JP2007237260A - 皮剥き性に優れた無酸素銅及び無酸素銅合金の荒引線材 - Google Patents
皮剥き性に優れた無酸素銅及び無酸素銅合金の荒引線材 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】 線材表面から内部方向に深さ15〜300μmの筋状の欠陥を分散形成させた無酸素銅の荒引線材、及び線材表面から内部方向に深さ15〜300μmの筋状の欠陥を分散形成させてなり、かつ、銀、スズ、ジルコニウム、マグネシウム、クロム、コバルト、及び鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種を、各元素当り0.001質量%以上1質量%未満、又は/及びリンを0.0003質量%以上0.01質量%未満含有する無酸素銅合金の荒引線材、並びに鋳造時の冷却制御によって荒引線材表面近傍にのみ筋状の欠陥を発生させる前記荒引線材の製造方法。
【選択図】 なし
Description
しかし、このような添加元素(特に銅への固溶が少ない鉛、ビスマス等)を採用した場合には、特に無酸素銅の導電率を大きく低下させると言う不具合が生じる。したがって単に快削黄銅のように添加元素を用いることはできない。
(1)線材表面から内部方向に深さ15〜300μmの筋状の欠陥を分散形成させたことを特徴とする無酸素銅の荒引線材、
(2)線材表面から内部方向に深さ15〜300μmの筋状の欠陥を分散形成させてなり、かつ、銀、スズ、ジルコニウム、マグネシウム、クロム、コバルト、及び鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種を、各元素当り0.001質量%以上1質量%未満、又は/及びリンを0.0003質量%以上0.01質量%未満含有することを特徴とする無酸素銅合金の荒引線材、
(3)前記無酸素銅または無酸素銅合金が酸素濃度が10ppm以下で、かつ、水素濃度が0.4〜1.0ppmであることを特徴とする(1)又は(2)項記載の荒引線材、及び
(4)鋳造時の冷却制御によって荒引線材表面近傍にのみ筋状の欠陥を発生させることを特徴とする(1)、(2)又は(3)項記載の荒引線材の製造方法
を提供するものである。
この微細な筋状欠陥は、鋳造銅材の圧延時に発生する銅線表面から内部方向に切断したような筋状傷である。本発明おいては、この微細欠陥は、幅が好ましくは0.01〜10μm、より好ましくは0.01〜2μm、圧延方向に対しての直角な断面(50mm2当たり)に於いて発生個数は1以上が必要であり、より好ましくは10以上の発生頻度を有する。筋状欠陥は、皮剥き工程での切削性が十分な程度の密度で分布していればよく、その分布密度を特に制限するものではない。
本発明における筋状欠陥は極めて細いもので渦流探傷器等では検出出来ない微細なものである。
しかし、本発明の好ましい実施態様においては、この気泡を安定制御(発生位置・量について)することで、荒引線材の皮剥き工程に於ける切削加工時の破壊のクライテリオンに活用するものである。
R=(ΔT×V)÷{W×(H+T×C)} (1)
V:冷却水量(m3/hr)
W:鋳造量(kg/hr)
H:潜熱(kcal/kg)
T:鋳造温度(℃)
C:比熱(kcal/kg・K)
冷却条件1:R=0.30
冷却条件2:R=0.37
冷却条件3:R=0.43
比較条件1:R=0.23
比較条件2:R=0.50
この結果から明らかなように、冷却条件を制御することで、筋状欠陥の最大深さを制御出来ることがわかる。今回の結果から、R=0.23では凝固シェルの成長が著しく遅い為に荒引線の表面直下に筋状欠陥が集中し、切削加工時の割れのクライテリオンには成らない。また、R=0.50では凝固シェルの成長が早く筋状欠陥が荒引線内部にまで到達
する為に、切削加工時では取りきれない状況が発生する。その為に、本発明における鋳造時の冷却条件は、好ましくは、R=0.3以上0.45以下であり、より好ましくはR=0.35以上0.4以下である。
上記冷却条件と同一の冷却条件で、溶銅中の水素濃度のみを変更させたもので、この筋状欠陥分布を調査した。結果を図2のグラフに示す。グラフ中、頻度、欠陥深さは、図1のグラフのものと同義である。
この結果から、水素を増加させることで、筋状欠陥の発生分布も変化することが確認される。
ただし、その内で、無酸素銅合金で特に銀を添加したものは、特開2002−28757号公報に示されるように水素の微細分散が施される為に、切削性を維持する上では無酸素銅に比較して水素濃度を増加させることが望ましい。例えば、0.8〜1.0ppmであることが好ましい。
なお、本発明に用いられる溶銅は、好ましくは酸素濃度が3〜10ppmである。
本発明の無酸素銅もしくは無酸素銅合金荒引線材は、その後、常法により伸線や圧延され線や平角線等に加工されてオルタネータ、コンミテータ等に好適に用いられる。
シャフト炉で連続溶解された溶銅について、脱酸・脱水素処理を行い(特開2000−328152号公報や特開2002−120050号公報等の方法に準じて行った。)、酸素2〜7ppm・水素0.1〜0.2ppmの溶銅を得た。しかし、この状態では皮剥き工程での切削性が悪い為に、溶銅表面にCO+H2=4%の還元性燃焼排ガスを吹きつけることで、水素量0.5〜0.9ppmまで増加を図り、その後鋳造、圧延することにより、本発明の無酸素銅の荒引線材試料No.1〜10を製造した。また、上述の水素を増加させなかったものを用いた以外は本発明試料と同様にして、比較例の無酸素銅の荒引線材試料No.11〜15を試作した。
なお、全ての荒引線材試料は特開2002−120050号公報記載のベルト&ホイール鋳造機を用いて同一鋳造条件(鋳造レート:25ton/h、R=0.37)で製造した。
これらの荒引線材試料の断面を顕微鏡観察することにより求めた筋状欠陥の最深深さ位置を図3のグラフに示す。このグラフから、筋状欠陥の最深深さが水素濃度に依存して変化していることがわかる。
(切削性の基準)
◎ :両水準においてソゲ欠陥は発生しておらず、被皮剥き材の表面は平滑
○ :一方の水準で表面は平滑であるが、他方の水準でソゲ欠陥はないが、被皮剥き材の表面に僅かな表面荒れが発生、もしくは両水準においてソゲ欠陥はないが、被皮剥き材の表面に僅かな表面荒れが発生
× :いずれかの水準において有害なソゲ欠陥が発生
結果を表1に示す。
これに対し、本発明の無酸素銅荒引線材の試料は、切削性が大きく改善されていることがわかる。
実施例1で用いた溶銅にスズを0.7質量%含有させた以外は、実施例1と同様に、各試料を製造し、切削性を試験したところ、本発明の無酸素銅合金試料は比較例試料に比べ切削性が大きく改善されていた。
更に、皮剥き性が向上したことから、皮剥き後の表面酸化膜厚さが200Å以下になる線材を製造することが可能となった。
Claims (4)
- 線材表面から内部方向に深さ15〜300μmの筋状の欠陥を分散形成させたことを特徴とする無酸素銅の荒引線材。
- 線材表面から内部方向に深さ15〜300μmの筋状の欠陥を分散形成させてなり、かつ、銀、スズ、ジルコニウム、マグネシウム、クロム、コバルト、及び鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種を、各元素当り0.001質量%以上1質量%未満、又は/及びリンを0.0003質量%以上0.01質量%未満含有することを特徴とする無酸素銅合金の荒引線材。
- 前記無酸素銅または無酸素銅合金が酸素濃度が10ppm以下で、かつ、水素濃度が0.4〜1.0ppmであることを特徴とする請求項1又は2記載の荒引線材。
- 鋳造時の冷却制御によって荒引線材表面近傍にのみ筋状の欠陥を発生させることを特徴とする請求項1、2又は3記載の荒引線材の製造方法。
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