JP2007230274A - 電動ブレーキ制御システム - Google Patents

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公雄 西野
Hiroyuki Saito
博之 斎藤
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Abstract

【課題】
停止または駐車中に環境変化及び機器の誤差等により生じる押圧力検出手段のゼロ点のズレの補正を発進前に補正し、発振直後の制動力制御に悪影響を与えないようにする。
【解決手段】車両の各輪に対応押して設けられるブレーキ装置の各々に摩擦材を移動させ、車輪に設置された制動部材に摩擦材を押圧させる電動アクチュエータと、摩擦材と制動部材との押圧力をあらかじめ定められた基準点からの偏差に基づいて押圧力を検出する押圧力検出手段と、電動アクチュエータを制御し、制動力を制御する制動力制御部と、押圧力検出手段の基準点を補正する基準点補正部とを有する。
【選択図】図4

Description

本発明は車両用ブレーキ制御装置及びその制御方法に関する。
従来、電気的に制御される油圧アクチュエータや電動アクチュエータの駆動力により摩擦材を、車輪と共に回転する回転体に押し付け、車両に制動力を発生させるブレーキ装置が知られている。
このようなブレーキ装置においては、推力センサ等の押圧力検出手段により押圧力を検出して制御させ、摩擦材と回転体の摩擦熱,アクチュエータの発熱等により、押圧力検出手段の出力値が変化してしまう、いわゆる温度ドリフトが発生し、基準点(以下、ゼロ点)のズレが生じてしまう。ゼロ点のズレに起因する制動力制御の精度低下を抑制するために、車両の走行中に、押圧力検出手段のゼロ点のズレを補正するブレーキ制御装置が知られている(特許文献1)。
特開2001−60741号公報
しかしながら、車両が停止または駐車状態から発進までの間に、停止または駐車している間の環境変化及び機器の誤差等により生じる押圧力検出手段のゼロ点のズレの補正については考慮されていないため、発進直後の制動力制御に悪影響を与えてしまう可能性がある。
そこで、本発明の目的は、停止または駐車中に環境変化及び機器の誤差等により生じる押圧力検出手段のゼロ点のズレを発進前に補正し、発進直後の制動力制御に悪影響を与えないようすることである。
上記目的を達成するために、本発明の電動ブレーキ制御装置は、車両の各輪に対応押して設けられるブレーキ装置の各々に摩擦材を移動させ、車輪に設置された制動部材に摩擦材を押圧させる電動アクチュエータと、摩擦材と制動部材との押圧力をあらかじめ定められた基準点からの偏差に基づいて押圧力を検出する押圧力検出手段と、電動アクチュエータを制御し、制動力を制御する制動力制御部と、押圧力検出手段の基準点を補正する基準点補正部とを有する。
複数の電動ブレーキ装置うちのいずれかの制動力制御部により制動力を発生させるとともに、基準点補正部は制動力を発生させた電動ブレーキ装置とは異なる車輪の電動ブレーキ装置の押圧力検出手段の基準点を補正する。
本発明によれば、発進前に安全に押圧力検出手段のゼロ点補正を行うことができる。従って、パッドの引きずりを防止し、さらに、ブレーキ装置の押圧力制御の応答性を向上させることができる。
図1は、本発明の一実施形態における電動ブレーキシステムのブロック構成図である。
長期間駐車していた場合には、環境変化及び機器の誤差等により押圧力検出手段のゼロ点のズレが生じるため、ゼロ点補正を行う必要があるが、その際、ブレーキの制動力を解除しなければならず、車両が急発進する危険がある。
本発明によるブレーキシステムは、その実施のための好ましい一つの形態において、車両に設けられる各車輪に対応して、車輪に制動力を与えるブレーキユニットと、各ブレーキユニットに対し、制動力指令を与え、各車輪に与えられる制動力を制御する制御装置とを有する。
各ブレーキユニットは、車輪とともに回転する回転体,ブレーキ摩擦材、制御装置からの制動力指令に応じた押圧力でブレーキ摩擦材を回転体に押圧し、車輪に制動力を発生させるためのアクチュエータ、及びアクチュエータが発生する押圧力を検出する押圧力検出手段を備える。制御装置は、押圧力検出手段が検出する押圧力、及び車両の運転席に設けられるブレーキペダルの踏み込み量や押圧力に応じて各車輪に与える制動力を決定し、制動力指令を各ブレーキユニットに与える。
複数のブレーキユニットの少なくとも一つは、さらに、アクチュエータにより発生された押圧力を保持し、アクチュエータの駆動力が解除された後もブレーキ摩擦材を回転体に押圧させ、制動力を維持するためのラッチ機構部と、ラッチ機構部を制御するラッチ機構制御部とを備えるパーキングブレーキ機構部を有する。パーキングブレーキ機構部は、ラッチ機構部によりブレーキ摩擦材の押圧力を保持し、車輪の制動力を維持することで、いわゆるパーキングブレーキとして動作する。
制御装置は、パーキングブレーキがかかった状態で起動されると、まず、パーキングブレーキ機構を持たないブレーキユニットが備える押圧力検出手段の出力をチェックし、そのゼロ点補正を行う。その後、これらブレーキユニットに制動力指令を与え、対応する車輪に制動力を生じさせ、パーキングブレーキ機構部を有するブレーキユニットにパーキングブレーキの解除を指示し、これらブレーキユニットの押圧力検出手段のゼロ点補正を行う。
好ましくは、パーキングブレーキ機構を持たないブレーキユニットに対し、ゼロ点補正後に与えられる押圧力指令は、パーキングブレーキ機構部により保持されるブレーキ摩擦材の押圧力以上の押圧力をブレーキ摩擦材に与えるよう決定される。
本発明の他の形態において、複数のブレーキユニットが少なくとも2つの組に分けられる。制御装置は、パーキングブレーキがかかった状態で起動されると、少なくとも2つの組のうち、一の組に属するブレーキユニットに制動力指令を与えて制動力を生じさせた後、パーキングブレーキを解除し、他の組に属するブレーキユニットのゼロ点補正を行う。続いて、他の組に属するブレーキユニットに制動力指令を与えて制動力を生じさせた後、一の組に属するブレーキユニットによる制動力を解除し、他の組に属するブレーキユニットのゼロ点補正を行う。
好ましくは、複数のブレーキユニットは、車両の対角に位置する車輪に対応するブレーキユニットが組となるように分けられる。たとえば、右前輪と左後輪に対応するブレーキユニットで一の組が構成され、左前輪と右後輪に対応するブレーキユニットで他の組が構成される。
また、本発明の更に他の形態において、制御装置は、パーキングブレーキがかかった状態で起動されると、パーキングブレーキ機構を持たないブレーキユニットのゼロ点補正を行う。その後、パーキングブレーキ機構を持たないブレーキユニットとパーキングブレーキ機構を備えるブレーキユニットの一部により制動力を発生させてパーキングブレーキを解除し、パーキングブレーキ機構を備えるブレーキユニットの他の一部のゼロ点補正を行う。さらに、パーキングブレーキ機構を備えるブレーキユニットの一部と他の一部との制御を入れ替え、ゼロ点補正が行われていないブレーキユニットのゼロ点補正を行う。
上述した各形態において、すべてのブレーキユニットに対するゼロ点補正が行われないままパーキングブレーキを解除する操作が行われた場合、ゼロ点補正の行われなかったブレーキユニットに対するゼロ点補正は、走行中に行われる。
図1は、ブレーキコントロールユニット1と各輪の電動ブレーキ(Electro MechanicalBrake 以下電動ブレーキ)ユニット及び、これらを結ぶ信号線,電力線を含むシステム構成を示す。
ブレーキコントロールユニット1には、自動車の電源スイッチ(イグニッションキースイッチ)であるキースイッチ5からの信号が入力される。
各輪の電動ブレーキユニットB1〜B4は、自動車の各輪に対応して取り付けられ、各輪と一体に回転する被制動部材8と、制動部材(図示しない)と、この制動部材をモータの力で被制動部材8に押し付ける電動ブレーキアクチュエータ(以下、電動ブレーキアクチュエータ)7とを備えている。被制動部材8の例としてはブレーキディスクやブレーキドラムがあり、制動部材の例としては、ブレーキ摩擦材であるブレーキパッドがある。電動ブレーキアクチュエータ7の構造としては、例えば、特開2002−63507号公報に記載されているような構造が知られているが、本発明は電動ブレーキアクチュエータの特定の機械的構造に限定されるものではなく、様々な構造の電動ブレーキアクチュエータを用いることができる。
図1において、電動ブレーキユニットB1〜B4にはブレーキコントロールユニット1からの制御信号が伝達される信号線12,電動ブレーキアクチュエータ7の推力をブレーキコントロールユニット1に伝達する信号線13が接続されており、さらに、電動ブレーキアクチュエータ7に電力を供給する電力線11a及び11bが接続されている。なお、ブレーキコントロールユニット1と電動ブレーキユニットB1〜B4との間の信号線は、本実施例のように送信用の信号線12と受信用の信号線13を電動ブレーキユニットごとに備える構成としてもよいが、双方向通信可能な信号線を用いて、送信用と受信用の信号線を共通化することもできる。また、ブレーキコントロールユニット1と電動ブレーキユニットB1〜B4、さらにその他のエンジンコントロールユニット(図示しない)との間で、CAN(Control Area Network)によって接続され、データの授受を行う構成としてもよい。
さらに、上記ブレーキコントロールユニット1は、各輪に設置された電動ブレーキ装置を統合制御する構成となっているが、各輪の電動ブレーキ装置内に設置され、各輪の電動ブレーキ装置を制御する電動ブレーキコントロールユニットを用いてもよい。この場合、電動ブレーキコントロールユニットよりも上位のコントロールユニットから受け取った押付力指令値と電動ブレーキ装置に設置された押圧力検出手段の押圧力との偏差に基づいて、電動ブレーキアクチュエータに通電する電流を制御し、制動力を発生させることができる。
また、電動ブレーキユニットB1〜B4は2つのグループに分けて電力を供給されており、前左輪の電動ブレーキユニットB1と後右輪の電動ブレーキユニットB4を一組として電力線11aが接続され、前右輪の電動ブレーキユニットB2と後左輪の電動ブレーキユニットを一組として電力線11bが接続されている。このように構成することで、片方の電力線に異常が発生しても、もう片方の電力線に接続された電動ブレーキユニットを正常に動作させることが可能となる。
本実施例の電動ブレーキシステムはパーキング機能を備えている。ブレーキコントロールユニット1にはパーキングブレーキ(以下、PKB)スイッチ4からの信号が入力されるようになっており、各輪の電動ブレーキユニットB1〜B4にはパーキング機構部6が設けられている。パーキング機構部6はコントロールユニット1からの指令に従ってブレーキパッドの移動または電動ブレーキアクチュエータ7の動作を規制する機構であり、電動ブレーキアクチュエータに対する通電が停止されても、そのときの押圧力(制動部材を被制動部材8に押し付ける力)を保持する。パーキング機構部6の具体例としては、例えば留め金を可動部に設けた溝に押し込むことで機械的に動作を規制するラッチ機構がある。
パーキング機構部6にはブレーキコントロールユニット1からの指令信号を入力する信号線14が接続されており、PKBスイッチ4が操作されるとブレーキコントロールユニット1は電動ブレーキアクチュエータ7を動作させ押圧力を発生させる。この押圧力が発生した状態でパーキング機構部6に指令を送り、ブレーキ推力を保持する。
図2は、電動ブレーキアクチュエータ7内部にあるパーキングブレーキ機構部6の構造図である。ブレーキ力源108,109は例えばモータ,直交変換機構などであり、ピストン101,102を往復運動させ、ブレーキの摩擦材106,107を被制動部材103に接触させる。押圧力検出手段110は、ピストンによって発生したブレーキ力を測定する。本実施例では、電動ブレーキ装置内に制御ユニット112を有する構成であり、この制御ユニット112は、電動ブレーキコントロールユニットよりも上位のコントロールユニットから受け取った押付力指令値と電動ブレーキ装置に設置された押圧力検出手段の押圧力との偏差に基づいて、電動ブレーキアクチュエータに通電する電流を制御し、制動力を発生させることができる。押圧力検出手段110は、例えば推力センサ等である。
押圧力を保持する場合、ある押圧力に達するまで、モータ等のブレーキ力源108,
109を駆動させ、押圧力検出手段110によって所定のブレーキ力が出たことを検出した時点で、制御ユニット112によってソレノイド105への通電を制御しプランジャ
104を下方に移動させピストン101,102の溝に勘合させる。このような機構によって、ピストンに電動力によるエネルギーを与え続けることなく押圧力を保持することが可能となる。なお、ブレーキ力保持装置の移動方向は、これらに限定されることはなく、ブレーキ装置に依存して設けられる。
また、電動油圧ブレーキシステムには、図8に示す前輪のようにブレーキペダル2から機械的に独立した液圧ポンプモータ801を有し、この液圧ポンプモータで発生した液圧を圧力制御部802と配管803とを通じて各輪のブレーキシリンダに分配する構成もある。以下図8について説明するが、特記しない構成については図1に示すものと同様である。
ブレーキコントロールユニット1または油圧ブレーキコントロールユニット800(以下、油圧C/U)は、ブレーキストロークセンサ3で検出した運転者のブレーキペダルの踏み込み量に応じて、液圧ポンプモータモータ801及び圧力制御部802を制御し、各輪の液圧アクチュエータ804に供給される液圧を制御することで、各輪のブレーキ力を個別に制御する。コントロールユニット1からの制御信号は信号線805により液圧ポンプモータ801および圧力制御部802に送られる。圧力制御部802は液圧ポンプモータ801から各輪の液圧アクチュエータ804まで配設された配管803ごとに供給する圧力を制御するものであり、例えば圧力制御弁で構成される。また圧力制御部802から各輪の液圧アクチュエータ804のどこかに押圧力検出手段(図示しない)が設けられており、この検出結果は信号線805によりブレーキコントロールユニット1または油圧C/U800に入力される。この場合、押圧力検出手段としては液圧センサ等を用いる(液圧×シリンダ面積=押し付け力)。
コントロールユニット1または油圧C/U800は入力された各輪の液圧を、通信線
806を介して、ブレーキ踏み込み量に応じた目標液圧に近づけるように液圧ポンプモータ801及び圧力制御部802を制御する。
以上、電動油圧ブレーキシステムにおいて、制動部材を被制動部材8に押し付ける力を検出するための推力センサ,液圧センサ等のセンサ類を押圧力検出手段とし、以下、押圧力検出手段における検出出力のゼロ点補正の実施例について説明する。
図3は押圧力検出手段における検出出力のゼロ点補正を行うタイミングと各車輪におけるブレーキ装置の押圧力を示す。縦軸は各輪の押圧力、横軸は時間を示す。
縦軸のB1,B2,B3,B4は、それぞれ右前輪,左前輪,右後輪,左後輪のブレーキ装置の押圧力を示す。t0はパーキングブレーキがかかっている状態の時に、ブレーキ制御装置に電源が供給され、起動した時点を示す。ここで、ブレーキ制御装置を起動させる条件として、具体的にはブレーキ制御装置がウェイクアップ信号を受信した場合、ブレーキペダル操作の信号を受信した場合、キースイッチONの信号を受信した場合、ドア開閉の信号を受信した場合、ドアキーが解除された場合等が挙げられ、これらの条件のいずれか、または複数の条件を満たした時にブレーキ制御装置の起動とみなすことができる。
時間t0〜t1において、ゼロ点補正のために押圧力を解除した前輪2輪にそれぞれ設置された押圧力検出手段の検出出力のゼロ点補正を実行し(R2,R1)、一方、後輪2輪はパーキングブレーキまたは制動部材の押付力によって押圧力BF1を作用させる。
上記の前輪2輪のゼロ点補正が終了した後、前輪2輪にPKBまたは制動部材の押付力によって押圧力BF2を作用させる。ゼロ点補正が終了した前輪2輪の押圧力検出手段に基づいて、前輪2輪の押圧力が作用していること確認した後、後輪2輪の押圧力BF1を解除し(t1〜t2)、後輪2輪にそれぞれ設置された押圧力検出手段の検出出力のゼロ点補正を実行する(R3,R4)(t2〜t3)。
BF1とBF2を同じ大きさになっているが、前輪と後輪とで押圧力が同じである必要はない。この押圧力は、少なくとも車両を安全に停止させることができるように設定する必要がある。
時間t3〜t4において、ドライバにゼロ点補正が終了したことを通知する。また、上位のコントロールユニットから停止指令が出力されている場合は、前輪2輪の押圧力BF2を解除し、後輪2輪にPKBまたは制動部材の押付力によって押圧力BF2を作用させる。ここで、ゼロ点補正の終了通知の直後に、他の機器から発進指令があった場合は前輪2輪及び後輪2輪に押圧力を発生させなくてもよい。
図4は、ゼロ点補正及びブレーキ力指令のフローチャートである。これらの指令は、図1のブレーキコントロールユニット1から出力するが、各輪に設置された制御ユニットから出力してもよい。各輪に設置された制御ユニットから出力する場合は、上位のブレーキコントロールユニット1に対して、ゼロ点補正の起動と終了の通知をする。
まず、ブレーキ装置の起動信号を受信する(S401)。車両が安全に停止しているかを確認するため、後輪PKBまたは各輪のブレーキ力が保持状態であるか否かを確認する(S402)。S402がNOの場合は再度、確認処理を実行する。S402がYESの場合は前輪のゼロ点補正を実行する(S403)。ゼロ点補正については後述する。前輪のゼロ点補正終了後に前輪のブレーキ力作動指令を出力する(S404)。そして、前輪PKBまたは各輪のブレーキ力の保持状態を確認する(S405)。S405がNOの場合は再度ブレーキ力指令を出力後、確認処理を実行する。S405がYESの場合は、後輪ブレーキ力解除指令を出力した後(S406)、後輪のゼロ点補正を実行する(S407)。
図5は、各輪のゼロ点補正のフローチャートを示す。この処理は、各輪に設置された制御ユニットにて実行してもよいが、図1のブレーキコントロールユニット1が実行してもよい。ここでは、各輪に設置された制御ユニットにて実行する例を説明する。
まず、上位のコントロールユニットからゼロ点補正の指令を受信する(S501)。そして、パッド位置が、車両の制動力を発生しない位置にあるかを確認する(S502)。ここで、車両の制動力を発生しない位置にあるかを確認する方法として、モータを所定量だけ回転させて、上記押圧力検出手段の変化率により判断する場合がある。また、モータを所定量だけ回転させて、その時のモータに供給する電流値の変化率によって判断してもよい。
S502がNOの場合は、パッド位置を推力の発生しない位置まで移動させるように指令を出力し(S503)、S504に移行する。ここで、推力の発生しない位置とは、押圧力検出手段が示す値が所定値に達し、さらに所定量の推力を発生させない方向へパッドを移動させた位置等をいう。S502がYESの場合は押圧力検出手段の値を入力する
(S504)。そして、押圧力検出手段の値の入力回数を示すNに1をインクリメントし、S504とS505を100回繰り返し、値を記憶する。(S505及びS506)。この入力回数は、例示にすぎず、10回程度であってもよく、CPUの性能によっては
1000回であってもよい。次に、上記記憶した値を演算し、ゼロ点を設定する(S507及びS508)。ここでは、入力値の平均値をとりゼロ点と設定するが、最小値または最大値をゼロ点と設定してもよい。そして、ゼロ点補正の設定完了後に、上位のコントロールユニットにゼロ点補正完了を送信する(S509)。
図6は押圧力検出手段110における検出出力のゼロ点補正と各車輪におけるブレーキ装置の押圧力を発生させる別のタイミングを示す。
図6が、図3と異なるところは、ゼロ点補正とブレーキ装置の押圧力発生のタイミングにある。また、後輪2輪にのみPKB機構を採用した例である。
まず、t2からt3間にB1(左前)とB4(右後)のゼロ点補正を実行し、そのゼロ点補正の終了後にt4からt5の間にB2(右前)とB3(左後)のゼロ点補正を実行する。そのほかの点については、図3と同様である。このようにすることにより、後輪の2輪に設置されたブレーキ装置が図2のようなPKB機構を備えている場合、ゼロ点補正時であっても、常に後輪のどちらかのPKB機構を作動させた状態とすることができる。そのため、坂道等の傾斜がある道に停車中であり、かつゼロ点補正の起動中に電源がOFFされても、車両を安全に停止状態とすることができる。
図7は押圧力検出手段110における検出出力のゼロ点補正と各車輪におけるブレーキ装置の押圧力を発生させる別のタイミングを示す。
図7が、図3と異なるところは、後輪に設置されたブレーキ装置のゼロ点補正を実行する間は、前輪2輪に設置されたブレーキ装置の押付力を所定量以上に維持することである。例えば、BF3の大きさはBF1の1/2程度とする。このようにすることにより、停車時の前輪2輪のブレーキ力配分が、後輪2輪のブレーキ力配分より小さい場合でも、十分な制動力を確保することができるようになる。
上述のゼロ点補正を実行する場面は、主に車両の起動時を想定したものであるが、車両が駐車中(例えば、ACCがONの位置)に、ある時間ごと実行するようにしてもよい。
また、車両の起動時にゼロ点補正を実行する場合、ゼロ点補正が必要な輪のゼロ点補正が終了する前に、ドライバーからの発進指令に基づいて車両が発進する場合も考えられる。この時、車両が発進するまでにゼロ点補正が終了している輪を記憶し、車両走行中にゼロ点補正が終了していない輪のゼロ点補正を実行するようにしてもよい。また、この間の制動は、ゼロ点補正が終了した輪で車両の制動を行うようにしてもよい。
ブレーキシステムの構成図。 パーキングブレーキ機構部の内部構造図。 押圧力検出手段のゼロ点補正を行うタイミングとブレーキ装置の押圧力を示す図。 ゼロ点補正及びブレーキ力指令のフローチャート。 各輪のゼロ点補正のフローチャート。 押圧力検出手段のゼロ点補正及びブレーキ装置の押圧力の別のタイミングを示す図。 押圧力検出手段のゼロ点補正及びブレーキ装置の押圧力の別のタイミングを示す図。 別のブレーキシステムの構成図。
符号の説明
1…ブレーキコントロールユニット、2…ブレーキペダル、3…ブレーキストロークセンサ、4…パーキングブレーキスイッチ、5…キースイッチ、6…パーキングブレーキ機構、7…電動ブレーキ、8…制動部材、9…電源、10,11a及び11b…電源線、
12〜14…通信線。

Claims (13)

  1. 電動アクチュエータと、検出手段内の金属板の予め定められた基準位置からの変位または変形に基づいて前記電動アクチュエータの駆動に応じた押圧力を検出する押圧力検出手段とを有し、前記電動アクチュエータを制御することにより制動力を発生させるブレーキ装置と、
    前記電動アクチュエータを制御し、制動力を制御する制動力制御部と、前記押圧力検出手段の前記基準点を補正する基準点補正部とを有する電動ブレーキ制御装置とを備え、
    前記ブレーキ装置は車両の4輪の各輪に設置され、
    前記制動力制御部は4輪のうち2輪のブレーキ装置の制動力を発生させるとともに、前記基準点補正部は前記制動力を発生させた2輪とは異なる車輪のブレーキ装置の押圧力検出手段の基準点を補正する電動ブレーキシステム。
  2. 請求項1に記載の電動ブレーキシステムであって、
    前記制動力制御部は、4輪のうち後輪2輪に設置されたブレーキ装置の制動力を発生させるとともに、前記基準点補正部は前輪2輪に設置されたブレーキ装置の押圧力検出手段の基準点を補正する電動ブレーキシステム。
  3. 請求項1に記載の電動ブレーキシステムであって、
    前記制動力制御部は4輪のうち右前輪及び左後輪の2輪に設置されたブレーキ装置の制動力を発生させるとともに、前記基準点補正部は左前輪及び右後輪の2輪に設置されたブレーキ装置の押圧力検出手段の基準点を補正する電動ブレーキシステム。
  4. 請求項1に記載の電動ブレーキシステムであって、
    前記制動力制御部は4輪のうち左前輪及び右後輪の2輪に設置されたブレーキ装置の制動力を発生させるとともに、前記基準点補正部は右前輪及び左後輪の2輪に設置されたブレーキ装置の押圧力検出手段の基準点を補正する電動ブレーキシステム。
  5. 請求項1ないし4に記載のいずれかの電動ブレーキシステムであって、
    前記制動力制御部は、ブレーキ装置の押圧力検出手段の補正が終了したときは、前記補正が終了したブレーキ装置に制動力を発生させるとともに、前記基準点補正部は、補正が終了していない押圧力検出手段の基準点を補正する電動ブレーキシステム。
  6. 請求項1に記載の電動ブレーキシステムであって、
    前記ブレーキ装置は、前記摩擦材と前記制動部材の押圧とは異なる機構によって車両の制動力を保持するパーキングブレーキ機構を備え、
    前記電動ブレーキ制御装置は、パーキングブレーキ機構の作動及び解除を制御するパーキングブレーキ制御部を備え、
    前記パーキングブレーキ制御部は4輪のうち2輪のブレーキ装置のパーキングブレーキ機構により制動力を発生させるとともに、前記基準点補正部は前記制動力を発生させた2輪とは異なる車輪のブレーキ装置の押圧力検出手段の基準点を補正する電動ブレーキシステム。
  7. 請求項6に記載の電動ブレーキシステムであって、
    前記制動力制御部は、ブレーキ装置の押圧力検出手段の補正が終了したときは、前記補正が終了したブレーキ装置に所定の制動力を発生させるとともに、前記パーキングブレーキ機構による制動力を解除し、前記基準点補正部は、補正が終了していない押圧力検出手段の基準点を補正する電動ブレーキシステム。
  8. 請求項7に記載の電動ブレーキシステムであって、
    前記補正が終了したブレーキ装置に発生させる前記所定の制動力は、前記パーキングブレーキ機構による制動力以上の制動力である電動ブレーキシステム。
  9. 請求項1ないし8に記載のいずれかの電動ブレーキシステムであって、
    車両の他の機器からのウェイクアップ信号,ブレーキペダルの踏力信号,イグニションスイッチのON信号、車両のドアの開閉信号のうち少なくとも一つを受信したときに、前記基準点補正部は押圧力検出手段の基準点を補正する電動ブレーキシステム。
  10. 摩擦材を移動させ、車輪に設置された制動部材に前記摩擦材を押圧させる電動アクチュエータと、前記摩擦材と前記制動部材との押圧力をあらかじめ定められた基準点からの偏差に基づいて押圧力を検出する押圧力検出手段とを有し、車両の4輪の各輪に設置されたブレーキ装置と、
    前記電動アクチュエータを制御し、制動力を制御する制動力制御部と、前記押圧力検出手段の前記基準点を補正する基準点補正部とを有する電動ブレーキ制御装置とを備え、
    前記制動力制御部は4輪のうち3輪のブレーキ装置の制動力を発生させるとともに、前記基準点補正部は前記制動力を発生させた3輪とは異なる車輪のブレーキ装置の押圧力検出手段の基準点を補正する電動ブレーキシステム。
  11. 請求項10に記載の電動ブレーキシステムであって、
    前記制動力制御部は、ブレーキ装置の押圧力検出手段の補正が終了したときは、前記補正が終了したブレーキ装置に制動力を発生させるとともに、前記基準点補正部は、制動力を発生させた前記3輪のブレーキ装置うち、いずれか1輪のブレーキ装置の押圧力検出手段の基準点を補正する電動ブレーキシステム。
  12. 請求項1ないし11に記載の電動ブレーキシステムであって、
    前記電動アクチュエータは、油圧を発生させるポンプモータであり、
    前記ブレーキ装置は、前記ポンプモータと配管を介して接続される電動ブレーキシステム。
  13. 請求項1ないし11に記載の電動ブレーキシステムであって、
    前記電動アクチュエータは、回転トルクに基づいて制動力を発生させるモータである電動ブレーキシステム。
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