JP2007230046A - 印刷用ブランケットの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】回転軸15で回転自在に支持され、表面に印刷用ブランケットの基材14を固定するための円筒体11と、円筒体11の表面に固定された基材14に対して液状ゴム16を供給するための液状ゴム供給手段12と、を備えるコーティング装置10を用い、円筒体11の表面に印刷用ブランケットの基材14を固定後、円筒体11を、回転軸15を中心に一方方向に回転させながら、液状ゴム供給手段12から基材14の表面へ液状ゴム16を供給し、次いで、円筒体11が1回転する前に液状ゴム16の供給を停止し、引き続き円筒体11を一方方向に回転させながら、液状ゴム16を硬化させる。
【選択図】図2
Description
しかし、例えば、注型法による場合には、ゴム層が大判化することで、金型の歪みの影響が顕著に現れ、ゴム層の厚み精度が低くなるという不具合がある。また、注型用の金型のキャビティの間隔は、液状ゴムの粘度が高いほど、一定の寸法以下に設定できず、それゆえ、大判かつ薄肉のゴム層の形成が困難になるという不具合がある。
本発明の印刷用ブランケットの製造方法において、上記コーティング装置は、上記基材の表面に供給された液状ゴムを展延し、上記液状ゴムの厚みを規制するための層厚規制手段を備え、上記層厚規制手段は、上記基材表面への液状ゴムの供給時に、上記液状ゴム供給手段よりも上記円筒体の回転方向下流側で、上記基材の表面から上記液状ゴムの厚みの規制値に合わせた距離を隔てた層厚規制位置に配置され、かつ、上記基材表面への液状ゴムの供給停止時に、上記基材の表面に対し、上記層厚規制位置よりも離れて待機するための待機位置に配置されることが好ましい。
本発明の印刷用ブランケットの製造方法において、上記液状ゴムは、液状シリコーンゴムであることが好ましい。
液状ゴムの粘度や、円筒体の回転速さが、上記範囲内であるときは、本発明の製造方法により、ゴム層表面の平滑性や厚み精度を向上させる効果が顕著に現れる。
本発明の印刷用ブランケットの製造方法は、特に、粘度が比較的大きい液状ゴムを用いて表面ゴム層を形成する用途に好適であり、また、大判の印刷用ブランケットを形成する場合にも好適である。
円筒体11は、回転軸15で回転自在に支持されており、その回転は、図示しない回転制御手段により制御される。
液状ゴム供給手段12としては、特に限定されないが、例えば、スリットダイコータ、ディスペンサなどが用いられる。
層厚規制手段としては、特に限定されないが、例えば、図2(a)などに示すコーティングローラ13や、ドクターナイフ、ドクターバーなどのドクターブレードなどが挙げられる。
基材14としては、印刷用ブランケットの基材として用いられている種々の材料が挙げられ、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのプラスチック、例えば、アルミニウム、SUS、ニッケルなどの金属が挙げられる。なかでも好ましくは、PETが挙げられる。
基材14は、円筒体11表面との間にゴミや空気が入らないように、基材14と円筒体11とを密着させて装着することが好ましい。また、このような装着を実現するためにも、円筒体11表面への取り付け時には、基材14に対し、円筒体11の円周方向に張力がかかるように設定することが好ましい。
液状シリコーンゴムは、特に限定されないが、ゴム層の厚み精度の観点より、硬化時にガスなどを生成しない付加型シリコーンゴムであることが好ましく、また、硬化処理の簡素化の観点より、硬化に際して加熱や、紫外線、電子線などの照射といった処理を要しない、室温硬化型シリコーンゴムであることが好ましい。なお、シリコーンゴムが加熱硬化型である場合には、塗工後の液状ゴムからなる層17に対して、ヒーターなどを用いて均一に加熱する必要がある。
充填剤としては、例えば、シリカ、クレー、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
液状ゴム16の粘度が上記範囲を下回ると、円筒体11の回転に伴って、液状ゴムからなる層17が、鉛直下方向に垂れ下がるおそれがあり、逆に、液状ゴム16の粘土が上記範囲を上回ると、ゴム層17について、十分なレベリングの効果が得られなくなるおそれがある。
基材14表面への液状ゴム16の供給時における円筒体11の回転速さは、基材14の表面に供給された液状ゴムからなる層17のセルフレベリングを実現できる範囲で、かつ、円筒体11の回転の程度により、基材14から液状ゴム16が垂れ落ちや、液状ゴムからなる層17の厚みの偏り(例えば、鉛直方向下側のみが厚くなるような偏り)が生じることを防止できる範囲で、適宜設定される。
また、上記回転速さが遅いほど、液状ゴム16中に混入された気泡が、基材14とコーティングローラ(層厚規制手段)13との間隙を液状ゴム16が通過する時に除去され易くなる。しかしながら、上記回転速さが上記範囲を下回ると、液状ゴムからなる層17の厚みに偏り(例えば、鉛直方向下側のみが厚くなるような偏り)が生じ易くなるおそれがある。一方、上記回転速さが上記範囲を上回ると、液状ゴムからなる層17の厚みが規制されにくくなるおそれがある。
本発明の印刷用ブランケットの製造方法においては、円筒体11が1回転するまでの間に、液状ゴムからなる層17が形成される。これにより、基材14表面に供給された液状ゴム16が硬化する前に、重ねて液状ゴム16が供給されることを防止でき、ゴム層内への気泡の混入や、ゴム層の表面欠陥の発生を抑制できる。
本発明の印刷用ブランケットの製造方法において、基材14の表面に形成される液状ゴムからなる層17の厚みは、特に限定されないが、液状ゴム供給手段12から基材14表面への液状ゴム16の供給処理1回について、0.05〜2mmとなるように、供給される液状ゴム16の量を適宜調整することが好ましい。
上記液状ゴム16の供給処理時において、層厚規制手段13の表面と、円筒体11の表面との間の距離20は、基材14の厚み21と、硬化後の液状ゴムからなる層17の厚みとの和よりも若干大きく設定される(図3参照)。図3に示すように、層厚規制手段13表面と円筒体11表面との間の距離20は、基材14の厚み21と、未硬化状態の液状ゴムからなる層17の厚み22との和であるが、液状ゴムからなる層17の厚みは、層厚規制手段(コーター)を通過する際の液状ゴムの粘性特性により減少する。この減少の程度は、液状ゴムの種類、液状ゴムからなる層17の硬化時における円筒体11の回転速さ、層厚規制手段の形状などに合わせて、適宜設定される。
以下の実施例および比較例において、液状ゴムには、液状の付加型シリコーンゴム(品名「KE1606」、粘度50Pa・s、信越化学工業(株)製)100重量部と、硬化剤(品名「Cat−RG」)10重量部とを配合し、撹拌・脱泡したものを使用した。
図1、図2(a)および図2(b)に示すコーティング装置を用いて、基材14と液状ゴム(液状シリコーンゴム)からなる層17とを備えるシリコーンブランケット(印刷用ブランケット)を製造した。
すなわち、まず、直径400mmの金属製円筒体11の表面に、厚さ0.30mmのPETフィルム製基材14を装着した。PETフィルム製基材14の装着は、例えば、PETフィルム製基材の端縁に、ブランケットの固定治具を取り付けて、これを円筒体11の表面に固定し、さらに、ブランケットにテンションをかけつつ、円筒体11の表面に沿わせるとともに、他方の端縁に取り付けられた固定治具を、円筒体11の表面に固定することにより行った。
実施例2
液状ゴム16供給時および液状ゴムからなる層17の硬化時における円筒体11の周速度を、5mm/sに代えて、10mm/sとしたこと以外は、実施例1と同様にして、シリコーンブランケットを得た。
実施例1と同様にして、円筒体11の表面に基材14を装着し、円筒体11を回転させながら(周速度5mm/s)、液状ゴム供給手段12から基材14上へと液状ゴムからなる層17を供給した。こうして、基材14上に、幅(円筒体の軸15方向の長さ)800mm、長さ(円筒体11の周方向の1000mm、厚み(円筒体11の直径方向の長さ)が0.60mmの、液状ゴムからなる層17を形成した。
比較例1
実施例1と同様にして、円筒体11の表面に基材14を装着し、円筒体11を回転させながら(周速度5mm/s)、液状ゴム供給手段12から基材14上へと液状ゴムからなる層17を供給した。こうして、基材14上に、幅(円筒体の軸15方向の長さ)800mm、長さ(円筒体11の周方向の1000mm、厚み(円筒体11の直径方向の長さ)が0.30mmの、液状ゴムからなる層17を形成した。
物性評価
1)厚みのバラツキ
実施例1、実施例2、比較例1および参考例1のシリコーンブランケットについて、液状ゴムからなる層の厚みを、面内10cm間隔で測定した。
2)表面状態
実施例1、実施例2、比較例1および参考例1のシリコーンブランケットについて、液状ゴムからなる層の表面状態を目視で観察し、下記の2段階で評価した。
○ 表面が平滑で、凹凸やスジなどは観察されなかった。
× 凹凸やスジが顕著に観察されたため、実用に適さなかった。
本発明は、以上の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲において、種々の設計変更を施すことが可能である。
Claims (5)
- 回転軸で回転自在に支持され、表面に印刷用ブランケットの基材を固定するための円筒体と、前記円筒体の表面に固定された基材に対して液状ゴムを供給するための液状ゴム供給手段と、を備えるコーティング装置を用い、
前記円筒体の表面に印刷用ブランケットの基材を固定後、前記円筒体を、前記回転軸を中心に一方方向に回転させながら、前記液状ゴム供給手段から前記基材の表面へ液状ゴムを供給し、次いで、前記円筒体が1回転する前に前記液状ゴムの供給を停止し、引き続き前記円筒体を前記一方方向に回転させながら、前記液状ゴムを硬化させることを特徴とする、印刷用ブランケットの製造方法。 - 前記コーティング装置が、前記基材の表面に供給された液状ゴムを展延し、前記液状ゴムの厚みを規制するための層厚規制手段を備え、
前記層厚規制手段は、前記基材表面への液状ゴムの供給時に、前記液状ゴム供給手段よりも前記円筒体の回転方向下流側で、前記基材の表面から前記液状ゴムの厚みの規制値に合わせた距離を隔てた層厚規制位置に配置され、かつ、前記基材表面への液状ゴムの供給停止時に、前記基材の表面に対し、前記層厚規制位置よりも離れて待機するための待機位置に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の印刷用ブランケットの製造方法。 - 前記液状ゴムが、液状シリコーンゴムであることを特徴とする、請求項1または2に記載の印刷用ブランケットの製造方法。
- 前記液状ゴムの粘度が、15〜500Pa・sであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の印刷用ブランケットの製造方法。
- 前記基材表面への液状ゴムの供給時における前記円筒体の回転速さが、前記円筒体表面での周速度で、0.5〜20mm/sであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の印刷用ブランケットの製造方法。
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