JP2007233206A - 偏光板 - Google Patents

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英一 小林
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Abstract

【課題】大型の液晶表示装置に好適に用いうる偏光板であって、製造効率が良く、低コストで、耐熱性に優れ、複屈折が小さい偏光板を提供する。
【解決手段】ノルボルネン系樹脂からなる透明な基板と、基板上に互いに平行かつ等間隔で配設された複数の金属細線と、基板との屈折率の差が0.01以下である透明な被覆層とを備えている偏光板。基板を形成するノルボルネン系樹脂は、一般式(1):
Figure 2007233206

で表される1種の化合物を含む単量体を(共)重合して得られた樹脂である。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶表示装置等に用いられる偏光板に関する。
液晶表示装置等に用いられる偏光板(偏光子)の一例として、ワイヤグリッド型偏光板が知られている。ワイヤグリッド型偏光板は、高い偏光分離性能を有し、特に赤外域の光に対して好適に用いうる偏光板である。近年、該偏光板の構成部材である金属細線を高い寸法精度で規則正しく配列させることによって、可視域の光に対しても良好な偏光分離性能を示す可視光用ワイヤグリッド型偏光板が、実用化されている。
さらに、偏光分離性能の向上などを目的として、種々のワイヤグリッド型偏光板が提案されている。
一例として、複屈折を有する透明な基板上に、直線状の金属細線が、互いに平行に、同じ間隔をおいて配置されているワイヤグリッド型偏光子において、面内で屈折率が最も低くなる方向と、金属細線の長手方向が直交することを特徴とするワイヤグリッド型偏光子が、提案されている(特許文献1)。
この偏光子に用いられる基板の材料の例として、方解石等の無機複屈折結晶や、ポリエチレンテレフタレート等の面内複屈折を有する樹脂などが記載されている。この偏光子は、液晶ディスプレイに用いた場合に光の利用効率を大幅に向上させることができる等の効果を有する。
特開2005−195824号公報
上述の偏光子(偏光板)の基板の材料として用いられるポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂は、製造効率、コスト等の点で有利であるものの、耐熱性が低く、面内複屈折を有すること等から、小型の液晶表示装置の用途に用いられることが多い。
しかし、近年、大型の液晶表示装置の開発が進む中で、液晶表示装置の大型化に適合した偏光板が求められている。
そこで、本発明は、大型の液晶表示装置に好適に用いうる偏光板であって、製造効率が良く、低コストで、耐熱性に優れ、複屈折が小さい偏光板を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ノルボルネン系樹脂からなる透明な基板の上に、互いに平行かつ等間隔に複数の金属細線を配設してなるワイヤグリッド型偏光板によれば、製造効率が良く、低コストで、耐熱性に優れ、複屈折が小さく、輝度が高いこと等の特長を有し、液晶表示装置の大型化などに好適に対応しうることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、以下の[1]〜[4]を提供するものである。
[1]ノルボルネン系樹脂からなる透明な基板、及び、該基板上に互いに平行かつ等間隔で配設された複数の金属細線を含むことを特徴とする偏光板。
[2]上記ノルボルネン系樹脂が、下記一般式(1)で表される少なくとも1種の化合物を含む単量体を(共)重合して得られた樹脂である上記[1]に記載の偏光板。
Figure 2007233206
(式中、R1〜R4は、各々独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウまたはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換または非置換の炭素原子数1〜15の炭化水素基もしくはその他の1価の有機基を表す。あるいはR1とR2もしくはR3とR4が相互に結合してアルキリデン基を形成していてもよく、R1とR2、R3とR4またはR2とR3とが相互に結合して炭素環または複素環(これらの炭素環または複素環は単環構造でもよいし、他の環が縮合して多環構造を形成してもよい。)を形成してもよい。形成される炭素環または複素環は芳香環でもよいし非芳香環でもよい。また、xは0または1〜3の整数、yは0または1を表すが、xが0のときはyも0である。)
[3]上記ノルボルネン系樹脂を構成する単量体が、極性構造を有する化合物である上記[1]又は[2]に記載の偏光板。
[4]上記基板上にて上記複数の金属細線を被覆するように形成された、上記基板との屈折率(光の波長:589nm)の差が0.01以下である透明な被覆層を備えた上記[1]〜[3]のいずれかに記載の偏光板。
本発明の偏光板は、その構成部材である基板の材料が、ノルボルネン系樹脂であるため、耐熱性に優れ、かつ複屈折が小さいという特長を有し、それゆえ、大型の液晶表示装置にも好適に用いることができる。
また、本発明の偏光板は、特定の材料及び構造を有しているため、輝度を向上させることができ、低消費電力化を図ることができる。
また、本発明の偏光板は、合成樹脂を主体とするため、複雑な工程を要さずに短時間で効率的に製造することができる。
さらに、本発明の偏光板は、低コストで製造することができる。
本発明の偏光板の一例を、図面に基づいて説明する。
図1中、本発明の偏光板1は、ノルボルネン系樹脂からなる透明な基板2と、基板2上に互いに平行かつ等間隔で配設された複数の金属細線3と、基板2上にて複数の金属細線3を被覆するように形成された被覆層4とからなる。
[A.基板]
[1.ノルボルネン系樹脂の単量体]
基板2の材料であるノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン系化合物を少なくとも1種含む単量体組成物を重合し、また必要に応じてさらに水素添加して得られた樹脂である。
ここで、ノルボルネン系化合物としては、例えば、下記一般式(1)で表されるノルボルネン系化合物を挙げることができる。
Figure 2007233206
(式中、R1〜R4は、各々独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウまたはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換または非置換の炭素原子数1〜15の炭化水素基もしくはその他の1価の有機基を表す。あるいはR1とR2もしくはR3とR4が相互に結合してアルキリデン基を形成していてもよく、R1とR2、R3とR4またはR2とR3とが相互に結合して炭素環または複素環(これらの炭素環または複素環は単環構造でもよいし、他の環が縮合して多環構造を形成してもよい。)を形成してもよい。形成される炭素環または複素環は芳香環でもよいし非芳香環でもよい。また、xは0または1〜3の整数、yは0または1を表すが、xが0のときはyも0である。)
一般式(1)で表されるノルボルネン系単量体の具体例としては、例えば、以下に示す化合物が例示できるが、これらの例示に限定されるものではない。
・ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(ノルボルネン)
・5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
・5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
・5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
・5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
・5−(4−ビフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
・5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
・5−フェノキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
・5−フェノキシエチルカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
・5−フェニルカルボニルオキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
・5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
・5−メチル−5−フェノキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
・5−メチル−5−フェノキシエチルカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
・5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
・5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
・5,5−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
・5,6−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
・5−フルオロ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
・5−クロロ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
・5−ブロモ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
・5,6−ジフルオロ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
・5,6−ジクロロ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
・5,6−ジブロモ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
・5−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
・5−ヒドロキシエチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
・5−シアノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
・5−アミノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
・トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
・トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン
・7−メチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
・7−エチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
・7−シクロヘキシル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
・7−フェニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
・7−(4−ビフェニル)−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
・7,8−ジメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
・7,8,9−トリメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
・8−メチル−トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン
・8−フェニル−トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン
・7−フルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
・7−クロロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
・7−ブロモ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
・7,8−ジクロロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
・7,8,9−トリクロロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
・7−クロロメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
・7−ジクロロメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
・7−トリクロロメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
・7−ヒドロキシ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
・7−シアノ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
・7−アミノ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
・テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・ペンタシクロ[7.4.0.12,5.18,11.07,12]ペンタデカ−3−エン
・ヘキサシクロ[8.4.0.12,5.17,14.19,12.08,13]ヘプタデカ−3−エン
・8−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8−エチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8−シクロヘキシル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8−フェニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8−(4−ビフェニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−
エン
・8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−
エン
・8−フェノキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3
−エン
・8−フェノキシエチルカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデ
カ−3−エン
・8−フェニルカルボニルオキシ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ
−3−エン
・8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
ドデカ−3−エン
・8−メチル−8−フェノキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
]ドデカ−3−エン
・8−メチル−8−フェノキシエチルカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5
7,10]ドデカ−3−エン
・8−ビニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8−エチリデン−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8,8−ジメチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8,9−ジメチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8−フルオロ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8−クロロ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8−ブロモ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8,8−ジクロロ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8,9−ジクロロ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8,8,9,9−テトラクロロ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ
−3−エン
・8−ヒドロキシ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8−ヒドロキシエチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エ

・8−メチル−8−ヒドロキシエチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ド
デカ−3−エン
・8−シアノ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
・8−アミノ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
なお、これらノルボルネン系化合物は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ノルボルネン系化合物の種類および量は、ノルボルネン系樹脂に要求される特性に応じて、適宜選択される。
これらのうち、その分子内に酸素原子、窒素原子、イオウ原子もしくはケイ素原子から選ばれた少なくとも1種の原子を少なくとも1個含む構造(以下、「極性構造」という。)を有する化合物を用いると、他素材との接着性や密着性に優れるため好ましい。特に、前記式(1)中、R1およびR3が水素原子または炭素数1〜3の炭化水素基(好ましくは水素原子またはメチル基)であり、かつ、R2とR4のいずれか一方が極性基を有し、他方が水素原子または炭素数1〜3の炭化水素基である化合物は、樹脂の吸水(湿)性が低く、好ましい。さらに、極性基が下記一般式(2)で表わされる基であるノルボルネン系化合物は、得られる樹脂の耐熱性と吸水(湿)性とのバランスがとりやすく、好ましく用いることができる。
−(CH2zCOOR ・・・(2)
(式中、Rは置換または非置換の炭素原子数1〜15の炭化水素基を表し、zは0または1〜10の整数を表す。)
前記一般式(2)において、zの値が小さいものほど、得られる水素添加物のガラス転移温度が高くなり、耐熱性に優れるので、zが0または1〜3の整数であることが好ましく、更に、zが0である単量体はその合成が容易である点で好ましい。また、前記一般式(2)におけるRは、炭素数が多いほど得られる重合体の水素添加物の吸水(湿)性が低下する傾向にあるが、ガラス転移温度が低下する傾向もあるので、耐熱性を保持する観点からは炭素数1〜10の炭化水素基が好ましく、特に炭素数1〜6の炭化水素基であることが好ましい。
なお、前記一般式(1)において、前記一般式(2)で表される基が結合した炭素原子に炭素数1〜3のアルキル基、特にメチル基が結合していると、耐熱性と吸水(湿)性のバランスの点で好ましい。さらに、前記一般式(1)において、xが0または1でありyが0である化合物は、反応性が高く、高収率で重合体が得られること、また、耐熱性が高い重合体水素添加物が得られること、さらに工業的に入手しやすいことから好適に用いられる。
本発明に用いるノルボルネン系樹脂を得るにあたっては、本発明の効果を損なわない範囲で前記ノルボルネン系化合物と共重合可能な単量体を単量体組成物に含ませて重合することができる。
これら共重合可能な単量体として、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロドデセンなどの環状オレフィンや1,4−シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロドデカトリエンなどの非共役環状ポリエンを挙げることができる。
これらの共重合性単量体は、1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
[2.ノルボルネン系樹脂の重合方法]
前記ノルボルネン系化合物を含む単量体組成物の重合方法については、単量体組成物の重合が可能である限り特に制限されるものではないが、例えば、開環重合、もしくは付加重合によって重合することができる。
(A)開環重合
開環重合による重合体の製造は、ノルボルネン系化合物について公知の開環重合反応により行うことができ、前記ノルボルネン系化合物を含む単量体組成物を、重合触媒、重合反応用溶媒、および必要に応じて分子量調節剤を用いて、開環重合させることによって製造することができる。
(a)重合触媒
本発明において、単量体組成物の重合を開環(共)重合反応により行う場合は、メタセシス触媒の存在下で行われる。
このメタセシス触媒は、次の(A)、(B)の組み合わせからなる触媒である。
(A)W、MoおよびReを有する化合物から選ばれた少なくとも1種の化合物(以下、化合物(A)という)
(B)デミングの周期律表IA族元素(たとえばLi、Na、Kなど)、IIA族元素(たとえば、Mg、Caなど)、IIB族元素(たとえば、Zn、Cd、Hgなど)、IIIA族元素(たとえば、B、Alなど)、IVA族元素(たとえば、Si、Sn、Pbなど)、またはIVB族元素(たとえば、Ti、Zrなど)を有する化合物であって、この元素と炭素との結合またはこの元素と水素との結合を少なくとも1つ有する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(以下、化合物(B)という)
メタセシス触媒は、触媒の活性を高めるために、後述の添加剤(C)をさらに添加したものであってもよい。
化合物(A)としては、W、MoあるいはReのハロゲン化物、オキシハロゲン化物、アルコキシハロゲン化物、アルコキシド、カルボン酸塩、(オキシ)アセチルアセトネート、カルボニル錯体、アセトニトリル錯体、ヒドリド錯体、およびその誘導体、あるいはこれらの組合せが挙げられるが、WおよびMoの化合物、特にこれらのハロゲン化物、オキシハロゲン化物およびアルコキシハロゲン化物が重合活性、実用性の点から好ましい。また、反応によって前記化合物を生成する2種以上の化合物の混合物を用いてもよい。さらに、これらの化合物は適当な錯化剤例えばP(C6H5)5、C5H5Nなどによって錯化されていてもよい。
化合物(A)の具体的な例としては、WCl6、WCl5、WCl4、WBr6、WF6、WI6、MoCl5、MoCl4、MoCl3、ReCl3、WOCl4、MoOCl3、ReOCl3、ReOBr3、W(OC6H5)6、WCl2(OC6H5)4、Mo(OC2H5)2Cl3、Mo(OC2H5)5、MoO2(acac)2、W(OCOR)5、W(OC2H5)2Cl3、W(CO)6、Mo(CO)6、Re2(CO)10、ReOBr3・P(C6H5)3、WCl5・P(C6H5)3、WCl6・C5H5N、W(CO)5・P(C6H5)3、W(CO)3・(CH3CN)3などが挙げられる。また前記化合物のうち特に好ましい化合物としてはMoCl5、Mo(OC2H5)2Cl3、WCl6、W(OC2H5)2Cl3などが挙げられる。
化合物(B)の具体的な例としては、n−C4H5Li、n−C5H11Na、C5H5Na、CH3MgI、C2H5MgBr、CH3MgBr、n−C3H7MgCl、(C6H5)3Al、t−C4H9MgCl、CH2=CHCH2MgCl、(C2H5)2Zn、(C2H5)2Cd、CaZn(C2H5)4、(CH3)3B、(C2H5)3B、(n-C4H9)3B、(CH3)3Al、(CH3)2AlCl、(CH3)3Al2Cl3、CH3AlCl2、(C2H5)3Al、LiAl(C2H5)2、(C2H5)3Al−O(C2H5)2、(C2H5)2AlCl、C2H5AlCl2、(C2H5)2AlH、(iso-C4H9)2AlH、(C2H5)2AlOC2H5、(iso-C4H9)3Al、(C2H5)3Al2Cl3、(CH3)4Ga、(CH3)4Sn、(n−C4H94Sn、(C2H5)3SiH、(n−C6H133Al、(n−C4H173Al、LiH、NaH、B2H6、NaBH4、AlH3、LiAlH4、BiH4およびTiH4などが挙げられる。また反応によってこれらの化合物を生成する2種以上の化合物の混合物を用いることもできる。これらのうち好ましいものの例としては、(CH3)3Al、(CH3)2AlCl、(CH3)3Al2Cl3、CH3AlCl2、(C2H5)3Al、(C2H5)2AlCl、(C2H5)1.5AlCl1.5、C2H5AlCl2、(C2H5)2AlH、(C2H5)2AlOC2H5、(C2H5)2AlCN、(C3H7)3Al、(iso−C4H93Al、(iso−C4H92AlH、(C6H13)3Al、(C8H17)3Al、(C6H5)5Alなどを挙げることができる。
前記化合物(A)および化合物(B)とともに用いることのできる添加剤(C)としては、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類などが好適に用いることができ、例えば以下の(1)〜(9)を例示することができる。
(1)単体ホウ素、BF3、BCl3、B(O-n-C4H9)3、(C2H5O3)2、BF、B2O3、H3BO3などのホウ素の非有機金属化合物、Si(OC2H5)4などのケイ素の非有機金属化合物;
(2)アルコール類、ヒドロパーオキシド類およびパーオキシド類;
(3)水;
(4)酸素;
(5)アルデヒドおよびケトンなどのカルボニル化合物およびその重合物;
(6)エチレンオキシド、エピクロルヒドリン、オキセタンなどの環状エーテル類;
(7)N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、アニリン、モルホリン、ピペリジンなどのアミン類およびアゾベンゼンなどのアゾ化合物;
(8)N−ニトロソジメチルアミン、N−ニトロソジフェニルアミンなどのN−ニトロソ化合物;
(9)トリクロルメラミン、N−クロルサクシノイミド、フェニルスルフェニルクロリドなどのS−ClまたはN−Cl基を含む化合物。
メタセシス触媒の使用量は、前記化合物(A)と重合に供される全単量体のモル比(化合物:全単量体)が、通常1:500〜1:50,000、好ましくは1:1,000〜1:10,000となる量が望ましい。
化合物(A)と化合物(B)との割合(化合物(A):化合物(B))は、金属原子比で1:1〜1:50、好ましくは1:2〜1:30が望ましい。
化合物(A)と化合物(C)との割合(化合物(C):化合物(A))は、モル比で0.005:1〜15:1、好ましくは0.05:1〜7:1が望ましい。
(b)重合溶媒
開環重合反応において用いられる溶媒としては、重合に供される単量体組成物や触媒等が溶解してかつ触媒が失活することがなく、また、生成した開環重合体が溶解するものであれば特に限定されないが、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどのアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナンなどのシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメンなどの芳香族炭化水素;クロロブタン、ブロモヘキサン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロホルム、テトラクロロエチレンなどのハロゲン化アルカン;クロロベンゼンなどのハロゲン化アリール化合物;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、プロピオン酸メチル、ジメトキシエタンなどの飽和カルボン酸エステル類;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエーテル類などを挙げることができる。これらは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。このような溶媒は、分子量調節剤溶液を構成する溶媒、前記ノルボルネン系化合物、共重合性単量体および/またはメタセシス触媒を溶解するための溶媒として用いられる。
溶媒の使用量は、溶媒と重合に供する単量体組成物との質量比(溶媒:単量体組成物)は、通常1:1〜10:1、好ましくは1:1〜5:1となる量が望ましい。
(c)分子量調節剤
得られる開環重合体の分子量は、重合温度、触媒の種類、溶媒の種類によって調節することも可能であるが、分子量調節剤を反応系に共存させることによっても調節することができる。
好適な分子量調節剤としては、たとえばエチレン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィン類およびスチレン、4−メチルスチレン、2−メチルスチレン、4−エチルスチレンを挙げることができ、これらのうち、1−ブテン、1−ヘキセンが特に好ましい。これらの分子量調節剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
分子量調節剤の使用量は、開環重合反応に供される単量体1モルに対して、通常0.005〜0.6モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。
(d)その他の重合条件
前記開環重合体は、前記ノルボルネン系化合物単独で、もしくは前記ノルボルネン系化合物と共重合性単量体とを開環重合させて得ることができるが、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどの共役ジエン化合物、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、ポリノルボルネンなど、主鎖に炭素−炭素間二重結合を2つ以上含む不飽和炭化水素系ポリマーなどの存在下でノルボルネン系化合物を含む単量体組成物を開環重合させてもよい。
(B)付加重合
付加(共)重合による重合体の製造は、ノルボルネン系化合物について公知の付加重合反応により行うことができ、前記ノルボルネン系化合物を含む単量体組成物を、重合触媒、必要に応じて重合反応用溶媒、および必要に応じて分子量調節剤を用いて、付加重合させることによって製造することができる。
(a)重合触媒
付加重合に係る重合触媒としては、例えば、下記(a−1)〜(a−3)に挙げられるパラジウム、ニッケル、コバルト、チタニウムおよびジルコニウムなどの単一触媒や多成分系触媒が挙げられるが、本発明に用いられる重合触媒はこれらに限定されるものではない。
(a−1)単一触媒系
〔Pd(CH3CN)4〕〔BF42、〔Pd(PhCN)4〕〔SbF6
〔(η3−crotyl)Pd(cycloocta−1,5−diene)〕〔PF6〕、
〔(η3−crotyl)Ni(cycloocta−1,5−diene)〕〔B(3
,5−(CF32634〕、
〔(η3−crotyl)Ni(cycloocta−1,5−diene)〕〔PF6〕、
〔(η3−allyl)Ni(cycloocta−1,5−diene)〕〔B(C654〕、
〔(η3−crotyl)Ni(cycloocta−1,5−diene)〕〔SbF6〕、
Toluene・Ni(C652、Benzene・Ni(C652、Mesitylene・Ni(C652、Ethylether・Ni(C652
などが挙げられる。
(a−2)多成分触媒系(1)
σまたはσ,π結合を有するパラジウム錯体と有機アルミニウムまたは超強酸塩の組み合わせ、
ジ−μ−クロロ−ビス(6−メトキシビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン−エンド−5σ,2π)Pdと、メチルアルモキサン(MAOと略す)、AgSbF6またはAgBF4、から選ばれた化合物との組み合わせ、
〔(η3−アリール)PdCl〕2と、AgSbF6またはAgBF4の組み合わせ、
〔(cycloocta−1,5−diene)Pd(CH3)Cl〕とPPh3とNaB〔3,5−(CF32634の組み合わせ、などが挙げられる。
(a−3)多成分触媒系(2)
(I)ニッケル化合物、コバルト化合物、チタニウム化合物またはジルコニウム化合物
から選ばれた遷移金属化合物、
(II)超強酸、ルイス酸およびイオン性ホウ素化合物から選ばれた化合物、
(III)有機アルミニウム化合物、の3成分から成る組み合わせなどが挙げられる。
(I)遷移金属化合物の例
(I-1) ニッケル化合物、コバルト化合物の例:
ニッケルまたはコバルトの有機カルボン酸塩、有機亜リン酸塩、有機リン酸塩、有機スルホン酸塩、β−ジケトン化合物などから選ばれた化合物、
例えば、2−エチルヘキサン酸ニッケル、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸コバルト、オレイン酸ニッケル、ドデカン酸ニッケル、ドデカン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、ジブチル亜リン酸ニッケル、ジブチルリン酸ニッケル、ジオクチルリン酸ニッケル、リン酸ジブチルエステルのニッケル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ニッケル、p−トルエンスルホン酸ニッケル、ビス(アセチルアセトナート)ニッケル、ビス(エチルアセトアセテート)ニッケルなどが挙げられる。
前記ニッケルの有機カルボン酸塩を六フッ化アンチモン酸、四フッ化ホウ素酸、トリフロロ酢酸、六フッ化アセトンなどの超強酸で変性した化合物、
ニッケルのジエンもしくはトリエン配位錯体、
例えば、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、〔(η3−クロチル)(
1,5−シクロオクタジエン)ニッケル〕ヘキサフロロホスフェート、およびそのテトラフロロボレート、テトラキス〔3,5−ビス(トリフロロメチル)〕ボレート錯体、(1,5,9−シクロドデカトリエン)ニッケル、ビス(ノルボルナジエン)ニッケル、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケルなどのニッケル錯体、
ニッケルにP、N、Oなどの原子を有する配位子が配位した錯体。
例えば、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロライド、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジブロマイド、ビス(トリフェニルホスフィン)コバルトジブロマイド、ビス〔トリ(2−メチルフェニル)ホスフィン〕ニッケルジクロライド、ビス〔トリ(4−メチルフェニル)ホスフィン〕ニッケルジクロライド、ビス〔N−(3−t−ブチルサリシリデン)フェニルアミネート〕ニッケル、Ni〔PhC(O)CH〕(Ph)、Ni(OC(C64)PPh)(H)(PCy3)、Ni〔OC(O)(C64)P〕
(H)(PPh3)、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケルとPhC(O)CH=PPh3との反応物、〔2,6−(i−Pr)263N=CHC63(O)(Anth)〕(Ph)(PPh3)Niなどのニッケル錯体(ここで、Anthは9−anthr
acenyl、Phはphenyl、Cyはcyclohexylの略称である。)、
が挙げられる。
(I-2) チタニウム、ジルコニウム化合物の例:
〔t−BuNSiMe(Me4Cp)〕TiCl2、(Me4Cp)(O−iPr2632TiCl、(Me4Cp)TiCl3、(Me4Cp)Ti(OBu)3、〔t−BuNS
iMe2Flu〕TiMe2、〔t−BuNSiMe2Flu〕TiCl2、Et(Ind)2ZrCl2、Ph2C(Ind)(Cp)ZrCl2、iPr(Cp)(Flu)ZrCl2、 iPr(3−tert−But−Cp)(Ind)ZrCl2、iPr(Cp)(Ind)ZrCl2、 Me2Si(Ind)2ZrCl2、Cp2ZrCl2、(CpはCyclopentadienl、IndはIndenyl、FluはFluorenylの略称である。)
などが挙げられる。
(II)超強酸、ルイス酸およびイオン性ホウ素化合物の例
超強酸としては、例えば、ヘキサフロロアンチモン酸、ヘキサフロロリン酸、ヘキサフロロ砒酸、トリフロロ酢酸、フロロ硫酸、トリフロロメタンスルホン酸、テトラフロロホウ酸、テトラキス(ペンタフロロフェニル)ホウ酸、テトラキス〔3,5−ビス(トリフロロメチル)フェニル〕ホウ酸、p−トルエンスルホン酸、ペンタフロロプロピオン酸など、
ルイス酸化合物としては、例えば、三フッ化ホウ素とエーテル、アミン、フェノールなどとの錯体、三フッ化アルミニウムのエーテル、アミン、フェノールなどの錯体、トリス(ペンタフロロフェニル)ボラン、トリス〔3,5−ビス(トリフロロメチル)フェニル〕ボラン、などのホウ素化合物、三塩化アルミニウム、三臭化アルミニウム、エチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムフロライド、トリ(ペンタフロロフェニル)アルミニウムなどのアルミニウム化合物、ヘキサフロロアセトン、ヘキサクロロアセトン、クロラニル、ヘキサフロロメチルエチルケトンなどのルイス酸性を示す有機ハロゲン化合物、その他、四塩化チタン、ペンタフロロアンチモンなどのルイス酸性を示す化合物など、
イオン性ホウ素化合物としては、例えば、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(2,4,6−トリフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボレート、トリブチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジフェニルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが挙げられる。
(III)有機アルミニウム化合物の例
メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、ブチルアルモキサンなどのアルキルアルモキサン化合物、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムフルオライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライドなどのアルキルアルミニウム化合物およびハロゲン化アルキルアルミニウム化合物、または前記アルキルアルモキサン化合物と前記アルキルアルミニウム化合物との混合物などが好適に使用される。
これら触媒成分は、例えば、以下の範囲の使用量で用いられる。
(I)ニッケル化合物、パラジウム化合物、コバルト化合物、チタニウム化合物およびジルコニウム化合物などの遷移金属化合物は、単量体1モルに対して、0.02〜100ミリモル原子、(III)有機アルミニウム化合物は、遷移金属化合物1モル原子に対して1〜5,000モル、また、(II)超強酸、ルイス酸、イオン性ホウ素化合物は、遷移金属化合物の1モル原子に対して0〜100モルである。
(b)重合溶媒
付加重合反応において用いられる溶媒としては、重合に供される単量体組成物や触媒等が溶解してかつ触媒が失活することがなく、また、生成した付加重合体が溶解するものであれば特に限定されないが、例えば、シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタンなどの脂環式炭化水素溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素溶媒などから選ばれた溶媒を挙げることができる。これらは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
(c)分子量調節剤
本発明では、製造するノルボルネン系付加重合体の分子量の調節を、分子量調節剤として重合系内に水素あるいはα−オレフィンを添加することにより行うこともできる。生成するノルボルネン系付加重合体の分子量は、添加する分子量調節剤が多いほど低下する。
[3.水素添加反応]
前記(A)の開環重合反応により得られる重合体は、その分子中にオレフィン性不飽和結合を有している。また、前記(B)の付加重合反応においても、重合体がその分子中にオレフィン性不飽和結合を有する場合がある。このように、重合体分子中にオレフィン性不飽和結合が存在すると、かかるオレフィン性不飽和結合が経時着色やゲル化等の劣化の原因となる場合があるので、このオレフィン性不飽和結合を飽和結合に変換する水素添加反応を行うことが好ましい。
水素添加反応は、通常の方法、すなわちオレフィン性不飽和結合を有する重合体の溶液に公知の水素添加触媒を添加し、これに常圧〜300気圧、好ましくは3〜200気圧の水素ガスを0〜200℃、好ましくは20〜180℃で作用させることによって行うことができる。
水素添加重合体の水素添加率は、500MHz、1H−NMRで測定した値が通常50
%以上、好ましく70%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上である。水素添加率が高いほど、熱や光に対する安定性が優れたものとなり、成形体として使用した場合に長期にわたって安定した特性を得ることができるため好ましい。
なお、前記方法で得られた重合体がその分子内に芳香族基を有する場合、係る芳香族基は経時着色やゲル化等劣化の原因とはならず、むしろ、機械的特性や光学的特性において有利な作用を及ぼすこともあるため、係る芳香族基については必ずしも水素添加する必要はない。
水素添加触媒としては、通常のオレフィン性化合物の水素添加反応に用いられるものを使用することができる。この水素添加触媒としては、不均一系触媒および均一系触媒が挙げられる。
不均一系触媒としては、パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム、ルテニウムなどの貴金属触媒物質を、カーボン、シリカ、アルミナ、チタニアなどの担体に担持させた固体触媒を挙げることができる。均一系触媒としては、ナフテン酸ニッケル/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリエチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n−ブチルリチウム、チタノセンジクロリド/ジエチルアルミニウムモノクロリド、酢酸ロジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロヒドロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムなどを挙げることができる。触媒の形態は、粉末でも粒状でもよい。
これらの水素添加触媒は、通常、開環重合体と水素添加触媒との質量比(開環重合体:水素添加触媒)が、1:1×10-6〜1:2となる割合で使用される。
本発明に用いられるノルボルネン系樹脂は、固有粘度〔η〕inhが好ましくは0.2〜2.0dl/g、さらに好ましくは0.35〜1.0dl/g、特に好ましくは0.4〜0.85dl/gであり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が好ましくは5000〜100万、さらに好ましくは1万〜50万、特に好ましくは1.5万〜25万であり、重量平均分子量(Mw)が1万〜200万、さらに好ましくは2万〜100万、特に好ましくは3万〜50万のものが好適である。固有粘度〔η〕inh、数平均分子量および重量平均分子量が上記範囲にあると、ノルボルネン系樹脂は機械的強度が優れたものとなり、破損しにくいノルボルネン系樹脂製の基板が得られる。
[4.ノルボルネン系樹脂の物性]
前記ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、通常120℃以上、好ましくは130℃以上、さらに好ましくは150℃以上である。Tgが上記範囲内にあると、液晶表示装置の製造工程中の高温に耐えうる、液晶表示装置の構成部材として好適なノルボルネン系樹脂製の基板を得ることができる。
また、ノルボルネン系樹脂の飽和吸水率は、1質量%以下、好ましくは0.1〜0.8質量%である。飽和吸水率が1質量%を超える場合、かかる樹脂から得られた樹脂基板が、使用される環境によっては経時的に吸水(湿)変形する等耐久性に問題が生じることがある。一方、0.1質量%未満の場合、密着性に問題が生じる可能性がある。なお、前記飽和吸水率はASTM D570に従い、23℃の水中で1週間浸漬して増加質量を測定することにより得られる値である。
[5.その他の成分]
本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲において、ノルボルネン系樹脂にさらに、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を添加することができる。
酸化防止剤としては、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−ジオキシ−3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。また、後述する溶液キャスティング法によりノルボルネン系樹脂製の基板を製造する場合には、レベリング剤や消泡剤を添加することで樹脂基板の製造を容易にすることができる。
なお、これら添加剤は、本発明に用いるノルボルネン系樹脂製の基板を製造する際に、ノルボルネン系樹脂などとともに混合してもよいし、ノルボルネン系樹脂を製造する際に添加することで予め配合されていてもよい。また、添加量は、所望の特性に応じて適宜選択されるものであるが、ノルボルネン系樹脂100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部、好ましくは0.05〜2.0質量部である。
[6.ノルボルネン系樹脂からなる基板の製造方法]
本発明に用いるノルボルネン系樹脂からなる基板は、ノルボルネン系樹脂を直接溶融成形することにより、あるいは溶媒に溶解しキャスティング(キャスト成形)する方法により好適に成形することができる。
(A)溶融成形法によるノルボルネン系樹脂からなる基板の製造
本発明に用いるノルボルネン系樹脂からなる基板は、ノルボルネン系樹脂、もしくはノルボルネン系樹脂と上述した添加剤とを含有する樹脂組成物を溶融成形することにより製造することができる。溶融成形方法としては、例えば、射出成形、溶融押出成形あるいはブロー成形などを挙げることができる。
(A−1)溶融押出成形
以下、本発明で用いられる押出機などの設備について具体例を挙げて説明するが、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。
本発明における溶融押出法においては、通常、押出機に熱可塑性ノルボルネン系樹脂を投入する前に、熱可塑性ノルボルネン系樹脂中に含まれている水分、気体(酸素など)、残溶剤などを予め除去することを目的としてTg以下の適切な温度で樹脂の乾燥を行う。
乾燥に用いる乾燥機は特に限定されるものではないが、通常、熱風循環乾燥機、除湿式乾燥機、真空乾燥機、窒素などの不活性ガス循環式乾燥機が用いられ、熱可塑性ノルボルネン系樹脂の揮発成分あるいは溶存酸素を効率よく取り省ける点で、特に不活性ガス循環式乾燥機あるいは真空乾燥機を用いることが好ましい。また、ホッパー中での吸湿や酸素の吸収を抑えるため、ホッパーを窒素やアルゴンなどの不活性ガスでシールしたり、減圧状態に保持できる真空ホッパーを使用したりすることも好ましいものである。さらに、押出機シリンダーには、溶融押出し中に発生する揮発成分を取り除くためにベント機能や酸素混入によるポリマーの劣化を押させるために窒素やアルゴンなどの不活性ガスによりシールする機能を設けることが好ましい。
押出成形法としては、押出機により、樹脂を溶融し、ギアポンプにより定量供給し、これを金属フィルターでろ過により不純物を除去して、ダイにて板状に賦型し、引き取り機を用いて板状物を冷却し、巻き取り機を用いて巻き取る方法が一般的に使用される。
押出成形に使用される押出機としては、単軸、二軸、遊星式、コニーダー、バンバリーミキサータイプなど、いずれを用いても良いが、好ましくは単軸押出機が用いられる。また、押出機のスクリュウ形状としては、ベント型、先端ダルメージ型、ダブルフライト型、フルフライト型などがあり、圧縮タイプとしては、緩圧縮タイプ、急圧縮タイプなどがあるが、フルフライト型緩圧縮タイプが好ましい。
計量に使用するギアポンプに関しては、ギアの間で下流側より戻される樹脂が、系内に入る内部潤滑方式と、外部に排出される外部潤滑方式があるが、熱安定性が良好でない熱可塑性ノルボルネン系樹脂の場合には、外部潤滑方式が好ましい。ギアポンプのギア歯の切り方は、軸に対して、平行な方向よりも、ヘリカルタイプの方が、計量の安定化の点から好ましい。
異物のろ過に使用するフィルターに関しては、リーフディスクタイプ、キャンドルフィルタータイプ、リーフタイプ、スクリーンメッシュなどが挙げられるが、比較的滞留時間分布が小さく、ろ過面積を大きくすることが可能な、リーフディスクタイプのものが好ましい。フィルターエレメントとしては、金属繊維焼結タイプ、金属粉末焼結タイプ、金属繊維/粉末積層タイプなどが挙げられる。
フィルターのセンターポールの形状には、外流タイプ、六角柱内部流動タイプ、円柱内部流動タイプなどが挙げられるが、滞留部が小さい形状であれば、いずれの形状を選択することも可能であるが、好ましくは、外流タイプである。
溶融された熱可塑性ノルボルネン系樹脂は、ダイから吐出され、冷却ドラムに密着固化されて目的とする基板に成形される。ダイ形状に関しては、ダイ内部の樹脂流動を均一にすることが必須であり、基板(フィルム)の厚みの均一性を保つためには、ダイ出口近傍でのダイ内部の圧力分布が幅方向で一定であることが必須である。また、幅方向での樹脂の流量がほぼ一定であり、ダイの出口での流量の微調整をリップ開度により調整可能な範囲で一定であることが厚みの均一性を得るために必須用件である。上記、条件を満たすためにはマニホールド形状は、コートハンガータイプが好ましく、ストレートマニホールド、フィッシュテールタイプなどは、幅方向での流量分布などが発生しやすくなるために好ましくない。
また、上記の基板の厚み分布を均一にするためには、ダイ出口での温度分布を幅方向において一定にすることが重要であり、温度分布は好ましくは±1℃以下であり、さらに好ましくは±0.5℃以下である。±1℃を超えて幅方向に温度ムラが生じていると、樹脂の溶融粘度差が生じ、厚みムラ、応力分布ムラなどが生じるため、延伸操作を実施する過程において、位相差ムラが発生しやすくなり好ましくない。
さらに、ダイ出口のリップ開き量(以下、「リップギャップ」という。)は、通常、0.05〜1mmであり、好ましくは0.3〜0.8mmであり、さらに好ましくは0.35〜0.7mmである。リップギャップが0.05mm未満であると、ダイ内部の樹脂圧力が高くなり過ぎて、樹脂がダイのリップ以外の場所から樹脂漏れを起こしやすくなるため好ましくない。一方、リップギャップが1mmを超えると、ダイの樹脂圧力が上がりにくくなるため、基板の幅方向の厚みの均一性が悪くなり好ましくない。
ダイから押出された基板を密着固化させる方法としては、ニップロール方式、静電印加方式、エアーナイフ方式、バキュームチャンバー方式、カレンダー方式などが挙げられ、フィルムの厚さ、用途に従って、適切な方式が選択される。
ダイから押出された基板を固化するための冷却ロール表面についても、押出機シリンダー、ダイスの内面などと同様に、各種の表面処理が行われることが好ましい。これらの表面処理は、押出された基板のロール表面への密着を防いで基板の厚み斑発生を防ぐとともに、冷却ロール表面精度を高くし、表面硬度が高いために傷などがつきにくく、連続して基板の製造を行っても、安定して基板の表面精度を保ち、かつ厚み斑がない基板を製造できる点で好ましい。
押出機(シリンダー・スクリューなど)、ダイスの材質としては、SCM系の鋼鉄、SUSなどのステンレス材などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、押出機シリンダー、ダイスの内面ならびに押出機スクリュー表面には、クロム、ニッケル、チタンなどのメッキが施されたもの、PVD(Physical Vapor Deposition)法などにより、TiN、TiAlN、TiCN、CrN、DLC(ダイアモンド状カーボン)などの被膜が形成されたもの、WCなどのタングステン系物質、サーメットなどのセラミックが溶射されたもの、表面が窒化処理されたものなどを用いることが好ましい。このような表面処理は、樹脂との摩擦係数が小さいため、均一な樹脂の溶融状態が得られる点で好ましい。
溶融押出で基板を製造する際の樹脂温度(押出機シリンダー温度)としては、通常、200〜350℃、好ましくは220〜320℃である。樹脂温度が200℃未満では、樹脂を均一に溶融させることができず、一方、350℃を超えると、溶融時に樹脂が熱劣化して表面性に優れた高品質な基板の製造が困難になる。さらに、上記温度範囲内であって、樹脂のガラス転移温度(Tg)に対して、Tg+120℃〜Tg+160℃の範囲内の温度であることが特に好ましい。例えば、樹脂のTgが130℃であれば、基板の製造にとって特に好ましい温度範囲は250℃〜290℃である。
また、溶融押出時のせん断速度としては、通常、1〜500(1/sec)、好ましくは2〜350(1/sec)、より好ましくは5〜200(1/sec)である。押出時のせん断速度が1(1/sec)未満では、樹脂を均一に溶融させることができないため、厚み斑が小さい基板を得ることができず、一方、500(1/sec)を超えると、せん断力が大きすぎて樹脂および添加物が分解・劣化し、基板の表面に発泡、ダイライン、付着物などの欠陥が生じてしまうことがある。
(B)キャスト成形法によるノルボルネン系樹脂からなる基板の製造
本発明に用いるノルボルネン系樹脂からなる基板は、ノルボルネン系樹脂を溶媒に溶解した液状樹脂組成物を適切な基材の上にキャスティングして溶剤を除去することにより製造することもできる。例えば、スチールベルト、スチールドラムあるいはポリエステルフィルム等の基材の上に、上述の液状樹脂組成物を塗布して溶剤を乾燥させ、その後基材から塗膜を剥離することにより、ノルボルネン系樹脂からなる基板を得ることができる。
前記方法で得られたノルボルネン系樹脂からなる基板中の残留溶剤量は可能な限り少ない方がよく、通常3質量%以下、好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下である。残留溶剤量が3質量%を超える場合、経時的に基板が変形したり特性が変化したりして、所望の機能が発揮できなくなることがある。
本発明で用いられるノルボルネン系樹脂からなる基板は、その厚さを特に限定するものではないが、通常、10〜500μm、好ましくは30〜300μm、さらに好ましくは50〜200μmである。基板の厚さが薄すぎると、強度が不足する場合があり、また、厚すぎると、透明性や外観性が低下する場合がある。
本発明で用いるノルボルネン系樹脂からなる基板は、光透過性が通常80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上であるのが望ましい。
また、本発明で用いるノルボルネン系樹脂からなる基板は、金属細線との界面に接着剤層を設ける場合、この接着剤層との接着性を高める目的で表面処理を施したものであってもよい。当該表面処理としては、プラズマ処理、コロナ処理、アルカリ処理、コーティング処理等が挙げられる。
とりわけコロナ処理を用いることで、後述の位相差基板と接着剤層の密着を強固とすることができる。この場合のコロナ処理条件としては、コロナ放電電子の照射量として1〜1000W/m/minであることが好ましく、10〜100W/m/minとすることがより好ましい。これより照射量が低い場合には、十分な表面改質効果が得られない場合があり、またこれより照射量が高い場合には、位相差基板の内部にまで処理効果が及び、位相差基板そのものが変質してしまう恐れがある。またコロナ処理は、接着剤層を設ける面のみならず、その反対側の面に施してもよい。
[B.金属細線]
金属細線3の材料は、特に限定されないが、光に対して大きな反射率を示し、かつ大きな導電率を有する銀、アルミニウムなどの金属材料を用いることが好ましい。
金属細線3の厚さは、偏光板の偏光分離性能の観点から定められるものであり、具体的には光の透過率が1%以下であればよく、通常、30〜300nmであれば、良好な偏光分離性能を得ることができる。金属細線3の厚さが30nm未満では、偏光分離性能が低下することがある。金属細線3の厚さが300nmを超えると、光の利用効率が低下することがある。金属細線3をアルミニウムで形成する場合、金属細線3の厚さは、好ましくは40〜200nmである。
金属細線3の間隔(ピッチ;「p」と略す。)は、通常、380nm以下、好ましくは100〜300nmである。
金属細線3の幅(金属細線の延びる方向に対して垂直に切断したときの断面の幅;「w」と略す。)は、wがピッチpの約半分のときに偏光板の偏光分離性能が良好になることから、0.3p<w<0.7pの式を満たすように定めることが望ましい。なお、金属細線3の断面形状は、特に限定されるものではなく、正方形、長方形、台形等の形状をとりうる。
金属細線3の作製方法としては、リソグラフィの技術を用いた方法や、基板上に金属膜を形成した後、基板と金属膜とを延伸して、金属膜に異方的な形状を与える方法などが挙げられる。
[C.接着剤層]
金属細線3と基板2の間、または、基板2と被覆層4の間には、接着剤層を設けることができる。
接着剤層は、公知の放射線硬化性液状樹脂組成物、または、下記成分(A)、(B)及び(C)を含有する放射線硬化性液状樹脂組成物等の硬化物として形成することができる。
放射線硬化性液状樹脂組成物全量を100質量%として、
(A)分子量4000以下のウレタン(メタ)アクリレート 5〜30質量%
(B)ラジカル重合性化合物 60〜95質量%
(C)光重合開始剤 0.1〜10質量%
成分(A)(ウレタン(メタ)アクリレート)の分子量は、好ましくは4,000以下、より好ましくは3,000以下、特に好ましくは2,000以下である。分子量が4,000を超えると、樹脂組成物の粘度が過度に上昇して、塗布性を損なうことがある。
成分(A)としては、脂環式構造を有するポリイソシアネート由来の構造と水酸基含有(メタ)アクリレート由来の構造とを有するウレタン(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。さらに、脂環式構造を有するポリイソシアネート由来の構造と水酸基含有(メタ)アクリレート由来の構造とを有する該ウレタン(メタ)アクリレートが、数平均分子量が500〜3,000のジオール成分由来の構造を有するウレタン(メタ)アクリレートを含有することがさらに好ましい。
成分(A)は、(a)ポリイソシアネート及び(b)水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させることにより得ることができる。あるいは、(a)ポリイソシアネート、(b)水酸基含有(メタ)アクリレートおよび(c)ポリオール成分を反応させることにより製造される。
(a)成分(ポリイソシアネート)としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルフェニレンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、4−ジフェニルプロパンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,5(または6)−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等が挙げられる。
これらのうち、特に、2,4−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族構造を有するポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)等の脂環式構造を有するポリイソシアネートが好ましく、特に、脂環式構造を有するポリイソシアネート好ましい。
ジイソシアネート成分に芳香族系化合物又は脂環族系化合物を用いることで、加熱時の黄変が抑制される。より良好な加熱時の低黄変性を求める場合は、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)等の脂環式構造を有するポリイソシアネートが好ましい。
これらのジイソシアネートは、単独であるいは二種類以上を組み合わせて用いることができる。
(b)成分(水酸基含有(メタ)アクリレート)としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリロイルフォスフェート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレートの如きグリシジル基含有化合物と、(メタ)アクリル酸との付加反応により得られる化合物等を挙げることができる。
これら水酸基含有(メタ)アクリレートのうち、特に、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が好ましい。
これらの水酸基含有(メタ)アクリレート化合物は、単独であるいは、二種類以上組み合わせて用いることができる。
(c)成分(ポリオール成分)としては、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、1,2−ブチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体およびプロピレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種のジオールが好ましい。また、これらのジオールとは異なる他のポリオール、またはポリオールの混合物を用いることもできる。
(c)成分の数平均分子量は、成分(A)(ウレタン(メタ)アクリレート)の分子量を4,000以下とするために、500〜3,000であることが必要であり、好ましくは500〜2,000であり、さらに好ましくは500〜1,500であり、特に好ましくは500〜1,000である。
(c)成分の市販品としては以下を例示することができる。ポリプロピレングリコールは、例えばPPG−400、PPG1000、EXCENOL720、1020、PREMINOL PML S−X4001、PML S−4003(以上、旭硝子ウレタン(株))等の市販品として入手できる。また、1,2−ブチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体であるジオールは、例えばEO/BO500、EO/BO1000(以上、第一工業製薬製)等の市販品として入手することができる。これらのポリオール成分は1種または2種以上組合せて用いることができる。
また、上記例示以外の他のポリオール、またはポリオールの混合物も用いることができる。かかる(c)成分の具体例としては、例えば、脂肪族または環式ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等が挙げられる。
これらのポリオールとしては各構造単位の重合様式には特に制限がなく、例えばランダム重合体、ブロック重合体、グラフト重合体のいずれであってもよい。
脂肪族ポリエーテルポリオールとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリヘプタメチレングリコール、ポリデカメチレングリコールあるいは二種以上のイオン重合性環状化合物を開環共重合させて得られるポリエーテルポリオール等が挙げられる。上記イオン重合性環状化合物としては、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、ブテン−1−オキシド、イソブテンオキシド、3,3−ビスクロロメチルオキセタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン、テトラオキサン、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エピクロルヒドリン、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルカーボネート、ブタジエンモノオキシド、イソプレンモノオキシド、ビニルオキセタン、ビニルテトラヒドロフラン、ビニルシクロヘキセンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、安息香酸グリシジルエステル等の環状エーテル類が挙げられる。また、上記イオン重合性環状化合物と、エチレンイミン等の環状イミン類、β−プロピオラクトン、グリコール酸ラクチド等の環状ラクトン酸、あるいはジメチルシクロポリシロキサン類とを開環共重合させたポリエーテルポリオールを使用することもできる。上記二種以上のイオン重合性環状化合物の具体的な組み合わせとしては、例えばテトラヒドロフランとプロピレンオキシド、テトラヒドロフランと2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランと3−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランとエチレンオキシド、プロピレンオキシドとエチレンオキシド、ブテン−1−オキシドとエチレンオキシド、テトラヒドロフラン、ブテン−1−オキシド、エチレンオキシドの3元重合体等を挙げることができる。これらのイオン重合性環状化合物の開環共重合体はランダムに結合していてもよいし、ブロック状の結合をしていてもよい。
上記の如きポリエーテルポリオールは、例えばPTMG650、PTMG1000(以上、三菱化学(株)製)、PEG1000、ユニセーフDC1100(以上、日本油脂(株)製)、PPTG1000、PTG400、(以上、保土谷化学(株)製)等の市販品としても入手することができる。
環式ポリエーテルポリオールとしては、例えばビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加ジオール、ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加ジオール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、水添ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加ジオール、水添ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加ジオール、ハイドロキノンのアルキレンオキサイド付加ジオール、ナフトハイドロキノンのアルキレンオキサイド付加ジオール、アントラハイドロキノンのアルキレンオキサイド付加ジオール、1,4−シクロヘキサンジオールおよびそのアルキレンオキサイド付加ジオール、トリシクロデカンジオール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジオール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール等が挙げられる。これらの中で、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加ジオール、水添ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加ジオール、トリシクロデカンジメタノールが好ましい。
ポリエステルポリオールとしては、ジオールと二酸塩基とを反応して得られるポリエステルジオール等が挙げられる。上記ジオールとしては、例えばエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール等が挙げられる。また二塩基酸としては、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマール酸、アジピン酸、セバシン酸等を挙げることができる。
また、ポリカーボネートポリオールとしては、例えばポリテトラヒドロフランのポリカーボネート、1,6−ヘキサンジオールのポリカーボネート等が挙げられる。
さらにポリカプロラクトンポリオールとしては、ε−カプロラクトンと、例えばエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,2−ポリブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ブタンジオール等のジオールとを反応させて得られるポリカプロラクトンジオールが挙げられる。
上記以外のポリオールも数多く使用することができる。このようなポリオールとしては、例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジシクロペンタジエンのジメチロール化合物、トリシクロデカンジメタノール、β−メチル−δ−バレロラクトン、ヒドロキシ末端ポリブタジエン、ヒドロキシ末端水添ポリブタジエン、ヒマシ油変性ポリオール、ポリジメチルシロキサンの末端ジオール化合物、ポリジメチルシロキサンカルビトール変性ジオール等が挙げられる。
また、ポリオ−ルとともにジアミンを併用することも可能である。このようなジアミンとしては、例えばエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、パラフェニレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン等のジアミンやヘテロ原子を含むジアミン、ポリエーテルジアミン等が挙げられる。
上記ポリオールのうち、ポリエーテルポリオール、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加ジオールおよび水添ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加ジオールが好ましい。
成分(A)(ウレタン(メタ)アクリレート)は、接着剤用放射線硬化性液状樹脂組成物全量に対して5〜30質量%配合されることが好ましく、5〜20質量%配合されることがさらに好ましい。5質量%未満や30質量%を越えると、粘度が上昇して塗工性を損ねる可能性がある。成分Aを用いることで、粘着性の高い硬化物(接着剤)が得られる。
接着剤用放射線硬化性液状樹脂組成物には、さらに、ポリイソシアネート1モルに対して水酸基含有(メタ)アクリレート化合物2モルを反応させたウレタン(メタ)アクリレートを配合することもできる。かかるウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと2,4−トリレンジイソシアネートの反応物、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと2,5(または6)−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンの反応物、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとイソホロンジイソシアネートの反応物、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートと2,4−トリレンジイソシアネートの反応物、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとイソホロンジイソシアネートの反応物が挙げられる。
接着剤用放射線硬化性液状樹脂組成物には、成分(B)(ラジカル重合性化合物)が配合される。
成分(B)としては、水酸基、カルボキシル基、グリシジル基、アミド基等の極性基を含有するラジカル重合性化合物(以下、「親水性モノマー」という。)及び水酸基、カルボキシル基、グリシジル基、アミド基等の極性基を含有しない(以下、「疎水性モノマー」という。)ラジカル重合性化合物を挙げることができる。親水性モノマーは、ポリビニル樹脂膜に使用可能な親水性樹脂層との接着力を改善するために寄与する成分であり、疎水性モノマーは、疎水性である透明樹脂層との接着力を改善するために寄与する成分である。このため、成分(B)は、親水性モノマーと疎水性モノマーの混合物であることが好ましい。さらに好ましくは、成分(B)中の親水性モノマーと疎水性モノマーの質量比率は、70/30〜95/5であることが好ましい。
親水性モノマーの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシブチルビニルエーテル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタムの如きビニル基含有ラクタム等が挙げられる。これらの中では、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が好ましい。
疎水性モノマーの具体例としては、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートの如き脂環式構造含有(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートの如き芳香族構造含有(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートの如き脂肪族構造含有(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、ラウリルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテルおよび下記式(3),(4)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2007233206
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは炭素数2〜6、好ましくは2〜4のアルキレン基を示し、Rは水素原子または炭素数1〜12、好ましくは1〜9のアルキル基を示し、lは0〜12、好ましくは1〜8の整数を示す)
Figure 2007233206
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは炭素数2〜8、好ましくは2〜5のアルキレン基を示し、Rは水素原子またはメチル基を示し、pは好ましくは1〜4の整数を示す。)等が挙げられる。これらの中では、ラウリル(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリレートが好ましい。
接着剤用放射線硬化性液状樹脂組成物には、成分(B)として、重合性多官能化合物を配合することができる。重合性多官能性化合物としては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジイルジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルの両末端(メタ)アクリル酸付加、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドの付加体であるジオールのジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドの付加体であるジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルに(メタ)アクリレートを付加させたエポキシ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジビニルエーテル等が挙げられる。
成分(B)は、接着剤用放射線硬化性液状樹脂組成物に60〜95質量%、特に70〜95質量%で配合することが好ましい。90質量%を超えると、硬化物の弾性率が高くなりすぎて十分な接着力が得られないことがある。60質量%未満となると、多くの場合、(A)成分の配合量が増大するため、組成物の粘度が過大となり塗布性が低下する。
成分(C)(光重合開始剤)としては、公知の光重合開始剤を用いることができる。接着剤用樹脂組成物の接着対象である透明樹脂層は、紫外線吸収剤の添加等により、ナトリウムのD線(365nm)の透過率が1%程度である場合が多いため、365nmの波長を含む波長領域の光に対する感度が高い光重合開始剤が好ましい。また、必要に応じて、さらに光増感剤を添加するのが好ましい。
ここで、光重合開始剤としては、例えば1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォフフィンオキシド;イルガキュアー184、369、651、500、907、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61(以上、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製);ルシリンLR8728(BASF製);Darocure1116、1173(以上、メルク製);ユベクリルP36(UCB製)等が挙げられる。これらの中では、365nmの光に対する感度の観点から、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォフフィンオキシド等が好ましい。
また、光増感剤としては、例えばトリエチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、エタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル;ユベクリルP102、103、104、105(以上、UCB製)等が挙げられる。
成分(C)は、接着剤用放射線硬化性液状樹脂組成物中に0.1〜10質量%、好ましくは0.3〜5質量%、さらに好ましくは0.5〜3質量%配合する。
接着剤用放射線硬化性液状樹脂組成物には、さらに接着力を上げることを目的として、成分(D)として、シランカップリング剤を添加することができる。シランカップリング剤の例としては、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、ビニルトリアルコキシシラン、テトラアルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、γ−クロロプロピルトリアルコキシシラン等が上げられる。これらの中では、炭素数1〜2のアルコキシシリル基を有するシランカップリング剤が好ましい。とくにγ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリアルコキシシランが高い接着性を発現する上で好ましい。
成分(D)は、接着剤用放射線硬化性液状樹脂組成物中に0〜10質量%、好ましくは0〜5質量%、さらに好ましくは0〜3質量%配合する。
接着剤用放射線硬化性液状樹脂組成物の粘度は、50〜500mPa・sであることが好ましく、50〜300mPa・sがさらに好ましく、50〜100mPa・sが特に好ましい。組成物の粘度が上記範囲にあることにより、良好な塗布性が得られる。粘度は、B型粘度計を用いて25℃で測定する。
接着剤用放射線硬化性液状樹脂組成物は、放射線を照射することにより硬化させることができる。ここで、放射線としては、特に限定されないが、紫外線や電子線が多く用いられる。紫外線を用いる場合には、前述の透明樹脂層の光透過率が紫外線吸収剤により低下している場合があるため、365nmの波長を含む波長領域の紫外線を用いることが好ましい。例えば、光源にメタルハライドランプを用いて、ナトリウムのD線(波長365nm)を含む紫外線が好適に用いられる。放射線は、空気等の酸素を含有する雰囲気下又は窒素等の不活性ガスにより酸素を含有しない雰囲気下で、0.1〜3J/cmの照射量とすることが好ましく、0.5〜2J/cmさらに好ましい。
接着剤層の厚さは、特に限定されないが、好ましくは50μm以下である。接着剤層の光透過率は、好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上である。
[D.被覆層]
被覆層(オーバーコート層)4は、金属細線3を保護するために設けられる。被覆層4の材質は、高い透明性を有しかつ基板2との屈折率の差が小さいものであれば特に限定されず、好ましくは、放射線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂が用いられる。
被覆層4は、589nmにおける基板2の屈折率(以下、589nmにおける屈折率を単に「屈折率」という。)との差が0.01以下となる屈折率を有することが望ましい。
被覆層4の厚さ(被覆層4の上面と基板2の上面の間の距離)は、好ましくは1〜30μmである。
被覆層4に用いることができる放射線硬化性樹脂としては、透明性が高く、上記屈折率特性を有している限りにおいて特に限定されず、たとえば、(a)エチレン性不飽和基含有化合物と(b)光重合開始剤とを含有する放射線硬化性樹脂組成物が好ましい。
エチレン性不飽和基含有化合物(a)としては、エチレン性不飽和基を2以上有する化合物(以下「多官能モノマー」という。)やエチレン性不飽和基を1つ有する化合物(以下「単官能モノマー」という。)が挙げられる。
硬化物の屈折率を調節するために、成分(a)として、通常、基板2の屈折率よりも高い屈折率を有する成分と、基板2の屈折率よりも低い屈折率を有する成分とを混合して用いる。また、硬化収縮等による被覆層4の反りを低減するために、成分(a)として、適宜、多官能モノマーと単官能モノマーとを併用することが好ましい。さらに、基板2と被覆層4との高い密着性を得るために、成分(a)として、基板2の材質と化学構造が近似した成分を配合することが好ましい。
成分(a)として用いることのできる多官能モノマーとしては、たとえば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロイルオキシ)イソシアヌレート、ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン(慣用名;トリシクロデカンジイルジメタノールジ(メタ)アクリレート)、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのポリエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドの付加体であるジオールのジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドの付加体であるジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルに(メタ)アクリレートを付加させたエポキシ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジビニルエーテルなどが挙げられる。
上記多官能モノマーの中で、高屈折率の多官能モノマーとしては、トリス(2−ヒドキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロイルオキシ)イソシアヌレート、ビスフェノールAのポリエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドの付加体であるジオールのジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドの付加体であるジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルに(メタ)アクリレートを付加させたエポキシ(メタ)アクリレート等の芳香族構造を有する多官能モノマーなどが挙げられる。また、透明基材として、たとえばノルボルネン系樹脂を用いる場合には、ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロデカンジ(メタ)アクリレートなどが、基板との密着性の向上の観点から好ましい。
成分(a)として用いることのできる単官能モノマーとしては、たとえば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ−2−メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3−(2−フェニルフェニル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレンオキシドを反応させたp−クミルフェノールの(メタ)アクリレート、2−ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4−ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを複数モル変性させたフェノキシ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシブチルビルエーテル、ラウリルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテルなどが挙げられる。
上記多官能モノマーの中で、低屈折率の単官能モノマーとしては、ラウリル(メタ)アクリレート等の直鎖状アルキル基を有する単官能モノマーなどが、透明被覆層の反り低減の観点から好ましい。また、透明基材として、たとえばノルボルネン系樹脂を用いる場合には、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリンなどが、基材との密着性向上の観点から好ましい。
光重合開始剤(b)としては、光照射により分解してラジカルを発生し、重合反応を開始させるものであれば特に限定されず、たとえば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシドなどが挙げられる。
放射線硬化性樹脂組成物には、被覆層4の透明性を損なわない範囲で、成分(a)および(b)以外の成分、たとえば、シリカ粒子等の無機粒子、ポリスチレン粒子等の有機ポリマー粒子などを配合してもよい。
放射線硬化性樹脂組成物中の各成分の配合量は、成分(a)と成分(b)の合計量を100質量%として、成分(a)が、通常90〜99.9質量%、好ましくは90〜98質量%であり、成分(b)が、通常0.1〜10質量%、好ましくは2〜10質量%である。また、屈折率の調整および硬化物の反り低減のためには、成分(a)全量100質量%中に占める多官能モノマーの割合を30〜95質量%とすることが好ましく、30〜70質量%とすることがさらに好ましい。
被覆層4は、上記放射線硬化性樹脂組成物を、金属細線3が配設された基板の上面に塗布し、該組成物を硬化させることによって形成することができる。放射線硬化性樹脂組成物の塗布は、たとえば、スキージ等を用いて行うことができ、塗膜の厚さは1〜30μmの範囲内であることが好ましい。放射線硬化性樹脂組成物は放射線によって硬化される。ここで放射線とは、たとえば、赤外線、可視光線、紫外線ならびにX線、電子線、α線、β線およびγ線などの電離放射線を意味し、通常は紫外線等の光が簡便に用いられる。
以下、実施例に基づいて本発明を説明する(符号は図1参照)。
[実施例1]
SUS基板上にNiを100nm厚でメッキした後、このNiメッキ層の上に、スピンコートによって感光性樹脂組成物からなるレジスト層を形成した。次いで、縞状のマスクを介してArFレーザーで露光すること(フォトリソグラフィー)によって、180nmピッチでライン長さが90nmの縞状パターンを形成した。これを現像液で処理した後、エッチングによってNiメッキ層の一部を除去し、さらにレジストを除去して、凹凸を有する原版を作製した。
この原版をスタンパーとして、100μm厚のノルボルネン系樹脂からなる基板2(商品名:ARTON、JSR社製、屈折率1.51)に転写した。パターン形成された基板2上に、真空蒸着によってアルミニウム層を設けた後、CMP(Chemical
Mechanical Planarization)によって、凸部のアルミニウムを完全に取り除いて、アルミニウム細線3を作製した。
その後、屈折率が前記フィルム(商品名:ARTON)と同じ1.51であるUV硬化樹脂を用いて、アルミニウム細線3を被覆して、厚さが10μmである被覆層4を形成した。
このようにして作製した偏光板1の被覆層4の硬度は、鉛筆硬度で2Hであった。また、偏光板1に対して、被覆層4の側から波長405nmの固体レーザー光を垂直に入射し、その偏光度を測定したところ、98.5%であった。
なお、基板2の材料(ノルボルネン系樹脂)の製造方法は、次のとおりである。以下の文中の「部」は「質量部」を表す。
窒素置換した反応容器に、8−メチル−8−カルボキシメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン225部と、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン25部と、分子量調節剤として1−ヘキセン18部と、溶媒としてトルエン750部とを仕込み、この溶液を60℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒としてトリエチルアルミニウム1.5モル/lを含有するトルエン溶液0.62部と、t−ブタノールおよびメタノールで変性した六塩化タングステン(t−ブタノール:メタノール:タングステン=0.35モル:0.3モル:1モル)を含有する濃度0.05モル/lのトルエン溶液3.7部とを添加し、この系を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環共重合反応させて開環共重合体溶液を得た。
この重合反応における重合転化率は97%であり、得られた開環共重合体溶液を構成する開環共重合体の30℃のクロロホルム中における固有粘度(ηinh)を測定したところ、0.65dl/gであった。
得られた開環共重合体溶液4,000部をオートクレーブに仕込み、この開環共重合体溶液に、カルボニルクロロヒドリドトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム:RuHCl(CO)[P(C 0.48部を添加し、水素ガス圧100kg/cm、反応温度165℃の条件下で3時間加熱攪拌することにより水素添加反応を行った。
得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、水素添加重合体(ノルボルネン系樹脂)を得た。
得られたノルボルネン系樹脂について、水素添加率を、400MHz H−NMRスペクトルにより測定したところ、99.9%であった。
また、このノルボルネン系樹脂について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、溶媒:テトラヒドロフラン)により、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を測定したところ、数平均分子量(Mn)は39,000、重量平均分子量(Mw)は116,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.97であった。
また、このノルボルネン系樹脂のガラス転移温度(Tg)は130℃であり、23℃における飽和吸水率は0.3重量%であった。また、このノルボルネン系樹脂のSP値を測定したところ、19(MPa1/2)であり、30℃のクロロホルム中で固有粘度(ηinh)を測定したところ0.67dl/gであった。
本発明の偏光板の一例を示す斜視図である。
符号の説明
1 偏光板
2 基板
3 金属細線
4 被覆層

Claims (4)

  1. ノルボルネン系樹脂からなる透明な基板、及び、該基板上に互いに平行かつ等間隔で配設された複数の金属細線を含むことを特徴とする偏光板。
  2. 上記ノルボルネン系樹脂が、下記一般式(1)で表される少なくとも1種の化合物を含む単量体を(共)重合して得られた樹脂である請求項1に記載の偏光板。
    Figure 2007233206
    (式中、R1〜R4は、各々独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウまたはケイ素を含む連結基を有していてもよい置換または非置換の炭素原子数1〜15の炭化水素基もしくはその他の1価の有機基を表す。あるいはR1とR2もしくはR3とR4が相互に結合してアルキリデン基を形成していてもよく、R1とR2、R3とR4またはR2とR3とが相互に結合して炭素環または複素環(これらの炭素環または複素環は単環構造でもよいし、他の環が縮合して多環構造を形成してもよい。)を形成してもよい。形成される炭素環または複素環は芳香環でもよいし非芳香環でもよい。また、xは0または1〜3の整数、yは0または1を表すが、xが0のときはyも0である。)
  3. 上記ノルボルネン系樹脂を構成する単量体が、極性構造を有する化合物である請求項1又は2に記載の偏光板。
  4. 上記基板上にて上記複数の金属細線を被覆するように形成された、上記基板との屈折率(光の波長:589nm)の差が0.01以下である透明な被覆層を備えた請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光板。
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