JP2007231711A - 接触検出装置とそれを備えたドアハンドル装置およびスマートエントリーシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】柔軟な構造を有し軽いタッチでも十分な検出感度の得られる接触検出装置、およびこれを備えて開閉動作を検出するドアハンドル装置の提供。
【解決手段】接触を受けると変位する可動部8cを有する支持手段8と、支持手段8により一部を支持され可動部8cの変位と連動して変形するケーブル状圧電センサ4と、ケーブル状圧電センサ4の出力を信号処理する検出手段5とを備え、ケーブル状圧電センサ4は屈曲部4aを有して複数の同時変形部を形成し、同時変形部が可動部8cと連動して変形することで接触を検知する。
【選択図】図3
【解決手段】接触を受けると変位する可動部8cを有する支持手段8と、支持手段8により一部を支持され可動部8cの変位と連動して変形するケーブル状圧電センサ4と、ケーブル状圧電センサ4の出力を信号処理する検出手段5とを備え、ケーブル状圧電センサ4は屈曲部4aを有して複数の同時変形部を形成し、同時変形部が可動部8cと連動して変形することで接触を検知する。
【選択図】図3
Description
本発明は、ドアハンドルを備えたハンドル装置にセンサを設けて、該ハンドル装置の操作を検知する接触検知装置を備えたハンドル装置に関する。
車両のドアハンドルを操作してドアのロック解除を行うに際し、ドアハンドルへの接触や操作を検知するセンサを設けて、このセンサから検知信号が出力されたときに、所定の条件の下でドアロックを解除する機能を持たせたものがある。なお、ここで言う接触とは主に、開閉操作を目的にドアハンドルの押し込み方向や、あるいは引き方向、更には引く動作初期のドアハンドルへの接触のことである。
ドアハンドルへの接触や操作を検知する従来のセンサとしては例えば、センサにメンブレンスイッチ等の接点接合式スイッチを用いてドアロックの解除を行う車両用ドアハンドル装置が特許文献1に開示されている。このメンブレンスイッチは、周知の構造であって、スペーサを介して対向配置される対のフレキシブルフィルム状のプレートの対向内面に、所定の間隔をもって配置される対の電極部を印刷したものである。このメンブレンスイッチは、常時は、オフ状態にあり、電極部上に位置するよう一方のプレートに載置されるシリコンゴム等の弾性体がトリガーによって押圧されることで電極部同士が接触し、これにより、オン状態となる。
また、センサに静電容量形のセンサを用いてドアロックの解除を行う自動車用人体接近検出センサが特許文献2に開示されている。自動車用人体接近検出センサを用いたアウタハンドルは、中空形状に形成されており、その中空部分には非接触センサとしての静電容量形センサを構成する平行ケーブルがアウタハンドルの把持部の長手方向に沿って延在するように受容されている。平行ケーブルは、基端部がアウタハンドルの枢支部の近傍に設けられた開口を介して外部に延出するように設けられたシールド線と連結され、そのシールド線の他端が回路基板に接続される。
ところで、近年、ドアハンドルのキー孔にキーを挿入してドアのロック解除する一般的なドアロックの解除方法に対して、キー孔にキーを差し込むことなく、個人認識用のカードや送信機等を用いてドアロックを解除させる、所謂キーレスエントリー装置が、自動車や住宅等のドアに適用されるようになってきた。この種の車両用電波錠装置が特許文献3に開示されている。この車両用電波錠装置は、車両のドアハンドルが引かれることにより制御部が作動される一方、車両側の送受信器からの送受信コードを受信することにより携帯送受信器が送信状態となり、携帯送受信器からの固有コードに基づいて制御部が解錠処理を行う。そして、ドアハンドルが引かれたことを検出する検出手段を設け、この検出手段からの検出信号に基づいて車両側の送受信器から送受信コードを発信するようにしている。
特開2002−322834号公報
特開平10−308149号公報
特開平8−53964号公報
ところが、上記した従来のドアハンドル装置に用いられる接点接合式スイッチは、経年変化による接点不良や、接触のみ等の軽いタッチでは動作しない不具合がある。また、接点接合までのストロークが存在するため、タッチした瞬間からスイッチが動作するまでの時間差がどうしても生じ、これがレスポンスを悪化させる要因となる。例えば、ドアハンドルを掴んで引くときに、急峻にドアを引くと、ロック手段の解除が間に合わずにロック状態のままとなったり、がたつきを生じることになる。そのため、ドアハンドルを掴んで所定時間待ってから引き出すといった操作フィーリングに悪い影響を与える。
一方、静電容量形のセンサでは、降雨や洗車によりドアハンドルが濡れると誤作動するといった問題や、手袋を装着しているとドアハンドルに触れても作動しないといった問題があった。また、人により静電容量が異なり、履いている靴によっても変化するため、感度の調整が極めて難しいという問題があった。
検出感度を高めてかつノイズ成分との分離が行え、わずかに触っただけでも反応するタッチ感をもってオンオフ切り換え可能な接触スイッチとしては、圧電センサを用いることが好ましい。
しかし、一般的な圧電センサは、セラミックス等からなる圧電素子を配列してなる剛体であり、センサの配置領域に制約のある場合には、所望の場所に圧電センサを配置して組込みできない問題がある。
また、非接触方式である光学式センサを用いることも考えられるが、センサに付着する塵埃や雨や雪等の気象条件等により誤動作が多く、実用的なものではない。
このような事情から、接点接合式スイッチ、静電容量形センサ、一般的な圧電センサ或いは光学式センサを用いたドアハンドル装置や、これらドアハンドル装置を備えたキーレスエントリー装置では、良好な操作フィーリング、動作信頼性、及び組込み性を実現することが困難となっていた。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、柔軟な構造を有し軽いタッチでも十分な検出感度の得られる圧電センサを用いた接触検出装置とし、これを備えて、開閉動作を検出するドアハンドル装置を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の接触検出装置は、接触を受けると変位する可動部を有する支持手段と、前記支持手段により一部を支持され前記可動部の変位と連動して変形する圧電センサと、前記圧電センサの出力を信号処理する信号処理手段とを備え、前記圧電センサは屈曲部を有して複数の同時変形部を形成し、前記同時変形部が可動部と連動して変形することで接触を検知することを特徴とするものである。
これによって、圧電センサが可撓性を有してドアハンドルなどへの取付が可能となる。また、可動部の変位を検出することで人または物体の接触の際の微小変位を検出する際に、圧電センサの複数箇所の同時変形により検出するので、より高感度・高出力に検出可能となる。
本発明の接触検出装置は、圧電センサが可撓性を有してドアハンドルなどへの取付が可能となる。また、可動部の変位を検出することで人または物体の接触の際の微小変位を検出する際に、圧電センサの複数箇所が同時変形することで生じる信号により検出するので、より高感度・高出力に検出可能となる。従って、ドアハンドルなど接触検出対象に単に触れただけでも十分な信号出力が得られ、接触検出対象に対するタッチが検出可能となる。また、電極を表出させる必要がないので、外乱や、付着する塵埃や雨や雪等の影響を受けにくい。さらに、圧電センサは、柔軟な変形が可能なことから設置場所の制約条件が少なく、かつ配置スペースも少なくなる。
第1の発明は、接触を受けると変位する可動部を有する支持手段と、支持手段により一部を支持され可動部の変位と連動して変形する圧電センサと、圧電センサの出力を信号処理する信号処理手段とを備え、圧電センサは屈曲部を有して複数の同時変形部を形成し、同時変形部が可動部と連動して変形することで接触を検知することを特徴としたことにより、圧電センサが可撓性を有してドアハンドルなどの接触検出対象への取付が可能となる。また、可動部の変位を検出することで人または物体の接触の際の微小変位を検出する際に、圧電センサの複数箇所の同時変形により検出するので、より高感度・高出力に検出可能となる。従って、接触検出対象に単に触れただけでも十分な信号出力が得られ、接触検出対象に対するタッチが検出可能となる。また、電極を表出させる必要がないので、外乱や、付着する塵埃や雨や雪等の影響を受けにくい。さらに、圧電センサは、柔軟な変形が可能なことから設置場所の制約条件が少なく、かつ配置スペースも少なくなる。
第2の発明は、第1の発明において、支持手段の可動部の変位量は、所定の上限値を有し、前記可動部の変位が前記所定の上限値以上となると変位しない構成としている。この構成により、可動部の可動範囲が制限されるので、圧電センサの変形幅も制限される。よって、センサの出力を得るのに必要以上にセンサを変形させることがなく、変形時にセンサにかかる負荷も限定される。
第3の発明は、特に、第1の発明において、支持手段と圧電センサとが信号処理手段によって固定された構成としている。この構成により、接触検出装置が一体的に形成されているので、対ドアハンドル等の対象物に組みつけ易いものとなる。
第4の発明は、特に、第1の発明において、圧電センサの位置規制手段を備え、支持手段の可動部に弾性体からなる連結手段を設けることで可動部と位置規制手段との間を弾性を有して連結し、可動部の変位に伴って同時変形部の変形を行うようにしたことにより、接触対象に接触があった場合に可動部が変位しやすいよう連結手段の弾性で押圧を付勢することができるので、圧電センサの弾性に依らず安定した動作が可能となり、微小変位の検出による人または物体の接触検出を応答性良く、より高感度・高出力で行えるとともに、信頼性を向上できる。
第5の発明は、特に、第1の発明において、支持手段は弾性体からなり、同時変形部を可動部で支持することで可動部の変位に伴って同時変形部の変形を行うようにしたことにより、接触対象に接触があった場合に可動部が変位しやすいよう連結手段の弾性で押圧を付勢することができるので安定した動作が可能となり、接触検出を応答性良く、より高感度・高出力で行えるとともに、信頼性を向上できる。
第6の発明は、特に、第1〜5の発明のいずれか1つの発明の同時変形部を、1本の圧電センサに多層重畳部を形成することで構成したことにより、接触を検出する際に、圧電センサを多重巻きなどして形成した多層重畳部が変形することで圧電センサの複数箇所が同時変形するので、より高感度・高出力に検出可能となる。従って、接触検出対象に単に触れただけでも十分な信号出力が得られ、接触検出対象に対するタッチが検出可能となる。また、多層重畳部により同時変形部を形成することで構成がコンパクトになり、設置場所の制約条件が少なく、かつ配置スペースも少なくなる。
第7の発明は、特に、第6の発明において、圧電センサの多層重畳部が、遊嵌支持される構成である。この構成により、多層重畳部が遊嵌状態であるので、容易に変形できて変形に制約が少なくて済み、センサにかかる負荷が少なくなる。
第8の発明は、特に、第1〜7の発明のいずれか1つの発明の圧電センサを、中心電極、圧電体、外側電極、被覆層とを備えてこれらを順に同軸状に成形して構成し、外側電極を編組金属線で形成したことにより、圧電センサの可撓性が向上するので、同時変形部形成のための屈曲が容易になるとともに、屈曲による外側電極の変形から生じる可撓性の低下や出力異常を防止し、高感度・高出力な検出を安定して実現し信頼性を向上できる。
第9の発明は、特に、第1〜8の発明のいずれか1つにおいて、圧電センサは、圧電体に対して中心電極が偏心した偏心構造とし、偏心方向に対して特定の方向で屈曲させて同時変形部を形成している。この構成により、当該中心電極が外側になるように圧電センサを屈曲させて使用するとき、中心電極に対して張力が大きくかかるため大きい出力が得られる。また、逆に、当該中心電極が内側になるように圧電センサを屈曲させて使用するとき、中心電極に対して小さい出力が得られる。
第10の発明は、特に、第9の発明において、圧電センサは、外形の断面形状を矩形断面に形成されている。この構成により、圧電センサを複数回巻きつけて屈曲部を形成する際、矩形状の面部分同士を重ねて形成することができるので、収まりが良くなる。
第11の発明は、特に、第1〜10のいずれか1つの発明における接触検出装置を、ドアハンドルの可動アームを支持手段の可動部に接触させて取り付けたドアハンドル装置である。これにより、建物や玄関ドアなどのドアでのキーレスエントリー装置やスマートエントリー装置に適用して、同装置のドアハンドル部の操作性が向上し、多機能で利便性の優れたドアハンドル装置を実現できる。
第12の発明は、特に、第11の発明において、ドアハンドルの可動アームと支持手段の可動部とを接続する接続部を備え、ドアハンドル操作における可動アーム変位の少なくとも初期は、接続部によって可動アームと可動部との接続状態を維持するようにしたことにより、ドアハンドル操作によって可動アーム変位が生じた場合に、可動部が外れることなく確実に変位することができるので、高感度・高出力な検出を安定して実現し信頼性を向上できる。
第13の発明は、特に、第11または第12の発明におけるドアハンドル装置を備えたスマートエントリーシステムであり、該ドアハンドル装置をサイドドアやテールゲート等のドアでのスマートエントリーシステムに適用して、スマートエントリーシステムのドアハンドル部の操作性を向上できる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
本発明の第1の実施の形態を図1から図9を参照して説明する。
本発明の第1の実施の形態を図1から図9を参照して説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態における接触検出装置を備えたドアハンドル装置を備えた自動車ドアの外観図である。図中、ドア1にはハンドルブラケット2が装着されている。ハンドルブラケット2はドアハンドル3を有している。図2はハンドルブラケット2を車外側から見た外観図、図3はハンドルブラケット2を車内側から見た外観図、図4はハンドルブラケット2の要部を示す拡大斜視図である。図中、可撓性を有した圧電センサ4が検出手段5と共にハンドルブラケット2に装着されている。検出手段5には電源と検出信号出力用のケーブル6、コネクタ7が接続されており、信号処理手段を内蔵している。板状の支持手段8は検出手段5の側方下端部で回動支持されて延出しており、この支持手段8の先端部に圧電センサ4が支持・固定されている(図中の支持部8b)。圧電センサ4には、この圧電センサ4を少なくとも1回以上旋回(図2、図3、及び図4では、2回半旋回)させて構成した複数の屈曲部4aからなる同時変形部となる多層重畳部9を備えている。ここで、圧電センサ4は屈曲部4aで旋回後、束ねて支持手段8と支持部8bで支持されるとともに、検出手段5の上部からはガイド部5dが延出しており、位置規制手段であるこのガイド部5dと支持部5eで圧電センサ4は支持されている。この支持部8bと、5eでは結束バンドなどを用いて、それぞれ支持手段8、ガイド部5dと、旋回させた圧電センサ4の積層状態を保持して固定する。固定はこの方法に限るわけではなくフック状の固定具に引っ掛けるような構成などでもよく、圧電センサの旋回部分(多層重層部)のうち一部だけが固定され他は遊びの部分を有する遊嵌状態で固定されるとよいが、接着剤で支持部と圧電センサを固定してしまうようなものでないのが好ましい。これは接着剤などで、圧電センサ4自体の形状を固定してしまう構成であれば、圧電体の変形が妨げられることになり、圧電センサの変形が抑制され出力が小さくなるので好ましくない。
支持部8bと支持部5eの圧電センサとの接触面は、多層重畳部の一部に接していればよいが、支持部8bと対向する積層された圧電センサ4の多層重畳部よりも広い面積となるほうが確実に屈曲部4aに同時に変形を生じさせることができるので好ましい。すなわち、圧電センサの複数の屈曲部が同時に変形を生じるように支持部8bと支持部5eに接していればよいので、この構成に限るものではない。
図3および図4に示すように、支持手段8の可動部8cはドアハンドル3と連動して作動するアーム部10と上端10aで接触している。図4の5つの矢印Aで示す部分は、圧電センサ4を巻回して構成した屈曲部の、同時変形部である。支持手段8は、検出手段5およびガイド部5dに固定された軸11を回転軸として回動支持されており、弾性体連結手段であるバネ12の作用により、ドアハンドル3非使用時において支持手段8は所定の押圧を付勢されてアーム部上端10aに接触している。アーム部10にはハンドルバネ13により所定のバネ圧が印加されて常時ドアハンドル3が閉止方向に押圧されるようになっている。検出手段5は取り付け金具5a、5bを介してビス5cでハンドルブラケット2に取り付けられている。
図5Aは圧電センサ4の断面図である。圧電センサ4は、中心電極4b、圧電体4c、外側電極4d、被覆層4eとを同軸状に成形したもので、全体として可撓性に優れた構成を有している。中心電極4bは通常の金属単線導線を用いてもよいが、ここでは絶縁性高分子繊維の周囲に金属コイルを巻いた電極を用いている。絶縁性高分子繊維と金属コイルとしては、電気毛布において商業的に用いられているポリエステル繊維と銀を5wt%含む銅合金がそれぞれ好ましい。
圧電体4cはポリエチレン系樹脂と圧電セラミック(ここでは、チタン酸ジルコン酸鉛)粉末とを混錬したもので、中心電極4bと共に連続的に押し出されて可撓性のある圧電体4cを形成する。尚、圧電セラミックとしては、環境面への配慮から非鉛系の材料、たとえば、チタン酸ビスマスナトリウム系やニオブ酸アルカリ系の圧電セラミック材料を用いることが好ましい。
中心電極4bの周囲に圧電体4cを押し出し加工した後、中心電極4bと圧電体4cの表面に接触させた擬似電極との間に数kVの直流電圧を印加して圧電体4cの分極を行う。これにより圧電体4cが圧電効果を備える。
外側電極4dは編組構造の金属線を用いて構成する。多層重畳部9の形成においては、圧電センサ4の旋回回数を増すと屈曲部4aを備えた変形部分全体の剛性が増し、変形しづらくなるので、このことを避けるために圧電センサ4の外側電極4dとして、編組線を用いている。この際、編組線を構成する素線として、例えば錫メッキ銅線の直径が50μm以下の極細線を用い、圧電体4c周囲への編み込みを4〜10mmピッチとすると、高分子層の上に金属膜の接着されたような帯状電極を巻き付ける構成よりも圧電センサ4の柔軟性が増して可撓性が向上するので、上記のように圧電センサ4を屈曲部4aで旋回させる構成にしても屈曲部4aの剛性の増加を抑えて容易に変形できる構成を実現できる。
また、上記のような編組線を用いれば、外側電極4dを形成する加工速度も帯状電極を巻き付ける構成と同等以上の速度を実現でき、生産性を向上できる。また、上記編組線により帯状電極を巻き付ける構成と同等の強電界ノイズへの耐性を確保できる。
また、圧電センサ4は、外側電極4dとして帯状電極を巻き付ける構成の場合、帯状電極は部分的に重なって巻き付けているため、圧電センサ4が屈曲して配設されると、屈曲している部位では被覆層4の中で帯状電極が部分的に緩みを生じている。従って、圧電センサ4の屈曲部位が変形する場合、帯状電極が部分的に緩んでいるので、帯状電極と圧電体4cとが擦れて摩擦電気を発生し、ノイズとなって誤検出の原因となることがある。一方、上述したような極細線からなる編組線を外側電極4dに使用すると、圧電体4cと編組線との密着が良好であるため、屈曲部位でも編組線が部分的に緩みを生じることはなく、屈曲部位が変形してもノイズとなる摩擦電気の発生が抑制され、誤検出を防止できる。
図5Bに、圧電センサ4の変形例を示す。図5Bに示す圧電センサ4は、圧電体4cに対して中心電極4fが偏心した位置に形成される偏心構造となっている。その他の構成については、図5Aの説明通りである。この構成により、圧電センサ4を屈曲部を有するように変形して使用するとき、例えば、中心電極4fが外側になるように圧電センサを屈曲させて使用するとき、図5Aに示した構成の圧電センサに比べて、中心電極4fに対して張力が大きくかかるため大きい出力が得られる。また、逆に、中心電極4fが内側になるように圧電センサを屈曲させて使用するとき、図5Aに示した構成の圧電センサに比べて、中心電極4fに対して小さい出力が得られる。
図5Cに、圧電センサ4の変形例を示す。図5Cに示す圧電センサ4は、圧電体4cに対して中心電極4fが偏心した位置に形成される偏心構造となっており、かつ、矩形状に形成されている。その他の構成は、図5Aの説明通りである。この構成により、圧電センサを複数回巻きつけて屈曲部を形成する際、断面矩形で周面の平坦部同士を重ね合わせて形成することで納まりが良くなるとともに、偏心方向を特定し易くなり、屈曲の所定側(外側または内側)へ位置させることが容易になる。
なお、ここまで、可撓性のある同軸ケーブルの構成とした圧電センサを使用するものとして説明したが、圧電センサは、可撓性のある長尺形状で旋回構造や重畳構造が成型できればよく、テープ状に成型した圧電センサを用いても良い。例えば、図5Dに示すように、テープ状の圧電センサ4を使用して同一平面内で巻回させて同時屈曲部Aを形成する構成としても良い。図5Eに示すように、可撓性のある圧電体4cを第1電極4gと第2電極4hで挟み込むように積層し被覆層4eで全体を覆って構成される所定の長さのある細いひも状の又は薄いリボン状(テープ状)の圧電センサ4を用いて、複数の同時屈曲部を備えた構成を実現可能である。このような可撓性を備えた、長尺状の圧電素子の同時屈曲部が変形することで、変位を検知して十分な電圧を発生して、センサとしての取り付け容易性と同時に感度の向上を成しえる。
また、テープ状の圧電センサ4の変形例として、図5Fに示すように、第1電極4g、第1圧電体4c1、心電極4i、第2圧電体4c2、及び第2電極4hを積層し、被覆層4eで覆って構成しても良い。同図中、心電極4iは中心より第1電極4g側に偏った位置に形成され第1圧電体4c1を第2圧電体4c2により薄く形成されている。
図5B、図5C、又は図5Fで示したような偏心構造の圧電センサ4を、所定電圧で分極すると、圧電体4cの薄い部分では電界強度が大きくなるので、感度(変形に対する出力)が大きくなり易い。図5Gに示すように、この感度の大きい部位を変形量の大きい外側に位置させることで大きい出力が得られる。また、圧電体4cの厚みによって感度が少ない場合でも、中心電極4fまたは心電極4iに対して剛性の小さい圧電体4c肉薄部分が外側に来ると、肉薄部分が集中的に変形して大きい出力が得られる。また、逆に、圧電体4cの厚い部分では電界強度が小さくなるので、感度(変形に対する出力)が小さくなり易い。変形に対する出力が小さくなる。
また、テープ状の圧電センサ4の変形例として、図5Fに示すように、第1電極4g、第1圧電体4c1、心電極4i、第2圧電体4c2、及び第2電極4hを積層し、被覆層4eで覆って構成しても良い。同図中、心電極4iは中心より第1電極4g側に偏った位置に形成され第1圧電体4c1を第2圧電体4c2により薄く形成されている。
図5B、図5C、又は図5Fで示したような偏心構造の圧電センサ4を、所定電圧で分極すると、圧電体4cの薄い部分では電界強度が大きくなるので、感度(変形に対する出力)が大きくなり易い。図5Gに示すように、この感度の大きい部位を変形量の大きい外側に位置させることで大きい出力が得られる。また、圧電体4cの厚みによって感度が少ない場合でも、中心電極4fまたは心電極4iに対して剛性の小さい圧電体4c肉薄部分が外側に来ると、肉薄部分が集中的に変形して大きい出力が得られる。また、逆に、圧電体4cの厚い部分では電界強度が小さくなるので、感度(変形に対する出力)が小さくなり易い。変形に対する出力が小さくなる。
検出手段5はオペアンプと周辺部品で構成される少なくとも1つのバンドパスフィルタ部と、必要であればオペアンプと周辺部品で構成され、ドア1の固有振動周波数を含む信号成分を除去するバンドエリミネーションフィルタ部またはローパスフィルタ部とを備えている。そして、上記フィルタ部の出力信号に基づきドアハンドル3への物体の接触、ドアハンドル3による開動作と閉動作の少なくとも1つを検出するための判定部を備える。判定部としてはコンパレータを使用する。上記フィルタ部や判定部は、それぞれ1mA以下の低消費電流型の素子を使用している。
前記バンドパスフィルタ部の特性としては、実験的にドアハンドル3を操作した際の圧電センサ4からの出力信号を周波数解析することにより、特徴的な周波数帯として例えば、3Hz〜8Hzの周波数領域を通過するような特性となるように設定する。
また、前記バンドエリミネーションフィルタ部またはローパスフィルタ部の設定については、例えば、ドア1を故意に叩いたりした際の圧電センサ4からの出力信号を周波数解析することにより、特徴的な周波数帯として例えば、10Hz以上の周波数領域を除去するような特性となるように設定する。尚、固有振動の強度が小さく、圧電センサ4の出力信号への影響が小さい場合は、バンドエリミネーションフィルタ部またはローパスフィルタ部を設けなくてもよい。
さらに、車種やドアのサイズ、重量等によりドアの固有振動特性が異なることが想定されるため、上記のような実験的な解析に基づき、バンドパスフィルタ部やバンドエリミネーションフィルタ部、ローパスフィルタ部の設定の最適化を行うことが好ましい。
外来の電気的ノイズを除去するため検出手段5はシールド部材で全体を覆って電気的にシールドすることが好ましい。また、検出手段5の入出力部に貫通コンデンサやEMIフィルタ等を付加して強電界対策を行ってもよい。
次に作用について説明する。ドア開動作のため、ドアハンドル3を車外側に引くか、または、軽くドアハンドル3の内側に手を触れると、ドアハンドル3が車外側に変位するとともに、ドアハンドル3と連動してアーム部10が変位する。図6および図7はこの時のドアハンドル3、圧電センサ4、支持手段8、アーム部10の変位の様子を示した概略図である。ここで、図7は図3および図6をS方向から見た概略図である。図示したように、ドアハンドル3が車外側に変位すると、アーム部10の上端10aが下がり、上端10aに所定の押圧で付勢された支持手段8も軸11を中心として先端部側が回転しながら最大変位を示して下方へ変位する。そのため、圧電センサ4も変形し、屈曲部4aの曲率半径が大きくなる方向に変形する。
図8はこの際、検出手段5内で増幅、濾波された信号V、判定部の判定出力Jを示す特性図である。図中、縦軸は上から順にV、J、横軸は時刻tである。ドアハンドル3の操作による変位があり、圧電センサ4が変形すると、圧電センサ4からは圧電効果により圧電センサ4の変形の加速度に応じた信号が出力される。この時、出力信号には約3〜8Hzの周波数を有した信号が現れ、その信号は検出手段5内で増幅、濾波され、図8のVに示すような信号が得られる。
判定部はVのV0からの振幅の絶対値|V−V0|がD0以上ならばドアハンドル3への物体の接触、ドアハンドル3による開動作、ドアハンドル3による閉動作の少なくとも1つが生じたと判定し、時刻t1で判定出力としてLo→Hi→Loのパルス信号を出力する。
尚、ドアハンドル3を車外側から押してもアーム部10と支持手段8を介して圧電センサ4が変形する。この場合、圧電センサ4の屈曲部4aは曲率半径が小さくなる方向に変形するので、圧電センサ4の出力特性から、屈曲部4aの曲率半径が大きくなる方向に変形した場合とは逆の極性の出力信号が圧電センサ4から出力される。これにより、濾波信号Vには図8の基準電位V0よりマイナス側の信号が現れる。そして、判定部はVのV0からの振幅の絶対値|V−V0|がD0以上ならばドアハンドル3への物体の接触、ドアハンドル3による開動作、ドアハンドル3による閉動作の少なくとも1つが生じたと判定し、|V−V0|がD0以上の期間はHi信号を出力する。このように、ドアハンドル3を車外側から押した場合も検出可能であり、利便性がよい。特に、両手に物を持っている時や、力の弱い子供やお年寄りが利用する場合は、ドアハンドル3を車外側に引く動作よりも車外側から押す動作の方がやり易いので、使い勝手が向上する。
上記作用により、このドアハンドル装置では、ケーブル状圧電センサ4が可撓性を有してドアハンドル3などの接触検出対象への取付が可能となる。また、可動部8cの変位を検出することで人または物体の接触の際の微小変位を検出する際に、圧電センサの複数箇所の同時変形により検出するので、同じ変位を受けた場合に屈曲箇所が多いと、圧電効果による電荷発生量が屈曲箇所分だけ増加して出力信号がより大きくとれるので、圧電センサ4の感度が向上し、より高感度・高出力に検出可能となる。
図9に屈曲箇所数と出力信号との関係をグラフにて示す。図8のVに示すような出力信号のうち、VのV0からの振幅の絶対値|V−V0|が最大となる値を|V−V0|maxとし、実験により旋回回数を変えることで屈曲箇所数を変化させて出力|V−V0|maxを求めると、屈曲箇所数が多くなると出力値が大きくなることが明らかであり、屈曲が3箇所を超えると、所定の増幅、濾波を行う検出手段5においては出力値が飽和している。この飽和現象は回路の特性によるもので、回路特性の限定をなくすと信号の出力は変形量に伴って大きくなる。
従って、接触検出対象に単に触れただけでも十分な信号出力が得られ、接触検出対象に対するタッチが検出可能となる。そして、圧電センサ4の感度が向上すると、検出手段5内に収めた信号処理手段においても、例えば、信号処理の増幅率を低減できるので電気的なノイズの影響を低減することができたり、オペアンプ等の増幅器の実装個数を削減できてユニットの小型化も可能となる。また、電極を表出させる必要がないので、外乱や、付着する塵埃や雨や雪等の影響を受けにくい。さらに、ケーブル状圧電センサは、柔軟な変形が可能なことから設置場所の制約条件が少なく、かつ配置スペースも少なくなる。
また、圧電センサ4の位置規制手段としてガイド部5dと支持部5eを検出手段5に固定して備え、支持手段8に連結手段であるバネ12を設けて回動させることで、可動部8cと位置規制手段との間を弾性を有して連結し、可動部の変位に伴って多層重畳部9の屈曲部が同時に変形を行うので、接触対象に接触があった場合に可動部8cが変位しやすいようバネ12の弾性で押圧を付勢することができるので圧電センサ4の弾性に依らず安定した動作が可能となり、微小変位の検出による人または物体の接触検出を応答性良く、より高感度・高出力で行えるとともに、信頼性を向上できる。
また、圧電センサ4を少なくとも1回以上旋回させて構成した複数の屈曲部4aからなる多層重畳部9により同時変形部を形成することで、構成がコンパクトになり、設置場所の制約条件が少なく、かつ配置スペースも少なくなる。
また、ケーブル状圧電センサ4の外側電極4dを編組金属線で形成したことにより、ケーブル状圧電センサ4の可撓性が向上するので、同時変形部形成のための屈曲が容易になるとともに、屈曲による外側電極4dの変形から生じる可撓性の低下や出力異常を防止し、高感度・高出力な検出を安定して実現し信頼性を向上できる。
また、ドアハンドル3非使用時において支持手段8の一部が所定の押圧を付勢されてアーム部10上端に接触した状態なので、ドアハンドル3開動作時にはドアハンドル3の変位に伴いアーム部10上端に支持手段8と圧電センサ4とが追従して変位するとともに、圧電センサ4の変形に応じて、検出手段5が開検出の信号を出力する。そして、所定の変位後は支持手段8は変位せず、圧電センサ4も変形をとどめるので、変位量が大きすぎて圧電センサ4が断線したりすることがないので、繰り返し生じる変形の際に変形の前後の状態の復元性があり、出力も再現性のあるものとなるので検出手段5としての信頼性が向上する。また、支持手段8が所定量以上の変位を、アーム部10の変位に追従して行わない構成については、弾性連結手段12の弾性と、アーム部との接触位置関係を調節することで、その最大変位量を決めることができる。これによって、圧電センサ4の耐久性を考慮した構成とすることが可能となり、繰り返し変形をうけても圧電センサ自体の屈曲劣化の生じにくい構成を実現できる。
また、アーム部10と支持手段8と圧電センサ4との位置関係を調節することで、検出領域や変位量の調整が可能で、構造や寸法等の異なるさまざまなドアハンドル装置に対しても検出手段5の最適化が可能となる。
また、圧電センサ4、支持手段8、検出手段5は一体として成型され検出手段5を形成しており、検出手段5としてドア1に取り付け可能なので、ドアハンドル装置としての組み立てが効率的にできる。
(実施の形態2)
本発明の第2の実施の形態を図10を参照して説明する。
本発明の第2の実施の形態を図10を参照して説明する。
図10(a)は本発明の第2の実施の形態におけるハンドルブラケット2を車内側から見た要部の拡大外観図、図10(b)は図10(a)をS方向から見た概略図である。本実施の形態が第1の実施の形態と相違する点は、図10に示すように、アーム部10の上端10cを着脱可能な掛け金形状に形成し、支持手段8の下部に棒状の引掛け部14を設けて、上端10cと引掛け部14とでラッチ式の接続部として構成した点にある。
上記構成により、ドアハンドル3の操作におけるアーム部10の変位初期は、上端10cが引掛け部14に係合して確実にアーム部10の変位が支持手段8に伝達される。そして、ドアハンドル3が車外側に変位していくと、アーム部10が回転しながら下方に下がるので掛け金形状の上端10cが引掛け部14から外れ、支持手段8はバネ12の弾性で操作前の元の位置に戻る。その後ドアハンドル3から手を離すとハンドルバネ13の作用でドアハンドル3が非使用時の位置に戻り、再び上端10cが引掛け部14に係合する。
このように、ドアハンドル操作における可動アーム変位の少なくとも初期は、接続部によってアーム部10と支持手段8および可動部8cとの係合を維持するので、可動アームの変位時に可動部8cが外れることなく、この変位が確実に伝達され、高感度・高出力な検出を安定して実現し信頼性を向上できる。また、所定の変位後は支持手段8は変位せず、圧電センサ4も変形をとどめるので、変位量が大きすぎて圧電センサ4が断線したりすることがないので、検出手段5としての信頼性が向上する。
また、ハンドルブラケット内に雨水等が入りこみ低温に曝されても、本実施の形態であれば、強制的にアーム部10に連動して圧電センサ4に変形を生じさせることができるので、センサの硬化や凍結が生じても信号の出力が確実に得られる。
(実施の形態3)
本発明の第3の実施の形態を図11を参照して説明する。
本発明の第3の実施の形態を図11を参照して説明する。
図11は本発明の第3の実施の形態におけるハンドルブラケット2を車内側から見た要部の拡大外観図である。本実施の形態が第1および第2の実施の形態と相違する点は、図11に示すように、多層重畳部9を形成するために旋回させた圧電センサ4の輪の内部に復元バネ15を設けて、位置規制手段であるガイド部5dの対向する位置に支持手段16および支持部16b、可動部16cを配置し、復元バネの弾性により支持手段16がアーム部10の上端10cに押し付けられるように構成した点にある。
上記構成により、圧電センサ4の位置規制手段としてガイド部5dと支持部5eを検出手段5に固定して備え、支持手段16に連結手段である復元バネ15を設けて上下動させることで、可動部16cと位置規制手段との間を弾性を有して連結し、可動部の変位に伴って多層重畳部9の変形を行うので、ドアハンドル3非使用時において支持手段16の可動部16cが所定の押圧を付勢されてアーム部10上端に接触した状態なので、ドアハンドル3開動作時にはドアハンドル3の変位に伴いアーム部10上端に支持手段16と圧電センサ4とが追従して変位するとともに、圧電センサ4の変形に応じて、検出手段5が開検出の信号を出力する。これにより、接触対象に接触があった場合に可動部16cが変位しやすいよう復元バネ15の弾性で押圧を付勢することができるので圧電センサ4の弾性に依らず安定した動作が可能となり、微小変位の検出による人または物体の接触検出を応答性良く、より高感度・高出力で行えるとともに、信頼性を向上できる。そして、所定の変位後は支持手段16は変位せず、圧電センサ4も変形をとどめるので、変位量が大きすぎて圧電センサ4が断線したりすることがないので、検出手段5としての信頼性が向上する。
図12(a)には本実施の形態の別の取り付け構成を説明する図を、また(b)には図12(a)のS方向から見た概略図を示す。これは接触検出装置をハンドルブラケットのハンドルとともに動作する、実施の形態3での可動部とは別の可動部に連動するように設けられたものであり、ここに示すように接触検出装置の設置自由度が高いので、このように、他の構成によって実現することも可能である。
(実施の形態4)
本発明の第4の実施の形態を図13を参照して説明する。
本発明の第4の実施の形態を図13を参照して説明する。
図13は本発明の第4の実施の形態におけるハンドルブラケット2を車内側から見た要部の拡大外観図である。本実施の形態が第1〜第3の実施の形態と相違する点は、図13に示すように、弾性体である板バネを先端に曲率部を有する略J字状に曲げ、この曲率先端17を位置規制手段であるガイド部5dに接触させて90度回転させた形状に支持手段18を形成し、支持手段18自身が板バネの弾性によりアーム部10の上端10cに押し付けられるように構成した点にある。
上記構成により、圧電センサ4の位置規制手段としてガイド部5dと支持部5eを検出手段5に固定して備え、支持手段18を弾性体で形成し、可動部の変位に伴って多層重畳部9の変形を行うので、ドアハンドル3非使用時において支持手段18の可動部18cが所定の押圧を付勢されてアーム部10上端に接触した状態なので、ドアハンドル3開動作時にはドアハンドル3の変位に伴いアーム部10上端に支持手段18と圧電センサ4とが追従して変位するとともに、圧電センサ4の変形に応じて、検出手段5が開検出の信号を出力する。これにより、接触対象に接触があった場合に可動部18cが変位しやすいよう支持手段18自身の弾性で押圧を付勢することができるので圧電センサ4の弾性に依らず安定した動作が可能となり、微小変位の検出による人または物体の接触検出を応答性良く、より高感度・高出力で行えるとともに、信頼性を向上できる。そして、所定の変位後は支持手段18は変位せず、圧電センサ4も変形をとどめるので、変位量が大きすぎて圧電センサ4が断線したりすることがないので、検出手段5としての信頼性が向上する。
(実施の形態5)
本発明の第5の実施の形態を図14を参照して説明する。
本発明の第5の実施の形態を図14を参照して説明する。
図14(a)は本発明の第5の実施の形態におけるハンドルブラケット2を車内側から見た外観図、図14(b)は図14(a)をS方向から見た概略図である。本実施の形態が第1〜第4の実施の形態と相違する点は、図14に示すように、多層重畳部9を形成するために旋回させた圧電センサ4を、板バネからなる支持手段19によって旋回平面の上下から2箇所の支持部19bで挟持して支持手段19を片持ち梁状に固定し、ドアハンドルから伸びたアーム20が変位することで可動部19cが旋回平面を曲げる方向に変位するように構成した点にある。
上記構成により、第1の実施の形態で用いた構成の屈曲部4aの旋回曲率半径が大小することで同時変形部が変形する構成とは異なり、アーム20が変位することで圧電センサ4の旋回平面が曲がる方向に複数の屈曲部4aが変形する。これにより、可動部19cの変位を検出することで人または物体の接触の際の微小変位を検出する際に、圧電センサの複数箇所の同時変形により検出するので、同じ変位を受けた場合に屈曲箇所が多いと、圧電効果による電荷発生量が屈曲箇所分だけ増加して出力信号がより大きくとれるので、圧電センサ4の感度が向上し、より高感度・高出力に検出可能となる。従って、接触検出対象に単に触れただけでも十分な信号出力が得られ、接触検出対象に対するタッチが検出可能となる。そして、圧電センサ4の感度が向上すると、検出手段5内に収めた信号処理手段においても、例えば、信号処理の増幅率を低減できるので電気的なノイズの影響を低減することができたり、オペアンプ等の増幅器の実装個数を削減できてユニットの小型化も可能となる。また、電極を表出させる必要がないので、外乱や、付着する塵埃や雨や雪等の影響を受けにくい。さらに、ケーブル状圧電センサは、柔軟な変形が可能なことから設置場所の制約条件が少なく、かつ配置スペースも少なくなる。
なお、本実施の形態では、屈曲部4aで圧電センサ4を旋回させる際に、圧電センサ4の巻き付け形状が同形状となるよう順次積層した構成だったが、例えば、圧電センサ4を蚊取り線香のように渦巻状に旋回させて屈曲部4aを形成したり、手毬を作る時のようにさまざまな方向から圧電センサ4を球面状に旋回させて屈曲部4aを形成して多層重畳部9を構成したり、あるいは圧電センサ4を蛇行させて屈曲部4aを複数有する同時変形部を形成してもよい。圧電センサ4の同時変形部Aは、屈曲部4aに設けられなくても、例えば蛇行させた場合では、複数の平行に重なった直線状の圧電センサが同時に変形を受けるように配設すればよく、同時変形部の変形量が多くなる構成であれば同様の効果を得られる。
(実施の形態6)
本発明の第6の実施の形態を図15から図20を参照して説明する。なお、以下の説明では、上述した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。ドアハンドル装置600は、車両のドア(ドアアウタパネル)63に組み付けられる。ハンドル61は、支持軸21を介して一端側23aをドア63に揺動自在に支持して、この揺動によって他端側23bを引き出し方向に移動するハンドル本体23を有している。つまり、片側がヒンジとなるプルライズ式やグリップ式、グラブ式と呼ばれるハンドル61を構成している。
本発明の第6の実施の形態を図15から図20を参照して説明する。なお、以下の説明では、上述した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。ドアハンドル装置600は、車両のドア(ドアアウタパネル)63に組み付けられる。ハンドル61は、支持軸21を介して一端側23aをドア63に揺動自在に支持して、この揺動によって他端側23bを引き出し方向に移動するハンドル本体23を有している。つまり、片側がヒンジとなるプルライズ式やグリップ式、グラブ式と呼ばれるハンドル61を構成している。
図16は、ハンドル61の内部の概略構成図である。同図中、可撓性を有したケーブル状の圧電センサ4が検出手段5と共にハンドルブラケットに装着されてアウタパネル63に固定されている。圧電センサ4は、結束バンド67a、67bにより同時変形部である屈曲部を複数有するように旋回形状(巻回形状)に形成されている。その旋回形状部(巻回形状部)の一部が位置規制部66に固定されており、また、巻回形状の他方側は、板バネからなる支持部65を介してハンドルのアーム部64と連動して可動するように支持部65の可動部に一体的に固定されている。検出手段5は、固定部5cによりブラケット内に固定され、同様に位置規制部66は、固定部66aによりブラケット内に固定され、支持部65は、アーム部64と接触する部分が可動部となるように、固定部65aにより片持ち梁状にブラケット内に固定されている。そして、このように圧電センサの旋回部分のうち一部だけが固定され他は遊びの部分を有する遊嵌状態で固定されている。
図17(a)は、ハンドルが通常位置のとき、図16中のz方向から本実施の形態6を見たときの図である。図17(b)は、ハンドルが手前b方向に引かれたとき、図16中のz方向から本実施の形態6を見たときの図である。図17(a)、(b)に示すように、圧電センサ4の巻回形状部4gは、動作の前後においてアーム64が変位することに連動して引っ張られるので、その旋回平面が曲がる方向に変形している。
この構成により、人または物体の接触の際の微小変位を検出する際に、アームの変位により圧電センサ4の巻回形状部に形成されている複数の屈曲部も同時に変形するので、高感度・高出力に検出可能となる。
なお、図18Aに示すように、圧電センサ4の巻回形状部は、蚊取り線香のように渦巻き状に旋回させて屈曲部を有する形状としてもよい。圧電センサ4は、支持部68の一部において結束バンド68bにより固定され、一方、図18Bに示すように、支持部68の凸部68cにて、圧電センサ4が重ならないように2箇所において押圧して固定されている。また、支持部68は、固定部68aによりブラケットを介してアウタパネル63に固定されている。
この構成により、巻回形状部を形成するのに圧電センサを、結束バンド等で固定する部分が少なくて済むので、形成された巻回形状部は柔軟性が高く、屈曲部もアームの変化に連動して柔軟に変形し、高感度・高出力に検出可能となる。
また、同様の構成を、図19に示すようなハンドルに設けても良い。図19は、ハンドル23を手前に引くとき、アーム64に巻回形状部4gが押し出されて、巻回形状部4gの旋回平面が曲がる方向に変形している様子を示している。このように、アーム64が押し出されるのに連動して圧電センサ4の巻回形状部に形成されている複数の屈曲部も同時に変形するので、高感度・高出力に検出可能となる。
また、図20(a)、(b)に示すように、検出手段5をブラケット内に固定する脚部である取り付け金具5a、5bを、検出手段5の本体の厚み方向中央部の左右対称の位置に設けてもよい。この構成により、圧電センサ4と検出手段5とを備える検出手段装置をブラケットに取り付ける際、検出手段装置の向きに関係なく、運転席側に対しても助手席側にも取り付けることができる。
また、上記実施の形態のドアハンドル装置をサイドドアやテールゲート等のドアでのスマートエントリーシステムに適用した自動車や、玄関ドアなどのドアでのスマートエントリーシステムに適用した建物を提供できる。
自動車等のスマートエントリーシステムにおいて、ハンドルへの接触を検出する静電容量形のセンサの場合はセンサの特性上、ハンドルグリップ内に設けられる。一方、外部と通信の容易性・精度を考慮してハンドルグリップ内の中空構造部に送受信コードを送信するアンテナを設置することがあるが、この場合、当該アンテナと当該センサとを限られたスペースしか有さないグリップ内に収まるように設計することを要する。
本実施の形態では、接触検出用のセンサをハンドルグリップ内ではなく、ブラケット内に一部を固定する構成であるので、当該アンテナと当該センサを別々に設置すれば良く、設計の自由度が増す。
また、上記実施の形態のドアハンドル装置の出力信号に基づき、他の機器のさまざまな制御を行う構成としてもよい。例えば、上記実施の形態のドアハンドル装置を自動車のバワースライドドアやパワーハッチバックドア、建物の自動ドア等のドアに配設し、ドアハンドルの操作を検出してドアの自動開閉を制御する構成としてもよく利便性が向上する。この際、上記実施の形態の作用の説明で述べたように、ドアハンドル3を車外側から引いた場合と押した場合では圧電センサ4の出力信号の極性が逆になることを利用して、例えば、ドアハンドル3を車外側から引くとドアを開動作し、ドアハンドル3を車外側から押すとドアを閉動作するといったように、圧電センサ4の出力信号の極性に基づきドアの開閉制御を行う構成としてもよい。
また、圧電センサ4の出力信号の大きさに応じてドアの開閉速度を制御する構成としてもよい。例えば、圧電センサ4の出力信号が大きいほどドアの開閉速度を早くする構成により、ドアを急いで開閉したい場合は、ドアハンドル3を強く操作して圧電センサ4からの出力信号を増大させればよく、利便性が向上する。
その他、ドアハンドル装置の出力信号に基づき、パワーウィンドウの開閉や、照明のオン・オフ、調光、AV機器のオン・オフを行う等、さまざまな機器の制御に応用可能である。
以上のように、本発明にかかるドアハンドル装置は、圧電センサが可撓性を有してドアハンドルに付設可能となり、ドアハンドルの微小変位を高感度に検出可能となる。従って、ドアハンドルに単に触れただけでも十分な信号出力が得られ、ドアハンドルに対するタッチが検出可能となるので、例えば、ドア以外での多分野にわたる高感度なスイッチとしても適用できるので、物の出し入れ、または人体の出入りするドアのハンドル部材に適用することが可能となる。
1 ドア
3 ドアハンドル
4 圧電センサ
4a 屈曲部
5 検出手段(信号処理手段)
8 支持手段
8a 固定部
8b 支持部
9 多層重畳部
10 アーム部
12 バネ(弾性連結手段)
14 引っ掛け部(接続部)
15 復元バネ(連結手段)
A 同時変形部
3 ドアハンドル
4 圧電センサ
4a 屈曲部
5 検出手段(信号処理手段)
8 支持手段
8a 固定部
8b 支持部
9 多層重畳部
10 アーム部
12 バネ(弾性連結手段)
14 引っ掛け部(接続部)
15 復元バネ(連結手段)
A 同時変形部
Claims (13)
- 接触を受けると変位する可動部を有する支持手段と、前記支持手段により一部を支持され前記可動部の変位と連動して変形する圧電センサと、前記圧電センサの出力を信号処理する信号処理手段とを備え、前記圧電センサは屈曲部を有して複数の同時変形部を形成し、前記同時変形部が可動部と連動して変形することで接触を検知する接触検出装置。
- 支持手段の可動部の変位量は、所定の上限値を有し、
前記可動部の変位が前記所定の上限値以上となると変位しない構成とした請求項1記載の接触検出装置。 - 支持手段と圧電センサとが信号処理手段によって固定されている請求項1または請求項2に記載の接触検出装置。
- 圧電センサの位置規制手段を備え、支持手段の可動部に弾性体からなる連結手段を設けることで前記可動部と前記位置規制手段との間を弾性を有して連結し、可動部の変位に伴って同時変形部の変形を行う請求項1〜3のいずれか1項記載の接触検出装置。
- 支持手段は弾性体からなり、同時変形部を可動部で支持することで前記可動部の変位に伴って前記同時変形部の変形を行う請求項1〜3のいずれか1項記載の接触検出装置。
- 同時変形部は、1本の圧電センサに多層重畳部を形成することで構成した請求項1〜5のいずれか1項記載の接触検出装置。
- 圧電センサの多層重畳部が、遊嵌支持されている請求項6に記載の接触検出装置。
- 圧電センサは、中心電極、圧電体、外側電極、被覆層とを備えてこれらを順に同軸状に成形して構成し、前記外側電極は編組金属線で形成した請求項1〜7のいずれか1項記載の接触検出装置。
- 圧電センサは、圧電体に対して中心電極が偏心した偏心構造であり、偏心方向に対して特定の方向で屈曲して同時変形部が形成されている請求項1〜8のいずれか1項記載の接触検出装置。
- 圧電センサは、外形の断面形状が矩形断面に形成されている請求項1〜9のいずれか1項記載の接触検出装置。
- ドアハンドルの可動アームを支持手段の可動部に接触させて取り付けた請求項1〜10のいずれか1項記載の接触検出装置を備えたドアハンドル装置。
- ドアハンドルの可動アームと支持手段の可動部とを接続する接続部を備え、ドアハンドル操作における可動アーム変位の少なくとも初期は、接続部によって可動アームと可動部との接続状態を維持するようにした請求項11記載のドアハンドル装置。
- 請求項11または請求項12記載のドアハンドル装置を備えたスマートエントリーシステム。
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