プラズマディスプレイパネル(以下、適宜、「パネル」と呼ぶ)は、前面パネル基板と背面パネル基板との一対のパネル基板を、両パネル基板間に放電空間が形成されるように対向配置し、放電空間に希ガスを封入し、周辺部を封着した構成である。前面パネル基板上には走査電極と維持電極とからなる表示電極が複数形成され、背面パネル基板上には表示電極と交差する方向にデータ電極が複数形成されており、表示電極とデータ電極との立体交差部には単位発光領域である放電セルが形成される。このように構成されたパネルの表示電極とデータ電極とに所定の電圧を印加して各放電セルで選択的に放電を発生させることで、各放電セルに形成された蛍光体層がこの放電によって発光し、これによってパネルから所望の画像が表示される。
また、パネルの各電極に所定の電圧を駆動信号として印加するため、前面パネル基板および背面パネル基板において、各電極に電気的に接続された電極引出線が、パネル周辺である側端部に複数個設けられたパネル側端子部まで引き出される。
図8は、このようなパネル側端子部周辺の構成例を示す図である。図8に示すように、パネル90の周辺側端部に設けられた各パネル側端子部92には、所定の本数を1つのブロックとして電極引出線91が引き出されている。各パネル側端子部92は、このように各電極を電気的に引き出した電極引出線91の先端部である複数本の電極引出端子94で構成される。図8では、要点を説明するため、8本の電極引出端子94で1つのブロックを構成するような例を挙げているが、通常、パネル側端子部92は、100本から200本程度の電極引出端子94を単位として1つのブロックを構成している。パネル側端子部92は、電極を駆動するための駆動回路を備えた駆動回路基板と接続するための端子である。このため、駆動回路基板においても、パネル側と同様に複数の回路側端子部が駆動回路基板の側縁部に設けられ、各回路側端子部は、各駆動信号を電気的に引き出した複数本の信号引出端子で1つのブロックを構成している。さらに、このパネル側端子部92と駆動回路基板との電気的接続は、このパネル側端子部92に対し、異方性を有する異方導電性接着剤などを介してフレキシブル配線板80の端子部82を圧着することにより行われる。また、駆動回路基板においても、同様にフレキシブル配線板80のもう一方の端子部を回路側端子部に圧着することにより接続される。このようにして、駆動回路と各電極とが電気的に接続され、駆動回路基板で生成された各駆動信号がフレキシブル配線板80を介して各電極に印加される。
ところで、近年、プラズマディスプレイパネルなどを利用した平面型表示装置において、画素の高密度化、高精細化の要求が高まっている。このような高密度化、高精細化を図るには、各放電セルを小さくし、パネルあたりの放電セル数を増やす必要がある。すなわち、ライン数の例を挙げて言えば、中精細度のライン数を480本とするのに対して高精細度では720本とするようなライン数に対応させることが必要となる。このため、高精細化を図るとき1つのパネルあたりで、上述した電極引出線91の本数や電極引出端子94の個数も増やす必要がある。
図9は、従来のプラズマディスプレイ装置の、高精細度のパネルを駆動するための構成例と中精細度のパネルを駆動するための構成例とを示す図である。図9では、それぞれのパネルにおいて、各維持電極を駆動するような一例を示している。維持電極駆動動作において各放電セルで選択的に維持放電を発生させるため、各走査ラインに対応した維持電極には、共通の維持電極駆動信号が印加される。通常、このように各維持電極には共通の維持電極駆動信号を印加すればよいため、図9のような各維持電極を同じ波形の維持電極駆動信号で同時に駆動するような構成が用いられる。また、各維持電極を同時に駆動するには100アンペア以上のピーク電流が流れるようなパルス状の維持電極駆動信号が必要となる。このため、共通の信号であっても複数のフレキシブル配線板80を介して接続したり、共通パターン配線などを利用したりして、維持電極駆動回路から各維持電極までのインピーダンスを低く抑え、駆動の均一化を図るとともに大電流による発熱なども抑制するような構成が用いられている。
図9(a)は、高精細のプラズマディスプレイ装置において、高精細用駆動回路基板701の維持電極駆動回路77で生成した維持電極駆動信号を、複数のフレキシブル配線板80を介して、高精細度のパネルである高精細パネル901の各維持電極の電極引出線911に供給するような構成例である。図9(a)において、維持電極駆動回路77からの維持電極駆動信号は、共通パターン配線751を介し、分配されるようにして、それぞれの回路側端子部721の信号引出端子に供給される。さらに、各信号引出端子に供給された維持電極駆動信号は、8個のフレキシブル配線板80を介して高精細パネル901の各パネル側端子部921に供給され、パネル側の共通パターン配線951および各電極引出線911を介してそれぞれの維持電極に供給される。
図9(b)は、中精細のプラズマディスプレイ装置において、中精細用駆動回路基板702の維持電極駆動回路77で生成した維持電極駆動信号を、複数のフレキシブル配線板80を介して、中精細度のパネルである中精細パネル902の各維持電極の電極引出線912に供給するような構成例である。図9(b)において、維持電極駆動回路77からの維持電極駆動信号は、共通パターン配線752を介し、分配されるようにして、それぞれの回路側端子部722の信号引出端子に供給される。さらに、各信号引出端子に供給された維持電極駆動信号は、6個のフレキシブル配線板80を介して中精細パネル902の各パネル側端子部922に供給され、パネル側の共通パターン配線952および各電極引出線912を介してそれぞれの維持電極に供給される。
図9に示したように、高精細パネル901と中精細パネル902とが同一サイズであっても、精細度によって電極数が異なるためパネル側端子部それぞれの配列構成も異なることとなる。このため、それぞれのパネルに適した駆動回路基板にしようとすると、駆動回路は同一であっても、それぞれのパネルに応じた構成の駆動回路基板が必要となる。すなわち、高精細パネル901に対応させるためには図9(a)の例のように、8個の回路側端子部721を設けたような高精細用駆動回路基板701が必要となり、中精細パネル902に対応させるためには、図9(b)の例のように6個の回路側端子部722を設けたような中精細用駆動回路基板702が必要となる。このように、精細度やインチサイズに応じて回路基板などの部品を製造したり使用したりすると、量産効果が薄くなり回路基板のコストアップを招くこととなる。
このため、従来、プラズマディスプレイ装置の回路基板の共用化を図ることで量産効果を高めた技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
図10は、従来のプラズマディスプレイ装置の、駆動回路基板の共用化を図った構成例を示す図である。図10では、高精細パネル901および中精細パネル902のどちらも、共用化を図った共用駆動回路基板70から駆動されるような構成例を示している。また、図10(a)は、高精細のプラズマディスプレイ装置、すなわち高精細パネル901を駆動する場合の構成例を示しており、図10(b)は、中精細のプラズマディスプレイ装置、すなわち中精細パネル902を駆動する場合の構成例を示している。すなわち、中精細パネル902を駆動する場合には、図10(b)に示すように中精細パネル902に対応させた共用駆動回路基板70と中精細パネル902とを、6個のフレキシブル配線板80を介して接続する。一方、高精細パネル901を駆動する場合には、図10(a)に示すように共用駆動回路基板70に拡張基板79を付加して維持電極駆動信号を供給している。図10(a)に示す拡張基板79は回路側端子部および共通パターン配線を設けたような小基板である。図10(a)では、このような拡張基板79を、共用駆動回路基板70の共通パターン配線75で共通に接続された6個の回路側端子部72の両側に設け、これによって8個のパネル側端子部921を備える高精細パネル901にも対応させた例を示している。このように、プラズマディスプレイ装置の種別が異なっても共用駆動回路基板70を共用して利用できるため、量産効果によるコストダウンなどを図ることができる。
また、例えば、特許文献1では、回路側端子部と共用駆動回路基板に接続されるコネクタとを有する出力位置変換基板を設け、各パネル側端子部と共用駆動回路基板とを出力位置変換基板を介して接続することで、共用駆動回路基板の共用化を図ったプラズマディスプレイ装置が提案されている。
特開2003−173150号公報
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置のパネルの分解斜視図である。パネル90は、ガラス製の前面パネル基板21と背面パネル基板31とを対向配置して、その間に多数の放電セルを形成するように構成されている。前面パネル基板21上には表示電極対を構成する走査電極22と維持電極23とが互いに平行に対をなして複数形成されている。そして、走査電極22および維持電極23を覆うように誘電体層24が形成され、誘電体層24上には保護層25が形成されている。また、背面パネル基板31上には複数のデータ電極32とそのデータ電極32を覆うように絶縁体層33が設けられ、さらに、絶縁体層33上に井桁状の隔壁34が設けられている。また、絶縁体層33の表面および隔壁34の側面に蛍光体層35が設けられている。そして、走査電極22および維持電極23とデータ電極32とが交差するように前面パネル基板21と背面パネル基板31とが対向配置されており、電極の交差するそれぞれの位置に放電セルが形成されている。放電セルには放電ガスとして、例えばネオンとキセノンの混合ガスが封入されている。なお、パネル90の構造は上述したものに限られるわけではなく、例えば井桁状の隔壁34のかわりにストライプ状の隔壁を備えたものであってもよい。
図2は本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置のパネル90の電極配列図である。行方向にn本の走査電極SCN1〜SCNn(図1の走査電極22)およびn本の維持電極SUS1〜SUSn(図1の維持電極23)が配列され、列方向にm本のデータ電極DD1〜DDm(図1のデータ電極32)が配列されている。そして、一対の走査電極SCNiおよび維持電極SUSi(i=1〜n)と1つのデータ電極DDj(j=1〜m)とが交差した部分に放電セルが形成され、放電セルは放電空間内にm×n個形成されている。
また、このような各電極は、図8で示した構成と同様に、それぞれの電極引出線91により所定の本数を1つのブロックとして、パネル90の周辺側端部に設けられた各パネル側端子部92まで引き出されている。各パネル側端子部92は、電極を駆動するための駆動回路基板と接続するための端子であり、このように各電極を電気的に引き出した電極引出線91の先端部である複数本の電極引出端子94で構成されている。さらに、このパネル側端子部92と駆動回路基板との電気的接続は、このパネル側端子部92に対し、異方性を有する異方導電性接着剤などを介してフレキシブル配線板80の端子部82を圧着することにより行われる。すなわち、例えば、図2で示す維持電極SUS1〜SUSnの場合、n個の電極が所定の個数kを1つのブロックとして、kxA=nとなるようにA個のパネル側端子部92に電気的に引き出されている。
また、図2に示すような各電極を駆動する手法として、1フィールド期間を複数のサブフィールドに分割したうえで、発光させるサブフィールドの組み合わせによって階調表示を行う方法が一般的である。このような手法はサブフィールド法と呼ばれており、本実施の形態でもこのようなサブフィールド法に基づき各電極を駆動するような構成例を挙げて説明する。
図3は本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置のブロック図である。本プラズマディスプレイ装置は、パネル90、画像信号処理部42、データ電極駆動部43、走査電極駆動部44、維持電極駆動部46およびタイミング発生部48を備えている。画像信号処理部42は、画像信号sigを各放電セルのサブフィールドごとの発光・非発光を示す画像データに変換する。データ電極駆動部43は、サブフィールドごとの画像データを各データ電極32に対応する信号に変換し、各データ電極32を駆動する。走査電極駆動部44は、各走査電極22に所定の駆動電圧波形である走査電極駆動信号を供給し、各走査電極22を駆動する。維持電極駆動部46は、各維持電極23に所定の駆動電圧波形である維持電極駆動信号を供給し、各維持電極23を駆動する。また、データ電極駆動部43、走査電極駆動部44および維持電極駆動部46により、走査電極、維持電極およびデータ電極を駆動するための電極駆動部が構成される。タイミング発生部48は、水平同期信号Hおよび垂直同期信号Vをもとにして各電極駆動部の駆動電圧波形を制御する各種のタイミング信号を発生し、各電極駆動部へ供給する。
このような構成のパネル90において所定の表示を行うため、まず、データ電極DD1〜DDmと走査電極SCN1〜SCNnとの間に、データ電極駆動部43および走査電極駆動部44から書き込みパルスを印加することにより、データ電極DD1〜DDmと走査電極SCN1〜SCNnとの間でアドレス放電を行い、放電セルを選択する。さらに、放電セルを選択した後、走査電極SCN1〜SCNnと維持電極SUS1〜SUSnとの間に、走査電極駆動部44および維持電極駆動部46から交互に反転する周期的な維持パルスである駆動信号を印加することにより、走査電極SCN1〜SCNnと維持電極SUS1〜SUSnとの間で維持放電を行う。このような動作を行うことで、所望の画像などがパネル90に表示される。
図4は、本実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置の全体構成を示す図である。図4において、パネル90を収容する筐体は、前面枠12と金属製などのバックカバー13とで構成され、前面枠12の開口部には光学フィルターおよびパネル90の保護を兼ねたガラスなどからなる前面カバー14が配置されている。
パネル90は、アルミニウムなどからなるシャーシ部材15の前面に熱伝導シート16を介して接着することにより保持される。そして、シャーシ部材15の後面側には、パネル90を表示駆動させるため駆動回路基板を含む複数の回路基板17が取り付けられている。熱伝導シート16は、パネル90で発生した熱をシャーシ部材15に効率よく伝え、放熱を行う。また、回路基板17はパネル90を表示駆動するための駆動回路やその制御などを行うための電気回路を備えている。さらに、駆動回路基板とパネル90とは、シャーシ部材15の四辺の縁部を越えて延びる図示しない複数のフレキシブル配線板によって接続される。
すなわち、回路基板17において、パネル90の電極群を駆動するため、図3で示した走査電極駆動部44、維持電極駆動部46およびデータ電極駆動部43を駆動回路に具現化して実装した駆動回路基板が具備されている。フレキシブル配線板は、パネル90の側縁部に引き出された走査電極SCN1〜SCNnおよび維持電極SUS1〜SUSnの電極引出端子94で構成されるパネル側端子部92と、走査電極駆動部44および維持電極駆動部46の基板側端子部とを接続する。さらに、フレキシブル配線板は、パネル90の縁部に引き出されたデータ電極DD1〜DDmの電極引出端子で構成される端子ブロック部とデータ電極駆動部43とを接続する。このとき、フレキシブル配線板は、パネル90の外周部を通して、前面側より背面側に180度湾曲させ、引き回して配置する。
また、シャーシ部材15の後面には、回路基板17を取り付けたり、バックカバー13を固定したりするためのボス部15aがダイカストなどによる一体成型により突設されている。なお、このシャーシ部材15は、アルミニウム平板に固定ピンを固定して構成してもよい。
図5は、本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置の駆動回路基板とパネルにおける電極との接続構成の一例を示した図である。図5では、高精細度のパネルである高精細パネル901の各維持電極SUS1〜SUSnに、駆動回路基板50の維持電極駆動回路77で生成した維持電極駆動信号を、複数のフレキシブル配線板80を介して供給するような構成例を示している。
図5に示すように、高精細パネル901において、各維持電極SUS1〜SUSnからそれぞれ電極引出線911が引き出されている。さらに、各電極引出線911は、共通パターン配線951を介して、所定の本数を1つのブロックとして複数のパネル側端子部921に電気的に接続されている。図5では、複数のパネル側端子部921として、パネル側端子部921a、921b、921c、921d、921e、921f、921gおよび921hとする8個のパネル側端子部921を備えた一例を示している。
また、駆動回路基板50は、維持電極SUS1〜SUSnに維持電極駆動信号を供給する維持電極駆動回路77を備えている。また、維持電極駆動回路77からの維持電極駆動信号は、共通パターン配線55を介し、分配されるようにして、それぞれの回路側端子部52の信号引出端子に供給される。すなわち、駆動回路基板50には、パネル側と同様に複数の回路側端子部52が駆動回路基板50の例えば側縁部に設けられており、各回路側端子部52は、維持電極駆動信号を電気的に引き出した複数本の信号引出端子で1つのブロックを構成している。図5では、複数の回路側端子部52として、4個の回路側端子部52を備えた一例を示している。
なお、高精細パネル901の共通パターン配線951および駆動回路基板50の共通パターン配線55は、維持電極駆動回路77から各維持電極SUS1〜SUSnまでのインピーダンスを低く抑え、駆動の均一化を図るとともに大電流による発熱なども抑制するために設けている。すなわち、維持電極駆動動作において各放電セルで選択的に維持放電を発生させるため、上述したように、維持電極SUS1〜SUSnには、共通の維持電極駆動信号を印加する。このため、図5に示す本実施の形態の維持電極を駆動する構成においても各維持電極を共通に駆動するような構成としている。
さらに、図5に示すように、高精細パネル901の側端部に設けられた各パネル側端子部921と駆動回路基板50の側端部に設けられた各回路側端子部52とは、複数のフレキシブル配線板80を介して接続されている。このようにして、維持電極駆動回路77と維持電極SUS1〜SUSnとが電気的に接続され、駆動回路基板50で生成された維持電極駆動信号がフレキシブル配線板80を介して各維持電極に印加される。
特に、本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置では、図5に示すように、駆動回路基板50の回路側端子部52の個数と高精細パネル901におけるパネル側端子部921の個数とにおいて、パネル側端子部921よりも回路側端子部52の個数が少なくなるように回路側端子部52を設けている。さらに、いずれかのパネル側端子部921を間引くようにして、各回路側端子部52ごとに、残りのパネル側端子部921とフレキシブル配線板80を介して接続した構成としている。すなわち、図5に示す構成例では、高精細パネル901のパネル側端子部921の個数が8個であるのに対し、駆動回路基板50の回路側端子部52の個数をパネル側端子部921の個数よりも少ない4個としている。さらに、回路側端子部52とパネル側端子部921とのフレキシブル配線板80を介した接続において、駆動回路基板50の4個の回路側端子部52と高精細パネル901のパネル側端子部921b、921d、921eおよび921gとを接続し、高精細パネル901のパネル側端子部921において、パネル側端子部921cおよび921fを間引いたような接続構成としている。維持電極SUS1〜SUSnには共通、すなわち同じ駆動電圧波形の維持電極駆動信号を供給すればよいため、このような構成によっても維持電極SUS1〜SUSnを駆動することが可能である。本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置は、このように、パネル側端子部の個数よりも回路側端子部の個数が少なくなるように、駆動回路基板における回路側端子部を設けた構成であることを特徴としており、このような構成とすることによって、駆動回路基板における部品数の増加を抑制している。さらに、本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置は、いずれかのパネル側端子部を間引くようにして、各回路側端子部ごとに、残りのパネル側端子部とフレキシブル配線板を介して接続した構成であることを特徴としている。
ところで、上述したように、維持電極SUS1〜SUSnをそれぞれ同じ駆動電圧波形で同時に駆動するとき、100アンペア以上のパルス状のピーク電流が流れるため、各維持電極までのインピーダンスを低く抑えて駆動の均一化を図るとともに、局所的な大電流の集中による基板の発熱なども抑制する必要がある。一方、パネル側端子部921よりも回路側端子部52の個数が少なくなるようにしてフレキシブル配線板80を介して接続する場合、フレキシブル配線板80が接続されたパネル側端子部921からフレキシブル配線板80が接続されていないパネル側端子部921に対応した維持電極までへの配線距離が長くなり、インピーダンスが増加して駆動が不均一になったり配線パターンでの発熱量が増加したりする。例えば、図5に示した高精細パネル901と駆動回路基板50とにおいて、4個の回路側端子部52からそれぞれ高精細パネル901のパネル側端子部921c、921d、921eおよび921fへとフレキシブル配線板80がほぼ平行となるように接続した場合、フレキシブル配線板80が接続されたパネル側端子部921cからフレキシブル配線板80が接続されていないパネル側端子部921aに対応した維持電極、およびフレキシブル配線板80が接続されたパネル側端子部921fからフレキシブル配線板80が接続されていないパネル側端子部921hに対応した維持電極までの配線距離が長くなる。このため、この例のような接続構成では、パネル側端子部921aや921hに対応した維持電極へは、振幅や波形が劣化した維持電極駆動信号が供給されたり、パネル側端子部921aや921hに対応した維持電極までの配線パターンでの発熱量が高くなるなどの不都合があった。
これに対し、本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置では、上述したように、回路側端子部52とパネル側端子部921とのフレキシブル配線板80を介した接続において、いずれかのパネル側端子部、すなわち図5の場合ではパネル側端子部921cおよび921fを間引いたような構成としている。このため、例えば、フレキシブル配線板80が接続されていないパネル側端子部921cに対応した維持電極にも、パネル側端子部921bと921dとの経路を主として維持電極駆動信号が供給されることになる。また、同様に、パネル側端子部921fに対応した維持電極にも、パネル側端子部921eと921gとの経路を主として維持電極駆動信号が供給されることになる。このように、フレキシブル配線板80が接続されていないパネル側端子部に対応した維持電極には、そのパネル側端子部の両端のパネル側端子部それぞれを介して維持電極駆動信号が供給されることとなるため、信号の供給の偏りを緩和でき、このため、均一な維持電極駆動信号が供給される。また、パネル側端子部から維持電極までの配線距離も抑制できるため、発熱なども抑制することができる。
また、フレキシブル配線板80が接続されていないパネル側端子部921aや921hに対応した維持電極において、このようにパネル側端子部921cおよび921fを間引いたような構成とすることで、パネル側端子部921c、921d、921eおよび921fへとフレキシブル配線板80がほぼ平行となるように接続した場合に比べて、フレキシブル配線板80が接続されたパネル側端子部との配線距離を短くできる。すなわち、パネル側端子部921c、921d、921eおよび921fへとフレキシブル配線板80がほぼ平行となるように接続した場合、パネル側端子部921aに対応した維持電極には、パネル側端子部921cからパネル側端子部921bを介して維持電極駆動信号が供給されることになる。これに対し、図5に示す本実施の形態における構成では、パネル側端子部921aに対応した維持電極には、パネル側端子部921bから維持電極駆動信号が供給されることとなり、配線距離を短くでき、これによって、フレキシブル配線板80が接続されていない上下端におけるパネル側端子部921aや921hに対応した維持電極などにおいても、供給する維持電極駆動信号が不均一となることや、配線パターンの発熱量を抑制できる。
また、本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置は、パネル側端子部よりも回路側端子部の個数が少なくなるように回路側端子部を設け、さらに、いずれかのパネル側端子部を間引くようにして、各回路側端子部ごとに、残りのパネル側端子部とフレキシブル配線板を介して接続した構成とすることで、さらに、駆動回路基板50が容易にプラズマディスプレイ装置の各機種に対応できるよう駆動回路基板50の共用化を図っている。
図6は、図5で示した駆動回路基板50を中精細度のパネルである中精細パネル902の駆動にも利用したときの構成例を示す図である。さらに、図6(a)は、駆動回路基板50を用いて中精細パネル902を駆動する一構成例を示し、図6(b)は、駆動回路基板50を用いて中精細パネル902を駆動する他の構成例を示している。
図6に示す中精細パネル902において、各維持電極SUS1〜SUSnからそれぞれ電極引出線912が引き出されている。なお、図6に示す中精細パネル902の維持電極の個数nは、図5で示した高精細パネル901の維持電極の個数nよりも少ない。さらに、各電極引出線912は、共通パターン配線952を介して、所定の本数を1つのブロックとして複数のパネル側端子部922に電気的に接続されている。図6では、複数のパネル側端子部922として、パネル側端子部922a、922b、922c、922d、922eおよび922fとする6個のパネル側端子部922を備えた一例を示している。さらに、図6に示すように、このような中精細パネル902には、図5で示したのと同様の駆動回路基板50がフレキシブル配線板を介して接続されている。
まず、図6(a)において、回路側端子部52とパネル側端子部922とのフレキシブル配線板80を介した接続は、駆動回路基板50の4個の回路側端子部52と中精細パネル902のパネル側端子部922a、922c、922dおよび922fとを接続し、パネル側端子部922bおよび922eにはフレキシブル配線板80を接続せず、これらを間引いたような接続構成としている。このように、いずれかのパネル側端子部、すなわちパネル側端子部922bおよび922eを間引いたような構成であっても、図5の構成と同様に、例えば、フレキシブル配線板80が接続されていないパネル側端子部922bに対応した維持電極にも、パネル側端子部922aと922cとの経路を主として維持電極駆動信号が供給されることになる。よって、図6(a)に示すような駆動回路基板50と中精細パネル902とを接続する構成であっても、フレキシブル配線板80が接続されていないパネル側端子部に対応した維持電極に均一な維持電極駆動信号を供給でき、配線パターンの発熱なども抑制できる。
また、図6(b)において、回路側端子部52とパネル側端子部922とのフレキシブル配線板80を介した接続は、駆動回路基板50の4個の回路側端子部52と中精細パネル902のパネル側端子部922b、922c、922dおよび922eとを接続し、中精細パネル902のパネル側端子部922において上下端のパネル側端子部922aおよび922fには、フレキシブル配線板80を接続しないような接続構成としている。このような図6(b)に示す構成において、パネル側端子部922aや922fに対応した維持電極には、他のパネル側端子部922b、922c、922dおよび922eに対応した維持電極に比べて、パネル側端子部922からの配線距離が長くなり、供給される信号が劣化する可能性もあるものの、維持電極駆動信号の劣化や配線パターンの発熱量が許容範囲内であれば、このような構成であってもよい。図6(b)に示すようなパネル側端子部922b、922c、922dおよび922eへとフレキシブル配線板80がほぼ平行となるような接続構成とすることにより、製造工程における作業性を上げることが見込める。
なお、図5および図6を用いた以上の説明では、高精細パネル901のパネル側端子部921の個数が中精細パネル902のパネル側端子部922の個数よりも多く設けた場合について説明したが、例えば高精細パネルのパネル側端子部の個数と中精細パネルのパネル側端子部の個数とを同じとすることによって、プラズマディスプレイ装置の種別にかかわることなく、より容易に基板の共用化を図れる。図7は、このような中精細パネルのパネル側端子部の個数と同じ個数のパネル側端子部を設けた高精細パネル903に対して、図5および図6で示した駆動回路基板50を利用したときの構成例を示す図である。図7(a)は、駆動回路基板50を用いて、図6で示した中精細パネル902と同じ個数のパネル側端子部923を備えた高精細パネル903を駆動する一構成例を示し、図7(b)は、駆動回路基板50を用いて、図7(a)と同様の高精細パネル903を駆動する他の構成例を示している。
図7に示す高精細パネル903において、各維持電極SUS1〜SUSnからそれぞれ電極引出線911が引き出されている。なお、図7に示す高精細パネル903の維持電極の本数nは、図6で示した中精細パネル902の維持電極の本数nよりも多い。さらに、各電極引出線911は、共通パターン配線953を介して、図6のパネル側端子部922と同じ所定の本数を1つのブロックとして複数のパネル側端子部923に電気的に接続されている。すなわち、上述したように、維持電極には共通の維持電極駆動信号を印加すればよいため、電極引出線911の本数と全電極引出端子の本数とを同一にする必要はなく、維持電極を駆動するための電極引出端子の総本数が維持電極の総本数よりも少ない構成とすることも可能である。図7では、複数のパネル側端子部923として、パネル側端子部923a、923b、923c、923d、923eおよび923fとする6個のパネル側端子部923を備えた一例を示している。すなわち、図7では、高精細パネル903において、パネル側端子部923の個数を図6で示した中精細パネル902のパネル側端子部922と同じ個数とした一例を示している。さらに、図7に示すように、このような高精細パネル903には、図6で示したのと同様の駆動回路基板50がフレキシブル配線板80を介して接続されている。
図7(a)においては、回路側端子部52とパネル側端子部923とのフレキシブル配線板80を介した接続は、駆動回路基板50の4個の回路側端子部52と高精細パネル903のパネル側端子部923a、923c、923dおよび923fとを接続し、パネル側端子部923bおよび923eにはフレキシブル配線板80を接続せず、これらを間引いたような接続構成としている。また、図7(b)において、回路側端子部52とパネル側端子部923とのフレキシブル配線板80を介した接続は、駆動回路基板50の4個の回路側端子部52と高精細パネル903のパネル側端子部923b、923c、923dおよび923eとを接続し、高精細パネル903のパネル側端子部923において上下端のパネル側端子部923aおよび923fには、フレキシブル配線板80を接続しないような接続構成としている。すなわち、図6の示した中精細パネル902と図7の示した高精細パネル903との比較より明らかなように、高精細パネルが、高精細パネルよりも少ない維持電極を有した中精細パネルと同じ個数のパネル側端子部を有する構成とすることによって、フレキシブル配線板を介したパネルと駆動回路基板との接続構成をほぼ同一とすることができるため、プラズマディスプレイ装置の種別にかかわらず、より容易に基板の共用化を図ることができる。
以上、図5、図6および図7を用いて説明したように、パネルに駆動信号を供給する駆動回路基板を、パネル側端子部よりも回路側端子部の個数が少なくなるように回路側端子部を設けた駆動回路基板50とし、さらに、いずれかのパネル側端子部を間引くようにして、それぞれの回路側端子部と残りのパネル側端子部とをフレキシブル配線板を介して接続した構成とすることで、駆動回路基板50が容易にプラズマディスプレイ装置の各機種に対応できることとなり、これによって駆動回路基板50の共用化を容易に図ることが可能となる。
また、パネル側端子部の個数に合わせて駆動回路基板に拡張基板や出力位置変換基板を設けるような構成ではないため、製造工程の工程数や作業時間の増加を抑えるとともに、部品点数を増加させることなく基板の共用化を図ることができる。
よって、本発明のプラズマディスプレイ装置によれば、部品点数を増加させることなく、プラズマディスプレイ装置の種別にかかわらず基板の共用化が図れる構成を有したプラズマディスプレイ装置を提供することができる。