JP2016132282A - 車両制御装置 - Google Patents

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公太郎 小山
Kotaro Koyama
公太郎 小山
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Abstract

【課題】 車両前後方向移動を抑制できる車両制御装置を提供する。【解決手段】 油圧ユニットECU2は、ヒルホールド制御の開始条件が成立したときに油圧ユニット1によるピストンの作動を非作動状態とし、電動パーキングブレーキを非作動から作動状態へ切り替える電動パーキングブレーキ制御部2aと、電動パーキングブレーキ制御部2aの切り替え時に車両前後方向の移動を抑制する車両前後方向移動抑制部2bと、を備えた。【選択図】 図1

Description

本発明は、車両制御装置に関する。
特許文献1には、坂路停止中に各輪のホイルシリンダ圧を保持するヒルホールド制御において、ホイルシリンダ圧保持用のソレノイドバルブの過熱抑制を図るために、電動パーキングブレーキを作動させる一方、保持したホイルシリンダ圧を低下させることが開示されている。
特開2010-208462号公報
電動モータを駆動してブレーキキャリパのピストンを進退させる、いわゆるビルトインキャリパタイプの電動パーキングブレーキを搭載した車両では、ヒルホールド制御中にドライバがブレーキペダルから足を離した状態で電動パーキングブレーキが作動すると、各輪のホイルシリンダ圧が低下し、車両全体の制動力が坂路停止に必要な制動力を下回ることで、車両のずり下がりが発生するという問題があった。
本発明の目的は、車両前後方向移動を抑制できる車両制御装置を提供することにある。
本発明の車両制御装置では、第2制動力発生部を非作動状態から作動状態へ切り替える際、ゲートアウト弁および後輪に備えられたソレノイドイン弁を開状態から閉状態へ切り替える一方、後輪に備えられたソレノイドアウト弁を閉状態から開状態へ切り替える。
よって、本発明にあっては、車両前後方向移動を抑制できる。
実施例1のブレーキ制御装置を適用した車両のシステム構成図である。 油圧ユニット1の回路構成図である。 実施例1の電動パーキングブレーキのキャリパ3の構成および動作を示す模式図である。 実施例1の電動パーキングブレーキ制御部2aによるアプライ要求出力処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の車両前後方向移動抑制部2bによるリアソレノイドインバルブ28RL,28RRの開閉処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の車両前後方向移動抑制部2bによるリアソレノイドアウトバルブ33RL,33RRの開閉処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1のずり下がり抑制作用を示すタイムチャートである。 実施例2の電動パーキングブレーキ制御部2aによるアプライ要求出力処理の流れを示すフローチャートである。 実施例2の車両前後方向移動抑制部2bによるリアソレノイドアウトバルブ33RL,33RRの開閉処理の流れを示すフローチャートである。 実施例2のずり下がり抑制作用を示すタイムチャートである。
以下、本発明の車両制御装置を実施するための形態を、図面に示す実施例に基づいて説明する。
〔実施例1〕
まず、構成を説明する。
図1は実施例1のブレーキ制御装置を適用した車両のシステム構成図、図2は実施例1の油圧ユニット1の回路構成図である。
[システム構成]
油圧ユニット1は、油圧ユニットECU2からの指令に応じて、各輪FL,FR,RL,RRのホイルシリンダ圧を調整し、ブレーキキャリパ(前輪FL,FRのブレーキキャリパをフロントキャリパ、後輪RL,RRのブレーキキャリパをリアキャリパと称す。)3の作動を制御する。
油圧ユニットECU2には、車輪速センサ4により検出された各車輪速、コンバインセンサ5により検出された車両の横方向加速度、前後方向加速度およびヨーレート、マスタシリンダ圧センサ6により検出されたマスタシリンダ圧が直接入力される。また、通信ライン7を介してブレーキペダルストロークセンサ13により検出されたブレーキペダルストローク、図外のエンジンECUからのアクセル開度等の信号が入力される。油圧ユニットECU2は、通信ライン7を介して、電制ブースタECU8、電動パーキングECU9、エンジンECUやその他のECUと相互通信を行う。
電制ブースタECU8は、電制ブースタ10を制御し、ブレーキペダルストロークを倍力する。ブレーキペダルストロークセンサ13により検出されたブレーキペダルストロークは、電制ブースタECU8に入力される。
後輪RL,RRには、リアキャリパ3RL,3RRを作動させる電動モータ11RL,11RRが設けられている。リアキャリパ3RL,3RRと電動モータ11RL,11RRとにより電動パーキングブレーキ(第2制動力発生部)の主要部が構成される。電動モータ11RL,11RRは、電動パーキングECU9からの指令に応じて駆動する。電動パーキングECU9は、ドライバによりパーキングブレーキスイッチ12がON側に操作されたとき、または油圧ユニットECU2からのアプライ(作動)要求に応じて、電動モータ11RL,11RRを駆動し、電動パーキングブレーキを作動状態とする。
[油圧ユニットの構成]
実施例1の油圧ユニット1は、P系統とS系統との2系統からなる、X配管と呼ばれる配管構造を有している。なお、図2に記載された各部位の符号の末尾に付けられたP,SはP系統、S系統を示し、RL,FR,FL,RRは左後輪、右前輪、左前輪、右後輪に対応することを示す。以下の説明では、P,S系統または各輪を区別しないとき、P,SまたはRL,FR,FL,RRの記載を省略する。
実施例1の油圧ユニット1は、クローズド油圧回路を用いている。ここで、クローズド油圧回路とは、ホイルシリンダW/Cへ供給されたブレーキ液を、マスタシリンダM/Cを介してリザーバタンクRSVへと戻す油圧回路をいう。
ブレーキペダルBPは、インプットロッドIRを介してマスタシリンダM/Cに接続されている。インプットロッドIRには、図外の電動モータによりインプットロッドIRの入力を倍力する電制ブースタ10が設けられている。
P系統には、左前輪FLのホイルシリンダW/C(FL)、右後輪RRのホイルシリンダW/C(RR)が接続され、S系統には、右前輪FRのホイルシリンダW/C(FR)、左後輪RLのホイルシリンダW/C(RL)が接続される。P系統、S系統には、ポンプ(油圧源)PP、ポンプ(油圧源)PSが設けられている。ポンプPP、ポンプPSは、例えば、ギヤポンプであって、1つのモータMにより駆動される。
マスタシリンダM/CとポンプPの吐出側とは、管路21と管路22により接続される。管路21には、常開型の比例電磁弁であるゲートアウトバルブ(ゲートアウト弁)23が設けられている。管路21には、ゲートアウトバルブ23を迂回する管路24が設けられている。管路24上には、チェックバルブ25が設けられている。チェックバルブ25は、マスタシリンダM/CからホイルシリンダW/Cへ向かうブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
管路22上には、チェックバルブ26が設けられている。チェックバルブ26は、ポンプPから管路21へ向かう方向へのブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
ポンプPの吐出側とホイルシリンダW/Cとは、管路27により接続される。管路27上には、各ホイルシリンダW/Cに対応する常開型の比例電磁弁であるソレノイドインバルブ(電磁弁)28が設けられている。
管路27上には、ソレノイドインバルブ28を迂回する管路29が設けられ、この管路29には、チェックバルブ30が設けられている。このチェックバルブ30は、ホイルシリンダW/CからポンプPへ向かう方向へのブレーキ液の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。管路27は、管路21と管路22との接続点で接続されている。
ホイルシリンダW/Cとリザーバ31とは管路32により接続される。管路32には、常閉型の電磁弁であるソレノイドアウトバルブ33が設けられている。
マスタシリンダM/Cとリザーバ31とは管路34により接続される。また、リザーバ31とポンプPの吸入側とは、管路35により接続される。
リザーバ31は、圧力感応型のチェックバルブ36を管路34上に備える。チェックバルブ36は、所定量のブレーキ液が貯留された場合、または、管路34内の圧力が所定圧を超える高圧となった場合に閉弁し、リザーバ31内へのブレーキ液の流入を禁止することで、ポンプPの吸入側に高圧が印加されるのを防止する。なお、チェックバルブ36は、ポンプPが作動して管路35内の圧力が低くなった場合には、管路34内の圧力にかかわらず開弁し、リザーバ31内へのブレーキ液の流入を許容する。
[電動パーキングブレーキの構成]
図3(a)に示すように、実施例1では、電動モータ11を駆動してキャリパ3のピストン(第1ピストン)41を進退させる、いわゆるビルトインキャリパタイプの電動パーキングブレーキを用いている。
ピストン41は、シリンダ42の内周を摺動可能に設けられている。ピストン41の内周には、ナット部材(第2ピストン)43が摺動可能に設けられている。ナット部材43の中心には、ネジ穴43aが形成され、このネジ穴43aには、電動モータ11の出力軸と連結された駆動軸44が貫通している。駆動軸44の外周には、ネジ穴43aと螺合するネジ部44aが形成されている。ピストン41およびシリンダ42の内部には液圧室(第1油圧室)45が形成され、液圧室45は、ナット部材43によって、一方側の室45aと他方側の室45bとに仕切られている。一方側の室45aには、油圧ユニット1を介してマスタシリンダM/Cからブレーキ液が供給される。
サービスブレーキ(通常ブレーキ)時には、マスタシリンダM/Cの液圧が液圧室45の一方側の室45aに供給され、図3(b)のようにピストン41が前進(ブレーキパッドの方向に移動)することで、ディスクロータに一対のブレーキパッドが押し付けられる。
一方、パーキングブレーキ時には、図3(c)に示すように、電動モータ11の駆動により駆動軸44の回転運動がナット部材43の並進運動へと変換されてナット部材43が前進し、ピストン41を前進方向に押し出すことで、ディスクロータに一対のブレーキパッドが押し付けられる。
ここで、ネジ穴43aとネジ部44aとによりネジ部は、リード角が小さく設定されているため、電動モータ11への電流供給を停止したときにピストン41の後退を規制するロック機構として機能する。
[ヒルホールド制御]
油圧ユニットECU2は、坂路停止からの再発進時における車両のずり下がりを防止するために、ヒルホールド制御の開始条件が成立した場合、油圧ユニット1のゲートアウトバルブ23を閉じてホイルシリンダ圧を保持し、車両停止状態を維持するヒルホールド制御を実行する。
ヒルホールド制御の開始条件は、例えば、以下の各条件がすべて成立した場合とする。
1.車速ゼロ(各車輪速がゼロ)の状態が判定時間継続
2.ブレーキペダルストロークが所定量以上
3.アクセル開度がゼロ
また、ヒルホールド制御の終了条件は、例えば、アクセル開度が所定開度を超えた場合、またはパーキングブレーキスイッチ12がON(アプライ)操作された場合とする。車速ゼロの状態が判定時間継続したか否かは、車両停止状態判断部2cにより判定される。
[電動パーキングブレーキの作動によるソレノイド保護]
ゲートアウトバルブ23は常開型の電磁弁であるから、閉じ状態を維持するためにはソレノイドに電流を供給し続ける必要がある。このため、上記ヒルホールド制御中にドライバが長時間ブレーキペダルBPを踏み続けると、ゲートアウトバルブ23(のソレノイド)が過熱して耐久性が低下する。そこで、油圧ユニットECU2は、ヒルホールド制御中に電動パーキングブレーキ作動条件(所定の条件)が成立したとき、電動パーキングECU9に対しアプライ要求を出力して電動パーキングブレーキを非作動から作動状態へ切り替える電動パーキングブレーキ制御部(第2制動力制御部)2aを備える。電動パーキングブレーキ作動条件は、ヒルホールド制御の開始条件成立時点から所定時間が経過した場合、またはゲートアウトバルブ23(のソレノイド)の温度が所定温度に達した場合とする。油圧ユニットECU2は、電動パーキングブレーキが非作動から作動状態に切り替えられた後、例えば一定時間経過後にゲートアウトバルブ23を開きホイルシリンダ圧の保持を解除することでホイルシリンダ圧の保持による制動力から電動パーキングブレーキによる制動力へと切り替える。これにより、坂路停止状態を維持しつつ、ゲートアウトバルブ23の保護を図ることができる。
[車両のずり下がり抑制]
実施例1では、電動パーキングブレーキとして、図3に示したように、電動モータ11を駆動してリアキャリパ3RL,3RRのピストン41を進退させる、いわゆるビルトインキャリパタイプを採用している。このため、ヒルホールド制御中にドライバがブレーキペダルBPから足を離した状態で電動パーキングブレーキを作動させたとき、車両のずり下がりが問題となる。以下にその理由を説明する。
ヒルホールド制御では、ドライバがブレーキペダルBPから足を離した状態でもホイルシリンダ圧が保持されるように、油圧ユニット1のゲートアウトバルブ23を閉じている。この状態から電動パーキングブレーキが作動すると、ナット部材43がピストン41を前進させることで液圧室45の一方側の室45aの容積が増大する。このとき、マスタシリンダM/Cからのブレーキ液供給がないため、一方側の室45a内の圧力が低下する。すなわち、後輪RL,RRのホイルシリンダ圧が低下する。ここで、リアキャリパ3RL,3RRの一方側の室45aはフロントキャリパ3FL,3RRの液圧室と連通しているため、その影響は前輪FL,FR側にも及び、前輪FL,FRのホイルシリンダ圧も低下する。このとき、前輪FL,FRの制動力低下量が後輪RL,RRの制動力上昇量よりも大きいため、車両全体の制動力が坂路停止に必要な制動力を下回ることで、車両のずり下がりが発生する。
実施例1では、この対策として、油圧ユニットECU2に車両前後方向の移動を抑制する車両前後方向移動抑制部2bを備える。車両前後方向移動抑制部2bは、電動パーキングECU9に対しアプライ要求が出力されてからヒルホールド制御の終了条件が成立するまでの間、後輪RL,RRのソレノイドインバルブ28RL,28RR(以下、リアソレノイドインバルブと称す。)を開状態から閉状態へ切り替えることで、電動パーキングブレーキを非作動状態から作動状態へ切り替える際の前輪FL,FRの制動力低下を抑制する。
[リアキャリパ内の負圧状態の抑制]
上述したように、電動パーキングブレーキが作動すると、ナット部材43がピストン41を前進させることで液圧室45の一方側の室45aの容積が増大する。このとき、実施例1では、車両のずり下がり抑制を目的としてソレノイドインバルブ28RL,28RRを閉じているため、一方側の室45a内の圧力が負圧となり、リアキャリパ3RL,3RRを作動させる電動モータ11RL,11RRの負荷が増大する。このため、ピストン41の推力が低下し、必要な制動力が得られない等の不具合が生じる可能性がある。
そこで、実施例1では、リアキャリパ3RL,3RR内の負圧状態の抑制を狙いとし、電動パーキングECU9に対しアプライ要求が出力され、電動パーキングブレーキがアプライ動作(電動モータ11を駆動してピストン41を所定距離前進させる動作)を実施した後、再度アプライ動作を実施すると共に後輪RL,RRのソレノイドアウトバルブ33RL,33RR(以下、リアソレノイドアウトバルブと称す。)を閉状態から開状態へ切り替え、負圧状態の抑制を図る。
[アプライ要求出力処理]
図4は、実施例1の電動パーキングブレーキ制御部2aによるアプライ要求出力処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS401では、ヒルホールド制御が実施中であるか否かを判定する。YESの場合はステップS402へ進み、NOの場合はリターンへ進む。
ステップS402では、ヒルホールド制御が開始してから2回目のアプライ動作が終了したか否かを判定する。YESの場合はリターンへ進み、NOの場合はステップS403へ進む
ステップS403では、ヒルホールド制御が開始してから1回目のアプライド動作が終了したか否かを判定する。YESの場合はステップS404へ進み、NOの場合にはステップS405へ進む。
ステップS404では、リアソレノイドアウトバルブ33RL,33RRが開状態であるか否かを判定する。YESの場合はステップS406へ進み、NOの場合はリターンへ進む。
ステップS405では、電動パーキングブレーキ作動条件が成立しているか否かを判定する。YESの場合はステップS406へ進み、NOの場合はリターンへ進む。
ステップS406では、アプライ要求を出力する。
[リアソレノイドインバルブ開閉処理]
図5は、実施例1の車両前後方向移動抑制部2bによるリアソレノイドインバルブ28RL,28RRの開閉処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS501では、ヒルホールド制御が実施中であるか否かを判定する。YESの場合はステップS502へ進み、NOの場合はステップS505へ進む。
ステップS502では、ヒルホールド制御が開始してから1回目のアプライ動作が終了したか否かを判定する。YESの場合はステップS503へ進み、NOの場合はステップS504へ進む。
ステップS503では、ゲートアウトバルブ23が閉状態か否かを判定する。YESの場合はステップS506へ進み、NOの場合はステップS505へ進む。
ステップS504では、電動パーキングブレーキ作動条件が成立しているか否かを判定する。YESの場合はステップS506へ進み、NOの場合はステップS507へ進む。
ステップS505では、リアソレノイドインバルブ28RL,28RRを開状態とする。
ステップS506では、リアソレノイドインバルブ28RL,28RRを閉状態とする。
ステップS507では、リアソレノイドインバルブ28RL,28RRを開状態とする。
[リアソレノイドアウトバルブ開閉処理]
図6は、実施例1の車両前後方向移動抑制部2bによるリアソレノイドアウトバルブ33RL,33RRの開閉処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS601では、ヒルホールド制御が実施中であるか否かを判定する。YESの場合はステップS602へ進み、NOの場合はステップS605へ進む。
ステップS602では、ヒルホールド制御が開始してから1回目のアプライ動作が終了したか否かを判定する。YESの場合はステップS603へ進み、NOの場合はステップS605へ進む。
ステップS603では、ゲートアウトバルブ23が閉状態か否かを判定する。YESの場合はステップS604へ進み、NOの場合はステップS605へ進む。
ステップS604では、リアソレノイドアウトバルブ33RL,33RRを開状態とする。
ステップS605では、リアソレノイドアウトバルブ33RL,33RRを閉状態とする。
[ずり下がり抑制作用]
図7は、実施例1のずり下がり抑制作用を示すタイムチャートである。なお、実施例1に対する比較例として、リアソレノイドインバルブを閉じないものを比較例1(一点鎖線)、リアソレノイドインバルブは閉じるもののリアソレノイドアウトバルブを開かないものを比較例2(二点鎖線)で示す。
時点t1では、車速がゼロとなる。
時点t2では、ヒルホールド制御の開始条件が成立したため、ゲートアウトバルブ23を閉じる。これにより、各ホイルシリンダ圧が保持される。
時点t3では、ヒルホールド制御の開始条件成立から所定時間が経過したため、電動パーキングブレーキアプライ要求を出力する。これにより、電動パーキングブレーキはアプライ動作を開始する。このとき、ドライバはブレーキペダルBPから足を離しているため、後輪RL,RRのホイルシリンダ圧は電動パーキングブレーキの作動に伴い低下する。比較例1では、前輪のホイルシリンダ圧も低下するため、車両のずり下がりが生じている。
これに対し、実施例1では、リアソレノイドインバルブ28RL,28RRを開状態から閉状態へ切り替えるため、前輪FL,FRのホイルシリンダ圧は電動パーキングブレーキの作動前の圧力が保持される。よって、比較例1に対して車両全体の制動力の低下が小さく抑えられることで、車両のずり下がりを抑制できる。
なお、リアソレノイドインバルブ28RL,28RRを閉じた状態で電動パーキングブレーキのアプライ動作を行っているため、リアキャリパ3RL,3RRの一方側の室45a内は負圧となる。
時点t4では、電動パーキングブレーキの1回目のアプライ動作が終了したため、電動パーキングブレーキアプライ要求を出力すると共にリアソレノイドアウト33RL,33RRを閉状態から開状態へ切り替える。これにより、電動パーキングブレーキは再びアプライ動作を開始する。このとき、リアソレノイドアウトバルブ33RL,33RRは開いているため、リザーバタンクRSVに貯留されたブレーキ液の一部は、マスタシリンダM/C→管路34→チェックバルブ36→管路32→リアソレノイドアウトバルブ33RL,33RRを経由してリアキャリパ3RL,3RRの一方側の室45aに吸い込まれ、一方側の室45aは大気圧(≒0[Pa])まで上昇する。比較例2では、リアキャリパ内の負圧に伴うピストンの推力低下によって電動パーキングブレーキが所定の制動力まで上昇せず、ホイルシリンダ圧の保持を解除したときに車両がずり下がるおそれがある。
これに対し、実施例1では、リアキャリパ3RL,3RR内の負圧を解消しつつ再度電動パーキングブレーキをアプライ動作させるため、電動パーキングの制動力を必要な制動力まで確実に上昇させることができ、ゲートアウトバルブ23の保護のためにホイルシリンダ圧を解除したときの車両のずり下がりを抑制できる。
時点t5では、電動パーキングブレーキによる制動力が最大となる。
時点t6では、ゲートアウトバルブ23とリアソレノイドインバルブ28RL,28RRを閉状態から開状態へ切り替えると共に、リアソレノイドアウトバルブ33RL,33RRを開状態から閉状態へ切り替える。ここで、ドライバがブレーキペダルBPを踏んでいない場合には各バルブを即座にOFFしてよいが、ブレーキペダルBPを踏んでいる場合には、ペダル違和感を与えないよう、ゲートアウトバルブ23とリアソレノイドインバルブ28RL,28RRによりホイルシリンダ圧をコントロールする。
時点t7では、パーキングブレーキスイッチ12がOFF側に操作されたため、電動パーキングブレーキの作動を停止する。
次に、効果を説明する。
実施例1の車両制御装置にあっては、以下に列挙する効果を奏する。
(1) 車両に搭載されマスタシリンダM/Cと油圧配管を介して互いに接続した複数の車輪FL,FR,RL,RRに備えられたホイルシリンダW/Cに設けられ、液圧により作動する第1制動力発生部としてのピストン41と、複数の車輪FL,FR,RL,RRのうちの一部の車輪に設けられピストン41の位置を機械的に調整することで車輪に制動力を与える電動パーキングブレーキと、第1制動力発生部が作動し電動パーキングブレーキが非作動の状態で所定の条件が成立したときに電動パーキングブレーキを非作動から作動状態へ切り替える電動パーキングブレーキ制御部2aと、電動パーキングブレーキ制御部2aの切り替え時に車両前後方向の移動を抑制する車両前後方向移動抑制部2bと、を有し、車両は前後輪に1輪ずつの車輪を備えた油圧配管系統を2系統備え、第1制動力発生部は各輪に備えられると共に、油圧配管に連通しピストン41の位置を液圧により調整するための一方側の室45aを備え、電動パーキングブレーキは後輪RL,RRに設けられると共に、液圧室45内部を油圧配管側である一方側の室45aと他方側の室45bとに仕切り、電動パーキングブレーキが作動したときに一方側の室45aの容積が増加するように作動し、ピストン41の位置を維持するようにピストン41に当接するナット部材43を備え、各油圧配管系統には、マスタシリンダM/CとホイルシリンダW/Cを接続する第1油路(管路21、管路27)中に備えられたソレノイドインバルブ28と、第1油路中のマスタシリンダM/Cとソレノイドインバルブ28との間に設けられたゲートアウトバルブ23と、第1油路のゲートアウトバルブ23よりもマスタシリンダM/C側とホイルシリンダW/Cとの間の第2油路(管路32、管路34)中に設けられたソレノイドアウトバルブ33と、を備え、一方の輪は後輪RL,RRであって、車両前後方向移動抑制部2bは、ゲートアウトバルブ23および後輪RL,RRに備えられたソレノイドインバルブ28を開状態から閉状態へ切り替える一方、後輪RL,RRに備えられたソレノイドアウトバルブ33を閉状態から開状態へ切り替える。
よって、ヒルホールド制御中に電動パーキングブレーキが作動したときの車両のずり下がりを抑制できる。
また、リアキャリパ3RL,3RR内の負圧状態を抑制できる。
(2) 車両前後方向移動抑制部2bは、電動パーキングブレーキの作動の前にゲートアウトバルブ23および後輪RL,RRに備えられたソレノイドインバルブ33RL,33RRを開状態から閉状態へ切り替える。
よって、電動パーキングブレーキの作動に伴い後輪RL,RRのホイルシリンダ圧が低下する前に前輪FL,FRのホイルシリンダ圧を保持状態とすることで、車両のずり下がりをより確実に抑制できる。
(3) 車両前後方向移動抑制部2bは、油圧配管内の液圧を維持するように作動する。
よって、油圧配管内の液圧が維持されることで、前輪FL,FRのホイルシリンダ圧を保持状態とすることができ、車両のずり下がりをより確実に抑制できる。
(4) 車両の停止状態を判断する車両停止状態判断部2cを備え、第1制動力発生部は、車両停止状態判断部2cにより車両停止状態を判断した後に作動する。
よって、車両停止後の車両のずり下がりを抑制できる。
(5) 所定の条件は、第1制動力発生部が作動してから所定時間経過後である。
よって、第1制動力発生部の作動時間を所定時間以下に抑えることができ、ゲートアウトバルブ23の保護を図ることができる。
〔実施例2〕
実施例2は、アプライ要求出力処理およびリアソレノイドアウトバルブ33RL,33RRの開閉処理のみ実施例1と相違する。実施例1と同じ構成には同じ符号を付して図示および説明は省略する。
[アプライ要求出力処理]
図8は、実施例2の電動パーキングブレーキ制御部2aによるアプライ要求出力処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS801では、ヒルホールド制御が実施中であるか否かを判定する。YESの場合はステップS802へ進み、NOの場合はリターンへ進む。
ステップS802では、アプライ動作が終了したか否かを判定する。YESの場合はリターンへ進み、NOの場合はステップS803へ進む。
ステップS803では、電動パーキングブレーキ作動条件が成立しているか否かを判定する。YESの場合はステップS804へ進み、NOの場合はリターンへ進む。
ステップS804では、アプライ要求を出力する。
[リアソレノイドアウトバルブ開閉処理]
図9は、実施例2の車両前後方向移動抑制部2bによるリアソレノイドアウトバルブ33RL,33RRの開閉処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS901では、ヒルホールド制御中であるか否かを判定する。YESの場合はステップS902へ進み、NOの場合はステップS905へ進む。
ステップS902では、アプライ動作が終了したか否かを判定する。YESの場合はステップS903へ進み、NOの場合はステップS904へ進む。
ステップS903では、ゲートアウトバルブ23が閉状態か否かを判定する。YESの場合はステップS906へ進み、NOの場合はステップS905へ進む。
ステップS904では、電動パーキングブレーキ作動条件が成立しているか否かを判定する。YESの場合はステップS906へ進み、NOの場合はステップS907へ進む。
ステップS905では、リアソレノイドアウトバルブ33RL,33RRを閉状態とする。
ステップS906では、リアソレノイドアウトバルブ33RL,33RRを開状態とする。
ステップS907では、リアソレノイドアウトバルブ33RL,33RRを閉状態とする。
[ずり下がり抑制作用]
図10は、実施例2のずり下がり抑制作用を示すタイムチャートである。なお、比較例1および2は実施例1で述べたものと同じである。
時点t1〜t3の区間は、図7のt1〜t3の区間と同じ動作であるため、説明は省略する。
時点t3では、ヒルホールド制御の開始条件成立から所定時間が経過したため、電動パーキングブレーキアプライ要求を出力すると共にリアソレノイドインバルブ28RL,28RRを開状態から閉状態へ切り替え、リアソレノイドアウトバルブ33RL,33RRを閉状態から開状態へ切り替える。実施例2では、電動パーキングブレーキがアプライ動作を開始すると同時にリアソレノイドアウトバルブ33RL,33RRを閉状態から開状態へ切り替えるため、リアキャリパ3RL,3RRの一方側の室45a内が負圧とはならず、電動パーキングブレーキのアプライ動作に伴う電動モータ11RL,11RRの負荷増大、すなわち、ピストン41の推力低下は生じない。よって、実施例2では、リアキャリパ内が負圧となるのを回避でき、一度のアプライ動作で電動パーキングブレーキの制動力を確実に必要な制動力まで高めることができる。
時点t4では、電動パーキングブレーキによる制動力が最大となる。
時点t5〜t6の区間は、図7のt6〜t7の区間と同じ動作であるため、説明は省略する。
〔他の実施例〕
以上、本発明を実施するための形態を実施例に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は実施例に示した構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、実施例では、第2制動力発生部を非作動状態から作動状態へと切り替えた後に第1制動力発生部を非作動状態とする例を示したが、第2制動力発生部を非作動状態から作動状態へと切り替えると同時に第1制動力発生部を非作動状態としてもよい。
また、実施例では、第2制動力発生部を後輪側に設けた例を示したが、前輪側に設けてもよい。
実施例では、所定の条件が成立したとき、すなわち第2制動力発生部を非作動から作動状態へ切り替えるときにソレノイドイン弁を開状態から閉状態へ切り替える例を示したが、第2制動力発生部を非作動から作動状態へ切り替える前にソレノイドイン弁を開状態から閉状態へ切り替えてもよい。
2a 電動パーキングブレーキ制御部
2b 車両前後方向移動抑制部
21 管路(第1油路)
23 ゲートアウトバルブ(ゲートアウト弁)
27 管路(第1油路)
28 ソレノイドインバルブ(ソレノイドイン弁)
32 管路(第2油路)
33 ソレノイドアウトバルブ(ソレノイドアウト弁)
34 管路(第2油路)
41 ピストン(第1ピストン)
43 ナット部材(第2ピストン)
45 液圧室(第1油圧室)
45a 一方側の室
45b 他方側の室
FL,FR 前輪
M/C マスタシリンダ
RL,RR 後輪
W/C ホイルシリンダ

Claims (5)

  1. 車両に搭載されマスタシリンダと油圧配管を介して互いに接続した複数の車輪に備えられたホイルシリンダに設けられ、液圧により作動する第1制動力発生部としての第1ピストンと、
    前記複数の車輪のうちの一部の車輪に設けられ前記第1ピストンの位置を機械的に調整することで車輪に制動力を与える第2制動力発生部と、
    前記第1制動力発生部が作動し前記第2制動力発生部が非作動の状態で所定の条件が成立したときに前記第2制動力発生部を非作動から作動状態へ切り替える第2制動力制御部と、
    前記第2制動力制御部の切り替え時に前記車両前後方向の移動を抑制する車両前後方向移動抑制部と、
    を有し、
    前記車両は前後輪に1輪ずつの車輪を備えた油圧配管系統を複数系統備え、
    前記第1制動力発生部は各輪に備えられると共に、前記油圧配管に連通し前記第1ピストン位置を液圧により調整するための第1油圧室を備え、
    前記第2制動力発生部は前記前後輪のうち一方の輪に設けられると共に、前記第1油圧室内部を前記油圧配管側である一方側の室と他方側の室とに仕切り、前記第2制動力発生部が作動したときに前記一方側の室の容積が増加するように作動し、前記第1ピストンの位置を維持するように前記第1ピストンに当接する第2ピストンを備え、
    前記各油圧配管系統には、前記マスタシリンダと前記ホイルシリンダを接続する第1油路中に備えられたソレノイドイン弁と、前記第1油路中の前記マスタシリンダと前記ソレノイドイン弁との間に設けられたゲートアウト弁と、前記第1油路の前記ゲートアウト弁よりもマスタシリンダ側と前記ホイルシリンダとの間の第2油路中に設けられたソレノイドアウト弁と、を備え、
    前記一方の輪は後輪であって、
    前記車両前後方向移動抑制部は、前記ゲートアウト弁および後輪に備えられた前記ソレノイドイン弁を開状態から閉状態へ切り替える一方、後輪に備えられた前記ソレノイドアウト弁を閉状態から開状態へ切り替えることを特徴とする車両制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両制御装置において、
    前記車両前後方向移動抑制部は、前記第2制動力発生部の作動の前に前記ゲートアウト弁および後輪に備えられた前記ソレノイドイン弁を開状態から閉状態へ切り替えることを特徴とする車両制御装置。
  3. 請求項2に記載の車両制御装置において、
    前記車両前後方向移動抑制部は、前記油圧配管内の液圧を維持するように作動することを特徴とする車両制御装置。
  4. 請求項1に記載の車両制御装置において、
    前記車両の停止状態を判断する車両停止状態判断部を備え、
    前記第1制動力発生部は、前記車両停止状態判断部により車両停止状態を判断した後に作動することを特徴とする車両制御装置。
  5. 請求項1に記載の車両制御装置において、
    前記所定の条件は、前記第1制動力発生部が作動してから所定時間経過後であることを特徴とする車両制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018016175A (ja) * 2016-07-27 2018-02-01 日立オートモティブシステムズ株式会社 ブレーキ装置およびブレーキシステム
WO2019011679A1 (de) * 2017-07-14 2019-01-17 Lucas Automotive Gmbh Technik zum betreiben einer kraftfahrzeugbremsanlage
CN112622640A (zh) * 2021-01-05 2021-04-09 潍柴动力股份有限公司 一种坡道驻车方法和车辆

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