず、もって、印刷ヘッドが傾いた状態で画像を印刷する際に適用可能な空白スキップ方法の提供が待たれていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、印刷ヘッドの傾きに起因してノズルの整列方向が媒体の搬送方向から傾いた状態で画像を印刷する際に、適正に空白スキップを実行可能な印刷方法を実現することにある。
上記目的を達成するための主たる発明は、
整列方向にピッチk×D(kは1以上の整数)でノズルが整列されたノズル群を、前記整列方向と交差する方向にインク色毎に並べて有し、前記整列方向が媒体の搬送方向から傾き角θだけ傾いていることによって、互いのノズル群の位置が前記搬送方向にずれた状態になっている印刷ヘッドを用いて前記媒体に画像を印刷する印刷方法であって、
前記搬送方向と交差する移動方向に前記印刷ヘッドを移動させながら前記ノズルからインクを吐出して前記媒体に前記移動方向に沿ってドットを形成するドット形成動作と、前記媒体を前記搬送方向の下流側へ搬送する搬送動作とを交互にk回ずつ実行するサイクルが規定され、前記サイクルを複数回行うことによって前記移動方向に沿うドット列が、前記搬送方向にD×cosθのピッチで前記インク色毎に形成される印刷方法において、
前記印刷ヘッドが傾いた状態にて前記搬送方向の最上流に位置するノズル群を第1基準ノズル群とし、該第1基準ノズル群に対して前記搬送方向に相互ずれ量だけずれているノズル群を他ノズル群とした場合に、
前記サイクルにおけるk回目のドット形成動作の終了時に、該k回目のドット形成動作において前記第1基準ノズル群でドット列を形成可能な領域の前記搬送方向の上流側の端縁から、前記相互ずれ量だけ下流側に離れた位置までに亘る範囲が、前記他ノズル群によってドット列が形成されない他ノズル群空白領域に属するか否かを前記他ノズル群毎に判定するステップと、
前記他ノズル群の全てについて前記範囲が前記他ノズル群空白領域に属すると判定された場合に、全てのノズル群についてドット列が形成されない全ノズル群空白領域であって、前記端縁から上流側に連続して存在する前記全ノズル群空白領域の大きさを算定するステップと、
前記全ノズル群空白領域の大きさに基づいて、前記サイクルにおけるk回目の搬送動作の搬送量を決定するステップと、を備えることを特徴とする印刷方法である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
整列方向にピッチk×D(kは1以上の整数)でノズルが整列されたノズル群を、前記整列方向と交差する方向にインク色毎に並べて有し、前記整列方向が媒体の搬送方向から傾き角θだけ傾いていることによって、互いのノズル群の位置が前記搬送方向にずれた状態になっている印刷ヘッドを用いて前記媒体に画像を印刷する印刷方法であって、
前記搬送方向と交差する移動方向に前記印刷ヘッドを移動させながら前記ノズルからインクを吐出して前記媒体に前記移動方向に沿ってドットを形成するドット形成動作と、前記媒体を前記搬送方向の下流側へ搬送する搬送動作とを交互にk回ずつ実行するサイクルが規定され、前記サイクルを複数回行うことによって前記移動方向に沿うドット列が、前記搬送方向にD×cosθのピッチで前記インク色毎に形成される印刷方法において、
前記印刷ヘッドが傾いた状態にて前記搬送方向の最上流に位置するノズル群を第1基準ノズル群とし、該第1基準ノズル群に対して前記搬送方向に相互ずれ量だけずれているノズル群を他ノズル群とした場合に、
前記サイクルにおけるk回目のドット形成動作の終了時に、該k回目のドット形成動作において前記第1基準ノズル群でドット列を形成可能な領域の前記搬送方向の上流側の端縁から、前記相互ずれ量だけ下流側に離れた位置までに亘る範囲が、前記他ノズル群によってドット列が形成されない他ノズル群空白領域に属するか否かを前記他ノズル群毎に判定するステップと、
前記他ノズル群の全てについて前記範囲が前記他ノズル群空白領域に属すると判定された場合に、全てのノズル群についてドット列が形成されない全ノズル群空白領域であって、前記端縁から上流側に連続して存在する前記全ノズル群空白領域の大きさを算定するステップと、
前記全ノズル群空白領域の大きさに基づいて、前記サイクルにおけるk回目の搬送動作の搬送量を決定するステップと、を備えることを特徴とする印刷方法。
このような印刷方法によれば、印刷ヘッドが傾いた状態において画像に印刷する際に、適正に空白スキップを行うことができて、その結果、印刷時間の短縮を図ることができる。
かかる印刷方法において、
前記他ノズル群のうちで、少なくとも一つのノズル群について、前記範囲が前記他ノズル群空白領域に属すると判定されなかった場合には、
前記サイクルにおけるk回目の搬送動作は、前記サイクルに予め定められた既定の搬送量で行われるのが望ましい。
このような印刷方法によれば、搬送動作に伴って生じ得る画像欠陥を確実に防止することができる。
かかる印刷方法において、
前記印刷ヘッドが傾いた状態にて前記搬送方向の最下流に位置するノズル群を第2基準ノズル群とし、該第2基準ノズル群に対して前記搬送方向に相互ずれ量だけずれているノズル群を第2他ノズル群とした場合に、
前記第2他ノズル群によってドット列が前記搬送方向に連続して形成されない列数を、前記全ノズル群空白領域の上流側の端縁から上流側へ向けて前記第2他ノズル群毎に算定するステップと、を更に備え、
前記サイクルにおけるk回目の搬送動作の搬送量を決定するステップにおいては、前記全ノズル群空白領域の大きさと前記列数とに基づいて、前記搬送量を決定するのが望ましい。
このような印刷方法によれば、印刷ヘッドが傾いた状態において画像に印刷する際に、より一層適正に空白スキップを行うことができて、その結果、印刷時間のより一層の短縮を図ることができる。
かかる印刷方法において、
前記ドット形成動作は、画像データに基づいて行われ、
前記画像データは、各ドット列を形成するためのドット列データを前記ノズル群毎に有し、
前記他ノズル群が前記ドット形成動作の際に用いるドット列データは、
そのドット形成動作において前記第1基準ノズル群がドット列を形成する前記媒体上の位置よりも、前記相互ずれ量に相当する分だけ前記搬送方向の下流側の位置にドット列を形成するためのデータであるのが望ましい。
このような印刷方法によれば、印刷ヘッドの傾きに起因して生じ得る色ずれ等の画像欠陥を確実に防止することができる。
かかる印刷方法において、
前記ノズル群の前記整列方向の全長は、全てのノズル群について互いに等しく、
各ノズル群のノズルの位置は、互いに前記整列方向に関して揃っている。
かかる印刷方法において、
前記ノズル群の前記整列方向の全長とは、そのノズル群が有する前記整列方向の一方端のノズルの中心と他方端のノズルの中心との間隔である。
かかる印刷方法において、
前記インク色は、シアン、マゼンダ、イエロ、及びブラックであるのが望ましい。
このような印刷方法によれば、フルカラー印刷を行うことができる。
また、整列方向にピッチk×D(kは1以上の整数)でノズルが整列されたノズル群を、前記整列方向と交差する方向にインク色毎に並べて有し、前記整列方向が媒体の搬送方向から傾き角θだけ傾いていることによって、互いのノズル群の位置が前記搬送方向にずれた状態になっている印刷ヘッドを用いて前記媒体に画像を印刷する印刷方法であって、
前記搬送方向と交差する移動方向に前記印刷ヘッドを移動させながら前記ノズルからインクを吐出して前記媒体に前記移動方向に沿ってドットを形成するドット形成動作と、前記媒体を前記搬送方向の下流側へ搬送する搬送動作とを交互にk回ずつ実行するサイクルが規定され、前記サイクルを複数回行うことによって前記移動方向に沿うドット列が、前記搬送方向にD×cosθのピッチで前記インク色毎に形成される印刷方法において、
前記印刷ヘッドが傾いた状態にて前記搬送方向の最上流に位置するノズル群を第1基準ノズル群とし、該第1基準ノズル群に対して前記搬送方向に相互ずれ量だけずれているノズル群を他ノズル群とした場合に、
前記サイクルにおけるk回目のドット形成動作の終了時に、該k回目のドット形成動作において前記第1基準ノズル群でドット列を形成可能な領域の前記搬送方向の上流側の端縁から、前記相互ずれ量だけ下流側に離れた位置までに亘る範囲が、前記他ノズル群によってドット列が形成されない他ノズル群空白領域に属するか否かを前記他ノズル群毎に判定するステップと、
前記他ノズル群の全てについて前記範囲が前記他ノズル群空白領域に属すると判定された場合に、全てのノズル群についてドット列が形成されない全ノズル群空白領域であって、前記端縁から上流側に連続して存在する前記全ノズル群空白領域の大きさを算定するステップと、
前記全ノズル群空白領域の大きさに基づいて、前記サイクルにおけるk回目の搬送動作の搬送量を決定するステップと、を備え、
前記他ノズル群のうちで、少なくとも一つのノズル群について、前記範囲が前記他ノズル群空白領域に属すると判定されなかった場合には、前記サイクルにおけるk回目の搬送動作は、前記サイクルに予め定められた既定の搬送量で行われ、
前記印刷ヘッドが傾いた状態にて前記搬送方向の最下流に位置するノズル群を第2基準ノズル群とし、該第2基準ノズル群に対して前記搬送方向に相互ずれ量だけずれているノズル群を第2他ノズル群とした場合に、前記第2他ノズル群によってドット列が前記搬送方向に連続して形成されない列数を、前記全ノズル群空白領域の上流側の端縁から上流側へ向けて前記第2他ノズル群毎に算定するステップと、を更に備え、前記サイクルにおけるk回目の搬送動作の搬送量を決定するステップにおいては、前記全ノズル群空白領域の大きさと前記列数とに基づいて、前記搬送量を決定し、
前記ドット形成動作は、画像データに基づいて行われ、前記画像データは、各ドット列を形成するためのドット列データを前記ノズル群毎に有し、前記他ノズル群が前記ドット形成動作の際に用いるドット列データは、そのドット形成動作において前記第1基準ノズル群がドット列を形成する前記媒体上の位置よりも、前記相互ずれ量に相当する分だけ前記搬送方向の下流側の位置にドット列を形成するためのデータであり、
前記ノズル群の前記整列方向の全長は、全てのノズル群について互いに等しく、各ノズル群のノズルの位置は、互いに前記整列方向に関して揃っており、
前記ノズル群の前記整列方向の全長とは、そのノズル群が有する前記整列方向の一方端のノズルの中心と他方端のノズルの中心との間隔であり、
前記インク色は、シアン、マゼンダ、イエロ、及びブラックであることを特徴とする印刷方法。
このような印刷方法によれば、既述の全ての効果を奏するため、本発明の目的がより有効に達成される。
===印刷システムの構成===
図1Aは、印刷システム100の外観構成を示した説明図である。この印刷システム100は、プリンタ1と、コンピュータ110と、表示装置120と、入力装置130と、記録再生装置140とを備えている。プリンタ1は、紙、布、フィルム等の媒体に画像を印刷する印刷装置である。コンピュータ110は、プリンタ1と通信可能に接続されており、プリンタ1に画像を印刷させるため、印刷させる画像に応じた印刷データをプリンタ1に出力する。
コンピュータ110にはプリンタドライバがインストールされている。プリンタドライバは、表示装置120にユーザインタフェースを表示させ、アプリケーションプログラムから出力された画像データを印刷データに変換させるためのプログラムである。このプリンタドライバは、フレキシブルディスクFDやCD−ROMなどの記録媒体(コンピュータ読み取り可能な記録媒体)に記録されている。または、このプリンタドライバは、インターネットを介してコンピュータ110にダウンロードすることも可能である。なお、このプログラムは、各種の機能を実現するためのコードから構成されている。
===プリンタドライバ===
プリンタドライバは、アプリケーションプログラムから画像データを受け取り、プリンタ1が解釈できる形式の印刷データに変換し、印刷データをプリンタ1に出力する。アプリケーションプログラムからの画像データを印刷データに変換する際に、プリンタドライバは、図1Bに示すように、解像度変換処理・色変換処理・ハーフトーン処理・搬送スケジュール検討処理・ラスタライズ処理を行う。以下に、プリンタドライバが行う各種の処理について説明する。
解像度変換処理(S110)は、アプリケーションプログラムから出力された画像データ(テキストデータ、イメージデータなど)を、紙に印刷する際の解像度(印刷解像度)に変換する処理である。例えば、印刷解像度が720×720dpiに指定されている場合、アプリケーションプログラムから受け取ったベクター形式の画像データを720×720dpiの解像度のビットマップ形式の画像データに変換する。なお、解像度変換処理後の画像データの各画素データは、RGB色空間により表される多階調(例えば256階調)のRGBデータである。
色変換処理(S130)は、RGBデータをMCYK色空間(Mはマゼンダ、Cはシアン、Yはイエロ、Kはブラックである)により表されるMCYKデータに変換する処理である。なお、MCYKデータは、プリンタ1が有するインクの色に対応したデータである。この色変換処理は、RGBデータの階調値とMCYKデータの階調値とを対応づけたテーブル(色変換ルックアップテーブルLUT)に基づいて行われる。なお、色変換処理後の画素データは、MCYK色空間により表される256階調のMCYKデータである。
ハーフトーン処理(S150)は、高階調数のデータを、プリンタ1が形成可能な階調数のデータに変換する処理である。例えば、ハーフトーン処理により、256階調を示すデータが、2階調を示す1ビットデータや4階調を示す2ビットデータに変換される。ハーフトーン処理では、ディザ法・γ補正・誤差拡散法などが利用される。ハーフトーン処理されたデータは、印刷解像度(例えば720×720dpi)と同等の解像度である。ハーフトーン処理後の画像データでは、画素ごと1ビット又は2ビットの画素データが対応しており、この画素データは各画素でのドットの形成状況(ドットの有無、ドットの大きさ)を示すデータになる。
搬送スケジュール検討処理(S170)は、印刷時のドット形成動作毎になされる紙の搬送動作の搬送量を検討する処理である。そして、検討結果たる各搬送量はドット形成動作の順番に関連付けられて搬送スケジュールテーブルに格納される。なお、この搬送スケジュール検討処理はラスタライズ処理のなかで行っても良い。
ラスタライズ処理(S190)は、マトリクス状に並ぶ画素データを、印刷時のドット形成順序に従って並べ替える処理である。例えば、印刷時に数回に分けてドット形成動作が行われる場合、各ドット形成動作に対応する画素データをそれぞれ抽出し、ドット形成動作の順序に従って並べ替える。なお、印刷方式が異なれば印刷時のドット形成順序が異なるので、印刷方式に応じてラスタライズ処理が行われることになる。
また、このラスタライズ処理では、各ドット形成動作に対応させて搬送量が記録されるが、その記録は、前記搬送スケジュールテーブルから、対応する搬送量を参照することで行われる。
以上の解像度変換処理・色変換処理・ハーフトーン処理・搬送スケジュール検討処理・ラスタライズ処理を経て生成された印刷データは、プリンタドライバによりプリンタ1に送信される。
===プリンタ1の構成===
<インクジェットプリンタ1の構成について>
図2は、プリンタ1の全体構成のブロック図である。また、図3Aは、プリンタ1の全体構成の概略図である。また、図3Bは、プリンタ1の全体構成の断面図である。以下、プリンタ1の基本的な構成について説明する。
プリンタ1は、搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40、検出器群50、及びコントローラ60を有する。外部装置であるコンピュータ110から印刷データを受信したプリンタ1は、コントローラ60によって各ユニット(搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40)を制御する。コントローラ60は、コンピュータ110から受信した印刷データに基づいて各ユニットを制御し、紙に画像を印刷する。プリンタ内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は、検出結果をコントローラ60に出力する。コントローラ60は、検出器群50から出力された検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。
搬送ユニット20は、紙などの媒体を搬送方向に搬送させるためのものである。この搬送ユニット20は、給紙ローラ21と、搬送モータ22と、搬送ローラ23と、プラテン24と、排紙ローラ25とを有する。給紙ローラ21は、紙挿入口に挿入された紙をプリンタ内に給紙するためのローラである。搬送ローラ23は、給紙ローラ21によって給紙された紙を印刷可能な領域まで搬送するローラであり、搬送モータ22によって駆動される。プラテン24は、印刷中の紙を支持する。排紙ローラ25は、紙をプリンタ1の外部に排出するローラであり、印刷可能な領域に対して搬送方向下流側に設けられている。搬送ユニット20には、第1従動ローラ26及び第2従動ローラ27が設けられている。第1従動ローラ26は、紙を搬送する際に搬送ローラ23との間で紙を挟むように、搬送ローラ23と対向する位置に設けられている。第2従動ローラ27は、紙を搬送する際に排紙ローラ25との間で紙を挟むように、排紙ローラ25と対向する位置に設けられている。
キャリッジユニット30は、印刷ヘッド41を前記搬送方向と直交する方向(以下、移動方向という)に移動させるためのものである。キャリッジユニット30は、キャリッジ31と、キャリッジモータ32とを有する。キャリッジ31は、移動方向に往復移動可能であり、キャリッジモータ32によって駆動される。また、キャリッジ31は、インクを収容するインクカートリッジを着脱可能に保持している。
ヘッドユニット40は、紙にインクを吐出するためのものである。ヘッドユニット40は、複数のノズルを有する印刷ヘッド41を備える。この印刷ヘッド41はキャリッジ31に設けられているため、キャリッジ31が移動方向に移動すると、印刷ヘッド41も移動方向に移動する。そして、印刷ヘッド41が移動方向に移動中にインクを断続的に吐出することによって、移動方向に沿ったドット列(ラスタライン)が紙に形成される。
検出器群50には、リニア式エンコーダ51、ロータリー式エンコーダ52、および、紙検出センサ53等が含まれる。リニア式エンコーダ51は、キャリッジ31の移動方向の位置を検出する。ロータリー式エンコーダ52は、搬送ローラ23の回転量を検出する。紙検出センサ53は、給紙中の紙の先端の位置を検出する。
コントローラ60は、プリンタ1の制御を行うための制御ユニットである。コントローラ60は、インターフェース部61と、CPU62と、メモリ63と、ユニット制御回路64とを有する。インターフェース部61は、外部装置であるコンピュータ110とプリンタ1との間でデータの送受信を行う。CPU62は、プリンタ全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリ63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶素子を有する。CPU62は、メモリ63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して各ユニットを制御する。
<ノズルについて>
図4は、印刷ヘッド41のノズル配列の説明図である。図4に示すように、印刷ヘッド41の下面には、マゼンタインクノズル群Gm(以下、Mノズル群と言う)と、シアンインクノズル群Gc(以下、Cノズル群と言う)と、イエローインクノズル群Gy(以下、Yノズル群と言う)と、ブラックインクノズル群Gk(以下、Kノズル群と言う)とが形成されている。各ノズル群Gm,Gc,Gy,Gkは、各色のインクを吐出するための吐出口であるノズルを同数個(ここでは180個であり、以下ではノズル数Nとも言う)備えている。各ノズルには、それぞれインクチャンバー(不図示)と、ピエゾ素子(不図示)が設けられており、ピエゾ素子の駆動によってインクチャンバーが伸縮・膨張して各ノズルからインク滴が吐出される。なお、各ノズル群Gm,Gc,Gy,Gkのノズルは、下流側のノズルほど小さい数のノズル番号が付されている(♯1〜♯180)。
各ノズル群Gm,Gc,Gy,Gkのノズルは、所定の整列方向に沿って一定の間隔(ノズルピッチ:k・D)で整列しており、また、各ノズル群Gm,Gc,Gy,Gkは、互いに、前記整列方向と直交する直交方向に間隔Wを空けて並んでいる。そして、印刷ヘッド41が所期の設計どおり正常に設置されていれば、前記整列方向は紙の搬送方向に一致するとともに、前記直交方向は印刷ヘッド41の移動方向と一致する。
上記ノズルピッチk・DのDは、前記整列方向が前記搬送方向に一致した場合の前記搬送方向における最小のドットピッチ(つまり、紙に形成されるドットの最高解像度での間隔)であり、また、kは1以上の整数である。例えば、ノズルピッチが180dpi(1/180インチ)であって、搬送方向のドットピッチが720dpi(1/720インチ)である場合、kは4である。
そして、このように各ノズル群Gm,Gc,Gy,Gkは、互いにノズル数Nが等しく、またノズルピッチk・Dも互いに同じであるので、何れのノズル群Gm,Gc,Gy,Gkの搬送方向の全長(そのノズル群が有する搬送方向の最上流のノズル#180の中心と最下流のノズル#1の中心との間隔の大きさ)も互いに等しくなっている。
また、各ノズル群Gk,Gc,Gm,Gyは、互いに搬送方向のノズルの位置を揃えて配置されている。例えば、ブラックインクノズル群Gkのノズル#1と、シアンインクノズル群Gcのノズル#1と、マゼンタインクノズル群Gmのノズル#1と、イエローインクノズル群Gyのノズル#1とは、互いに、搬送方向に関して同じ位置に配置されている。これは、他のノズル番号のノズルについても同様である。
<印刷処理について>
図5は、印刷処理のフロー図である。以下に説明される各動作は、コントローラ60が、メモリ63内に格納されたプログラムに従って、各ユニットを制御することにより実行される。このプログラムは、各動作を実行するためのコードを有する。
印刷命令受信(S001):まず、コントローラ60は、コンピュータ110からインターフェース部61を介して、印刷命令を受信する。この印刷命令は、コンピュータ110から送信される印刷データのヘッダに含まれている。そして、コントローラ60は、受信した印刷データに含まれる各種コマンドの内容を解析し、各ユニットを用いて、以下の給紙動作・ドット形成動作・搬送動作等を行う。
給紙動作(S002):給紙動作とは、印刷すべき紙をプリンタ内に供給し、印刷開始位置(頭出し位置とも言う)に紙を位置決めする動作である。コントローラ60は、給紙ローラ21を回転させ、印刷すべき紙を搬送ローラ23まで送る。続いて、コントローラ60は、搬送ローラ23を回転させ、給紙ローラ21から送られてきた紙を印刷開始位置に位置決めする。紙が印刷開始位置に位置決めされたとき、印刷ヘッド41の少なくとも一部のノズルは、紙と対向している。
ドット形成動作(S003):ドット形成動作とは、移動方向に沿って移動する印刷ヘッド41からインクを断続的に吐出させ、紙上にドットを形成する動作である。コントローラ60は、キャリッジモータ32を駆動し、キャリッジ31を移動方向に移動させる。そして、コントローラ60は、キャリッジ31が移動している間に、印刷データに基づいて印刷ヘッド41からインクを吐出させる。印刷ヘッド41から吐出されたインク滴が紙上に着弾すれば、紙上にドットが形成される。移動する印刷ヘッド41からインクが断続的に吐出されるので、紙上には移動方向に沿った複数のドットからなるドット列(ラスタライン)が形成される。
搬送動作(S004):搬送動作とは、紙を印刷ヘッド41に対して搬送方向に沿って相対的に移動させる動作である。コントローラ60は、搬送モータ22を駆動し、搬送ローラ23を回転させて紙を搬送方向に搬送する。この搬送動作により、印刷ヘッド41は、先ほどのドット形成動作によって形成されたドットの位置とは異なる位置に、ドットを形成することが可能になる。
排紙判断(S005):コントローラ60は、印刷中の紙の排紙の判断を行う。印刷中の紙に印刷すべきデータが残っていれば、排紙は行われない。そして、コントローラ60は、印刷すべきデータがなくなるまで、ドット形成動作と搬送動作とを交互に繰り返し、ドットから構成される画像を徐々に紙に印刷する。
排紙動作(S006):印刷中の紙に印刷すべきデータがなくなれば、コントローラ60は、排紙ローラ25を回転させることにより、その紙を排紙する。なお、排紙を行うか否かの判断は、印刷データに含まれる排紙コマンドに基づいても良い。
印刷終了判断(S007):次に、コントローラ60は、印刷を続行するか否かの判断を行う。次の紙に印刷を行うのであれば、印刷を続行し、次の紙の給紙動作を開始する。次の紙に印刷を行わないのであれば、印刷処理を終了する。
===印刷方式===
このプリンタ1は「バンド印刷」と「疑似ハンド印刷」とを実行可能である。
<バンド印刷>
図6A及び図6Bは、バンド印刷の説明図である。図6Aは、パス1におけるノズル群の位置とドットの形成の様子を示し、図6Bは、パス1の次のパス2におけるノズル群の位置とドットの形成の様子を示している。なお、この説明では、複数あるノズル群のうちの一つのノズル群のみを示し、また、ノズル群のノズル数Nも少なくしている(ここでは6個)。図中の黒丸で示されるノズルは、インクを吐出可能なノズルである。また、説明の便宜上、ノズル群が紙に対して移動しているように描かれているが、同図はノズル群と紙との相対的な位置関係を示すものであって、実際には紙が搬送方向に移動されている。
また、説明の都合上、各ノズルは数ドット(図中の丸印)しか形成していないように示されているが、実際には、移動方向に移動するノズルから間欠的にインク滴が吐出されるので、移動方向に多数のドットが並ぶことになる。このドットの列(ドット列)をラスタラインともいう。黒丸で示されるドットは、図における最後のパスで形成されるドットであり、白丸で示されるドットは、それ以前のパスで形成されたドットである。なお、「パス」とは、移動するノズルからインクを吐出してドットを形成する動作、すなわちドット形成動作のことをいう。各パスは、紙を搬送方向に搬送する搬送動作と交互に行われる。
「バンド印刷」とは、1回のパスによって、搬送方向の所定範囲にノズルピッチk・Dでラスタラインを並べて形成する印刷方式を意味する。つまり、バンド印刷では、1回のパスで、印刷ヘッド41のヘッド高さ(=ノズル数N×ノズルピッチk・D)分の印刷領域がバンド状に完成される。そして、各パスの後に行われる搬送動作では、ヘッド高さ分の搬送量fで紙が搬送され、このようなパスと搬送動作とが交互に繰り返されることによって、バンド状の印刷領域が搬送方向につなぎ合わされて紙上に画像が形成される。
<擬似バンド印刷>
図7A及び図7Bは、擬似バンド印刷の説明図である。図7Aは、パス1〜パス4におけるノズル群の位置とドットの形成の様子を示し、図7Bは、パス1〜パス8におけるノズル群の位置とドットの形成の様子を示している。
この疑似バンド印刷は、上述のバンド印刷と同様に、ヘッド高さ分(=ノズル数N×ノズルピッチk・D)の印刷領域が完成される度に、概ねヘッド高さ分の大きな搬送量fで搬送動作を行うものである。但し、ヘッド高さ分の印刷領域に対して、バンド印刷の場合のk分の1のピッチDでラスタラインを形成して埋めるために、当該ヘッド高さ分の印刷領域の完成には、k回のパスと、各パス同士の間に搬送量1・Dの搬送動作とを要する。
よって、この疑似バンド印刷では、k回のパスと各パスの後に行われる計k回の搬送動作とを一単位とするサイクルの概念が導入されている。詳しくは、1回目からk−1回目までの各パスの後には、それぞれ、ドットピッチ1・Dの小さな搬送量で搬送動作を行い、サイクルの最終パスであるk回目のパスの後には、大きな搬送量で搬送動作を行うというサイクルが規定されている。なお、k回目のパスに対応する搬送量は、前記ヘッド高さ(=ノズル数N×ノズルピッチk・D)から(k−1)・Dを引いた大きさに設定される。
そして、このようなサイクルを複数回実行すれば、図7Bに示すように、搬送方向にピッチDでラスタラインが連続して形成されて画像が印刷されることになる。例えば、図示例では、kが4でノズル数Nが6なので、パス1からパス3までの各パスに対しては各パスの後にピッチ1・Dの搬送量で搬送動作が行われ、サイクルの最終パスであるパス4の後では、21・D(=6×4・D−(4−1)・D)の搬送量で搬送動作が行われる。なお、図示例のパス5からパス8はそれぞれに、次のサイクルのパス1からパス4に相当しており、これらのパスも上述と同じ順番で搬送動作が繰り返されるのは言うまでもない。
なお、このサイクルの定義に照らして考えると、前述の「バンド印刷」は、疑似バンド印刷のサイクルの定義において、kが1の場合に該当すると言える。なぜなら、上述のサイクルの定義にk=1を代入して考えると、kが1の場合には、サイクルの最終パスであるk回目のパスは1回目のパスとなり、また、この最終パスの後の搬送動作の搬送量の上記算出式(搬送量は、前記ヘッド高さから(k−1)・Dを引いた大きさ)にk=1を代入すると、搬送量はヘッド高さになるからである。つまり、kが1の場合には、各サイクルは1回のパスと、その後に行われる搬送量がヘッド高さの大きさの搬送動作とから構成されることになり、これは、まさに上述の「バンド印刷」そのものであるからである。
===印刷ヘッド41が傾いた状態で印刷された画像中に生じる色ずれ===
上述したように印刷ヘッド41が所期の設計どおり正確に設置されていれば、そのノズルの整列方向は紙の搬送方向と一致する。しかし、実際には、図8に示すように印刷ヘッド41が傾いて設置されてしまうことがあって、その場合には、ノズルの整列方向が前記搬送方向から所定の傾き角θだけ傾いた状態になる。そして、この状態で印刷ヘッド41が、前記搬送方向と直交する前記移動方向に移動しながら印刷を行うと、印刷された画像中に「色ずれ」という画像欠陥が生じてしまう。
図9A乃至図10Bは、この色ずれの説明図である。図9A及び図9Bは、印刷ヘッド41が傾かずに設置された場合を示し、また、図10A及び図10Bは印刷ヘッド41が傾いて設置された場合を示している。なお、何れもバンド印刷の1回のパスによってヘッド高さ分の印刷領域が形成される場合を例示している。
図9Aに示すように、バンド印刷の1回のパスにおいて、MCYKのノズル群Gm,Gc,Gy,Gkの各ノズルからインクがそれぞれ吐出されると、MCYKの色毎にラスタラインが搬送方向にノズルピッチD(バンド印刷の場合はkが1のためノズルピッチk・Dは1・Dとなる)で形成される。そして、この時、印刷ヘッド41が設計どおり設置されていれば、前述したようにMCYKのノズル群Gm,Gc,Gy,Gkの互いのノズルの位置は搬送方向に関して揃っているので、MCYKのノズル群Gm,Gc,Gy,Gkにおいて互いにノズル番号が同じノズルから吐出されたインク滴は、搬送方向の同位置に着弾する。例えば、MCYKの何れのノズル群Gm,Gc,Gy,Gkについても、ノズル#1のインク滴は第1ラスタラインの位置に着弾し、ノズル#2のインク滴は第2ラスタラインの位置に着弾する。
そのため、MCYKのノズル群Gm,Gc,Gy,Gkにおいて互いにノズル番号が同じノズルは、画像データ上における、搬送方向の同位置にラスタラインを形成するためのデータに基づいてインクを吐出するようになっている。
図9Bは、これについて説明するための図であって、図9Bの左側には、印刷ヘッド41の位置を示し、図9Bの右側には、前述のハーフトーン処理後の画像データのイメージ図を示している。このイメージ図の各升目は画素データを表しており、また、移動方向に相当する方向に並ぶ画素データからなる画素データ列(ドット列データに相当)は、それぞれにラスタラインのデータに相当している。例えば、画像データの1列目の画素データ列が、第1ラスタラインの位置にラスタラインを形成するためのデータであり、2列目の画素データ列が、第2ラスタラインの位置にラスタラインを形成するためのデータであり、以下、搬送方向の上流側へ向かって、画素データ列とラスタラインの位置とは一対一で対応している。
なお、ここで画像データが4つ示されているのは、MCYKの色毎に画素データを有しているためである。すなわち、マゼンダの画素データはM画像データに記録され、シアンの画素データはC画像データに、イエロの画素データはY画像データに、そして、ブラックの画素データはK画像データに記録されている。但し、画素データ列とラスタラインの位置との対応関係は、これらMCYKの何れの画像データについても同じであり、つまり、MCYKの各画像データにおいて互いに同じ列目の画素データ列は、搬送方向の同位置にラスタラインを形成するためのデータである。よって、例えば、MCYKのノズル群Gm,Gc,Gy,Gkの各ノズル#1は、それぞれに、MCYKの各画像データの第1ラスタラインに対応する1列目の画素データ列に基づいてインクを吐出し、ノズル#2は、第2ラスタラインに対応する2列目の画素データ列に基づいてインクを吐出し、以下、ノズル#3〜ノズル#6についても同様である。
しかし、このような画像データに基づいて印刷する際に図10Aのように印刷ヘッド41が傾いていた場合には、MCYKのノズル群同士の間で互いのノズルの位置が搬送方向にずれるので、本来搬送方向の同位置に重なって形成されるべき各色のラスタラインが搬送方向にずれて形成されてしまい、重ならなくなってしまう。
例えば、印刷ヘッド41が、搬送方向と移動方向とで規定される平面内において傾き角θだけ時計回りに傾くと、Kノズル群Gkを基準とした場合に、Mノズル群Gm、Cノズル群Gc、Yノズル群Gyの位置は、それぞれ、前記Kノズル群Gkから搬送方向に相互ずれ量Vm、Vc、Vyだけ下流側へずれてしまい、その結果、ブラックのラスタラインよりも前記相互ずれ量Vm、Vc、Vyだけ下流側へずれた位置に、マゼンダ、シアン、イエロのラスタラインが形成されてしまう。なお、上記相互ずれ量Vm、Vc、Vyは、幾何学的関係から、図4の印刷ヘッド41の場合には、以下の式1、式2、式3で表される。
Vm=(3×W)×sinθ … 式1
Vc=(2×W)×sinθ … 式2
Vy=(1×W)×sinθ … 式3

このような現象を「色ずれ」と言うが、これが起きると、前記画像データに基づいて印刷を行っても、重なるべき各色のラスタラインが搬送方向に相対的にずれて形成されてしまうので、所期の画像が印刷されなくなってしまう。
この色ずれを抑制する方法としては、(a)印刷ヘッド41を再組み付けして物理的に印刷ヘッド41の傾きを修正する方法と、(b)物理的な傾き修正はせずに画像データ上で色ずれを修正する方法とが挙げられ、この印刷システム100では、後者の(b)の方法を採用している。すなわち、前述したプリンタドライバは、そのラスタライズ処理において、以下に説明する「色ずれ補正処理」も実行するようになっており、これによって、傾いた印刷ヘッド41によっても、色ずれを抑制して画像を印刷する。
図10Bは、色ずれ補正処理の考え方を示す概念図である。上述したように、印刷ヘッド41が傾いている場合には、Kノズル群Gkに対してMCYの各ノズル群Gm、Gc、Gyは、それぞれ、搬送方向の下流側に相互ずれ量Vm、Vc、Vyだけずれた位置(以下、この位置を現位置とも言う)に位置される。
従って、Kノズル群Gkのノズルが、そのドット形成動作において使用する画素データ列(ラスタラインの形成に用いる画素データ列)よりも、相互ずれ量Vm、Vc、Vyに相当するラスタラインの列数分だけ下流側の画素データ列に基づいて、MCYの各ノズル群Gm、Gc、Gyがドット形成動作を行えば、これらノズル群Gm、Gc、Gyは、その今ある現位置に本来形成すべきラスタラインを形成することができる。
よって、色ずれ補正処理では、各ドット形成動作においてKノズル群Gkがドット形成動作に使用する画素データ列よりも、相互ずれ量Vm、Vc、Vyに相当するラスタラインの列数Zm、Zc、Zyだけずらして、そのドット形成動作においてMCYの各ノズル群Gm、Gc、Gyが使用する画素データ列を取得するようにしている。
但し、相互ずれ量Vm、Vc、Vyは計量値である一方、これらに対応させるべき画素データ列の前記列数Zm、Zc、Zyは計数値であるので、以下の式4、式5、式6によって、相互ずれ量Vm、Vc、Vyを画素データ列の列数Zm、Zc、Zyに換算している。
Zm=round(Vm/Ds) … 式4
Zc=round(Vc/Ds) … 式5
Zy=round(Vy/Ds) … 式6
ここで、上式のround(X)は、小数点第1桁を四捨五入する関数である。また、Dsは、傾いた印刷ヘッド41で搬送方向に形成可能なドットピッチであり、傾いていない正常な印刷ヘッド41が形成可能なドットピッチDとは、下式7の関係にある。
Ds=D×cosθ … 式7
なお、印刷ヘッド41の傾き角θは予め測定等されて、そのデータはプリンタ1のメモリ63に記録されており、また、MCYKのノズル群同士の間隔W(前記整列方向と直交する直交方向の間隔)も予めメモリ63に記録されている。よって、プリンタ1に対してプリンタドライバが、これら傾き角θ及び間隔Wのデータを要求して取得したら、プリンタドライバは、これら傾き角θ及び間隔Wのデータを上記式1〜式7に代入して、Vm、Vc、Vy、Zm、Zc、Zyを算出するようになっている。
===傾いた印刷ヘッド41を用いた印刷について===
ここで図11乃至図13Bを参照しながら、傾いた印刷ヘッド41を用いた印刷について、バンド印刷を例に説明する。なお、上述した色ずれ補正処理を行えば、当該傾いた印刷ヘッド41で印刷することは、図11に示すような千鳥配置の印刷ヘッド(ノズル群Gkに対してノズル群Gm、Gc、Gyの位置が、それぞれ搬送方向に相互ずれ量Vm、Vc、Vyだけずれて配置された印刷ヘッド)を用いて印刷することと概ね等価である。従って、以下では、傾いた印刷ヘッド41の代わりに千鳥配列の印刷ヘッド41を用いて説明する。また、以下では、説明の便宜上、印刷ヘッド41の傾きによって生じる相互ずれ量Vm、Vc、Vyが、それぞれ3・Ds、2・Ds、1・Dsとなっている前提で説明する。
図12は、傾いた印刷ヘッド41を用いてバンド印刷を行う場合の説明図である。図12の左側には各パスの印刷ヘッド41の位置を示している。但し、印刷ヘッド41の傾きに起因して、各パスのノズル群Gm,Gc,Gy,Gkの搬送方向の位置がノズル群毎に異なることから、ここでは、各パスのノズル群の位置を、MCYKの全色について示している。各ノズル群Gm,Gc,Gy,Gkのノズルの位置に相当する升目には、それぞれ、どのインク色の何番目のノズルかが判別できるように、インク色の頭文字とノズル番号を組み合わせた文字が示されている。例えば、Mノズル群Gmのノズル#1〜ノズル#6には、それぞれ、M1〜M6と表示されており、この表記は、これ以外のCノズル群Gc、Yノズル群Gy、Kノズル群Gkについても同様である。
また、図12の右側には、ラスタラインの形成状態を示している。各升目は画素であり、前記升目内の数値はその画素にドットを形成するノズル番号である。各升目内には4桁の番号が示されているが、左から順番に、Mノズル群Gmのノズル番号、Cノズル群Gcのノズル番号、Yノズル群Gyのノズル番号、Kノズル群Gkのノズル番号を表している。例えば、図12の第4ラスタラインの各升目には、「4321」の4桁の番号が示されているが、これは、第4ラスタラインの位置には、Mノズル群Gmについてはノズル#4にてドットを形成でき、Cノズル群Gcについてはノズル#3にてドットを形成でき、また、Yノズル群Gyについてはノズル#2にてドットを形成でき、Kノズル群Gkについてはノズル#1にてドットを形成可能であるからである。そして、このように升目に4桁の番号が示されているラスタラインについては、MCYKの全色でドットを形成可能であり、つまり、そのラスタラインをフルカラーで完成可能なことを示している。
これに対して、第2ラスタラインの各画素の升目には、「21**」というように「*」を含む番号が示されているが、これは、Mノズル群Gm及びCノズル群Gcについては、それぞれノズル#2及びノズル#1にてドットを形成可能であるが、Yノズル群Gy及びKノズル群Gkについてはドットを形成できないからである。つまり、「*」は、その色のドットを形成できないことを示している。
ここで図12を参照しながら、この傾いた印刷ヘッド41によってラスタラインが形成される様子を説明する。同図から明らかなように、ノズル群毎にサイクルのパスを見ると、基本的には、MCYKの何れのノズル群Gm,Gc,Gy,Gkも、上述の図6Bの一つのノズル群のバンド印刷の場合と同様のドット形成動作及び搬送動作を行っている。すなわち、MCYKの各ノズル群Gm,Gc,Gy,Gkは、いずれも1回のパスとそのパスの後に行われる搬送量6・Dsの搬送動作とからなるサイクルを繰り返すことによって、MCYKの各色について、それぞれに、搬送方向にピッチDsでラスタラインが形成される。
但し、Kノズル群Gkのノズルの位置を基準に考えた場合に、Mノズル群Gm、Cノズル群Gc、Yノズル群Gyについては、それぞれに、各ノズルの位置が、前述の相互ずれ量Vm(=3・Ds)、Vc(=2・Ds)、Vy(=1・Ds)だけ下流側にずれており、もって、ノズル番号の同じノズルは、前記相互ずれ量Vm、Vc、Vyだけ下流側のラスタラインを形成している。例えば、Kノズル群Gkは、第1サイクルのパスのノズル#1によって第4ラスタラインを形成するが、Mノズル群Gm、Cノズル群Gc、Yノズル群Gyの各ノズル#1は、それぞれ、前記第4ラスタラインよりも相互ずれ量Vm(=3・Ds)、Vc(=2・Ds)、Vy(=1・Ds)だけ下流側のラスタラインを形成している。
これは、図10Aにて前述したように、印刷ヘッド41の傾きによって、Kノズル群Gkに対してMノズル群Gm、Cノズル群Gc、Yノズル群Gyが、それぞれに、相互ずれ量Vm(=3・D)、相互ずれ量Vc(=2・D)、相互ずれ量Vy(=1・D)だけ下流側にずれて位置しているためである。
そして、このラスタラインの形成位置が、ノズル群毎に相互ずれ量Vm、Vc、Vyだけずれていることに起因して、この印刷ヘッド41が傾いている場合には、次のような特徴的な現象が生じる。この現象とは、バンド印刷のサイクルを1回だけ実行した場合に、当該1回のサイクルだけで自己完結的に全てのラスタラインが全色について完成される自己完結完成領域Asと、前記1回のサイクルだけではラスタラインを全色については形成できずに、その前サイクル又は次サイクルとで協同して補完的に全色のラスタラインが完成される領域Ad、Auとが生成されることである。
図13A及び図13Bは、これについて説明するための図である。図13Aは、バンド印刷のサイクルを1回だけ実行した場合の印刷ヘッド41の位置とラスタラインの形成状態を示す図であり、図13Bは、前記サイクルを2回実行した場合の図である。
図13A中の右側にラスタラインの形成状態を示しているが、バンド印刷のサイクルを1回行っただけでは、搬送方向の真ん中の領域(自己完結完成領域As)については全てのラスタラインが、MCYKの全色についてドットピッチDsで連続的に形成されて当該領域は完成するが、その下流側領域Ad及び上流側領域Auには「*」印が記入されており、MCYKの何れかのラスタラインが未形成の部分を有した未完成状態になっている。
例えば、第4ラスタラインから第6ラスタラインまでの領域(自己完結完成領域As)については全てのラスタラインが全色について形成されているが、第1ラスタラインから第3ラスタラインまでの下流側領域Adについては、シアンとイエロとブラックについてラスタラインが形成されない部分を有し、また、第7ラスタラインから第9ラスタラインまでの上流側領域Auについては、マゼンダとシアンとイエロについてラスタラインが形成されない部分を有している。
これは、前述したように、印刷ヘッド41の傾きによって、MCYKのノズル群Gm,Gc,Gy,Gkの位置が、互いに搬送方向にずれているためである。すなわち、図13Aに示すように、印刷ヘッド41において最上流に位置するKノズル群Gkを第1基準ノズル群とした場合には、この第1基準ノズル群がラスタラインを連続的に形成可能な領域の上流側の端縁Euから相互ずれ量Vm、Vc、Vyだけ下流側の範囲には、それぞれ、Mノズル群Gm、Cノズル群Gc、及びYノズル群Gyはラスタラインを形成できない。
逆に、印刷ヘッド41において最下流に位置するMノズル群Gmを第2基準ノズル群とした場合には、この第2基準ノズル群がラスタラインを連続的に形成可能な領域の下流側の端縁Edから相互ずれ量V2c、V2y、V2kだけ上流側の範囲には、それぞれ、Cノズル群Gc、Yノズル群Gy、及びKノズル群Gkはラスタラインを形成できない。
但し、上流側領域Auについては、図13Bに示すように、未形成であったマゼンダ、シアン、イエロのラスタラインが、次サイクルたる第2サイクルの下流側領域Adによって補完的に形成されて完成される。また、第1サイクルの前記下流側領域Adについても、図示していないが、未形成であったシアン、イエロ、ブラックのラスタラインが、第1サイクルの前サイクルの上流側領域Auによって補完的に形成されて完成される。
つまり、傾いた印刷ヘッド41を用いて印刷を行った場合には、このように1回のサイクルだけで自己完結的に完成する自己完結完成領域Asが生成されるとともに、その上流側と下流側とには、それぞれに、次サイクル又は前サイクルとで協同して補完完成する上流側領域Au及び下流側領域Adが生成されるのである。
===第1実施形態の空白スキップ方法===
<概略説明>
印刷される画像中において、搬送方向の所定範囲に亘って連続してラスタラインの形成されない空白領域が存在する場合に、その空白領域を飛ばして紙を搬送し、印刷時間を短縮する処理が行われる。これを空白スキップと言うが、この空白スキップは、前記空白領域に対応する搬送動作の搬送量を、前記サイクルに基づく既定の搬送量よりも大きくすることで達成される。
(1)バンド印刷の場合
図14A乃至図14Cは、第1実施形態の空白スキップ方法の説明図である。なお、基本的に図14A乃至図14Cは、図12と同じ様式で示している。すなわち、図中の左側には、各パスの印刷ヘッド41の位置を示している。印刷ヘッド41の升目内の番号はノズル番号であり、インクを吐出するノズルについては升目内を黒塗りで、また吐出しないノズルについては升目内を白抜きで示している。また、図中の右側にはラスタラインの形成状態を示しており、各升目は画素である。升目内の4桁の番号は、その画素にドットを形成するMYCKのノズル番号を表している。但し、画像データに基づいてラスタラインが形成されないノズルについてはノズル番号を示さずに空欄にしている。
なお、以下では説明の都合上、空白領域を次のように定義する。画像データに基づいてMCYKの全色についてラスタラインが形成されない領域を「全色空白領域」と言う。また、同画像データに基づいてMCYKの何れか1色についてラスタラインが形成されない領域を、そのインク色の頭文字「α」を用いて「α空白領域」と言い、更には、MCYKの何れか2色又は3色についてラスタラインが形成されない領域を、これらインク色の頭文字「α」、「β」、「γ」、「δ」を用いて「αβ空白領域」又は「αβγ空白領域」と言う。例えば、マゼンダのラスタラインが形成されない領域はM空白領域であり、マゼンダ及びイエロの2色のラスタラインが形成されない領域はMY空白領域、マゼンダとイエロとブラックの3色のラスタラインが形成されない領域はMYK空白領域である。
このバンド印刷のサイクルは、1回のパスと前記パスの後に行われる既定の搬送量6・Dsの搬送動作とから構成されている。そして、全色空白領域が無く印刷領域が紙の全面に亘っている図14Aの例の場合には、前記サイクルを複数回実行することによって、第4ラスタラインからその搬送方向の上流側に亘って、ドットピッチDsで連続的に全色のラスタラインが適宜形成されて画像が印刷される。
一方、図14Bに示すように、全色空白領域を有する画像を印刷する場合には、この第1実施形態の空白スキップ方法によれば、その全色空白領域に対応するサイクルのk回目の搬送動作において空白スキップが実行される。
すなわち、この空白スキップ方法は、図15のフロー図に示すように、空白スキップの実行可否判定ステップ(S210)と、空白スキップの搬送量の決定ステップ(S250)とを備えており、前記空白スキップの実行可否判定ステップは、サイクル毎に、そのサイクルのk回目のパスの終了時点で行われる。例えば、この図示例のバンド印刷の場合には、前述したようにk=1なので、先ず、第1サイクルの1回しかないパスの終了時に空白スキップの実行可否判定ステップ(S210)が行われ、その内容は以下の通りである。
始めに、最上流に位置するノズル群を第1基準ノズル群と定めるとともに、この第1基準ノズル群よりも相互ずれ量だけ搬送方向の下流側にずれて位置するノズル群(他ノズル群に相当)のインク色を、実行可否判定の着目インク色と定める。例えば、図示例では、第1基準ノズル群はKノズル群Gkであり、また、この第1基準ノズル群よりも相互ずれ量Vm(=3・Ds)、Vc(=2・Ds)、Vy(=1・Ds)だけ下流側にずれて配置されたノズル群は、それぞれ、Mノズル群Gm、Cノズル群Gc、Yノズル群Gyである。よって、空白スキップの実行可否判定の着目インク色は、マゼンダ、シアン、イエロになる。
そうしたら、この最上流に位置する第1基準ノズル群(Kノズル群Gk)が、第1サイクルのパスによってラスタラインを形成可能な領域の上流側の端縁Euから、前記相互ずれ量Vm、Vc、Vyだけ下流側に離れた位置までに亘る範囲Rm、Rc、Ryを各着目インク色について参照し、これらの各範囲Rm、Rc、Ryが、その着目インク色に関する空白領域(他ノズル群空白領域に相当)に属するか否かを着目インク色毎にそれぞれ判定する。そして、全ての着目インク色について、前記範囲Rm、Rc、Ryが、それぞれ対応する着目インク色に関する空白領域に属する場合には、「空白スキップを実行可」と判定する一方、そうでない場合には「空白スキップを実行不可」と判定する。
例えば、図示例では、Mノズル群Gmの相互ずれ量Vmが3・Dsであるために、マゼンダについて参照すべき前記範囲Rmは、前記端縁Euから3・Dsだけ下流側の位置までの範囲となり、この範囲Rmが、マゼンダに関する空白領域に属するか否かが検討される。また、シアンについて参照すべき前記範囲Rcは、Cノズル群Gcの相互ずれ量Vcが2・Dsであるために、前記端縁Euから2・Dsだけ下流側の位置までの範囲となり、この範囲Rcがシアンに関する空白領域に属するか否かが検討される。更には、イエロについて参照すべき前記範囲Ryは、Yノズル群Gyの相互ずれ量Vが1・Dsであるために、前記端縁Euから1・Dsだけ下流側の位置までの範囲となり、この範囲Ryがイエロに関する空白領域に属するか否かが検討される。
そして、図14Bの例の場合には、これら範囲Rm、Rc、Ryは、画像データによれば何れもMCY空白領域に属していて、つまり、それぞれ、マゼンダに関する空白領域、シアンに関する空白領域、イエロに関する空白領域に属している。従って、この場合には、全ての着目インク色について前記範囲Rm、Rc、Ryが、それぞれ、対応する着目インク色に関する空白領域に属していることになり、もって「空白スキップを実行可」と判定される。
ここで、上記空白スキップの実行可否判定条件の意味について説明する。基本的に、この判定条件によって、現サイクル(第1サイクル)だけで、その上流側領域Auに対応する印刷領域Ruに含まれるラスタラインを全て完成できるか否かを判定している。
すなわち、画像データに基づいて前記印刷領域Ruに形成されるべきラスタラインが、第1サイクルの上流側領域Auだけで全て完成するのであれば、次サイクル(第2サイクル)の下流側領域Adによって前記印刷領域Ruにラスタラインを補完して完成する必要はなくなり、その場合には、既定の搬送量fc(=6・Ds)で搬送動作を行う必要も無く、もって空白スキップを実行可能となる。しかし、画像データに基づいて前記印刷領域Ruに形成されるべきラスタラインが、第1サイクルの上流側領域Auだけでは完成しない場合には、第2サイクルの下流側領域Adによって補完する必要があり、その場合には空白スキップを実行不可となる。
この上流側領域Auだけで前記印刷領域Ruに全てのラスタラインを完成できるか否かは、画像データとの関係によって決まり、具体的に言えば、上流側領域Auによってラスタラインを形成できない範囲に、画像データに基づいてラスタラインを形成するようになっていると、上流側領域Auだけでは前記印刷領域Ruのラスタラインを形成できなくなる。
この上流側領域Auでラスタラインを形成できない範囲というのは、前述したように、MCYKのノズル群毎に異なる。すなわち、Mノズル群Gm、Cノズル群Gc、Yノズル群Gyについては、前記端縁Euから相互ずれ量Vm、Vc、Vyまでの範囲Rm、Rc、Ryが、それぞれに、ラスタラインを形成できない範囲である。このため、上述の空白スキップの実行可否判定においては、これらのインク色の範囲Rm、Rc、Ryについては、画像データと照らし合わせて、これら範囲Rm、Rc、Ryが、マゼンダに関する空白領域、シアンに関する空白領域、イエロに関する空白領域であるか否かを検討しているのである。他方、第1基準ノズル群であるKノズル群Gkについては、前記上流側領域Auによって前記印刷領域Ruの全てのラスタラインを形成できるので、この第1基準ノズル群については、実行可否判定の着目インク色から外している。
ところで、「空白スキップの実行可否判定ステップ(S210)」にて「空白スキップを実行可」と判定されたら、「空白スキップの搬送量の決定ステップ(S250)」へ移行する。そうしたら、このステップS250では、図14Bに示すように、先ず、前記端縁Euから上流側に連続して存在する全色空白領域(全ノズル群空白領域に相当)の搬送方向の大きさSbを算定し、次に、この大きさSbと既定の搬送量fcとを、下式8に代入して空白スキップの搬送量fsを求める。
fs=fc+Sb … 式8
図示例では、Sbは5・Ds(ラスタライン5本分)であり、またfcは6・Dsなので、搬送量fsは11・Ds(=6・Ds+5・Ds)となる。
そうしたら、この搬送量fsで現サイクル(第1サイクル)の搬送動作を行い、これによって、図14Bに示すように空白スキップが行われる。
他方、図14Cは、空白スキップが実行されない例の説明図である。上述の図14Bの例との相違点は、第7から第9ラスタラインまでの領域がMCY空白領域ではなくて、MC空白領域である点にある。
そして、このような場合には、第7から第9ラスタラインまでの領域のうちで第9ラスタラインの位置には、次サイクルたる第2サイクルの下流側領域Adを用いてイエロのラスタラインを形成する必要があるために、空白スキップを実行してはならないが、この第1実施形態の空白スキップ方法によれば、以下に説明するように、空白スキップを実行しないようになっている。
先ず、第1サイクルのパスの終了時点で、空白スキップの実行可否判定ステップ(S210)が行われる。すなわち、前記第1基準ノズル群(Kノズル群Gk)よりも相互ずれ量Vm、Vc、Vyだけ下流側にずれて配置されたMノズル群Gm、Cノズル群Gc、Yノズル群Gyのインク色を、実行可否判定の着目インク色とする。そして、これら着目インク色たるマゼンダ、シアン、イエロついて、現サイクル(第1サイクル)に係る前記端縁Euから前記相互ずれ量Vm、Vc、Vyだけ下流側に離れた位置までに亘る前記範囲Rm、Rc、Ryをそれぞれ参照し、これら範囲Rm、Rc、Ryが、それぞれ、マゼンダに関する空白領域、シアンに関する空白領域、イエロに関する空白領域に属するか否かを判定する。
ここで、前記範囲Rm、RcについてはMC空白領域に属しているので、範囲Rmはマゼンダに関する空白領域に属し、範囲Rcはシアンに関する空白領域に属しているが、前記範囲Ryについては、イエロに関する空白領域に属していない。よって、「空白スキップを実行不可」と判定し、空白スキップを行わずに前記パスの搬送動作を既定の搬送量fc(6・Ds)で実行する。そして、その結果、第9ラスタラインの位置には、第2サイクルのパスにおいてYノズル群Gyのノズル#1によりイエロのラスタラインが形成される。
(2)疑似バンド印刷の場合
図16A及び図16Bは、第1実施形態の空白スキップ方法を疑似バンド印刷に適用した場合の説明図である。なお、基本的に図16A及び図16Bは、図12と同じ様式で示している。また、以下では、説明の便宜上、印刷ヘッド41の傾きによって、Kノズル群Gkに対するMノズル群Gm、Cノズル群Gc、Yノズル群Gyの搬送方向の相互ずれ量Vm、Vc、Vyが、それぞれ3・Ds、2・Ds、1・Dsとなっている前提で説明する。
図示例の疑似バンド印刷は、サイクルに係る前記kの値が4の場合である。従って、この疑似バンドのサイクルは、図16Aに示すように、パス1〜パス4の計4回のパスと、各パスの後に各々行われる既定の搬送量1・Ds、1・Ds、1・Ds、21・Dsの計4回の搬送動作とから構成されている。そして、全色空白領域が無く印刷領域が紙の全面に亘っている図16Aの例の場合には、前記サイクルを複数回実行することによって、第4ラスタラインからその搬送方向の上流側に亘って、ドットピッチDsで連続的に全色のラスタラインが適宜形成されて画像が印刷される。
一方、図16Bに示すように、全色空白領域を有する画像を印刷する場合には、この第1実施形態の空白スキップ方法によれば、上述したように、図15の空白スキップの実行可否判定ステップ(S210)が、サイクル毎に、そのサイクルのk回目のパスたるパス4の終了時点で行われる。例えば、この図示例の場合にはkは4なので、第1サイクルのパス4の終了時に、空白スキップの実行可否判定ステップが行われ、その内容は以下の通りである。
先ず、最上流に位置するノズル群を第1基準ノズル群と定めるとともに、この第1基準ノズル群よりも相互ずれ量だけ搬送方向の下流側にずれて位置するノズル群のインク色を、実行可否判定の着目インク色と定める。例えば、図示例では、第1基準ノズル群はKノズル群Gkであり、また、この第1基準ノズル群よりも相互ずれ量Vm(=3・Ds)、Vc(=2・Ds)、Vy(=1・Ds)だけ下流側にずれて配置されたノズル群は、それぞれ、Mノズル群Gm、Cノズル群Gc、Yノズル群Gyである。よって、空白スキップの実行可否判定の着目インク色は、マゼンダ、シアン、イエロになる。
そうしたら、この最上流に位置する第1基準ノズル群(Kノズル群Gk)が、第1サイクルのパス4によってラスタラインを形成可能な領域の上流側の端縁Euから、前記相互ずれ量Vm、Vc、Vyだけ下流側に離れた位置までに亘る範囲Rm、Rc、Ryを各着目インク色について参照し、これらの各範囲Rm、Rc、Ryが、その着目インク色に関する空白領域に属するか否かを着目インク色毎にそれぞれ判定する。そして、全ての着目インク色について、前記範囲Rm、Rc、Ryが、それぞれ対応する着目インク色に関する空白領域に属する場合には、「空白スキップを実行可」と判定する一方、そうでない場合には「空白スキップを実行不可」と判定する。
例えば、図示例では、Mノズル群Gmの相互ずれ量Vmが3・Dsであるために、マゼンダについて参照すべき前記範囲Rmは、前記端縁Euから3・Dsだけ下流側の位置までの範囲となり、この範囲Rmが、マゼンダに関する空白領域に属するか否かが検討される。また、シアンについて参照すべき前記範囲Rcは、Cノズル群Gcの相互ずれ量Vcが2・Dsであるために、前記端縁Euから2・Dsだけ下流側の位置までの範囲となり、この範囲Rcがシアンに関する空白領域に属するか否かが検討される。更には、イエロについて参照すべき前記範囲Ryは、Yノズル群Gyの相互ずれ量Vが1・Dsであるために、前記端縁Euから1・Dsだけ下流側の位置までの範囲となり、この範囲Ryがイエロに関する空白領域に属するか否かが検討される。
そして、図16Bの例の場合には、これら範囲Rm、Rc、Ryは、画像データによれば何れもMCY空白領域に属していて、つまり、それぞれ、マゼンダに関する空白領域、シアンに関する空白領域、イエロに関する空白領域に属している。従って、この場合には、全ての着目インク色について前記範囲Rm、Rc、Ryが、それぞれ、対応する着目インク色に関する空白領域に属していることになり、もって「空白スキップを実行可」と判定され、S250の「空白スキップの搬送量の決定ステップ」へ移行する。
そして、このS250の「空白スキップの搬送量の決定ステップ」では、図16Bに示すように、先ず、前記端縁Euから上流側に連続して存在する全色空白領域の搬送方向の大きさSbを算定し、次に、この大きさSbと既定の搬送量fcとを、前述の式8(fs=fc+Sb)に代入して空白スキップの搬送量fsを求める。
図示例では、Sbは7・Ds(ラスタライン7本分)であり、またfcは21・Dsなので、搬送量fsは26・Ds(=21・Ds+7・Ds)となる。
そうしたら、この搬送量fsで、前記パスの搬送動作を行い、これによって、図16Bに示すように空白スキップが行われる。
<空白スキップを行うための実際の処理>
上述したように、空白スキップは搬送量の変更によって行われ、当該搬送量のデータは、前述したように印刷データに記録されている。よって、実際には、この空白スキップを実行するための処理は、プリンタドライバが画像データを印刷データへと変換する過程で行われる。例えば、この印刷システムの場合には、図1Bに示すように、ラスタライズ処理(S190)の前に搬送スケジュール検討処理(S170)が設けられており、この検討処理において、空白スキップを考慮した搬送量がパス毎に求められる。そして、求められた各パスの搬送量が搬送スケジュールテーブルに格納され、次のラスタライズ処理(S190)において、この搬送スケジュールテーブルに基づいて、印刷データに、各パスの搬送量を書き込むことによって空白スキップが達成される。
図17は、搬送スケジュール検討処理(S170)によって生成された搬送スケジュールテーブルの一例である。上述した疑似バンド印刷の場合を示しており、各サイクルには、それぞれ、パス毎に搬送量が対応付けられて記録されている。なお、この搬送スケジュールテーブルには空白スキップの検討結果が反映されているので、例えば、図17に示すように第1サイクルのパス4の搬送量は、既定の搬送量fcの21・Dsではなく、空白スキップの搬送量fsの28・Dsが記録されている。この搬送スケジュールテーブルは、コンピュータ110のメモリ内に適宜設定される。
また、同メモリには、各パスに対応させて前記既定の搬送量を規定する搬送パターンテーブルも予め格納されている。この搬送パターンテーブルは、図18に示すように、印刷方式の種類毎にコンピュータ110のメモリに用意されている。例えば、図18には疑似バンド印刷の搬送パターンテーブルが示されているが、同テーブルには、パス1乃至パス4の各パスの搬送量として、1・Ds、1・Ds、1・Ds、21・Dsが1サイクル分だけ記録されている。そして、サイクル毎に搬送スケジュールを検討する際に、その都度、この搬送パターンテーブルが参照されて、対応するパスの既定の搬送量が読み出されるようになっている。
図19は、搬送スケジュールテーブルを作成するための搬送スケジュール検討処理のフロー図である。フロー中の変数「i」はサイクル番号であり、例えば、第1サイクルでは「1」、第2サイクルでは「2」となる。また、同じくフロー中の変数「n」は、そのサイクルにおける何回目のパスかを示すパス番号であり、例えば、パス1では「1」、パス2では「2」となる。ちなみに、この搬送スケジュール検討処理では、前記搬送スケジュールテーブルに搬送量が記録される度に、実際の印刷時と同じように、記録された搬送量で印刷ヘッド(仮想印刷ヘッド)を紙に対して仮想的に移動させながら搬送量の検討が行われる。
先ず、ステップS305においては、この検討処理で使用する相互ずれ量Vm、Vc、Vkが、前述の式1〜式3に基づいて計算される。なお、これら式中の傾き角θ及び間隔Wのデータは、プリンタ1のメモリ63から取得される。
次に、ステップS310では、サイクル番号iが、第1サイクルを表す「1」に初期化され、次のステップS312では、パス番号nが、パス1を表す「1」に初期化される。
そうしたら、ステップS314へ移行する。このステップS314は、現行パスがサイクルのk回目のパスであるか否かを検知するためのステップであり、パス番号nが「k」か否かで判定される。
そして、同ステップS314においてn=kでない場合は、ステップS316へ移行して、搬送パターンテーブル(図18)を参照してパスnに対応する既定の搬送量f(n)を取得し、取得した既定の搬送量f(n)を搬送スケジュールテーブルにおける第1サイクルのパスn欄に記録する。例えば、nが1の場合には、前記搬送パターンテーブルから、パス1に対応する既定の搬送量1・Dsを取得して、当該搬送量1・Dsを搬送スケジュールテーブルにおける第1サイクルのパス1欄に記録する。
そして、次のステップS318ではパス番号nを一つだけインクリメントしてステップS314へ戻り、当該ステップS314のn=kの条件が満足されるまで上述のステップS316及びS318を繰り返す。その結果、搬送スケジュールテーブルには、第1サイクルのk回目のパス以外のパスに対応する搬送量がそれぞれ記録される。例えば、図16Bの例では、第1サイクルのパス1からパス3までの各パスに対応する搬送量として、既定の搬送量1・Dsが、搬送スケジュールテーブルに記録されることになる。
そして、ステップS314においてn=kの条件が満足されて、第1サイクルの最終パス(パス4)であると判定されたら、以下、「空白スキップの実行可否判定ステップ」に相当するステップS320、及び、「空白スキップの搬送量の決定ステップ」に相当するステップS324〜S328を、第1サイクルの最終パス(パス4)の直後の搬送動作に対して行う。
但し、これらステップにおいてなされる前記範囲Rm、Rc、Ryの参照や、全色空白領域の大きさSbの算定等は、ハーフトーン処理後の画像データ上で行われる。
図20は、その説明図であり、同図の左側には、図16Bと同様に、各パスの印刷ヘッド41の位置及びラスタラインの形成状態を示している。但し、その右側には、ハーフトーン処理後の画像データのイメージ図を示している。各升目は画素データを表しており、そして、移動方向に相当する方向に並ぶ画素データからなる画素データ列は、それぞれに、ラスタラインのデータに対応している。図示例の場合は、第3ラスタラインから上流側が印刷領域であるため、画像データの1列目の画素データ列が、第3ラスタラインのデータに該当し、2列目の画素データ列が、第4ラスタラインのデータに該当し、以下、搬送方向の上流側へ向かって、画素データ列とラスタラインの位置とは一対一で対応している。なお、ここで画像データがMCYKの色毎に示されているのは、前述したように、MCYKのインク色毎に画素データを有しているためである。
そして、各画像データ上において、そのインク色に関する空白領域に対応する画素データ列の画素データには、NULLデータNuが記録されている。例えば、MCY空白領域に対応する画素データ列の画素データには、それぞれ、NULLデータNuが記録されており、例えば、図示例では、M画像データ、C画像データ、Y画像データの22列目乃至第24列目の画素データ列にはNULLデータNuが記録されている。
よって、「空白スキップの実行可否判定ステップ」に相当するステップS320では、全ての着目インク色について、それぞれ、前記範囲Rm、Rc、Ryに対応する画素データ列がNULLデータ列(全ての画素データに対してNULLデータNuが記録された画素データ列)であるか否かによって、空白スキップの実行可否判定、すなわち、全ての着目インク色について、前記範囲Rm、Rc、Ryが、それぞれ、対応する着目インク色に関する空白領域に属するか否かの判定が行われる。
但し、前述したように範囲Rm、Rc、Ryを特定するための相互ずれ量Vm、Vc、Vyは計量値である一方、画素データ列の列数は計数値である。このため、前述の式4〜式6に基づいて相互ずれ量Vm、Vc、Vyに相当する列数Zm、Zc、Zyをそれぞれ求め、これら列数に基づいて前記範囲Rm、Rc、Ryに対応する画素データ列を特定している。
例えば、前記範囲Rmの画素データ列は、前記端縁Euから相互ずれ量Vm(=3・Ds)だけ下流側の位置までに亘る範囲にラスタラインを形成するためのデータに相当するが、図示例の場合には、前述の式4(Zm=round(Vm/Ds)に基づいて前記列数Zmは3列(=round(3・Ds/Ds))となる。また、前記端縁Euを上流側の端縁とするラスタラインは、それまでの搬送量の累計値等に基づいて、第27ラスタラインであることが分かり、更には、この第27ラスタラインのデータは、前述の対応関係から24列目の画素データ列であることが分かる。よって、前記範囲Rmの画素データ列は、前記24列目の画素データ列を起点として、そこから3列だけ下流側の22列目までの画素データ列であると特定される。
そして、このようにして、前記範囲Rm、Rc、Ryの画素データ列が、それぞれに、24列目から22列目までの画素データ列、24列目から23列目までの画素データ列、及び、24列目の画素データ列と特定されたら、これら画素データ列の全てがNullデータ列であるか否かによって、「空白スキップの実行可否判定」が行われる。つまり、全ての画素データ列がNullデータ列である場合には、「空白スキップを実行可能」と判定して「空白スキップの搬送量の決定ステップ」側のステップS324へ移行する一方、そうでない場合には「空白スキップを実行不可」と判定してステップS322へ移行する。
そして、このステップS322では、搬送パターンテーブルを参照してk回目のパスに対応する既定の搬送量f(C)を取得し、取得した既定の搬送量f(C)を搬送スケジュールテーブルにおける第1サイクルの最終パスC欄に記録する。例えば、図18の搬送パターンテーブルから、パス4に対応する既定の搬送量21・Dsを取得して、当該搬送量21・Dsを搬送スケジュールテーブルにおける第1サイクルのパス4欄に記録する。そして、これにより、空白スキップを実行しない場合の第1サイクルの搬送スケジュールが完成し、後述するステップS320へ移行する。
一方、ステップS320の分岐において、「空白スキップの搬送量の決定ステップ」側のステップS324へ移行した場合には、前記第1基準ノズル群の最上流のノズルが形成可能な領域の上流側の端縁Euよりも上流側に存在する全色空白領域の大きさSbを求めるべく、前記最上流のノズルが形成するラスタラインに対応する画素データ列を基準として、この基準よりも上流側へ連続して存在するNULLデータ列の列数Ubを算定する。但し、ここでは全色空白領域の大きさSbを求めるので、M、C、Y、K画像データの全ての画像データについて、それらの全ての画素データ列がNULLデータ列である場合にのみ上流側へと辿って列数をカウントしていき、そして、M、C、Y、K画像データの何れか一つの画素データ列がNULLデータ列でなくなったら、その直前までのNULLデータ列の列数を前記列数Ubとする。そして、この列数UbにドットピッチDsを乗算して前記全色空白領域の大きさSbを算出する。
そして、次のステップS326では、この大きさSbと既定の搬送量fcとを、前述の式8(fs=fc+Sb)に代入して空白スキップの搬送量fsを計算し、この搬送量fsを、搬送スケジュールテーブルの最終パスのパスC欄に記録する(S328)。これにより、空白スキップを実行する場合の第1サイクルの搬送スケジュールが完成する。
そうしたら、次のステップS330では、サイクル番号iを1つインクリメントしてステップS332へ移行し、第2サイクルが最終サイクルか否かの判定を行う。ここで、第2サイクルが最終サイクルではない場合には、ステップS312へ戻り、第2サイクルに対して上述のステップS312〜S330を繰り返し、第2サイクルの搬送スケジュールを完成させる。以降、最終サイクルになるまで、上述のステップS312〜S330が繰り返され、最終的には、図17に示すように第1サイクルから最終サイクルまでの搬送量が搬送スケジュールテーブルに記録される。
===第2実施形態の空白スキップ方法===
上述した第1実施形態の空白スキップ方法では、空白スキップの搬送量fsを、式8(fs=fc+Sb)に基づいて求めていた。ここで式8の意味について説明すると、この式8の搬送量fsで搬送すれば、図14Bに示すように、次サイクル(第2サイクル)の自己完結完成領域Asの下流側の端縁Ldが、前記全色空白領域とその上流側の印刷領域との境界線BL上に一致するように紙が搬送されるということである。
すなわち、第1実施形態の空白スキップ方法では、次サイクル(第2サイクル)の下流側領域Adを担当するノズルを用いずに印刷を行っていた。なお、この下流側領域Adを用いずに印刷する理由は、次の通りである。つまり、前述したように、下流側領域Adだけでは、搬送方向の最下流に配置された第2基準ノズル群(図示例ではMノズル群Gm)よりも上流側にずれて配置されたノズル群(図示例ではCノズル群Gc、Yノズル群Gy、及びKノズル群Gk)の色のラスタラインを、搬送方向に連続させて形成できないからである。
しかしながら、図21及び図22に示すように、前記全色空白領域の上流側に隣接する印刷領域の端部Tが、下流側領域Adにてラスタラインを連続的に形成できない色(図示例ではシアン、イエロ、ブラック)に関する空白領域であるような場合には、この端部Tのラスタラインの形成を前記下流側領域Adに任せることができる。そして、その場合には、図21及び図22に示すように、前記自己完結完成領域Asの端縁Ldを、前記境界線BLよりも更に上流側に移動させることが可能となり、その結果、空白スキップの搬送量fsを拡大できて更なる印刷時間の短縮化が図れる。
そこで、以下に説明する第2実施形態の空白スキップ方法にあっては、前記下流側領域Adでラスタラインを連続的に形成できないインク色に着目し、その着目インク色に関する空白領域であって、前記境界線BLから上流側に連続して存在する前記空白領域の大きさを前記着目インク色毎に算定し、その大きさの算定結果も利用して空白スキップの搬送量fsを決定している。
以下、この搬送量fsの算出方法について2つの具体例を挙げて説明する。
図21に示す第1具体例は、前記全色空白領域の上流側に隣接する印刷領域の端部Tが、CYK空白領域の場合である。なお、この端部TがCYK空白領域であること以外は、前述の図14Bの場合と同じである。
先ず、着目インク色が決定されるが、下流側領域Adにてラスタラインを連続的に形成できないノズル群は、図13Aにて前述したように、搬送方向の最下流に位置する第2基準ノズル群よりも相互ずれ量だけ上流側にずれて配置されたノズル群(第2他ノズル群に相当)であり、よって、これらノズル群のインク色が着目インク色と定められる。
図示例では、第2基準ノズル群はMノズル群Gmであり、また、この第2基準ノズル群よりも相互ずれ量V2c(=1・Ds)、V2y(=2・Ds)、V2k(=3・Ds)だけ下流側にずれて配置されたノズル群は、それぞれに、Cノズル群Gc、Yノズル群Gy、Kノズル群Gkであるので、着目インク色はシアン、イエロ、ブラックになる。
そうしたら、前記境界線BLを起点として上流側の所定の参照範囲Rtを参照し、前記境界線BLから上流側に連続して存在する着目インク色に関する空白領域の大きさを着目インク色毎に算定する。なお、参照範囲Rtの大きさは、下流側領域Adの大きさと同じであり、つまり、第2基準ノズル群からの着目インク色のノズル群の相互ずれ量V2c、V2y、V2kの最大値Vmaxである。また、各着目インク色の空白領域の大きさは、ラスタライン数換算で求められる。すなわち、着目インク色毎に、その着目インク色に関する空白領域が、前記境界線BLから何ラスタライン数分だけ連続しているかがカウントされ、これらカウント数が、それぞれ、その着目インク色の空白領域の大きさを表す空白ラスタライン数Ubとして求められる。
図示例では、前記境界線BLから相互ずれ量の最大値Vmax(=V2k=3・Ds)だけ上流側の参照範囲Rtは、第15ラスタラインから第17ラスタラインまでであるが、これら第15ラスタラインから第17ラスタラインまでは、いずれもCYK空白領域に属している。従って、着目インク色のシアン、イエロ、ブラックの何れについても、その空白ラスタライン数Ubは3本となる。
そうしたら、空白ラスタライン数Ub、相互ずれ量の最大値Vmax、及び、その着目インク色のノズル群の相互ずれ量V2を下式9に代入して、位置合わせラスタライン数Upを着目インク色毎に求める。
Up=Ub+(Vmax/Ds−V2/Ds) … 式9
図示例では、着目インク色のシアンについては、Ubが3本で、Vmaxは3・Ds、V2(=V2c)は1・Dsであるので、Upは5本(=3+(3・Ds/Ds−1・Ds/Ds))となる。また、着目インク色のイエロについては、Ubが3本で、Vmaxは3・D、V2(=V2y)は2・Dsであるので、Upは4本(=3+(3・Ds/Ds−2・Ds/Ds))となる。更には、着目インク色のブラックについては、Ubが3本で、Vmaxは3・D、V2(=V2k)は3・Dsであるので、Upは3本(=3+(3・Ds/Ds−3・Ds/Ds))となる。
ここで、このように着目インク色毎に求められた位置合わせラスタライン数Upのなかの最小値Upminが、次サイクル(第2サイクル)の自己完結完成領域Asの下流側の端縁Ldを合わせるべき位置と、前記境界線BLとの間のラスタライン数を示している。つまり、前記境界線BLから前記最小値Upmin分だけ上流側の位置に、次サイクルの自己完結完成領域Asの下流側の端縁Ldが一致するような搬送量fsが、空白スキップの搬送量fsとなり、もって、空白スキップの搬送量fsは下式10で表される。
fs=fc+Sb+Upmin×Ds … 式10
図示例では、着目インク色のシアン、イエロ、ブラックの位置合わせラスタライン数Upは、それぞれ、5本、4本、3本であるので、位置合わせラスタラインの最小値Upminは3本となる。よって、前記境界線BLからラスタライン3本分だけ上流側の位置に、次サイクルの自己完結完成領域Asの下流側の端縁Ldが一致するようにすべく、空白スキップの搬送量fsは、14・Ds(=6・Ds+5・Ds+3×Ds)となる。その結果、空白スキップの搬送量fsは、図14Bの第1実施形態の場合の11・Dsよりも3・Dsだけ拡大される。
一方、図22に示す第2具体例は、前記全色空白領域の上流側に隣接する印刷領域の端部Tが、CYK空白領域ではなくて、YK空白領域の場合である。
先ず、上述の第1具体例と同様、着目インク色がシアン、イエロ、ブラックに決定される。
次に、前記参照範囲Rtを参照し、着目インク色に関する空白ラスタライン数Ubを着目インク色毎に算定するが、図示例では、前記境界線BLから相互ずれ量の最大値Vmax(=3・Ds)だけ上流側の参照範囲Rtは、第15ラスタラインから第17ラスタラインまでであり、これら第15ラスタラインから第17ラスタラインまでは、いずれもYK空白領域に属しているが、CMY空白領域には属してしない。従って、着目インク色のイエロとブラックについては、空白ラスタライン数Ubは3本となり、シアンについては、空白ラスタライン数Ubは0本となる。
そうしたら、空白ラスタライン数Ub、相互ずれ量Vの最大値Vm、及び、その着目インク色のノズル群の相互ずれ量V2を上述の式9(Up=Ub+(Vmax/D−V2/D)に代入して、位置合わせラスタライン数Upを着目インク色毎に求める。
図示例では、着目インク色のシアンについては、Ubが0本で、Vmaxは3・Ds、V2(=V2c)は1・Dsであるので、Upは2本(=0+(3・Ds/Ds−1・Ds/Ds))となる。また、着目インク色のイエロについては、Ubが3本で、Vmaxは3・D、V2(=V2y)は2・Dsであるので、Upは4本(=3+(3・Ds/Ds−2・Ds/Ds))となる。更には、着目インク色のブラックについては、Ubが3本で、Vmaxは3・D、V2(=V2k)は3・Dsであるので、Upは3本(=3+(3・Ds/Ds−3・Ds/Ds))となる。
すなわち、着目インク色のシアン、イエロ、ブラックの位置合わせラスタライン数Upは、それぞれ、2本、4本、3本であるので、位置合わせラスタラインの最小値Upminは2本となる。よって、前記境界線BLからラスタライン2本分だけ上流側の位置に、次サイクル(第2サイクル)の自己完結完成領域Asの下流側の端縁Ldが一致するように、空白スキップの搬送量fsが、上述の式10(fs=fc+Sb+Upmin×Ds)に基づいて13・Ds(=6・Ds+5・Ds+2×Ds)と求められる。その結果、空白スキップの搬送量fsは、図14Bの第1実施形態の場合の11・Dsよりも2・Dsだけ拡大される。
===その他の実施の形態===
以上、印刷システム等について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。
前述の実施形態では、プリンタドライバが、プリンタ1とは別体のコンピュータ110にインストールされている場合を例示したが、何等これに限るものではなく、プリンタ1が内蔵するコントローラ60にプリンタドライバをインストールして、同コントローラ60が、前述の解像度変換処理・色変換処理・ハーフトーン処理・搬送スケジュール検討処理・ラスタライズ処理を行うようにしても良い。そして、この場合には、プリンタ1のインターフェース部61を介して当該プリンタ1にメモリカード等の記憶媒体やデジタルカメラを接続すれば、コンピュータ110を介さずにメモリカードやデジタルカメラ内の画像データに基づいて印刷可能であり、すなわち、メモリダイレクト印刷やデジカメダイレクト印刷を実施可能となる。
印刷システム100の全体構成の説明図である。 プリンタドライバが行う各種処理を説明するためのフロー図である。 プリンタ1の全体構成のブロック図である。 図3Aは、プリンタ1の全体構成の概略図である。また、図3Bは、プリンタ1の全体構成の断面図である。 印刷ヘッド41のノズル配列の説明図である。 印刷処理のフロー図である。 図6A及び図6Bは、バンド印刷の説明図である。 図7A及び図7Bは、擬似バンド印刷の説明図である。 印刷ヘッド41が傾いた状態の説明図である。 図9A及び図9Bは、色ずれの説明図であって、印刷ヘッド41が傾かずに設置された場合を示している。 図10A及び図10Bは、色ずれの説明図であって、印刷ヘッド41が傾いて設置された場合を示している。 千鳥配列の印刷ヘッドの説明図である。 傾いた印刷ヘッド41を用いてバンド印刷を行う場合の説明図である。 図13Aは、バンド印刷のサイクルを1回だけ実行した場合の印刷ヘッド41の位置とラスタラインの形成状態を示す図であり、図13Bは、バンド印刷のサイクルを2回だけ実行した場合の印刷ヘッド41の位置とラスタラインの形成状態を示す図である。 第1実施形態の空白スキップ方法の説明図である。 第1実施形態の空白スキップ方法の説明図である。 第1実施形態の空白スキップ方法の説明図である。 第1実施形態の空白スキップ方法のフロー図である。 第1実施形態の空白スキップ方法の説明図であって、疑似バンド印刷の場合を示している。 第1実施形態の空白スキップ方法の説明図であって、疑似バンド印刷の場合を示している。 搬送スケジュールテーブルである。 搬送パターンテーブルである。 搬送スケジュール検討処理のフロー図である。 空白スキップを行うための実際の処理の説明図である。 第2実施形態の空白スキップ方法の説明図である。 第2実施形態の空白スキップ方法の説明図である。
符号の説明
1 プリンタ、
20 搬送ユニット、21 給紙ローラ、22 搬送モータ、
23 搬送ローラ、24 プラテン、25 排紙ローラ、
26 第1従動ローラ、27 第2従動ローラ、
30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、
32 キャリッジモータ、
40 ヘッドユニット、41 印刷ヘッド、
50 検出器群、51 リニア式エンコーダ、52 ロータリー式エンコーダ、
53 紙検出センサ、
60 コントローラ、61 インターフェース部、62 CPU、
63 メモリ、64 ユニット制御回路
100 印刷システム、110 コンピュータ、
120 表示装置、130 入力装置、140 記録再生装置、
Gm Mノズル群、Gc Cノズル群、Gy Yノズル群、Gk Kノズル群

Claims (8)

  1. 整列方向にピッチk×D(kは1以上の整数)でノズルが整列されたノズル群を、前記整列方向と交差する方向にインク色毎に並べて有し、前記整列方向が媒体の搬送方向から傾き角θだけ傾いていることによって、互いのノズル群の位置が前記搬送方向にずれた状態になっている印刷ヘッドを用いて前記媒体に画像を印刷する印刷方法であって、
    前記搬送方向と交差する移動方向に前記印刷ヘッドを移動させながら前記ノズルからインクを吐出して前記媒体に前記移動方向に沿ってドットを形成するドット形成動作と、前記媒体を前記搬送方向の下流側へ搬送する搬送動作とを交互にk回ずつ実行するサイクルが規定され、前記サイクルを複数回行うことによって前記移動方向に沿うドット列が、前記搬送方向にD×cosθのピッチで前記インク色毎に形成される印刷方法において、
    前記印刷ヘッドが傾いた状態にて前記搬送方向の最上流に位置するノズル群を第1基準ノズル群とし、該第1基準ノズル群に対して前記搬送方向に相互ずれ量だけずれているノズル群を他ノズル群とした場合に、
    前記サイクルにおけるk回目のドット形成動作の終了時に、該k回目のドット形成動作において前記第1基準ノズル群でドット列を形成可能な領域の前記搬送方向の上流側の端縁から、前記相互ずれ量だけ下流側に離れた位置までに亘る範囲が、前記他ノズル群によってドット列が形成されない他ノズル群空白領域に属するか否かを前記他ノズル群毎に判定するステップと、
    前記他ノズル群の全てについて前記範囲が前記他ノズル群空白領域に属すると判定された場合に、全てのノズル群についてドット列が形成されない全ノズル群空白領域であって、前記端縁から上流側に連続して存在する前記全ノズル群空白領域の大きさを算定するステップと、
    前記全ノズル群空白領域の大きさに基づいて、前記サイクルにおけるk回目の搬送動作の搬送量を決定するステップと、を備えることを特徴とする印刷方法。
  2. 請求項1に記載の印刷方法において、
    前記他ノズル群のうちで、少なくとも一つのノズル群について、前記範囲が前記他ノズル群空白領域に属すると判定されなかった場合には、
    前記サイクルにおけるk回目の搬送動作は、前記サイクルに予め定められた既定の搬送量で行われることを特徴とする印刷方法。
  3. 請求項1又は2に記載の印刷方法において、
    前記印刷ヘッドが傾いた状態にて前記搬送方向の最下流に位置するノズル群を第2基準ノズル群とし、該第2基準ノズル群に対して前記搬送方向に相互ずれ量だけずれているノズル群を第2他ノズル群とした場合に、
    前記第2他ノズル群によってドット列が前記搬送方向に連続して形成されない列数を、前記全ノズル群空白領域の上流側の端縁から上流側へ向けて前記第2他ノズル群毎に算定するステップと、を更に備え、
    前記サイクルにおけるk回目の搬送動作の搬送量を決定するステップにおいては、前記全ノズル群空白領域の大きさと前記列数とに基づいて、前記搬送量を決定することを特徴とする印刷方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の印刷方法において、
    前記ドット形成動作は、画像データに基づいて行われ、
    前記画像データは、各ドット列を形成するためのドット列データを前記ノズル群毎に有し、
    前記他ノズル群が前記ドット形成動作の際に用いるドット列データは、
    そのドット形成動作において前記第1基準ノズル群がドット列を形成する前記媒体上の位置よりも、前記相互ずれ量に相当する分だけ前記搬送方向の下流側の位置にドット列を形成するためのデータであることを特徴とする印刷方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の印刷方法において、
    前記ノズル群の前記整列方向の全長は、全てのノズル群について互いに等しく、
    各ノズル群のノズルの位置は、互いに前記整列方向に関して揃っていることを特徴とする印刷方法。
  6. 請求項5に記載の印刷方法において、
    前記ノズル群の前記整列方向の全長とは、そのノズル群が有する前記整列方向の一方端のノズルの中心と他方端のノズルの中心との間隔であることを特徴とする印刷方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の印刷方法において、
    前記インク色は、シアン、マゼンダ、イエロ、及びブラックであることを特徴とする印刷方法。
  8. 整列方向にピッチk×D(kは1以上の整数)でノズルが整列されたノズル群を、前記整列方向と交差する方向にインク色毎に並べて有し、前記整列方向が媒体の搬送方向から傾き角θだけ傾いていることによって、互いのノズル群の位置が前記搬送方向にずれた状態になっている印刷ヘッドを用いて前記媒体に画像を印刷する印刷方法であって、
    前記搬送方向と交差する移動方向に前記印刷ヘッドを移動させながら前記ノズルからインクを吐出して前記媒体に前記移動方向に沿ってドットを形成するドット形成動作と、前記媒体を前記搬送方向の下流側へ搬送する搬送動作とを交互にk回ずつ実行するサイクルが規定され、前記サイクルを複数回行うことによって前記移動方向に沿うドット列が、前記搬送方向にD×cosθのピッチで前記インク色毎に形成される印刷方法において、
    前記印刷ヘッドが傾いた状態にて前記搬送方向の最上流に位置するノズル群を第1基準ノズル群とし、該第1基準ノズル群に対して前記搬送方向に相互ずれ量だけずれているノズル群を他ノズル群とした場合に、
    前記サイクルにおけるk回目のドット形成動作の終了時に、該k回目のドット形成動作において前記第1基準ノズル群でドット列を形成可能な領域の前記搬送方向の上流側の端縁から、前記相互ずれ量だけ下流側に離れた位置までに亘る範囲が、前記他ノズル群によってドット列が形成されない他ノズル群空白領域に属するか否かを前記他ノズル群毎に判定するステップと、
    前記他ノズル群の全てについて前記範囲が前記他ノズル群空白領域に属すると判定された場合に、全てのノズル群についてドット列が形成されない全ノズル群空白領域であって、前記端縁から上流側に連続して存在する前記全ノズル群空白領域の大きさを算定するステップと、
    前記全ノズル群空白領域の大きさに基づいて、前記サイクルにおけるk回目の搬送動作の搬送量を決定するステップと、を備え、
    前記他ノズル群のうちで、少なくとも一つのノズル群について、前記範囲が前記他ノズル群空白領域に属すると判定されなかった場合には、前記サイクルにおけるk回目の搬送動作は、前記サイクルに予め定められた既定の搬送量で行われ、
    前記印刷ヘッドが傾いた状態にて前記搬送方向の最下流に位置するノズル群を第2基準ノズル群とし、該第2基準ノズル群に対して前記搬送方向に相互ずれ量だけずれているノズル群を第2他ノズル群とした場合に、前記第2他ノズル群によってドット列が前記搬送方向に連続して形成されない列数を、前記全ノズル群空白領域の上流側の端縁から上流側へ向けて前記第2他ノズル群毎に算定するステップと、を更に備え、前記サイクルにおけるk回目の搬送動作の搬送量を決定するステップにおいては、前記全ノズル群空白領域の大きさと前記列数とに基づいて、前記搬送量を決定し、
    前記ドット形成動作は、画像データに基づいて行われ、前記画像データは、各ドット列を形成するためのドット列データを前記ノズル群毎に有し、前記他ノズル群が前記ドット形成動作の際に用いるドット列データは、そのドット形成動作において前記第1基準ノズル群がドット列を形成する前記媒体上の位置よりも、前記相互ずれ量に相当する分だけ前記搬送方向の下流側の位置にドット列を形成するためのデータであり、
    前記ノズル群の前記整列方向の全長は、全てのノズル群について互いに等しく、各ノズル群のノズルの位置は、互いに前記整列方向に関して揃っており、
    前記ノズル群の前記整列方向の全長とは、そのノズル群が有する前記整列方向の一方端のノズルの中心と他方端のノズルの中心との間隔であり、
    前記インク色は、シアン、マゼンダ、イエロ、及びブラックであることを特徴とする印刷方法。
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